(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開閉体は、前記操作部材を収容する収容凹部を有しており、該収容凹部には、前記操作部材の基端部側に位置する内側面から収容凹部内方に向けて張出した、張出し部が設けられており、この張出し部の張出し端面が、前記取付孔の内周縁をなしており、
前記操作部材の基端部の端面は、前記張出し部の張出し端面よりも、前記取付孔の外径側に位置している請求項1記載の開閉体のロック装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係る開閉体のロック装置の、一実施形態について説明する。
【0012】
図1や
図15に示すように、この実施形態における開閉体のロック装置10(以下、「ロック装置10」という)は、例えば、車両のインストルメントパネル等の固定体1の開口部1aに開閉可能に取付けられる、グローブボックス等の開閉体2を、開閉ロックするために用いられるものである。
【0013】
この実施形態のロック装置10は、開閉体2に形成された取付孔6(
図10(a)参照)と、固定体1の開口部1aに設けられた一対のロック部1b,1b(
図15,16参照)と、取付孔6の表側から挿入されて取付けられるベース部材20と、開閉体2に対してスライド可能に配置され、操作部材40を介して動作してロック部1b,1bに係脱する一対のロック部材50,50と、これらの一対のロック部材50,50のスライド動作を連動させるための回転部材60と、各ロック部材50をロック部1bに係合する方向に付勢する第1付勢手段70と、基端部41が回動支持部29を介してベース部材20に回動可能に取付けられ、把持部42をベース部材20に対して近接離反することで、ロック部材50をスライド操作する操作部材40とを有している。
【0014】
なお、この実施形態においては、取付孔6は開閉体2に形成され、ロック部材50は開閉体2にスライド可能に配置されているが、取付孔を固定体に形成すると共に、ロック部材を固定体側にスライド可能に配置してもよい。
【0015】
また、
図10(b)に示すように、操作部材40には、キーシリンダ80が配置されており、ロック部材50,50の、ロック部1b,1bに対するロック状態を維持又は解除可能となっている。更に
図2に示すように、この実施形態における前記第1付勢手段70は、トーションバネとなっており、巻回部71と、この巻回部71から延出した一対のアーム部72,72とからなる。この第1付勢手段70は、回転部材60に装着され回転付勢することで、回転部材60に連結されるロック部材50をロック部1bに係合する方向に付勢するが(
図17参照)、第1付勢手段としては、例えば、ロック部材の一方をロック部側に向けて引っ張る、引きばね等であってよく、ロック部材をロック部に係合する方向に付勢可能であればよい。
【0016】
なお、この実施形態では、上述したように、例えば、インストルメントパネルの開口部に箱状のグローブボックスが回動可能に取付けられた構造に適用されているが(この場合、インストルメントパネルが「固定体」、グローブボックスが「開閉体」をなす)、インストルメントパネルの開口部にリッドが開閉可能に取付けられた構造(この場合、インストルメントパネルが「固定体」、リッドが「開閉体」をなす)に適用したりしてもよく、固定体の開口部を開閉する各種の開閉体に広く用いることができる。
【0017】
図1や
図15に示すように、この実施形態では、固定体1の開口部1aの幅方向の両側内面に、孔状をなしたロック部1b,1bが設けられている。また、固定体1の開口部1aの両側部には、開閉体回動溝1c,1cが形成されている(
図1参照)。なお、ロック部は、孔状でなくとも、凹状や、突起状、枠状等であってもよく、また、固定体の開口部ではなく、開閉体に設けてもよく、特に限定はされない。
【0018】
図1に示すように、この実施形態における開閉体2は、車室内方側に配置されるアウター部材3と、その裏側に配置されるインナー部材4とから構成されている。なお、開閉体としては、アウター部材3とインナー部材4との2部材構成ではなく、一枚の板材からなる構成であってもよい。また、アウター部材3の幅方向一側であって、その上方には、横長の長方形状の凹状をなした収容凹部5が形成されている。
図9や
