(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ラッチが開き切った状態で、前記第一フック部の突端から前記切欠溝の前辺までの距離は、前記ストライカーの直径の3分の1の長さよりも短いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のラッチ装置。
前記座部の後部がリクライニング機構によってバックレストの下端部に連結され、ヘッドレストが前記バックレストの上端部に設けられていることを特徴とする請求項6に記載のシート装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術の場合、車体に固定された車両用シートを回動させるためにロック装置の解除を行う際に、
図14(a)に示すように、ラチェット30aを図中反時計回りに回転させた後、ラッチ20aを開放状態に開き切った状態でストライカー2を解放してロック解除することができればよいものの、ラッチ20aが完全に開放される前にロックの解除操作をやめてしまったことでラチェット30aが図中時計回り方向に戻ってしまい、
図14(b)に示すように、ラチェット30aがラッチ20aに突き当たり、ラチェット30aの外周平面とラッチ20aの外周平面とが密接して、ラチェット30aとラッチ20aが噛み合わさってしまうことがあった。
そして、
図14(b)に示すように、ベースプレート10aの切欠溝12aからラッチ20aの下フック23aが退避できない状態でラッチ20aが止まっていると、ストライカー2を再度ロックしようとした場合に、ストライカー2がラッチ20aの下フック23aに当たってしまうことがある。ストライカー2が下フック23aに当たった衝撃で、そのストライカー2がラッチ20aの係合溝24aに入る前に、ラッチ20aが図中時計回りに回転してロック状態に閉じてしまい、ストライカー2をラッチ20aで拘束することができないというトラブルが生じてしまうことがあった。
そこで、本発明の課題は、ラッチの開放を確実に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、ラッチ装置であって、
所定位置に設けられたストライカーを進入させる切欠溝を有するベース部材と、
前記ベース部材に回転可能に連結され、前記切欠溝に進入した前記ストライカーと係合してロックする係合溝を有するラッチと、
前記ベース部材に回転可能に連結され、前記ラッチに当接することで前記ラッチの回転を規制するラチェットと、
前記ラチェットを前記ラッチに当接する方向に付勢する付勢部材と、
を備え、
前記切欠溝は、下側の間口において最も広く、前記下側の間口から上側の突き当たりに向かって漸次狭くなり、かつ、前記ラッチのうち前記ストライカーに当接して係合する第一フックにおける前後方向先端部よりも、前記ラッチが開き切った状態において広くなるように傾斜して形成され
、前記下側の間口から前記上側の突き当たりに向かって延びる前辺と後辺とを有し、
前記切欠溝における前記前辺と前記後辺は、前記前辺の下端と前記後辺の下端とを前記切欠溝の溝幅方向に沿って接続する仮想直線を基準線とすると、前記基準線に対してそれぞれ一定の角度で前記基準線から前記上側の突き当たりに向かって延びており、
前記ベース部材の下端部には、前記切欠溝が一体に形成され、かつ、
前記ラッチがアンロック状態で開き切った状態の時に前記ラッチの下端部が前記ベース部材の下端部よりも下方に突出可能となるように開放された部位があることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のラッチ装置において、
前記ストライカーの上面は、横から見て凸面の弧状に形成されていて、
前記ベース部材に形成された前記切欠溝における前記突き当たりは、横から見て凹面の弧状に形成されており、
前記ストライカーの上面の曲率と前記突き当たりの曲率がほぼ等しくなっており、前記ストライカーが前記切欠溝に進入して前記突き当たりに当接した場合に、前記ストライカーの上面と前記突き当たりとが面接触することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のラッチ装置において、
前記切欠溝の
前記前辺と前記後辺とが前記基準線に対してそれぞれ一定の角度で傾斜している間口は、前記ラッチが前記ストライカーに係合する回転方向の側に形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項
1〜3
のいずれか一項に記載のラッチ装置において、
