特許第6974815号(P6974815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974815
(24)【登録日】2021年11月9日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】捕集装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/22 20060101AFI20211118BHJP
【FI】
   G01N1/22 B
   G01N1/22 L
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-208125(P2020-208125)
(22)【出願日】2020年12月16日
(65)【公開番号】特開2021-96257(P2021-96257A)
(43)【公開日】2021年6月24日
【審査請求日】2020年12月16日
(31)【優先権主張番号】特願2019-226170(P2019-226170)
(32)【優先日】2019年12月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】511240357
【氏名又は名称】暮らしの科学研究所株式会社
(72)【発明者】
【氏名】笹井 雄太
(72)【発明者】
【氏名】田中 利夫
(72)【発明者】
【氏名】黒井 聖史
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 淳夫
【審査官】 永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2011/065381(JP,A1)
【文献】 特開2016−145799(JP,A)
【文献】 特表2014−518398(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3208544(JP,U)
【文献】 再公表特許第2016/092847(JP,A1)
【文献】 米国特許第06425297(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間(S)の空気中の被捕集物を捕集する捕集装置であって、
吸込口(13)と吹出口(27)とを備える空気通路(5)と、
前記空気通路(5)に配置され、空気を搬送する搬送部(23)と、
前記空気通路(5)に配置され、前記搬送部(23)により搬送された空気中の被捕集物を捕集する複数のサンプラ(8)とを備え、
前記複数のサンプラ(8)は、前記被捕集物として固体成分を捕集する固体サンプラ(12)と、前記被捕集物として気体成分を捕集する気体サンプラ(22)とを有する捕集装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記固体サンプラ(12)は、複数の固体サンプラ(12A,12B)を備え、
前記複数の固体サンプラ(12A,12B)は、それぞれ異なる種類の固体成分を捕集する補集装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記気体サンプラ(22)は、複数の気体サンプラ(22A,22B)を備え、
前記複数の気体サンプラ(22A,22B)は、それぞれ異なる種類の気体成分を捕集する補集装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つにおいて、
前記固体サンプラ(12)は、前記空気通路(5)において前記気体サンプラ(22)よりも上流側に配置される捕集装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つにおいて、
前記固体サンプラ(12)は、浮遊微生物、浮遊アレルゲン物質、鉱物、及び有機化合物の少なくとも1つを前記固体成分として捕集する捕集装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1つにおいて、
前記気体サンプラ(22)は、揮発性有機化合物、及び臭気ガスの少なくとも一方を前記気体成分として捕集する捕集装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つにおいて、
前記空気通路(5)は、複数の第1流路(10)と1つの第2流路(20)とを含み、
複数の前記第1流路(10)の下流端と前記第2流路(20)の上流端とが連通し、
前記固体サンプラ(12)は、複数の前記第1流路(10)のそれぞれに配置され、
前記気体サンプラ(22)は、前記第2流路(20)に配置される捕集装置。
【請求項8】
請求項において、
前記気体サンプラ(22)は、複数設けられ、
前記複数の気体サンプラ22A,22B)は、前記第2流路(20)の空気の流れ方向から見て、一部または全部が互いに重ならないように配置される捕集装置。
【請求項9】
請求項または請求項において、
前記複数の第1流路(10)のうち対象となる第1流路(10)に空気が流入し、該空気が前記第2流路(20)を流通するように前記対象となる第1流路(10)を変更する第1機構(K)を備える捕集装置。
【請求項10】
請求項において、
前記第1機構(K)は、
前記複数の第1流路(10)におけるそれぞれの前記固体サンプラ(12)の上流側に設けられる第1開閉機構(15)を備え、前記第1開閉機構(15)に対応する前記第1流路(10)を開閉する捕集装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1つにおいて、
前記吸込口(13)は上方に向かって開口している捕集装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記吹出口(27)は、側方に向かって開口している捕集装置。
【請求項13】
請求項7〜10のいずれか1つにおいて、
前記第2流路(20)における前記気体サンプラ(22)よりも下流側に設けられる第2開閉機構(16)を備え、
