(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974794
(24)【登録日】2021年11月9日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】二段燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23D 14/08 20060101AFI20211118BHJP
【FI】
F23D14/08 C
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-11486(P2018-11486)
(22)【出願日】2018年1月26日
(65)【公開番号】特開2019-128129(P2019-128129A)
(43)【公開日】2019年8月1日
【審査請求日】2020年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】西川 知明
【審査官】
礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−227706(JP,A)
【文献】
特開2006−275360(JP,A)
【文献】
特開2004−245442(JP,A)
【文献】
特開2000−179812(JP,A)
【文献】
特開2000−266339(JP,A)
【文献】
実開平05−096719(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/00 − 14/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次炎孔を有する燃焼管と、この1次炎孔の上側に燃焼室を形成するバーナー箱と、このバーナー箱の上端部に形成された2次炎孔と、前記バーナー箱の長手方向に延びる1対の側板部のうちの前記1次炎孔と2次炎孔との間の中段部に、前記燃焼室の内部側へ突出するように形成された1対の凸条部とを有する二段燃焼装置において、
前記バーナー箱に、前記2次炎孔から前記凸条部にかけて延びる少なくとも1対のスリットを形成したことを特徴とする二段燃焼装置。
【請求項2】
複数対の前記スリットが前記バーナー箱に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の二段燃焼装置。
【請求項3】
前記バーナー箱は前記燃焼管に対して複数のビスで固定されており、前記ビスの内の前記燃焼管の長手方向の略中央部に設けられたビスの前記長手方向の両側において前記バーナー箱に下部スリットが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の二段燃焼装置。
【請求項4】
前記スリットは、前記1次炎孔に生じる1次火炎によって前記凸条部が高温となる主燃焼領域の境界近傍部に対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の二段燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスファンヒーターに適用される二段燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスファンヒーターに適用される二段燃焼装置の一例について、
図5〜
図7に基づいて説明する。二段燃焼装置100は、1次炎孔102を有する燃焼管101と、この1次炎孔102の上側に燃焼室103を形成するバーナー箱104と、このバーナー箱104の上端部に形成された2次炎孔105と、バーナー箱104の長手方向に延びる1対の側板106における1次炎孔102と2次炎孔105との間の中段部に、燃焼室103の内部側へ突出するように形成された1対の凸条部107と、この1対の凸条部107の間に形成された中段炎孔108とを備えている(特許文献1参照)。
【0003】
前記バーナー箱104の下端部は燃焼管101に複数のビス109にて固定されている。燃焼管101とバーナー箱104の両端部には二段燃焼装置100をガスファンヒーターの内部フレームに固定する為の端板110,111が取付けられている。バーナー箱104の熱歪が両端の端板110,111に影響を及ぼさないように、バーナー箱104の長手方向の端部付近においてバーナー箱104の上半部に鉛直スリット112が形成されている。
