(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974631
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】燃料電池スタック組立体用の熱管理エンドプレート
(51)【国際特許分類】
H01M 8/2465 20160101AFI20211118BHJP
H01M 8/2483 20160101ALI20211118BHJP
H01M 8/2404 20160101ALI20211118BHJP
H01M 8/248 20160101ALI20211118BHJP
【FI】
H01M8/2465
H01M8/2483
H01M8/2404
H01M8/248
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-556871(P2020-556871)
(86)(22)【出願日】2019年4月16日
(65)【公表番号】特表2021-515375(P2021-515375A)
(43)【公表日】2021年6月17日
(86)【国際出願番号】GB2019051073
(87)【国際公開番号】WO2019202303
(87)【国際公開日】20191024
【審査請求日】2021年4月13日
(31)【優先権主張番号】1806344.6
(32)【優先日】2018年4月18日
(33)【優先権主張国】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504175659
【氏名又は名称】インテリジェント エナジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INTELLIGENT ENERGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(72)【発明者】
【氏名】ロングリー、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】コール、ジョナサン
【審査官】
小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−182818(JP,A)
【文献】
特開2010−262908(JP,A)
【文献】
特開2017−162673(JP,A)
【文献】
特開2011−198538(JP,A)
【文献】
特開2009−224195(JP,A)
【文献】
特開2012−038482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/2465
H01M 8/2483
H01M 8/2404
H01M 8/248
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタック組立体における熱管理のための負側エンドプレート(300)において、
上記負側エンドプレート(300)は、複数の個別の部品から形成され、
上記複数の個別の部品は、
上面(321)および底面(322)を有する中央構造要素(320)と、
上記上面(321)を覆う負側エンドプレートカバー(310)と、
上記底面(322)を覆う負側エンドプレートマニホールド(330)とを有し、
上記中央構造要素(320)がアルミニウム、パラアラミド合成繊維または炭素繊維複合材料の1つから形成されており、
上記負側エンドプレートカバー(310)、上記負側エンドプレートマニホールド(330)、または、その両方が、PC−ABSブレンド、PET、ガラス充填PET、PA6、ガラス充填PA6、PBT、PEI、または、それらの混合物から成るグループから選択される電気絶縁材料から形成されることを特徴とする負側エンドプレート(300)。
【請求項2】
上記負側エンドプレートカバー(310)および上記負側エンドプレートマニホールド(330)は、複数のスナップクリップを介して上記中央構造要素(320)の一部を通じて互いに解放可能に係合可能である請求項1に記載の負側エンドプレート。
【請求項3】
上記中央構造要素(320)は、上記上面(321)から上記底面(322)まで延びるように形成されたボイドを備えたハニカム構造で形成されている請求項1または2に記載の負側エンドプレート。
【請求項4】
燃料電池スタック組立体における熱管理のための正側エンドプレート(200)において、