前記第2開閉機構(16)は、前記第2流路(20)を開閉する捕集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、捕集装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、室内空間に浮遊する微生物、アレルゲン物質、及びガス成分などによって、シックハウス症候群やアレルギー症状が引き起こされることが知られている。これらの症状の原因物質を特定するために、室内空間の空気中に浮遊する微生物等を捕集する捕集装置がある。特許文献1には、捕集面を備え、空気中のホルムアルデヒドや揮発性有機化合物を捕集する捕集装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−26954
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、対象空間の空気中には、微生物、アレルゲン、及びガス成分などの異なる種類の複数の被捕集物が存在する。
【0005】
本開示は、対象空間の空気中に存在する異なる種類の複数の被捕集物を効率よく捕集できる捕集装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、
対象空間(S)の空気中の被捕集物を捕集する捕集装置であって、
吸込口(13)と吹出口(27)とを備える空気通路(5)と、
前記空気通路(5)に配置され、空気を搬送する搬送部(23)と、
前記空気通路(5)に配置され、前記搬送部(23)により搬送された空気中の被捕集物を捕集する複数のサンプラ(8)とを備え、
前記複数のサンプラ(8)はそれぞれ異なる種類の被捕集物を捕集する。
【0007】
第1の態様では、対象空間の空気は吸込口(13)から空気通路(5)へ流入する。複数の捕集部(8)により、この空気に含まれる複数種類の被捕集物を捕集できる。
【0008】
本件開示の第2の態様は、第1の態様において、
前記複数のサンプラ(8)は、前記被捕集物として固体成分を捕集する固体捕集部(12)と、前記被捕集物として気体成分を捕集する気体捕集部(22)とを有する。
【0009】
第2の態様では、空気中の固体成分とガス成分とを同時に捕集できる。
【0010】
本件開示の第3の態様は、第2の態様において、
前記固体捕集部(12)は、前記空気通路(5)において前記気体捕集部(22)よりも上流側に配置される。
【0011】
第3の態様は、固体成分の被捕集物が捕集されてから、気体成分の被捕集物が捕集される。そのため、気体捕集部(22)に固体成分が付着することを抑制できる。
【0012】
本件開示の第4の態様は、第2または第3の態様において、
前記固体捕集部(12)は、浮遊微生物、浮遊アレルゲン物質、鉱物、及び有機化合物の少なくとも1つを前記固体成分として捕集する。
【0013】
本件開示の第5の態様は、第2または第3の態様において、
前記気体捕集部(22)は、揮発性有機化合物、及び臭気ガスの少なくとも一方を前記気体成分として捕集する。
【0014】
本件開示の第6の態様は、第2〜第5の態様のいずれか1つにおいて、
前記空気通路(5)は、複数の第1流路(10,10,…)と1つの第2流路(20)とを含み、
複数の前記第1流路(10,10,…)の下流端と前記第2流路(20)の上流端とが連通し、
前記固体捕集部(12)は、複数の前記第1流路(10,10,…)のそれぞれに配置され、
前記気体捕集部(22)は、前記第2流路(20)に配置される。
【0015】
第6の態様では1つの第2流路(20)を各第1流路(10)と連通する下流側の通路として構成できる。
【0016】
本開示の第7の態様は、第6の態様において、
前記気体捕集部(22)は、複数設けられ、
前記複数の気体捕集部(22)は、前記第2流路(20)の空気の流れ方向から見て、一部または全部が互いに重ならないように配置される。
【0017】
第7の態様では、複数の気体捕集部(22)のそれぞれは、他の気体捕集部(22)に邪魔されることなく、均一に第2流路(20)の空気に含まれる気体成分を捕集できる。その結果、各気体捕集部(22)の気体成分の捕集の効率性が低下することを抑制できる。
【0018】
本件開示の第8の態様は、第6または第7の態様において、
前記複数の第1流路(10,10,…)のうち対象となる第1流路(10)に空気が流入し、該空気が前記第2流路(20)を流通するように前記対象となる第1流路(10)を変更する第1機構(K)を備える。
【0019】
第8の態様では、対象となる第1流路(10)を変更することにより、複数種類の固体成分を連続的に捕集できる。
【0020】
本件開示の第9の態様は、第8の態様において、
前記第1機構(K)は、
前記複数の第1流路(10,10,…)におけるそれぞれの前記固体捕集部(12)の上流側に設けられる第1開閉機構(15)を備え、前記第1開閉機構(15)に対応する前記第1流路(10)を開閉する。
【0021】
第9の態様では、第1開閉機構(15)を開閉することにより、対象となる第1流路(10)を変更できる。
【0022】
本件開示の第10の態様では、第1〜第9の態様のいずれか1つにおいて、前記吸込口(13)は上方に向かって開口している。
【0023】
第10の態様では、上方の空気を吸い込むことができる。落下する固体成分を効率よく吸い込むことができる。
【0024】
本件開示の第11の態様は、第10の態様において、前記吹出口(27)は、側方に向かって開口している。
【0025】
第11の態様では、吹出口(27)を捕集装置の側面に配置したとき、空気が吹出される空間を捕集装置の下方に設ける必要がない。
【0026】
本件開示の第12の態様は、第6〜第9の態様のいずれか1つにおいて、
前記第2流路(20)における前記気体捕集部(22)よりも下流側に設けられる第2開閉機構(16)を備え、
前記第2開閉機構(16)は、前記第2流路(20)を開閉する。
【0027】
第12の態様では、捕集装置の運転が終了した後、第2開閉機構(16)を閉じることによって、気体捕集部(22)に捕集された気体成分が吹出口(27)から外部に漏れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、実施形態に係る捕集装置が室内空間に設置される状態を示す斜視図である。
図2図2は、捕集装置の構成を示す断面概略図である。
図3図3は、図2におけるIII−III線断面を示す図である。
図4図4は、コントローラと各種の構成機器との関係を示す図である。
