(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の構成要素は同一又は類似の符号で表している。図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本願発明の技術的範囲を当該実施形態に限定して解するべきではない。
【0013】
また、以下の説明において、圧電振動子の一例として、水晶振動素子(Quartz Crystal Resonator)を備えた水晶振動子(Quartz Crystal Resonator Unit)を例に挙げて説明する。水晶振動素子(Quartz Crystal Resonator)は、印加電圧に応じて振動する圧電体として水晶片(Quartz Crystal Blank)を利用するものである。ただし、本発明の実施形態に係る圧電振動子は水晶振動子に限定されるものではなく、セラミック等の他の圧電体を利用するものであってもよい。
【0014】
<実施形態>
図1及び
図2を参照しつつ、本発明の実施形態に係る水晶振動子について説明する。ここで、
図1は、本発明の実施形態に係る水晶振動子の分解斜視図である。
図2は、
図1に示した水晶振動子のII−II線に沿った断面図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る水晶振動子1は、水晶振動素子10と、蓋部材20と、ベース部材30と、を備える。ベース部材30及び蓋部材20は、水晶振動素子10を収容するための保持器である。一例では、蓋部材20は凹状、具体的には開口を有する箱形状、をなしており、ベース部材30は平板状をなしている。蓋部材20が凹状をなしていればベース部材30の形状は特に限定されるものではなく、ベース部材30が蓋部材20に対して平板状又は凹状をなしていてもよい。
【0016】
水晶振動素子10は、薄片状の水晶片11を有する。水晶片11は、互いに対向する第1主面12a及び第2主面12bを有する。例えば、ATカット型の水晶片(Quartz Crystal Blank)である。ATカット型の水晶片は、人工水晶をX軸及びZ´軸によって特定される面と平行な面(以下、「XZ´面」と呼ぶ。他の軸によって特定される面についても同様である。)を主面として切り出されたものである。なお、X軸、Y軸、Z軸は、人工水晶の結晶軸であり、Y´軸及びZ´軸は、それぞれ、Y軸及びZ軸をX軸の周りにY軸からZ軸の方向に35度15分±1分30秒回転させた軸である。つまり、ATカット型の水晶片11において、第1主面12a及び第2主面12bは、それぞれXZ´面に相当する。なお、水晶片のカット角度は、ATカット以外の異なるカット(例えばBTカットなど)を適用してもよい。
【0017】
ATカット型の水晶片11は、X軸方向に平行な長辺が延在する長辺方向と、Z´軸方向に平行な短辺が延在する短辺方向と、Y´軸方向に平行な厚さが延在する厚さ方向を有する。水晶片11は、第1主面12aの法線方向から平面視したときに矩形状をなしており、中央に励振に寄与する励振部17と、X軸の負方向側で励振部17と隣り合う周縁部18と、X軸の正方向側で励振部17と隣り合う周縁部19と、を有している。励振部17と周縁部19との間には段差13が設けられている。水晶片11は、励振部17が周縁部18,19よりも厚いメサ型構造である。但し、水晶片11の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、第1主面12aの法線方向から平面視したときに櫛歯型であってもよい。また、水晶片11は、X軸方向及びZ´軸方向の厚みが略均一な平板構造であってもよく、励振部17が周縁部18,19よりも薄い逆メサ型構造であってもよい。また、励振部17と周縁部18,19との厚みの変化が連続的に変化するコンベックス形状又はベヘル形状であってもよい。
【0018】
ATカット水晶片を用いた水晶振動素子は、広い温度範囲で高い周波数安定性を有し、また、経時変化特性にも優れている上、低コストで製造することが可能である。また、ATカット水晶振動素子は、厚みすべり振動モード(Thickness Shear Mode)を主振動として用いられる。
【0019】