上記正側エンドプレート(200)は、複数の個別の部品から形成され、
上記複数の個別の部品は、
上面(221)および底面(222)を有する中央構造要素(220)と、
上記上面(221)を覆う正側エンドプレートカバー(210)と、
上記底面(222)を覆う正側エンドプレートマニホールド(230)とを有し、
上記中央構造要素(220)がアルミニウム、パラアラミド合成繊維または炭素繊維複合材料の1つから形成されており、
上記正側エンドプレートカバー(210)、上記正側エンドプレートマニホールド(230)、またはその両方が、PC−ABSブレンド、PET、ガラス充填PET、PA6、ガラス充填PA6、PBT、PEI、または、それらの混合物から成るグループから選択される電気絶縁材料から形成されることを特徴とする正側エンドプレート(200)。
【請求項5】
上記正側エンドプレートカバー(210)および上記正側エンドプレートマニホールド(230)は、複数のスナップクリップを介して、上記中央構造要素(220)の一部を通じて互いに解放可能に係合可能である請求項4に記載の正側エンドプレート(200)。
【請求項6】
上記中央構造要素(220)は、上記上面(221)から上記底面(222)に延びるボイドが形成されたハニカム構造で形成されている請求項4または5に記載の正側エンドプレート(200)。
【発明の詳細な説明】
【0001】
この開示は、燃料電池スタック組立体のエンドプレートの分野にある。特に、この開示は、燃料電池スタック組立体に断熱を提供する際に使用するためのデバイスおよび方法に関する。
【0002】
従来の電気化学燃料電池は、燃料および酸化剤を電気エネルギーおよび反応生成物に変換する。典型的な燃料電池は、複数の層を有し、これは、膜電極組立体、すなわちMEAを形成するためにアノードとカソードの間に挟まれたイオン伝送膜を含む。
【0003】
膜層および電極層を挟むのは、流体燃料をアノードに運ぶためのアノード流体流れ場プレートと、酸化剤をカソードに運び、反応副生成物を除去するためのカソード流体流れ場プレートである。流体流れ場プレートは、従来、プレートの表面に形成された流体流路、例えば、多孔質電極の表面の溝またはチャネルなどを用いて製造されている。
【0004】
プロトン交換膜燃料電池の典型的な単一セルは、通常の動作条件下で、0.5〜1.0ボルトの出力電圧を供給する。多くのアプリケーションや電気機器は、効率的な動作のために高電圧を必要とする。これらの大きな電圧は、従来、複数の個々のセルを直列に接続して燃料電池スタックを形成することによって得られる。スタックの全体積と重量を減らすために、バイポーラプレート配置を利用して、1つのセルにアノード流体流れ場プレートを提供し、隣接セルにカソード流体流れ場プレートを提供する。プレートの両側に適切な流れ場が設けられており、一方の側で燃料(水素、または水素に富むガスなど)を運び、もう一方の側で酸化剤(空気など)を運ぶ。バイポーラプレートは、ガス不透過性と導電性の両方を備えているため、セル間に導電性の相互接続を提供しながら、反応ガスの効率的な分離を保証する。流体は、従来、連続する各プレートの整列した開口から形成された、スタックを高さ方向に下る共通のマニホールドを介して各流体流れ場プレートに送達される。単一の燃料電池の面積は、数平方センチメートルから数百平方センチメートルまでさまざまである。スタックは、バイポーラプレートを使用して直列に接続された数個のセルから数百個のセルで構成できる。燃料電池の完全なスタックの両端に1つずつある2つの集電板は、外部回路への接続を提供するために使用される。
【0005】
燃料電池スタックの組み立てには、いくつかの重要な考慮事項がある。まず、個々の層またはプレートを正しく配置して、ガスフローチャネルとマニホールドが正しく位置合わせされていることを確認する必要がある。次に、隣接するプレート間の接触圧力を使用して、マニホールド内のさまざまな要素とガスフローチャネルの間に気密シールを形成する。従来、気密シールは、プレートの所定の面の表面に配置された圧縮性ガスケットを含む。したがって、適切な気密シールを確保するには、スタック内のプレートの表面に直交するスタック内のすべてのプレートに適切な圧縮力を加えて、すべてのガスケットとシール面とが適切に圧縮されるようにする必要がある。第三に、隣接する層間の良好な電気的接続を確保するために、圧縮力が不可欠ですある。スタックの外側端部では、通常、適切な圧縮力を加えてスタックを組み立てられた状態に保つために、実質的に剛性のあるエンドプレートが配置される。