図5図5は、コントローラの構成を示すブロック図である。
図6図6は、捕集装置の動作を示す図である。
図7図7は、変形例1に係る捕集装備の構成の一部を拡大した側面図である。
図8図8は、変形例1に係るコントローラと各種の構成機器との関係を示す図である。
図9図9は、粉じんセンサによる捕集時間の制御を示すフローチャートである。
図10図10は、変形例2に係る捕集装置の構成を示す縦断面図である。
図11図11は、その他の実施形態に係る捕集装置における図3のX-X線断面に相当する図である。
図12図12は、捕集装置及び収納容器の構成を示す縦断面図である。(A)は、収納前の捕集装置を示す。(B)は、収納容器を示す。(C)は、収納容器に収納された捕集装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
《実施形態》
以下、本実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。なお、以下の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」および「後」は、特にことわりのない限り、図中に記載された方向を意味する。図1図3図7及び図10に示す矢印は空気が流れる向きの一例を示す。
【0030】
図1に示すように、本開示の捕集装置(1)は、一戸建てやマンションのような一般住宅の対象空間である室内空間(S)に配置される。捕集装置(1)は、室内空間(S)の空気中の被捕集物を捕集する。被捕集物は、固体成分及び気体成分を含む。捕集された被捕集物は、その後の分析に供される。分析には、例えば定性分析及び定量分析等がある。定性分析は、室内空間(S)の空気中に含まれる被捕集物の種類を調べることである。定量
分析は、室内空間(S)の空気中における各種の被捕集物の濃度を調べることである。
【0031】
図2及び図3に示すように、捕集装置(1)は、ケーシング(3)、第1空気通路(5)、第1ファン(23)、サンプラ(8)、シャッタ(15)、風速センサ (25)、及びコントローラ(100)を備える。
【0032】
〈ケーシング〉
ケーシング(3)は、中空状に形成される。ケーシング(3)は、直方体状に形成される。ケーシングには、2つの第1吸込口(13)と1つの第1吹出口(27)とが形成される。2つの吸込口(13)は、ケーシング(3)の上面に形成される。2つの第1吸込口(13)は、ケーシング(3)の左寄りに形成される。2つの第1吸込口(13)は、前後に並んでいる。2つの第1吸込口(13)は、前側第1吸込口(13A)と後側第1吸込口(13B)とで構成される。前側第1吸込口(13A)は、ケーシング(3)の前寄りに形成される。後側第1吸込口(13B)はケーシング(3)の後寄りに形成される。第1吹出口(27)は、ケーシング(3)の右側面に形成される。
【0033】
〈第1空気通路〉
ケーシング(3)の内部には第1空気通路(5)が形成される。第1空気通路(5)は、2つの第1吸込口(13)から第1吹出口(27)に亘って形成される。具体的に、第1空気通路(5)は、2つの第1流路(10)と、第2流路(20)と、中間流路(30)とを有する。
【0034】
2つの第1流路(10)は、前側第1流路(10A)及び後側第1流路(10B)である。前側第1流路(10A)は、前側第1吸込口(13A)から下方に延びている。後側第1流路(10B)は、後側第1吸込口(13B)から下方に延びている。2つの第1流路(10)の下端は、ケーシング(3)の中央の高さ位置にある。
【0035】
第2流路(20)は、第1吹出口(27)から左方向に延びている。第2流路(20)の左端は、ケーシング(3)の中央より左寄りにある。
【0036】
中間流路(30)は、2つの第1流路(10)の下流端と第2流路(20)の上流端とを連通させる流路である。具体的に、中間流路(30)の一端は2つに分岐して、2つの第1流路(10)のそれぞれの下端に接続される。中間流路(30)の他端は、第2流路(20)の左端に接続される。
【0037】
第2流路(20)の内面には、第1取付口(26A)と第2取付口(26B)とが形成される。第1取付口(26A)及び第2取付口(26B)は、後述する第1気体サンプラ(22A)及び第2気体サンプラ(22B)が取り付けられる穴である。第1取付口(26A)及び第2取付口(26B)は上下方向に配置される。
【0038】
〈第1ファン〉
第1ファン(23)は、室内空間(S)の空気を第1空気通路(5)に搬送する搬送部である。第1ファン(23)は、第2流路(20)におけるサンプラ(8)の下流側に配置される第1ファン(23)は、第1吹出口(27)の近傍に配置される。
【0039】
〈サンプラ〉
サンプラ(8)は、空気中に含まれる被捕集物を捕集する捕集部である。サンプラ(8)は、第1空気通路(5)内に配置される。ここで、分析の対象となる被捕集物によって、空気をサンプラ(8)に通過させる時間や、サンプラ(8)に通過させる空気量は異なる。空気を通過させる時間及び空気量は、所定の規則により定められる。所定の規則は、例えば公定法が挙げられる。サンプラ(8)は、気体捕集部(22)と、固体捕集部(12)とを有する。
【0040】
気体捕集部(22)は、室内空間(S)の空気中の気体成分を捕集する。気体捕集部(22)は、複数有する。具体的に、気体捕集部(22)は、第1気体サンプラ(22A)と第2気体サンプラ(22B)とを有する。第1気体サンプラ(22A)及び第2気体サンプラ(22B)は、第2流路(20)内において第1ファン(23)の上流に配置される。第1気体サンプラ(22A)及び第2気体サンプラ(22B)は、第2流路(20)の空気の流れ方向から見て、一部または全部が互いに重ならないように配置される。具体的に、第1気体サンプラ(22A)及び第2気体サンプラ(22B)は、上下に並んで配置される。より具体的に、第1気体サンプラ(22A)及び第2気体サンプラ(22B)は、第2流路(20)の流れ方向に対して直交する方向に並んで配置される。
【0041】
第1気体サンプラ(22A)は、空気中のホルムアルデヒドに対して高い吸着性を有する吸着部を備える。換言すると、第1気体サンプラ(22A)は、ホルムアルデヒドに対する捕集能力が、ホルムアルデヒドと異なる他の気体成分に対する捕集能力よりも高い。
