特許第6974809号(P6974809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 櫟の特許一覧

<>
  • 特許6974809-バウムクーヘン焼成機 図000002
  • 特許6974809-バウムクーヘン焼成機 図000003
  • 特許6974809-バウムクーヘン焼成機 図000004
  • 特許6974809-バウムクーヘン焼成機 図000005
  • 特許6974809-バウムクーヘン焼成機 図000006
  • 特許6974809-バウムクーヘン焼成機 図000007
  • 特許6974809-バウムクーヘン焼成機 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974809
(24)【登録日】2021年11月9日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】バウムクーヘン焼成機
(51)【国際特許分類】
   A21B 5/04 20060101AFI20211118BHJP
   A21D 13/10 20170101ALI20211118BHJP
【FI】
   A21B5/04
   A21D13/10
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-42134(P2017-42134)
(22)【出願日】2017年3月6日
(65)【公開番号】特開2018-143179(P2018-143179A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2020年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】309036922
【氏名又は名称】株式会社 櫟
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(72)【発明者】
【氏名】兼田 貴代
【審査官】 河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−175381(JP,U)
【文献】 実公昭49−013837(JP,Y1)
【文献】 特開2012−165690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21B 5/04
A21D 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に延び回転自在に支持される芯棒と、
前記芯棒に直接的に又は間接的に塗布される生地を貯める生地皿と、
前記芯棒の軸を回転軸として前記芯棒を自転させる自転機構と、
前記塗布された生地を焼成する加熱部と、
生地を前記芯棒に直接的に又は間接的に塗布する生地塗布位置から、前記加熱部が配置された焼成ゾーンへ前記芯棒を移動させて前記塗布された生地を焼成させ、再び前記芯棒を前記生地塗布位置まで戻す移動機構と、
前記芯棒を前記生地皿へ相対的に接近させる接近機構と、を備えるバウムクーヘン焼成機において、
前記芯棒の前記生地皿への相対的な接近を所定の位置で停止させるストッパーを、前記生地皿の左右両側面を構成する立設壁の一部をゴム様弾性体で置換することで前記生地皿に設け、
前記ストッパーは、その上端が前記芯棒との接触時に前記芯棒の形状に応じて変形可能で、しかも前記芯棒が離間すると元の形状に戻ることを特徴とするバウムクーヘン焼成機。
【請求項2】
前記生地皿を複数備え、前記複数の生地皿を前記左右方向に並べて配置したことを特徴とする請求項1に記載のバウムクーヘン焼成機。
【請求項3】
内径が前記芯棒の外径に略等しい筒体を前記芯棒に複数外挿したことを特徴とする請求項2に記載のバウムクーヘン焼成機。
【請求項4】
前記左右方向に並んだ複数の前記筒体の、その一組の筒体における両端の左右外側に配置され、前記両端をそれぞれ左右内側へ押圧する押圧部材を備えることを特徴とする請求項3に記載のバウムクーヘン焼成機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バウムクーヘンを焼成するバウムクーヘン焼成機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バウムクーヘンは芯棒に剥離紙を巻き付け、生地を塗布して芯棒を回転させながら焼成し、また生地を塗布しては焼成し、これを繰り返して年輪状に焼き重ねてなる。
そして、バウムクーヘンを自動的に焼成する為のバウムクーヘン焼成機が開示されている(例えば、特許文献1,2参照)
【0003】
このようなバウムクーヘン焼成機は、左右方向に延び回転自在に支持される芯棒に剥離紙が巻き付けられ、芯棒を生地皿に接近させて剥離紙の上から生地が塗布される。
生地は生地皿に貯められるとともに、自転機構により芯棒を自転させる。
