(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
回路遮断機構によって配管の中に冷媒が閉じ込められている場合、何らかの外的要因によって急激に冷媒回路が加熱されると、冷媒の膨張によって配管の破裂が引き起こされるおそれがある。このような冷凍装置の破損は、直接的にユーザの負傷をもたらす原因となりうるだけでなく、最初の漏洩箇所だけでなく破損箇所の修理も必要になるので、ユーザに不便を強いる。
【0004】
本発明の課題は、冷凍装置の破損を抑制し、それによってユーザに安全と便宜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る冷凍装置は、利用ユニットを含む冷媒回路を有し、冷媒回路で冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う。利用ユニットは、熱交換器と、熱交換器に接続された第1冷媒配管および第2冷媒配管と、第1冷媒配管および第2冷媒配管にそれぞれ設けられる第1遮断弁および第2遮断弁と、第1冷媒配管または第2冷媒配管に設けられる冷媒開放部と、を有する。冷媒開放部は、第1遮断弁または第2遮断弁の1つと熱交換器の間に設けられる。
【0006】
この構成によれば、第1遮断弁および第2遮断弁によって閉じ込められた冷媒を、冷媒開放部を介して冷媒配管の外部へ開放することができる。したがって、冷媒回路内に閉じ込められた冷媒の圧力が大きくなった場合に、冷媒配管の破裂などの冷凍装置の破損を抑制できる。
【0007】
本発明の第2観点に係る冷凍装置は、第1観点に係る冷凍装置において、冷媒開放部は、冷媒の圧力が所定の閾値より大きいときに第1冷媒配管または第2冷媒配管の内部と外部を連通させる。
【0008】
この構成によれば、冷媒の圧力が閾値より大きいときに、冷媒開放部において第1冷媒配管または第2冷媒配管の内外が連通し、冷媒の開放経路が形成される。したがって、冷媒配管の破裂などの冷凍装置の破損を抑制できる。
【0009】
本発明の第3観点に係る冷凍装置は、第1観点に係る冷凍装置において、冷媒開放部は、所定の操作によって第1冷媒配管または第2冷媒配管の内部と外部を連通させるサービスポートによって構成される。
【0010】
この構成によれば、冷媒開放部はサービスポートによって構成される。したがって、サービスマンがサービスポートを開けて過剰圧力の冷媒を抜き取ることによって、冷媒配管の破裂などの冷凍装置の破損を抑制できる。さらに、漏洩箇所の修理が完了した後は、サービスマンがサービスポートを閉じることによって冷凍装置の運転を容易に再開することができる。
【0011】
本発明の第4観点に係る冷凍装置は、第1観点から第3観点のいずれか1つに係る冷凍装置において、冷媒漏洩検知部と、制御部と、をさらに備える。冷媒漏洩検知部は、冷媒回路からの冷媒の漏洩を検知する。制御部は、第1遮断弁および第2遮断弁の開閉を制御する。冷媒漏洩検知部が冷媒の漏洩を検知した場合に、制御部は、第1遮断弁および第2遮断弁をいずれも閉状態にする。
【0012】
この構成によれば、冷媒漏洩が検知された場合、制御部が第1遮断弁および第2遮断弁を閉状態にする。したがって、冷媒の移動が抑制されるので、漏洩する冷媒の量が低減される。
【0013】
本発明の第5観点に係る冷凍装置は、第1観点から第4観点のいずれか1つに係る冷凍装置において、第1遮断弁および第2遮断弁の少なくとも1つは、開状態および閉状態に切り換え可能な開閉弁である。
【0014】
この構成によれば、第1遮断弁および第2遮断弁の少なくとも1つは開閉弁である。したがって、開閉弁が開状態から閉状態へ迅速に移行することによって、冷媒の移動を迅速に抑制することができる。
