(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術では、管路からケーブルを引き剥せたとしても、ケーブルを管路から引き抜くためには、ケーブルに過剰な引き抜き力を加える必要がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、ケーブルに過剰な引き抜き力を加えなくても、地中埋設された管路内からケーブルを撤去できるケーブル撤去方
法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のケーブル撤去方法は、地下に配設された管路へ挿入されたケーブルを、前記管路から撤去するケーブル撤去方法であって、前記管路の内周壁と前記ケーブルの外周面との間に切断具を入れて、前記ケーブルを径方向に切断する切断工程と、切断された前記ケーブルを前記管路から取り出す取り出し工程と、を有し、前記切断工程と前記取り出し工程を交互に繰り返すことにより、前記ケーブルを長手方向に分断しつつ前記管路から取り出して、前記ケーブルを前記管路から撤去する。
【0007】
第1態様のケーブル撤去方法では、切断具でケーブルを径方向に切断する切断工程と、切断されたケーブルを地下に配設された管路から取り出す取り出し工程を交互に繰り返すことで、ケーブルが長手方向に所定長さに分断されつつ管路から取り出されて、ケーブルが管路から撤去される。
ここで、上記ケーブル撤去方法では、マンホールとマンホールをつなぐ管路から1本のケーブルを引き抜く方法と比較して、ケーブルに過剰な引き抜き力を加えなくても、ケーブルを長手方向に分断しつつ管路から取り出す作業を繰り返すことで、ケーブルを管路から撤去することができる。
【0008】
本発明の第2態様のケーブル撤去方法は、第1態様のケーブル撤去方法において、前記切断工程では、前記切断具が設けられた筒状部材を前記管路の内周壁と前記ケーブルの外周面との間に挿入して前記管路の内周壁から前記ケーブルの外周面を離間させた状態で、前記切断具によって前記ケーブルを径方向に切断する。
【0009】
第2態様のケーブル撤去方法では、管路の内周壁とケーブルの外周面との間に挿入した筒状部材によって管路の内周壁からケーブルの外周面を離間させた状態で、切断具によってケーブルを径方向に切断するため、例えば、管路の内周壁にケーブルの外周面が接した状態でケーブルを切断する構成と比べて、管路の内周壁に切断具を触れさせずにケーブルを切断することができる。
また、筒状部材の挿入によって管路の内周壁からケーブルの外周面を離間させるため、仮にケーブルが管路に固着していてもケーブルを管路から確実に引き剥がすことができる。これにより、切断具で切断(長手方向に分断)したケーブルを管路から簡単に取り出すことができる。
【0010】
本発明の第3態様のケーブル撤去方法は、第2態様のケーブル撤去方法において、前記筒状部材は、前記管路外に配置された推進装置によって前記管路内へ挿入され、前記切断具は、線状且つ無端状とされ、前記筒状部材の内周面に周方向に沿って形成された環状の溝部に収容されると共に駆動装置によって循環駆動され、前記切断工程では、前記切断具の前記溝部に収容されて環状とされた環状部分の径を縮径させながら前記切断具を循環駆動させて、前記ケーブルを径方向に切断する。
【0011】
第3態様のケーブル撤去方法では、切断具の溝部に収容されて環状とされた環状部分の径を縮径させながら切断具を循環駆動させて、ケーブルを径方向に徐々に切断する。ここで、上記ケーブル撤去方法では、筒状部材に対して切断具を循環駆動させてケーブルを切断するため、例えば、筒状部材と共に切断具を回転させてケーブルを切断する態様と比べて、管路の内周壁に不具合(一例として傷)が生じるのを抑制することができる。
【0012】
本発明の第4態様のケーブル撤去方法は、第2態様のケーブル撤去方法において、前記筒状部材は、前記管路外に配置された推進装置によって前記管路内へ挿入されると共に軸周りに回転可能とされ、前記切断具は、線状とされ、前記筒状部材の内周面に周方向に沿って形成された環状の溝部に収容され、前記切断工程では、前記推進装置によって前記筒状部材を回転させながら、前記切断具を前記溝部から引き出して、前記ケーブルを径方向に切断する。
【0013】
第4態様のケーブル撤去方法では、推進装置によって筒状部材を回転させながら、線状の切断具を溝部から引き出して、ケーブルを径方向に徐々に切断する。ここで、上記ケーブル撤去方法では、筒状部材と共に切断具を回転させてケーブルを切断するため、簡単な装置構成でケーブルを径方向に切断することができる。
【0014】