図12に示すように、この収容凹部5に操作部材40が収容されるようになっている。また、収容凹部5の長手方向の一側部に、開閉体2の幅方向に沿って長く延びる、長孔状をなした取付孔6が形成されている(
図10(a)参照)。
【0019】
前記取付孔6は、収容凹部5の底壁5cに形成されている。この収容凹部5の、操作部材40の基端部41側に位置する内側面からは、前記底壁5cよりも高い位置で、収容凹部5の内方に向けて張出した、張出し部5a,5bが設けられている。
図10(a)に示すように、この実施形態では、収容凹部5の長手方向一端側(操作部材40の基端部41側)の内側面から、張出し部5aが張出していると共に、収容凹部5の長手方向に直交する両側辺の内側面から、前記張出し部5aに直交する一対の張出し部5b,5bが、互いに平行となるように張出しており、全体として略コ字状をなしている。これらの張出し部5a,5b,5bの張出し端面(収容凹部内方に向けて最も突出した位置の端面)が、前記取付孔6の3辺の内周縁をなしている。
【0020】
なお、この実施形態においては、取付孔6の、前記張出し部5aに対向する部分が、取付孔6の長手方向の一端6aをなしており、これが本発明における「取付孔の一端」を意味している。一方、前記張出し部5aの端縁が、取付孔6の長手方向の他端6bをなしており、本発明における「取付孔の他端」をなしている。なお、取付孔6の一端6aは、取付孔6の他端6bよりも低い位置に配置されている(
図9参照)。また、取付孔は長孔状をなしていなくともよく、例えば、略正方形状をなした孔や、略楕円形状をなした孔、略小判状をなした孔等であってもよい。この場合、本発明における「取付孔の一端」とは、取付孔の内周の所定範囲の部分を意味し、「取付孔の他端」とは、取付孔の内周の、前記一端とは対向した部分を意味する。
【0021】
また、上記取付孔6の表側から、ベース部材20が挿入されて取付けられるようになっているが、ここでいう「表側」又は「表面側」とは、車両等の固定体の開口部から、開閉体が開く方向に位置する面を意味する。なお、固定体が車両に設けられている場合には、車両の車内空間側を、「表側」又は「表面側」としてもよい。また、「裏側」又は「裏面側」とは、前記「表側」又は「表面側」とは反対側の面、すなわち、開閉体が閉じる方向に位置する面を意味する。なお、「表側」、「表面側」、「裏側」、「裏面側」とは、取付孔のみならず、以下で説明する他の部材(操作部材40等)においても、同様の意味である。
【0022】
一方、インナー部材4は、
図1に示すように、全体として上方が開口した箱状をなしている。また、インナー部材4の、アウター部材3側に対向配置される表面側(正面側)であって、その上方部分には、前記一対のロック部材50,50をスライド可能に配置する、横長の凹状をなしたロック配置凹部4aが設けられている。
図15や
図16に示すように、このロック配置凹部4aの長手方向両側には、ロック挿出孔4b,4bがそれぞれ形成されている。また、
図1に示すように、インナー部材4の奥側の両側部外面からは、ストッパ4c,4cが突設されており、これらのストッパ4c,4cが、固定体1のガイド孔1c,1cにそれぞれ挿入されて、固定体1の開口部1aに対する開閉体2の開閉角度を規制するようになっている。
【0023】
また、
図15及び
図16に示すように、前記ロック配置凹部4aの底面の表面側からは、回転部材60を回転支持するための、回転部材支持部7が突設されている。
図2や
図3を併せて参照すると、この回転部材支持部7は、正面側が開口したドッグハウスのような箱型状をなしており、その天井面に円形孔状の支持孔7aが形成されている。この回転部材支持部7に隣接した位置には、バネ係止壁8が立設している。このバネ係止壁8には、係止溝8aが形成されており、この係止溝8aに、第1付勢手段70の一方のアーム部72が係止される。
【0024】
また、
図1や
図2に示すように、この実施形態における一対のロック部材50,50は、両者同一形状となっており、基端部51側がクランク状に屈曲すると共に、先端側に向けて直線状に延びており、先端部52がロック部1bに係脱するようになっている(
図15〜18参照)。なお、
図2に示すように、ロック部材50の基端部51には、凹状をなした嵌合凹部51aが設けられており、この嵌合凹部51aに、回転部材60の後述するロック連結部64が嵌合する部分となっている。また、各ロック部材50の先端側には、四角枠状をなした枠状部53が設けられている。
