特許第6974818号(P6974818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東洋新薬の特許一覧

<>
  • 特許6974818-組成物 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974818
(24)【登録日】2021年11月9日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7048 20060101AFI20211118BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20211118BHJP
   A61K 31/7016 20060101ALI20211118BHJP
   A61K 36/73 20060101ALI20211118BHJP
   A61K 36/22 20060101ALI20211118BHJP
   A61K 36/61 20060101ALI20211118BHJP
   A61K 36/42 20060101ALI20211118BHJP
   A61K 36/88 20060101ALI20211118BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20211118BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20211118BHJP
   A61K 36/8998 20060101ALN20211118BHJP
【FI】
   A61K31/7048
   A61P3/04
   A61K31/7016
   A61K36/73
   A61K36/22
   A61K36/61
   A61K36/42
   A61K36/88
   A61P43/00 121
   A23L33/105
   !A61K36/8998
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-233128(P2016-233128)
(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-90505(P2018-90505A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 敏明
(72)【発明者】
【氏名】川村 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】北村 整一
(72)【発明者】
【氏名】山口 和也
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【審査官】 吉田 知美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−127311(JP,A)
【文献】 特開2009−084194(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/175180(WO,A1)
【文献】 特開2016−063748(JP,A)
【文献】 特開2007−037525(JP,A)
【文献】 特開2003−339350(JP,A)
【文献】 特開2003−052334(JP,A)
【文献】 特開2003−144093(JP,A)
【文献】 特開2005−210972(JP,A)
【文献】 特開2007−104906(JP,A)
【文献】 脂肪燃焼に最適!酵素入り青汁ランキングTOP3☆ 青汁LAB,Wayback Machineアーカイブ,2016年08月11日,https://web.archive.org/web/20160811170553/http://www.aojiru−lab.com/16307
【文献】 スイーツ青汁 オーガニックレーベル<<公式>>サプリメント、化粧品販売,Wayback Machineアーカイブ,2016年11月08日,https://web.archive.org/web/20161108195027/https://organic−label.jp/items/sweetsaojiru
【文献】 Oxidative Medicine and Cellular Longevity (2018), Article ID 3232080
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/7048
A61K 36/00
A23L 33/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サポナリン 0.1質量%以上と、パイナップル果実加工物と、還元麦芽糖と、乳糖とを含有することを特徴とするダイエット用組成物。