本発明の第5態様のケーブル撤去方法は、第3態様又は第4態様のケーブル撤去方法において、前記筒状部材には、前記推進装置に連結されたシャフトから推進力が伝達されており、前記筒状部材と前記シャフトとの間には、前記シャフトの軸心に対して前記筒状部材の軸心を傾かせることで前記管路内において前記筒状部材の姿勢を制御可能な姿勢制御手段が設けられている。
【0015】
第5態様のケーブル撤去方法では、推進装置に連結されたシャフトから推進力が伝達されて筒状部材が管路内へ挿入される。ここで、筒状部材は、姿勢制御手段によってシャフトの軸心に対して筒状部材の軸心を傾かせることで、管路内において筒状部材の姿勢を制御することが可能なため、例えば、管路が曲がっている場合でも、管路内へ筒状部材を挿入することができる。また、例えば、管路を構成する複数の配管の継ぎ目に段差がある場合でも、段差を避けて筒状部材を挿入することができる。
【0016】
本発明の第6態様のケーブル撤去方法は、第2態様〜第5態様のいずれか一態様のケーブル撤去方法において、前記筒状部材の内周面には、前記ケーブルの外周面に接触して回転する内側回転部材が複数設けられ、前記筒状部材の外周面には、前記管路の内周壁に接触して回転する外側回転部材が複数設けられている。
【0017】
第6態様のケーブル撤去方法では、筒状部材の内周面に内側回転部材を複数設け、筒状部材の外周面に外側回転部材を複数設けているため、管路の内周壁とケーブルの外周面との間に筒状部材を挿入する際の摩擦抵抗を低減することができる。
【0018】
本発明の第7態様のケーブル撤去装置は、地下に配設された管路へ挿入されたケーブルを、前記管路から撤去するケーブル撤去装置であって、前記管路の内周壁と前記ケーブルの外周面との間に挿入される筒状部材と、前記筒状部材に内蔵され、前記ケーブルを径方向に切断する切断具と、を備える。
【0019】
第7態様のケーブル撤去方法では、まず、管路の内周壁とケーブルの外周面との間に筒状部材を挿入して該筒状部材に内蔵された切断具でケーブルを径方向に切断する。次に、筒状部材を管路外へ引き出して筒状部材の内周面に載った状態の切断されたケーブルを管路から取り出す。これらの作業を交互に繰り返すことで、ケーブルが長手方向に所定長さに分断されつつ管路から取り出されて、ケーブルが管路から撤去される。
ここで、上記ケーブル撤去装置では、マンホールとマンホールをつなぐ管路から1本のケーブルを引き抜く装置と比較して、ケーブルに過剰な引き抜き力を加えなくても、ケーブルを長手方向に分断しつつ管路から取り出す作業を繰り返すことで、ケーブルを管路から撤去することができる。
また、上記ケーブル撤去装置では、管路の内周壁とケーブルの外周面との間に筒状部材を挿入するため、管路の内周壁からケーブルの外周面が離間する。すなわち、仮にケーブルが管路に固着していても筒状部材の挿入によってケーブルを管路から確実に引き剥がすことができる。これにより、切断具で径方向に切断(長手方向に分断)したケーブルを管路から簡単に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、ケーブルに過剰な引き抜き力を加えなくても、地中埋設された管路内からケーブルを撤去できるケーブル撤去方
法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(A)本発明の一実施形態に係るケーブル撤去方法の概要を説明するための断面図である。(B)
図1(A)のA部を示し、ケーブルの切断工程を説明するための拡大断面図である。(C)
図1(A)のA部を示し、ケーブルの取り出し工程を説明するための拡大断面図である。
【
図2】(A)
図1(C)におけるケーブルの取り出し工程の後の2回目のケーブルの切断工程を説明するための断面図である。(B)2回目の切断工程の後の2回目のケーブルの取り出し工程を説明するための断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るケーブル撤去方法で用いるケーブル撤去装置の概略構成を示す装置側面図である。
【
図8】ケーブル撤去装置のシャフト連結部を示す装置側面図である。
【
図9】ケーブル撤去装置のケーブル切断動作を説明するための説明図である(
図4に対応する断面図である)。
【
図10】ケーブル撤去装置のケーブル切断前の状態を示す斜視図である。
【
図11】ケーブル撤去装置のケーブル切断途中の状態を示す斜視図である。
【
図12】ケーブル撤去装置のケーブル切断後の状態を示す斜視図である。
【
図13】ケーブル撤去装置のシャフト先端部に剥離ユニットを装着した状態を示す剥離ユニットの側面図及び該側面部の一部拡大図である。
【
図14】
図13に示す剥離ユニット(筒状部材)の軸方向と直交方向の断面図である。
【
