特許第6974793号(P6974793)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974793
(24)【登録日】2021年11月9日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01B 63/10 20060101AFI20211118BHJP
   A01C 11/02 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   A01B63/10 E
   A01C11/02 303D
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-205891(P2017-205891)
(22)【出願日】2017年10月25日
(65)【公開番号】特開2019-76026(P2019-76026A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100200942
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 高史
(72)【発明者】
【氏名】川上 修平
(72)【発明者】
【氏名】石田 智之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真佑
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲
【審査官】 星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−290606(JP,A)
【文献】 特開2016−063792(JP,A)
【文献】 特開平05−260828(JP,A)
【文献】 特開2008−212059(JP,A)
【文献】 特開平09−294432(JP,A)
【文献】 特開平11−266628(JP,A)
【文献】 特開2017−099290(JP,A)
【文献】 特開平11−187719(JP,A)
【文献】 特開2017−136009(JP,A)
【文献】 特開2012−235701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 63/10
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場面を整地する整地部材(43)と、この整地部材(43)によって整地された圃場面について圃場作業する作業装置(18)と、これら整地部材(43)および作業装置(18)を昇降支持する昇降装置(23)とを備え、圃場走行時に圃場を整地しつつ圃場作業する作業車両において、
前記作業装置(18)の圃場面高さを検出する検出手段と、前記昇降装置(23)の昇降作動を制御する制御装置(C)とを設け、前記作業装置(18)を所定の圃場面高さに保持する場合に、前記検出手段による検出高さが変化して昇降のピークに達した時に、前記昇降装置(23)の昇降作動制御を所定時間停止するよう構成し、さらに、
前記整地部材(43)が、前記作業装置(18)とともに昇降するよう構成され、圃場面に接してその高さに応じて上下回動するように構成されたフロート(43)であり、
前記検出手段が、前記フロート(43)の回動角度から前記作業装置(18)の圃場面高さを検出可能なフロートセンサであり、
前記作業装置(18)の圃場面高さを所定の目標高さに昇降制御する場合に、前記フロート(43)の回動角度が、目標角度に対して大きいほど、前記目標高さに達する上昇時間を指数関数的に減少し、また、目標角度に対して小さいほど、前記目標高さに達する下降時間を指数関数的に減少するよう構成したことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記検出手段は、圃場面に合わせて上下回動自在に前記整地部材(43)を支持し、この
整地部材(43)の回動角度によって圃場面高さを検出することを特徴とする請求項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗植付装置を備えてポット苗を植え付ける作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、苗移植機として、走行車体と、走行車体の後部に設けられ、ポット苗を圃場に植え付ける苗植付部とを備えたものがある。苗植付部は、互いに上下に配置されたポット苗箱導入部および空箱収容部と、これらの後部下端に設けられた植付装置と、ポット苗箱導入部から苗植付部を経て空箱収容部までポット苗箱を移送する搬送部とを備える(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この種のポット苗移植方式の苗移植機は、苗植付部に上述した搬送部などを備えることから苗植付部がきわめて重いため、ポット苗を積載した状態では機体後方に重量が集中し、特に、機体前側の予備苗枠のポット苗を苗植付部に補充した場合はなおさらである。