【0006】
燃料電池スタックの最適な性能を得るには、各燃料電池全体のMEAの圧縮を十分に高くして、オーム損失による接触抵抗の増加と効率の低下を回避する必要がある。MEAのピンホール化によるセル故障につながる可能性がある、MEAに及ぼされる剪断応力の形成を回避するために、各燃料電池の表面全体にわたって各MEAの均一な圧縮を提供することも望ましい。燃料電池スタック全体の圧縮の均一性は、スタックの電気的性能にとって重要である。これは、スタック全体の電気的変動によって制限される。スタックには、一対のエンドプレート間の数トンの圧縮力の下で数十または数百の燃料電池が含まれる可能性があります。製造および組み立てプロセス中にバラツキが導入されたり、各プレートの幅全体で横方向に、または各プレートの各流路の長さに沿って長さ方向に不均一なコンポーネントの厚さが発生したりしないようにすることが重要であり、これは、これらのバラツキが、数十または数百の繰り返される構成要素層を有する燃料電池スタック全体にわたって均一性を確保するうえで問題につながる可能性があるからである。
【0007】
さらに、燃料電池スタックの最適な性能のために、スタック内の燃料電池間の温度変動を最小限に抑える必要があり、運用環境および気候に対する広範囲の温度との互換性が商用アプリケーションに必要である。
【0008】
したがって、商用アプリケーションに必要な機能を提供できる、燃料電池スタック用の改良されたエンドプレートが必要である。この開示は、これらおよびその他の重要なニーズに向けられている。
【0009】
この開示は、燃料電池スタック組立体用のエンドプレートの側面を提供し、エンドプレートは、上面および下面を有する中央構造要素、上面を覆うエンドプレートカバー、および、下面を覆うエンドプレートマニホールドを有する。エンドプレートは、アルミニウムから形成された中央構造要素を具備して良い。エンドプレートは、パラアラミド合成繊維または炭素繊維複合材料から形成された中央構造要素を具備して良い。エンドプレートは、電気絶縁材料から形成されたエンドプレートカバー、エンドプレートマニホールド、またはその両方を具備して良い。電気絶縁材料は、PC−ABSブレンド、PET、ガラス充填PET、PA6、ガラス充填PA6、PBT、PEI、またはそれらの混合物である。エンドプレートカバーおよびエンドプレートマニホールドは、複数のスナップクリップを介して中央構造要素の一部を介して互いに解放可能に係合して良い。中央構造要素は、上面から下面に延びるボイドが形成されたリブアンドコアまたはハニカム構造で形成することができる。エンドプレートマニホールドは、第1の側縁から反対側の側縁までの空気流路を提供するためにリブ構造を備えることができる。いくつかの実装形態では、エンドプレートは、真っ直ぐな空気流チャネルとして形成された空気流チャネルを具備する正側エンドプレートマニホールドを有する正側エンドプレートであって良い。他の実装形態では、エンドプレートは、正弦波形状の空気流チャネルとして形成された空気流チャネルを具備する負側エンドプレートマニホールドを有する負側エンドプレートであって良い。
【0010】
この開示は、ここで記載される正側エンドプレート、ここで記載される負側エンドプレート、複数のカソードプレート、および、複数の燃料電池組立体を有し、カソードプレートおよび稔洋伝九組立体が当該カソードププレートおよび当該燃料電池組立体の交番パターンでスタックに配列される燃料電池スタック組立体の側面を提供する。正側エンドプレートおよび負側エンドプレートは、カソードプレートおよび燃料電池組立体からなるスタックのいずれかの端に設けることができる。スタックの最後のカソードプレートは、正側エンドプレートに隣接することができる。負側エンドプレートは、第1の燃料電池組立体に隣接することができる。燃料電池スタック組立体は、正側エンドプレートと負側プレートとの間で圧縮力を受けることができる。燃料電池スタック組立体は、空気流チャネルを備えた正側エンドプレートおよび負側エンドプレートを有することができる。正側エンドプレートの空気流チャネルは、第1の側縁から反対側の側縁まで真っ直ぐな壁を有する気流チャネルとして形成することができ、負側エンドプレートの気流チャネルは、第1の側縁から反対側の側縁へと延びる正弦波状の気流チャネルとして形成することができる。電流収集は、各エンドセルから、直接、または各エンドセルと隣接するエンドプレートの間に配置された集電板を介して行うことができる。