前記ラッチは、前記係合溝を構成する前記第一フック部と第二フック部を備えており、
前記ストライカーが前記係合溝に係合され前記ラッチがロックされた状態では、前記第二フック部は前記ストライカーと当接した状態となることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載のラッチ装置において、
前記ラッチが開き切った状態で、前記第一フック部の突端から前記切欠溝の前辺までの距離は、前記ストライカーの直径の3分の1の長さよりも短いことを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、
シート装置
であって、
請求項1〜5の何れかのラッチ装置と、前記ストライカーと、座部と、を備え、
前記ラッチ装置と前記ストライカーのうち一方が前記座部に取り付けられ、他方がフロアに取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の
シート装置において、
前記座部の後部がリクライニング機構によってバックレストの下端部に連結され、ヘッドレストが前記バックレストの上端部に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば
、ラッチの開放が確実に行われるようになる。つまり、ラッチ装置によるストライカーの保持(ロック)と解放(アンロック)が適切に行われるようになる。
そして、ラッチの開放が確実に行われれば、中途半端な位置で止まっていたラッチがストライカーを拘束する前にロック状態に閉じてしまったトラブルを大幅に低減することができる。
【0017】
請求項2から請求項
5に係る発明によれば、請求項1に記載の発明と同等の作用、効果を奏す
る。
【0020】
請求項
6及び7に係る発明によれば、請求項1から請求項10に記載の発明と同等の作用、効果を奏するととともに、座部をフロアに好適に固定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0023】
図1は、車両用シート装置90の左側面図である。
この車両用シート装置90においては、座部91の後部がリクライニング機構によってバックレスト92の下端部に連結され、ヘッドレスト93がバックレスト92の上部に設けられている。座部91の前部の下部がブラケット94に回転可能に連結され、そのブラケット94が車両のフロア99上に固定されている。座部91がブラケット94との連結部を中心にして前後に起伏可能に設けられている。
座部91の後部の下部には、ラッチ装置1が取り付けられている。一方、ストライカー2が車両フロア99上に固定されている。ラッチ装置1がストライカー2と係脱可能である。ラッチ装置1がストライカー2に係合することによって、座部91が後ろに倒伏した状態が保持される。一方、ラッチ装置1がストライカー2を解放することによって、座部91を起伏することができる。
【0024】
図2、
図3は、ラッチ装置1の左側面図である。
図2は、ラッチ装置1がストライカー2と係合した状態を示し、
図3は、ラッチ装置1がストライカー2を解放した状態を示す。
図2、
図3に示すように、ベース部材であるベースプレート10の上部が軸11によって座部91のフレームに連結されている。軸11が左右方向に対して平行に設けられ、ベースプレート10が軸11を中心にして座部91のフレームに対して回転可能に設けられている。
【0025】
ベースプレート10の下端には、ストライカー2が進入可能な切欠溝12が形成されている。この切欠溝12は軸11の径方向であって上下方向に延在し、切欠溝12の下側が開口している。切欠溝12の幅は、つまり、切欠溝12の前辺13と後辺14の間隔は、下側の間口において最も広く、その間口から上側の突き当たり15に向かって漸次狭くなる。切欠溝12の突き当たり15は、横から見て凹面の弧状に形成されている。一方、ストライカー2の上面は、横から見て凸面の弧状に形成されており、ストライカー2の上面の曲率と突き当たり15の曲率がほぼ等しい。従って、ストライカー2が切欠溝12に進入して突き当たり15に当接した場合、ストライカー2の上面と突き当たり15が面接触をする。そのため、ストライカー2がベースプレート10に対してがたつかないようにするために、別途ストッパ等を切欠溝12の奥部に設けずに済み、部品点数の削減を図ることができる。なお、切欠溝12の突き当たり15の形状がストライカー2の上面の形状に合致していれば、これらの形状が弧状に限るものではない。
【0026】