【請求項2】
サポナリン 0.1質量%以上と、メロン、ストロベリー、マンゴー及びザクロからなる群から選択される少なくとも1種の果実の果実加工物とを含有することを特徴とするダイエット用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物に関する。特に、本発明は、ダイエット用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
生活習慣や食生活の変化により、肥満症(メタボリックシンドローム)、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の罹患者及びその予備軍が増加している。そこで、生活習慣病を予防や改善するために、食事制限や絶食などによる食事療法、運動によるエネルギー消費を促進するための運動療法及びこれらを組み合わせたダイエットがなされている。
【0003】
ダイエットでは、食事療法により過食を防ぎ、糖質や脂質の多い食物の摂取を避け、さらに運動療法により代謝を高めるように行う。しかし、食事療法と運動療法とをバランスさせることは難しく、両方を効率的に実施してダイエットを達成することは難しい。
【0004】
一方、サポナリン(CAS番号:20310−89−8)は、イソビテキシン(サポナレチン)の7−O−グルコシドのことであり、ムクゲ、ヒスイカズラ、ザボンソウ、トケイソウ、サポナリア(シャボンソウ、ソープワート)、オオムギ、サトウキビ、フヨウなどの植物に含まれ、ムクゲ、ヒスイカズラなどでは花に特徴的な緑色に寄与する成分として知られている。ムクゲの花を乾燥させたものは、木槿花として漢方に用いられている。サポナリンは強い抗酸化作用があることが知られており、主に化粧品に使用されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−26581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のダイエットのように、食事療法により摂取する栄養分をコントロールしつつ、運動療法により代謝を改善しようとすることは、負荷が多大であり、かつ、時間的及び空間的制限がかかる。
【0007】
そこで、摂取栄養分の制御と代謝改善とを両立させた効率的なダイエットが望まれる。特に、このようなダイエットのために、摂取栄養分を制御でき、代謝改善をなし得る、日常的に用いることができる経口用組成物は有用である。しかし、このような経口用組成物として適したものはこれまでに知られておらず、摂取栄養分の制御と代謝改善とを両立させたダイエットは依然として達成することが困難である。
【0008】
また、代謝を改善することにより、ダイエット効果として体が引き締まる痩身効果が得られるとともに、肌が引き締まり、皺やたるみなどの美容を改善する美容効果が得られ得る。
【0009】
そこで、本発明は、ダイエットや美容などのために供することができる、摂取栄養分の制御と代謝改善とを両立させた、常用可能な組成物を提供することを、本発明が解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために、種々の成分、とりわけ食経験のある成分について鋭意検討を積み重ねたところ、驚くべきことに、サポナリンと果実加工物又は糖質(本明細書中では、果実加工物及び糖質を合わせて「特定成分」ともいう。)とを組み合わせたところ、特定成分単独ではほとんど見られなかった筋芽細胞賦活作用が、該組み合わせによって顕著に大きくなった。このことは、サポナリンと特定成分とを組み合わせることによって、相加的というよりもむしろ相乗的ともいえる非常に優れた筋芽細胞賦活作用が得られることを示す。
【0011】
しかも、本発明者らは、サポナリンは特有の苦味があるところ、上記組み合わせた特定成分はそれら自身も粉臭さや、刺激的な酸味などの不快味があるにも関わらず、サポナリンの苦味などの不快味を改善し、かつサポナリンと組み合わせると特定成分の呈味も改善できることから、サポナリンと特定成分とを組み合わせたものは日常的に用いることができるものであることを見出した。そして、サポナリン及び特定成分は、いずれも栄養分の制御が可能なものである。
【0012】
上記の結果として、本発明者らは、身体に有用な組成物、とりわけダイエットや美容などの用途に供し得る組成物として、サポナリンと食経験のある特定成分とを含有する組成物を創作することに成功した。本発明は、かかる知見や成功例に基づいて完成された発明である。
【0013】
したがって、本発明によれば、以下[1]〜[6]の組成物が提供される。