【0025】
更に
図2に示すように、回転部材60は、略ひし形状をなした本体61と、この本体61の裏側中央から突設した略筒状の回転支持部62と、本体61の表側中央から突設した略筒状のバネ装着部63と、本体61の裏側であって、長手方向両端から突設した球状のロック連結部64,64と、本体61の表側であって、長手方向両端から突設したバネ係止片65,65とからなる。また、回転支持部62の外周には、スリットを介して撓み可能な係合片62a,62aが形成されている。
【0026】
各ロック連結部64を、各ロック部材50の基端部51に設けられた嵌合凹部51aに嵌合させて連結することで、回転部材60の長手方向両端部に一対のロック部材50,50の基端部51が回動可能に連結されるようになっている。また、回転支持部62を、上述した回転部材支持部7の支持孔7aに挿入することで、係合片62a,62aが支持孔7aの裏側周縁に係止して、回転支持部62に対して回転部材60が回転可能に支持されると共に、抜け止め保持される(
図3参照)。そして、回転部材60が所定方向に回転することで、同回転部材60を介して、一対のロック部材50,50が同期してスライドするようになっている。
【0027】
また、バネ装着部63を、第1付勢手段70の巻回部71内に挿入することで、第1付勢手段70が回転部材60に装着される。そして、第1付勢手段70の他方のアーム部72を、一方のバネ係止片65に係止させることで、
図17の矢印E1方向に示すように、回転部材60が回転付勢され、それによって一対のロック部材50,50の先端部52,52が、一対のロック部1b,1bに係合する方向(
図17の矢印E2方向)に付勢されるようになっている。なお、一対のロック部材50,50は、上述したように、開閉体2を構成するインナー部材4の、ロック配置凹部4a内にスライド可能に配置されるが、その先端部52,52は、ロック配置凹部4aに設けたロック挿出孔4b,4bから挿出する。
【0028】
次に、取付孔6の表側から挿入されて取付けられると共に、操作部材40を回動支持する回動支持部29を有するベース部材20について説明する。
【0029】
図4〜6に示すように、この実施形態におけるベース部材20は、一方向に長い長尺の板状をなした底壁21と、この底壁21の長辺に沿った両側辺の周縁から立設した一対の側壁22,22と、底壁21の長手方向の一端側に配置され、一対の側壁22,22どうしを連結する一端壁23と、底壁21の長手方向の他端側に配置され、一対の側壁22,22どうしを連結する他端壁24とからなり、底壁21とは反対の上方側が開口し、内部に内部空間25が画成された、略長尺箱状をなしている。なお、ベース部材としては、例えば、全体として略正方形の箱状等をなしていてもよく、その外部形状は特に限定されない。
【0030】
前記底壁21には、操作部材40の後述する作動レバー45を、スライド移動可能となるように受け入れる、スライド溝21aが前記内部空間25に連通して形成されている。また、前記一端壁23には、前記内部空間25に連通する、開口部23aが形成されている。
【0031】
なお、底壁21の長手方向の一端は、前述した取付孔6の長手方向の一端6a側に配置され、底壁21の長手方向の他端は、取付孔6の長手方向の他端6b側に配置されるようになっている。また、本発明における「ベース部材の一端側」とは、取付孔の一端側に配置される端部側を意味し、「ベース部材の他端側」とは、取付孔の他端側に配置される端部側を意味する。この実施形態においては、後述するフック26が突設された一端壁23側が、本発明における「ベース部材の一端側」を意味しており、後述する弾性係合爪30が設けられた他端壁24側が、本発明における「ベース部材の他端側」を意味している。
【0032】
なお、以下の説明においては、
図6に示すように、ベース部材20の一端及び他端が配置された方向を、ベース部材の端部配置方向(長手方向)Xとし、この端部配置方向Xに対して直交する方向を、ベース部材の幅方向Yとする(底壁21や、一端壁23、他端壁24等においても同様の意味である)。
【0033】