【0042】
第2気体サンプラ(22B)は、空気中のアンモニアに対して高い吸着性を有する吸着部を備える。換言すると、第2気体サンプラ(22B)は、アンモニアに対する吸着能力が、アンモニアと異なる他の気体成分に対する吸着能力よりも高い。
【0043】
固体捕集部(12)は、室内空間(S)の空気中に浮遊する固体成分を捕集する。固体捕集部(12)は、気体捕集部(22)よりも固体成分の捕集能力が高い。固体捕集部(12)は、第1固体サンプラ(12A)と第2固体サンプラ(12B)とを備える。
【0044】
第1固体サンプラ(12A)は、気体捕集部(22)よりも上流側に配置される。具体的に、第1固体サンプラ(12A)は、前側第1流路(10A)において、第1吸込口(13)付近に配置される。第1固体サンプラ(12A)は、固体成分を捕集するフィルタを有する。第1固体サンプラ(12A)のフィルタは、前側第1流路(10A)に流れる空気中のカビに対して高い捕集能力を有する。換言すると、第1固体サンプラ(12A)は、カビに対する捕集能力は、カビと異なる他の固体成分に対する捕集能力よりも高い。
【0045】
第2固体サンプラ(12B)は、気体捕集部(22)よりも上流側に配置される。具体的に、第2固体サンプラ(12B)は、後側第1流路(10B)において、第1吸込口(13)付近に配置される。第2固体サンプラ(12B)は、固体成分を捕集するフィルタを有する。第2固体サンプラ(12B)のフィルタは、後側第1流路(10B)に流れる空気中のカビに対して高い捕集能力を有する。換言すると、第2固体サンプラ(12B)は、ダニに対する捕集能力は、ダニと異なる他の固体成分に対する捕集能力よりも高い。
【0046】
〈シャッタ〉
シャッタ(15)は、2つの第1流路(10)のうち対象となる第1流路(10)に空気が流入し、該空気が第2流路(20)を流通するように対象となる第1流路(10)を変更する第1機構(K)である。具体的に、シャッタ(15)は、2つの第1流路(10)において、第1固体サンプラ(12A)及び第2固体サンプラ(12B)の上流側に設けられる第1開閉機構である。より具体的に、シャッタ(15)は、第1シャッタ(15A)と第2シャッタ(15B)とを有する。第1シャッタ(15A)は、前側第1流路(10A)における第1吸込口(13)に配置される。第2シャッタ(15B)は、後側第1流路(10B)における第1吸込口(13)に配置される。
【0047】
第1シャッタ(15A)に対応する前側第1流路(10A)又は、第2シャッタ(15B)に対応する後側第1流路(10B)が開閉される。例えば、対象となる第1流路(10)が、前側第1流路(10A)であるとき、第1シャッタ(15A)は開状態となり、第2シャッタ(15B)は閉状態となる。一方、対象となる第1流路(10)が、後側第1流路(10B)であるとき、第1シャッタ(15A)は閉状態となり、第2シャッタ(15B)は開状態となる。
【0048】
〈風速センサ 〉
風速センサ(25)は、第2流路(20)における気体捕集部(22)の上流側に配置される。風速センサ(25)は、第1ファン(23)が運転されることによって、第1空気通路(5)内を流通する空気の風速を検出する。
【0049】
〈コントローラ〉
図4に示すように、コントローラ(100)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリデバイス(具体的には半導体メモリ)とを含む。
【0050】
コントローラ(100)は、風速センサ(25)第1シャッタ(15A)、第2シャッタ(15B)、及び第1ファン(23)と信号の送受信を行う。これらの機器とコントローラとは、無線又は有線により互いに接続される。
【0051】
図5示すように、コントローラ(100)は、設定部(101)と、演算部(103)とを有する。
【0052】
設定部(101)には、気体捕集部(22)及び固体捕集部(12)を通過する空気量(M)、又は気体捕集部(22)及び固体捕集部(12)を空気が通過する通過時間(ΔT)が設定される。ここで、空気中に存在するカビの分析は、第1固体サンプラ(12A)を通過する所定の空気量(M)に基づいて行われる。設定部(101)には、第1固体サンプラ(12A)を通過する所定の空気量(M)が第1空気量(M1)に設定される。空気中に存在するダニの分析は、第2固体サンプラ(12B)を通過する所定の通過時間(ΔT)に基づいて行われる。設定部(101)には、第2固体サンプラ(12B)を通過する所定の通過時間(ΔT)が第2時間(ΔT2)に設定される。空気中に存在するホルムアルデヒド及びアンモニア等の気体成分の分析は、第1気体サンプラ(22A)及び第2気体サンプラ(22B)を通過する所定の通過時間(ΔT)に基づいて行われる。設定部(101)には、第1気体サンプラ(22A)及び第2気体サンプラ(22B)を通過する所定の通過時間(ΔT)が第3時間(ΔT3)に設定される。
【0053】
演算部(103)は、第1空気通路(5)内の目標風速を算出する。目標風速は、設定部(101)に設定された第1空気量(M1)と、第2時間(ΔT2)と、第3時間(ΔT3)とに基
づいて算出される。具体的に、演算部(103)は、第2時間(ΔT2)と第3時間(ΔT3)との差により、第1固体サンプラ(12A)の捕集時間である第1時間(ΔT1)を算出する。演算部(103)は、第1時間(ΔT1)と第1空気量(M1)とにより目標風速を算出する。
【0054】
−運転動作−
捕集装置(1)の動作の一例について、図6を参照しながら具体的に説明する。
【0055】
コントローラ(100)では、各種の値が設定される。具体的に、設定部(101)には、第1空気量(M1)が5リットルに、第2時間(ΔT2)が175分間に、第3時間(ΔT3)が180分に設定される。演算部(103)は、第2時間(ΔT2)と第3時間(ΔT3)との差から、第1時間(ΔT1)を5分間として算出する。演算部(103)は、第1時間(ΔT1)と第1空気量(M1)とから、目標風速を1リットル/分として算出する。
【0056】