【0004】
このような大きな質量が集中する苗植付部は、昇降装置によって圃場面高さを調節可能に構成し、所定の植付深さに維持するために、苗植付部の下部に圃場面を検知及び整地する整地フロートを備えるとともに、圃場の凹凸に合せて苗植付部を昇降調節制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−51121号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、整地フロートが凹凸を検出し、昇降装置を作動させて所定の高さになるまでタイムラグがあり、構成部材の支持剛性および関係機器の動作特性等の限界から、昇降速度を速めると、目標高さに達してから昇降停止までのタイムラグが生じ、目標高さ位置を行き過ぎる問題がある。このようなタイムラグを抑えるべく昇降速度の上げ対応を早くすると、かえって苗植付部がハンチングを起こして植付けが乱れるという問題が避けられない。
【0007】
本発明の目的は、苗植付部の昇降制御時の不都合を改善し、昇降動作の安定化を図ることで植付性及び整地性が向上する作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、圃場面を整地する整地部材(43)と、この整地部材(43)によって整地された圃場面について圃場作業する作業装置(18)と、これら整地部材(43)および作業装置(18)を昇降支持する昇降装置(23)とを備え、圃場走行時に圃場を整地しつつ圃場作業する作業車両において、前記作業装置(18)の圃場面高さを検出する検出手段と、前記昇降装置(23)の昇降作動を制御する制御装置(C)とを設け、前記作業装置(18)を所定の圃場面高さに保持する場合に、前記検出手段による検出高さが変化して昇降のピークに達した時に、前記昇降装置(23)の昇降作動制御を所定時間停止する構成し、さらに、
前記整地部材(43)が、前記作業装置(18)とともに昇降するよう構成され、圃場面に接してその高さに応じて上下回動するように構成されたフロート(43)であり、
前記検出手段が、前記フロート(43)の回動角度から前記作業装置(18)の圃場面高さを検出可能なフロートセンサであり、
前記作業装置(18)の圃場面高さを所定の目標高さに昇降制御する場合に、前記フロート(43)の回動角度が、目標角度に対して大きいほど、前記目標高さに達する上昇時間を指数関数的に減少し、また、目標角度に対して小さいほど、前記目標高さに達する下降時間を指数関数的に減少するよう構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項に係る発明において、前記検出手段は、圃場面に合わせて上下回動自在に前記整地部材(43)を支持し、この整地部材(43)の回動角度によって圃場面高さを検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明は、圃場走行時に整地部材(43)で圃場を整地しつつ昇降装置(23)によって支持高さを昇降調節可能に作業装置(18)が圃場作業を行い、さらに、検出手段が検出した作業装置(18)の圃場面高さに基づいて、制御装置Cが昇降装置(23)を制御して作業装置(18)を所定の圃場面高さに保持する場合に、検出高さが変化して昇降のピークに達した時に、作業装置(18)の高さ調節を所定時間停止することにより、昇降装置(23)のタイムラグによる行き過ぎとその超過分を戻す動き(ハンチング)を防止でき、作業装置(18)の安定作動によって整地性と圃場面作業性の向上が可能となる。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、目標高さまで所定の離間基準以上離れている場合に作業装置(18)の昇降速度が増加されることで、圃場の凹凸の大小に応じた高さ調節が可能となり追従性が向上する。