【0015】
本発明の第6観点に係る冷凍装置は、第1観点から第5観点のいずれか1つに係る冷凍装置において、第1遮断弁および第2遮断弁の少なくとも1つは、開度調節が可能な膨張弁である。
【0016】
この構成によれば、第1遮断弁および第2遮断弁の少なくとも1つは膨張弁である。したがって、この膨張弁に冷媒の減圧の機能をも担わせることによって、冷凍装置の部品点数を減らすことができる。
【0017】
本発明の第7観点に係る冷凍装置は、第1観点から第6観点のいずれか1つに係る冷凍装置において、利用ユニットは、熱交換器を収容するケーシング、をさらに有する。第1遮断弁および第2遮断弁の少なくとも一方が、ケーシングの外に設けられている。
【0018】
この構成によれば、第1遮断弁および第2遮断弁の少なくとも一方が、ケーシングの外に設けられる。したがって、利用ユニットを小型化できる。
【0019】
本発明の第8観点に係る冷凍装置は、第7観点に係る冷凍装置において、冷媒回路は複数の利用ユニットを有する。複数の利用ユニットはそれぞれ、熱交換器と、熱交換器に接続された第1冷媒配管および第2冷媒配管と、第1冷媒配管および第2冷媒配管にそれぞれ設けられる第1遮断弁および第2遮断弁と、第1冷媒配管または第2冷媒配管に設けられ、かつ、第1遮断弁または第2遮断弁の1つと熱交換器との間に設けられる冷媒開放部と、を有する。冷媒回路は、さらに、複数の利用ユニットが個別に冷房運転および暖房運転のいずれかを行うことを可能にする弁ユニット、を有する。複数の第1遮断弁および複数の第2遮断弁の少なくとも一方は、弁ユニットに設けられている。
【0020】
この構成によれば、第1遮断弁および第2遮断弁の少なくとも一方は、弁ユニットに設けられる。したがって、弁ユニットを、例えば天井裏などの普段利用されないスペースに配置することにより、空間の有効利用ができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1観点および第2観点に係る冷凍装置によれば、冷凍装置の破損を抑制できる。
【0022】
本発明の第3観点に係る冷凍装置によれば、漏洩箇所の修理が完了した後に、冷凍装置の運転を容易に再開することができる。
【0023】
本発明の第4観点に係る冷凍装置によれば、漏洩する冷媒の量が低減される。
【0024】
本発明の第5観点に係る冷凍装置によれば、冷媒の移動を迅速に抑制することができる。
【0025】
本発明の第6観点に係る冷凍装置によれば、冷凍装置の部品点数を減らすことができる。
【0026】
本発明の第7観点に係る冷凍装置によれば、利用ユニットを小型化できる。
【0027】
本発明の第8観点に係る冷凍装置によれば、空間の有効利用ができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1実施形態>
(1)全体構成
図1は本発明の第1実施形態に係る冷凍装置90を示す。冷凍装置90は空気調和装置として構成されているが、これに代えて冷凍庫、または給湯器など、他の形態として構成されてもよい。冷凍装置90は、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷媒回路80を有している。冷媒回路80は、熱源ユニット10、利用ユニット20、連絡配管30を有している。
【0030】
(2)詳細構成
(2−1)熱源ユニット10
熱源ユニット10は、冷熱源または温熱源として機能するものであり、典型的には屋外に設置される。熱源ユニット10は、ケーシング11、圧縮機12、四路切換弁13、熱源側熱交換器14、ファン15、熱源側膨張弁16、液側閉鎖弁17、ガス側閉鎖弁18、制御部19、および部品間を接続する配管を有している。
