特許第6974790号(P6974790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974790
(24)【登録日】2021年11月9日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】軌陸車
(51)【国際特許分類】
   B60F 1/04 20060101AFI20211118BHJP
   B61D 15/00 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   B60F1/04
   B61D15/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-124989(P2017-124989)
(22)【出願日】2017年6月27日
(65)【公開番号】特開2019-6296(P2019-6296A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】特許業務法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】上田 武司
(72)【発明者】
【氏名】三木 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】新 和也
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−119285(JP,A)
【文献】 特開2014−129092(JP,A)
【文献】 特開2003−267015(JP,A)
【文献】 特開2012−187985(JP,A)
【文献】 特開2015−063301(JP,A)
【文献】 特開2009−012565(JP,A)
【文献】 特開2006−045802(JP,A)
【文献】 米国特許第05660115(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60F 1/04
B61D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌陸車であって、
車両前方及び車両後方に配置された左右一対の道路走行用の車輪と、
車両前方及び車両後方に配置された左右一対の軌道走行用の鉄輪と、
車両前方又は車両後方のいずれかの左右一対の前記鉄輪を回転可能に支持する揺動フレームであって、車体フレームの車両前後方向に延びる揺動軸回りに揺動可能とされている揺動フレームと、
前記車体フレームと前記揺動フレームとの間に架け渡されて、前記揺動フレームが前記車体フレームに対して揺動不能にする揺動ロック装置と、
前記車体フレームに搭載されて所定の作業を行う作業装置と、
前記作業装置が使用状態にあると判断すると前記揺動ロック装置を作動させて、前記揺動フレームを前記車体フレームに対して揺動不能になるように制御する制御装置と、を備え、
前記鉄輪を使用する軌道走行用の電源のON/OFFを切り換える電源スイッチと、前記作業装置としてのブームに支持される作業台と、前記作業台内に配置されて前記ブームの動作のON/OFFを切り換えるフットペダルと、をさらに備え、前記制御装置は、前記電源スイッチがOFFにされ、かつ、前記フットペダルがONにされているときに、前記作業装置が使用状態にあると判断するようにされている、軌陸車。
【請求項2】
軌陸車であって、
車両前方及び車両後方に配置された左右一対の道路走行用の車輪と、
車両前方及び車両後方に配置された左右一対の軌道走行用の鉄輪と、
車両前方又は車両後方のいずれかの左右一対の前記鉄輪を回転可能に支持する揺動フレームであって、車体フレームの車両前後方向に延びる揺動軸回りに揺動可能とされている揺動フレームと、
前記車体フレームと前記揺動フレームとの間に架け渡されて、前記揺動フレームが前記車体フレームに対して揺動不能にする揺動ロック装置と、
前記車体フレームに搭載されて所定の作業を行う作業装置と、
前記作業装置が使用状態にあると判断すると前記揺動ロック装置を作動させて、前記揺動フレームを前記車体フレームに対して揺動不能になるように制御する制御装置と、を備え、