ベースプレート10には、ラッチ20、ラチェット30及びオープンレバー40が連結され、ラッチ20には、作動レバー50が連結されている。
【0027】
ラッチ20は、ラッチ軸21によってベースプレート10に連結されている。ラッチ軸21が軸11に対して平行であり、ラッチ20がラッチ軸21を中心にしてベースプレート10に対して回転可能に設けられている。ラッチ20とベースプレート10の連結箇所は、つまり、ラッチ軸21の位置は、切欠溝12の突き当たり15の後方である。ラッチ軸21から切欠溝12の突き当たり15までの距離が短くなるよう、ラッチ軸21の位置が設定されている。
【0028】
ラッチ20は、第一フック部22、第二フック部23、係合溝24、進入段部25及び係合フック部26を有する。第一フック部22は、ラッチ20の外周面からラッチ軸21の径方向外側に突出する態様で形成されている。第二フック部23は、ラッチ20の外周面から第一フック部22と略平行に突出する態様で形成されている。第一フック部22と第二フック部23が互いに間隔をおいてあり、それらの間に係合溝24が形成されている。係合溝24は、ラッチ20の外周面の一部を開口する態様で形成されている。係合溝24が前方に向けて開口した場合、第一フック部22が係合溝24の上に位置し、第二フック部23が係合溝24の下に位置する。被当接部である係合フック部26は、ラッチ20の外周面からラッチ軸21の径方向外側に突出する態様で形成されている。進入段部25は、第二フック部23と係合フック部26との間に形成されているとともに、ラッチ20の外周面の一部をラッチ軸21の径内方向に凹む態様で形成されている。このラッチ20が、ラッチ軸21を中心に図中時計回りに回転する方向が係合溝24にストライカー2を係合させるロック方向であり、図中反時計回りに回転する方向が係合溝24からストライカー2が抜け出るアンロック方向である。
【0029】
ラチェット30は、ラチェット軸31によってベースプレート10に連結されている。ラチェット軸31が軸11及びラッチ軸21に対して平行であり、ラチェット30がラチェット軸31を中心にしてベースプレート10に対して回転可能に設けられている。ラチェット30とベースプレート10の連結箇所は、つまり、ラチェット軸31の位置は、切欠溝12の突き当たり15の斜め上前方である。
【0030】
ラチェット30は、当接部32及び作動腕33を有する。
当接部32は、ラチェット軸31からラチェット軸31の径方向外側に延出している。当接部32は、その先端を挟んで、一方の外周面であるアンロック面34と他方の外周面であるロック面35とを有している。このアンロック面34がラッチ20の係合フック部26の外周面に当接する際、ラッチ20を図中反時計回りのアンロック方向へ回転させて、ラッチ20がロック方向へ回転することを規制するようになっている。また、ロック面35がラッチ20の係合フック部26の外周面に当接する際、ラッチ20が図中反時計回りのアンロック方向へ回転することを規制するようになっている。なお、当接部32のアンロック面34は凹状に湾曲し、ラチェット軸31の径方向に延在している。当接部32の外周面の曲率、特にアンロック面34の曲率は、係合フック部26の外周面の曲率とは異なるように形成されている。当接部32のロック面35はラチェット軸31の周方向に延在しているとともに、ラチェット軸31を中心にして弧状に形成されている。
当接部32の突端とラチェット軸31との間の部分には、カムフォロワ36が凸設されている。作動腕33は、ラチェット軸31を中心にした反時計回りの向きに当接部32から延出している。作動腕33の突端部には、係合ピン37が取り付けられている。
【0031】
ラチェット軸31には、ストッパ60が設けられている。ストッパ60が円盤状に設けられ、ラチェット軸31とストッパ60が同軸に設けられている。
【0032】
オープンレバー40は、レバー軸41によってベースプレート10に連結されている。レバー軸41が軸11、ラッチ軸21及びラチェット軸31に対して平行であり、オープンレバー40がレバー軸41を中心にしてベースプレート10に対して回転可能に設けられている。オープンレバー40とベースプレート10の連結箇所は、つまり、レバー軸41の位置は、ラチェット軸31の上方である。
【0033】