【0031】
(2−1−1)ケーシング11
ケーシング11は、熱源ユニット10の構成部品を収容する。
【0032】
(2−1−2)圧縮機12
圧縮機12は、低圧ガス冷媒を圧縮して高圧ガス冷媒を吐出する。圧縮機12は、吸入口12aと吐出口12bを有する。低圧ガス冷媒は、吸入口12aから吸入される。高圧ガス冷媒は、吐出口12bから矢印Dの方向に吐出される。
【0033】
(2−1−3)四路切換弁13
四路切換弁13は、冷房運転と暖房運転を切り替える。冷房運転を行うときは、四路切換弁13は
図1の実線で示される接続を行い、それによって冷媒は矢印Cの方向に循環する。一方、暖房運転を行うときは、四路切換弁13は
図1の破線で示される接続を行い、それによって冷媒は矢印Hの方向に循環する。
【0034】
(2−1−4)熱源側熱交換器14
熱源側熱交換器14は、冷媒と外気との熱交換を行う。熱源側熱交換器14は、冷房運転のときは放熱器として機能し、暖房運転のときは吸熱器として機能する。熱源側熱交換器14は、冷媒分流器14aを有していてもよい。冷媒分流器14aは、例えば暖房運転において、低圧の気液二相冷媒を熱源側熱交換器14の各部へ均等に送るのに役立つ。
【0035】
(2−1−5)ファン15
ファン15は、熱源側熱交換器14による冷媒と外気の熱交換を促進する。
【0036】
(2−1−6)熱源側膨張弁16
熱源側膨張弁16は、開度が調整可能な弁によって構成されている。開度は例えば電気的に調節される。熱源側膨張弁16は、必要に応じて冷媒を減圧し、または通過する冷媒の量を制限する。
【0037】
(2−1−7)液側閉鎖弁17、ガス側閉鎖弁18
液側閉鎖弁17およびガス側閉鎖弁18は、冷媒の経路を開放または閉鎖するためのものである。開放と閉鎖は例えば手動により行われる。液側閉鎖弁17およびガス側閉鎖弁18は、例えば冷凍装置90の設置時において、熱源ユニット10に封入された冷媒が外部に漏洩しないようにするために閉鎖される。一方、液側閉鎖弁17およびガス側閉鎖弁18は、冷凍装置90の使用時においては開放される。
【0038】
(2−1−8)制御部19
制御部19は、熱源ユニット10に設けられた各種センサの出力信号を受信する。この各種センサには、図示しない温度センサまたは圧力センサなどが含まれていてもよい。制御部19はさらに、圧縮機12、四路切換弁13、ファン15、熱源側膨張弁16、その他の図示しないアクチュエータを駆動する。
【0039】
(2−2)連絡配管30
連絡配管30は、熱源ユニット10と利用ユニット20の間で冷媒を案内する。連絡配管30は、液連絡配管31とガス連絡配管32を有する。液連絡配管31は液側閉鎖弁17に接続されている。ガス連絡配管32はガス側閉鎖弁18に接続されている。液連絡配管31は、おもに液冷媒または気液二相冷媒を案内する。ガス連絡配管32は、おもにガス冷媒を案内する。
【0040】
(2−3)利用ユニット20
利用ユニット20は、利用者に冷熱または温熱を提供するためのものであり、典型的には室内に設けられる。空気調和機を構成する利用ユニット20は、冷風または温風を発生させて利用者の室内の温度を調節する。利用ユニット20は、ケーシング21、利用側熱交換器22、ファン23、回路遮断機構50、冷媒開放部53、および部品間を接続する配管29a〜29dを有している。利用ユニット20は、さらに制御部25、冷媒漏洩検知部26を有している。
【0041】
(2−3−1)ケーシング21
ケーシング21は、利用ユニット20の構成部品を収容する。
【0042】
(2−3−2)利用側熱交換器22