[1]サポナリンと、果実加工物及び糖質からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分とを含有することを特徴とする組成物。
[2]前記果実加工物が果実の搾汁又は抽出物であり、かつ、前記糖質が糖アルコール又はオリゴ糖であることを特徴とする[1]に記載の組成物。
[3]サポナリンを含有し、還元麦芽糖(A)、乳糖(B)、ストロベリー(C)、マンゴー(D)及びパイナップル(E)からなる群から選ばれる少なくとも2種の成分を含有し、かつ、該成分(A)〜(E)の含有量が以下の式1〜4からなる群から選ばれるいずれかの式によって表される組成物。
式1:(A)>(B)
式2:(B)>(C)、(D)又は(E)
式3:(C)>(D)又は(E)
式4:(D)>(E)
[4]サポナリンの含有量が0.075質量%以上であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]前記組成物は、ダイエット用である、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]前記組成物は、美容用である、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様の組成物は、含有成分がいずれも食経験のある成分であり、摂取するに際して安全でありながら、代謝改善作用を通じてダイエット効果及び美容効果を奏することができる。また、本発明の一態様の組成物は、サポナリンと特定成分とを組み合わせることにより優れた呈味改善作用を示すことにより、常用することができる。本発明の一態様の組成物は、このような作用を有することにより、体重増加や肌の異常及びこれらによってもたらされる種々の症状や疾患、例えば、肥満症(メタボリックシンドローム)、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、皺やたるみなどの美容に係る症状などを改善、緩和、回復、治療又は予防することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、後述する実施例に記載があるとおり、各被験物質及びコントロール溶液を用いて、筋芽細胞賦活作用を評価した結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一態様である組成物の詳細について説明するが、本発明の技術的範囲は本項目の事項によってのみに限定されるものではなく、本発明はその目的を達成する限りにおいて種々の態様をとり得る。
【0017】
本発明の一態様である組成物は、筋芽細胞賦活作用や呈味改善に有用な成分として、サポナリン及び果実加工物又は糖質のいずれか1種以上を含有することが好ましい。
【0018】
本発明に用いるサポナリン(CAS番号:20310−89−8)は、通常知られているとおりのイソビテキシン(サポナレチン)の7−O−グルコシドのことであれば特に限定されない。
【0019】
サポナリンの含有量は、筋芽細胞賦活作用が認められる量であれば特に限定されないが、後述する実施例に記載があるとおり、組成物全体に対して、0.075質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、特に好ましくは0.15質量%以上である。
【0020】
サポナリンは、当業者により通常知られている方法によって製造したものでもよいし、市場に流通しているものであってもよい。サポナリンは、ムクゲ、ヒスイカズラ、ザボンソウ、トケイソウ、サポナリア(シャボンソウ、ソープワート)、オオムギ、サトウキビ、フヨウなどの種々の植物に含有することが知られている。そこで、サポナリンとして、サポナリンを含有する植物、例えば、花、葉、茎又はこれらを破砕・粉砕等の処理を行った加工物を直接用いても良いし、分離・抽出等又は人工的に合成する等の方法で得るものを用いてもよい。
【0021】
原料からサポナリンを得るための破砕・粉砕処理方法は、特に限定されず、湿式・乾式どちらでも良く、粉砕条件、処理装置も特に限定されず、市販の装置等を適宜使用することができる。使用する装置としては、例えば、高圧ホモジェナイザー、超音波粉砕機、気流式粉砕機、高速回転衝撃粉砕機、ボールミル又はビーズミル等が挙げられる。
これらの処理は、加工物の粒径等の物性が好ましい範囲内になるよう、必要に応じて複数回繰り返しても良く、複数の処理を組み合わせても良い。
また、原料からのサポナリンの抽出・分離方法及び合成方法は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。抽出方法としては、例えば、エタノール、水、含水エタノール等の当業者が通常用いる抽出溶媒を加え、必要に応じて加温して抽出する方法等を挙げることができる。