水晶振動素子10は、一対の電極を構成する第1励振電極14a及び第2励振電極14bを有する。第1励振電極14aは、励振部17の第1主面12aに設けられている。また、第2励振電極14bは、励振部17の第2主面12bに設けられている。第1励振電極14aと第2励振電極14bは、水晶片11を挟んで互いに対向して設けられている。第1励振電極14aと第2励振電極14bとは、XZ´面において略全体が重なり合うように配置されている。
【0020】
第1励振電極14a及び第2励振電極14bは、それぞれ、X軸方向に平行な長辺と、Z´軸方向に平行な短辺と、Y´軸方向に平行な厚さとを有している。
図1に示す例では、XZ´面において、第1励振電極14a及び第2励振電極14bの長辺は水晶片11の長辺と平行であり、第1励振電極14a及び第2励振電極14bの短辺は水晶片11の短辺と平行である。また、第1励振電極14a及び第2励振電極14bの長辺は水晶片11の長辺から離れており、第1励振電極14a及び第2励振電極14bの短辺は水晶片11の短辺から離れている。
【0021】
水晶振動素子10は、一対の引出電極15a,15bと、一対の接続電極16a,16bと、を有する。接続電極16aは、引出電極15aを介して第1励振電極14aと電気的に接続されている。また、接続電極16bは、引出電極15bを介して第2励振電極14bと電気的に接続されている。接続電極16a及び16bは、第1励振電極14a及び第2励振電極14bをベース部材30に電気的に接続するための端子である。水晶振動素子10は、ベース部材30に保持されている。水晶片11の第1主面12aは、ベース部材30と対向する側とは反対側に位置し、水晶片11の第2主面12bは、ベース部材30と対向する側に位置している。
【0022】
引出電極15aは第1主面12aに設けられ、引出電極15bは第2主面12bに設けられている。接続電極16aは、周縁部18の第1主面12aから第2主面12bに亘って設けられ、接続電極16bは、周縁部18の第2主面12bから第1主面12aに亘って設けられている。第1励振電極14a、引出電極15a、及び接続電極16aは、連続しており、第2励振電極14b、引出電極15b、及び接続電極16bは、連続している。
図1に示した構成例は、接続電極16a及び接続電極16bが水晶片11の短辺方向(Z´軸方向)に沿って並んでおり、水晶振動素子10が一方の短辺で保持される、いわゆる片持ち構造である。水晶振動素子10は両方の短辺で保持される、いわゆる両持ち構造であってもよく、このとき接続電極16a及び接続電極16bの一方が周縁部18に設けられ、他方が周縁部19に設けられる。
【0023】
第1励振電極14a及び第2励振電極14bの材料は、特に限定されるものではないが、例えば、下地層として水晶片11に接する側にクロム(Cr)層を有し、表層として下地層よりも水晶片11から遠い側に金(Au)層を有している。下地層に酸素との反応性が高い金属層を設けることで水晶片と励振電極との密着力が向上し、表層に酸素との反応性が低い金属層を設けることで励振電極の劣化が抑制され電気的信頼性が向上する。
【0024】
蓋部材20は、ベース部材30の第1主面32aに向かって開口した凹状をなしている。蓋部材20は、ベース部材30に接合され、これによって水晶振動素子10を内部空間26に収容する。蓋部材20は、水晶振動素子10を収容することができればその形状は限定されるものではなく、例えば、天面部21の主面の法線方向から平面視したときに矩形状をなしている。蓋部材20は、例えば、X軸方向に平行な長辺が延在する長辺方向と、Z´軸方向に平行な短辺が延在する短辺方向と、Y´軸方向に平行な高さ方向とを有する。
【0025】
図2に示すように、蓋部材20は、内面24及び外面25を有している。内面24は、内部空間26側の面であり、外面25は、内面24とは反対側の面である。蓋部材20は、ベース部材30の第1主面32aに対向する天面部21と、天面部21の外縁に接続されており且つ天面部21の主面に対して交差する方向に延在する側壁部22と、を有する。また、蓋部材20は、凹状の開口端部(側壁部22のベース部材30に近い側の端部)においてベース部材30の第1主面32aに対向する対向面23を有する。つまり、対向面23は、開口端部に含まれている。この対向面23は、水晶振動素子10の周囲を囲むように枠状に延在している。