前記鉄輪を使用する軌道走行用の電源のON/OFFを切り換える電源スイッチと、前記作業装置としてのブームに支持される作業台と、前記車体フレームに搭載される旋回台に配置されて前記ブームの動作のON/OFFを切り換える旋回台操作スイッチと、をさらに備え、前記制御装置は、前記電源スイッチがOFFにされ、かつ、前記旋回台操作スイッチがONにされているときに、前記作業装置が使用状態にあると判断するようにされている、軌陸車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪と鉄輪とを備える軌陸車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、道路走行時には道路走行用の車輪を用いて走行し、軌道走行時には軌道走行用の鉄輪を用いて走行するように構成された「軌陸車」が知られている。この軌陸車の上部には、高所作業装置あるいはクレーン作業装置などの作業装置が搭載されて、鉄道の保線作業などに使用されている。
【0003】
軌陸車には、車両後方(又は車両前方)の左右の鉄輪を支持する揺動フレームを車両前後方向に延びる揺動軸回りに揺動させる揺動機構を備えたものがある。この揺動機構を備えることで、軌道(レール)上の前後左右の高低差に4つの鉄輪が追従するようになるため、軌陸車が軌道上を安定して走行できるようになる。
【0004】
揺動機構を備えた軌陸車は、例えば、車両前方の左右の鉄輪と車両後方の揺動機構の揺動軸の3点で支持されることになる。そのため、前後左右の鉄輪の4点で支持される場合と比べると、軌道上に停止させた状態で作業する場合の安定性(「オンレール性能」という)が劣る。例えば、作業装置として高所作業装置を搭載した場合、3点支持の場合は4点支持の場合と比べて作業半径を狭くすることになる。この他、オンレール性能を向上させるために、車体にアウトリガを設けることも行われるが、アウトリガを使用すると作業効率が大きく低下してしまう。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1に記載された軌陸車では、揺動フレームを揺動不能にロックする揺動ロック手段を設け、オンレール作業時に揺動ロック手段で揺動をロックすることで、オンレール作業時における作業可能範囲を拡大できるようにしている。より具体的にいえば、特許文献1の軌陸車は、走行電源のON、転車台を操作、鉄輪を張出・格納操作、アウトリガを操作等の条件を満たせば、揺動フリーとなるように制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−187985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の従来の軌陸車では、転車台を操作する際に、揺動ロック装置(シリンダ)の内圧が上昇して、開放不良が発生する可能性がある。すなわち、載線時に、レール接触と略同時に転車台格納操作を停止すると自動的に揺動ロックシリンダが伸びるようになっている。ところが、カントのあるレール上では、前鉄輪が接地した瞬間に転車台を軸に車両が回転し、後鉄輪がレールに対して横方向に滑る。そうすると、レールの曲面と鉄輪のテーパとによって上下方向にも力が作用し、揺動ロックシリンダ内の圧力(閉じ込み圧)が高まり、パイロットチェック弁をパイロット圧で開放できなくなる可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、レール接触と略同時に転車台格納操作を停止しても、揺動ロック装置(シリンダ)に閉じ込み圧が発生することのない、軌陸車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の軌陸車は、車両前方及び車両後方に配置された左右一対の道路走行用の車輪と、車両前方及び車両後方に配置された左右一対の軌道走行用の鉄輪と、車両前方又は車両後方のいずれかの左右一対の前記鉄輪を回転可能に支持する揺動フレームであって、車体フレームの車両前後方向に延びる揺動軸回りに揺動可能とされている揺動フレームと、前記車体フレームと前記揺動フレームとの間に架け渡されて、前記揺動フレームが前記車体フレームに対して揺動不能にする揺動ロック装置と、前記車体フレームに搭載されて所定の作業を行う作業装置と、前記作業装置が使用状態にあると判断すると前記揺動ロック装置を作動させて、前記揺動フレームを前記車体フレームに対して揺動不能になるように制御する制御装置と、を備え、前記鉄輪を使用する軌道走行用の電源のON/OFFを切り換える電源スイッチと、前記作業装置としてのブームに支持される作業台と、前記作業台内に配置されて前記ブームの動作のON/OFFを切り換えるフットペダルと、をさらに備え、前記制御装置は、前記電源スイッチがOFFにされ、かつ、前記フットペダルがONにされているときに、前記作業装置が使用状態にあると判断するようにされている