また、一端壁23の底壁21側であって、その幅方向Yの両側からは、一対のフック26,26が突設されている。これらのフック26,26は、ベース部材20を取付孔6に取付けるべく、取付孔6の表側からベース部材20を斜めに挿入したときに、取付孔6の一端6aの裏側周縁に引っ掛かる部分となると共に(
図9の二点鎖線参照)、ベース部材20を取付孔6に押し込んで、後述する弾性係合爪30が取付孔6の他端6bの裏側周縁に係合した際に、取付孔6の一端6aの裏側周縁に係合する部分となる(
図9参照)。また、フックは一対ではなく、例えば、一端壁23の裏面中央から突出した一個のものであってよく、特に限定はされない。
【0034】
また、
図5(a)や
図9に示すように、ベース部材20の他端側には、取付孔6の他端6b側の周縁に対向する壁部27が設けられている。この壁部27は、ベース部材20を構成する他端壁24の外周であって、その所定高さ位置からベース部材外方に向けて薄肉フランジ状をなすように突設している。そして、この壁部27の、ベース部材20の取付孔6への挿入方向側に向く裏面27aが、取付孔6にベース部材20を取付けたときに、取付孔6の他端6b側に位置する張出し部5aの、表側周縁に対向配置されると共に当接するようになっている(
図9及び
図12参照)。なお、上記壁部27は、他端壁24の幅方向Yの全域に亘って延びると共に、一対の側壁22,22の、他端壁24寄りの端部に至るまで形成されている(
図5(a),(b)参照)。
【0035】
また、操作部材40の基端部41を回動支持する回動支持部29は、
図5(a),(b)に示すように、一対の側壁22,22の上方(底壁21とは反対側)であって、他端壁24寄りの位置から、略台形山状に隆起した突出部22a,22aの外面に、それぞれ突設されている。各回動支持部29は、略円弧形状をなした突起となっている。
【0036】
そして、
図5(a)や
図8に示すように、ベース部材20には、その回動支持部29よりも、一端側(一端壁23側)とは反対側の他端には、取付孔6の裏側周縁に係合する、弾性変形可能な弾性係合爪30が設けられている。この実施形態においては、ベース部材20を構成する他端壁24の幅方向Yの両側に、一対の弾性係合爪30,30が設けられている。
【0037】
より具体的に説明すると、
図5(a)に示すように、他端壁24の幅方向Yの両側部であって、前記壁部27の裏面27a側には、同壁部27の端面27bよりも、ベース部材20の一端側に向けて所定深さで凹んだ、凹部31,31が形成されている。また、これらの凹部31,31は、他端壁24の最も突出した外面24a(
図5(a)参照)よりも、ベース部材20の一端側に向けて凹んでいる。そして、この凹部31を介して弾性係合爪30が延設されている。すなわち、ベース部材20の他端壁24の、凹部31,31が形成された面から、一対の弾性係合爪30,30がそれぞれ延設されており、これらの弾性掛合爪30が撓んだときには、弾性係合爪30,30が前記凹部31,31に受け入れられるように構成されている。
【0038】
また、各弾性係合爪30は、その基端部30aが底壁21の面方向に沿って延びると共に、基端部30aの延出方向先端から、前記壁部27に向けて斜め外方に延出している(
図5(a)参照)。また、各弾性係合爪30の先端部30bは、段状をなしており、取付孔6の他端6b側の裏側周縁に係合するようになっている(
図9参照)。
【0039】
なお、この実施形態の弾性係合爪30は、ベース部材20の他端壁24の幅方向両側から延設され、取付孔6の他端6b側の裏側周縁に係合するようになっているが、例えば、弾性係合爪を、ベース部材20の側壁22の外面の、他端寄りの位置から延設させてもよく、回動支持部29よりも他端側に設けられていて、取付孔6の裏側周縁に係合する形状であればよい。
【0040】
また、この実施形態における凹部は、前記壁部よりもベース部材の一端側に向けて凹んだ凹状をなしているが、例えば、ベース部材の底面側から所定深さで凹むと共に、ベース部材の一端側に向けて凹む凹溝状等をなしていてもよく(これについては後述の実施形態で説明する)、弾性係合爪が弾性変形する際に受け入れ可能な形状であればよい。
【0041】
次に、上記回動支持部29,29を介して、操作部材40が回動可能に取付けられるベース部材20について、
図4や
図7等を参照して説明する。
【0042】