【0004】
そして移動機構によって、生地を芯棒に塗布する生地塗布位置から、加熱部が配置された焼成ゾーンへ芯棒を移動させて塗布された生地を焼成させ、再び芯棒を生地塗布位置まで戻す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−129781号公報
【特許文献2】特開2012−90550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、バウムクーヘンは伝統的な菓子であるので、目新しさを付加するのが難しい。
これでは客にバウムクーヘンを手に取ってもらうことができず、その店のバウムクーヘンの味を知ってもらうことも難しい。
また、新たな需要者層の開拓も課題である。
【0007】
そこで、本発明の目的とするところは、従来のバウムクーヘンとは差別化可能なバウムクーヘン焼成機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のバウムクーヘン焼成機(100)は、左右方向に延び回転自在に支持される芯棒(10)と、前記芯棒(10)に直接的に又は間接的に塗布される生地を貯める生地皿(20)と、前記芯棒(10)の軸を回転軸として前記芯棒(10)を自転させる自転機構(30)と、前記塗布された生地を焼成する加熱部(40)と、生地を前記芯棒(10)に直接的に又は間接的に塗布する生地塗布位置から、前記加熱部(40)が配置された焼成ゾーンへ前記芯棒(10)を移動させて前記塗布された生地を焼成させ、再び前記芯棒(10)を前記生地塗布位置まで戻す移動機構(50)と、前記芯棒(10)を前記生地皿(20)へ相対的に接近させる接近機構(60)と、を備えるバウムクーヘン焼成機(100)において、前記芯棒(10)の前記生地皿(20)への相対的な接近を所定の位置で停止させるストッパー(70)を、前記生地皿(20)の左右両側面を構成する立設壁の一部をゴム様弾性体(71)で置換することで前記生地皿(20)に設け、前記ストッパー(70)は、その上端が前記芯棒(10)との接触時に前記芯棒(10)の形状に応じて変形可能で、しかも前記芯棒(10)が離間すると元の形状に戻ることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載のバウムクーヘン焼成機(100)は、前記生地皿(20)を複数備え、前記複数の生地皿(20)を前記左右方向に並べて配置したことを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載のバウムクーヘン焼成機(100)は、内径が前記芯棒(10)の外径に略等しい筒体(11)を前記芯棒(10)に複数外挿したことを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載のバウムクーヘン焼成機(100)は、前記左右方向に並んだ複数の前記筒体(11)の、その一組の筒体(11)における両端の左右外側に配置され、前記両端をそれぞれ左右内側へ押圧する押圧部材を備えることを特徴とする。
【0016】
ここで、上記括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に掲載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、芯棒の生地皿への相対的な接近を所定の位置で停止させるストッパーを生地皿に設けたので、ストッパーが当接する部分には生地が塗布されず、一本の芯棒で複数のバウムクーヘンを一度に焼成可能である。この焼成されるバウムクーヘンは切断面が無く全面に焼き目が付いている状態のままで販売可能な分量であるので、従来のバウムクーヘンと差別化可能で、新たな需要を喚起することができる。
【0018】
また、本発明によれば、ストッパーは、その上端が上下動可能であるので、使用されて生地の量が減少した場合であっても芯棒が生地の液面に触れることができ、バウムクーヘンを製造可能である。
【0019】
また、本発明によれば、ストッパーは、その上端が芯棒との接触時に芯棒の形状に応じて変形可能なゴム様弾性体からなるので、芯棒に生地が接触するときにも生地が流れ出難い。つまり、芯棒が生地に触れる状態においてもゴム様弾性体と芯棒との間に隙間が生じず、生地皿から流れ出ようとする生地に対してゴム様弾性体と芯棒とが蓋の役目を果たす。
【0020】
また、本発明によれば、生地皿内部にはストッパーが二つ一組で立設するとともに、その一組のストッパーの前端間及び後端側にも壁が立設して、上方が開口した箱体を形成したので、その箱体に相対向する芯棒の部位には確実に生地の塗布を防止でき、一本の芯棒で複数のバウムクーヘンを一度に焼成可能である。
【0021】
また、本発明によれば、生地皿を複数備え、複数の生地皿を左右方向に並べて配置したので、それぞれの生地皿に異なる種類の生地を貯めることで、異なる味の複数のバウムクーヘンを同時に焼成可能である。
