【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会「PHOTNEXT2017フォトグラファーズ&フォトビジネスフェア」 出展日:平成29年6月20日および21日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る枠体に張られたシート状物の製造法について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(本発明の実施の形態に係る枠体に張られたシート状物の製造法の位置決め工程)
図1は、本発明の実施の形態に係る枠体に張られたシート状物の製造法位置決め工程状態の平面図である。
図2は、
図1の正面図である。
図3は、本発明の実施の形態に係る枠体に張られたシート状物の平面図である。
【0017】
枠体(キャンバス)に張られたシート状物1(絵画)は以下のように製造される。まず、4本の木製の長尺の4角柱状の枠材2,3,4,5をシート状物7の上に枠状に置く。このとき、枠材2,3,4,5は、長方形の枠状となるように位置決めをする。
【0018】
なお、位置決めの際には、枠材2,3,4,5の各々の幅広面2a,3a,4a,5aが上側を向き、枠材2,3,4,5の各々の幅狭面2b,3b,4b,5b(幅広面2a,3a,4a,5aよりも幅狭である)が枠状の外周側を向くように配置する。なお、枠材2,3,4,5で囲われた領域にもシート状物7は存在している。
【0019】
さらに、隣り合う枠材2,3,4,5の各々の長尺方向の端面となる斜面の角部同士が略同一位置になるよう配置する。すなわち、枠材2,3,4,5の長尺方向の端面は、斜面2c,2d,3c,3d,4c,4d,5c,5dを有しており、幅広面2a,3a,4a,5aからその対向する幅広面に亘って端面を略45°にカットした形状となっている(たとえば斜面4c,4dについて
図2参照)。
【0020】
また、その斜面2cと近接する斜面3dのそれぞれの角部2e,3fと、斜面3cと近接する斜面4dのそれぞれの角部3e,4fと、斜面4cと近接する斜面5dのそれぞれの角部4e,5fと、斜面5cと近接する斜面2dのそれぞれの角部5e,2fの角部同士が略同一位置になるよう配置する。
【0021】
これらの配置状態は、枠材2,3,4,5の各々の幅広面2a,3a,4a,5aと対向する面に、図示を省略する接着部材である両面テープを接着させ、シート状物7と固着することで維持する。すなわち、シート状物7と枠材2,3,4,5の位置決めをする。なお、この両面テープは、幅広面2a,3a,4a,5aと対向する面から、斜面2c,2d,3c,3d,4c,4d,5c,5dにまで延在させる。
【0022】
なお、両面テープで枠材2,3,4,5とシート状物7を固着させる前段階には、隣り合う枠材2,3,4,5の双方を仮固定し、直角を維持させる木製の桟9,10,11,12(第1の桟)を用いる。桟9,10,11,12は、それぞれ同一形状をしており、枠材2,3,4,5を短尺にした形状である。 桟9,10,11,12の両端は、端面を略45°にカットした斜面9a,10a,11a,12aの形状をしている(たとえば
図1参照)。
【0023】
この斜面9a,10a,11a,12aは、枠材2,3,4,5の各々の幅狭面2b,3b,4b,5bと対向する幅狭面2g,3g,4g,5gを仮固定する。仮固定の方法は、まず予め枠材2,3,4,5の幅広面2aから幅狭面2g、幅広面3aから幅狭面3g、幅広面4aから幅狭面4g、および幅広面5aから幅狭面5gにかけて形成された係合溝2h,2j,3h,3j,4h,4j,および5h,5jと、桟9,10,11,12の斜面9aと上面9b、斜面10aと上面10b、斜面11aと上面11b、および斜面12aと上面12bにかけて予め形成された係合溝9c,9d,10c,10d,11c,11d,および12c,12dを形成しておく。
【0024】
そして、係合溝2hと係合溝9c、係合溝3jと係合溝9d、係合溝3hと係合溝10c、係合溝4jと係合溝10d、係合溝4hと係合溝11d、係合溝5jと係合溝11c、係合溝5hと係合溝12d、および係合溝2jと係合溝12cを、プラスチックの成形品である連結具14(特開2002−291593号公報に記載されているものと略同一、係合溝についても略同一。)で連結して仮固定を行う。
【0025】
連結具14での連結の方法は、連結具14の中央の幅狭から一方の幅広になってる形状を枠材2等の有する係合溝2h等に挿入し、もう一方の幅広になってる形状を桟9等の有する係合溝9c等に挿入し、枠材2等と桟9等の双方を連結具14が保持・固定(仮固定)することによる。