利用側熱交換器22は、冷媒と室内空気との熱交換を行う。利用側熱交換器22は、冷房運転のときは吸熱器として機能し、暖房運転のときは放熱器として機能する。利用側熱交換器22は、冷媒分流器22aを有していてもよい。冷媒分流器22aは、例えば冷房運転において、低圧の気液二相冷媒を利用側熱交換器22の各部へ均等に送るのに役立つ。
【0043】
(2−3−3)ファン23
ファン23は、利用側熱交換器22による冷媒と室内空気の熱交換を促進する。加えて、ファン23は熱交換を終えた空気をケーシング21から吹き出して、室内空間へ送る。
【0044】
(2−3−4)冷媒漏洩検知部26
冷媒漏洩検知部26は、冷媒回路80からの冷媒の漏洩を検知する。冷媒漏洩検知部26は、例えば冷媒濃度センサにより構成される。冷媒漏洩検知部26は、冷媒濃度センサの出力信号に所定の処理を行うための信号処理回路などをさらに含んでもよい。
【0045】
(2−3−5)回路遮断機構50
回路遮断機構50は、冷媒の漏洩が検知された場合に、冷媒回路80を遮断するためのものである。回路遮断機構50は、第1遮断弁51および第2遮断弁52を有する。第1遮断弁51および第2遮断弁52は開状態および閉状態に切り換え可能な開閉弁である。第1遮断弁51および第2遮断弁52は、冷媒漏洩の検知時には閉状態になるよう制御される。
【0046】
(2−3−6)配管29a〜29d
配管29aは、液連絡配管31と第1遮断弁51とを接続する。配管29aは液連絡配管31と別体であり、かつ液連絡配管31に接続されていてもよいし、液連絡配管31と一体であってもよい。
【0047】
配管29bは、第1遮断弁51と利用側熱交換器22を接続する。利用側熱交換器22が冷媒分流器22aを有している場合には、配管29bは冷媒分流器22aに接続される。
【0048】
配管29cは、利用側熱交換器22と第2遮断弁52を接続する。
【0049】
配管29dは、ガス連絡配管32と第2遮断弁52とを接続する。配管29dはガス連絡配管32と別体であり、かつガス連絡配管32に接続されていてもよいし、ガス連絡配管32と一体であってもよい。
【0050】
本願では以後、液側閉鎖弁17と利用側熱交換器22を結ぶ配管を「第1冷媒配管71」と呼ぶこととする。また、ガス側閉鎖弁18と利用側熱交換器22を結ぶ配管を「第2冷媒配管72」と呼ぶこととする。第1冷媒配管71は、液連絡配管31、配管29a、配管29bを含む。第2冷媒配管72は、ガス連絡配管32、配管29d、配管29cを含む。第1遮断弁51は第1冷媒配管71に設けられている。第2遮断弁52は第2冷媒配管72に設けられている。
【0051】
(2−3−7)冷媒開放部53
冷媒開放部53は、冷媒の圧力が異常な程度に上昇した場合に、冷媒回路80から冷媒を開放するためのものである。冷媒開放部53は、配管29bに設けられている。換言すれば、冷媒開放部53は、第1冷媒配管71における、利用側熱交換器22と第1遮断弁51の間に設けられている。
【0052】
冷媒開放部53は、
図2Aに示す可溶栓53Aにより構成されている。可溶栓53Aは、固定部61と可溶部62を有する。固定部61は、例えばネジ溝などの固定手段を有しており、それによって配管29bに固定されるように構成されている。可溶部62は固定部61に設けられた孔を充填している。可溶部62は、所定の閾値を超える圧力を受けると融解する物質からできている。
【0053】
(2−3−8)制御部25
図1に戻り、制御部25は、利用ユニット20に設けられた各種センサの出力信号を受信する。この各種センサには、冷媒漏洩検知部26のほか、図示しない温度センサまたは圧力センサなどが含まれていてもよい。制御部25はさらに、ファン23、第1遮断弁51、第2遮断弁52、その他の図示しないアクチュエータを駆動する。制御部25はさらに、図示しない通信線を介して、熱源ユニット10の制御部19と通信を行う。
【0054】