図15】変形例のケーブル撤去装置のケーブル切断動作を説明するための説明図である(
図4に対応する断面図である)。
【
図16】変形例のケーブル撤去装置のケーブル切断動作を説明するための説明図である(
図4に対応する断面図である)。
【
図17】変形例のケーブル撤去装置のケーブル切断動作を説明するための説明図である(
図4に対応する断面図である)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係るケーブル撤去方法及びケーブル撤去装置について説明する。
【0023】
本実施形態のケーブル撤去方法は、
図1(A)に示されるように、マンホール100間をつなぐ管路102に挿入されたケーブル104(例えば、電力ケーブル)を、管路102内から撤去するための方法である。本実施形態のケーブル撤去方法では、管路102からのケーブル104の撤去にケーブル撤去装置20(以下、適宜「撤去装置20」と記載する。)を用いている。以下では、まず、ケーブル撤去方法の概要について説明し、次に、撤去装置20の構成について説明し、そして、撤去装置20を用いたケーブル撤去方法について説明する。
【0024】
<ケーブル撤去方法>
本実施形態のケーブル撤去方法は、
図1(A)〜
図1(C)及び
図2(A)、
図2(B)に示されるように、ケーブル104の切断工程(以下、適宜「切断工程」と記載する。)と、切断されたケーブル104Sの取り出し工程(取り出し工程)を有している。
【0025】
図1(B)に示されるように、切断工程では、管路102の内周壁102Aとケーブル104の外周面104Aとの間に切断具(後述する撤去装置20では、切断具44)を入れて、ケーブル104を径方向に切断する。なお、
図1(B)では、ケーブル104の切断線を矢印CLで示している。また、上記切断具は、ケーブル104を径方向に切断し、長手方向に分断できる構成であれば特に限定されない。
【0026】
次に、
図1(C)に示されるように、取り出し工程では、切断されたケーブル104Sを管路102から取り出す。なお、切断されたケーブル104Sを管路102から取り出す方法については、特に限定されない。
【0027】
次に、
図2(A)に示されるように、管路102の内周壁102Aとケーブル104の外周面104Aとの間に再び切断具を入れてケーブル104を径方向に切断する。
【0028】
そして、
図2(B)に示されるように、切断されたケーブル104Sを管路102から取り出す。
【0029】
このように、切断工程と取り出し工程を交互に繰り返すことにより、ケーブル104を長手方向に分断しつつ管路102から取り出して、ケーブル104を管路102から撤去することができる。
【0030】
本実施形態のケーブル撤去方法では、切断具でケーブル104を径方向に切断する切断工程と、切断されたケーブル104を管路102から取り出す取り出し工程を交互に繰り返すことで、ケーブル104が長手方向に所定長さに分断されつつ管路102から取り出されて、ケーブル104が管路102から撤去される。
ここで、上記ケーブル撤去方法では、マンホール100とマンホール100をつなぐ管路102から1本のケーブル104を引き抜く方法と比較して、ケーブル104に過剰な引き抜き力を加えなくても、ケーブル104を長手方向に分断しつつ管路102から取り出す作業を繰り返すことで、ケーブル104を管路102から撤去することができる。
【0031】
<ケーブル撤去装置>
図3〜
図9に基づいて本実施形態のケーブル撤去装置20について説明する。
【0032】
図3〜
図5に示されるように、撤去装置20は、筒状部材22と、切断具44とを有している。
【0033】
筒状部材22は、円筒状とされており、管路102の内周壁102Aとケーブル104の外周面104Aとの間に挿入されるようになっている。この筒状部材22の挿入方向(矢印Iの方向)の先端部内面22Aは、挿入方向に向けて筒状部材22の内径が拡径するように傾斜する逆テーパー面とされている。
【0034】
筒状部材22の内周面22Bには、筒状部材22の周方向に沿って延びる環状の溝部23が形成されている。また、内周面22Bには、溝部23から筒状部材22の挿入方向と反対側へ向けて直線状に延びる溝部24が形成されている。これらの溝部23及び溝部24には、
図4及び
図7に示されるように、切断具44が収容されている。なお、溝部24の溝部23との合流部分には、プーリー25が一対配置されており、これらのプーリー25を介して溝部24から溝部23へ切断具44が延びている。
【0035】
筒状部材22の内周面22Bには、ケーブル104の外周面104Aに接触して回転する内側回転部材の一例としてのボール26が複数埋め込まれている。
【0036】
