特許第6974734号(P6974734)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974734
(24)【登録日】2021年11月9日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】ジフルオロメチレン化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/18 20060101AFI20211118BHJP
   C07C 22/08 20060101ALI20211118BHJP
   C07B 39/00 20060101ALN20211118BHJP
【FI】
   C07C17/18
   C07C22/08
   !C07B39/00 B
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-84473(P2018-84473)
(22)【出願日】2018年4月25日
(65)【公開番号】特開2019-189561(P2019-189561A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2020年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 達也
(72)【発明者】
【氏名】黒木 克親
(72)【発明者】
【氏名】白井 淳
(72)【発明者】
【氏名】細川 萌
(72)【発明者】
【氏名】岸川 洋介
【審査官】 阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第01/96263(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/114409(WO,A1)
【文献】 Yoneda, Norihiko et al.,Novel fluorination reagent: IF5/Et3N-3HF,Chemistry Letters,2001年,No.3,p.222-223,ISSN 0366-7022
【文献】 UMEMOTO, Teruo et al.,Arylsulfur chlorotetrafluorides as useful fluorinating agents: Deoxo- and dethioxo-fluorinations,Journal of Fluorine Chemistry,2012年,Vol.140,p.17-27,ISSN 0022-1139
【文献】 XU, Wei et al.,Arylsulfur trifluorides: Improved method of synthesis and use as in situ deoxofluorination reagents,Journal of Fluorine Chemistry,2011年,Vol.132, No.7,p.482-488,ISSN 0022-1139
【文献】 HARA, Shoji et al.,Direct fluorination of adamantanes with iodine pentafluoride,Synthesis,2008年,No.16,p.2510-2512,ISSN 0039-7881
【文献】 UMEMOTO, Teruo et al.,Discovery of 4-tert-Butyl-2,6-dimethylphenylsulfur Trifluoride as a Deoxofluorinating Agent with Hig,Journal of the American Chemical Society,2010年,Vol.132, No.51,p.18199-18205,ISSN 1520-5126
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 17/18
C07C 22/08
C07B 39/00
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1個以上の−CF−部を有するジフルオロメチレン化合物(I)の製造方法であって、
1個以上の−C(O)−部を有するカルボニル化合物(II)に、
IF、及び
式:R−S−S−R(当該式中、Rは、各出現において独立して、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基を表す。)のジスルフィド化合物(III)
を作用させる工程Aを含む
製造方法。
【請求項2】
前記ジフルオロメチレン化合物(I)が、式(1):
11−CF−R12 (1)
[式中、
11及びR12は、同一又は異なって、
(a)1個以上の−CF−部を有していてもよい有機基、又は
(b)フッ素原子を表す。]、
で表されるジフルオロメチレン化合物
であり、且つ
前記カルボニル化合物(II)が、式(2):
21−C(O)−R22 (2)
[式中、
21及びR22は、同一又は異なって、
(a)水素原子、
(b)水酸基、又は
(c)1個以上の−CO−部を有していてもよい有機基
を表すか、或いは
これらが隣接する−C(O)−部と一緒になって環を形成していてもよい。
但し、
(i)R11、及びR12は、いずれも水酸基ではなく、且つ
(ii)R11、及びR12、並びにR21、及びR22は、いずれも−O−を介して連結する有機基ではない。]
で表されるカルボニル化合物である、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ジフルオロメチレン化合物(I)が、式(1):
11−CF−R12 (1)
[式中、
11は、R21、又はフッ素原子を表し、
12は、R22、又はフッ素原子を表し、
21、及びR22は、同一、又は異なって、
(a)水素原子、
(b)水酸基、又は
(c)有機基
を表すか、或いは
これらが隣接する−CF−部と一緒になって環を形成していてもよい。
但し、
(i)R11、及びR12は、いずれも水酸基ではなく、且つ
(ii)R11、及びR12、並びにR21、及びR22は、いずれも−O−を介して連結する有機基ではない。]
で表されるジフルオロメチレン化合物
であり、且つ
前記カルボニル化合物(II)が、式(2):
21−C(O)−R22 (2)
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表されるカルボニル化合物である、
請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
IFと共に、酸、塩及び添加物からなる群より選ばれる少なくとも1種を作用させる請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造法。
【請求項5】
IFと共に、酸、及び塩基を作用させる請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造法。
【請求項6】
前記酸は、フッ化水素である、請求項4又は5に記載の製造法。
【請求項7】
前記塩基は、置換基として1個以上のアルキル基を有していてもよい、5員の単環式含窒素芳香族複素環化合物である、請求項5又は6に記載の製造法。
【請求項8】
が、各出現において独立して、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジフルオロメチレン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジフルオロメチレン骨格を有する化合物(すなわち、ジフルオロメチレン化合物)は、液晶材料、医薬品、これらの中間体等として有用な化合物であり、各種の製造方法が検討されているが、なかでもカルボニル化合物の脱酸素的フッ素化は有用な反応である。このような反応に適するフッ素化剤としては、四フッ化硫黄(SF4)、N,N-ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(DAST)、ビス(メトキシメチル)アミノ硫黄トリフルオリド[Deoxo-Fluor(商品名)]、置換フェニル硫黄トリフルオリド[Fluolead(商品名)]などが知られている。
しかしながら、SF4は毒性が高い上に、ガスであるので取扱いが難しく、入手が困難であるという問題があった。DAST及びDeoxo-Fluorは熱安定性が低く、分解時の熱エネルギーが非常に大きい液体であり、特にDASTは爆発性の為に取扱いに注意を要するものである。Fluoleadは安定性が高いが、フッ素化剤が分解して副生する硫黄化合物と生成物が分離しにくい等の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許7265247号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc., 82, 543 (1960)
【非特許文献2】J. Org. Chem., 40, 574 (1975)
【非特許文献3】Chemical Communications 215 (1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、新たなジフルオロメチレン化合物の製造方法、特に簡便な、ジフルオロメチレン化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、
1個以上の−CF−部を有するジフルオロメチレン化合物(I)が、
1個以上の−C(O)−部を有するカルボニル化合物(II)に、
IF、及び
1個以上の式:R−S−S−R(当該式中、Rは、各出現において独立して、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基を表す。)で表されるジスルフィド化合物(III)
を作用させる工程Aを含む
製造方法によって、得られ、すなわち、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、次の態様を含む。
【0008】
項1.
1個以上の−CF−部を有するジフルオロメチレン化合物(I)の製造方法であって、
1個以上の−C(O)−部を有するカルボニル化合物(II)に、
IF、及び
式:R−S−S−R(当該式中、Rは、各出現において独立して、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基を表す。)のジスルフィド化合物(III)
を作用させる工程Aを含む
製造方法。
項2.