【0022】
本発明に用いる果実加工物は、果実を所定の処理に供して得られる加工物である。加工物としては、例えば、乾燥粉末、細片化物及びその乾燥粉末、搾汁及びその乾燥粉末、抽出物及びその乾燥粉末などが挙げられるが、これらに限定されない。具体的には、加工、貯蔵、運搬などの容易性や使用形態の汎用性といった観点から、乾燥粉末であることが好ましい。
【0023】
果実は、食用可能であれば特に限定されないが、例えば、ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー、クランベリー、カシスなどのベリー類、ミカン、レモン、オレンジ、グレープフルーツなどの柑橘類、メロン、パイナップル、マンゴー、アセロラ、ザクロ、キウイ、リンゴ、梨、西洋ナシ、桃、梅、柿、アンズ、ビワ、サクランボ、イチジク、ブドウ、プルーン、パッションフルーツ、バナナ、スイカ、アボカドなどが挙げられるが、筋芽細胞賦活作用の観点からはメロン、パイナップル、ストロベリー、マンゴー、アセロラ及びザクロなどが好ましい。果実は、これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
果実は、果実のうちの可食部だけではなく、非可食部とされている部分も含む。したがって、果実としては、果肉、果皮、種子、胎座などを使用することができる。
【0025】
果実の搾汁は、いわゆる果汁のことを意味するものであれば特に限定されず、例えば、果実の種類に応じて、当業者により知られる方法により、果実そのままを、又は破砕や細断した後に圧搾などによって得られる果汁、その希釈液や濃縮液、又はそれらの乾燥物やその粉末が挙げられる。
【0026】
果実の抽出物は、果実における成分が抽出された物であれば特に限定されないが、例えば、果実が含有する成分を、常法に従って溶媒で抽出して得られる抽出液、その希釈液や濃縮液、又はそれらの乾燥物やその粉末が挙げられる。抽出物は、例えば、植物由来プラセンタや植物由来セラミドなどを含むものであってもよい。
【0027】
抽出に使用される溶媒としては、例えば、常温水、温水、熱水などの水;エタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの低級アルコール;酢酸エチル、酢酸メチルなどの低級エステル;アセトン;これらと水との混合溶媒などが挙げられる。混合溶媒としては、例えば、アセトン/水(2/8〜8/2、体積比)混合物、エタノール/水(2/8〜8/2、体積比)混合物などが挙げられる。
【0028】
抽出方法は特に限定されないが、例えば、果実に対して2〜20倍質量の溶媒を加え、0℃〜溶媒の還流温度の範囲で数分〜数十時間、静置、振盪、攪拌、還流などの任意の条件下にて抽出を行う方法などが挙げられる。抽出作業後、ろ過、遠心分離などの固液分離操作を行い、不溶な固形物を除去することが好ましい。これに、必要に応じて希釈、濃縮などの操作を行うことにより、抽出液を得ることができる。さらに、不溶物についても同じ操作を繰り返して抽出し、その抽出液を先の抽出液と合わせて用いてもよい。これらの抽出液は、当業者が通常用いる精製方法により、さらに精製して使用してもよい。
【0029】
搾汁や抽出液から乾燥物を得る方法は特に限定されず、例えば、搾汁や抽出液及びその濃縮液などを、噴霧乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥、流動乾燥などの当業者が通常用いる乾燥処理に供する方法などが挙げられる。さらに、このようにして得られた乾燥物を、当業者に知られる方法を用いて粉末化して使用することが可能である。
【0030】
本発明に用いる糖質は、炭水化物から食物繊維を除いたものであり、単糖類、二糖以上が結合したオリゴ糖、糖アルコール及びキサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、寒天、ゼラチン、タマリンドガム、ローカストビーンガム、アルギン酸類、ペクチン、セルロース及びその誘導体などの多糖類などをいう。本発明においては、これらの糖質を甘味の程度や質などによって適宜選択することができる。本発明で用いる糖質としては、特に限定されないが、その呈味改善効果が顕著であることから、糖アルコール又はオリゴ糖であることが好ましい。
【0031】
本発明に用いる糖アルコールは、糖分子のカルボニル基が還元された多価アルコールであれば特に限定されず、例えば、還元麦芽糖(マルチトール)、ソルビトール、ラクチトール、エリスリトール、還元澱粉糖化物などが挙げられ、呈味改善の観点から還元麦芽糖が好ましい。糖アルコールは、これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0032】