【0016】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、目標高さまで離れているほど作業装置(18)の昇降速度を増速することで、圃場の凹凸の程度にあわせた速度での高さ調節が可能となり追従性が向上する。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、目標高さまで離れているほど作業装置(18)の昇降速度を増加することで、圃場の凹凸に合わせた速度での昇降制御が可能となるので追従性が向上し、所定の近接基準まで近づくと昇降動作を停止することで、昇降装置(23)のタイムラグにより所定高さを行き過ぎ、その後に戻るような動き(ハンチング)を防止でき、作業装置(18)の作動安定化によって植付性と整地性の向上を図ることができる。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、目標値近くで停止する方が整地装置と圃場追従性はより安定するが、昇降装置が昇降停止信号を出してから実際に苗植付部が停止するまでの応答が遅れ、また、高速で昇降させると目標値を超えハンチングする恐れがあることから、検出高さが目標値より離れるほど昇降速度を上昇させ、目標値より所定の近接基準の位置で早めに昇降停止の信号を出して目標値を超えないうちに昇降停止することでハンチングを防止でき、追従安定性と整地性が向上する。
【0019】
請求項6に係る発明は、請求項1から5のいずれかの効果に加え、整地部材(43)が検出手段を兼ねることにより、作業装置(18)の圃場面高さを検出するための特段の検出手段を要することなく、昇降装置(23)の昇降作動制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】苗移植機の側面図
図2】苗移植機の平面図
図3】昇降制御フローチャート
図4】沈みピーク点処理サブブロックのフローチャート
図5】浮きピーク点処理サブブロックのフローチャート
図6】上昇規制処理サブブロックのフローチャート
図7】下降規制処理サブブロックのフローチャート
図8】上昇信号による圃場面高さの制御特性図
図9】上昇(a)と下降(b)のフロート迎角対応速度設定例
図10】上昇時の感度特性図
図11】下降時の感度特性図
図12】下降信号による圃場面高さの制御特性図
図13】油圧系統図A(a)と配管構成図(b)
図14】油圧系統図B
【発明を実施するための形態】
【0021】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。なお、説明においては、機体の前進方向Fを基準に、前後、左右と云う。
【0022】
(全体構成)
本発明の適用対象となる作業車両である苗移植機1は、8条植えの構成例による側面図、平面図を図1図2に順に示すように、前輪20および後輪21によって圃場走行可能に支持した走行車体22について、その前部に、フロントカバー73、ハンドル72と両側部の予備苗枠74,74、前後中央に操縦席70と施肥装置71、機体後部に整地装置77と苗植付部18を備えている。
【0023】
(苗植付部)
苗植付部18は、2条の植付装置4と条間配置のフロート43とにより8条植えに構成し、機体後部の昇降リンク機構22aを昇降用シリンダ22bで昇降駆動する昇降装置23によって圃場面高さを調節可能に構成する。
【0024】
(フロート)
フロート43は、上下回動可能に支持することによって圃場面上を滑走して整地するとともに、苗の植付深さを揃えるために、圃場の凹凸を通過する際の回動量を検知する仰角センサ(ポテンショメータ)を内側配置のフロート43,43に設け、仰角センサの検知する回動角度の変化に応じて電磁弁(図示省略)を開閉させて昇降用シリンダ22bを伸縮させ、苗植付部18の植付作業高さを自動的に調節する。
【0025】
(作業装置昇降制御)
作業装置の昇降制御は、苗移植機1は、圃場面を整地する整地部材であるフロート43と、圃場面について苗移植作業を行う複数条の植付装置4…を備えた作業装置である苗植付部18と、この苗植付部18を昇降調節する昇降装置23と、苗植付部18の圃場面高さを検出する検出手段43と、この検出手段43の検出値に基づいて昇降装置23を作動制御する制御装置Cとを備える。
【0026】
整地部材43は、圃場面に接してその高さに応じて上下回動し、圃場面を整地可能に構成し、植付装置4と共に昇降するとともに、圃場面高さ検出手段としてその回動角度から植付装置4の圃場面高さを検出可能なフロートセンサを構成し、圃場走行によって圃場を整地しつつ植付装置4による圃場作業を可能に構成する。
【0027】
昇降制御処理は、図3の昇降制御フローチャートに示すように、「沈み」と「浮き」それぞれのピーク点処理のサブブロックおよび「上昇」と「下降」それぞれの規制処理のサブブロックによって構成する。
【0028】
まず、沈みピーク点処理サブブロックは、そのフローチャートを図4に示すように、上昇信号を判定する第1の処理ステップ(以下において、「S1」の如く略記する。)により、非該当であれば、沈みピーク点をリセット(S1a)し、上昇規制解除(S1b)した上で終了する。
