(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弾性材料は、エチレン―酢酸ビニル共重合体、エチレンー(メタ)アクリル酸共重合体、エチレンー(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレンー(メタ)アクリル酸エチル共重合体及びエチレンーメタクリル酸ーアクリル酸三元共重合体からなる群から選ばれる一種以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の堤防用保護シート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者は、堤防の法面に設置した保護シート上の覆土中に植物を生育した場合、大雨等により河川の越水が発生し、堤防の崩壊が防げない状況において、堤防の崩壊を遅延させることについて鋭意検討した。その結果、保護シートを、密度が0.16g/cm
3以上の繊維シートからなる防草シートと、防草シートの一方の表面に配置された弾性材料のフィラメントで形成されている網状体と、防草シートの他方の表面に配置された密度が0.15g/cm
3以下の繊維シートからなる被覆シートを含む構成にすることで、堤防の崩壊を遅延させることができることを見出し、本発明に至った。具体的には、本発明の堤防用保護シートを網状体が堤防の法面に接するように配置して使用すると、通常の時は、弾性材料のフィラメントで形成されている網状体が法面の凹凸に追従するとともに、被覆シート上の覆土により網状体の形状が潰れるため、堤防の法面との空隙がほとんどなくなる。また、密度が0.15g/cm
3以下の被覆シートにより覆土を安定に保持することができ、密度が0.16g/cm
3以上の防草シートにより覆土中の植物の根が堤防の法面へ侵入することが防げる。そして、大雨等により河川の越水が発生して、堤防用保護シートの被覆シート上の覆土と植物が流される際、堤防用保護シートが植物とともに流されることが起こらない。加えて、網状体の形状が潰れて、堤防用保護シートと堤防の法面との空隙が少なくなっていることから、越水時の水や水に流された土砂が堤防用保護シートと堤防との間を流れにくくなり、また、網状体の形状が潰れて堤防の法面との接触点が多くなることで、堤防の法面との摩擦力が大きくなり、保護シートが堤防から滑落しにくくなり、堤防への水の侵入を抑え、堤防の崩壊を遅延することができる。
【0010】
<防草シート>
防草シートは、密度が0.16g/cm
3以上の繊維シートである。覆土中の植物の根が堤防の法面へ侵入することを防止しやすい観点から、防草シートは、密度が0.20g/cm
3以上であることが好ましく、0.25g/cm
3以上であることがより好ましい。防草シートの密度の上限は、特に限定されないが、降雨後に堤防からの水分の蒸発を確保する観点から、0.50g/cm
3以下であることが好ましく、0.40g/cm
3以下であることがより好ましい。
【0011】
防草シートは、繊維で構成されたシート状のものであれば特に限定されず、例えば、編物、織物、不織布等を用いることができる。コストの観点から、不織布を用いることが好ましい。不織布は、短繊維不織布であってもよく、長繊維不織布であってもよい。例えば、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等の長繊維不織布であってもよく、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド不織布等の短繊維不織布であってもよい。覆土中の植物の根が堤防の法面へ侵入することを防止しやすい観点から、長繊維不織布であることが好ましく、スパンボンド不織布やメルトブローン不織布等の長繊維不織布であることがより好ましい。
【0012】
防草シートを構成する繊維は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂等の合成樹脂で構成されている繊維が挙げられる。中でも、防草シートを構成する繊維は、耐アルカリ性や耐候性に優れる観点からポリエステル樹脂やポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。
【0013】
防草シートを構成する繊維は、密度が高い繊維シートが得られやすい観点から、単繊維繊度が0.5〜10dtexであることが好ましく、より好ましくは1〜9dtexであり、さらに好ましくは1.5〜8.5dtexである。
【0014】
防草シートは、目付が80〜250g/m
2であることが好ましい。防草シートの目付が80g/m
2以上であると、引張強度が高く、破断しにくい。また、防草シートの目付が250g/m