前記ジフルオロメチレン化合物(I)が、式(1):
11−CF−R12 (1)
[式中、
11及びR12は、同一又は異なって、
(a)1個以上の−CF−部を有していてもよい有機基、又は
(b)フッ素原子を表す。]、
で表されるジフルオロメチレン化合物
であり、且つ
前記カルボニル化合物(II)が、式(2):
21−C(O)−R22 (2)
[式中、
21及びR22は、同一又は異なって、
(a)水素原子、
(b)水酸基、又は
(c)1個以上の−CO−部を有していてもよい有機基
を表すか、或いは
これらが隣接する−C(O)−部と一緒になって環を形成していてもよい。
但し、
(i)R11、及びR12は、いずれも水酸基ではなく、且つ
(ii)R11、及びR12、並びにR21、及びR22は、いずれも−O−を介して連結する有機基ではない。]
で表されるカルボニル化合物である、
項1に記載の製造方法。
項3.
前記ジフルオロメチレン化合物(I)が、式(1):
11−CF−R12 (1)
[式中、
11は、R21、又はフッ素原子を表し、
12は、R22、又はフッ素原子を表し、
21、及びR22は、同一、又は異なって、
(a)水素原子、
(b)水酸基、又は
(c)有機基
を表すか、或いは
これらが隣接する−CF−部と一緒になって環を形成していてもよい。
但し、
(i)R11、及びR12は、いずれも水酸基ではなく、且つ
(ii)R11、及びR12、並びにR21、及びR22は、いずれも−O−を介して連結する有機基ではない。]
で表されるジフルオロメチレン化合物
であり、且つ
前記カルボニル化合物(II)が、式(2):
21−C(O)−R22 (2)
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表されるカルボニル化合物である、
項1に記載の製造方法。
項4.
IFと共に、酸、塩及び添加物からなる群より選ばれる少なくとも1種を作用させる項1〜3のいずれか一項に記載の製造法。
項5.
IFと共に、酸、及び塩基を作用させる項1〜3のいずれか一項に記載の製造法。
項6.
前記酸は、フッ化水素である、項4又は5に記載の製造法。
項7.
前記塩基は、置換基として1個以上のアルキル基を有していてもよい、5員の単環式含窒素芳香族複素環化合物である、項5又は6に記載の製造法。
項8.
が、各出現において独立して、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基である、項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、新たなジフルオロメチレン化合物の製造方法、特にジフルオロメチレン化合物の簡便な効率的な製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本発明が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含できることを意図して用いられる。
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。
本明細書中、室温は、10〜40℃の範囲内の温度を意味する。
本明細書中、表記「Cn−Cm」(ここで、n、及びmは、数である。)は、当業者が通常理解する通り、炭素数がn以上、且つm以下であることを表す。
【0011】
本明細書中、「非芳香族炭化水素環」の例は、炭素数3〜8の非芳香族炭化水素環を包含し、その具体例は、
(1)シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のC3−C8シクロアルカン;
(2)シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のC5−C8シクロアルケン;
(3)シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン等のC5−C8シクロアルカジエン;及び
(4)ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、トリシクロ[2.2.1.0]ヘプタン等の炭素数5〜8の橋かけ環炭化水素等を包含できる。
【0012】
本明細書中、「非芳香族複素環」の例は、3〜8員の非芳香族複素環等を包含し、その具体例は、オキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリン、ピペリジン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、アゼパン、オキセパン、チエパン、オキサゼパン、チアゼパン、アゾカン、オキソカン、チオカン、オキサゾカン、チアゾカン等を包含できる。
【0013】
本明細書中、「有機基」とは、1個以上の炭素原子を含有する基、又は有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基を意味する。
【0014】
当該「有機基」の例は、
1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
アルデヒド基、
RO−、
RCO−、
RSO−、
ROCO−、及び
ROSO
(これらの式中、Rは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基である)
を包含できる。
【0015】
本明細書中、「炭化水素基」の例は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、アラルキル基、及びこれらの組合せである基を包含できる。
【0016】
本明細書中、「(シクロ)アルキル基」は、アルキル基、及び/又はシクロアルキル基を表す。
【0017】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルキル基」の例は、メチル(本明細書中、「Me」と表記することがある)、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、C1−C10アルキル基を包含できる。
【0018】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルケニル基」の例は、ビニル、1−プロペン−1−イル、2−プロペン−1−イル、イソプロペニル、2−ブテン−1−イル、4−ペンテン−1−イル、及び5−へキセン−1−イル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、C2−10アルケニル基を包含できる。
【0019】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルキニル基」の例は、エチニル、1−プロピン−1−イル、2−プロピン−1−イル、4−ペンチン−1−イル、5−へキシン−1−イル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、C2−C10アルキニル基を包含できる。
【0020】
本明細書中、特に限定の無い限り、「シクロアルキル基」の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等のC3−C7シクロアルキル基を包含できる。
【0021】
本明細書中、特に限定の無い限り、「シクロアルケニル基」の例は、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル等のC3−C7シクロアルケニル基を包含できる。
【0022】
本明細書中、特に限定の無い限り、「シクロアルカジエニル基」の例は、シクロブタジエニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタジエニル、シクロオクタジエニル、シクロノナジエニル、シクロデカジエニル等のC4−C10シクロアルカジエニル基を包含できる。
【0023】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アリール基」は、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「アリール基」は、C6−C18アリール基であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「アリール基」の例は、フェニル(以下、「Ph」と表記することがある)、1−ナフチル、2−ナフチル、2−ビフェニル、3−ビフェニル、4−ビフェニル、及び2−アンスリルを包含できる。