図4は、オープンレバー40の左側面図である。オープンレバー40は板状に設けられているとともに、係入溝42を有する。係入溝42は、オープンレバー40の外周面の一部を開口する態様で形成されており、レバー軸41の径方向に延在している。この係入溝42に係合ピン37が係入している。レバー軸41を中心にして係入溝42の時計回り側の縁43は、直線状に形成されている。レバー軸41を中心にして係入溝42の反時計回り側の縁44のうち間口部分には、切欠き45が形成されている。そのため、係入溝42の間口側の幅が突き当たり側の幅よりも広くなっている。係入溝42の突き当たり側の幅は、係合ピン37の直径に等しく、係入溝42の間口側の幅は、係合ピン37の直径よりも大きい。
【0034】
図2,
図3に示すように、作動レバー50は、連結軸51によってラッチ20に連結されている。連結軸51が軸11、ラッチ軸21、ラチェット軸31及びレバー軸41に対して平行であり、作動レバー50が連結軸51を中心にしてラッチ20に対して回転可能に設けられている。作動レバー50とラッチ20の連結箇所は、つまり、連結軸51の位置は、ラッチ軸21よりも係合フック部26の突端寄りである。
【0035】
作動レバー50は、内接カム52、バネ掛部57、摺接面58及び突起部59を有する。
突起部59は、作動レバー50の外周面から、連結軸51を中心にした反時計回りの向きに凸設する態様で形成されている。
摺接面58は、突起部59の突端から連結軸51を中心にした時計回りの向きに延設されている。この摺接面58は作動レバー50の外周面に形成され、その摺接面58が連結軸51を中心とする略弧状に設けられている。
内接カム52は、摺接面58と連結軸51との間に設けられている。内接カム52は、作動レバー50の一側面から反対面に貫通するように形成された穴部である。この内接カム52内に、カムフォロワ36が挿入されている。内接カム52の内周面は、第一カム面53、第二カム面54、第一受け面55及び第二受け面56から構成される。第一カム面53の一端が第二カム面54の一端に連接され、第二カム面54の他端が第二受け面56の一端に連接され、第二受け面56の他端が第一受け面55の一端に連接され、第一受け面55の他端が第一カム面53の他端に連接されている。第一カム面53は、カムフォロワ36に対して連結軸51の径方向外側でカムフォロワ36に摺接する。第二カム面54は、カムフォロワ36に対してラチェット軸31の径方向外側でカムフォロワ36に摺接する。第一受け面55は、カムフォロワ36に対して連結軸51の周方向反時計回り側でカムフォロワ36に当接する。第二受け面56は、カムフォロワ36に対して連結軸51の周方向時計回り側でカムフォロワ36に当接する。
【0036】
バネ掛部57は、突起部59よりも連結軸51を中心にした時計回り側において作動レバー50の径外方向端部に設けられている。
図5は、
図2、
図3における矢印Aの方向に見て示した図面である。
図5に示すように、バネ掛部57と作動レバー50が一体成形され、作動レバー50の径外方向端部が折り曲げ加工されることによってバネ掛部57が形成される。バネ掛部57と作動レバー50が一体形成されているので、別途バネ掛用のピン等を作動レバー50に取り付けずに済み、部品点数・コストの削減を図ることができる。
【0037】
バネ掛部57には、バネ掛溝57aが形成されている。
図2に示すように、付勢部材であるバネ70の一端部がバネ掛部57に掛かり、バネ70の他端部が係合ピン37に掛かっている。バネ70によって、ラチェット30の作動腕33と作動レバー50の径外方向端部とを互いに近づける向きの荷重がラチェット30及び作動レバー50に作用する。つまり、連結軸51を中心にした反時計回りのモーメントがバネ70によって作動レバー50に作用し、ラチェット軸31を中心にした時計回りのモーメントがバネ70によってラチェット30に作用する。そして、バネ70は、ラチェット30をラッチ20に当接させる方向に回転させる付勢力を作用させている。
【0038】
連結軸51からバネ掛部57までの距離が長くなるよう、バネ掛部57の位置、連結軸51の位置及び作動レバー50の形状が設定されている。具体的には、
図2において、係合ピン37よりも上側に位置するバネ掛部57にバネ70が連結されており、バネ掛部57と係合ピン37を結ぶ線分から連結軸51までの距離は、比較的長く設定されている。そのため、
図2において、バネ70によってラチェット30及び作動レバー50に作用するモーメントが大きくなり、振動等によってラチェット30が反時計回りに回転しにくく、作動レバー50が時計回りに回転しにくい。それゆえ、がたつきや騒音を抑えることができる。
【0039】
続いて、
図2、
図3、
図6〜
図9を参照して、オープンレバー40を反時計回りに回転させるコントロールケーブル装置100の構成について説明する。
図6〜