2以下であると、重くなりすぎず、施工が容易である。より好ましくは、防草シートの目付は100〜230g/m
2である。
【0015】
防草シートは、厚みが0.1〜20mmであることが好ましい。防草シートの厚みが0.1mm以上であると、覆土中の植物の根が堤防の法面へ侵入することを防止しやすい。防草シートの厚みが20mm以下であると、防草シートが厚み方向に破断又は剥離しにくい。より好ましくは防草シートの厚みは0.3〜18mmであり、さらに好ましくは0.5〜15mmである。本発明において、防草シート、被覆シート及び堤防用保護シートの厚みは、JIS L 1908に準じて、2kPaの荷重を加えた状態で測定する。
【0016】
防草シートは、1種の繊維で構成されていてもよく、2種以上の繊維で構成されていてもよい。また、防草シートは、1層のウェブからなる単層不織布であってもよく、2層以上のウェブを含む積層不織布であってもよい。さらに、防草シートは、単一成分の樹脂からなる繊維で構成されていてもよく、2以上の樹脂を用いた複合繊維で構成されていてもよい。
【0017】
防草シートは、降雨後に堤防から水分が蒸発しやすい観点から、通気度が3cm
3/cm
2・s以上であることが好ましく、より好ましくは4cm
3/cm
2・s以上であり、さらに好ましくは5cm
3/cm
2・s以上である。防草シートの通気度の上限は、特に限定されないが、防草シート中に土砂が侵入するのを防ぐ観点から、50cm
3/cm
2・s以下であることが好ましく、より好ましくは30cm
3/cm
2・s以下であり、さらに好ましくは20cm
3/cm
2・s以下である。
【0018】
<被覆シート>
被覆シートは、密度が0.15g/cm
3以下の繊維シートである。越水時以外の通常の状況において、覆土を安定に保持しやすい観点から、密度が0.14g/cm
3以下であることが好ましく、0.13g/cm
3以下であることがより好ましい。被覆シートの密度の下限は、特に限定されないが、被覆シート中に土砂が大量に侵入するのを防ぐ観点から、0.05g/cm
3以上であることが好ましく、0.06g/cm
3以上であることがより好ましい。
【0019】
被覆シートは、繊維で構成されたシート状のものであれば特に限定されず、例えば、編物、織物、不織布等を用いることができる。コストの観点から、不織布を用いることが好ましい。不織布は、短繊維不織布であってもよく、長繊維不織布であってもよい。例えば、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等の長繊維不織布であってもよく、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド不織布等の短繊維不織布であってもよい。越水時以外の通常の状況において、覆土を安定に保持しやすい観点から、被覆シートは、短繊維不織布であることが好ましく、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布等の短繊維不織布であることがより好ましい。
【0020】
被覆シートを構成する繊維は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂等の合成樹脂で構成されている繊維が挙げられる。中でも、被覆シートを構成する繊維は、耐アルカリ性や耐候性に優れる観点からポリエステル樹脂やポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。
【0021】
被覆シートを構成する繊維は、密度が低い繊維シートが得られやすい観点から、単繊維繊度が3〜30dtexであることが好ましく、より好ましくは4〜29dtexであり、さらに好ましくは5〜28dtexである。
【0022】
被覆シートは、目付が100〜600g/m
2であることが好ましい。被覆シートの目付が100g/m
2以上であると、引張強度が高く、破断しにくい。また、被覆シートの目付が600g/m
2以下であると、重くなりすぎず、施工が容易である。より好ましくは、被覆シートの目付は150〜550g/m
2である。
【0023】
被覆シートは、厚みが0.5〜20mmであることが好ましい。被覆シートの厚みが0.5mm以上であると、越水時以外の通常の状況において、覆土を安定に保持しやすい。被覆シートの厚みが20mm以下であると、被覆シートが厚み方向に破断又は剥離しにくい。より好ましくは被覆シートの厚みは1.0〜18mmであり、さらに好ましくは1.5〜15mmである。
【0024】