本発明に用いるオリゴ糖は、通常知られているとおりの2個以上10個程度の単糖分子が結合した化合物であれば特に限定されず、例えば、乳糖、マルトオリゴ糖、ラクチュロース、パラチノース、パラチノースオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ラフィノース、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、トレハロース、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、ビートオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、スクロース、マルトース、シクロデキストリンなどが挙げられ、呈味改善の観点から乳糖及びマルトオリゴ糖が好ましい。オリゴ糖は、これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0033】
糖アルコール及びオリゴ糖は、当業者により通常知られている方法によって製造したものでもよいし、市場に流通しているものであってもよい。糖アルコール及びオリゴ糖の形状は特に限定されず、例えば、粉末状などの固形状及び液体状などが挙げられるが、組成物の加工性の観点から粉末状が好ましい。
【0034】
本発明の一態様の組成物は、サポナリンと特定成分とを含有することによって、筋芽細胞賦活作用を有し、該作用を通じてダイエット効果及び美容効果を奏する。
【0035】
本明細書における「呈味改善」とは、例えば、サポナリンや特定成分に基づく苦味などの独特な不快味を減少又は緩和する作用をいう。本発明の一態様の組成物が有する呈味改善の程度は、例えば、後述する実施例に記載があるとおりの官能評価によって、摂取するに際してサポナリンの苦味等や特定成分の刺激味(酸味)等の不快味が邪魔しない程度であることが挙げられ、好ましくは該不快味が感じられない程度であり、より好ましくは該不快味が感じられず、むしろ呈味性が向上する程度である。
【0036】
本明細書における「ダイエット効果」とは、例えば、筋芽細胞賦活作用を介した、筋肉量の増大や代謝の改善などによる痩身や体重増加防止といった効果をいう。本明細書における「美容効果」とは、例えば、筋芽細胞賦活作用を介した、筋肉量の増大や代謝の改善などによる、肌の引き締まり皺やたるみなどを改善、緩和、回復、治療又は予防することをいう。
【0037】
本発明の一態様の組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、室温や加温下で、各成分を含有せしめることにより、粉末状、顆粒状又は固形状の組成物とすることができる。または、この組成物を、水などの溶媒に溶解させて液状組成物とすることができる。さらに、各成分の液状物に、他の固形状成分を加えて混合することにより液状組成物とすることができる。なお、得られた液状組成物は、乾燥処理を経て、粉末化しても良い。この場合の乾燥処理の方法としては、噴霧乾燥、凍結乾燥などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本発明の具体的一態様の組成物は、サポナリンを含有し、還元麦芽糖(A)、乳糖(B)、ストロベリー(C)、マンゴー(D)及びパイナップル(E)からなる群から選ばれる少なくとも2種の成分を含有し、かつ、該成分(A)〜(E)の含有量が以下の式1〜8からなる群から選ばれるいずれかの式によって表される組成物である。
式1:(A)>(B)
式2:(B)>(C)、(D)又は(E)
式3:(C)>(D)又は(E)
式4:(D)>(E)
式5:(A)>(B)>(E)
式6:(A)>(B)>(C)>(E)
式7:(A)>(B)>(D)>(E)
式8:(A)>(B)>(C)>(D)>(E)
【0039】
この場合の還元麦芽糖(A)、乳糖(B)、ストロベリー(C)、マンゴー(D)及びパイナップル(E)の含有量は、上記式1〜8のいずれかの関係になる限りにおいて特に限定されない。
【0040】
本発明の一態様の組成物に含有される特定成分の含有量は、筋芽細胞賦活作用や呈味改善が認められる程度の量であれば特に限定されないが、経口用組成物としては、例えば、組成物全体に対して、0.001wt%以上から99.925wt%以下であり、好ましくは0.01wt%以上99.9wt%以下であり、特に好ましくは0.1wt%以上99.9wt%以下である。
【0041】
本発明の一態様の組成物は、ダイエット効果や美容効果を期待した種々の形態で利用され得る。例えば、特別な処理を加えることなく種々の目的に利用してもよい。本発明の一態様の組成物を経口用として用いる場合、剤形は特に限定されないが、例えば、ダイエット用や美容用の医薬品組成物、医薬部外品組成物及び飲食品組成物などの形態をとり得る。