【0026】
図2は、前述のように、
図1の正面図であると共にこの仮固定の状態を示す図になっている。なお、
図1の背面図、左右側面図も
図2と同様に示されるので、それらの図示は省略した。係合溝2h,2j,3h,3j,4h,4j,および5h,5jは、他の係合溝に比べて
図2の上下方向の深さが浅いことが、
図1と比べてわかる。
【0027】
これは、係合溝2h,2j,3h,3j,4h,4j,および5h,5jが、あくまでも仮固定のみに用いるものであるため、挿入する連結具14が深く挿入されて、後で取り外し難くならないようにとの配慮である。
図2に示すように係合溝4h,4jには、連結具14の約半分が挿入されている。そのため、係合溝4h,4jに挿入された連結具14は、取り外しが容易になっている。なお、ここで使用する連結具14は、後述する組立工程で枠体の固定のために再利用して使われる。
【0028】
図2(A)は、初期状態である。すなわち、桟9,10,11,12がシート状物7に接触して、枠材2,3,4,5は、シート状物7に接触していない。つまり、枠材2,3,4,5に貼り付けられた両面テープがシート状物7と接触していない。この時に位置合わせを正確にしておく。
【0029】
図2(B)は、枠材2,3,4,5に貼り付けられた両面テープがシート状物7と接触させた後の状態である。つまり、シート状物7には、桟9,10,11,12ばかりでなく、枠材2,3,4,5も接触している。
【0030】
図2(A)の状態から
図2(B)の状態へと移行させるためには、枠材2,3,4,5を上側から下側へと押す。すると、 係合溝2h,2j,3h,3j,4h,4j,および5h,5jと、連結具14とが摺動しながら相対移動し、
図2(A)の状態から
図2(B)の状態になる。以上で位置決め工程が完了する。
【0031】
(本発明の実施の形態に係る枠体に張られたシート状物1の製造法の組立工程)
組立工程を行うには、まず、枠材2,3,4,5の各々の幅狭面2b,3b,4b,5bが、それぞれ上側を向かせるように、且つ枠状が小さな径となるように、転がす。すると、シート状物7が枠材2,3,4,5との固着を維持しているため、若干枠状の外側に引っ張られる。
【0032】
そして枠材2,3,4,5のうち、斜面2cに形成された係合溝2kが斜面3dに形成された係合溝3mと対向し、斜面3cに形成された係合溝3kが斜面4dに形成された係合溝4mと対向し、斜面4cに形成された係合溝4kが斜面5dに形成された係合溝5mと対向し、斜面5cに形成された係合溝5kが斜面2dに形成された係合溝2mと対向して連結具14が挿入可能な形状となる(
図3参照)。その連結具14が挿入可能な箇所には連結具14を挿入し、枠材2,3,4,5からなる枠体を固定する。
【0033】
また、斜面2cと斜面3dが密着し接合部16Aとなり、斜面3cと斜面4dが密着し接合部16Bとなり、斜面4cと斜面5dが密着し接合部16Cとなり、斜面5cと斜面2dが密着し接合部16Dとなる。これら各接合部16A,16B,16C,16Dの界面には、両面テープが存在している。
【0034】
なお、ここで、シート状物7の端の方の不必要な部分は、この段階で、切り除くなどする。
【0035】
次に、前述の桟9,10,11,12(第2の桟)を再利用して、隣り合う枠材2,3,4,5の双方を固定し、直角を維持させる。仮固定のときと異なり、係合溝2pと係合溝9c、係合溝3nと係合溝9d、係合溝3pと係合溝10c、係合溝4nと係合溝10d、係合溝4pと係合溝11d、係合溝5nと係合溝11c、係合溝5pと係合溝12d、および係合溝2nと係合溝12cを、連結具14で連結して固定を行う。
【0036】
この固定の際には、仮固定のときよりも連結具14を各係合溝に深く挿入して、容易に取り外しができないようにする。
【0037】
また、係合溝2h,2j,3h,3j,4h,4j,5h,5jは利用せずに係合溝の状態のままにする。以上で 本発明の実施の形態に係る枠体に張られたシート状物1の製造法の組立工程が終了する。
【0038】
(まとめ)
本発明の実施の形態に係る枠体に張られたシート状物1の製造法は、長尺の枠材2,3,4,5をその接合部16A,16B,16C,16Dで枠状に固定した、枠体に張られたシート状物の製造法であって、個々の枠材2,3,4,5をシート状物7の上に枠状に、両面テープを用いて位置決めした場所へと固着し、当該位置決めは、個々の位置決めされた状態から枠材2,3,4,5を枠状の大きさが小さくなるように回転した際に、隣り合う枠材2,3,4,5が接合部16A,16B,16C,16Dを形成する位置決めであり、回転を行い、回転の後で、接合部16A,16B,16C,16Dを固定することで完了する。