捕集装置(1)が運転されると、コントローラ(100)は、第1シャッタ(15A)を開状態にし、第2シャッタ(15B)を閉状態にする。コントローラ(100)は、第1空気通路(5)内の風速が目標風速となるように、第1ファン(23)の回転数を制御する。この状態において、第1固体サンプラ(12A)は、前側第1吸込口(13A)から吸い込まれた空気中のカビを捕集するが、第2固体サンプラ(12B)は空気中の被捕集物を捕集しない。第1気体サンプラ(22A)は、第1固体サンプラ(12A)を通過した空気中のホルムアルデヒドを捕集する。第2気体サンプラ(22B)は第1固体サンプラ(12A)を通過した空気中のアンモニアを捕集する。
【0057】
第1時間(ΔT1)である5分間が経過した時、コントローラ(100)は、第1シャッタ(15A)を閉状態にし、第2シャッタ(15B)を開状態にする。この状態において、第1固体サンプラ(12A)による捕集は終了し、第2固体サンプラ(12B)は、第1吸込口(13)から吸込まれた空気中のダニの捕集を開始する。第1気体サンプラ(22A)は、第2固体サンプラ(12B)を通過した空気中のホルムアルデヒドを捕集する。第2気体サンプラ(22B)は、第2固体サンプラ(12B)を通過した空気中のアンモニアを捕集する。
【0058】
第2時間(ΔT2)である175分間が経過した時、コントローラ(100)は、第1シャッタ(15A)及び第2シャッタ(15B)を閉状態にする。コントローラ(100)は、捕集装置(1)の運転を終了する。
【0059】
−実施形態の効果‐
上記実施形態の捕集装置(1)は、対象空間(S)の空気中の被捕集物を捕集する。捕集装置(1)は、吸込口(13)と吹出口(27)とを備える空気通路(5)と、前記空気通路(5)に配置され、空気を搬送する搬送部(23)と、前記空気通路(5)に配置され、前記搬送部(23)により搬送された空気中の被捕集物を捕集する複数の捕集部(8)とを備える。前記複数の捕集部(8)はそれぞれ異なる種類の被捕集物を捕集する。
【0060】
対象空間である室内空間(S)の空気中には、シックハウス症候群やアレルギー症状の原因となる微生物、アレルゲン物質、及びガス成分などの異なる種類の被捕集物が存在する。シックハウス症候群やアレルギー症状の原因物質を調べるためには、室内空間(S)の空気中の被捕集物を効率よく捕集することが望まれる。そのためには、各種の被捕集物に特化した捕集装置により捕集することが考えられるが、異なる種類の複数の被捕集物を捕集しようとすると、対象となる被捕集物ごとに捕集装置を用意する必要がある。これでは、複数の装置を操作する必要があるため捕集作業が煩雑になる。また、複数の装置を設置するスペースを確保する必要がある。さらには、分析を行う機関に複数の装置を送付する必要があるため手間がかかる。本実施形態では、捕集装置(1)は、それぞれ異なる種類の被捕集物を捕集する複数の捕集部(8)を備える。具体的に、各捕集部(8)は、対象となる特定の被捕集物に対する捕集能力が高い。そのため、異なる種類の複数の被捕集物を効率よく捕集できる。
【0061】
加えて、各捕集部(8)は、1つの空気通路(5)に配置される。このことにより、異なる種類の複数の被捕集物を同時に捕集できると共に、短時間で捕集できる。
【0062】
加えて、各種の被捕集物に応じた捕集装置を複数台設置する必要がなく、設置スペースを小さくすることができると共に、複数の装置を操作する手間を省くことができる。
【0063】
加えて、一台の捕集装置で異なる種類の複数の被捕集物を捕集できるため、捕集装置の部品点数の増加を抑えることができる共に、製造コストを抑えることができる。さらに捕集装置のコンパクト化を図ることができる。
【0064】
加えて、被捕集物を分析する機関には一台の捕集装置(1)を送付するだけでよい。例えば、各種の被捕集物に特化した捕集装置では、複数の捕集装置を送付する必要があるが、そのような場合と比べ、送付する作業負担を軽減できる。
【0065】
実施形態では、前記複数の捕集部(8)は、前記被捕集物として固体成分を捕集する固体捕集部(12)と、前記被捕集物として気体成分を捕集する気体捕集部(22)とを有する。
【0066】
この構成では、捕集装置(1)は、対象空間(S)の空気中の被捕集物を固体成分と気体成分とに分けて捕集できる。このことにより、固体成分と気体成分とを分離する必要がない。その結果、固体成分及び気体分を速やかに分析に供することができる。
【0067】
加えて、各捕集部(8)は気体成分又は固体成分に特化して捕集できる。このことにより、異なる種類の複数の被捕集物を効率よく捕集できる。
【0068】
実施形態では、前記固体捕集部(12)は、前記第1空気通路(5)において前記気体捕集部(22)よりも上流側に配置される。
【0069】
この構成では、固体成分の被捕集物が捕集されてから、気体成分の被捕集物が捕集される。このことにより、気体捕集部(22)に固体成分が付着することを抑制できる。その結果、気体捕集部(22)は気体成分に対する捕集効率を高めることができる。同様に、固体捕集部(12)は固体成分に対する捕集効率を高めることができる。
【0070】
実施形態では、前記固体捕集部(12)は、浮遊微生物及び浮遊アレルゲン物質を前記固体成分として捕集する。
【0071】
この構成では、浮遊微生物であるカビ、及び浮遊アレルゲン物質であるダニを捕集できる。このことにより、室内空間(S)の空気中に浮遊するカビ及びダニの種類を特定できる。
【0072】
実施形態では、前記気体捕集部(22)は、揮発性有機化合物及び臭気ガスを前記気体成分として捕集する。
【0073】
この構成では、揮発性有機化合物であるホルムアルデヒド、及び臭気ガスであるアンモニアを捕集できる。
【0074】
実施形態では、前記第1空気通路(5)は、2つの第1流路(10)と1つの第2流路(20)とを含み、2つの前記第1流路(10)の下流端と前記第2流路(20)の上流端とが連通し、前記固体捕集部(12)は、2つの前記第1流路(10)のそれぞれに配置され、前記気体捕集部(22)は、前記第2流路(20)に配置される。
【0075】