【0029】
一方、判定が上昇信号の場合は、下降規制解除(S2)を行い、続くフロート上昇開始判定(S3)に該当すれば沈みピーク点を更新(S4)し、この沈みピーク点が一定以上(S5)であれば上昇規制を許可(S6)して終了し、また、フロート上昇開始でない場合や、沈みピーク点が一定値に満たない場合に終了する。
【0030】
次の浮きピーク点処理サブブロックは、上記沈みピーク点処理に対して、下降信号とフロート下降時の場合の制御であり、詳細には、そのフローチャートを図5に示すように、下降信号の判定ステップ(S11)により、非該当であれば、浮きピーク点をリセット(S11a)し、下降規制解除(S11b)した上で終了する。
【0031】
一方、下降信号の判定の場合は、上昇規制解除(S12)を行い、続くフロート下降開始判定(S13)に該当すれば浮きピーク点を更新(S14)し、この浮きピーク点が一定以上(S15)であれば下降規制を許可(S16)して終了し、また、フロート下降開始でない場合や浮きピーク点が一定値に満たない場合は終了する。
【0032】
次に、上昇規制処理サブブロックは、そのフローチャートを図6に示すように、フロート角度が拡大不感帯(例えば、通常の5bitを11bitに拡大)の範囲(S21)であれば、上昇信号を一定時間(90ms)停止(S22)する。
【0033】
また、下降規制処理サブブロックは、そのフローチャートを図7に示すように、フロート角度が拡大不感帯(例えば、通常の5bitを11bitに拡大)の範囲(S31)であれば、下降信号を一定時間(90ms)停止(S32)する。
【0034】
(昇降制御1)
次に、上記昇降制御の制御特性を具体的に説明する。
昇降制御1は、上昇信号による圃場面高さの制御特性図を図8に示すように、フロート感知による昇降制御中に上昇信号が出力されてからフロートセンサ値が実際に上昇方向(浮き方向)に変化した箇所の偏差をフロート43の沈みピーク点として更新する。
【0035】
このピーク点を検出することで、昇降信号を出力してから実際に苗植付部18が昇降したタイミングを検知でき、昇降信号を出力してから、実際に苗植付部18が昇降するまで、また、信号を停止してから実際に苗植付部18が停止するまでに応答遅れが生じるという問題を解消することができる。
【0036】
また、フロート沈み込みの大きさを知ることで、信号を停止してから実際に苗植付部18が停止するまでの応答遅れを加味して信号を事前に停止させるなど、他の制御に活用できる。
このように、上昇信号後の上昇開始時の偏差を下降ピーク点を記録することによって作動遅れを解消することができる。
【0037】
(昇降制御2)
昇降制御2は、フロート迎角に応じた昇降速度設定例を図9に示すように、フロート感知による昇降制御(昇降自動モード)中に、フロート43の角度が目標角度から離れているほど(偏差に応じて)昇降速度を速くすることで、圃場の凹凸に合わせた速度での昇降制御が可能となる。
【0038】
したがって、フロート角度の変化に関わらず一定速度で昇降した場合に、激しい凹凸に対して追従が悪かったり、追従を速くしようとして速度を上げると、逆に凹凸の少ない場所でハンチングを起こすこととなることから、このような問題を解決することができる。
【0039】
また、上昇時と下降時それぞれの感度特性図を図10図11に示すように、感度調節により、上昇側と下降側について、幅広い適用が可能となる。
【0040】
(昇降制御3)
昇降制御3は、下降信号による下降開始時の偏差を上昇ピーク点として記録する。
すなわち、フロート感知による昇降制御中(昇降自動モード)において、下降信号による圃場面高さの制御特性図を図12に示すように、下降信号が出力されてからフロートセンサ値が実際に下降方向(沈み方向)に変化した箇所の偏差をフロート43の浮きピーク点として更新することにより、昇降信号を出力してから実際に苗植付部18が昇降するまで、また、信号を停止してから実際に苗植付部18が停止するまでの応答遅れを解消することができる。
【0041】
このように、フロート43が浮き上がったピーク点を検出することで、昇降信号を出力してから実際に苗植付部18が昇降したタイミングを検知でき、また、フロート浮き上がりの大きさを知ることで、信号を停止してから実際に苗植付部18が停止するまでの応答遅れを加味して信号を事前に停止させるなど、他の制御に活用することができる。
【0042】
(昇降制御4)