【0039】
(本発明の実施の形態によって得られる主な効果)
本発明の実施の形態に係る枠体に張られたシート状物1の製造法は、特許文献1の技術のように、張り器を扱う人によって張りキャンバスの張力が異なるということは少ない。すなわち、誰が実施しても同じようなシート状物の張力が実現できることから、品質のばらつきの小さな枠体に張られたシート状物1の製造法を提供できる。
【0040】
また、本発明の実施の形態に係る枠体に張られたシート状物1の製造法の位置決め工程では、隣り合う枠材2,3,4,5の双方を仮固定する桟9,10,11,12を用いている。そのため、隣り合う枠材2,3,4,5の双方の直角を維持させることができる。
【0041】
また、本発明の実施の形態に係る枠体に張られたシート状物1の製造法の組立工程では、枠材2,3,4,5の各々の幅狭面2b,3b,4b,5bが、それぞれ上側を向くように、且つ枠状が小さな径となるように、転がす。すると、シート状物7が枠材2,3,4,5との固着を維持しているため、若干枠状の外側に引っ張られる。すなわち、シート状物7の張りを強めることができる。
【0042】
また、両面テープは、幅広面2a,3a,4a,5aと対向する面から、斜面2c,2d,3c,3d,4c,4d,5c,5dにまで延在させている。そのため、組立工程後の接合部16A,B,C,Dの界面に両面テープが挟まっている。この両面テープは、その接合部接合部16A,B,C,Dの隙間を若干広げ、枠体の径方向の寸法を大きくしている。そのため、シート状物7の張りをより強めることができる。
【0043】
また、組立工程では、桟9,10,11,12を利用して、隣り合う枠材2,3,4,5の双方を固定しているため、隣り合う枠材2,3,4,5の直角を維持させることができる。さらにこのとき、位置決め工程で使用した仮固定のための桟9,10,11,12および連結具14を組立工程で枠体を固定するために再利用しているため、余計な部材を増やすことがない。
【0044】
(他の形態)
上述した本発明の実施の形態に係る枠体に張られたシート状物1の製造法は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変形実施が可能である。
【0045】
(他の形態:位置決め工程)
たとえば、位置決め工程では、隣り合う枠材2,3,4,5の双方を仮固定する桟9,10,11,12を用いている。しかし、桟9,10,11,12は、位置決め工程では、必須の構成要素ではないため、省略することができる。
【0046】
また、両面テープは、幅広面2a,3a,4a,5aと対向する面から、斜面2c,2d,3c,3d,4c,4d,5c,5dにまで延在させている。しかし、両面テープは、斜面2c,2d,3c,3d,4c,4d,5c,5dにまで延在させないことができる。
【0047】
また、本発明の実施の形態では、接着部材として両面テープを用いている。しかし、接着部材としては、たとえば接着剤等を用いることができる。
【0048】
また、本発明の実施の形態では、
図2(A)の状態から
図2(B)の状態へと移行させている。しかし、このような移行のさせ方をする必要はなく、手作業等でシート状物7と枠材2,3,4,5の位置合わせを行っても良い。
【0049】
また、係合溝2h,2j,3h,3j,4h,4j,および5h,5jは、他の係合溝に比べて
図2の上下方向の深さを浅くしている。しかし、係合溝の深さは、適宜決定でき、特定の係合溝より深くしたり浅くするのは自由である。
【0050】
また、仮固定のために挿入する連結具14は、組立工程で枠体の固定のために再利用して使われる。しかしながら、そのような再利用はしないで、組立工程で新たな連結具14を使用しても良い。
【0051】
(他の形態:組立工程)
組立工程では、桟9,10,11,12を利用して、隣り合う枠材2,3,4,5の双方を固定し、隣り合う枠材2,3,4,5の直角を維持させている。しかし、桟9,10,11,12は、組立工程では、必須の構成要素ではないため、省略することができる。
【0052】
さらに組立工程では、位置決め工程でも使用した桟9,10,11,12を再利用している。しかし、そのような、再利用は必須の事項ではないため、再利用しないこととしても良い。
【0053】
(他の形態:その他、変形例等)
本発明の実施の形態では、枠材2,3,4,5と桟9,10,11,12を木製とし、連結具14をプラスチックの成形品としている。しかし、各構成部材の材料は適宜選択できる。たとえば、桟9,10,11,12と連結具14とをプラスチックで一体成形しても良い。