【0024】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アラルキル基」の例は、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、2−ビフェニリルメチル、3−ビフェニリルメチル、及び4−ビフェニリルメチルを包含できる。
【0025】
本明細書中、特に限定の無い限り、「非芳香族複素環基」は、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「非芳香族複素環基」は、例えば、環構成原子として、炭素原子に加えて酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する非芳香族複素環基である。
本明細書中、特に限定の無い限り、「非芳香族複素環基」は、飽和、又は不飽和であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「非芳香族複素環基」の例は、テトラヒドロフリル、オキサゾリジニル、イミダゾリニル(例:1−イミダゾリニル、2−イミダゾリニル、4−イミダゾリニル)、アジリジニル(例:1−アジリジニル、2−アジリジニル)、アゼチジニル(例:1−アゼチジニル、2−アゼチジニル)、ピロリジニル(例:1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル)、ピペリジニル(例:1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル)、アゼパニル(例:1−アゼパニル、2−アゼパニル、3−アゼパニル、4−アゼパニル)、アゾカニル(例:1−アゾカニル、2−アゾカニル、3−アゾカニル、4−アゾカニル)、ピペラジニル(例:1,4−ピペラジン−1−イル、1,4−ピペラジン−2−イル)、ジアゼピニル(例:1,4−ジアゼピン−1−イル、1,4−ジアゼピン−2−イル、1,4−ジアゼピン−5−イル、1,4−ジアゼピン−6−イル)、ジアゾカニル(例:1,4−ジアゾカン−1−イル、1,4−ジアゾカン−2−イル、1,4−ジアゾカン−5−イル、1,4−ジアゾカン−6−イル、1,5−ジアゾカン−1−イル、1,5−ジアゾカン−2−イル、1,5−ジアゾカン−3−イル)、テトラヒドロピラニル(例:テトラヒドロピラン−4−イル)、モルホリニル(例:4−モルホリニル)、チオモルホリニル(例:4−チオモルホリニル)、2−オキサゾリジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、及びジヒドロキノリル等を包含できる。
【0026】
本明細書中、特に限定の無い限り、「ヘテロアリール基」の例は、5又は6員の単環性芳香族複素環基、及び5〜10員の芳香族縮合複素環基等
を包含できる。
【0027】
本明細書中、特に限定の無い限り、「5又は6員の単環性芳香族複素環基」の例は、ピロリル(例:1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル)、フリル(例:2−フリル、3−フリル)、チエニル(例:2−チエニル、3−チエニル)、ピラゾリル(例:1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル)、イミダゾリル(例:1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル)、イソオキサゾリル(例:3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例:2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル)、イソチアゾリル(例:3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル)、チアゾリル(例:2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、トリアゾリル(例:1,2,3−トリアゾール−4−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル)、オキサジアゾリル(例:1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)、チアジアゾリル(例:1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル)、テトラゾリル、ピリジル(例:2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピリダジニル(例:3−ピリダジニル、4−ピリダジニル)、ピリミジニル(例:2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル)、ピラジニル等を包含できる。
【0028】
本明細書中、特に限定の無い限り、「5〜10員の芳香族縮合複素環基」の例は、イソインドリル(例:1−イソインドリル、2−イソインドリル、3−イソインドリル、4−イソインドリル、5−イソインドリル、6−イソインドリル、7−イソインドリル)、インドリル(例:1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル、4−インドリル、5−インドリル、6−インドリル、7−インドリル)、ベンゾ[b]フラニル(例:2−ベンゾ[b]フラニル、3−ベンゾ[b]フラニル、4−ベンゾ[b]フラニル、5−ベンゾ[b]フラニル、6−ベンゾ[b]フラニル、7−ベンゾ[b]フラニル)、ベンゾ[c]フラニル(例:1−ベンゾ[c]フラニル、4−ベンゾ[c]フラニル、5−ベンゾ[c]フラニル)、ベンゾ[b]チエニル、(例:2−ベンゾ[b]チエニル、3−ベンゾ[b]チエニル、4−ベンゾ[b]チエニル、5−ベンゾ[b]チエニル、6−ベンゾ[b]チエニル、7−ベンゾ[b]チエニル)、ベンゾ[c]チエニル(例:1−ベンゾ[c]チエニル、4−ベンゾ[c]チエニル、5−ベンゾ[c]チエニル)、インダゾリル(例:1−インダゾリル、2−インダゾリル、3−インダゾリル、4−インダゾリル、5−インダゾリル、6−インダゾリル、7−インダゾリル)、ベンゾイミダゾリル(例:1−ベンゾイミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、4−ベンゾイミダゾリル、5−ベンゾイミダゾリル)、1,2−ベンゾイソオキサゾリル(例:1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル、1,2−ベンゾイソオキサゾール−4−イル、1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル、1,2−ベンゾイソオキサゾール−6−イル、1,2−ベンゾイソオキサゾール−7−イル)、ベンゾオキサゾリル(例:2−ベンゾオキサゾリル、4−ベンゾオキサゾリル、5−ベンゾオキサゾリル、6−ベンゾオキサゾリル、7−ベンゾオキサゾリル)、1,2−ベンゾイソチアゾリル(例:1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル、1,2−ベンゾイソチアゾール−4−イル、1,2−ベンゾイソチアゾール−5−イル、1,2−ベンゾイソチアゾール−6−イル、1,2−ベンゾイソチアゾール−7−イル)、ベンゾチアゾリル(例:2−ベンゾチアゾリル、4−ベンゾチアゾリル、5−ベンゾチアゾリル、6−ベンゾチアゾリル、7−ベンゾチアゾリル)、イソキノリル(例:1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル)、キノリル(例:2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、8−キノリル)、シンノリニル(例:3−シンノリニル、4−シンノリニル、5−シンノリニル、6−シンノリニル、7−シンノリニル、8−シンノリニル)、フタラジニル(例:1−フタラジニル、4−フタラジニル、5−フタラジニル、6−フタラジニル、7−フタラジニル、8−フタラジニル)、キナゾリニル(例:2−キナゾリニル、4−キナゾリニル、5−キナゾリニル、6−キナゾリニル、7−キナゾリニル、8−キナゾリニル)、キノキサリニル(例:2−キノキサリニル、3−キノキサリニル、5−キノキサリニル、6−キノキサリニル、7−キノキサリニル、8−キノキサリニル)、ピラゾロ[1,5−a]ピリジル(例:ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−4−イル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−7−イル)、イミダゾ[1,2−a]ピリジル(例:イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−5−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イル)等を包含できる。