【発明の効果】
【0010】
このように、本発明の軌陸車は、車輪と、鉄輪と、揺動フレームと、揺動ロック装置と、作業装置と、作業装置が使用状態にあると判断すると揺動ロック装置を作動させて、揺動フレームを車体フレームに対して揺動不能になるように制御する制御装置と、を備えている。このような構成であれば、レール接触と略同時に転車台格納操作を停止しても、揺動ロック装置(シリンダ)に閉じ込み圧が発生することのない、軌陸車となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】軌陸車の側面図である。
図2】車両後方の鉄輪の正面図である。
図3】揺動ロック装置の油圧回路図である。
図4】制御系のブロック図である。
図5】実施例1のフローチャートである。
図6】実施例2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施例では、軌陸車として、作業台を有する高所作業車について説明するが、これに限定されるものではなく、クレーン装置を有する移動式クレーンなど、作業装置を備えた軌陸車であれば本発明を適用することができる。
【実施例】
【0013】
(軌陸車の全体構成)
まず、図1を用いて本発明の軌陸車1の全体構成を説明する。軌陸車1は、一般のトラック車両をベースとして構成される車両部4と、車両部4の上部に搭載された作業装置としての高所作業装置5と、から構成されている。
【0014】
車両部4は、運転室12と、車体フレーム13と、エンジン14と、を備えている。エンジン14は、車輪2、・・・を駆動するだけでなく、PTO(不図示)を介して油圧ポンプ(不図示、後述する)を駆動する。運転室12には、鉄輪3、・・・を使用する軌道走行用の電源のON/OFFを切り換える電源スイッチ83(図4参照)が配置されている。
【0015】
車体フレーム13の上部には、サブフレーム15が設置されている。サブフレーム15は、後述する鉄輪張出・格納機構10、11及び揺動機構6に加えて、前側アウトリガ16及び後側アウトリガ17と、中央部に配置された転車台18と、を備えている。そして、車体フレーム13には、道路走行時に使用される4つの車輪(タイヤ)2、・・・が取り付けられ、サブフレーム15には、軌道走行時に使用される4つの鉄輪3、・・・が取り付けられる。
【0016】
具体的に説明すると、4つの鉄輪3、・・・のうち、車両前方の左右一対の鉄輪3、3は、シリンダを伸縮することで張出・格納自在に構成される鉄輪張出・格納機構10を介してサブフレーム15に取り付けられている。一方、車両後方の左右一対の鉄輪3、3は、まず揺動機構6を介してサブフレーム15に揺動可能に取り付けられ、さらに鉄輪張出・格納機構11を介して張出・格納自在に取り付けられている。なお、鉄輪張出・格納機構10、11及び揺動機構6の構成については、後に詳しく説明する。
【0017】
そして、本実施例では、作業装置として高所作業装置5を使用する例が示されている。すなわち、サブフレーム15の後部には旋回台20が旋回自在に搭載されており、旋回台20には伸縮ブーム21が起伏自在に支承されている。伸縮ブーム21は、起伏シリンダ22を伸縮することによって起伏駆動されるようになっている。伸縮ブーム21の先端には、レベリング手段23を介して作業台24が配置されている。図1において、高所作業装置5は、伸縮ブーム21が全縮小して前方に最倒伏した格納姿勢となっている。
【0018】
さらに、本実施例の軌陸車1の旋回台20には、地上から高所作業装置5を操作する際に、操作の可否(ON/OFF)を切り換えるための、旋回台操作スイッチ81が配置されている。具体的に言うと、旋回台操作スイッチ81をONにすれば高所作業装置5を操作できる状態になり、旋回台操作スイッチ81をOFFにすれば高所作業装置5を操作できない状態になる。
【0019】
また、作業台24の床上には、作業者の安全を確保するために、フットペダル82が配置されている。フットペダル82は、踏み込まれることで、高所作業装置5の規制解除信号を出力するようにされている(いわゆる「デッドマンスイッチ」の機能)。つまり、フットペダル82が踏まれて、規制解除信号が出力されているときにのみ、作業台24上の操作レバーによって高所作業装置5を操作し得るようになっている。