図8は、それぞれ異なる向きにコントロールケーブル装置100の一端部を見て示した斜視図である。
図9は、コントロールケーブル装置100の他端部の側面図である。
【0040】
ベースプレート10には、ブラケット106が取り付けられている。ブラケット106の取付位置は、レバー軸41の右斜め上方である。ブラケット106にはアウターチューブ102の一端部が固定されている。インナーケーブル101がアウターチューブ102内に通され、インナーケーブル101の両端部がアウターチューブ102から延び出ている。
【0041】
インナーケーブル101がオープンレバー40から操作レバー103にかけて配索されている。操作レバー103は、軸104によって取付部105に連結されている。操作レバー103は、軸104を中心にして取付部105に対して回転可能に設けられている。取付部105は、座部91又はバックレスト92等に固定されている。
【0042】
インナーケーブル101の一端が操作レバー103に連結されている。インナーケーブル101の他端には、係止ボール107が固定されている。係止ボール107は、載置プレート108上に載置されている。載置プレート108はオープンレバー40と一体となっており、係止ボール107が載置される面はオープンレバー40の側面と面一に設けられている。
【0043】
載置プレート108の縁部分には、立壁109が立設されている。立壁109の設置箇所は、レバー軸41に関して係入溝42の反対側である。レバー軸41を中心にして立壁109の反時計回り側端部には、係止部110が設けられている。係止部110は、立壁109からレバー軸41の径方向に延出している。係止部110が載置プレート108の側面(係止ボール107が載置される面)から離れ、係止部110と載置プレート108との間には隙間111が形成されている。インナーケーブル101は、隙間111に通されている。隙間111にインナーケーブル101が通された状態では、係止部110が係止ボール107よりもブラケット106側に位置している。
【0044】
係止部110の先端には、爪状の抜け止め112が形成されている。抜け止め112が係止部110の先端から載置プレート108の縁近傍に向けて突出している。抜け止め112の先端は、係止ボール107が載置される面よりも更にその面の反対面側にまで突出している。抜け止め112と載置プレート108の縁の間に隙間が形成され、インナーケーブル101の端部に係止ボール107が取り付けられた状態であっても、その隙間を通じてインナーケーブル101を隙間111に対して係脱することができる。また、抜け止め112によってインナーケーブル101が隙間111から抜けることを防止することができる。
【0045】
載置プレート108の縁の一部には、凸部113が形成されている。この凸部113は、載置プレート108の縁から隙間111内へ突出している。凸部113は係止部110から離れており、隙間111が凸部113によって塞がれていない。インナーケーブル101は、凸部113と係止部110の間において隙間111に通されている。このような凸部113によって隙間111を狭くすることができ、係止ボール107が隙間111を通って抜けることを防止することができる。
【0046】
係止ボール107が載置プレート108に載置されているから、インナーケーブル10
1が緩んだ状態でも、係止ボール107が載置プレート108やオープンレバー40の外周面に引っ掛からないようにすることができる。
【0047】
次に、
図2に示すようにラッチ装置1が係合状態にある場合の各部材の位置・状態について説明する。
ストライカー2がベースプレート10の切欠溝12に挿入され、そのストライカー2が切欠溝12の突き当たり15に当接している。ラッチ20はロック方向に回転されており、ラッチ20の第二フック部23がストライカー2の下側において切欠溝12を前後に横切り、ストライカー2が第二フック部23に当接している。第一フック部22が切欠溝12よりも僅かに上に位置し、側面視して第一フック部22の下縁が切欠溝12の突き当たり15に揃っている。ストライカー2が係合溝24に係合されているとともに、係合溝24の突き当たりに当接している。これによって、ストライカー2が第二フック部23、係合溝24の突き当たり及び切欠溝12の突き当たり15によって拘束されてロックされているとともに、ラッチ軸21を中心としたラッチ20の時計回りの回転が止められている。切欠溝12の突き当たり15の形状がストライカー2の上面の形状に合致して、ストライカー2が切欠溝12に突き当たり15に当接しているから、ストライカー2がベースプレート10に対してがたつかない。また、ストライカー2が第二フック部23に当接した状態で係合溝24の突き当たりに当接しているから、ストライカー2がラッチ20に対してもがたつかない。また、ラッチ軸21から切欠溝12の突き当たり15までの距離が短くなるよう、ストライカー2から第二フック部23に下向きの荷重が作用した場合でも、ラッチ20に作用するモーメントを小さくすることができる。そのため、耐荷重性を向上させることができる。