(3)冷凍サイクルの基本動作
以下では、冷凍装置90の冷凍サイクルの基本動作について、簡便化のため、冷媒が凝縮および蒸発などの相変化を伴う反応を起こすものとして説明する。しかし、当該反応が放熱および吸熱を起こす限り、必ずしも相変化を伴う必要はない。
【0055】
(3−1)冷房運転
図1において、熱源ユニット10の四路切換弁13は実線で示される接続を行う。圧縮機12は高圧ガス冷媒を矢印Dの方向に吐出する。その後、高圧ガス冷媒は四路切換弁13を経て熱源側熱交換器14へ到達し、そこで凝縮して高圧液冷媒になる。高圧液冷媒は、熱源側膨張弁16へ到達し、そこで減圧されて低圧気液二相冷媒になる。低圧気液二相冷媒は、開放された液側閉鎖弁17および液連絡配管31を順に経て、利用ユニット20に入る。低圧気液二相冷媒は、開状態の第1遮断弁51を通過し、利用側熱交換器22に到達し、そこで蒸発して低圧ガス冷媒になる過程で吸熱し、利用者に冷熱を提供する。低圧ガス冷媒は、開状態の第2遮断弁52、ガス連絡配管32、および開放されたガス側閉鎖弁18を順に通過して、熱源ユニット10へ入る。低圧ガス冷媒は四路切換弁13を通過した後、圧縮機12に吸入される。
【0056】
(3−2)暖房運転
図1において、熱源ユニット10の四路切換弁13は破線で示される接続を行う。圧縮機12は高圧ガス冷媒を矢印Dの方向に吐出する。その後、高圧ガス冷媒は四路切換弁13を通過した後、開放されたガス側閉鎖弁18およびガス連絡配管32を順に通過して、利用ユニット20に入る。高圧ガス冷媒は、開状態の第2遮断弁52を通過して、利用側熱交換器22に到達し、そこで凝縮して高圧液冷媒になる過程で利用者に温熱を提供する。高圧液冷媒は、開状態の第1遮断弁51、液連絡配管31、および開放された液側閉鎖弁17を順に経て、熱源ユニット10へ入る。高圧液冷媒は、熱源側膨張弁16へ到達し、そこで減圧されて低圧気液二相冷媒になる。低圧気液二相冷媒は、熱源側熱交換器14へ到達し、そこで吸熱し、蒸発して低圧ガス冷媒になる。低圧ガス冷媒は、四路切換弁13を経て圧縮機12に吸入される。
【0057】
(4)異常時における動作
(4−1)冷媒漏洩の検知
利用ユニット20の冷媒漏洩検知部26が冷媒の漏洩を検知した場合、制御部25は、第1遮断弁51および第2遮断弁52が閉状態となるよう制御する。これにより、連絡配管30から供給される冷媒は、利用ユニット20に入らなくなる。したがって、利用ユニット20において冷媒の漏洩は継続しなくなる。
【0058】
(4−2)圧力異常
利用ユニット20に存在する冷媒は、第1遮断弁51および第2遮断弁52によって挟まれた領域、すなわち、配管29b、利用側熱交換器22、配管29cからなる領域に閉じ込められる。この冷媒は、例えば配管の亀裂などの冷媒漏洩の原因箇所を除いては、冷媒回路80の外部へ流出することができない。この状態において、何らかの外的要因によって急激に冷媒回路が加熱されると、閉じ込められている冷媒が膨張し、圧力が上昇する。このような圧力異常は、配管の破裂などを引き起こすおそれがある。
【0059】
(4−3)冷媒開放部53の作動
閉じ込められている冷媒の圧力が所定の閾値を上回ったとき、冷媒開放部53を構成している可溶栓53Aの可溶部62が融解する。それによって配管29bの内部と外部が連通し、冷媒が外部へ開放される。その結果、配管の破裂などの、冷凍装置の破損のおそれが低下する。
【0060】
(5)特徴
(5−1)
第1遮断弁51および第2遮断弁52によって閉じ込められた冷媒を、冷媒開放部53を介して配管29bの外部へ開放することができる。したがって、冷媒回路80の内部に閉じ込められた冷媒の圧力が大きくなった場合に、配管29b、配管29c、または利用側熱交換器22の破裂などの冷凍装置90の破損を抑制できる。