【0022】
また、本発明によれば、内径が前記芯棒の外径に略等しい筒体を芯棒に複数外挿したので、何ら切断することなく、一人分のバウムクーヘンを複数製造可能である。つまり、筒体に形成されるバウムクーヘンが一人分となる。
【0023】
また、本発明によれば、左右方向に並んだ複数の筒体の、その一組の筒体における両端の左右外側に配置され、両端をそれぞれ左右内側へ押圧する押圧部材を備えるので、筒体が確実に芯棒の回転に追従し筒体が空回りすることなく全周を満遍なく焼成可能である。
【0024】
また、本発明によれば、生地皿に左右に一列にストッパーを配置し、芯棒の生地皿への相対的な接近をストッパーにより所定の位置で停止させ、芯棒に生地が塗布される部位と塗布されない部分を同時に生じさせるので、一本の芯棒で複数のバウムクーヘンを一度に焼成可能である。この焼成されるバウムクーヘンは切断面が無く全面に焼き目が付いている状態のままで販売可能な分量であるので、従来のバウムクーヘンと差別化可能で、新たな需要を喚起することができる。
【0025】
なお、本発明のバウムクーヘン焼成機のように、芯棒の生地皿への相対的な接近を所定の位置で停止させるストッパーを生地皿に設ける点は、上述した特許文献1及び2には全く記載されていない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係るバウムクーヘン焼成機を示す正面図である。
図2】本発明の実施形態に係るバウムクーヘン焼成機を示す断面図である。
図3】本発明の実施形態に係るバウムクーヘン焼成機を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るバウムクーヘン焼成機における生地皿と芯棒(筒体)を示す拡大斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係るバウムクーヘン焼成機における筒体がストッパーに当接した瞬間を示す断面図である。
図6図5に示す筒体がストッパーに弾接した状態を示す断面図である。
図7図6に示す筒体に生地が重ねられた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1乃至図7を参照して、本発明の実施形態に係るバウムクーヘン焼成機100を説明する。
このバウムクーヘン焼成機100は、芯棒10と、自転機構30と、生地皿20と、加熱部40と、移動機構50と、接近機構60と、ストッパー70と、を備える。
そして、ストッパー70に特徴を有するものである。
【0028】
芯棒10は、左右方向に延び回転自在に支持されている。
芯棒10は一つのバウムクーヘン焼成機100につき複数(ここでは二十本)備えるが、まずはそのうちの一本について説明する。
芯棒10には、厚紙からなる筒体11を複数(ここでは三本)外挿し、その三本の筒体11が左右方向に並んだ状態となる。
筒体11の内径は芯棒10の外径に略等しく、その外挿時にやや抵抗を感じる程度の圧入となる、筒体11の内径と芯棒10の外径の関係である。
この一本の芯棒10に対する筒体11の個数は、その一本の芯棒10で同時に焼成できるバウムクーヘンの数になる。
【0029】
自転機構30は、バウムクーヘン全面を焼成可能にするために、各芯棒10の軸を回転軸として芯棒10を自転させる。
筒体11と芯棒10との間には摩擦力がはたらくので、筒体11もこの自転に追従して回転する。
【0030】
生地皿20は、液状の生地を貯める皿である。生地は芯棒10に直接的に又は間接的に塗布される。本実施形態では芯棒10に外挿された筒体11に生地が塗布(付着)される。
この生地皿20には、生地を少しずつ継ぎ足し続ける継足装置(図示しない)も併設されており、生地を使用しても生地の液面Sが大幅に低下することはない。
生地皿20にはストッパー70も設けられているが、それについては後述する。
【0031】
加熱部40は、発熱及び放熱し、筒体11に塗布された(付けられた)生地を焼成する。
本実施形態においては、加熱部40として電気式赤外線ヒーター41とガス式赤外線バーナー42とを併用して縦に複数配置した。
【0032】
移動機構50は、公転駆動装置及び公転駆動チェーンであり、加熱部40の周囲を移動し、二十本の芯棒10を順に生地塗布位置から焼成ゾーンへ移動させつつ生地を焼成させ、再び芯棒10を生地塗布位置まで戻すものである。
生地塗布位置とは芯棒10へ外挿した筒体11に生地を塗布する位置をいい、焼成ゾーンとは複数の加熱部40が配置された領域をいう。
【0033】
移動機構50は芯棒10を所定距離だけ移動させたらその位置で一時停止させる。このように移動機構50によって、芯棒10を間欠的に加熱部40の周囲を移動させる。
この所定距離とは、二十本の芯棒10を備えるバウムクーヘン焼成機100の場合には、公転距離の1/20である。つまり、それぞれの芯棒10が順に生地塗布位置まで移動したときにその都度芯棒10の公転を一時停止させる。