図6において、領域BLは2次炎孔105の形成領域に対応し、且つ1次炎孔102に生じる火炎によって凸条部107が高温となる主燃焼領域に対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−180814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、バーナー箱104の長手方向の端部付近においてバーナー箱104の上半部に鉛直スリット112が形成されているため、バーナー箱104が熱膨張する際の熱歪が鉛直スリットにより吸収され、両端の端板110,111に影響を及ぼさないようになっている。しかし、燃焼時にはバーナー箱104のうちの主燃焼領域に対応する部分の凸条部107は約600℃程度の高温になるため、領域BLにおけるバーナー箱104が上側凸の湾曲状に変形するような熱歪が発生し、その熱歪の発生時に、「カーン」、「バキッ」と聞こえるような歪音が発生し、ガスファンヒーターの信頼性を損なうという問題がある。
本発明の目的は、バーナー箱から発生する歪音を軽減可能な二段燃焼装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の二段燃焼装置は、1次炎孔を有する燃焼管と、この1次炎孔の上側に燃焼室を形成するバーナー箱と、このバーナー箱の上端部に形成された2次炎孔と、前記バーナー箱の長手方向に延びる1対の側板部のうちの前記1次炎孔と2次炎孔との間の中段部に、前記燃焼室の内部側へ突出するように形成された1対の凸条部とを有する二段燃焼装置において、前記バーナー箱に、前記2次炎孔から前記凸条部にかけて延びる少なくとも1対のスリットを形成したことを特徴としている。
【0007】
上記の構成によれば、前記バーナー箱に、前記2次炎孔から前記凸条部にかけて延びる少なくとも1対のスリットを形成したため、バーナーの燃焼時にバーナー箱が高温状態になってバーナー箱が上方凸の湾曲状に変形する際の熱歪の一部が、1対のスリットを介して吸収される。それ故、バーナー箱に上記の熱歪が発生する時に生じる歪音が軽減され、二段燃焼装置の信頼性の低下を防ぐことができる。
【0008】
請求項2の二段燃焼装置は、請求項1の発明において、複数対の前記スリットが前記バーナー箱に形成されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、前記バーナー箱に複数対の前記スリットを形成するため、前記の熱歪を吸収する吸収性能を一層高めることができる。
【0009】
請求項3の二段燃焼装置は、請求項1又は2の発明において、前記バーナー箱は、前記燃焼管に対して複数のビスで固定されており、前記ビスの内の前記燃焼管の長手方向の略中央部に設けられたビスの前記長手方向の両側において前記バーナー箱に下部スリットが設けられていることを特徴としている。
上記の構成によれば、バーナー箱が上方凸の湾曲状に変形する際に、上記の下部スリットによりバーナー箱に対する拘束が緩和されるため、熱歪発生時に生じる歪音が軽減される。
【0010】
請求項4の二段燃焼装置は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記スリットは、前記1次炎孔に生じる1次火炎によって前記凸条部が高温となる主燃焼領域の境界近傍部に対応する位置に設けられていることを特徴としている。
上記の構成によれば、バーナー箱のうちの主燃焼領域に対応する部分に発生する大きな熱歪を吸収する吸収性能を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば種々の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る二段燃焼装置の正面図である。
【
図4】(A)1次炎孔の上方近傍の1次炎と中段炎孔の上方近傍の中段炎を示す二段燃焼装置の要部断面図、(B)は1次炎孔の上方近傍の1次炎と2次炎孔の上方近傍の2次炎を示す二段燃焼装置の要部断面図、
【
図5】従来技術に係る二段燃焼装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る二段燃焼装置1は、ガスファンヒーターに組み込まれる二段燃焼装置であり、以下この二段燃焼装置1について、
図1〜
図4に基づいて説明する。
尚、
図1と
図2において、矢印L,R,F,Bは夫々左方,右方,前方,後方を示す。
【0014】
この二段燃焼装置1は、左右方向に延びる燃焼管2と、燃焼管2の上端部に固定され且つ内部に燃焼室3を形成するバーナー箱4と、燃焼管2とバーナー箱4の左右両端に固定された端板5,6とを有する。燃焼管2の上端部には、前後方向向きのスリットからなる1次炎孔7が多数形成され、燃焼管2の中段と下部には閉断面状の燃料ガス通路2aが形成され、この燃料ガス通路2aには、矢印Gのように燃料ガスと燃焼用空気の一部が導入される。
【0015】
燃焼管2は、2枚の金属板を結合して燃料ガス通路2aを形成する燃焼管本体8と、この燃焼管本体8の上端部に固定され且つ1次炎孔7が形成される炎孔形成板9とを有する。 バーナー箱4は、その長手方向(左右方向)に延びる前後1対の側板部10と、それら側板部10を接続する天板部11とを有し、前後1対の側板部10の下端部は複数のビス12により炎孔形成板9の前後1対の縦板部9aに夫々固定されている。尚、炎孔形成板9の前後の水平板部には複数の空気孔9bが形成されている。