筒状部材22の外周面22Cには、管路102の内周壁102Aに接触して回転する外側回転部材の一例としてのボール28が複数埋め込まれている。
【0037】
また、筒状部材22の先端面22Dには、CCDカメラ30が埋め込まれている。なお、本実施形態では、CCDカメラ30を筒状部材22の周方向に等間隔に4箇所埋め込んでいる。CCDカメラ30で撮影した画像は、後述する画像処理部36を通して管路102の入口外側(マンホール100内)に設置された図示しないモニターに表示されるようになっている。
【0038】
また、筒状部材22の挿入方向と反対側の端部側には、姿勢制御部32と、駆動制御部34と、画像処理部36とを備える円柱状の制御ユニット38が接続されており、この制御ユニット38を介して推進装置50から延びるシャフト52に連結されている。なお、シャフト52が回転した場合、制御ユニット38と共に筒状部材22が回転するようになっている。
【0039】
姿勢制御部32は、シャフト52の軸心に対して筒状部材22の軸心を傾かせて筒状部材22の姿勢を制御する部位である。ここで、姿勢制御部32を作動させてシャフト52の軸心に対して筒状部材22の軸心を傾かせることで、管路102の曲がった部分にも筒状部材22を挿入することができる。また、管路102を構成する複数の配管の継ぎ目に段差があっても段差を避けて筒状部材22を挿入することができる。
【0040】
駆動制御部34は、切断具44を循環駆動させる駆動装置40と、駆動装置40を移動させて切断具44にテンションを付与する移動装置42とを備えている。駆動装置40は、切断具44が巻付けられた回転部材40Aとこの回転部材40Aを回転させて切断具44を循環駆動させるモータ40Bを備えている。また、移動装置42は、駆動装置40を筒状部材22の挿入方向と反対方向へ移動させるように構成されている。なお、移動装置42の駆動源としては、例えば、モータ、エアシリンダ又は油圧シリンダを用いてもよい。
【0041】
画像処理部36は、CCDカメラ30で撮影した画像情報を管路102の入口外側(マンホール100内)に設置された図示しないモニターへ送信するようになっている。なお、本実施形態では、モニターに表示された画像に基づいて、作業者が例えば、姿勢制御部32用のコントローラで姿勢制御部32を操作するようになっている。
【0042】
管路102の入口外側(マンホール100内)には、推進装置50が配置されている。推進装置50は、マンホール100の床面に固定されたレール54上を移動する本体56と、本体56をレール54に沿って移動させる油圧シリンダ58と、本体56に接続されたシャフト52を回転可能に支持する回転支持部60とを備えている。この推進装置50によって、シャフト52の先端に接続された筒状部材22が管路102の内周壁102Aとケーブル104の外周面104Aとの間に挿入(圧入)されるようになっている。
【0043】
切断具44は、線状且つ無端状とされている。この切断具44は、溝部23と溝部24に収容されており、一部が駆動装置40の回転部材40Aに巻き付けられている。回転部材40Aが回転することで切断具44は循環駆動するようになっている。なお、本実施形態では、切断具44としてワイヤソーを用いているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、チェーンソーやバンドソーを用いてもよい。
【0044】
また、切断具44を収容する溝部23及び溝部24は、それぞれ開口部が詰込部材46によって閉じられている。この詰込部材46は、溝部23及び溝部24に収容した切断具44が溝内から脱落するのを抑制でき、かつ、切断具44の循環駆動によって簡単に破壊される、又は、溝内から脱落する部材を用いることが好ましい。例えば、発泡材(発泡スチロール)を用いてもよい。
【0045】
<ケーブル撤去装置20を用いたケーブル撤去方法>
本実施形態の撤去装置20を用いたケーブル撤去方法について説明する。
【0046】
まず、管路102から延出するケーブル104の端部を管路入口で切断する。
【0047】
次に、マンホール100内に推進装置50を設置し、シャフト52の一端を回転支持部60に接続し、他端に制御ユニット38を介して筒状部材22を接続する。そして、推進装置50の推進力(油圧シリンダの押圧力)で筒状部材22の先端を管路102の内周壁102Aとケーブル104の外周面104Aとの間に圧入する。この圧入により、管路102の内周壁102Aからケーブル104の外周面104Aが離間した状態となる。ここで、筒状部材22の内周面22Bにボール26を複数設け、筒状部材22の外周面22Cにボール28を複数設けているため、管路102の内周壁102Aとケーブル104の外周面104Aとの間に筒状部材22を挿入する際の摩擦抵抗を低減することができる。