この操作部材40は、全体として一方向に長い長尺状をなしており、ベース部材20の回動支持部29に回動支持される基端部41を有すると共に、長手方向の先端部には、操作部材40を回動操作する際に、操作者が把持する部分となる把持部42が設けられている。また、基端部41の両側(長手方向に直交する幅方向両側)には、略円弧形の溝状をなした溝部43,43が形成されており、これらの溝部43,43に、ベース部材20の円弧突起状をなした回動支持部29,29がそれぞれ挿入されることで、操作部材40の基端部41が、回動支持部29を介して回動可能に支持されるようになっている。
【0043】
そして、
図14に示すように、操作部材40は、ベース部材20の回動支持部29に回動支持された基端部41を支点として、先端部側の把持部42を、ベース部材20から離反したり近接したりする方向に回動させることができるようになっている。なお、その際の操作部材40の回転中心は、
図14の符号「C」で示す箇所となる。
【0044】
また、操作部材40の基端部41側の、長手方向に最も突出した端面41a(
図7参照)は、
図10(b)に示すように、収容凹部5の張出し部5aの張出し端面よりも、取付孔6の外径側に位置している。すなわち、取付孔6にベース部材20を取付けると共に、操作部材40を回動操作していない状態(操作部材40の把持部42をベース部材20から離反する方向に回動しない状態)において、
図10(b)に示すように、取付孔6の表側から操作部材40を見たときに、操作部材40の基端部41側の端面41aは、収容凹部5に設けた張出し部5aの張出し端面よりも、取付孔6の長手方向の他端6bの外径側に位置するようになっている。言い換えると、操作部材40の基端部41側の端面41aが、張出し部5aの張出し端面を超える位置となるように配置されている(
図10(b)及び
図12参照)。なお、この実施形態では、
図10(b)に示すように、取付孔6の表側から操作部材40を見たときに、操作部材40の基端部41寄りの、長手方向に沿った両側端面41b,41bも、収容凹部5に設けた張出し部5b,5bの張出し端面よりも、取付孔6の長手方向両側部の外径側に位置するようになっている(張出し部5b,5bの張出し端面を、超える位置となるように設けられている)。
【0045】
また、操作部材40の基端部41寄りの位置には、円形状のシリンダ挿入孔41cが形成されていると共に、その裏面周縁から円筒状をなしたシリンダ配置筒44が突設されており、周知のキーシリンダ80が挿入されて固定されるようになっている。
【0046】
また、
図7に示すように、操作部材40の基端部41側の裏面であって、前記シリンダ配置筒44に隣接した位置からは、操作部材40の把持部42がベース部材20から離反する方向に回動した際に、ロック部材50の先端部52を固定体1のロック部1bに係合しない方向にスライドさせる、作動レバー45が突設されている。この作動レバー45は、横断面が略コ字枠状をなして、所定長さで延出している。なお、この作動レバー45は、ベース部材20の内部空間25内に挿入されると共に、底壁21に形成したスライド溝21aに挿通されて、同スライド溝21a内を、ベース部材20の端部配置方向Xに沿ってスライド可能となっている。また、作動レバー45の延出方向先端部は、スライド溝21aから挿出されて、
図17に示すように、一方のロック部材50の枠状部53内に入り込むようになっている。
【0047】
そして、
図14の二点鎖線や
図16に示すように、操作部材40の把持部42をベース部材20から離反する方向に回動させることによって、その作動レバー45が、一方のロック部材50の枠状部53内面を押圧して、
図18に示すように、第1付勢手段70に起因する付勢力に抗して、一方のロック部材50の先端部52をロック部1bから係合しない方向に引き込むと共に、それと連動(同期)して、回転部材60を介して、他方のロック部材50の先端部52を、ロック部1bから係合しない方向に引き込むことができ、それによって、固定体1の開口部1aを閉じた開閉体2のロック状態を解除可能となっている。
【0048】
なお、この実施形態では、上述したように操作部材40を回動操作すると、一方のロック部材50をスライドさせ、回転部材60を介して他方のロック部材50をスライドさせるようになっているが、操作部材40の回動操作によって回転部材60を回転させて、それによってロック部材50をスライドさせるように構成してもよい。