被覆シートは、1種の繊維で構成されていてもよく、2種以上の繊維で構成されていてもよい。また、被覆シートは、1層のウェブからなる単層不織布であってもよく、2層以上のウェブを含む積層不織布であってもよい。さらに、被覆シートは、単一成分の樹脂からなる繊維で構成されていてもよく、2以上の樹脂を用いた複合繊維で構成されていてもよい。
【0025】
被覆シートは、降雨後に堤防から水分が蒸発しやすい観点から、通気度が3cm
3/cm
2・s以上であることが好ましく、より好ましくは4cm
3/cm
2・sであり、さらに好ましくは5cm
3/cm
2・s以上である。被覆シートの通気度の上限は、特に限定されないが、被覆シート中に土砂が大量に侵入するのを防ぐ観点から、300cm
3/cm
2・s以下であることが好ましく、より好ましくは290cm
3/cm
2・s以下であり、さらに好ましくは280cm
3/cm
2・s以下である。また、降雨後に堤防から水分が蒸発しやすく、覆土中の土砂が網状体に侵入するのを防ぐ観点から、被覆シートと防草シートの積層体は、通気度が3〜50cm
3/cm
2・sであることが好ましく、より好ましくは7〜30cm
3/cm
2・sであり、さらに好ましくは10〜20cm
3/cm
2・sである。
【0026】
被覆シートは、防草シートが配置されている側の反対側の表面の静摩擦係数(静止摩擦係数とも称される。)が、越水時以外の通常の状況において、覆土を安定に保持しやすい観点から、0.70以上であることが好ましく、0.75以上であることがより好ましい。被覆シートの静摩擦係数の上限は、特に限定されないが、1.0以下であることが好ましく、0.90以下であることがより好ましい。
【0027】
<網状体>
網状体は弾性材料のフィラメントで形成されている。弾性材料は形状変形が容易なことから、堤防の凹凸を有する法面に追従しやすい。弾性材料としては、特に限定されず、例えば、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、ゴム等を用いることができる。堤防用保護シートを作製しやすい観点から、熱可塑性エラストマーであることが好ましい。熱可塑性エラストマーは、特に限定されず、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0028】
弾性材料としては、堤防用保護シートの生産性及びコストの観点から、エチレン―酢酸ビニル共重合体(以下において、「EVA」とも記す。)、エチレンー(メタ)アクリル酸共重合体、エチレンー(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレンー(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレンーメタクリル酸ーアクリル酸三元共重合体等を用いてもよい。これらの共重合体は、フィラメントの繊維径を調整しやすい観点から、JIS K 6924−1に準じて測定したメルトマスフローレイト(MFR)が1〜60g/10分であることが好ましく、より好ましくは、20〜40g/10分である。本発明において、(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸とアクリル酸の両方を意味する。
【0029】
網状体は、複数本の弾性材料のフィラメントが水平方向及び/又は厚さ方向に不規則に交差してなる。弾性材料のフィラメントの繊維径は、1.5mm以下であることが好ましく、0.1〜1.2mmであることがより好ましい。また、連続フィラメントの繊維径が1.5mm以下であると、フィラメント同士の接着交点が大きくなりすぎることがなく、網状体が適度な空隙を形成する。フィラメントの繊維径が0.1mm以上であると、フィラメントが破断しにくくなる。なお、フィラメントの繊維径は、任意の100箇所におけるフィラメントの直径を測定し、その平均値をフィラメントの繊維径とする。
【0030】
弾性材料のフィラメントの断面形状は、特に限定されず、円形、楕円形、三角形、四角形、多角形、Y字型、十字型等のいずれの形状であってもよい。また、フィラメントの断面形状は中空形状でもよい。フィラメント断面が円形状以外である場合、フィラメントの繊維径は、フィラメント断面積を測定し、この断面積と同じ面積の円に換算したときの円直径とする。
【0031】
網状体は、厚みが0.5〜20mmであることが好ましい。網状体の厚みが0.5mm以上であると、適度な空隙を形成して凹凸を有する法面に追従しやすくなる。また、網状体の厚みが20mm以下であると防草シートと網状体とが剥離しにくい。かかる効果をより顕著に得る観点から、網状体の厚みは0.6〜15mmであることが好ましく、より好ましくは0.8〜12mmである。網状体の厚みは、網状体を2枚の厚さ3mmのアクリル板で挟み込み、JIS L 1908に準じて、2kPaの荷重を加えた状態で、アクリル板間の距離を測定し網状体の厚みとする。