【0048】
連結軸51が、ラッチ軸21の上であって、ラチェット軸31の後ろに位置している。
突起部59がストッパ60の後ろに位置し、摺接面58がストッパ60の後ろ側でストッパ60に当接している。具体的には、摺接面58は、ラチェット軸31と連結軸51とを結ぶ線よりも上でストッパ60に当接している。これにより、連結軸51を中心とした作動レバー50の反時計回りの回転が止められているとともに、ラッチ軸21を中心としたラッチ20の反時計回りの回転が止められている。
【0049】
進入段部25が上斜め前に向けて開口している。ラチェット30の当接部32がラチェット軸31を中心にして後倒し、その当接部32が進入段部25に入り込み、当接部32のロック面35が、ラッチ20の係合フック部26の外周面に当接している。これにより、ラッチ軸21を中心としたラッチ20の反時計回りの回転が規制されている。
また、当接部32の先端が進入段部25の底に当接している。これにより、ラチェット軸31を中心としたラチェット30の時計回りの回転が止められている。
【0050】
ラチェット30のカムフォロワ36が、内接カム52の第一カム面53、第二カム面54及び受け面55の何れからも離れている。
係合ピン37がラチェット軸31の上斜め後ろに位置している。その係合ピン37が、切欠き45よりも係入溝42の突き当たり寄りに位置しているが、係入溝42の突き当たりから離れている。係入溝42の縁44が後ろ斜め下に傾斜している。
係止ボール107及び係止部110がレバー軸41の上斜め前に位置しているとともに、ブラケット106の下斜め後ろに位置している。係止ボール107が係止部110に係止している。
バネ70は自然長であるか、又は自然長よりも僅かに伸びた状態にある。
【0051】
次に、ラッチ装置1の解放動作について説明する。
作業者が操作レバー103を回転して、インナーケーブル101を引く。そうすると、ラッチ装置1が
図2の状態から
図10の状態に動く。すなわち、オープンレバー40がレ
バー軸41を中心にして時計回りに回転するとともに、ラチェット30がラチェット軸31を中心にして反時計回りに回転する。この際、カムフォロワ36が第一カム面53に近づいて、第一カム面53に当接する。カムフォロワ36が第一カム面53に当接する時に、当接部32が進入段部25から抜ける(
図10参照)。当接部32が進入段部25から抜けるまでは、当接部32のロック面35が係合フック部26の外周面に当接しており、ラッチ軸21を中心としたラッチ20の反時計回りのアンロック方向への回転が当接部32及び係合フック部26によって止められている。つまり、当接部32が進入段部25から抜けるようにラチェット30が反時計回りに回転する際には、当接部32のロック面35が係合フック部26に対して摺動し、ラッチ20がアンロック方向へ回転することを規制しており、ラッチ20とベースプレート10とでストライカー2をロックした状態が維持される。ラチェット30が
図2の状態から
図10の状態に反時計回りに回転する際には、バネ70が伸びて、作動レバー50がバネ70によって反時計回りの向きに引っ張られる。しかし、摺接面58がラチェット軸31と連結軸51とを結ぶ線よりも上でストッパ60に当接し、バネ70の引張荷重がストッパ60に受けられているので、作動レバー50が反時計回りに回転しない。
【0052】
作業者が操作レバー103を更に回転して、インナーケーブル101を更に引くと、ラッチ装置1が
図10の状態から
図11の状態に動く。すなわち、オープンレバー40がレバー軸41を中心にして時計回りに回転するとともに、ラチェット30がラチェット軸31を中心にして反時計回りに回転する。この際、カムフォロワ36が第一カム面53に当接した状態で前斜め上に移動するから、カムフォロワ36によって作動レバー50が引き上げられるとともに、カムフォロワ36が第一受け面55に当接するまで第一カム面53に沿って摺動する。そのため、作動レバー50がバネ70の引張荷重に抗して、連結軸51を中心にして時計回りに回転する。作動レバー50が
図10の状態から