【0026】
天面部21の厚みをT1とし、側壁部22の厚みをT2とし、開口端部の厚みをT3とする。
図2に示したXY´面と平行な断面図においては、厚みT1は天面部21のY´軸方向と平行な方向の幅であり、厚みT2は側壁部22のX軸方向と平行な方向の幅であり、厚みT3は開口端部のX軸方向と平行な方向の幅である。このとき、厚みT1は厚みT2よりも厚い(T1>T2)。また、厚みT2は厚みT3以下である(T3≧T2)。T1>T2とすることで、側壁部22は、天面部21よりも変形しやすくなっており、側壁部22にかかる外力を変形により分散することができる。
【0027】
天面部21及び側壁部22は、接続部27によって接続されている。接続部27は、例えば、内面24及び外面25が曲面となるように形成されている。また、接続部27において、内面24の曲率は外面25の曲率と等しい。内面24及び外面25の曲率半径は、例えば、0.04mm以上0.1mm以下の範囲で設定される。なお、接続部27の形状は、上記に限定されるものではなく、例えば、内面24及び外面25の一方が屈折した平面であり他方が曲面でもよく、両方が屈折した平面であってもよい。但し、アーチ構造により蓋部材20にかかる外力を分散するためには、接続部27は、少なくとも外面25が曲面であることが望ましい。また、接続部27の内面24及び外面25が曲面である場合、内面24及び外面25の曲率は、上記の組合せに限定されるものではなく、内面24及び外面25の曲率が異なっていてもよく、例えば内面24の曲率が外面25の曲率よりも大きくてもよい。
【0028】
蓋部材20の材質は特に限定されるものではないが、例えば金属などの導電材料で構成される。これによれば、蓋部材20を接地電位に電気的に接続させることによりシールド機能を付加することができる。例えば、蓋部材20は、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)を含む合金(例えば42アロイ)からなる。また、蓋部材20の最表面に酸化防止等を目的とした金(Au)層などが設けられてもよい。あるいは、蓋部材20は、絶縁材料で構成されてもよく、導電材料と絶縁材料との複合構造であってもよい。
【0029】
ベース部材30は水晶振動素子10を励振可能に支持するものである。ベース部材30は平板状をなしている。ベース部材30は、X軸方向に平行な長辺が延在する長辺方向と、Z´軸方向に平行な短辺が延在する短辺方向と、Y´軸方向に平行な厚さが延在する厚さ方向とを有する。
【0030】
ベース部材30は基体31を有する。基体31は、互いに対向する第1主面32a(表面)及び第2主面32b(裏面)を有する。基体31は、例えば絶縁性セラミック(アルミナ)などの焼結材である。この場合、複数の絶縁性セラミックシートを積層して焼結してもよい。あるいは、基体31は、無機ガラス材料(例えばケイ酸塩ガラス、又はケイ酸塩以外を主成分とする材料であって、昇温によりガラス転移現象を有する材料)、水晶材料(例えばATカット水晶)、耐熱性を有するエンジニアリングプラスチック(例えばポリイミドや液晶ポリマー)、又は有機無機ハイブリッド材料(例えばガラスエポキシ樹脂などの繊維強化プラスチック)などで形成してもよい。基体31は耐熱性材料から構成されることが好ましい。基体31は、単層であっても複数層であってもよく、複数層である場合、第1主面32aの最表層に形成された絶縁層を含む。
【0031】
ベース部材30は、第1主面32aに設けられた電極パッド33a,33bと、第2主面32bに設けられた外部電極35a,35b,35c,35dと、を有する。電極パッド33a,33bは、ベース部材30と水晶振動素子10とを電気的に接続するための端子である。また、外部電極35a,35b,35c,35dは、図示しない回路基板と水晶振動子1とを電気的に接続するための端子である。電極パッド33aは、Y´軸方向に延在するビア電極34aを介して外部電極35aに電気的に接続され、電極パッド33bは、Y´軸方向に延在するビア電極34bを介して外部電極35bに電気的に接続されている。ビア電極34a,34bは基体31をY´軸方向に貫通するビアホール内に形成される。