【0042】
飲食品組成物の具体的な一態様は、例えば、生体に対して一定の機能性を有する飲食品である機能性飲食品である。機能性飲食品は、例えば、特定保健用飲食品、機能性表示飲食品、栄養機能飲食品、保健機能飲食品、特別用途飲食品、栄養補助飲食品、健康補助飲食品、サプリメント、美容飲食品などのいわゆる健康飲食品に加えて、乳児用飲食品、妊産婦用飲食品、高齢者用飲食品などの特定者用飲食品を包含する。さらに機能性飲食品は、コーデックス(FAO/WHO合同食品規格委員会)の食品規格に基づく健康強調表示(Health claim)が適用される健康飲食品を包含する。
【0043】
本発明の一態様の組成物の摂取量は特に限定されず、摂取者に求められるダイエットや美容の程度や摂取態様などに応じて適宜設定され得るが、例えば、摂取1回量として、摂取者の体重を基準として、サポナリン又はサポナリン及び特定成分の総量について1〜10,000mg/kg、好ましくは5〜1,000mg/kgであり、特に好ましくは10〜500mg/kgである。
【0044】
本発明の一態様の組成物の1日の摂取量は特に限定されず、例えば、サポナリン又はサポナリン及び特定成分の総量について1〜10g、好ましくは2〜8gであり、特に好ましくは3〜7gである。
【0045】
上述したとおり、本発明の一態様の組成物の利用形態は特に限定されないが、例えば、経口用組成物とすることができる。経口用組成物の形態は特に限定されず、任意の形態とすることができる。経口用組成物の形態としては、例えば、経口摂取に適した形態、具体的には液状、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ゲル状などの各形態が挙げられるが、摂取したときの吸収性が最も良く、効果がより高く得られる粉末状や顆粒状の形態であることが好ましい。
【0046】
本発明の一態様の組成物は、容器に詰めて密封した容器詰組成物とすることができる。容器は特に限定されないが、例えば、アルミなどの金属、紙、PETやPTPなどのプラスチック、1層又は積層(ラミネート)のフィルム袋、レトルトパウチ、真空パック、アルミ容器、プラスチック容器、瓶、缶などの包装容器が挙げられる。本発明の一態様の組成物は、経時的な変質を避けるために、容器に詰めて密封した後に、加圧及び/又は加熱などにより殺菌処理したものであることが好ましい。
【0047】
本発明の一態様の組成物の使用方法は特に限定されないが、例えば、本発明の一態様の組成物をそのまま、水などとともに、又は水などで希釈するなどして、飲食することにより経口摂取することができる。摂取者の好みなどに応じて、本発明の一態様の組成物と他の固体物や液状物とを混ぜて経口摂取してもよい。本発明の一態様の組成物を口腔崩壊剤形とした場合は、水なしで経口摂取することができる。
【0048】
本発明の一態様の組成物は、サポナリンと特定成分とを少なくとも含有すればよいが、これらとその他の成分とを組み合わせたものとすることができる。その他の成分としては特に限定されないが、例えば、増粘剤、光沢剤、製造用剤などをその他の成分として用いることができる。これら以外にも、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、乳化剤、着色料、香料、香油などをその他の成分として用いることができる。その他の成分の含有量は、本発明の一態様の組成物の形態などに応じて適宜選択することができる。
【0049】
本発明の一態様の組成物を非経口用組成物とする場合、例えば、化粧品に適した形態、すなわち化粧品用組成物として使用することができる。例えば、本発明の一態様の組成物は、そのままで、又は通常化粧品の加工に使用される添加物と混合して、ローション剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤などの種々の形態に加工され得る。具体的には、化粧水、化粧クリーム、乳液、クリーム、パック、ヘアトニック、ヘアクリーム、シャンプー、ヘアリンス、トリートメント、洗顔剤、ファンデーション、育毛剤、水性軟膏、スプレーなどとして利用できる。
【0050】
本発明の一態様の組成物は、その筋芽細胞賦活作用を通じたダイエット効果及び美容効果により、これを使用することは、体重増加や肌の異常などによってもたらされる症状や疾患に罹患する者及びそのリスクがある者に対しての健康維持に有用である。また、直接的及び間接的に体重増加や肌異常に起因するその他の症状や疾患に罹患する者及びそのリスクがある者に対しての健康維持に有用である。さらには、本発明の一態様の組成物は、代謝の衰えや肌の老化を感じる健常者、とりわけ中高年者や運動不足者に有用である。