【0061】
(5−2)
冷媒の圧力が閾値より大きいときに、冷媒開放部53において第1冷媒配管71の内外が連通し、冷媒の開放経路が形成される。したがって、第1冷媒配管71の破裂などの冷凍装置90の破損を抑制できる。
【0062】
(5−3)
冷媒漏洩が検知された場合、制御部25が第1遮断弁51および第2遮断弁52を閉状態にする。したがって、冷媒の移動が抑制されるので、漏洩する冷媒の量が低減される。
【0063】
(5−4)
第1遮断弁51および第2遮断弁52は開閉弁である。したがって、これらの開閉弁が開状態から閉状態へ迅速に移行することによって、冷媒の移動を迅速に抑制することができる。
【0064】
(6)変形例
以下に本実施形態の変形例を示す。なお、複数の変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0065】
(6−1)変形例1A:冷媒開放部53の構成
上述の第1実施形態では、冷媒開放部53は、
図2Aに示す可溶栓53Aにより構成されている。これに代えて、冷媒開放部53は、
図2Bに示す圧力開放弁53Bにより構成されてもよい。圧力開放弁53Bでは、固定部63に設けられた孔は、バネ65により付勢された弁体64により塞がれている。所定の閾値を超える圧力を受けたときに弁体64は持ち上げられ、それによって冷媒が配管29bの外部へ開放される。配管29bの内部の圧力異常が解消され、冷媒の圧力が閾値を下回ったときに弁体64は再び孔を塞ぐ。
【0066】
この構成によれば、圧力異常が解消されたときに圧力開放弁53Bが閉じるので、室内に開放される冷媒の量を抑制できる。
【0067】
あるいは、冷媒開放部53は、
図2Cに示すサービスポート53Cにより構成されてもよい。サービスポート53Cは、ネジ溝を有し互いに螺合できる固定部66と蓋67とを有する。冷凍装置90の使用時において、蓋67は固定部66に設けられた孔を塞ぐように設置される。冷媒漏洩検知部26が冷媒の漏洩を検知した場合、または、冷媒漏洩と圧力異常が両方発生した場合に、制御部25がサービスマンに対して警報を発する。サービスマンは利用ユニット20へ向かい、蓋67を固定部66から取り外すことによってサービスポート53Cを開ける。
【0068】
この構成によれば、サービスマンがサービスポート53Cを開けて過剰圧力の冷媒を抜き取ることによって、配管29b、配管29c、または利用側熱交換器22の破裂などの、冷凍装置90の破損を抑制できる。さらに、漏洩箇所の修理が完了した後は、サービスマンがサービスポート53Cを閉じることによって冷凍装置90の運転を容易に再開することができる。
【0069】
(6−2)変形例1B:冷媒開放部53の場所
上述の第1実施形態では、冷媒開放部53は第1冷媒配管71に設けられている。これに代えて、冷媒開放部53は第2冷媒配管72に設けられてもよい。例えば、
図3に示すように、冷媒開放部53は、配管29cに設けることができる。換言すれば、冷媒開放部53は、第2冷媒配管72における、利用側熱交換器22と第2遮断弁52の間に設けられる。
【0070】
この構成によれば、配管29cの側で発生する圧力異常を解消しやすい。
【0071】
(6−3)変形例1C:第1遮断弁51、第2遮断弁52、冷媒開放部53の場所
上述の第1実施形態では、第1遮断弁51、第2遮断弁52、冷媒開放部53はいずれも利用ユニット20のケーシング21の内部に設けられている。これに代えて、第1遮断弁51、第2遮断弁52の少なくとも一方は、ケーシング21の外部に設けられてもよい。さらに、第1遮断弁51、第2遮断弁52の配置によっては、冷媒開放部53もまたケーシング21の外部に設けることができる場合がある。