【0032】
導電性保持部材36a,36bは、ベース部材30の一対の電極パッド33a,33bに、水晶振動素子10の一対の接続電極16a及び16bをそれぞれ電気的に接続している。また、導電性保持部材36a,36bは、ベース部材30の第1主面32aに水晶振動素子10を励振可能に保持している。導電性保持部材36a,36bは、例えば、熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂等を含む導電性接着剤によって形成される。
【0033】
図1に示した構成例において、ベース部材30の電極パッド33a,33bは、第1主面32a上においてベース部材30のX軸負方向側の短辺付近に設けられ、ベース部材30の短辺から離れてかつ当該短辺方向に沿って配列されている。電極パッド33aは、導電性保持部材36aを介して水晶振動素子10の接続電極16aに接続され、他方、電極パッド33bは、導電性保持部材36bを介して水晶振動素子10の接続電極16bに接続される。
【0034】
複数の外部電極35a,35b,35c,35dは、第2主面32bのそれぞれの角付近に設けられている。
図1に示す例では、外部電極35a,35bが、電極パッド33a,33bの直下に配置されている。これによってY´軸方向に延在するビア電極34a,34bによって、外部電極35a,35bを電極パッド33a,33bに電気的に接続することができる。
図1に示す例では、4つの外部電極35a〜35dのうち、ベース部材30のX軸負方向側の短辺付近に配置された外部電極35a,35bは、水晶振動素子10の入出力信号が供給される入出力電極である。また、ベース部材30のX軸正方向側の短辺付近に配置された外部電極35c,35dは、水晶振動素子10の入出力信号が供給されないダミー電極となっている。このようなダミー電極には、水晶振動子1が実装される図示しない回路基板上の他の電子素子の入出力信号も供給されない。あるいは、外部電極35c,35dは、接地電位が供給される接地用電極であってもよい。蓋部材20が導電性材料からなる場合、蓋部材20を接地用電極である外部電極35c,35dに接続することによって、蓋部材20により遮蔽性能の高い電磁シールド機能を付加することができる。
【0035】
基体31の第1主面32aには、封止枠37が設けられている。
図1に示す例では、封止枠37は、第1主面32aの法線方向から平面視したときに矩形の枠状をなしている。第1主面32aの法線方向から平面視したときに、電極パッド33a,33bは、封止枠37の内側に配置されており、封止枠37は水晶振動素子10を囲むように設けられている。封止枠37は、導電材料により構成されている。封止枠37上には後述する接合部材40が設けられ、これによって、蓋部材20が接合部材40及び封止枠37を挟んでベース部材30に接合される。
【0036】
本構成例において、ベース部材30の電極パッド33a,33b、外部電極35a〜d及び封止枠37はいずれも金属膜から構成されている。例えば、電極パッド33a,33b、外部電極35a〜d及び封止枠37は、基体31に近接する側(下層)から離間する側(上層)にかけて、モリブデン(Mo)層、ニッケル(Ni)層及び金(Au)層がこの順に積層されて構成されている。また、ビア電極34a,34bは、基体31のビアホールにモリブデン(Mo)などの金属材料を充填して形成することができる。
【0037】
なお、電極パッド33a,33bや外部電極35a〜35dの配置関係は上記例に限定されるものではない。例えば、電極パッド33aがベース部材30の一方の短辺付近に配置され、電極パッド33bがベース部材30の他方の短辺付近に配置されてもよい。このような構成においては、水晶振動素子10が、水晶片11の長手方向の両端部においてベース部材30に保持されることになる。
【0038】