このようにここで言う公転とは、複数の加熱部40の周囲を回転移動することを指し、自転機構30により芯棒10の軸を回転軸として芯棒10を回転させることを自転と呼んだことに対応する。
【0034】
接近機構60は、芯棒10を生地皿20へ相対的に接近させ、芯棒10に外挿された筒体11に生地皿20内の生地を付着させる装置であり、本実施形態では、この接近機構60は生地皿20の下方に取付けられた生地皿昇降装置60である。
この生地皿昇降装置60では、生地皿20が芯棒10から下方に離れた位置から、生地皿20内の生地液面Sに筒体11が触れる位置まで生地皿20を上昇させ、上昇を停止する。そして、所定時間経過後に生地皿20を下降させて芯棒10を生地皿20から離間させる。
つまり、生地の液面Sに筒体11が触れるときは、移動機構50による芯棒10の移動を一時停止させているときである。
このように、芯棒10の間欠的な公転に合わせ生地皿20を昇降させることで、筒体11に生地を塗布する。
【0035】
ストッパー70は、立設壁であり、生地皿20の左右両側面の左右外側に各一つずつ、生地皿20の内部に四つ配置されており、複数のストッパー70はその全てが芯棒10と同時に接触可能なように左右に一列に並んでいる。
ここで、生地皿20内部に配置されるストッパー70は、二つ一組で、その前端間及び後端間にも壁が立設して、上方が開口した箱体75の一部を構成する。生地皿20内部のストッパー70を四つ配置したということは、ストッパー70を有する箱体75が二つ配置されたということである。
その箱体75は底面を独自に有していてもいいし、生地皿20の底面を共有してもよいが、いずれにせよ生地皿20内の生地がその箱体75内に流れ込まないようにしている。
【0036】
また、ストッパー70の配置場所は、芯棒10が生地皿20に近付いたときにおける各筒体11の左右両端部近傍であり、箱体75を構成するストッパー70に関しては、一つの箱体75によって二本の筒体11の隣接する端部同士と弾接するようになる。つまり、箱体75を構成する左側のストッパー70は二本並んだ筒体11のうち左側の筒体11の右端部近傍と弾接し、その箱体75を構成する右側のストッパー70は二本並んだ筒体11のうち右側の筒体11の左端部近傍と弾接する。
このストッパー70は芯棒10の生地皿20への相対的な接近を所定の位置で停止させるものである。
【0037】
そして、その立設壁が略矩形状に切り欠かれ、その切欠部分はゴム様弾性体71で置換されている。ゴム様弾性体71の立設壁への取付け方は、立設壁の切欠部分側の縁部がレール状になっており上方からゴム様弾性体71をスライドして挿入する。ゴム様弾性体71とそれが嵌められた立設壁とは、生地の流出を制限するに足りるだけ密着している。
このゴム様弾性体71は、その上端が芯棒10と接触したときにはその押圧力によって芯棒10の形状に変形し、芯棒10がゴム様弾性体71にある程度食い込んだところで近接機構による生地皿20の上昇を停止させる。
芯棒10をゴム様弾性体71から離間させると、ゴム様弾性体71は元の形状に戻る。
このゴム様弾性体71はシリコンであるが、その他のゴム等の弾性体が適宜選択される。
【0038】
このように構成されたバウムクーヘン焼成機100を使用したバウムクーヘンの製造方法について説明する。
まず、それぞれの芯棒10に三本ずつ筒体11を外挿する。
そして、各芯棒10を自転させる。
【0039】
次に、生地塗布位置にある筒体11に向かって生地皿20を上昇させ、生地を筒体11に塗布する。
このとき、図5の状態を経て筒体11のそれぞれの端部近傍がストッパー70のゴム様弾性体71に弾接しゴム様弾性体71を変形させた状態(図6参照)となる。
筒体11が生地に触れて一回転以上自転したら生地皿20を下降させて、筒体11を生地皿20から離間させる。
【0040】
そして、次の芯棒10(筒体11)が生地塗布位置となるように芯棒10を公転させる。
実際に次の芯棒10が生地塗布位置となると公転を一時停止させるとともに、生地皿20を上昇させる。
生地を塗布された筒体11は、公転により焼成ゾーンへ向かい焼成される。
これらをバウムクーヘンが所定の太さになるまで繰り返す。バウムクーヘンの層を重ね生地を塗布する状態が図7である。
最後に、芯棒10から筒体11付きのバウムクーヘンを抜き取って1サイクルが完了する。
【0041】
以上のように構成されたバウムクーヘン焼成機100及びバウムクーヘンの製造方法によれば、芯棒10の生地皿20への相対的な接近を所定の位置で停止させるストッパー70を生地皿20に設けたので、ストッパー70が当接する部分には生地が塗布されず、筒体11に生地が塗布される部分と塗布されない部分を同時に生じさせることができ、一本の芯棒10で複数のバウムクーヘンを一度に焼成可能である
特に、本実施形態では生地皿20内に配置された箱体75に相対向する筒体11の部分には生地が塗布されない。