この構成では、第2流路(20)を2つの第1流路(10)と連通する下流側の通路とすることができる。具体的に、2つの第1流路(10)は下流側で合流し、第2流路(20)に連通している。そのため、前側第1流路(10A)に流入する空気中の被捕集物は、第1固体サンプラ(12A)と気体捕集部(22)とにより捕集される。また、後側第1流路(10B)に流入する空気中の被捕集物は、第2固体サンプラ(12B)と気体捕集部(22)とにより捕集される。このことにより、気体捕集部(22)は、第1固体サンプラ(12A)を通過した空気に含まれる被捕集物を捕集できると共に、第2固体サンプラ(12B)を通過した空気に含まれる被捕集物を捕集できる。その結果、例えば、空気通路を2つ備え、それぞれの空気通路に固体捕集部と気体捕集部とを備える捕集装置と比べて部品点数を減らすことができる。
【0076】
実施形態では、2つの前記第1流路(10)のうち対象となる第1流路(10)に空気が流入し、該空気が前記第2流路(20)を流通するように前記対象となる第1流路(10)を変更する第1機構(K)を備える。
【0077】
この構成では、対象となる第1流路(10)を変更することにより、異なる種類の複数の固体成分を連続的に捕集できる。例えば、第1機構(K)によって、対象となる前側第1流路(10A)と第2流路(20)とが連通する。この時、後側第1流路(10B)と第2流路(20)とは連通しない。そのため、空気中の被捕集物は、第1固体サンプラ(12A)と気体捕集部(22)とにより捕集される。その後、第1機構(K)によって、対象となる第1流路(10)が変更される。具体的に、対象となる後側第1流路(10B)と第2流路(20)とが連通する。この時、前側第1流路(10A)と第2流路(20)とは連通しない。そのため、空気中の被捕集物は、第2固体サンプラ(12B)と気体捕集部(22)とにより捕集される。このことにより、第1機構(K)が対象となる第1流路(10)を変更することで、2種類の異なる固体成分を連続して捕集できる。
【0078】
加えて、第2流路(20)は2つの第1流路(10)に連通しているため、一方の固体捕集部(12)の捕集開始から他方の固体捕集部(12)の捕集終了までの間、気体捕集部(22)は、気体成分を捕集できる。
【0079】
実施形態では、前記第1機構(K)は、前記複数の第1流路(10)におけるそれぞれの前記固体捕集部(12)の上流側に設けられる第1開閉機構(15)を備え、前記第1開閉機構(15)に対応する前記第1流路(10)を開閉する。
【0080】
この構成では、第1開閉機構(15)を開閉することにより、対象となる第1流路(10)を変更できる。具体的に、第1機構(K)は、第1開閉機構(15)であるシャッタ(15)を備える。シャッタ(15)は、第1シャッタ(15A)と第2シャッタ(15B)とを有する。第1シャッタ(15A)は前側第1流路(10A)における第1固体サンプラ(12A)の上流に配置される。第2シャッタ(15B)は、後側第1流路(10B)における第2固体サンプラ(12B)の上流に配置される。第1シャッタ(15A)を開状態とし、第2シャッタ(15B)を閉状態とすることで、第1シャッタ(15A)に対応する前側第1流路(10A)のみに空気が流入できる。一方、第2シャッタ(15B)を開状態とし、第1シャッタ(15A)を閉状態とすることで、第2シャッタ(15B)に対応する後側第1流路(10B)のみに空気が流入できる。このことにより、第1シャッタ(15A)及び第2シャッタ(15B)が、互いに開状態と閉状態とに切り替えられるため、対象となる第1流路(10)を変更できる。
【0081】
加えて、固体捕集部(12)の上流にシャッタ(15)が配置される。そのため、シャッタ(15)が閉状態のとき、第1吸込口(13)への空気の流入は抑制される。シャッタ(15)は、設定された所定の期間のみ開状態となるため、固体捕集部(12)は、該所定の期間を超えて被捕集物を捕集しない。このことにより、室内空間(S)の空気中に存在する各種の固体成分の分析の精度を向上できる。
【0082】
実施形態では、前記吸込口(13)は上方に向かって開口している。
【0083】
この構成では、上方の空気を吸い込むことができる。落下する固体成分を効率よく吸い込むことができる。
【0084】
実施形態では、前記吹出口(27)は、側方に向かって開口している。
【0085】
この構成では、吹出口(27)を捕集装置(1)の側面に配置したとき、空気が吹出される空間を捕集装置(1)の下方に設ける必要がない。例えば、吹出口(27)を捕集装置(1)の下面に配置すると、該下面に脚などを設けて空気が吹き出される空間を設ける必要がある。このことにより、捕集装置(1)に脚などを設ける必要がなく、装置のコンパクト化を実現できる。
【0086】
−変形例1−
図7に示すように、変形例1の捕集装置(1)は、室内空間(S)の空気中の粉じん濃度を検出する粉じん検出部(40)を備える。コントローラ(100)は、粉じん検出部(40)により検出された粉じん濃度に基づいて、第1固体サンプラ(12A)によるカビの捕集時間を決定する。例えば、粉じん濃度が所定の濃度範囲にある場合の捕集時間を第1捕集時間とする。粉じん濃度が所定の濃度範囲未満であるとき、室内空間(S)の空気中に含まれるカビは検出限界以下であると判断される。この場合、コントローラ(100)は、カビの捕集時間を第1捕集時間よりも短い時間に設定する。一方、粉じん濃度が所定の濃度範囲より高いとき、室内空間(S)の空気中に含まれるカビは検出上限値を超えると判断される。この場合においてもコントローラ(100)は、カビの捕集時間を第1時間よりも短い時間に設定する。以下、実施形態の捕集装置(1)と異なる点について具体的に説明する。
【0087】
〈粉じん検出部〉
粉じん検出部(40)は、ケーシング(3)内の上部に設けられる。粉じん検出部(40)は、第2空気通路(45)と、第2ファン(43)と、粉じんセンサ(41)とを備える。
【0088】
ケーシング(3)の上面の中央寄りに、第2吸込口(46)と第2吹出口(47)とが設けられる。第2空気通路(45)は、第2吸込口(46)から第2吹出口(47)に亘って設けられる。
【0089】
第2ファン(43)は、第2空気通路(45)内に配置される。第2ファン(43)は、室内空間(S)の空気を第2空気通路(45)に搬送する。
【0090】
粉じんセンサ(41)は、第2空気通路(45)を流通する空気中の粉じん濃度を検出する。
【0091】
〈コントローラ〉