【0020】
(鉄輪張出・格納機構と揺動機構の構成)
以下、車両前方の鉄輪3、3は、揺動機構を備えないで、車両後方の鉄輪3、3が揺動機構6を備える場合について説明するが、これに限定されるものではなく、車両前方の鉄輪3、3が揺動機構を備える場合にも本発明を適用することができる。
【0021】
車両前方の鉄輪3、3は、図1に示すように、シリンダを伸縮することで張出・格納自在に構成される鉄輪張出・格納機構10を介して車体フレーム13に取り付けられている。車両前方側の鉄輪張出・格納機構10は、具体的に説明すると、サブフレーム15の前寄りの位置に固定される左右のブラケット部10a、10aと、左右のブラケット部10a、10aにそれぞれ回転自在に支持される左右のアーム部10b、10bと、左右のアーム部10b、10bにそれぞれ回転自在に支持される左右の鉄輪3、3と、ブラケット部10aとアーム部10bとに架け渡される鉄輪張出・格納シリンダ10cと、によって構成される。
【0022】
そして、鉄輪張出・格納シリンダ10cを伸縮することによって、鉄輪3、3を張り出して車輪2、2よりも下方に位置させる軌道走行姿勢と、鉄輪3、3を格納して車輪2、2よりも上方に位置させる道路走行姿勢と、に変形できるようになっている。なお、図1は、鉄輪3の張出時の状態を示しており、格納時の状態は2点鎖線で示している。
【0023】
一方、車両後方の鉄輪3、3は、図2に示すように、揺動機構6を介して揺動自在にされ、さらに、鉄輪張出・格納機構11を介して張出・格納自在に取り付けられている。すなわち、車両後方の鉄輪3、3は、車両前方の鉄輪3、3と異なり、揺動機構6を介してサブフレーム15に取り付けられることによって、車両前後方向に延びる揺動軸61回りに揺動可能(回転可能)になり、カントのある軌道上でも4輪すべてがレールに接するようになっている。
【0024】
揺動機構6は、車両前後方向に延びる揺動軸61と、揺動軸61を回転軸として揺動可能とされている揺動フレーム60と、によって構成されている。揺動軸61は、サブフレーム15から下方に突き出た軸受部に支承されている。揺動フレーム60は、この揺動軸61を介して、サブフレーム15に回転可能(揺動可能)に取り付けられている。そして、揺動フレーム60の左右の両端近傍には、鉄輪張出・格納機構11がそれぞれ取り付けられている。
【0025】
車両後方側の鉄輪張出・格納機構11は、車両前方側の鉄輪張出・格納機構10と同様に、揺動フレーム60に固定される左右のブラケット部11a、11aと、左右のブラケット部11a、11aにそれぞれ回転自在に支持される左右のアーム部11b、11bと、左右のアーム部11b、11bにそれぞれ回転自在に支持される左右の鉄輪3、3と、ブラケット部11aとアーム部11bとに架け渡される鉄輪張出・格納シリンダ11cと、によって構成される。
【0026】
そして、本実施例の揺動機構6は、揺動フレーム60の上面とサブフレーム15の下面の間に、揺動フレーム60を車体フレーム13(及びサブフレーム15)に対して揺動不能にする揺動ロック装置7をさらに備えている。揺動ロック装置7は、具体的に説明すると、揺動ロックシリンダ71と、バネ72と、突出部73と、から構成されている。揺動ロックシリンダ71は、後述する油圧回路90を通じて作動されるようになっている。
【0027】
より詳細に説明すると、揺動ロックシリンダ71のシリンダの上端はサブフレーム15の下面に固定されている。また、揺動ロックシリンダ71のロッドの下端にはプレートが取り付けられている。一方、揺動フレーム60の上面には、突出部73が設けられて、揺動ロックシリンダ71の伸長時にプレートの下面が当接するようにされている。揺動フレーム60とプレートの間には、さらに突出部73の高さよりも高いバネ72が設置されている。
【0028】
したがって、揺動ロック装置7の揺動ロックシリンダ71が伸長すると、プレートの下面が突出部73に当接することで、揺動フレーム60の揺動がロックされるようになっている。なお、バネ72は、揺動がロックされていない状態で、揺動フレーム60が揺動する際に、プレートの下面と揺動フレーム60の上面との間でダンパーとして機能するものである。
【0029】
(油圧回路の構成)
揺動フレーム用の油圧回路90は、図3に示すように、油圧ポンプ91と、油圧電磁弁92と、パイロットチェック弁95L、95Rと、揺動ロックシリンダ71L、71Rと、を主に備えている。