【0029】
本明細書中、特に限定の無い限り、「ハロゲン原子」の例は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を包含できる。
本明細書中、特に限定の無い限り、用語「ハロゲン化(された)」の例は、塩素化、臭素化、及びヨウ素化を包含できる。
【0030】
2.製造方法
本発明の、1個以上の−CF−部を有するジフルオロメチレン化合物(I)[本明細書中、単に、「ジフルオロメチレン化合物(I)」と称する場合がある。]の製造方法は、
−C(O)−部を有するカルボニル化合物(II)[本明細書中、単に、「カルボニル化合物(II)」と称する場合がある。]
IF、及び
式:R−S−S−R(当該式中、Rは、各出現において独立して、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基を表す。)で表されるジスルフィド化合物(III)
を作用させる工程Aを含む。
で表される「1個以上の置換基を有していてもよいアリール基」の置換基の例は、水酸基、及び有機基を包含する。
当該置換基の数は、1個から置換可能な最大個数の範囲内(例:1個、2個、3個、4個、5個、6個)であることができる。
で表される「1個以上の置換基を有していてもよいアリール基」における「置換基」の好適な例は、
水酸基、
ハロゲン原子、
第1級、第2級、又は第3級のC1−C8アルキル基、及び
少なくとも1個のエーテル結合を内部又は根元に含有する、第1、第2、又は第3級のC2−C8アルキル基
を包含する。
で表される「1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基」における「置換基」のより好適な例は、
フッ素原子、
塩素原子、
第1級、第2級、又は第3級のC1−C4アルキル基、及び
少なくとも1個のエーテル結合を内部又は根元に含有する、第1級、第2級、又は第3級のC1−C4アルキル基
を包含する。
【0031】
説明のために記載するに過ぎないが、本発明の製造方法で製造される、前記ジフルオロメチレン化合物(I)における語句「ジフルオロメチレン」は、前記−CF−部を表す。
前記ジフルオロメチレン化合物(I)は、1個以上の−CF−部を有し得る。
これに対応して、前記カルボニル化合物(II)は、1個以上の−C(O)−部を有し得る。
【0032】
本発明の製造方法に用いられる前記カルボニル化合物(II)は、工程Aにおいて、−CF−部を有するジフルオロメチレン化合物(I)に変換される。
【0033】
好ましくは、反応原料化合物である前記カルボニル化合物(II)からは、前記−C(O)−部に、−O−を介して有機基が連結している化合物(すなわち、エステル化合物)は除かれる。
【0034】
これに対応して、好ましくは、反応生成物である前記ジフルオロメチレン化合物(I)からは、前記−CF−部に、−O−を介して有機基が連結している化合物は除かれる。
【0035】
念のために注記するに過ぎないが、反応生成物である前記ジフルオロメチレン化合物(I)の前記−CF−部は、例えば、−CF基の一部であることができる。すなわち、前記ジフルオロメチレン化合物は、トリフルオロメチル化合物であることができる。
【0036】
これに関して、前記カルボニル化合物(II)の前記−C(O)−部に−COOHが連結している場合、当該−C(O)−COOH部は、工程Aにより、−CF基に変換され得る。すなわち、この場合、本発明の製造方法により、トリフルオロメチル化合物が製造できる。
【0037】
本発明の製造方法で製造される、前記ジフルオロメチレン化合物(I)は、好ましくは、式(1):
11−CF−R12 (1)
[式中、
11及びR12は、同一又は異なって、
(a)1個以上の−CF−部を有していてもよい有機基、又は
(b)フッ素原子を表す。]、
で表されるジフルオロメチレン化合物
である。
【0038】
この、好ましいジフルオロメチレン化合物(I)としてのジフルオロメチレン化合物(1)に対応して、前記カルボニル化合物(II)は、好ましくは、式(2):
21−C(O)−R22 (2)
[式中、
21及びR22は、同一又は異なって、
(a)水素原子、
(b)水酸基、又は
(c)1個以上の−CO−部を有していてもよい有機基
を表すか、或いは
これらが隣接する−C(O)−部と一緒になって環を形成していてもよい。
但し、
(i)R11、及びR12は、いずれも水酸基ではなく、且つ
(ii)R11、及びR12、並びにR21、及びR22は、いずれも−O−を介して連結する有機基ではない。]
で表されるカルボニル化合物である。
【0039】
本発明の製造方法で製造される、前記ジフルオロメチレン化合物(I)の一例は、式(1):
11−CF−R12 (1)
[式中、
11は、R21、又はフッ素原子を表し、
12は、R22、又はフッ素原子を表し、
21、及びR22は、同一、又は異なって、
(a)水素原子、
(b)水酸基、又は
(c)有機基
を表すか、或いは
互いに連結していてもよい。
但し、
(i)R11、及びR12は、いずれも水酸基ではなく、且つ
(ii)R11、及びR12、並びにR21、及びR22は、いずれも−O−を介して連結する有機基ではない。]
で表されるジフルオロメチレン化合物
である。
【0040】
この、ジフルオロメチレン化合物(I)の例に対応して、前記カルボニル化合物(II)の例は、式(2):
21−C(O)−R22 (2)
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表されるカルボニル化合物である。
【0041】
目的化合物を表す式(1)のR11は、反応原料化合物を表す式(2)のR21に対応し、同じであることができ、又は異なっていることができる。
目的化合物を表す式(1)のR12は、反応原料化合物を表す式(2)のR22に対応し、同じであることができ、又は異なっていることができる。
【0042】
前記式(2)のR21についての有機基が、1個以上の−CO−部を有する場合、当該−CO−部の一部又は全部は、工程Aの反応によって、−CF−部に変化し得る。
前記式(2)のR22についての有機基が、1個以上の−CO−部を有する場合、当該−CO−部の一部又は全部は、工程Aの反応によって、−CF−部に変化し得る。
【0043】
但し、前述した説明から理解される通り、当該態様の製造方法においては、前記式(2)のR21が−COOHである場合、前記式(1)のR11はフッ素原子になることができる。
同様に、当該態様の製造方法においては、前記式(2)のR22が−COOHである場合、前記式(1)のR12はフッ素原子になることができる。
【0044】
11で表される有機基は、好適に、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基(当該炭化水素基には、−NR−、=N−、−N=、−O−、及び−S−からなる群より選択される1個以上の部分が挿入されていてもよい。ここで、Rは、水素原子、又は有機基を表す。)であることができる。
【0045】
当該「1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」は、好ましくはC1−C30炭化水素基、より好ましくはC1−C20炭化水素基、及び更に好ましくはC1−C10炭化水素基であることができる。
【0046】
当該炭化水素基は、好ましくはアルキル基、又はアリール基、及びより好ましくはC1−C10アルキル基、又はC6−C20アリール基であることができる。