【0051】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
【実施例】
【0052】
以下のとおりに、サポナリンとその他の特定成分との組み合わせによる、筋芽細胞の賦活作用及び呈味向上作用を評価した。
【0053】
[1.筋芽細胞賦活作用]
(1)被験物質
サポナリンとしては、市販されている試薬を用いた。その他の特定成分としては、市販されている粉末状のメロン抽出物(胎座由来)及び粉末状のパイナップル抽出物(果実由来セラミド含有)を用いた。
【0054】
(2)細胞培養
37℃、5%COインキュベーター内で、10vol%FBS−DMEM培地を入れた75cmフラスコを用いて、マウス骨格筋由来筋芽細胞株C2C12を培養した。
【0055】
培養後、トリプシン処理により浮遊させた細胞を75cmフラスコから回収し、細胞数を計測した後、コラーゲンコートした96ウェルプレートの各ウェルに1,000cells/ウェルの細胞密度にて播種した。細胞を播種した96ウェルプレートを、37℃、5%COインキュベーター内で24時間前培養した。
【0056】
培養後、ウェル内の培地を取り除いた後、各ウェルに被験物質を含有する0.5vol%DMSOを含有する10vol%FBS−DMEM培地(0.5%DMSO−10%FBS−DMEM) 200μLを加えて、37℃、5%COインキュベーター内で24時間培養した。表1に示した試験区を設定し、各被験物質を0.1%含有する粉末状の組成物3gを100mlの溶媒に溶解したときの濃度となるように添加した。表1の数値は粉末状の製品に含まれる各被験物質の濃度(質量%)を表す。なお、各試験区における溶媒中の被験物質の濃度は、比較例1−1であれば、15μg/mlである。
【0057】
【表1】
【0058】
(3)細胞賦活作用測定
培養後、培地を除去した後、各ウェルをPBS 200μL/ウェルで1回洗浄した。次いで、無血清DMEMで30倍に希釈したCell Counting Kit−8溶液 150μL/ウェルを添加した。
【0059】
添加後のプレートを37℃、5%COインキュベーター内に静置して適度に発色させた後、各ウェルの450nmにおける吸光度を測定した。得られたデータを元に、コントロールに対する細胞数の割合(% of control)を下記式に基づいて算出した。
% of control=(Data sample−Data blank)/(Data control−Data blank)×100
Data sample:実施例1〜4及び比較例1〜3の吸光度
Data control:controlの吸光度
Data blank:細胞がないときのブランク
【0060】
(4)評価
コントロールを100として、実施例1−1、1−2及び比較例1−1〜1−5の細胞数の割合の算出結果をまとめたものを図1に示す。
【0061】
図1に示されているとおりに、比較例1−1では筋芽細胞賦活作用はなく、比較例1−2及び比較例1−3では筋芽細胞賦活作用があることから、サポナリンの濃度が0.075%以上の場合に筋芽細胞賦活作用を示すことがわかった。
【0062】
また、比較例1−3と実施例1−1、1−2との比較から、サポナリンと、パイナップルやメロンといった果実加工物を組み合わせたところ、筋芽細胞賦活作用が優れて増強されることがわかった。
【0063】
以上の結果から、サポナリンを0.075質量%以上で含有し、かつ、パイナップル及び/又はメロンを含有するものは、優れた筋芽細胞賦活作用を示すことから、筋肉量が増大又は維持され、筋肉によるエネルギー産生促進による代謝改善効果、体の引き締め(痩身)効果、筋力減少による基礎代謝の低下を防ぐことによる肥満防止効果などのダイエット効果が期待できる。また、筋肉の増大又は維持による肌の引き締め(皺やたるみの予防や改善)といった美容効果が期待できる。
【0064】
[2.官能評価]
(1)サンプルの調製
表3〜6に記載の比較例2−1〜2−11及び実施例2−1〜2−21の粉末試料について、各粉末試料3gを、水100mLと混合して各試験サンプルを得た。
【0065】
還元麦芽糖(マルチトール)は麦芽糖を高圧水素添加して、カルボニル基を還元して得た糖アルコールであり、粉末状の市販品を用いた。
乳糖は、チーズホエイから結晶化し、流動乾燥後、冷却して粉砕した粉末状の市販品を用いた。
マルトトリオースは粉末状の市販品を用いた。
ストロベリー及びマンゴーは、濃縮果汁をスプレードライした粉末状の市販品を用いた。
アセロラは、脱糖処理した濃縮果汁をスプレードライした粉末状の市販品を用いた。
ザクロは、ザクロ種子から抽出・濃縮した抽出物を、スプレードライした粉末状の市販品を用いた。
サポナリン、メロン及びパイナップルは、実施例1で使用した原料を用いた。
デキストリンは、タピオカデンプンを加水分解して得られる粉末状の市販品を用いた。