【0016】
バーナー箱4の天板部11には、その全長の約2/3の長さの2次炎孔13であって細長い矩形状の2次炎孔13が天板部11の中央側部分(左端側部分と右端側部分とを除く部分)に形成されている。2次炎孔13の前後幅は天板部11の幅の約3/5である。
2次炎孔13の縁部には上下長の短い縦フランジ11aが形成されている。 尚、右端側の1次炎孔7に近接する部位には、点火手段20が設けられている。
【0017】
バーナー箱4の前後1対の側板部10のうちの1次炎孔7と2次炎孔13との間の中段部に、燃焼室3の内部側へ突出するように形成された1対の凸条部14が形成されている。
凸条部14は、緩傾斜状の上壁部14aと、この上壁部14aに連なる傾斜状の下壁部 14bとで横向きV形断面になるように形成されている。上壁部14aの先端と下壁部14bの先端は湾曲状に連なっている。燃焼室3内において前後1対の凸条部14の間には、1次炎孔7の上方に対応し且つ2次炎孔13の下方に対応する中段炎孔15が形成されている。
【0018】
図2に示す領域BLは、1次炎孔7と中段炎孔15と2次炎孔13が形成される主燃焼領域であり、この主燃焼領域BLは、1次炎孔7に生じる1次炎7a(
図4参照)によって凸条部14が高温となる領域である。
【0019】
前記バーナー箱4のうちの主燃焼領域BLに対応する部分の熱歪が、左右の端板5,6に影響を及ぼさないように、バーナー箱4の左端近傍部位と右端寄り部位において、バーナー箱4の上半部に鉛直スリット16が夫々形成されている。
【0020】
バーナーの燃焼時にバーナー箱4が高温状態となって、バーナー箱4が上方へ凸の湾曲状に変形する際の熱歪を吸収して歪音の発生を軽減するため、1次炎孔7に生じる1次火炎7aによって凸条部14が高温となる主燃焼領域BLの境界近傍部に対応する位置において、バーナー箱4には、2次炎孔13から凸条部14にかけて鉛直に延びる2対のスリット17が形成されている。
【0021】
左側の1対のスリット17は、2次炎孔13の左端から右方へ約15〜20mm離隔した部位に形成され、右側の1対のスリット17は、2次炎孔13の右端から左方へ約15〜20mm離隔した部位に形成されている。
スリット17は、2次炎孔13から凸条部14の上壁部14aまで形成され、凸条部 14の下壁部14bにはスリットが形成されない。凸条部14の下壁部14bにはスリット17を形成しないのでバーナー箱4の剛性を維持することができる。
【0022】
前記のように、バーナー箱4の下端部は、燃焼管2に対して複数のビス12で固定されており、複数のビス12の内の燃焼管2の長手方向の略中央部に設けられたビス12の前記長手方向の両側においてバーナー箱4に縦向きの下部スリット18が設けられている。
【0023】
次に、以上説明した二段燃焼装置1の作用、効果について説明する。
燃焼負荷が低中負荷の場合には、
図4(A)に示すように、燃焼室3内において1次炎孔7の上方近傍の1次炎7aと、中段炎孔15の上方近傍の中段炎15aとが発生し、完全燃焼に近い低NO
X燃焼状態となる。燃焼負荷が高負荷の場合には、
図4(B)に示すように、1次炎孔7の上方近傍の1次炎7aと、2次炎孔13の上方近傍の2次炎13aとが発生し、完全燃焼に近い低NO
X燃焼状態となる。
【0024】
バーナー箱4に、主燃焼領域BLの境界近傍領域において、2次炎孔13から凸条部14にかけて鉛直に延びる2対のスリット17を形成したので、バーナーの燃焼時にバーナー箱4が高温状態になってバーナー箱4が上方凸の湾曲状に変形する際の熱歪の一部が、2対のスリット17を介して吸収される。このように、バーナー箱4のうちの主燃焼領域BLに対応する部分に発生する大きな熱歪を吸収する吸収性能を高めることができる。
それ故、バーナー箱4に上記の熱歪が発生する時に生じる歪音が軽減され、二段燃焼装置1の信頼性の低下を防ぐことができる。
【0025】
燃焼管4の長手方向の略中央部に設けられたビス12の前記長手方向の両側においてバーナー箱4に下部スリット18が設けられたため、バーナー箱4が上方凸の湾曲状に変形する際に、上記の下部スリット18によりバーナー箱4の下端部に対する拘束が緩和されるため、熱歪発生時に生じる歪音が軽減される。
【0026】
尚、前記実施形態は、1例を示すものに過ぎず、当業者であれば本発明の趣旨を逸脱することなく、前記2対のスリット17の間の中間部位にも1対のスリット17を形成する等の種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はその種の変更形態をも包含するものである。
【符号の説明】
【0027】
1 二段燃焼装置
2 燃焼管
3 燃焼室
4 バーナー箱
7 1次炎孔
7a 1次炎
10 側板部
12 ビス
13 2次炎孔
13a 2次炎
14 凸条部
17 スリット
18 下部スリット
BL 主燃焼領域