また、外部電極の配置は上記例に限るものではなく、例えば、入出力電極である2つが第2主面32bの対角上に設けられていてもよい。あるいは、4つの外部電極は、第2主面32bの角ではなく各辺の中央付近に配置されていてもよい。また、外部電極の個数は4つに限るものではなく、例えば入出力電極である2つのみであってもよい。また、接続電極と外部電極との電気的な接続の態様はビア電極によるものに限らず、第1主面32a又は第2主面32b上に引出電極を引き出すことによってそれらの電気的な導通を達成してもよい。あるいは、ベース部材30の基体31を複数層で形成し、ビア電極を中間層に至るまで延在させ、中間層において引出電極を引き出すことによって接続電極と外部電極との電気的な接続を図ってもよい。
【0039】
蓋部材20及びベース部材30の両者が封止枠37及び接合部材40を挟んで接合されることによって、水晶振動素子10が、蓋部材20とベース部材30とによって囲まれた内部空間(キャビティ)26に封止される。この場合、内部空間26の圧力は大気圧力よりも低圧な真空状態であることが好ましく、これにより第1励振電極14a,第2励振電極14bの酸化による水晶振動子1の周波数特性の経時変化などが低減できるため好ましい。
【0040】
接合部材40は、蓋部材20及びベース部材30の各全周に亘って設けられている。具体的には、接合部材40は封止枠37上に設けられている。封止枠37及び接合部材40が、蓋部材20の側壁部22の対向面23と、ベース部材30の第1主面32aと、の間に介在することによって、水晶振動素子10が蓋部材20及びベース部材30によって封止される。
【0041】
接合部材40は、例えばろう部材である。具体的には、接合部材40は、金(Au)‐錫(Sn)共晶合金からなる。こうして、蓋部材20とベース部材30とを金属接合とする。金属接合によれば封止性を向上させることができる。なお、接合部材40は、導電材料に限らず、例えば低融点ガラス(例えば鉛ホウ酸系や錫リン酸系等)などのガラス接着材料又は樹脂接着剤などの絶縁性材料であってもよい。これによれば、金属接合に比べて低コストであり、また加熱温度を抑えることができ、製造プロセスの簡易化を図ることができる。
【0042】
本実施形態に係る水晶振動素子10は、水晶片11の長辺方向の一方端(導電性保持部材36a,36bが配置される側の端部)が固定端であり、その他方端が自由端となっている。また、水晶振動素子10、蓋部材20、及びベース部材30は、XZ´面において、それぞれ矩形状をなしており、互いに長辺方向及び短辺方向が同一である。
【0043】
但し、水晶振動素子10の固定端の位置は特に限定されるものではなく、後述する様に、水晶振動素子10は、水晶片11の長辺方向の両端においてベース部材30に固定されていてもよい。この場合、水晶振動素子10を水晶片11の長辺方向の両端において固定する態様で、水晶振動素子10及びベース部材30の各電極を形成すればよい。
【0044】
本実施形態に係る水晶振動子1においては、ベース部材30の外部電極35a,35bを介して、水晶振動素子10を構成する第1励振電極14a及び第2励振電極14bの間に交番電界を印加する。これにより、厚みすべり振動モードなどの所定の振動モードによって水晶片11が振動し、該振動に伴う共振特性が得られる。
【0045】
次に、
図3を参照しつつ、本実施形態に係る水晶振動子1の実装された態様を説明する。このとき、
図3は、回路基板に実装された水晶振動子を示す断面図である。ここでいう断面図とは、
図2に示した水晶振動子1のXY´断面を含むものである。
図3に示すモジュール部品は、水晶振動子1と、少なくとも水晶振動子1が搭載された回路基板50とを備え、水晶振動子1は回路基板51上の封止部材50で覆われている。なお、回路基板51には、水晶振動子1のほかに例えば半導体チップやチップキャパシタなどの他の電子部品が搭載されていてもよい。
【0046】
回路基板51は、互いに対向する実装表面52aと実装裏面52bとを有し、実装表面52aに水晶振動子1が実装されている。一例では、はんだ部材55a,55cが、それぞれ、実装表面52aの図示しない端子と、水晶振動子1の外部電極35a,35cと、を電気的に接続し、且つ、水晶振動子1を回路基板51に固着させている。
【0047】
水晶振動子1は、封止部材50によって覆われている。封止部材50は、蓋部材20の外面25、ベース部材30、及び回路基板51の実装表面52aの上に設けられ、水晶振動子1と回路基板51との固着力を高めている。これにより、封止部材50は、水晶振動子1を衝撃から保護し、水晶振動子1の損傷や回路基板51からの剥離を抑制する。