【0047】
当該炭化水素基(及びこれにそれぞれ包含される、アルキル基、及びアリール基)には、−NR−(当該式中、Rは、水素原子、又は有機基を表す)、=N−、−N=、−O−、及び−S−からなる群より選択される1個以上の部分(moiety)が挿入されていてもよい。
当該部分は、当該炭化水素基の炭素-炭素結合内に挿入されていてもよく、及び/又は式(1)中に表される−CF−部に隣接して(及び、これに対応して、前記式(2)中に表される−C(O)−部に隣接して)挿入されていてもよい。
【0048】
前記−NR−部中のRで表される有機基は、好ましくは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基は、好ましくはC1−C30炭化水素基、より好ましくはC1−C20炭化水素基、及び更に好ましくはC1−C10炭化水素基であることができる。
【0049】
12で表される有機基は、好適に、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基(当該炭化水素基には、−NR−、=N−、−N=、−O−、及び−S−からなる群より選択される1個以上の部分が挿入されていてもよい。ここで、Rは、水素原子、又は有機基を表す。)であることができる。
【0050】
当該「1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」は、好ましくはC1−C30炭化水素基、より好ましくはC1−C20炭化水素基、及び更に好ましくはC1−C10炭化水素基であることができる。
【0051】
当該炭化水素基は、好ましくはアルキル基、又はアリール基、及びより好ましくはC1−C10アルキル基、又はC6−C20アリール基であることができる。
【0052】
当該炭化水素基(及びこれにそれぞれ包含される、アルキル基、及びアリール基)には、−NR−(当該式中、Rは、水素原子、又は有機基を表す)、=N−、−N=、−O−、及び−S−からなる群より選択される1個以上の部分(moiety)が挿入されていてもよい。
当該部分は、当該炭化水素基の炭素-炭素結合内に挿入されていてもよく、及び/又は式(1)中に表される−CF−部に隣接して挿入されていてもよい。
【0053】
12中のRで表される有機基は、好ましくは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基は、好ましくはC1−C20炭化水素基、より好ましくはC1−C10炭化水素基、及び更に好ましくはC1−C5炭化水素基であることができる。
【0054】
念のために記載するに過ぎないが、当業者が通常理解する通り、−NR−、=N−、−N=、−O−、及び−S−からなる群より選択される1個以上の部分(moiety)が挿入されているアリール基は、ヘテロアリール基であることができる。
【0055】
11、及びR21で、それぞれ表される「1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基」における「置換基」の例は、
ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、チオキソ基、スルホ基、スルファモイル基、スルフィナモイル基、及びスルフェナモイル基
を包含できる。
【0056】
当該置換基の数は、R11、及びR21において同一又は異なって、1個から置換可能な最大個数の範囲内(例:1個、2個、3個、4個、5個、6個)であることができる。
【0057】
11、及びR21が、これらが隣接する−CF−部と一緒になって形成した環は、好ましくは、−CF−部のフッ素原子に加えて更に1個以上の置換基を有していてもよい、3〜8員環であることができる。
【0058】
当該環は、単環、縮合環、又はスピロ環であることができる。
当該環は、非芳香族炭化水素環、又は非芳香族複素環であることができる。
【0059】
前記置換基の例は、
ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、チオキソ基、スルホ基、スルファモイル基、スルフィナモイル基、及びスルフェナモイル基
を包含できる。
当該置換基の数は、1個から置換可能な最大個数の範囲内(例:1個、2個、3個、4個、5個、6個)であることができる。
【0060】
説明のために例示するにすぎないが、R21、及びR22から除外される、前記「−O−を介して連結する有機基」は、例えば、1個以上の置換基を有していてもよいハイドロカルビルオキシ基である。
【0061】
工程Aでは、基質である前記カルボニル化合物(II)にIFを作用させる。
当該作用は、直接的又は間接的であることができる。
すなわち、基質である前記カルボニル化合物(II)に、IF及び前記ジスルフィド化合物(III)が直接作用してもよく、又はこれらの関与により生じた物質が作用してもよい。
前記ジスルフィド化合物(III)は、例えば、R−H及びSClを反応させることにより、得られる。
IFの量は、基質である前記カルボニル化合物(II)1モルに対し、
好ましくは0.2モル〜20モルの範囲内、及び
より好ましくは0.5〜10モルの範囲内
であることができる。
本発明の製造方法では、好ましくはIFと共に、更に、酸、塩基、塩及び添加物からなる群から選ばれる少なくとも一種、好ましくはその1〜3種(より好ましくは酸、塩基及び塩の組み合わせを除く1〜3種)を使用する。
【0062】
前記「酸」の例は、
ハロゲン化水素(例:HF)、ハロゲン化水素酸、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、ハロゲン酸、又は過ハロゲン酸(例:硫酸、硝酸、リン酸、ポリリン酸、フッ化水素、フッ酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、過臭素酸、過ヨウ素酸);
スルホン酸(例:フルオロスルホン酸、クロロスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸)又は
ポリマー担持スルホン酸(例:ポリスチレンスルホン酸、フッ素化スルホン酸樹脂(例:Nafion−H));
ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クロル酢酸、ブロム酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸、又はモノ若しくはポリカルボン酸(例:トリフルオロ酢酸、グリコール酸、乳酸、安息香酸、シュウ酸、コハク酸);
ルイス酸又はそのエーテル錯体(例:SO、BF、BCl、B(OCH、AlCl、AlBr、SbF、SbCl、SbF、PF、PF、AsF、AsCl、AsF、TiCl、NbF、TaF);及び
ルイス酸及びハロゲン化水素からなる酸、又はこれらのエーテル等との錯体(例:HBF、HPF、HAsF、HSbF、HSbCl)。
を包含する。
【0063】
当該酸は、担体に担持されていてもよい。
当該担体の例は、
SiO、メチル化SiO、Al、Al−WB、MoO、ThO、ZrO、TiO、Cr、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−ZrO、TiO−ZrO、Al−B、SiO−WO、SiO−NHF、HSOCl−Al、HF−NH−Y、HF−Al、NHF−SiO−Al、AlF−Al、Ru−F−Al、F−Al、KF−Al、AlPO、AlF、ボーキサイト、カオリン、活性炭、グラファイト、Pt−グラファイト、金属硫酸塩、金属塩化物、金属(例:Al)、合金(例:Al−Mg、Ni−Mo)、及びポリマー(例:ポリスチレン。イオン交換樹脂)
を包含する。
当該酸は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0064】
前記酸の量は、触媒量から大過剰の範囲で選ぶことができる。
前記の酸の量は、具体的には、
前記カルボニル化合物(II)の1モルに対し、
好ましくは0.01モル〜100モルの範囲内、及び
より好ましくは0.1モル〜20モルの範囲内
であることができる。
前記酸は、反応溶媒としても用いられ得る。この場合、当該酸の量は、極少量であっても、大過剰であってもよい。
【0065】
前記「塩基」の例は、