【0011】
一般的な説明および以下の詳細な説明は、例示的かつ説明的なものにすぎず、この開示を限定するものではなく、これは添付の特許請求の範囲で特定される。この開示の他の側面は、ここで提供される開示の詳細な説明を考慮して、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
この概要は、以下の詳細な説明とともに、添付の図面と併せて読むことによってさらに理解される。この開示を説明する目的で、この開示の例示的な実装が図面に示されるけれども、この開示は、開示された特定の方法、組成物およびデバイスに限定されない。図面において、同様の参照番号は、種々図面全体を通して対応する部品を示す。すべての参照および注釈は、参照して、ここに完全に記載されているように本明細書に組み込まれる。また、図面は必ずしも縮尺どおりに描かれていない。
【0013】
【
図1】この開示の燃料電池スタック組立体の構成要素の分解側面図の態様を示す。
【
図2】この開示の正側エンドプレートの構成要素の分解側面図の態様を示す。
【
図3】この開示の負側エンドプレートの構成要素の分解側面図の態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この開示は、この開示の一部を形成する以下の詳細な説明を、添付の図面および例と関連して参照することにより、より容易に理解することができる。この開示は限定されるものではないことを理解すべきである。この開示は、ここに記載され、かつ/また、示された特定のデバイス、方法、アプリケーション、条件またはパラメータに限定されず、また、ここで使用される用語は、特定の見本を例として説明する目的のためのものであり、権利化対象の開示を限定することを意図するものではない。また、添付の特許請求の範囲を含む明細書に使用されているように、単数形は、複数のものを含み、特定の数値に対する参照は、文脈がそうでないことを明確に指示しない限り、少なくとも特定の値を含む。本明細書で使用される用語「複数の」は、2つ以上を意味する。値の範囲が表される場合、他の見本は、1つの特定の値および/または他の特定の値を含む。同様に、値が先行詞「約」を用いて近似値として表現される場合、特定の値が他の見本を形成することが理解されるであろう。すべての範囲は排他的でなく、組み合わせ可能である。
【0015】
この開示の特定の特徴は、明確にするために、別個の見本との関連で本明細書に記載されており、単一の例示的な実装において組み合わせて提供されてもよいことを理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の例示的な実装に関連して説明される開示の様々な特徴は、別個にまたは任意のサブコンビネーションで提供されてもよい。さらに、範囲に記載された値を参照することは、その範囲内の各々値およびすべての値を含む。
【0016】
図1は、この開示の燃料電池スタック組立体の分解された組立体の概略側面図を示す。正側エンドプレート200および負側エンドプレート300は、燃料電池スタック組立体100のいずれかの端部に設けられる。組み立てられると、圧縮力が正側エンドプレート200と負側エンドプレート300との間に加えられ、内層を最適な電気的性能のために十分な力で一緒に圧縮する。内部層は、複数のカソードプレート150
1〜150
nおよび燃料電池組立体250
1〜250
nを含み、カソードプレートおよび燃料電池組立体の交互の層で提供される。カソードプレート150
nは、正側エンドプレート200に隣接し、負側エンドプレート300は、第1の燃料電池組立体250
1に隣接する。電流収集は、エンドセル250
1および250
nから直接、または集電板(示されている)から実現され、これら集電板は、各末端電池と、隣接するエンドプレート200、300との間に配置されている。集電板を使用すると、オーム損失を回避し、性能を改善することができる。
【0017】
従来のエンドプレートでは、上部と下部の燃料電池(1番目とn番目の燃料電池組立体250
1および250