図8に示すように、コントローラ(100)は、粉じんセンサ(41)、及び捕集装置(1)を構成するその他の各種の機器と通信線で接続されている。コントローラ(100)は、粉じんセンサ(41)が検出した室内空間(S)の粉じん濃度に基づいて、第1固体サンプラ(12A)の捕集時間を設定する。具体的に、コントローラ(100)には、粉じんの所定の濃度範囲が記憶されている。所定の濃度範囲は、室内空間(S)の空気中に存在するカビの濃度を測定するための適正な濃度範囲である。所定の濃度範囲は、例えば、10μg/m〜100μg/mである。
【0092】
〈粉じん濃度に基づく第1固体サンプラ捕集時間の制御〉
粉じん濃度に基づく第1固体サンプラ(12A)の捕集時間の制御の一例について、図9を用いて説明する。
【0093】
設定部(101)に第1固体サンプラ(12A)を通過する第1空気量(M1)が設定されると、捕集装置(1)の運転が開始される。第1空気量(M1)は、ユーザの操作によって入力される値である。
【0094】
ステップST1では、コントローラ(100)は、第1シャッタ(15A)を開状態にする。
【0095】
ステップST2では、コントローラ(100)は、第1ファン(23)を運転する。第1固体サンプラ(12A)はカビの捕集を開始する。
【0096】
ステップST3では、コントローラ(100)は、第2ファン(43)を運転する。
【0097】
ステップST4では、粉じんセンサ(40)は、粉じん濃度の測定を開始する。
【0098】
ステップST5では、コントローラ(100)は、粉じん濃度が所定の濃度範囲内であるか否かを判定する。YESの場合、ステップST6に移行し、コントローラ(100)は、空気が第1固体サンプラ(12A)を通過する通過時間(Tset)を設定する。ここでの通過時間(Tset)は、t分であり、例えばtは5分間である。NOの場合、ステップST7に移行する。
【0099】
ステップST7では、コントローラ(100)は、粉じん濃度が所定の濃度範囲の最低値未満であるか否かを判定する。最低値は10μg/mである。YESの場合、ステップST8に移行し、コントローラ(100)は、通過時間(Tset)を設定する。ここでの通過時間(Tset)は、(t−α)分である。αは、設定部(101)に予め記憶されている固定値である。例えば、αを4分間とすると、通過時間(Tset)は1分間となる。NOの場合、粉じん濃度は最大値よりも大きい。最大値は100μg/mである。この場合、ST9に移行し、コントローラ(100)は、通過時間(Tset)を設定する。ここでの通過時間(Tset)は(t−β)分である。βは、設定部(101)に予め記憶されている固定値である。例えば、βを2分とすると、通過時間(Tset)は3分間となる。なお、ここではt、α、及びβは、t>α>βの関係である。
【0100】
ステップST10では、コントローラは、第1固体サンプラ(12A)の通過時間(Tset)が経過したか否かを判定する。YESの場合、捕集装置(1)の運転は終了する。NOの場合、さらにステップST10に戻り、通過時間(Tset)が経過したか否かを再び判定する。
【0101】
この変形例では、室内に空間(S)の空気中の粉じん濃度に基づいて、第1固体サンプラ(12A)の捕集時間が設定される。例えば、粉じん濃度が所定の濃度範囲の最低値である10μg/m未満である場合、室内空間(S)に存在するカビはほぼいないと判定される。第1固体サンプラ(12A)により捕集できるカビ菌数は、検出限界以下となるため、t(5分)よりも短いt−α(1分)としている。このことにより、捕集時間を短縮でき、すみやかにサンプリング作業を終了することができる。
【0102】
一方、粉じん濃度が所定の濃度の最大値である100μg/mよりも高い場合、室内空間(S)に存在するカビは比較的多いと判定される。第1固体サンプラ(12A)により捕集するカビ菌数は上限検出限界を超えるため、t(5分)よりも短いt−β(3分)としている。このことにより、捕集時間を短縮でき、すみやかにサンプリング作業を終了することができる。なお、上限検出限界とは、例えば、300cfuである。
【0103】
−変形例2−
図10に示すように、変形例2の捕集装置(1)は、第3シャッタ(16)を備える。第3シャッタ(16)は、第2流路(20)における第1気体サンプラ(22A)及び第2気体サンプラ(22B)よりも下流側に設けられる第2開閉機構である。第3シャッタ(16)は、第2流路(20)を開閉する。具体的に、第3シャッタ(16)は、第1吹出口(27)に配置される。
【0104】
第3シャッタ(16)は、コントローラ(100)と無線又は有線により接続される。第3シャッタ(16)の開閉は、コントローラ(100)により制御される。コントローラ(100)は、捕集装置(1)の運転が開始される共に、第3シャッタ(16)を開状態にする。コントローラ(100)は、捕集装置(1)の運転が終了すると共に、第3シャッタ(16)を閉状態にする。
【0105】
具体的に、捕集装置(1)の運転が開始されると、コントローラ(100)は、第1シャッタ(15A)および第2シャッタ(15B)の少なくとも一方と、第3シャッタ(16)とを開状態にする。捕集装置(1)の運転が終了すると、コントローラ(100)は、第1シャッタ(15A)、第2シャッタ(15B)および第3シャッタ(16)を閉状態にする。
【0106】
このことより、捕集装置(1)の運転終了後に、気体サンプラ(22A,22B)に捕集された気体成分が第1吹出口(27)から外部に漏れることを抑制できる。その結果、被捕集物を分析するために所定の分析機関に捕集装置(1)を送付するような場合、捕集装置(1)の輸送中に捕集装置(1)内から気体成分が漏れ出して、気体成分の捕集量が減少してしまうことを抑制できる。ひいては、気体成分の捕集量について測定精度の低下を抑えることができる。
【0107】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0108】
第1固体サンプラ(12A)が捕集する固体成分は、室内空間(S)の空気中に浮遊するカビに限られない。第1固体サンプラ(12A)が捕集する固体成分は、室内空間(S)の空気中の浮遊微生物であればよい。浮遊微生物は、例えば、細菌、及びウイルスを含む。
【0109】
第2固体サンプラ(12B)が捕集する固体成分は、室内空間(S)の空気中に浮遊するダニに限られない。第2固体サンプラ(12B)が捕集する固体成分は、室内空間(S)の空気中の浮遊アレルゲン物質であればよい。浮遊アレルゲン物質は、例えば、花粉、動物の唾液が付着した塵埃、及び毛を含む。