【0049】
更に
図7に示すように、操作部材40の基端部41の裏面側の最基端からは、コイルスプリングからなる第2付勢手段75の一端を支持する、バネ支持突部46が突設されている。また、
図7に示すように、前記シリンダ配置筒44の、作動レバー45とは反対側の開口周縁部には、ストッパー突部47が突設されている。このストッパー突部47は、操作部材40の把持部42をベース部材20から離反する方向に回動させたときに、ベース部材20の一端壁23に設けた開口部23a(
図5(b)参照)に当接して、その回動角度を規制する。
【0050】
再び、ベース部材20の説明に戻る。ベース部材20を構成する他端壁24には、上述したように、その幅方向Yの両側に凹部31,31が形成されているが、
図8や
図11に示すように、各凹部31,31は、操作部材40の、作動レバー45の両側にそれぞれ設けられている。また、ベース部材20の他端壁24は、各凹部31の、作動レバー45側に位置する一対の側壁部32,32を有しており(
図11参照)、これらの側壁部32,32の、所定高さ部分における内面どうしが、
図6に示すように、バネ支持部33により連結されている。
【0051】
また、バネ支持部33の表面(操作部材40との対向面)からは、第2付勢手段75の他端を支持する、バネ支持突部33aが突設されている。そして、
図12に示すように、第2付勢手段75の他端が、ベース部材20側のバネ支持突部33aで支持されると共に、第2付勢手段75の一端が、操作部材40側のバネ支持突部46で支持されて、両部材の間で圧縮状態で保持されることとなり、操作部材40の基端部41側が、ベース部材20から離反する方向に回動付勢される。そのため、
図14の二点鎖線で示すように、操作部材40の把持部42をベース部材20から離反する方向に回動した後、手を把持部42から離すと、把持部42をベース部材20に近接する方向に付勢して、収容凹部5から突出しないように保持するようになっている。上記第2付勢手段75が、本発明における「付勢手段」をなしている。なお、
図12に示すように、バネ支持突部33aは、操作部材40を回動しない状態で、断面コ字枠状をなした作動レバー45の、枠状部内側に位置しており、作動レバー45のスライド動作には干渉しないようになっている。
【0052】
また、
図5(a)や
図14に示すように、ベース部材20の側壁22,22の外面であって、回動支持部29,29よりも一端壁23側には、コ字状のスリット35aを介して、撓み可能な弾性係合片35,35が形成されている。更に側壁22,22の一端壁23寄りの外面であって、前記弾性係合片35,35に隣接する位置には、リブ36,36が突設している。そして、
図13に示すように、取付孔6の長手方向に沿った両側部(張出し部5b,5b)の裏側周縁に、一対の弾性係合片35,35が係合すると共に、同取付孔6の両側部の表側周縁に、一対のリブ36,36が係合するようになっている。
【0053】
更に
図5(b)や
図6に示すように、ベース部材20の一端側の角部には、ダンパー装着孔38が形成されている。
図4に示すように、このダンパー装着孔38には、ゴム製のダンパー39が装着されて、操作部材40の回動時における打音の低減が図られるようになっている。
【0054】
次に、上記構成からなるロック装置10の作用効果について説明する。
【0055】
開閉体2に設けた取付孔6にベース部材20を取付ける際には、まず、
図9の二点鎖線で示すように、取付孔6の表側からベース部材20の一端側(一端壁23側)を斜めに挿入して、一対のフック26,26を、取付孔6の一端6aの裏側周縁に引き掛けて係止させる。その状態で、
図9の矢印に示すように、ベース部材20の他端側(他端壁24側)を取付孔6の他端6bに向けて押し込んでいく。すなわち、フック26を支点として、ベース部材20を回転させるようにして押し込む。
図9には、ベース部材20を取付孔6に挿入して取付ける際の、取付軌跡Kが示されている。
【0056】
すると、取付孔6の他端6bの内周縁(張出し部5bの張出し端面)に、先端部30b,30bが押圧されて、一対の弾性係合爪30,30を弾性変形しつつ押し込まれていく。そして、先端部30b,30bが取付孔6の他端6bの裏側を乗り越えると、一対の弾性係合爪30,30が弾性復帰して、先端部30b,30bが取付孔6の他端6bの裏側周縁にそれぞれ係合すると共に、壁部27の裏面27aが、取付孔6の他端6bの表側周縁に当接する(