nの内部の燃料電池)の適切な温度を維持するために、カソード空気の再循環なしに燃料電池スタック組立体を低い環境温度で操作できないことが観察されていた。上部と下部の燃料電池の温度の問題は、エンドプレートによって周囲の環境温度から提供される断熱材の欠如による過冷却または過熱に起因すると判断された。従来のエンドプレートは、適切な電気的絶縁を提供するために適切なポリマー化合物でオーバーモールドされた、鋳造または機械加工された金属材料から形成される。代替的には、従来のエンドプレートは、モールドされたポリマー強化ラミネートとして形成することができる。そのような既知のエンドプレートは、隣接する燃料電池から外向きに過剰な熱流束を提供する可能性がある。特に、上部燃料電池は、両側がカソードプレート150
nおよび150
n−1で囲まれているために過冷却を経験する可能性があり、カソードプレート150
n−1のみが、別の隣接する燃料電池組立体250
n−1からの加熱を経験する。カソードプレート150
nは、別の隣接する燃料電池によって加熱されず、代わりに正側エンドプレート200に熱的に接触するので、過冷却を提供することになる。したがって、従来の正側エンドプレートが燃料電池スタックで利用される場合、上部燃料電池は過冷却されやすい。逆に、下部燃料電池250
1は、1つのカソードプレートにのみ隣接し、負側エンドプレート300からの冷却効果がいくらか制約されるため、特定の動作環境で過熱する可能性がある。
【0018】
1つの側面において、この開示は、
図1に示されるように、燃料電池スタック組立体で使用するための正側エンドプレート200および負側エンドプレート300の改良された設計を提供する。実験を通じて、燃料電池組立体250
1および250
n全体で、オーバーモールドされた金属片ではなく、複数の構成要素から形成されたエンドプレートを利用することによって、より均一な温度プロファイルを達成できることが発見された。
【0019】
図2は、この開示の正側エンドプレート200の分解側面図の概略図の態様を示す。正側エンドプレート200は、上面221が正側エンドプレートカバー210によって覆われ、底面222が正側エンドプレートマニホールド230によって覆われる中央構造要素220から形成することができる。正側エンドプレートマニホールド230は、組み立てられた燃料電池スタック組立体のn番目のカソードプレート150
nに隣接している。中央構造要素220は、組み立てられた燃料電池スタックに対する全体的な圧縮力に耐える構造強度を提供するために、十分に剛性のある材料から形成されている。所定の実装形態において、構造要素220は、アルミニウムなどの軽量金属から形成することができる。他の実施形態において、強度/重量性能が燃料電池スタック組立体全体に所望の電力/質量密度を提供するのに十分であるという条件で、パラアラミド合成繊維または炭素繊維複合材料などの剛性材料を使用することができる。正側エンドプレートカバー210および正側エンドプレートマニホールド230は、プラスチックなどの電気絶縁材料から形成されている。所定の実装形態において、正側エンドプレートカバー210および正側エンドプレートマニホールド230は、複数のスナップクリップを介して中央構造要素220の一部を介して互いに解放可能に係合可能である。この係合は、所望の圧縮力を加える前に燃料電池スタック組立体構成要素が一緒に層状にされている間、正側エンドプレート200がそれ自体を一緒に保持できるように、組立処理を支援することができる。
【0020】
いくつかの実装形態において、正側エンドプレートカバー210および正側エンドプレートマニホールド230は、プラスチックまたはポリマー樹脂材料から形成される。適切な材料は、燃料電池スタック組立体内の動作温度に耐えることができ、水素ガスと互換性があるものであり、PC−ABSブレンド、PET、ガラス充填PET、PA6、ガラス充填PA6、PBT、PEI、またはそれらの混合物であって良い。所定の実装形態において、正側エンドプレートカバー210および正側エンドプレートマニホールド230の一方または両方は、DuPont USA Performance Polymers社から販売されているRYNITE(登録商標)を含む、ガラス充填PETから形成することができる。
【0021】