【0030】
油圧ポンプ91は、図示しないPTOを介して、エンジン14によって回転駆動される。
【0031】
油圧電磁弁92のポンプポート(P)は、油圧ポンプ91の吐出油路に接続されている。また、油圧電磁弁92のタンクポート(T)は、タンク99への排出油路に接続されている。さらに、油圧電磁弁92の(B)ポートは、揺動ロックシリンダ71に繋がる第1油路93に接続されている。この第1油路93は、左側の第1油路93Lと右側の第1油路93Rとに分岐し、それぞれパイロットチェック弁95L、95Rを介して、左右の揺動ロックシリンダ71L、71Rに接続されている。
【0032】
また、油圧電磁弁92の(A)ポートは、パイロットチェック弁95L、95Rにパイロット圧を供給する第2油路94に接続されている。第2油路94は、左側の第2油路94Lと右側の第2油路94Rとに分岐し、それぞれパイロットチェック弁95L、95Rへパイロット圧を供給するポートへ接続されている。
【0033】
パイロットチェック弁95L、95Rは、作動油の供給を受けて、揺動ロックシリンダ71L、71Rのヘッド側から第1油路93L、93Rへの作動油の流出(逆流)を遮断/許容するようになっている。このため、パイロットチェック弁95L、95Rは、前述したように、揺動ロックシリンダ71L、71R内に閉じ込み圧が発生すると、閉じ込み圧に押圧されて作動油の流出を許容することができない。
【0034】
油圧電磁弁92は、4ポート3位置の電磁弁であり、第1ソレノイド92aに通電することで、ポンプポート(P)と(B)ポートを接続して吐出油路と第1油路93を連通させるとともに、タンクポート(T)と(A)ポートを接続して第2油路94と排出油路を連通させる。そうすると、揺動ロックシリンダ71は伸長する。一方、第2ソレノイド92bに通電することで、ポンプポート(P)と(A)ポートを接続して吐出油路と第2油路94を連通させるとともに、タンクポート(T)と(B)ポートを接続して第1油路93と排出油路を連通させる。そうすると、揺動ロックシリンダ71は圧油が開放されてフリー状態となる。さらに、いずれのソレノイド92a、92bにも通電しなければ、ポンプポート(P)を閉鎖して、油圧ポンプ91から第1油路93及び第2油路94への作動油の供給が遮断される。
【0035】
(制御系の構成)
次に、図4に示すブロック図を用いて、揺動ロック装置7を制御する制御系の構成について説明する。本実施例の揺動ロック装置7の制御系は、制御装置30と;制御装置30への入力系統として電源スイッチ83、旋回台操作スイッチ81、フットペダル82を有し;制御装置30からの出力系統として油圧電磁弁92の第1ソレノイド92a及び第2ソレノイド92bと;を備えている。
【0036】
制御装置30は、汎用の(マイクロ)コンピュータであり、作業装置としての高所作業装置5が使用状態にあるか否かを判断する判断機能部と、高所作業装置5が使用状態にあると判断されると、揺動ロック装置7を作動させて揺動フレーム60を車体フレーム13(及びサブフレーム15)に対して揺動不能になるようにするロック機能部と、を有している。判断機能部及びロック機能部それぞれの機能については後述する。
【0037】
(第1の判断手法:電源スイッチOFF+フットペダルON)
以下、図5のフローチャートを用いて、第1の判断手法を用いた場合の制御の流れについて説明する。
【0038】
まず、制御装置30の判断機能部は、電源スイッチ83から電源がOFFになったことを示す信号が入力されたか否かを判断する(ステップS1)。そして、電源がOFFになったことを示す信号が入力されている場合は(ステップS1のYES)、ステップS2へ移行する。電源がOFFになったことを示す信号が入力されていない場合は(ステップS1のNO)、制御を終了する(END)。この場合には、デフォルト状態で第2ソレノイド92bに通電されているため揺動フリー状態が維持される。
【0039】
次に、制御装置30の判断機能部は、フットペダル82からフットペダル82が踏み込まれてONになったことを示す信号が入力されたか否かを判断する(ステップS2)。そして、フットペダル82が踏み込まれてONになったことを示す信号が入力されている場合は(ステップS2のYES)、ステップS3へ移行する。フットペダル82が踏み込まれておらずONになったことを示す信号が入力されていない場合は(ステップS2のNO)、制御を終了する(END)。この場合には、デフォルト状態で第2ソレノイド92bに通電されているため揺動フリー状態が維持される。