【0032】
網状体は、目付が100〜1000g/m
2であることが好ましい。目付が100g/m
2以上であると、堤防用保護シート上の覆土の重みにより網状体が潰れた際に、堤防の法面と堤防用保護シートの空隙が小さくなりやすく、水や土砂が流れにくくなる。また、目付が1000g/m
2以下であると、重くなりすぎず、施工が容易となる。網状体の目付は150〜900g/m
2であることがより好ましく、150〜700g/m
2であることがさらに好ましい。
【0033】
網状体は、例えば、網状体を構成する弾性材料を加熱溶融し、これを紡糸金型(紡糸口金とも称される。)からランダムに周動させながら押し出して、不規則に交差するフィラメントを金型又は捕集板上に捕集することで作製することができる。
【0034】
被覆シート、防草シート及び網状体は、接着剤を介して一体化されていてもよく、被覆シート、防草シート又は網状体を構成する成分で熱接着されていてもよい。また、被覆シートと防草シートを接着剤で一体化した後、該積層体を網状体に網状体を構成する成分で熱接着してもよい。接着剤としては、特に限定されず、例えば、アクリル系接着剤等を用いることができる。
【0035】
堤防用保護シートは、施工時の取扱い性の観点から、厚みが1.5〜30mmであることが好ましく、より好ましくは2〜25mmであり、さらに好ましくは3〜20mmである。
【0036】
堤防用保護シートは、耐久性に優れる観点から、引張強度が500N/5cm以上であることが好ましく、より好ましくは550N/5cm以上であり、さらに好ましくは600N/5cm以上である。堤防用保護シートの引張強度の上限は特に限定されないが、施工性の観点から、1000N/5cm以下であることが好ましい。
【0037】
堤防用保護シートは、降雨後に堤防から水分が蒸発しやすい観点から、通気度が3〜50cm
3/cm
2・sであることが好ましく、より好ましくは5〜40cm
3/cm
2・sであり、さらに好ましくは7〜25cm
3/cm
2・sである。
【0038】
堤防用保護シートにおいて、堤防の法面が斜面の場合の安定性を高める観点から、網状体側の表面の静摩擦係数は、0.4以上であることが好ましく、0.45以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましい。
【0039】
以下、図面に基づいて、本発明の堤防用保護シートを説明する。
図1Aは本発明の一例の堤防用保護シートの模式的表面図であり、
図1Bは同I−I方向の模式的断面図である。
図1A−Bに示されているように、該堤防用保護シート10は、防草シート1と、防草シート1の一方の表面に配置されている被覆シート2と、防草シート1の他方の表面に配置されている網状体3を有する。網状体3は、複数本の弾性材料のフィラメントが水平方向及び厚さ方向に不規則に交差してなる3次元の形状の網状体であり、空隙を有している。網状体3は、空隙を有し、弾性材料のフィラメントで形成されていることから、堤防用保護シートの施工時には堤防の法面の凹凸に追従しやすい。そして、施工後に被覆シート上の覆土の重みにより網状体の形状が潰れ、堤防の法面との空隙がほとんどなくなることから、大雨等により越水した場合、水や土砂が堤防と網状体の間を流れにくくなる。また、網状体の形状が潰れて堤防の法面との接触点が多くなることで、堤防の法面との摩擦力が大きくなり、保護シートが堤防から滑落しにくくなり、堤防への水の浸入が抑えられる。さらに、防草シート1によって、覆土中の植物の根が堤防の法面へ侵入することが防止されるため、大雨等により越水が発生した場合、堤防用保護シートが植物とともに流されることが起こらず、堤防の崩壊が遅延される。
【0040】
図2Aは本発明の他の一例の堤防用保護シートの模式的表面図であり、
図2Bは同II−II方向の模式的断面図である。
図2A−Bに示されているように、該堤防用保護シート20は、防草シート11と、防草シート11の一方の表面に配置されている被覆シート12と、防草シート11の他方の表面に配置されている網状体13を有する。網状体13は、複数本の弾性材料のフィラメントが水平方向不規則に交差してなる2次元の形状の網状体であり、空隙を有している。網状体13は、空隙を有し、弾性材料のフィラメントで形成されていることから、堤防用保護シートの施工時には堤防の法面の凹凸に追従しやすい。そして、施工後に被覆シート上の覆土の重みにより網状体の形状が潰れ、堤防の法面との空隙がほとんどなくなることから、大雨等により越水した場合、水や土砂が堤防と網状体の間を流れにくくなる。また、網状体の形状が潰れて堤防の法面との接触点が多くなることで、堤防の法面との摩擦力が大きくなり、保護シートが堤防から滑落しにくくなり、堤防への水の浸入が抑えられる。さらに、防草シート11によって、覆土中の植物の根が堤防の法面へ侵入することが防止されるため、大雨等により越水が発生した場合、堤防用保護シートが植物とともに流されることが起こらず、堤防の崩壊が遅延される。網状体3は、網状体13より厚みが大きく、施工時の堤防の法面の凹凸により追従しやすい。