【0048】
封止部材50は、例えば熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂などを含む、絶縁性を有する樹脂材料で形成されている。つまり、水晶振動子1の実装工程は、はんだ部材55a,55cによって水晶振動子1を回路基板51に固着させる工程と、未硬化の封止部材50を例えば塗布や滴下によって水晶振動子1を覆うように配置する工程と、封止部材50を硬化させる工程と、を含む。封止部材50は、硬化に際して収縮し、蓋部材20を変形させる。これによって、接合部材40には引張応力がかかることとなる。
【0049】
<変形例>
図4を参照しつつ、本発明の実施形態に係る水晶振動子の変形例について説明する。ここで、
図4は、
図4は、水晶振動子の変形例を示す断面図である。本変形例は、蓋部材20の開口端部がフランジ部28となっている点で、本実施形態の構成例と相違している。
【0050】
フランジ部28は、側壁部22のベース部材30に近い側に設けられている。フランジ部28は、天面部21の主面の法線方向から平面視したときに、側壁部22に重畳し、且つ側壁部22の外側にも位置している。フランジ部28の厚み(X軸方向と平行な方向の幅)をT3とすると、厚みT3は側壁部22の厚みT2よりも厚い(T2<T3)。図示した例では、側壁部22及びフランジ部28は、外面25が曲面を形成するように接続されている。また、側壁部22及びフランジ部28は、内面24が屈曲せずに連続するように接続されている。本変形例では、
図2に示した構成例と比べて、対向面23の面積が大きい。このため、ベース部材30と蓋部材20の接合強度を向上させることができる。
【0051】
次に、
図5を参照しつつ、水晶振動子1を封止部材50で覆った際に接合部材40にかかる応力のシミュレーション結果について説明する。このとき、
図5は、水晶振動子が封止部材で覆われたときの、蓋部材の厚み比率と、接合部にかかる応力と、の相関を示す図である。縦軸は接合部(封止枠37や接合部材40)にかかる応力の最大応力を示し、横軸は側壁部22の天面部21に対する厚み比率(T2/T1)を示す。丸い点はフランジ部の無い
図2に示した構成例におけるシミュレーション結果を示し、四角い点はフランジ部の有る
図4に示した変形例におけるシミュレーション結果を示したものである。縦軸の最大応力が小さいほど、接合部でのクラックに起因したリークを抑制することができる。なお、以下の表1は、厚み比率に対する最大応力のシミュレーション結果を示したものであり、この表1に示した数値をプロットしたものが
図5のグラフである。
【表1】
【0052】
フランジ部の有無に関わらず、最大応力は、0.5<T2/T1<0.9の範囲内において極小となる。また、T2/T1≦0.5の範囲では側壁部22の変形が大きく、蓋部材が水晶振動子に接触する恐れがある。このため、接合部にクラックが生じるリスクを低減するための厚み比率の望ましい範囲は、0.5<T2/T1<0.9である。さらには、T2/T1がおよそ0.7以上0.8以下のときに最大応力が極小となるので、より望ましい。
【0053】
フランジ部の無い構成では、0.65<T2/T1<1.0の範囲において、1.0≦T2/T1のときと比べて最大応力が減少する。また、最大応力が、T2/T1=0.75のときに極小となり、その前後の厚み比率では最大応力がT2/T1=0.75のときと比べて上昇する。最大応力は、例えば、0.65<T2/T1<0.9の範囲において、T2/T1=1.0のときと比べて充分に減少する。
図5に示した例では、最大応力は、0.65<T2/T1<0.9の範囲で3.0×10
-7以下となり、T2/T1=1.0のときの3.71×10
-7と比べて約80%以下となっている。T2/T1<0.65の範囲では、最大応力がT2/T1=1.0のときよりも大きく、厚み比率が小さいほど最大応力が大きい。なお、0.7<T2/T1<0.85の範囲では、フランジ部の無い構成の方が、フランジ部の有る構成よりも、最大応力が小さい。つまり、0.7<T2/T1<0.85の範囲では、接合部にかかる最大応力という観点において、フランジ部の無い構成の方が有る構成よりも有利である。