図11の状態に時計回りに回転して、ラチェット30がラッチ20から離間し、ラッチ20のアンロック方向への回転の規制が解除されても、まだラッチ20はラッチ軸21を中心として回転しない。
【0053】
作業者が操作レバー103を更に回転して、インナーケーブル101を更に引くと、ラッチ装置1が
図11の状態から
図12の状態に動く。すなわち、オープンレバー40がレバー軸41を中心にして時計回りに回転するとともに、ラチェット30がラチェット軸31を中心にして反時計回りに回転する。この際、カムフォロワ36が第一カム面53と第一受け面55の間の角部に位置した状態で前斜め上に移動するから、カムフォロワ36によって作動レバー50が前斜め上に引き上げられる。そのため、作動レバー50がバネ70の荷重に抗して、連結軸51を中心にして時計回りに回転するとともに、連結軸51がラッチ軸21とカムフォロワ36との間に向かって相対的に移動する。それに伴って、ラッチ20はラッチ軸21を中心として反時計回りのアンロック方向に回転する。ラッチ20が反時計回りに回転することによって、係合フック部26がラチェット軸31を中心とした当接部32の円弧状軌道上に移動する。また、ラッチ20が反時計回りに回転することによって、連結軸51がラチェット軸31及びストッパ60に近づき、連結軸51からラチェット軸31及びストッパ60までの距離がラチェット軸31から突起部59までの距離よりも短くなる。また、ラッチ20が反時計回りに回転することによって、第一フック部22が切欠溝12の突き当たり15から切欠溝12内にはみ出て、第一フック部22からストライカー2に荷重が掛かり、その反力がラッチ20及びベースプレート10等に対して上に向かって作用する。そのため、ラッチ20が反時計回りに回転すると、ベースプレート10が軸11を中心にして後ろに振り上げられる。
【0054】
そして、カムフォロワ36、連結軸51及びラッチ軸21が一直線状に並んだ状態になると、ラチェット30がそれ以上反時計回りに回転できない。カムフォロワ36、連結軸51及びラッチ軸21が一直線状に並んだ状態では、係合ピン37が切欠き45よりも係
入溝42の間口寄りに位置している。切欠き45の部分では係入溝42の幅が係合ピン37の直径よりも広いから、作業者が操作レバー103でインナーケーブル101を更に引っ張っても、オープンレバー40が時計回りに回転する。従って、インナーケーブル101のオーバーストローク量を稼ぐことができる。
【0055】
また、カムフォロワ36、連結軸51及びラッチ軸21が一直線状に並んだ状態では、第二フック部23の突端から切欠溝12の前辺13までの距離がストライカー2の直径よりも短く、ストライカー2が係合溝24内にある。
【0056】
その後、作業者が操作レバー103を離す。そうすると、
図13に示すように、ラッチ20のアンロック方向への回転の規制を解除するように、バネ70の付勢力に抗して図中反時計回りに回転されていたラチェット30がバネ70の引張荷重によってラチェット軸31を中心にして時計回りに回転し、作動レバー50がバネ70の引張荷重によって連結軸51を中心にして反時計回りに回転し、カムフォロワ36が第一カム面53及び第二受け面55から離れる。ラチェット30が時計回りに回転することによって、当接部32が係合フック部26に近づく。一方、作動レバー50が反時計回りに回転することによって、突起部59がストッパ60に近づき、突起部59がストッパ60の上部に当接する(
図13参照)。
【0057】
突起部59がストッパ60の上部に当たった後、ラチェット30がバネ70の付勢力によって更に時計回りに回転し、当接部32のアンロック面34が係合フック部26の上から係合フック部26の外周面に当接する。ここで、当接部32のアンロック面34は、係合フック部26の外周面とは異なる曲率を有しているので、アンロック面34が係合フック部26の上から係合フック部26に線接触する。そのため、ラチェット30の外周面とラッチ20の外周面とが密接して、ラチェット30とラッチ20が噛み合わさってしまうことはなく、ラチェット30の回転力がラッチ20に伝達されるので、ラッチ20の反時計回りの回転が妨げられずに、ラッチ20が開き切るまでアンロック方向へ回転される。
【0058】
当接部32のアンロック面34が係合フック部26の上部に当接した後、ラチェット30がバネ70によって更に時計回りに回転し、係合フック部26が当接部32によって下に押される。そのため、時計回りに回転するラチェット30に押されたラッチ20は、ロック方向である時計回りの回転が規制されて反時計回りに回転し、ラッチ20が開き切るまでアンロック方向へ回転する。ラッチ20が開き切ると、切欠溝12の後辺14から前に突き出ていた第二フック部23が後ろに引き下がる。これによって、第二フック部23の突端から切欠溝12の前辺13までの距離がストライカー2の直径よりも長くなるとともに、ストライカー2が係合溝24から抜ける(