【0110】
第1固体サンプラ(12A)及び第2固体サンプラ(12B)は、浮遊微生物を捕集してもよい。第1固体サンプラ(12A)及び第2固体サンプラ(12B)は、浮遊アレルゲン物質を捕集してもよい。
【0111】
固体捕集部(12)が捕集する固体成分は、浮遊微生物、及び浮遊アレルゲン物質に限らず、鉱物、及び有機化合物であってもよい。ここで鉱物は、例えば、ガラス繊維を含む。有機化合物は、例えば、ディーゼル粉塵を含む。
【0112】
固体捕集部(12)は、3つ以上の固体サンプラを有していてもよい。このことにより、3種類以上の固体成分を同時に捕集できる。
【0113】
第1気体サンプラ(22A)が捕集する気体成分は、室内空間(S)の空気中のホルムアルデヒドに限られない。第1気体サンプラ(22A)が捕集する気体成分は、室内空間(S)の空気中の揮発性有機化合物であればよい。ここで、揮発性有機化合物は、VOC(Volatile Organic Compounds)である。
【0114】
第2気体サンプラ(22B)が捕集する気体成分は、室内空間(S)の空気中のアンモニアに限られない。第2気体サンプラ(22B)が捕集する気体成分は、臭気ガスであれよい。
臭気ガスには、例えば、硫化水素が含まれる。
【0115】
第1気体サンプラ(22A)及び第2気体サンプラ(22B)は、揮発性有機化合物を捕集してもよい。第1気体サンプラ(22A)及び第2気体サンプラ(22B)は、臭気ガスを捕集してもよい。
【0116】
第1気体サンプラ(22A)及び第2気体サンプラ(22B)は、第2流路(20)の空気の流れ方向から見て、一部または全部が互いに重ならないように配置されていればよく、空気の流れ方向に直交する向きに並んで配置されていなくてもよい。
【0117】
気体捕集部(22)は3つ以上の気体サンプラを有していてもよい。このことにより、3種類以上の気体成分を捕集できる。
【0118】
第1機構(K)は、対象となる第1流路(10)を前側第1流路(10A)と後側第1流路(10B)とに切り替えることができればよい。例えば、図11に示すように第1機構(K)はダンパ(50)であってもよい。この場合、ダンパ(50)は、中間流路(30)内に配置される。ダンパ(50)は、軸Aを支点にして前側第1流路(10A)の下端である第1位置(図11の実線)、及び後側第1流路(10B)の下端である第2位置(図11の点線)の間を移動する。ダンパ(50)が第1位置にある時、前側第1流路(10A)は閉鎖され、後側第1流路(10B)と第2流路(20)とが連通する。一方、ダンパ(50)が第2位置にある時、後側第1流路(10B)は閉鎖され、前側第1流路(10A)と後側第1流路(10B)とが連通する。このように、ダンパ(50)が第1位置と第2位置とを切り換えることによって、対象となる第1流路(10)を変更できる。
【0119】
捕集装置(1)は、前側第1流路(10A)及び後側第1流路(10B)のそれぞれに第1ファン(23)を備えていてもよい。各第1ファン(23)が運転されることによって、第1固体サンプラ(12A)による捕集と第2固体サンプラ(12B)による捕集とを独立して行うことができる。このことにより、一方のシャッタ(15A,15B)が開状態の間、他方のシャッタ(15A,15B)を閉状態にする制御を必要としない。その結果、両シャッタ(15A,15B)を開状態としてもよいため、捕集時間の短縮化を実現できる。
【0120】
捕集装置(1)は、第1流路(10)を3つ以上有してもよい。このことにより、対象となる被捕集物(固体成分)の種類を増やすことができる。
【0121】
変形例において、粉じん濃度が所定の濃度範囲の最低値未満である場合の捕集時間、及び粉じん濃度が所定の濃度範囲の最大値より高い場合の捕集時間は、粉じん濃度が所定の濃度範囲内にある場合の捕集時間よりも短ければよい。通過時間(Tset)について、t>β≧αであってもよい。
【0122】
変形例において、粉じんの所定の濃度範囲は、ユーザにより設定される濃度範囲であってもよい。さらに、空気が第1固体サンプラ(12A)を通過する通過時間(Tset)について、α及びβは、固定値でなくてもよく、第1ファン(23)の回転速度等に基づいて変動する値であってもよいし、ユーザによって入力される値であってもよい。
【0123】
変形例2の捕集装置(1)は第3シャッタ(16)を有さなくてもよい。この場合、図12(C)に示すように、捕集装置(1)(図12(A))は、捕集装置(1)の運転終了後、別体の収納容器(60)(図12(B))に収納されてもよい。具体的に、収納容器(60)は、箱状に形成される。収納容器(60)は、上面が開口した収納部(60a)と、収納部(60a)の開口を覆う蓋部(60b)とを有する。収納部(60a)に蓋部(60b)が取り付けられることで、収納容器(60)の内部は密閉される。図12(C)に示すように、捕集装置(1)が収納容器(60)内に収納された状態において、第1吹出口(27)は、収納部(60a)の側壁に塞がれる。また、2つの第1吸込口(13)は、蓋部(60b)に塞がれる。このように、運転終了後に捕集装置(1)を収納容器(60)に収納することで、気体サンプラ(22A,22B)で捕集された気体成分が第1吹出口(27)から外部に漏れることを抑制できる。
【0124】
第2開閉機構(16)は、ダンパであってもよい。
【0125】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた、「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0126】
以上説明したように、本開示は、捕集装置について有用である。
【符号の説明】
【0127】
K 第1機構
S 室内空間(対象空間)
1 捕集装置
5 第1空気通路(空気通路)
8 サンプラ(捕集部)
10 第1流路
12 固体捕集部
13 第1吸込口(吸込口)
15 第1開閉機構(シャッタ)
16 第2開閉機構(第3シャッタ)
20 第2流路
22 気体捕集部
23 第1ファン(搬送部)
27 第1吹出口(吹出口)
図1
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図12