【0040】
このようにして、制御装置30の判断機能部は、軌道走行用の電源スイッチ83がOFFにされ、かつ、フットペダル82が踏み込まれてONにされている場合に、作業装置としての高所作業装置5が使用状態にあると判断する。
【0041】
そして、制御装置30のロック機能部は、上述したような判断手法によって高所作業装置5が使用状態にあると判断されると、第1ソレノイド92aに通電するようになっており、これによって油圧電磁弁92のポンプポート(P)と(B)ポートを接続して吐出油路と第1油路93を連通させるとともに、タンクポート(T)と(A)ポートを接続して第2油路94と排出油路を連通させる。
【0042】
そうすると、油圧ポンプ91からの圧油が、油圧電磁弁92のポンプポート(P)から(B)ポートを経由して、第1油路93に供給される。そして、第1油路93に供給された圧油は、左側の第1油路93Lと右側の第1油路93Rの2つに分岐され、パイロットチェック弁95L、95Rを通って揺動ロックシリンダ71L、71Rのヘッド側に供給されて、これを伸長させる。そうすると、プレートの下面が突出部73に当接することで、揺動フレーム60の揺動がロックされる。なお、パイロットチェック弁95L、95Rにはパイロット圧が供給されないため、逆流しないようになっている。
【0043】
(第2の判断手法:電源スイッチOFF+旋回台操作スイッチON)
以下、図6のフローチャートを用いて、第2の判断手法を用いた場合の制御の流れについて説明する。
【0044】
まず、制御装置30の判断機能部は、電源スイッチ83から電源がOFFになったことを示す信号が入力されたか否かを判断する(ステップS11)。そして、電源がOFFになったことを示す信号が入力されている場合は(ステップS11のYES)、ステップS12へ移行する。電源がOFFになったことを示す信号が入力されていない場合は(ステップS11のNO)、制御を終了する(END)。この場合には、デフォルト状態で第2ソレノイド92bに通電されているため揺動フリー状態が維持される。
【0045】
次に、制御装置30の判断機能部は、旋回台操作スイッチ81から旋回台操作スイッチ81がONになったことを示す信号が入力されたか否かを判断する(ステップS12)。そして、旋回台操作スイッチ81がONになったことを示す信号が入力されている場合は(ステップS12のYES)、ステップS13へ移行する。旋回台操作スイッチ81がONになったことを示す信号が入力されていない場合は(ステップS12のNO)、制御を終了する(END)。この場合には、デフォルト状態で第2ソレノイド92bに通電されているため揺動フリー状態が維持される。
【0046】
このようにして、軌道走行用の電源スイッチ83がOFFにされ、かつ、旋回台操作スイッチ81がONにされている場合に、制御装置30の判断機能部は、作業装置としての高所作業装置5が使用状態にあると判断する。
【0047】
そして、制御装置30のロック機能部は、上述したような判断手法によって高所作業装置5が使用状態にあると判断されると、第1ソレノイド92aに通電するようになっており、これによって油圧電磁弁92のポンプポート(P)と(B)ポートを接続して吐出油路と第1油路93を連通させるとともに、タンクポート(T)と(A)ポートを接続して第2油路94と排出油路を連通させる。
【0048】
そうすると、油圧ポンプ91からの圧油が、油圧電磁弁92のポンプポート(P)から(B)ポートを経由して、第1油路93に供給される。そして、第1油路93に供給された圧油は、左側の第1油路93Lと右側の第1油路93Rの2つに分岐され、パイロットチェック弁95L、95Rを通って揺動ロックシリンダ71L、71Rのヘッド側に供給されて、これを伸長させる。そうすると、プレートの下面が突出部73に当接することで、揺動フレーム60の揺動がロックされる。なお、パイロットチェック弁95L、95Rにはパイロット圧が供給されないため、逆流しないようになっている。
【0049】
(効果)
次に、本実施例の軌陸車1の奏する効果を列挙して説明する。
【0050】