【0054】
フランジ部の有る構成では、T2/T1<1.0の範囲において、1.0≦T2/T1のときと比べて最大応力が減少する。また、最大応力が、T2/T1=0.75のときに極小となり、その前後の厚み比率では最大応力がT2/T1=0.75のときと比べて上昇する。最大応力は、例えば、0.5<T2/T1<0.85の範囲において、T2/T1=1.0のときと比べて充分に減少する。
図5に示した例では、最大応力は、0.5<T2/T1<0.85の範囲で3.0×10
-7以下となり、T2/T1=1.0のときの5.88×10
-7と比べて約50%以下となっている。なお、0.5<T2/T1<0.7の範囲では、フランジ部の有る構成の方が、フランジ部の無い構成よりも、最大応力が小さい。つまり、0.5<T2/T1<0.7の範囲では、接合部にかかる最大応力という観点において、フランジ部の有る構成の方が無い構成よりも有利である。
【0055】
次に、本発明に係る圧電振動子の製造方法について、
図6〜
図8を参照しつつ説明する。なお、ここで説明するのは蓋部材の製造工程であり、その他の、ベース部材に圧電振動素子を搭載する工程、ベース部材に蓋部材によって形成される内部空間に圧電振動素子を収容する工程、蓋部材を覆うように樹脂を硬化させ封止部材を設ける工程、等については上記の
図1〜
図3の説明を参照可能であるため省略する。このとき、
図6は、金属部材を治具で固定する工程を示す図である。
図7は、金属部材をプレスして変形させる工程を示す図である。
図8は、成形された蓋部材を取得する工程を示す図である。
【0056】
まず、平板状の金属部材111を治具101で固定する(
図6)。治具101は、金属部材111の両主面112a,112bの中央部を空けて、端部を挟むようにセットされる。
【0057】
次に、金属部材111の中央部を金型102で押し込む(
図7)。このとき、主面112aは凹状、主面112bは凸状になるように、金属部材111を変形させる。この結果、金属部材111は蓋部材120となり、主面112aは内面124となり、主面112bは外面125となる。金属部材111は、治具101に挟まれた部分がフランジ部128となり、金型102によって押し込まれる部分が天面部121となり、治具101と金型102との間に位置する部分が側壁部122となる。また、金型102の角部と接触する部分が、天面部121と側壁部122との接続部127となる。主面112aに金型102の形状が転写されて内面124となるため、角が丸い金型102を用いることで、接続部127の内面124が曲面となるように加工することができる。
【0058】
天面部121の厚みはT11であり、側壁部の厚みはT12であり、フランジ部128の厚みはT13であるとする。側壁部122は金属部材111が延伸されることによって形成されるため、側壁部122の厚みT12は、天面部121の厚みT11よりも薄くなる。なお、厚みT11,T12,T13は、加工の条件を変更することで調整することができる。プレス加工の条件とは、例えば、金属部材111の温度、金型102の押し込み速度、治具101と金型102との距離、等である。
【0059】
次に、金型102及び治具101を取り外すことで、蓋部材120が取得される(
図6)。
【0060】
以上のとおり、本実施形態によれば、ベース部材30と、ベース部材30の上に搭載された圧電振動素子10と、ベース部材30に接合され、圧電振動素子10を収容する内部空間26をベース部材30と共に形成する蓋部材20と、を備え、蓋部材20は、圧電振動素子10を挟んでベース部材30と対向する天面部21と、天面部21の主面と交差する方向に延在する側壁部22と、を有し、天面部21の厚みT1が、側壁部22の厚みT2よりも厚い、圧電振動子1、が提供される。
【0061】
上記の実施形態によれば、蓋部材が側壁部において変形することで、蓋部材に外力が加わった際にベース部材と蓋部材との接合部にかかる応力を低減することができる。これにより、接合部でのクラックの発生を抑制して内部空間の気密を保ち、圧電振動子の周波数の変動を抑制することができる。
【0062】