【0048】
そして、管路102の内周壁102Aからケーブル104の外周面104Aを離間させた状態で切断具44によってケーブル104を径方向に切断する。具体的には、
図10に示されるように、駆動装置40を作動させて切断具44を循環駆動させながら、移動装置42で駆動装置40を移動させて切断具44に作用するテンションを増していく。これにより、詰込部材46が溝部23から脱落又は破壊される。そして、切断具44の溝部23に収容されて環状とされた環状部分44Aの径が
図9及び
図11に示されるように、縮径していく。縮径する環状部分44Aによってケーブル104が径方向に切断される。ケーブル104を切断した後は、
図12に示されるように、切断具44の全体が溝部24内に収まる。
【0049】
ここで、撤去装置20を用いたケーブル撤去方法では、筒状部材22に対して切断具44を循環駆動させてケーブル104を切断するため、例えば、筒状部材22と共に切断具44を回転させてケーブル104を切断する形態と比べて、管路102の内周壁102Aに不具合(一例として擦り傷)が生じるのを抑制することができる。
【0050】
また上記ケーブル撤去方法では、管路102の内周壁102Aとケーブル104の外周面104Aとの間に挿入した筒状部材22によって管路102の内周壁102Aからケーブル104の外周面104Aを離間させた状態で、切断具44によってケーブル104を径方向に切断するため、例えば、管路102の内周壁102Aにケーブル104の外周面104Aが接した状態でケーブル104を切断する構成と比べて、管路102の内周壁102Aに切断具44を触れさせずにケーブル104を切断することができる。
【0051】
また、筒状部材22の挿入によって管路102の内周壁102Aからケーブル104の外周面104Aを離間させるため、仮にケーブル104が管路102に固着していてもケーブル104を管路102から確実に引き剥がすことができる。これにより、切断具44で切断(長手方向に分断)したケーブル104を管路102から簡単に取り出すことができる。
【0052】
次に、切断されたケーブル104Sを管路102から取り出す。具体的には、切断されたケーブル104Sは、自重によって筒状部材22の内周面22B上に載置される。この載置状態で、推進装置50を移動させてシャフト52を引き戻して、管路102内から筒状部材22を取り出す。この筒状部材22の取り出しと共に切断されたケーブル104も管路102から取り出される。
【0053】
筒状部材22の中から切断されたケーブル104Sを取り出した後は、筒状部材22の溝部23及び溝部24に切断具44を再度収容し、溝の開口部を詰込部材46で閉じる。その後、推進装置50を用いて筒状部材22の先端を管路102の内周壁102Aとケーブル104の外周面104Aとの間に圧入し、切断具44でケーブル104を径方向に切断する。そして、切断されたケーブル104を管路102から取り出す。
上記のように、切断具44でケーブル104を径方向に切断する切断工程と、切断されたケーブル104Sを管路102から取り出す取り出し工程を交互に繰り返すことで、ケーブル104が長手方向に所定長さに分断されつつ管路102から取り出されて、ケーブル104が管路102から撤去される。
【0054】
なお、
図8に示されるように、シャフト52の長さが足りなくなった場合には、シャフト52同士をユニバーサルカップリング62でつなぐ。これにより、シャフト52同士の軸心がずれていても、シャフト52からシャフト52へ回転力や推進力を低損失で伝達することができる。また、ユニバーサルカップリング62の支持のために、
図8に示されるように、ユニバーサルカップリング62に対して回転方向と直交する方向に一対の支持部材64を設けてもよい。この支持部材64の外周面64Aには、複数のボールを埋め込んでおくことが好ましい。これにより、筒状部材22を管路102へ圧入する際の摩擦抵抗を低減することができる。
【0055】
次に本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態では、マンホール100とマンホール100をつなぐ管路102から1本のケーブル104を引き抜く方法と比較して、ケーブル104に過剰な引き抜き力を加えなくても、ケーブル104を長手方向に分断しつつ管路102から取り出す作業を繰り返すことで、ケーブル104を管路102から撤去することができる。
【0056】