(1)上述してきたように、本実施例の軌陸車1は、車両前方及び車両後方に配置された左右一対の道路走行用の車輪2、・・・と、車両前方及び車両後方に配置された左右一対の軌道走行用の鉄輪3、・・・と、車両前方又は車両後方のいずれかの左右一対の鉄輪3、・・・を回転可能に支持する揺動フレーム60であって、車体フレーム13の車両前後方向に延びる揺動軸61回りに揺動可能とされている揺動フレーム60と、車体フレーム13と揺動フレーム60との間に架け渡されて、揺動フレーム60が車体フレーム13に対して揺動不能にする揺動ロック装置7と、車体フレーム13に搭載されて所定の作業を行う作業装置としての高所作業装置5と、高所作業装置5が使用状態にあると判断すると揺動ロック装置7を作動させて、揺動フレーム60を車体フレーム13に対して揺動不能になるように制御する制御装置30と、を備えている。このような構成によれば、レール接触と略同時に転車台格納操作を停止しても、揺動ロック装置7(揺動ロックシリンダ71)に閉じ込み圧が発生することはない。
【0051】
つまり、従来は、第1ソレノイド92aに通電した揺動ロック状態をデフォルト状態に設定し、フリー条件を満たす場合のみ第2ソレノイド92bに通電してフリー状態とする制御を実施していたところ、転車台18を用いる載線時に閉じ込み圧が生じるおそれがあった。これに対して、本発明では、第2ソレノイド92bに通電した揺動フリー状態をデフォルト状態に設定し、ロック条件を満たす場合のみ第1ソレノイド92aに通電してロック状態とする制御を実施することとしたのである。
【0052】
そして、この場合のロック条件として、「積極的」に作業装置(高所作業装置5)の使用状態を判断するように構成することで、作業中に揺動をロックする、という合理的な制御を実施できるようになる。これとは逆に、例えば、作業装置の格納状態を捉えて揺動フリーとするような「消極的」な制御では、非格納状態では揺動が規制されて揺動フリーにならない。そうすると、意図せずに非格納状態になると揺動が規制されてしまうこととなり、軌道走行時の安全性が損なわれる可能性がある。
【0053】
(2)また、鉄輪3、・・・を使用する軌道走行用の電源のON/OFFを切り換える電源スイッチ83と、作業装置としてのブーム21に支持される作業台24と、作業台24内に配置されてブーム21の動作のON/OFFを切り換えるフットペダル82と、をさらに備え、制御装置30は、電源スイッチ83がOFFにされ、かつ、フットペダル82がONにされているときに、高所作業装置5が使用状態にあると判断するようにされている。このように、軌道走行用の電源がOFFであることから軌道走行しない状態であると推定され、かつ、フットペダル82がONであることから実際に高所作業装置5を動作させることを積極的に判断することによって、作業中であることを確実に判断できるようになる。ここにおいて、軌道走行用の電源がOFFであることを条件の1つとすることで、軌道走行中に揺動ロックされるおそれはなくなる。
【0054】
(3)さらに、鉄輪3、・・・を使用する軌道走行用の電源のON/OFFを切り換える電源スイッチ83と、作業装置としてのブーム21に支持される作業台24と、車体フレーム13に搭載される旋回台20に配置されてブーム21の動作のON/OFFを切り換える旋回台操作スイッチ81と、をさらに備え、制御装置30は、電源スイッチ83がOFFにされ、かつ、旋回台操作スイッチ81がONにされているときに、高所作業装置5が使用状態にあると判断するようにされている。このように、軌道走行用の電源がOFFであることから軌道走行しない状態であると推定され、かつ、旋回台操作スイッチ81がONであることから実際に高所作業装置5を動作させることを積極的に判断することによって、作業中であることを確実に判断できるようになる。ここにおいて、軌道走行用の電源がOFFであることを条件の1つとすることで、軌道走行中に揺動ロックされるおそれはなくなる。
【0055】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1:軌陸車;
2:車輪; 3:鉄輪;
4:車両部; 5:高所作業装置(作業装置);
10、11:鉄輪張出・格納機構;
12:運転室; 13:車体フレーム; 15:サブフレーム;
6:揺動機構;
60:揺動フレーム; 61:揺動軸;
7:揺動ロック装置;
71:揺動ロックシリンダ; 72:バネ; 73:突出部;
30:制御装置;
81:旋回台操作スイッチ; 82:フットペダル; 83:電源スイッチ;
90:油圧回路;
91:油圧ポンプ; 92:油圧電磁弁; 93:第1油路; 94:第2油路;
図1
図2
図3
図4
図5
図6