図9参照)。また、取付孔6の、他端6bよりも低い位置に配置された一端6aの裏側周縁には、一対のフック26,26がそれぞれ係合し(
図9参照)、更に
図13に示すように、取付孔6の長手方向に沿った両側部(張出し部5b,5b)の裏側周縁に、一対の弾性係合片35,35が係合すると共に、取付孔6の両側部(張出し部5b,5b)の表側周縁に、一対のリブ36,36が係合する。こうして、取付孔6にベース部材20を取付けることができる。
【0057】
そして、このロック装置10においては、固定体1の開口部1aから開閉体2が開いた状態から開閉体2を閉じて、一対のロック部材50,50の先端部52,52が、固定体1のロック部1b,1bに係合することで、開閉体2が閉じた状態にロックされる(
図15及び
図17参照)。
【0058】
この状態から、
図14の二点鎖線や
図16に示すように、操作部材40の把持部42をベース部材20から離反する方向に回動させると、
図18に示すように、一方のロック部材50の先端部52を、回転部材60の回転付勢力に抗して、ロック部1bから係合しない方向に引き込むと共に、それと連動して回転部材60を介して、他方のロック部材50の先端部52を、ロック部1bから係合しない方向に引き込むので、開閉体2のロック状態を解除して、固定体1の開口部1aから開閉体2を開くことができる。
【0059】
上記のように開閉体2のロックを解除する際には、
図14に示すように、操作部材40の把持部42をベース部材20から離反する方向に回動させるのであるが、この際に、操作部材40を介してベース部材20に、取付孔6から引き抜かれようとする、引き抜き荷重Fが作用する。すなわち、
図13に示すように、操作部材40の引き上げ動作に伴って、溝部43の内面が、ベース部材20の回動支持部29を持ち上げるように押圧するため(
図13の矢印参照)、ベース部材20に引き抜き荷重Fが作用する。このとき、このロック装置10においては、
図5(a)や
図8に示すように、弾性係合爪30が、ベース部材20の回動支持部29よりも他端側に設けられているので、弾性係合爪30をフック26から離れた位置に設けることができる。
【0060】
そのため、上述したように、操作部材40の把持部42をベース部材20から離反する方向に回動させた際に、回動支持部29を介してベース部材20に引き抜き荷重Fが作用して、フック26を支点として、ベース部材20に引き抜き方向の回転モーメントM(
図14参照)が作用しても、弾性係合爪30を、回転モーメントMによる影響を受けにくくすることができる。その結果、取付孔6に対する弾性係合爪30のガタ付きを抑制して、取付孔6にベース部材20を安定して取付けることができる。
【0061】
なお、ベース部材20に弾性係合爪30を設けず、弾性係合片35だけをベース部材20の回動支持部29よりも、一端側に設けた場合には(
図14において、弾性係合爪30を削除したような形態を想定)、回動支持部29を介してベース部材20に引き抜き荷重が作用すると、フック26を支点として、ベース部材20に引き抜き方向の回転モーメントM´(
図14参照)が付与されるので、その回転モーメントM´が弾性係合片35に加わってガタ付きやすいという不都合が生じる。
【0062】
また、この実施形態においては、弾性係合爪30は、取付孔6の一端6a側とは反対側の他端6b側であって、その裏側周縁に係合するように、ベース部材20に設けられている。そのため、弾性係合爪30をフック26からより離れた位置に設けることができ、操作部材40の把持部42をベース部材20から離反する方向に回動させて、ベース部材20に引き抜き荷重Fが作用した際の、取付孔6に対する弾性係合爪30のガタ付きを、より効果的に抑制することができる。
【0063】
更に、
図5(a)や
図8、
図9に示すように、この実施形態のロック装置10は、ベース部材20の他端側には、取付孔6の他端6b側の周縁に対向する壁部27と、この壁部27よりも、ベース部材20の一端側に向けて凹んだ凹部31とが形成されており、弾性係合爪30が撓んだときには、弾性係合爪30が凹部31に受け入れられるように構成されている。
【0064】