図3参照)。従って、ストライカー2が解放され、ストライカー2を切欠溝12から離脱することが可能になる。ストライカー2が解放された状態では、座部91を起伏することができる。
【0059】
図3に示すようなラッチ装置1が解放状態にある場合には、バネ70が自然長である。そして、
図3に示すような状態のラッチ20が時計回り・反時計回りのどちらに回転する場合でも、係合ピン37とバネ掛部57の距離が広がるので、
図3に示すような状態がバネ70によって保たれている。そして、ラチェット30の当接部32の先端からアンロック面34側の一部が、ラッチ20の係合フック部26の外周面に当接して、ラッチ20を反時計回りのアンロック方向へ押圧するようにラッチ20が開き切った状態に維持して、ラッチ20が時計回りのロック方向へ回転することを規制している。また、
図3に示すような状態では、第一フック部22が切欠溝12を前後に横切っている。そして、第一フック部22の突端から切欠溝12の前辺13までの距離は短く、ストライカー2の直径の3分の1の長さよりも短い。
【0060】
次に、ラッチ装置1の係合動作について説明する。
ベースプレート10を下に移動させて、ストライカー2を切欠溝12に進入させる。ストライカー2が切欠溝12に進入する際、第二フック部23は切欠溝12の後辺14からベースプレート10側に位置し切欠溝12から退避しているので、ストライカー2は第二フック部23と接触することなく切欠溝12に進入する。ストライカー2が切欠溝12に進入すると、ストライカー2が第一フック部22に当たる。そして、ベースプレート10を押し下げると、ストライカー2から第一フック部22に上方向の反力が作用し、ラッチ20がラッチ軸21を中心にして時計回りに回転する。ここで、第一フック部22の突端から切欠溝12の前辺13までの距離が短く設定されているから、ストライカー2の反力によって、ラッチ軸21を中心にして時計回りのモーメントが第一フック部22に作用する。そのため、ラッチ20が反時計回りに回転しないようにすることができる。
【0061】
ラッチ20が時計回りに回転することによって、ストライカー2が係合溝24に進入する。これによって、ベースプレート10が軸11を中心にして前に振り下げられる。
【0062】
また、ラッチ20が時計回りに回転することによって、当接部32が係合フック部26によって上に押され、ラチェット30がラチェット軸31を中心にして反時計回りに回転する。そのため、バネ70が伸びる。この際、連結軸51がラッチ軸21を中心にして時計回りに移動し、作動レバー50が連結軸51を中心にして反時計回りに回転し、その作動レバー50が全体として後ろに動く。その際、突起部59がストッパ60の外周面に当接した状態で、その突起部59がストッパ60の外周面に沿って時計回りに摺動する。同時に、当接部32の突端が係合フック部26の外周面に沿って進入段部25に向かって摺動する。
【0063】
そして、当接部32の突端が係合フック部26の外周面を進入段部25にまで摺動すると(
図10参照)、バネ70の引張荷重によってラチェット30がラチェット軸31を中心にして時計回りに回転する。それに伴い、当接部32が進入段部25に進入し、当接部32の突端が進入段部25の底に当接する(
図2参照)。また、当接部32のロック面35が係合フック部26の外周面に当接し、ラッチ20が反時計回りのアンロック方向に回転しないよう規制する(
図2参照)。この際、突起部59がストッパ60の後ろに位置している。以上により、ラッチ装置1が係合状態になる。
【0064】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上記実施形態ではラッチ装置1が座部91に取り付けられ、ストライカー2が車両フロア99に取り付けられていたが、逆に、ラッチ装置1が車両フロア99に取り付けられ、ストライカー2が座部91に取り付けられていてもよい。
また、上記実施形態では本発明に係るラッチ装置を自動車の座席に用いた場合について説明したが、その他の乗物(例えば、航空機、船舶、鉄道の車両等)の座席に用いてもよい。更に、座席以外のもの、例えば、ドア、ボンネット、トランク、グローブボックス等のように動く物をラッチするために、本発明に係るラッチ装置を用いてもよい。