【0066】
被験者として、健常な成人5名を無作為に選出した。これらの被験者5名に対し、下記表2の評価項目について、アンケートを実施し、官能評価を行った。なお、標準品は比較例2−1とした。
【0067】
【表2】
【0068】
各サンプルについて、被験者の点数の平均点を算出し、得られた平均点を各試験区の評価点とした。
【0069】
(2)比較例2−1〜2−11
比較例2−1〜2−11の結果を表3に示す。
【0070】
【表3】
【0071】
比較例2−1〜2−11の官能試験の結果から、サポナリン及び特定成分は、それぞれ単独では各評価項目において、標準品よりも評価が悪くなり、特に比較例2−2のサポナリンは、その他の成分よりも苦味、渋味、えぐ味が強く感じられ、旨みが少なく、口当たりやのどごしも悪いため、総合評価でも最も低くなった。また、香りについては、糖質については特に粉臭さが感じられ、果実加工物においては特に乾燥時に生じる焦げ臭さや発酵臭などが感じられた。
【0072】
(3)実施例2−1〜2−9
実施例2−1〜2−9の結果を表4に示す。
【0073】
【表4】
【0074】
実施例2−1〜2−9の官能試験の結果から、サポナリンと特定成分のいずれかを組み合わせると、驚くべきことにその呈味が改善されることがわかった。還元麦芽糖との組合せでは特に苦味や旨みが改善され、乳糖との組合せでは特に香りや旨みが改善され、マルトトリオースとの組合せでは特に旨みやのどごしが改善された。さらに、ストロベリーとの組合せでは香りが特に改善され、刺激味(酸味)や旨みなども改善され、マンゴーとの組合せでは特に後味が改善され、香りや旨みの改善についても効果が高かった。アセロラとの組合せでは、えぐ味や刺激味(酸味)などが改善され、ザクロとの組み合わせでは香りや刺激味(酸味)の改善に優れていた。また、メロンとの組合せでは特に後味が改善され、苦味や渋味なども改善しており、パイナップルとの組合せでは旨みやコクの改善に優れていた。
【0075】
(4)実施例2−10〜2−15
実施例2−10〜2−15の結果を表5に示す。
【0076】
【表5】
【0077】
実施例2−10〜2−15の官能試験の結果から、サポナリン、果物加工物及び糖質を組み合わせると、実施例2−1〜2−9のサポナリンと果物加工物又は糖質との組合せよりも、呈味はより優れて改善され、特に還元麦芽糖と果物加工物との組合せでは、特に旨み、コク、口当たり、後味及びのどごしなどが改善された。また、乳糖と果物加工物との組合せでは、苦味、渋味及びえぐ味などが特に改善された。マルトトリオースと果物加工物との組合せでは、特に苦味、渋味、えぐ味及び刺激味(酸味)などが改善された。
【0078】
(5)実施例2−16〜2−21
実施例2−16〜2−21の結果を表6に示す。
【0079】
【表6】
【0080】
還元麦芽糖を増量した実施例2−16では、より還元麦芽糖の量が少ない実施例2−1と比較して、各評価項目の評価点は等しいかやや劣るものであり、特に苦味や旨みで評価が低くなった。しかしながら、実施例2−16にさらに乳糖とストロベリー、マンゴー及びパイナップルから選ばれる1つ以上の果物加工物とを組み合わせると、その呈味は飛躍的に改善された。特に、還元麦芽糖(A)、乳糖(B)、ストロベリー(C)、マンゴー(D)及びパイナップル(E)からなる群から選ばれる少なくとも2種の成分を含有し、かつ、該成分(A)〜(E)の含有量が以下の式1〜8からなる群から選ばれるいずれかの式によって表される組成物は、呈味の改善が優れており、特に式5〜8のいずれかの式によって表される組成物は特に苦味の改善が優れていた。
式1:(A)>(B)
式2:(B)>(C)、(D)又は(E)
式3:(C)>(D)又は(E)
式4:(D)>(E)
式5:(A)>(B)>(E)
式6:(A)>(B)>(C)>(E)
式7:(A)>(B)>(D)>(E)
式8:(A)>(B)>(C)>(D)>(E)
【0081】
以下に、本発明の具体的態様として配合例1〜7を例示するが、本発明の組成物は以下の配合例1〜7のみによって限定されるものではない。
【0082】
【表7】
【0083】
【表8】
【0084】
【表9】
【0085】
【表10】
【0086】
【表11】
【0087】
【表12】
【0088】
【表13】
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の一態様の組成物は、筋肉量が増大又は維持され、筋肉によるエネルギー産生促進により代謝が改善し得るものであることから、痩身や肥満防止などのダイエットを望む者や、若々しい見た目を維持又は取り戻し、年齢よりも老けて見える原因となる皺やたるみなどの美容に係る症状に対する効果を望む者の健康維持に利用可能である。
図1