上記のように、ベース部材20の他端側には、弾性係合爪30が弾性変形する際に受入れ可能とする、凹部31が設けられているので、弾性係合爪30が弾性変形する際に、その弾性変形が凹部31で受け入れられて、弾性係合爪30のたわみ代を確保しやすくなり、弾性係合爪30が壁部27の端面27bから突出することを抑制することができる。そのため、取付孔6の表側からベース部材20を挿入して取付ける際の、ベース部材20の前記取付軌跡K(
図9参照)上における、取付孔6の他端6bの内周と、ベース部材20の他端外周とのクリアランスをなるべく少なくすることができ、ベース部材20を取付孔6の表側から見た際の、見栄えを向上させることができる。
【0065】
なお、上記のような凹部31が存在しない場合、弾性係合爪30を弾性変形させるべく、弾性係合爪30をベース部材20外方へ出っ張るような形状としなければならず、それに伴って取付孔6の他端6bの内周を拡開させる必要があるので、取付孔6の他端内周とベース部材20の他端外周とのクリアランスが多くなり、見栄えが低下する。
【0066】
また、
図9や
図12に示すように、この実施形態においては、開閉体2は、操作部材40を収容する収容凹部5を有しており、この収容凹部5には、操作部材40の基端部41側に位置する内側面から収容凹部5内方に向けて張出した、張出し部5aが設けられており(
図10(a)参照)、この張出し部5aの張出し端面が、前記取付孔の内周縁をなしており、更に
図10(b)に示すように、操作部材40の、弾性係合爪30側に位置する基端部の端面41aは、張出し部5aの張出し端面よりも、取付孔6の外側に位置している。そのため、取付孔6内周とベース部材20外周とのクリアランスを、操作部材40の基端部の端面41aと、張出し部5aの張出し端面とによって覆って、見栄えをより向上させることができる。
【0067】
更に、この実施形態においては、操作部材40は作動レバー45を有していると共に、
図8や
図11に示すように、凹部31は、作動レバー45の両側にそれぞれ設けられており、ベース部材20は、各凹部31の、作動レバー45側に位置する一対の側壁部32,32と、これらの一対の側壁部32,32どうしを連結するバネ支持部33(
図6参照)とを有しており、バネ支持部33には、操作部材40の、弾性係合爪30側に位置する基端部を、ベース部材20から離反する方向に付勢する、第2付勢手段75が配置されている。
【0068】
すなわち、作動レバー45の両側に凹部31,31をそれぞれ設けると共に、操作部材40の基端部を、ベース部材20から離反する方向に付勢する第2付勢手段75が、
図12に示すように、一対の側壁部32,32どうしを連結するバネ支持部33によって支持されているので、操作部材40に第2付勢手段75による付勢力をバランス良く付与することができると共に、一対の側壁部32,32によって、バネ支持部33の剛性を高めることができる。
【0069】
図19には、本発明に係る開閉体のロック装置の、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0070】
図19に示すように、この実施形態の開閉体のロック装置10A(以下、「ロック装置10A」)は、ベース部材20Aの形状が、前記実施形態と異なっている。
【0071】
すなわち、この実施形態におけるベース部材20Aには、他端壁24の幅方向Yの両側部の底面側から所定深さで凹むと共に、壁部27の端面27bよりも、ベース部材20Aの一端側に向けて凹む、凹溝状をなした凹部31A,31Aが所定深さで形成されている。そして、この凹部31A,31Aに連通する、略コ字状をなしたスリット37を介して、弾性係合爪30A,30Aが弾性変形可能に設けられている。すなわち、この実施形態においても、凹部31Aを介して弾性係合爪30Aが設けられている。
【0072】
そして、これらの弾性係合爪30A,30Aは、取付孔6にベース部材20を取付けるべく、取付孔6の表側からベース部材20を挿入して押し込む際に、取付孔6の内周に押圧されると、凹部31A,31Aに受入れられるように弾性変形するようになっている。そのため、この実施形態においても、前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0073】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。