【0042】
この焼成されるバウムクーヘンは切断面が無く全面に焼き目が付いている状態のままで販売可能な分量であるので、従来のバウムクーヘンと差別化可能で、新たな需要を喚起することができる。
【0043】
また、ストッパー70は、その上端が上下動(弾接変形)可能であるので、使用されて生地の量が減少した場合であっても芯棒10が生地の液面Sに触れることができ、バウムクーヘンを製造可能である。
【0044】
しかもストッパー70は、その上端が芯棒10との接触時に芯棒10の形状に応じて変形可能なゴム様弾性体71からなるので、芯棒10に生地が接触するときにも生地が流れ出難い。つまり、芯棒10が生地に触れる状態においてもゴム様弾性体71と芯棒10との間に隙間が生じず、生地皿20から流れ出ようとする生地に対してゴム様弾性体71と芯棒10とが蓋の役目を果たす。
【0045】
また、内径が前記芯棒10の外径に略等しい筒体11を芯棒10に複数外挿したので、何ら切断することなく、一人分のバウムクーヘンを複数製造可能である。つまり、筒体11に形成されるバウムクーヘンが一人分となる。
【0046】
なお、本実施形態において、ストッパー70の上端が上下動可能であるとしたが、これに限られるものではなく、筒体11に生地が塗布されていない状態から初めて生地を塗布する場合にだけ上方から生地を流し掛ける等すれば、バウムクーヘンの第二層以降の形成では芯棒10を生地皿20へ相対的に接近させ、固定式のストッパーで接近を停止させても生地を塗布することが可能である。
【0047】
また、ストッパー70がゴム様弾性体71を備えるとしたが、これに限られるものではなく、例えば芯棒10と接触するストッパー70の上端の部位を、芯棒10が嵌まるような略U字型の溝部として最初から形成しておき、かつ芯棒10とストッパー70が接触したときにはストッパー70の上端がそのままバネの弾性等によって下降するようにしておいてもよい。
【0048】
また、ストッパー70の上端は略一直線状の形状のまま上下動するものであってもよい。
そして、ストッパー70を有する箱体75内部へ生地が流れ込んだ場合のために、その箱体75の内部から下方へ生地を排出可能な機構にしておいてもよい。
【0049】
また、生地皿20内に配置されたストッパー70は箱体75を構成するものとしたが、これに限られるものではなく、生地皿20内の箱体75を一つの幅広のストッパー70に置き換えてもよい。この幅とは、作りたい隣接するバウムクーヘン間の間隔と略等しい。
すなわち、芯棒10(筒体11)を生地皿20に相対的に近付けたときに、ストッパー70やストッパー70を有する箱体75等によって、一本の芯棒10において生地が塗布される部位と塗布されない部位が同時に生じる構成であればよい。この塗布されない部位とは、生地が塗布される二つの部位の間に生じる生地が塗布されない部位を示し、生地が塗布されないとは、一度塗布された生地をスクレーパー等で取り除くものは含まない概念である。
【0050】
また、生地皿20を一つ設けたが、これに限られるものではなく、一つの芯棒10に対して複数の生地皿20を左右方向に並べて配置してもよい。
この場合、生地皿20内のストッパー70を有する箱体75は不要であり、生地皿20の左右壁部にだけストッパー70を配置すればよい。このときの生地皿20の個数と一組の筒体11の個数を一致させておく。
これにより、それぞれの生地皿20に異なる種類の生地を貯めることで、異なる味の複数のバウムクーヘンを同時に焼成可能である。
【0051】
さらに、左右方向に並んだ複数の筒体11の、その一組の筒体11における両端の左右外側に配置され、両端をそれぞれ左右内側へ押圧する押圧部材を備えてもよい。
これにより、筒体11が確実に芯棒10の回転に追従し空回りすることがないので全周を満遍なく焼成可能である。
【0052】
また、接近機構60を、生地皿20を昇降させる生地皿20昇降装置としたが、これに限られるものではなく、芯棒10を生地皿20に向かって移動させるものであってもよい。さらには、これらを併用したものであってもよい。
【0053】
また、加熱部40として、電気式赤外線ヒーターとガス式赤外線バーナーとを併用したが、いずれか一方で揃えてもよく、他の熱源であってもよい。
また、ストッパー70は生地皿20の左右両側面の左右外側に配置したが、生地皿20の左右両側面の左右内側であってもよい。又は、生地皿20の左右両側面自体をストッパー70としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 芯棒
11 筒体
20 生地皿
30 自転機構
40 加熱部
41 電気式赤外線ヒーター
42 ガス式赤外線バーナー
50 移動機構
60 接近機構
70 ストッパー
71 ゴム様弾性体
75 箱体
100 バウムクーヘン焼成機
S 液面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7