所定の実装形態において、構造要素220と正側エンドプレートカバー210との間の接触面積を減らし、構造要素220と正側エンドプレートマニホールド230との間の接触面積を減らすことによって、断熱が増加する。構造要素220内にリブアンドコアまたはハニカム構造を作成することによって上面221から底面222まで延びるボイドを形成して、構造要素220内のバルク材料をできるだけ多く除去することによって、接触面積を減らすことができる。構造要素220内にボイドを含ませると、構造要素220は、燃料セルスタック組立体および最上部の燃料セル組立体250
nの外部環境からの熱流束伝達経路を低減する。
【0022】
正側エンドプレートマニホールド230は、流体フローチャネル、ならびに正側エンドプレートマニホールド230と構造要素220との間の減少した接触面積を提供するためにリブ構造を備えることができる。空気流は、正側エンドプレートマニホールド230の一方の側縁231から対向する側縁232へ供給される。いくつかの実装形態において、熱除去を低減し、最上部の燃料電池組立体250
nの過冷却を回避するために、真っ直ぐな壁の空気流チャネルを提供して、正側エンドプレートマニホールド230および隣接するカソードプレート150
nを通過し、過度の熱除去を回避する、最速の気流を実現することができる。
【0023】
図3は、この開示の負側エンドプレート300の分解側面図の概略図の態様を示す。負側エンドプレート300は、上面
321が負側エンドプレートカバー310によって覆われ、底面
322が負側エンドプレートマニホールド330によって覆われる中央構造要素320から形成することができる。負側エンドプレートマニホールド330は、組み立てられた燃料電池スタック組立体の第1の燃料電池組立体250
1に隣接している。中央構造要素320は、組み立てられた燃料電池スタックに対する全体的な圧縮力に耐える構造強度を提供するために、十分に剛性のある材料から形成されている。所定の実装形態において、構造要素320は、アルミニウムなどの軽量金属から形成することができる。他の実装形態において、強度/重量性能が燃料電池スタック組立体全体に所望の電力/質量密度を提供するのに十分であるという条件で、パラアラミド合成繊維または炭素繊維複合材料などの剛性材料を使用することができる。負側エンドプレートカバー310および負側エンドプレートマニホールド330は、プラスチックなどの電気絶縁材料から形成されている。所定の実装形態において、負側エンドプレートカバー310および負側エンドプレートマニホールド330は、複数のスナップクリップを介して中央構造要素320の一部を介して互いに解放可能に係合可能である。この係合は、所望の圧縮力を加える前に燃料電池スタック組立体構成要素が一緒に層状にされている間、負側エンドプレート300がそれ自体を一緒に保持できるように、組み立て処理を支援することができる。
【0024】
いくつかの実装形態において、負側エンドプレートカバー310および負側エンドプレートマニホールド330は、プラスチックまたはポリマー樹脂材料から形成される。適切な材料は、燃料電池スタック組立体内の動作温度に耐えることができ、水素ガスと互換性があり、PC−ABSブレンド、PET、ガラス充填PET、PA6、ガラス充填PA6、PBT、PEI、またはそれらの混合物にすることができる。所定の実装形態において、負側エンドプレートカバー310および負側エンドプレートマニホールド330の一方または両方は、DuPont USA Performance Polymers社から販売されているRYNITE(登録商標)を含む、ガラス充填PETから形成することができる。
【0025】
所定の実装形態において、構造要素320と負側エンドプレートカバー310との間の接触面積を減らし、構造要素320と負側エンドプレートマニホールド330との間の接触面積を減らすことによって、断熱を高める。構造要素320内にリブアンドコアまたはハニカム構造を作成することによって構造要素320内のバルク材料をできるだけ多く除去することによって、上面
321から底面
322まで延びるボイドが形成される。構造要素320は、燃料電池スタック組立体および第1の燃料セル組立体250
1の外部環境からの熱流束伝達経路を低減する。
【0026】
負側エンドプレートマニホールド330は、流体フローチャネル、ならびに負側エンドプレートマニホールド330と構造要素320との間の減少した接触面積を提供するためにリブ構造を備えることができる。空気流は、負側エンドプレートマニホールド330の一方の側縁331から対向する側縁332に供給される。いくつかの実装形態において、熱除去を増加させ、第1の燃料電池組立体250