また、管路102とケーブル104とが強固に固着している、又は、強固に固着している部分に差し掛かった場合、ケーブル撤去装置20のシャフト52の先端部に剥離専用の剥離ユニットを装着して管路102からケーブル104を所定長さ剥離し、その後、剥離ユニットと切断ユニット(筒状部材22及び制御ユニット38を含むユニット)を付け替え、切断ユニットでケーブル104を長手方向に分断し、分断されたケーブル104Sを管路102から取り出す作業を繰り返してもよい。
なお、剥離ユニットとしては、例えば、
図13及び
図14に示される剥離ユニット65を用いてもよい。この剥離ユニット65は、有底円筒状の筒状部材66を備えている。この筒状部材66は、外筒部66Aと内筒部66Bとを備えており、外筒部66Aと内筒部66Bとの間には空間67が形成されている。また、外筒部66Aと内筒部66Bとの間には、複数のスペーサ69が設けられており、空間67が保持されている。この空間67には、後述するカッター68で削り取られたケーブル104の外皮等が収められるようになっている。この筒状部材66の傾斜した先端面66Cには、空間67につながる開口66Dが周方向に間隔をあけて複数形成されている。この開口66D近傍には、カッター68が取り付けられている。このカッター68は、推進装置50からの推進力及び回転力によってケーブル104の外皮に食い込んで、外皮を削り取りながら、ケーブル104を管路102から剥離するようになっている。カッター68で削り取られた外皮は、開口66Dを通して空間67に収められ、剥離ユニット65を取り外した後に、筒状部材66の底部66Eに形成された図示しない排出口を通して空間67から排出することができる。なお、排出口は、図示しない蓋などで閉塞されるようになっている。また、排出口に、外皮回収用の袋体を取り付ける構成としてもよい。また、筒状部材66の外筒部66A及び内筒部66Bには、切断ユニットの筒状部材22と同様にボール26及びボール28が設けられている。これらのボール26及びボール28により、筒状部材66の回転挿入時における筒状部材66と管路102の内周壁102A及びケーブル104の外周面との間の摩擦抵抗(回転に対する摩擦抵抗及び挿入に対する摩擦抵抗)が低減される。
なお、剥離ユニット65の構成は、管路102に固着したケーブル102を管路102から剥離できれば、特に限定されるものではない。例えば、上記筒状部材66の空間67内に削り取られた外皮搬送用の搬送部材(例えば、スクリューオーガー)などを設けてもよい。
【0057】
(その他の実施形態)
前述の実施形態では、推進装置50の回転支持部60が接続されたシャフト52を回転させる構成とされているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、推進装置50が回転支持部60を備えない構成であってもよい。すなわちシャフト52を介して筒状部材22が回転不能な構成としてもよい。
【0058】
また、前述の実施形態では、筒状部材22の内周面22Bに複数のボール26を埋め込むと共に外周面22Cに複数のボール28を埋め込む構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、筒状部材22の内周面22B及び外周面22Cにボールを埋め込まない構成としてもよい。
【0059】
前述の実施形態では、切断具44の環状部分44Aの径を縮径させつつ、循環駆動することでケーブル104を切断する構成としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、
図15に示されるケーブル撤去装置70のように循環駆動する切断具44をケーブル104の径方向の一端(
図15では上端)から他端(
図15では下端)へ移動(矢印M1方向へ移動)させてケーブル104を径方向に切断する構成としてもよい。また、例えば、
図16に示されるケーブル撤去装置80のように循環駆動する切断具44の一部を支点にして他部を溝部23に沿って移動(矢印M2)させてケーブル104を径方向に切断する構成としてもよい。
【0060】
また前述の実施形態では、固定された筒状部材22に対して切断具44が循環駆動することでケーブル104を径方向に切断しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、
図17に示されるケーブル撤去装置90のように、推進装置50の回転力で筒状部材22を回転(矢印R方向)させつつ、線状とされて溝部23に収容された切断具92を溝部23から引き出して、ケーブル104を径方向に切断する構成としてもよい。この構成の場合、筒状部材22と共に切断具92を回転させてケーブル104を切断するため、簡単な装置構成でケーブル104を径方向に切断することができる。
【0061】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。