【0072】
例えば、
図4に示す構成では、冷媒回路80は、さらに弁ユニット40を有する。弁ユニット40は、熱源ユニット10と利用ユニット20を接続する連絡配管30に設けられている。弁ユニット40は、ケーシング41、制御部45、冷媒漏洩検知部46を有する。ケーシング41は、第1遮断弁51、第2遮断弁52、冷媒開放部53を収容している。
【0073】
制御部45は、弁ユニット40に設けられた各種センサの出力信号を受信する。この各種センサには、冷媒漏洩検知部46のほか、図示しない温度センサまたは圧力センサなどが含まれていてもよい。制御部45はさらに、第1遮断弁51、第2遮断弁52、その他の図示しないアクチュエータを駆動する。制御部45はさらに、図示しない通信線を介して、熱源ユニット10の制御部19および利用ユニット20の制御部25と通信を行う。
【0074】
第1遮断弁51は、第1冷媒配管71に属する液連絡配管31に設けられる。第2遮断弁52は、第2冷媒配管72に属するガス連絡配管32に設けられる。ケーシング41の内部にある冷媒の経路は、連絡配管30とは別体の内部配管として構成され、かつ連絡配管30に接続されていてもよいし、連絡配管30と一体であってもよい。
【0075】
利用ユニット20の内部にある冷媒の経路も同様である。液連絡配管31と利用側熱交換器22とを接続する配管29bは、液連絡配管31と別体であり、かつ液連絡配管31に接続されていてもよいし、液連絡配管31と一体であってもよい。ガス連絡配管32と利用側熱交換器22とを接続する配管29cは、ガス連絡配管32と別体であり、かつガス連絡配管32に接続されていてもよいし、ガス連絡配管32と一体であってもよい。
【0076】
利用ユニット20の冷媒漏洩検知部26および弁ユニット40の冷媒漏洩検知部46のいずれかが冷媒漏洩を検知した場合、第1遮断弁51、第2遮断弁52、冷媒開放部53が、第1実施形態と同様の動作を行う。
【0077】
この構成によれば、第1遮断弁51、第2遮断弁52、冷媒開放部53の少なくとも一部がケーシング21の外に設けられる。したがって、利用ユニット20を小型化できる。
【0078】
<第2実施形態>
(1)構成
図5は本発明の第2実施形態に係る冷凍装置90Aを示す。冷凍装置90Aは、第1遮断弁51の構造が第1実施形態に係る冷凍装置90とは異なっている。冷凍装置90Aにおける第1遮断弁51は、開度が調整可能な弁によって構成されている。開度は例えば電気的に調節される。第1遮断弁51は、冷凍サイクルにおいて冷媒の減圧に関与する利用側膨張弁としても機能する。
【0079】
(2)特徴
第1遮断弁51が冷媒の減圧を行う利用側膨張弁としても機能する。したがって、もともと利用側膨張弁を有するように設計された利用ユニット20に関しては、冷媒の遮断のための弁を別途設ける必要がないので、冷凍装置90Aの部品点数を増やさずにすむ。
【0080】
(3)変形例
(3−1)変形例2A:冷媒開放部53の場所
上述の第2実施形態では、冷媒開放部53は第1冷媒配管71に設けられている。これに代えて、冷媒開放部53は第2冷媒配管72に設けられてもよい。例えば、
図6に示すように、冷媒開放部53は、配管29cに設けることができる。換言すれば、冷媒開放部53は、第2冷媒配管72における、利用側熱交換器22と第2遮断弁52の間に設けられる。
【0081】
この構成によれば、配管29cの側で発生する圧力異常を解消しやすい。
【0082】
(3−2)変形例2B:第2遮断弁52、冷媒開放部53の場所
上述の第2実施形態では、第2遮断弁52、冷媒開放部53はいずれも利用ユニット20のケーシング21の内部に設けられている。これに代えて、第2遮断弁52はケーシング21の外部に設けられてもよい。さらに、その場合には、冷媒開放部53もケーシング21の外部に設けることができる場合がある。