1の過熱を回避するために、正弦波形状の気流チャネルを提供して、負側エンドプレートマニホールド330および隣接する燃料電池組立体250
1を通過する気流を遅くして、過度の熱の蓄積を回避できる。適切な正弦波状の気流チャネルの詳細な説明は、この出願と同じ日に提出された「燃料電池用の冷却プレート」と題する係属中の英国特許出願に提供され、その内容は参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0027】
いくつかの側面において、この開示は、異なる熱伝達特性を有するために異なる構造的特徴を有する正側エンドプレートおよび負側エンドプレートを有する非対称燃料電池スタック組立体を提供する。上述のように、負側エンドプレートは、隣接するコンポーネントからの熱除去が少ないように設計された空気流チャネルを有する正側エンドプレートマニホールドと比較して、隣接するコンポーネントからのより大きな熱除去のために設計された空気流チャネルを具備する負側エンドプレートマニホールドを利用することができる。このような実装は、動作中の燃料電池スタック組立体からの熱除去と周囲の環境条件からの断熱の最適なバランスを提供することがわかった。したがって、潜在的な動作温度ウィンドウを大きくすることができる。
[例1]
【0028】
図3に示されるような、この開示の負側エンドプレート300は、3次元FEA熱分析を行うためにモデル化さるた、負側エンドプレート300は、アルミニウムの中央構造要素320からモデル化され、これは、負側エンドプレートカバー310によって上面
321が覆われ、負側エンドプレートマニホールド230によって底面
322が覆われる。プレートカバー310および負側エンドプレートマニホールド230は、ガラス充填PA6ナイロンとしてモデル化された。鋳造から形成され、次に機械加工された、ガラス充填PA6ナイロンでオーバーモールドされた従来のエンドプレートが、比較のために3DFEA熱分析用にモデル化された。熱損失は25.27Wから17.6Wに減少した。
[例2]
【0029】
図3に示した、この開示の正側エンドプレート200は、3次元FEA熱分析用にモデル化された。正側エンドプレート200は、アルミニウムの中央構造要素220からモデル化され、これは、正側エンドプレートカバー210によって上面221が覆われ、正側エンドプレートマニホールド230によって底面222が覆われる。プレートカバー210および正側エンドプレートマニホールド230は、ガラス充填PA6ナイロンとしてモデル化された。鋳造から形成され、次に機械加工された、ガラス充填PA6ナイロンでオーバーモールドされた従来のエンドプレートが、比較のために3次元FEA熱分析用にモデル化された。熱損失は28.78Wから20.85Wに減少した。
【0030】
当業者は、ここに開示された装置およびシステムにおける構成要素の製造に様々な材料を使用することができることを理解するであろう。任意の適切な構造および/または材料を、ここに本明細書に記載された様々な機構に使用することができ、当業者は、ここで開示されたシステムの意図された使用、それらが使用される意図された分野、およびそれらが使用されることが意図される機器および/または付属品を含む、様々な考察に基づいて、適切な構造および材料を選択することができる。従来のポリマー、金属−ポリマー複合体、セラミックス、および金属材料は、様々な構成要素に使用するのに適している。ここに記載された機構および要素に使用するのに適していると決定される、以下に発見および/または開発された材料も、許容可能であると見なされるであろう。
【0031】
ここでは、分子量または化学式のような化学的性質のような物理的性質のための範囲が使用される場合、特定の標本のための範囲のすべての組み合わせ、およびサブコンビネーションが含まれることが意図される。
【0032】
この文献に引用または記載されている各特許、特許出願および刊行物の開示は、その全体がここに参照して組み入れられる。
【0033】
当業者は、この開示の例示に多数の変更および修正を行うことができ、そのような変更および修正が開示の精神から逸脱することなくなされ得ることを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、添付の特許請求の範囲に定義されたこの開示の真の範囲内に入るようなすべての均等は変形を包含することが意図される。