さらに、圧電振動子、半導体チップ、チップキャパシタなどの電子部品を回路基板に搭載する。次に、圧電振動子など電子部品を覆うように、加熱によって流動性を増した封止部材を回路基板に供給する。次に、封止部材を冷却して硬化する。このような製造工程によって、少なくとも圧電振動子が回路基板に搭載され、回路基板上に搭載された圧電振動子を含む電子部品が封止部材で覆われているモジュール部品を得ることができる。
【0063】
天面部21の厚みをT1、側壁部22の厚みをT2としたとき、0.5<T2/T1<0.9を満たしていてもよい。これによれば、厚み比率が、蓋部材とベース部材との接合部にかかる応力の最大値(最大応力)が極小となり得る範囲であるため、接合部でのクラックの発生を抑制することができる。
【0064】
0.65<T2/T1<0.9を満たしていてもよい。これによれば、1≦T2/T1の範囲における接合部の最大応力に比べて、充分に最大応力を低減することができる。
【0065】
0.7<T2/T1<0.85を満たしていてもよい。これによれば、開口端部がフランジ部となっている構成よりも、接合部の最大応力を低減することができる。
【0066】
蓋部材20は、天面部21の主面の法線方向から平面視したときに天面部21の外側に位置し、側壁部22に接続されたフランジ部28を有し、0.5<T2/T1<0.85を満たしていてもよい。これによれば、接合部と対向する対向面を広くすることができ、接合強度を向上させることができる。また、1≦T2/T1の範囲における接合部の最大応力に比べて、充分に最大応力を低減することができる。
【0067】
蓋部材20がフランジ部28を有し、さらに、0.5<T2/T1<0.7を満たしていてもよい。これによれば、フランジ部を有しない構成よりも、接合部の最大応力を低減することができる。また、1≦T2/T1の範囲に比べて、最大応力を1/2以下とすることができる。
【0068】
蓋部材20は、天面部21と側壁部22とを接続する接続部27を有し、接続部27は、少なくとも外面25が曲面であってもよい。これによれば、蓋部材の外面にかかる外力を分散することができる。
【0069】
接続部27は、内面24の曲率が外面25の曲率よりも大きくてもよい。これによれば、ベース部材と蓋部材によって形成される内部空間を広くすることができ、蓋部材と圧電振動素子とが接触するリスクを低減することができる。また、圧電振動子のサイズを小さくすることができる。
【0070】
接続部27は、内面24及び外面25の曲率が等しくてもよい。これによれば、蓋部材の外面にかかる外力を分散することができる。また、接続部の厚みが均一になることで、接続部の一部への応力の集中を抑制することができる。
【0071】
側壁部22とフランジ部28との接続部の外面25が曲面であってもよい。これによれば、蓋部材の外面にかかる外力を分散することができる。
【0072】
圧電振動子1は、樹脂製の封止部材50によって覆われていてもよい。これによれば、封止部材の硬化収縮によって蓋部材に応力がかかるが、本実施形態によれば、この硬化収縮の際に接合部でクラックが生じることを抑制できる。
【0073】
また、本実施形態の別の態様によれば、平板状の金属部材111をプレス加工することによって、天面部121と、天面部121の主面と交差する方向に延在する側壁部122と、を有する蓋部材120を設ける工程と、ベース部材30に圧電振動素子10を搭載する工程と、ベース部材30に蓋部材120(20)を接合し、ベース部材30及び蓋部材20によって形成される内部空間26に圧電振動素子10を収容する工程と、を含み、天面部121の厚みが、側壁部122の厚みよりも厚い、圧電振動子1の製造方法、が提供される。
【0074】
上記の態様によれば、蓋部材が側壁部において変形することで、蓋部材に外力が加わった際にベース部材と蓋部材との接合部にかかる応力を低減することができる。これにより、接合部でのクラックの発生を抑制して内部空間の気密を保ち、圧電振動子の周波数の変動を抑制することができる。
【0075】
以上説明したように、本発明によれば、周波数の変動の抑制を図ることができる圧電振動子及びその製造方法を提供することが可能となる。
【0076】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。