(i)アルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物(例:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム);
(ii)アルカリ金属アルコキシド(例:ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムブトキシド、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド);
(iii)アルカリ金属又はアルカリ土類金属水素化物(例:水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、水素化カルシウム);
(iv)アルカリ金属(例:ナトリウム、カリウム、リチウム);
(v)アルカリ土類金属酸化物(例:マグネシウムオキシド、カルシウムオキシド);
アンモニア、水酸化アンモニウム塩(例:水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化オクチルトリエチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム);及び
(vi)ポリマー担持水酸化アンモニウム塩(例:アンバーライト樹脂)等;及び
脂肪族アミン(第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン)、脂環式アミン(第二級アミン、第三級アミン)、芳香族アミン(第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン)、複素環式アミン、及びポリマー担持アミン等の有機塩基
を包含する。
【0066】
脂肪族第一級アミンの例は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、及びエチレンジアミンを包含する。
脂肪族第二級アミンの例は、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、及びジシクロヘキシルアミンを包含する。
脂肪族第三級アミンの例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、及びN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンを包含する。
脂環式第二級アミンの例は、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、及びモルホリンを包含する。
脂環式第三級アミンの例は、N−メチルピペラジン、N−メチルピロリジン、5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン−5−エン、及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを包含する。
芳香族アミンの例は、アニリン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ハロアニリン、ニトロアニリン、及びフェニレンジアミンを包含する。
複素環式アミンの例は、ピペリジン、ピリジン、ルチジン、ピリミジン、ピペラジン、キノリン、及びイミダゾール、を包含する。
ポリマー担持アミン化合物の例は、ポリアリルアミン、及びポリビニルピリジンを包含する。
【0067】
前記「塩基」の好適な例は、以下の化合物(i)〜(vi)を包含する。
(i) 置換基として1個以上のアルキル基を有していてもよい、5員の単環式含窒素芳香族複素環化合物(当該環は、環構成原子として1〜3個の窒素原子を含有する。)
当該化合物の好適な具体例は、ピリジン、及びルチジンを包含する。
(ii)置換基として1個以上のアルキル基を有していてもよい、4〜7員の(C3−C6)単環式含窒素非芳香族複素環化合物(その複素環は、好適に、環構成原子として1〜3個の窒素原子を含有できる。)(前記置換基の一部又は全部は、窒素原子上に置換している。)
当該化合物の好適な具体例は、ピペリジンを包含する。
(iii)置換基として、1個又は2個の、−NR基[当該式中、Rは、各出現において独立して、水素、又はアルキル(好ましくは、メチル)である。]を有するベンゼン
当該化合物の好適な具体例は、アニリンを包含する。
(iv)ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、及びフェニル基からなる群から選択される置換基を1〜3個有していてもよい、トリアジン
(v) アルキルアミン
当該化合物の好適な例は、
式:RN(当該式中、Rは、各出現において独立して、C1−C8の第1級アルキル基、C3−7の第2級アルキル基である。)のアルキルアミン;
式:RNH(当該式中、Rは、各出現において独立して、C1−C8の第1級アルキル基、C3−7の第2級アルキル基、又はC4−C10の第3級アルキル基である。)のアルキルアミン;及び
式:RNH(当該式中、Rは、C1−C8の第1級アルキル基、C3−C7の第2級アルキル基、又はC4−C10の第3級アルキル基である。)のアルキルアミン
を包含する。
(vi) 有機塩
当該化合物の好適な例は、
NX(当該式中、Rは、C1−C8の第1級アルキル基であり、及びXは、ハロゲン原子である。)の有機塩を包含する。
【0068】
これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0069】
前記「塩基」の量は、触媒量から大過剰の範囲で選ぶことができる。
前記「塩基」の量は、具体的には、
前記カルボニル化合物(II)の1モルに対し、
好ましくは0.01〜20モルの範囲内、及び
より好ましくは0.1モル〜20モルの範囲内
であることができる。
【0070】
本発明において、反応溶媒として酸を用い、且つ塩基として金属、金属水酸化物、金属水素化物、金属アルコキシド、金属酸化物、又は有機塩基を用いた場合は、自明のこととして、当該酸及び当該塩基が反応して、当該酸の金属塩又は有機塩基塩が生成し得る。
【0071】
前記「塩」は、酸及び塩基の反応によって生成する化合物であることができる。その例としては、主として前記に例示した酸及び塩基の反応によって生成する化合物を例示できる。
【0072】
前記「塩」の例は、
硫酸又はスルホン酸の金属塩又はアンモニウム塩(例:硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、硫酸リチウム、硫酸セシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硫酸トリエチルアンモニウム、硫酸ピリジニウム、硫酸トリメチルピリジニウム、硫酸ポリアリルアンモニウム、硫酸ポリビニルピリジニウム、メタンスルホン酸ナトリウム、メタンスルホン酸アンモニウム、メタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、エタンスルホン酸カリウム、ブタンスルホン酸リチウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム);
カルボン酸の金属塩又はアンモニウム塩(例:ギ酸ナトリウム、ギ酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸アンモニウム、酢酸メチルアンモニウム、酢酸ジエチルアンモニウム、酢酸トリエチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、酢酸ピリジニウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、酪酸ナトリウム、酢酸ポリアリルアンモニウム、酢酸ポリビニルピリジニウム、イソ酪酸ナトリウム、バレリアン酸ナトリウム、ノナン酸ナトリウム、クロル酢酸ナトリウム、ブロム酢酸ナトリウム、トリクロル酢酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム);
無機金属塩(例:LiBr、LiI、NaBr、NaI、KBr、KI、RbBr、RbI、CsBr、CsI、BeBr、BeI、MgBr、MgI、CaBr、CaI、SrBr、SrI、BaBr、BaI、ZnBr、ZnI、CuBr、CuI、CuBr、CuI、AgBr、AgI、AuBr、AuI、NiBr、NiI、PdBr、PdI、PtBr、PtI、CoBr、Col、FeBr、FeBr、FeI、FeI、MnBr、MnI、CrBr、CrI、PbBr、PbI、SnBr、SnI、SnBr、SnI);