【0041】
堤防用保護シートは、例えば、下記のように作製することができる。
(1)防草シートと被覆シートを接着剤で一体化して積層体を得る。
(2)熱可塑性エラストマーやEVA等の弾性材料を加熱して溶融し、これを紡糸金型からランダムに周動させながら押し出して、複数本の不規則に交差するフィラメントを金型又は捕集板上に捕集して、網状体を得る。
(3)網状体を構成するフィラメントが固化する前に、網状体の一方の表面に防草シートの方が網状体に接するように前記(1)で得られた積層体を重ねて、金属ロールやゴムロール等で加圧することにより、網状体を構成する成分で積層体を網状体に接着させて、防草シート、被覆シート及び網状体が一体化された堤防用保護シートを得る。
【0042】
本発明の堤防用保護シートは、大雨等により越水時に堤防が崩壊するのを遅延することができ、コンクリートブロックを設置することができない河川堤防の保護シートとして好適に用いることができる。
図3は本発明の一例の堤防用保護シートを堤防の法面に設置した状態を説明する模式的断面図である。河川200に設置された堤防300に堤防用保護シート10を設置する際、網状体3が堤防300の法面に接するように設置する。網状体3は、空隙を有し、弾性材料のフィラメントで形成されていることから、堤防300の法面の凹凸に追従しやすい。その後、堤防用保護シート10は土400で覆われる。覆土400は被覆シート2の上に配置されることになる。覆土400により網状体3の形状が潰れ、堤防300の法面との空隙がほとんどなくなることから、大雨等により越水した場合、水や土砂が堤防300と網状体3の間を流れにくくなる。また、網状体3の形状が潰れて堤防300の法面との接触点が多くなることで、堤防300の法面との摩擦力が大きくなり、堤防用保護シート10が堤防から滑落しにくくなり、堤防への水の浸入が抑えられる。さらに、防草シート1によって、覆土400中の植物の根が堤防300の法面へ侵入することが防止される。
【実施例】
【0043】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0044】
合成樹脂として、以下を用意した。
(1)EVA1
エチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名:ウルトラセン750、東ソー株式会社製、メルトマスフローレイト:30g/10分(JIS K 6924−1による))
(2)EVA2
エチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名:ウルトラセン710、東ソー株式会社製、メルトマスフローレイト:18g/10分(JIS K 6924−1による))
(3)スチレン(E)
水素添加スチレン−ブタジエンを使用したスチレン系熱可塑性エラストマー(商品名:ダイナロンSEBC、JSR株式会社製)
(4)PP(E)
プロピレン系熱可塑性エラストマー(商品名:タフマーPN20300、三井化学株式会社製)
(5)LLDPE
直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:431GD、宇部丸善ポリエチレン株式会社製)
【0045】
繊維シートとして、以下を用意した。
(1)被覆シート用
ポリエチレンテレフタレート繊維(繊度24.3dtex:50質量%、繊度8.8dtex:50質量%)からなるニードルパンチ不織布(目付:200g/m
2、厚み:1.77mm、密度:0.113g/cm
3、通気度:220cm
3/cm
2・s)
(2)防草シート用
ポリエチレンテレフタレート繊維(繊度2.7dtex)からなるスパンボンド不織布(目付:180g/m
2、厚み:0.58mm、密度:0.310g/cm
3、通気度:14.2cm
3/cm
2・s)
【0046】
(実施例1)
被覆シート用繊維シートと、防草シート用繊維シートを、アクリル系接着剤により積層一体化して、厚みが2.4mmの積層シートを得た。得られた積層シート(2層シート)の通気度は13.1cm
3/cm
2・sであった。また、得られた積層シートの被覆シート側の静摩擦係数は、0.76であった。通気度及び静摩擦係数は、後述のとおりに測定した。
【0047】