昇降制御4は、昇降制御において、不感帯幅が狭い方が、よりフロート43の水平に近づけようとするため、追従性は安定するが、昇降信号を停止してから実際に苗植付部18が停止するまでの遅れがあり、また、凹凸が激しく、速い速度で昇降させてフロート43を基準位置に作動させようと制御する場合に、バルブの応答遅れにより不感帯を超えて反対方向までフロートが動いてしまい、ハンチング気味の制御となる傾向がある。
【0043】
そのような事態の解消のために、フロート43の浮き沈みのピーク点を検出したときのピーク点が所定以上(例えば、水平基準から15以上)であった場合に、通常の不感帯幅(5bit)に対して、不感帯を広げ(11bit)て信号を停止させる。
【0044】
このように、フロート43の浮き沈みのピーク点が大きい(凹凸が激しい)場合は、通常の不感帯よりも早いタイミングで昇降信号を停止させることで、バルブの応答遅れを考慮してフロート基準位置で苗植付部18を停止させることができ、ハンチング発生の防止、昇降制御の追従安定性を確保することができる。
【0045】
(昇降制御5)
昇降制御5は、広い不感帯(11bit)で昇降信号を停止させた場合に、不感帯の端(11bit)で止まっている時間が長いと、フロート43が浮き気味、沈み気味に見えて追従性評価の悪化を招くこととなることから、応答遅れを加味して信号を停止することで、フロート43が目標位置に到達していない場合は、昇降信号を出す必要がある。
【0046】
すなわち、信号を停止させるのは、一定時間とし、例えば、90msの昇降信号の規制をすることで、フロート43が目標位置に到達していない場合に、昇降信号を出すことにより、目標位置に近づけることができる。
【0047】
(昇降制御6)
昇降制御6は、広い不感帯(11bit)で昇降信号を停止させた場合には、不感帯の端(11bit)で止まっている時間が長いと、フロート43が浮き気味、沈み気味に見えて追従性評価の悪化を招くこととなることから、応答遅れを加味して信号を停止したことでフロート43が目標位置に到達していない場合は昇降信号を出す必要がある。
【0048】
このように、昇降信号を一定時間(90ms)停止させた後に、通常の不感帯幅(5bit)に収まっていない場合は、再度、通常の不感帯幅(5bit)に収まるまで昇降信号を出力することにより、目標位置に近づけることができる。
【0049】
(昇降制御7)
昇降制御7は、出力が強制的に90msの間規制され続けると、90ms以内に細かい凹凸を検知して、上昇→下降→上昇の信号の出力を必要とする場合に、規制された信号を出すことができないという問題の解決のために、上記昇降信号の反対方向の昇降信号が出力された場合は、90msの出力規制時間をリセットする。
【0050】
例えば、0msで上昇出力を90ms規制開始する。20msでフロート浮き検知して下降出力開始し、上昇の90msの規制時間を0msにリセットする。50msでフロート沈みを検知し、即時上昇信号を出力することで、90msの規制がリセットされる。
このように、規制した昇降信号の反対方向の昇降信号が出力された場合に、90msの出力規制時間をリセットすることで、細かい凹凸の検知に対して即時信号を出力することができる。
【0051】
(昇降制御8)
上記において、昇降を停止させる位置(広げた不感帯)は11bitとし、この値は、前記昇降制御で不感帯を超えて一定速で昇降させる6〜11bitの値と一致させる。
このように、昇降を停止させる範囲と、昇降速度が一定速になる範囲とを一致させることで、昇降信号が再度出力された際の追従性を安定させることができる。
【0052】
(油圧回路1)
次に、油圧回路構成について説明すると、旋回制御バルブとトルクジェネレータとの直列接続により、各機器の圧力損失が加算されることによる大きな動力ロスを招いていたことから、この問題の解決のために、図13(a)に油圧系統図Aを示すように、ギヤポンプ81から吐出した油を分岐し、旋回制御バルブ82とトルクジェネレータ83を並列に接続することで、図13(b)の配管構成図に示すように、ミッションケース84を左右に跨ぐ配管が減ることでレイアウトの簡素化とを合わせて解決することができる。
【0053】
(油圧回路2)
また、図14の油圧系統図Bに示すように、旋回制御バルブ82の減圧弁制御圧力を取出し、絞りを介してHST84のチャージポート(B)に接続することで、コントロールバルブとHSTの直列接続によるコントロールバルブ出力時のHSTチャージ流量不足の問題を解決して安定チャージが可能となる。
【0054】
(畦クラッチ)
次に、畦クラッチの自動復帰構成について説明すると、苗植付部18を上昇させると、アッパリンクに取付けたカムを介して一本の作用部材で複数のレバーに作用するシンプルな構成により、全条の畦クラッチレバーを「入り」に自動復帰することができる。
【0055】