【0083】
例えば、
図7に示す構成では、冷媒回路80は、さらに弁ユニット40を有する。弁ユニット40のケーシング41は、第2遮断弁52、冷媒開放部53を収容している。弁ユニット40はさらに、制御部45と、冷媒漏洩検知部46とを有する。利用ユニット20の冷媒漏洩検知部26および弁ユニット40の冷媒漏洩検知部46のいずれかが冷媒漏洩を検知した場合、第1遮断弁51、第2遮断弁52、冷媒開放部53が、第1実施形態と同様の動作を行う。
【0084】
この構成によれば、少なくとも第2遮断弁52がケーシング21の外に設けられる。したがって、利用ユニット20を小型化できる。
【0085】
(3−3)変形例2C
上述の第2実施形態では、利用ユニット20の内部に設けられる第1遮断弁51が冷媒の減圧を行う利用側膨張弁としても機能する。これに代えて、冷媒の減圧を行う利用側膨張弁を第1遮断弁51とは別に設けてもよい。
【0086】
図8に示す構成では、第1冷媒配管71において、利用側膨張弁24と第1遮断弁51が設けられている。利用側膨張弁24は利用ユニット20に設けられている。第1遮断弁51は弁ユニット40に設けられている。利用側膨張弁24は、開度が調整可能な弁によって構成されている。開度は例えば電気的に調節される。第1遮断弁51は開状態および閉状態に切り換え可能な開閉弁である。
【0087】
この構成によれば、第1遮断弁51および第2遮断弁52がケーシング21の外に設けられる。したがって、利用ユニット20を小型化できる。
【0088】
(3−4)その他
第1実施形態の各変形例を、第2実施形態に係る冷凍装置90Aに適用してもよい。
【0089】
<第3実施形態>
(1)構成
図9は本発明の第3実施形態に係る冷凍装置90Bを示す。冷凍装置90Bは、複数の利用ユニット20を有する点で、第1実施形態および第2実施形態とは異なる。冷媒回路80は、複数の利用ユニット20、弁ユニット40B、および、弁ユニット40Bに接続される図示しない熱源ユニットを有する。
【0090】
それぞれの利用ユニット20は、冷媒を減圧するための利用側膨張弁24を有している。
【0091】
弁ユニット40Bは、ケーシング41、制御部45、冷媒漏洩検知部46、切換機構49を有する。制御部45はさらに、図示しない通信線を介して、熱源ユニット10の制御部19および利用ユニット20の制御部25と通信を行う。切換機構49は、熱源ユニットとそれぞれの利用ユニット20の間の配管の接続を切り換えることができる。切換機構49の働きにより、それぞれの利用ユニット20は個別に冷房運転および暖房運転のいずれかを行うことが可能となる。
【0092】
それぞれの利用ユニット20に対応する第1遮断弁51、第2遮断弁52、および冷媒開放部53は、弁ユニット40Bのケーシング41の中に設けられている。利用ユニット20の冷媒漏洩検知部26が冷媒漏洩を検知した場合、その利用ユニット20に対応する第1遮断弁51、第2遮断弁52、冷媒開放部53が、冷媒の遮断および圧力の開放などの第1実施形態と同様の動作を行う。一方、弁ユニット40Bの冷媒漏洩検知部46が冷媒漏洩を検知した場合、すべての第1遮断弁51、第2遮断弁52、冷媒開放部53が、第1実施形態と同様の動作を行ってもよい。
【0093】
(2)特徴
第1遮断弁51および第2遮断弁52は、弁ユニット40Bに設けられる。したがって、弁ユニット40Bを、例えば天井裏などの普段利用されないスペースに配置することにより、空間の有効利用ができる。
【0094】
(3)変形例
第1実施形態または第2実施形態の各変形例を、第3実施形態に係る冷凍装置90Bに適用してもよい。