EVA2を加熱溶融し、孔径0.6mmの複数の紡糸ノズルが列設された紡糸口金から押出して紡出し、連続フィラメントを紡糸口金の下方に設けられた高さ5mmの線状凸部を有する金型上に垂らしながら、金型を紡出速度より遅い速度で移動させて網状体を得た。
【0048】
次いで、網状体を構成する連続フィラメントが完全に固化する前に、網状体の上部から積層シートを防草シートが網状体と接するように押し当て、金属ロール(以下において、押圧ロールとも記す。)で加圧して、積層シートと網状体とを連続フィラメントによって一体化して、実施例1の堤防用保護シートを得た。
【0049】
(比較例1)
EVA2をLLDPEに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の堤防用保護シートを得た。
【0050】
(実施例2)
EVA2をEVA1に変更し、網状体の目付を400g/m
2に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の堤防用保護シートを得た。
【0051】
(実施例3)
網状体の目付を600g/m
2に変更した以外は、実施例2と同様にして、実施例3の堤防用保護シートを得た。
【0052】
(実施例4)
網状体の目付を400g/m
2に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の堤防用保護シートを得た。
【0053】
(実施例5)
EVA2をスチレン(E)に変更し、紡糸ノズルの孔径を1.0mmに変更し、網状体の目付を400g/m
2に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の堤防用保護シートを得た。
【0054】
(実施例6)
EVA2をPP(E)に変更し、紡糸ノズルの孔径を1.0mmに変更し、網状体の目付を400g/m
2に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例6の堤防用保護シートを得た。
【0055】
(比較例2)
網状体の目付を400g/m
2に変更した以外は、比較例1と同様にして、比較例2の堤防用保護シートを得た。
【0056】
(実施例7)
金型における線状凸部の高さを10mmに変更し、EVA2をEVA1に変更し、網状体の目付を400g/m
2に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例7の堤防用保護シートを得た。
【0057】
(実施例8)
網状体の目付を600g/m
2に変更した以外は、実施例7と同様にして、実施例8の堤防用保護シートを得た。
【0058】
(実施例9)
金型について線状凸部の高さを10mmに変更し、網状体の目付を400g/m
2に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例9の堤防用保護シートを得た。
【0059】
(比較例3)
金型について線状凸部の高さを10mmに変更し、網状体の目付を400g/m
2に変更した以外は、比較例1と同様にして、比較例3の堤防用保護シートを得た。
【0060】
実施例1〜9、比較例1〜3において、繊維シート、2層シート、網状体及び堤防用保護シートの物性を下記のように測定した。その結果を下記表1に示した。
【0061】
(目付及び厚み)
JIS L 1908に準じて測定した。なお、厚みは2kPaの圧力とした。
【0062】
(密度)
目付及び厚みの値に基づいて算出した。
【0063】
(引張強度)
JIS L 1908に準じ、定速伸長形引張試験機を用いて、試験片の幅を5cm、つかみ間隔を20cmとして、引張抵抗力(荷重)の最大値を引張強度とした。
【0064】
(通気度)
JIS L 1913のフラジール形法に準じて測定した。
【0065】
(静摩擦係数)
締め固めた砂質土上に10cm×10cmのサンプルを載せ、サンプルに5kg/100cm
2の荷重(垂直抗力)をかけ、定速伸長形引張試験機を用いて、サンプルの移動速度を100mm/minとして、サンプルが移動する際の引張抵抗力(荷重)を測定し、最大静止摩擦力とした。垂直抗力と最大静止摩擦力より、静止摩擦係数を算出した。なお、堤防用保護シートの場合は、網状体側が締め固めた砂質土に接するように配置し、2層シートの場合は、被覆シート側が締め固めた砂質土に接するように配置した。
【0066】
【表1】
【0067】
堤防の法面に網状体が接するように配置し、被覆シートの上に覆土を行った場合、実施例の堤防用保護シートは、比較例の堤防用保護シートと比べて、網状体の形状が潰れやすく、法面の土との静摩擦係数が大きくなり、水が流れても堤防用保護シートは流されにくいものであった。また、堤防用保護シートと法面との間を水が流れにくく、より長い時間、法面の形状を維持していた。