詳細には、支点越えアームの中に前記作用部材を配置し、復帰させる部材の支点をレバーの支点と同一にシンプルに構成し、また、カムの形状にテーパをつけ、引くピンが外れないようにすることで、復帰後はレバーが操作自在となり、ステップカバーの斜めのレバーガイドに合わせてレバー長を合せ、中央ほど長くすることにより、機体旋回時の苗植付部18の上昇によって全条の植付けに移行することができる。
【0056】
すなわち、作業装置18は、複数条の植付装置4…によって構成し、各植付装置4…の作動と停止とを切替える条別切替機構を設け、昇降装置23によって所定高さまで上昇した時に、全条の作業装置18について作動に切替えるように構成する。
【0057】
上記構成により、植付け条の選択を可能とする条別切替機構について、作業走行における機体旋回時の作業装置18の上昇によって全条がリセットされることから、植付け条幅を限定した植付け作業走行の終了による機体旋回の後に、条別切替機構の個別操作を要することなく、全条の植付装置4による植付け作業の再開が可能となる。
【0058】
(技術的ポイント)
上記構成の作業車両について技術的ポイントをまとめると、次のとおりである。
第一に、作業車両は、作業装置18の圃場面高さを検出する検出手段と、前記昇降装置23の昇降作動を制御する制御装置Cとを設け、前記作業装置18を所定の圃場面高さに保持する場合に、前記検出手段による検出高さが変化して昇降のピークに達した時に、前記昇降装置23の昇降作動制御を所定時間停止することから、圃場走行時に整地部材43で圃場を整地しつつ昇降装置23によって支持高さを昇降調節可能に作業装置18が圃場作業を行い、さらに、検出手段が検出した作業装置18の圃場面高さに基づいて、制御装置Cが昇降装置23を制御して作業装置18を所定の圃場面高さに保持する場合に、検出高さが変化して昇降のピークに達した時に、作業装置18の高さ調節を所定時間停止することにより、昇降装置23のタイムラグによる行き過ぎとその超過分を戻す動き(ハンチング)を防止でき、作業装置18の安定作動によって整地性と圃場面作業性の向上が可能となる。
【0059】
第二に、作業装置18の圃場面高さを所定の目標高さに昇降制御する場合に、この目標高さに対する前記圃場面高さの偏差が所定の離間基準以上であれば、前記昇降装置23の昇降作動速度を増加することにより、目標高さまで所定の離間基準以上離れている場合に作業装置18の昇降速度が増加されることで、圃場の凹凸の大小に応じた高さ調節が可能となり追従性が向上する。
【0060】
第三に、作業装置18の圃場面高さを所定の目標高さに昇降制御する場合に、この目標高さに対する前記圃場面高さの偏差に比例して前記昇降装置23の昇降作動速度を増加することことから、目標高さまで離れているほど作業装置18の昇降速度を増速することで、圃場の凹凸の程度にあわせた速度での高さ調節が可能となり追従性が向上する。
【0061】
第四に、作業装置18の圃場面高さを所定の目標高さに昇降制御する場合に、この目標高さに対する前記圃場面高さの偏差が所定の近接基準以下であれば前記昇降装置23の昇降作動を停止することを条件に、前記偏差に比例して前記昇降装置23の昇降作動速度を増加することから、作業装置18は、目標高さまで離れているほど昇降速度が増加され、圃場の凹凸に合わせた速度での昇降制御が可能となるので追従性が向上し、また、所定の近接基準まで近づくと昇降動作を停止することで、昇降装置23のタイムラグにより所定高さを行き過ぎ、その後に戻るような動き(ハンチング)を防止できるので、作業装置18の作動安定化によって植付性と整地性の向上を図ることができる。
【0062】
第五に、作業装置18の圃場面高さを所定の目標高さに昇降制御する場合に、この目標高さに対する前記圃場面高さの偏差に応じて前記昇降装置23の昇降作動速度を増加し、前記偏差が所定の近接基準となった時に、前記昇降装置23の昇降作動を停止することから、検出高さが目標値より離れるほど高速調節され、目標値より所定の近接基準の位置で早めに昇降停止の信号を出して目標値を超えないうちに昇降停止することでハンチングを防止でき、追従安定性と整地性が向上する。
【0063】
第六に、検出手段は、圃場面に合わせて上下回動自在に前記整地部材43を支持し、この整地部材43の回動角度によって圃場面高さを検出することにより、整地部材43が検出手段を兼ねるので、特段の検出部材を要することなく、昇降装置23の昇降作動制御が可能となる。
【符号の説明】
【0064】
1 作業車両(苗移植機)
18 作業装置(苗植付部)
23 昇降装置
43 整地部材
C 制御装置
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