ピリジニウム塩又はアンモニウム塩(例:NHBr、NHI、MeNHBr、MeNHI、MeNBr、MeNI、EtNBr、EtNI、BuNBr、BuNI、PhMeNBr、PhMeNI、PhCHNMeI、臭化ピリジニウム、ヨウ化ピリジニウム、ヨウ化クロルピリジニウム、ヨウ化メチルピリジニウム、ヨウ化シアノピリジニウム、ヨウ化ビピリジニウム、ヨウ化キノリウム、ヨウ化イソキノリウム、臭化N−メチルピリジニウム、ヨウ化N−メチルピリジニウム、ヨウ化N−メチルキノリウム);
ホスホニウム塩(例:MePBr、MePI、EtPI、PrI、BuPBr、BuPI、PhPBr、PhPI);
ハロゲン化水素、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、ハロゲン酸、又は過ハロゲン酸の、金属塩又はアミン塩[例:フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化アンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化ポリアリルアンモニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、過臭素酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウム];
炭酸塩(例:炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム);
リン酸の金属塩又はアミン塩(例:リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸アンモニウム、リン酸ピリジニウム);
硝酸の金属塩又はアミン塩(例:硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硝酸ピリジニウム等);
ルイス酸及びハロゲン化水素からなる金属塩又はアミン塩(例:NaBF、KBF、LiBF、NaSbF、NaAsF、NaPF、NHBF、NHSbF、NHPF);
ホスホニウム塩(例:テトラメチルホスホニウムフルオライド、テトラメチルホスホニウムアセテート、テトラフェニルホスホニウムフルオライド);
フッ素アニオン若しくはHFを含有する常温溶融塩[例:(CNF、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムフルオライド、(CN−(HF)、(CNF−(HF)、(n−CN−(HF)、(n−CNF−(HF)、又はBF・EtO−(HF)等(n=1〜20)]
を包含する。
これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0073】
前記「添加物」の例は、ハロゲン、ハロゲン間化合物、及びポリハロゲン化物を包含する。
前記「ハロゲン」の例は、前記の通り、ヨウ素、臭素、及び塩素を包含する。なかでもヨウ素、及び臭素が好ましく、更にヨウ素が好ましい。
前記「ハロゲン間化合物」の例は、ClF、BrF、ICl、IBr、ICl、及びIClを包含する。
前記「ポリハロゲン化物」の例は、
LiClI、NaClI、KClI、CsClI、RbClI、MeNClI、EtNClI、PrNClI、BUNClI、PhNMeClI、PhCHNMeClI、MeSClI、ClIP、KCl、MeNCl、2,2’−ビピリジニウムμ−クロロジクロロジアイオダート、2,2’−ビキノリニウムμ−クロロジクロロジアイオダート、KClI、MeNClI、MeNClI、EtNCl、PhAsCl、KClF、MeNClF、CsClF、CsClFI、KBrClI、NHBrClI、MeNBrClI、MeNBrCl、BuNBrCl、MeNBrCl、CsBrFI、NaBrF、KBrF、CsBrF、MeNBrF、CsBrF、MeNBrF、EtNBrCl、CsBr、MeNBr、EtBr、BuNBr、PhCHNMeBr、ピリジニウムトリブロミド、BrP、CsBrI、MeNBrI、MeNBrI、MeNBrI、KBrCl、MeNBrCl、BuNBrCl、KBrI、MeNBrI、BuNBrI、2,2’−ビピリジニウム μ−ブロモジブロモジアイオダート、NaFI、KFI、CsFI、CsFI、CsFI、KI、CsI、MeNI、EtNI、PrNI、BuNI、ピリジニウムトリアイオジド、MeNI、EtNI、MeNI、MePBr、MePI、MePIBr、MePICl、EtPI、BuPI、PhPI、PhPBr、及びPhPIBr
を包含する。
これらの添加物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0074】
前述のように、IFと共に、更に、酸、塩基、塩及び添加物からなる群から選ばれる少なくとも一種、好ましくはその1〜3種(より好ましくは酸、塩基及び塩の組み合わせを除く1〜3種)を使用する場合、当該組合せは、複合体であってもよい。
当該複合体の例は、IF・HF・ピリジン コンプレックスを包含する。
【0075】
工程Aでは、基質である前記カルボニル化合物(II)の1モルに対し、IFが、
好ましくは0.2モル〜20モル、
より好ましくは0.3モル〜5モル、及び
更に好ましくは0.4モル〜2モル
の量で、用いられる。
【0076】
工程Aでは、前記添加物は、前記カルボニル化合物(II)の1モルに対し、
好ましくは、0.1〜10モル
の量で、用いられる。
工程Aの反応温度は、
好ましくは−70℃〜200℃、及び
より好ましくは−20℃〜100℃
である。
【0077】
工程Aは、反応溶媒の存在下、又は不存在下で実施され得る。
当該反応溶媒の例は、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、及び石油エーテル等の脂肪族溶媒;
ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、フルオロトリクロロメタン、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン、2−クロロ−1,2−ジブロモ−1,1,2−トリフルオロエタン、1,2−ジブロモヘキサフルオロプロパン、1,2−ジブロモテトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロテトラクロロエタン、1,2−ジフルオロテトラクロロエタン、ヘプタフルオロ−2,3,3−トリクロロブタン、1,1,1,3−テトラクロロテトラフルオロプロパン、1,1,1−トリクロロペンタフルオロプロパン、1,1,1−トリクロロトリフルオロエタン、及びポリクロロトリフルオロエチレン等のハロゲン化脂肪族溶媒;
ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン、及びプロピレンカーボナート等のエステル溶媒;
アセトニトリル、及びプロピオニトリル等のニトリル溶媒;
ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、及びニトロベンゼン等の芳香族溶媒;
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;並びに
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水、ニトロメタン、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、テトラメチルウレア、1,3−ジメチルプロピレンウレア、及びヘキサメチルフォスフォルアミド(HMPA)等のその他の溶媒
を包含する。
これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0078】
前記カルボニル化合物(II)、IF、所望による酸、塩基、塩、及び添加物は、長時間の間隔をおかない限り、工程Aの反応系に、任意の順序で添加可能である。
【0079】
工程Aの反応後の後処理として、過剰に酸化された有機化合物(すなわち、副生成物)を還元するために、又は過剰に残ったIF又はIF由来の酸化力のある化合物を還元するために、還元剤を添加してもよい。
【0080】
当該還元剤としては、還元性のある任意の化合物を使用できる。