【0054】
また、枠材2,3,4,5は、長尺の4角柱状としているが、3角柱状等の他の多角柱状としても良いし、円柱状または楕円柱状としても良いし、丸みを帯びた多角柱状としても良い。また、枠材2,3,4,5は、長方形の枠状となるように位置決めをしているが、6角形等の他の多角形としても良い。もちろん組立工程後の枠体も長方形ではなく、他の多角形とすることができる。
【0055】
また、本発明の実施の形態では、斜面2cと近接する斜面3dのそれぞれの角部2e,3fと、斜面3cと近接する斜面4dのそれぞれの角部3e,4fと、斜面4cと近接する斜面5dのそれぞれの角部4e,5fと、斜面5cと近接する斜面2dのそれぞれの角部5e,2fの角部同士が略同一位置になるよう配置している。
【0056】
図4は、本発明の実施の形態の変形例を示す図である。枠材2と枠材3の近接する箇所を代表例として示している。枠材2,3の長さ方向端部(斜面2cと斜面3dの端部)には、3角形に切り取った切り欠き部2q,3qがある。この切り欠き部2q,3qを対向接触させる(角部2e,3fを同一位置にすることなく)ことができる。なお、この切り欠き部2q,3qの符号以外の、
図4に示した符号は、
図1に示したものと同様の部材については、本発明の実施の形態の変形例であっても便宜上
図1と同一の符号とした。
【0057】
切り欠き部2q,3qを対向接触させる意味は、位置決めの際に、枠状の本来的な大きさよりも小さくなるように枠材2,3,4,5を配置するため、そこで位置決めして組立工程を行えば、シート状物7のより強い張力を得ることができることである。
【0058】
また、
図5は、本発明の実施の形態に係る枠材4の変形例を示す図である。そして、
図5は、
図1に示した枠材4を紙面奥側から手前側に向かって見た図である。この四角柱形状の枠材4の長さ方向に亘る角部(下側の角部)には、面取りした面取り部4rを有している。面取り加工は、木材の切削加工等でできる。
【0059】
この面取りした枠材4の部分は、シート状物7と最も強く当接する角部である。シート状物7が絵画等の場合には、その角部に強い張力で当接することで、絵の具等が剥がれることもあると考えられるので、面取り部4rは有用である。本変形例では枠材4を代表例として挙げたが、枠材2,3,5についても同様の面取り部を設けることができるし、一部の枠材のみに同様の面取り部を設けることとしてもよい。
【0060】
面取り部4rは、角部を3角柱状に取り除いた形状をしているが、面取り部4rの形状は、角部に丸みを形成する等としても良い。
【0061】
この面取り部4rを設けることで、枠材4の長さ方向端部には、
図4に示すような3角形に切り取った切り欠き部2q,3qと同様の切り欠き部4q,4qが形成される。切り欠き部4q,4qは、斜面4c,4dの角部を3角柱状に取り除いたことに伴って形成されるものである。もちろんこの切り欠き部4q,4qを利用して、
図4と同様の効果を得ても良い。なお、この面取り部4r、切り欠き部4q,4qの符号以外の、
図5に示した符号は、
図2に示したものと同様の部材については、本発明の実施の形態の変形例であっても便宜上
図2と同一の符号とした。
【0062】
図6は、本発明の実施の形態の変形例であり、対向する枠材に対して桟18を設けたものを示す図である。本発明の実施の形態のように、シート状物7の張力を高くすることができる場合に、枠材2,3,4,5に加わる力も大きくなる。そのような場合に、枠材2,3,4,5の補強の意味で桟18は有効である。特に枠体の大きさが大きくなれば桟18の必要性が高まる。
【0063】
桟18は、たとえば、枠材2に形成した係合溝2sと桟18に形成した係合溝18tの双方に連結具14を挿入し、枠材4に形成した係合溝4sと桟18に形成した係合溝18sの双方に連結具14を挿入して、桟18を枠体に固定する。本変形例では連結具14を用いたが、ほぞを用いて桟18を枠体に固定しても良い。ただし、ほぞを用いる場合には、枠体が広がる方向の変形に対応し難いため、枠体が広がる方向の変形も狭まる方向の変形にも対応できる連結具14を用いることが好ましい。
【0064】
桟18を設置するときには、桟9,10,11,12が不要になることがある。また、桟18の数は、1つに限らず2つ以上であっても良い。なお、この桟18、係合溝2s、係合溝18tの符号以外の、
図6に示した符号は、
図3に示したものと同様の部材については、本発明の実施の形態の変形例であっても便宜上
図3と同一の符号とした。