その例は、亜鉛末、スズ、塩化スズ、鉄、アルミニウム、チオ硫酸ナトリウム、ブチルチンハイドライド、ソジウムボロハイドライド、及びリチウムアルミニウムハイドライド等の、無機又は有機の還元剤が例示される。
これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0081】
前記工程Aは、
前記IFを前記ジスルフィド化合物(III)と反応させる工程A1、及び
前記カルボニル化合物(II)を前記工程A1の反応生成物と反応させる工程A2
を含むことができる。
【0082】
工程A1、及び工程A2は、逐次的に、又は同時に実施され得る。
【0083】
工程A1の反応温度は、好適に室温であることができる。
工程A1の反応温度の上限は、好ましくは100℃、及びより好ましくは70℃であることができる。
工程A1の反応温度の下限は、好ましくは−50℃、より好ましくは−30℃、及び更に好ましくは−20℃であることができる。
工程A1の反応温度は、好ましくは−20℃〜100℃の範囲内、及びより好ましくは0℃〜70℃の範囲内であることができる。
当該反応温度が低すぎると、工程A1の反応が不十分になる虞がある。
当該反応温度が高すぎると、コスト的に不利であり、及び望ましくない反応が起こる虞がある。
【0084】
工程A1は、反応溶媒の存在下、又は不存在下で実施され得る。
当該反応溶媒の具体例は、ジクロロメタン、テトラクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、及びシクロヘキサン、並びにそれらの2種以上の混合溶媒を包含できる。
【0085】
所望により、工程A1で得られた反応生成物を工程A2に供する前に、所望により、抽出等の慣用の方法で分離、又は精製してもよいが、工程A1で得られた反応生成物は、好適に、そのまま工程A2に供することができる。
【0086】
当該工程A1の反応時間の上限は、好ましくは72時間、より好ましくは48時間、更に好ましくは24時間、より更に好ましくは12時間、及び特に好ましくは5時間であることができる。
当該工程A1の反応時間の下限は、好ましくは1分間、より好ましくは10分間、及び更に好ましくは30分間であることができる。
当該工程A1の反応時間は、好ましくは、1分間〜24時間の範囲内、より好ましくは、10分間〜12時間の範囲内、及び更に好ましくは、30分間〜5時間の範囲内であることができる。
当該反応時間が短すぎると、工程A1の反応が不十分になる虞がある。
当該反応時間が長すぎると、コスト的に不利であり、及び望ましくない反応が起こる虞がある。
【0087】
工程A2の反応温度は、好適に室温であることができる。
工程A2の反応温度の上限は、好ましくは100℃、より好ましくは70℃、更に好ましくは50℃、より更に好ましくは30℃、特に好ましくは10℃、及び特に好ましくは5℃であることができる。
工程A2の反応温度の下限は、好ましくは−20℃、より好ましくは−10℃、更に好ましくは−5℃、及びより更に好ましくは−2℃であることができる。
工程A2の反応温度は、好ましくは−20℃〜100℃の範囲内、より好ましくは−20℃〜70℃の範囲内、より更に好ましくは−10℃〜20℃、特に好ましくは−5℃〜10℃、及びより特に好ましくは−5℃〜5℃であることができる。
当該反応温度が低すぎると、工程A2の反応が不十分になる虞がある。
当該反応温度が高すぎると、コスト的に不利であり、及び望ましくない反応が起こる虞がある。
【0088】
工程A2は、反応溶媒の存在下、又は不存在下で実施され得る。
当該反応溶媒の具体例は、ジクロロメタン、テトラクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、及びシクロヘキサン、並びにそれらの2種以上の混合溶媒を包含できる。
【0089】
当該工程A2の反応時間の上限は、好ましくは48時間、より好ましくは24時間の範囲内、更に好ましくは10時間、及びより更に好ましくは5時間であることができる。
当該工程A2の反応時間の下限は、好ましくは5分間、より好ましくは30分間、及び更に好ましくは1時間であることができる。
当該工程A2の反応時間は、好ましくは5分間〜48時間の範囲内、より好ましくは30分間〜24時間の範囲内、更に好ましくは1時間〜10時間、及びより更に好ましくは1時間〜5時間の範囲内であることができる。
当該反応時間が短すぎると、工程A2の反応が不十分になる虞がある。
当該反応時間が長すぎると、コスト的に不利であり、及び望ましくない反応が起こる虞がある。
【0090】
前記工程A1、及び前記工程A2は、ワンポットで実施され得る。
当該態様では、好適に、前記塩基、前記酸、及び前記IFから形成された複合体を使用できる。
【0091】
本発明の一態様では、前記工程A1、及び前記工程A2が逐次的に実施される。
すなわち、前記工程A1の反応が完了した後に、及び前記工程A2の反応が開始されることができる。
本発明の別の一態様では、前記工程A1、及び前記工程A2が同時に実施される。
すなわち、前記工程A1の反応が完了する前に、前記工程A2の反応が開始されることができる。
当該態様では、好適に、前記塩基、前記酸、及び前記IFから形成された複合体を使用できる。
【0092】
本発明の製造方法は、例えば、前記塩基、前記酸、及び前記IFの複合体、及び前記カルボニル化合物(II)を容器に入れ、次いで当該容器に前記ジスルフィド化合物(III)を入れることにより実施できる。
【0093】
本発明の製造方法は、また、例えば、当該工程A1の反応を第1容器内で進行させ、及び第2容器に前記カルボニル化合物(II)を入れ、当該第1容器と当該第2容器と連結してこれらの内容物を接触させることにより、前記工程A2の反応を進行させることにより実施できる。
【0094】
本発明の製造方法で製造された前記ジフルオロメチレン化合物(I)は、所望により、抽出等の慣用の方法で精製できる。
【0095】
本発明の製造方法の転化率は、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、及び更に好ましくは90%以上であることができる。
【0096】
本発明の製造方法により、前記ジフルオロメチレン化合物(I)は、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、及び更に好ましくは70%以上の収率で、得られる。
【0097】
本発明の製造方法により、前記ジフルオロメチレン化合物(I)は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、及び更に好ましくは70%以上の選択率で、得られる。
【実施例】
【0098】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0099】
実施例1
反応器 (容量:100 mL)に、IF・HF・ピリジン コンプレックス 2.1 g (6.6 mmol)を仕込み、ジクロロメタン 15 mLを加えて溶液を調製した。
この溶液を0℃に冷却した後、ジフェニルジスルフィド 1.0 g (4.6 mmol)のジクロロメタン 8 mL溶液、及びベンズアルデヒド0.97 g(9.2 mmol)を加えた。
室温まで昇温したのち終夜撹拌した。
反応液をろ別後、ろ液に飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えたジクロロメタン層を分取した。溶媒留去後FNMR分析を行いPhCHFの存在を確認した。
19FNMR:δ-110.9 (d, 2F, J= 60Hz)
実施例2
反応器 (容量:100 mL)に、IF・HF・ピリジン コンプレックス 0.90 g (2.8 mmol)を仕込み、ジクロロメタン 3 mLを加えて溶液を調製した。
この溶液を0℃に冷却した後、ビス(4-t−ブチル-2,6-ジメチルフェニル)ジスルフィド 0.54 g (1.4 mmol)のジクロロメタン6 mL溶液、及びベンズアルデヒド 0.58 g (5.5 mmol)を加えた。
室温まで昇温したのち終夜撹拌した。
反応液をろ別後、ろ液に飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えたジクロロメタン層を分取した。溶媒留去後FNMR分析を行いPhCHFの存在を確認した。
19FNMR:δ-110.9 (d, 2F, J= 60Hz)