特許第6974834号(P6974834)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974834
(24)【登録日】2021年11月9日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】レギュレータ
(51)【国際特許分類】
   G05D 16/10 20060101AFI20211118BHJP
   F16K 17/30 20060101ALI20211118BHJP
   F16K 31/363 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   G05D16/10 Z
   F16K17/30 A
   F16K31/363
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-193078(P2017-193078)
(22)【出願日】2017年10月2日
(65)【公開番号】特開2019-67216(P2019-67216A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153122
【氏名又は名称】株式会社ニッキ
(74)【代理人】
【識別番号】100098154
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100092864
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 京子
(72)【発明者】
【氏名】末永 直也
【審査官】 杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−219642(JP,A)
【文献】 特開2006−292184(JP,A)
【文献】 米国特許第03435843(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02166424(EP,A1)
【文献】 特開2015−64072(JP,A)
【文献】 米国特許第03890999(US,A)
【文献】 実開昭52−092436(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 16/10
F16K 17/30
F16K 31/363
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部に貫通して形成した筒状の通路における一方の開口端を高圧流体の導入口、他方の開口端を減圧流体の取出口とし、前記通路における前記導入口の内方に弁座シートを内側に有するとともに前記通路の軸線方向への貫通孔を形成した弁座シート保持部材からなる弁座を介して調圧室を配置し、前記通路の前記調圧室と前記取出口との間に前記弁座シートに密接可能な先端面を有するとともに両端を開放した筒状の連通通路を有する調圧弁体と前記調圧弁体の前記通路における取出口側の外周に包囲して形成されたピストン部とからなるピストン調圧弁が前記通路の軸線方向に摺動可能に且つ前記ピストン部の周囲において前記調圧室と同軸上に並行して設けられた大気室内に配置された所定の荷重を有する調圧ばねにより前記通路における取出口方向に付勢されており、前記導入口から導入される高圧流体が前記調圧弁体の弁座シート保持部材に形成した貫通孔を介して弁座シートと前記弁座シートに向かい合うように設けられた調圧室へ導入されて連通通路が形成された調圧弁体を通過して前記調圧弁体と接合されたピストンに作用する流体の圧力による荷重と調圧室とは逆側にピストンに作用する調圧ばねによる荷重が釣り合うことにより前記弁座シートと調圧弁体の開口面積を変化させて前記調圧室の流体圧力を制御することで所望の圧力に調整した流体を取出口から取り出すレギュレータにおいて、
前記ピストン調圧弁を形成する前記弁座シートに密接する調圧弁体とその外周に包囲して形成される前記調圧ばねを作用させるピストン部が別体に形成されており、前記導入口から通路に挿入した前記調圧弁体と前記取出口から通路に挿入したピストン部を互いに所望の軸線方向位置で嵌合して後、各製品毎にばね荷重をモニタリングし、指定荷重となった状態で圧入または溶接の少なくとも一方の手段にて固定したことを特徴とするレギュレータ。
【請求項2】
前記ばね荷重をモニタリングする際に、次式(1)を用いて「指定荷重」を算出することを特徴とする請求項1記載のレギュレータ。
【数1】
【請求項3】
前記調圧弁体の弁座シート側内周先端が先端方向に向けて前記弁座シートの径よりも大径に拡開するテーパ形状に形成されているとともに、前記弁座シートの径が前記弁座シートに対向して配置される前記通路の内周面と前記調圧弁体の外周との間に嵌挿される高圧燃料室気密シール径と同径であることを特徴とする請求項1または2記載のレギュレータ。
【請求項4】
前記調圧弁体の内周面と接する前記弁座シートの外周面が丸みを帯びた形状であることを特徴とする請求項3記載のレギュレータ。
【請求項5】
弁座シートが弾性を有した高分子材料により形成された緩衝材を介して前記通路の軸直方向に摺動可能に設置された前記弁座シート保持部材に形成した凹部設置されており、調圧弁体と弁座シートの均一な接触を可能としたことを特徴とする請求項1,2,3または4記載のレギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧の流体を所望の圧力に減圧する際に用いられるレギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
調圧室内の圧力変動によりピストンを介して調圧バルブを開閉し、高圧流体の流量を制御するレギュレータは例えば実開昭52−92436号公報に提示されているように旧くから知られており、例えば燃料タンクに貯留したCNGなどの高圧燃料をエンジンに供給する際などの調圧器などに利用されている。
【0003】
図5乃至図8は前記従来のレギュレータの一例を示すものであり、本体部1に貫通して形成した筒状の通路2における一方の開口端を高圧流体の導入口21、他方の開口端を減圧流体の取出口22としており、前記導入口21および取出口22には高圧流体を気密に導入するための入口カバー23および調圧した調圧流体を気密に取り出すための出口カバー24がそれぞれ配置されている。
【0004】
また、内側に円筒形状の弁座シート31がその外周端面に突設した外周突縁を嵌合凹部に嵌め込み設置されるとともに前記通路2の軸線方向への貫通孔32を形成した隔壁であるシート保持部材33を有する弁座3が前記通路2における前記導入口21の内方に配置されており、前記通路2の前記弁座シート31の導入口21側方向に調圧室4が形成されている。
【0005】
更に、前記通路2の前記調圧室4と前記取出口22との間に前記弁座3の弁座シート31に密接可能な先端面51を有するとともに両端を開放した筒状の連通通路52を有する調圧弁体5と前記調圧弁体5の前記通路2における取出口22側の外周に包囲して形成された前記調圧弁体5よりも大径のピストン部6とからなるピストン調圧弁7が前記通路2の軸線方向に摺動可能に配置されている。
【0006】
更にまた、前記ピストン部6にはその周囲において前記調圧室4と同軸上に並行して設けられた大気室61内に配置された所定の荷重を有する調圧ばね8により前記通路2の取出口22方向に付勢されている構成であり、前記導入口21から導入される高圧流体が前記弁座3の弁座シート保持部材33に形成した貫通孔32を介して前記弁座シート31に向かい合うように設けられた調圧室4へ導入されて連通通路52が形成された調圧弁体5を通過して前記調圧弁体5と接合されたピストン部6に作用する流体の圧力による荷重と調圧室4とは逆側にピストン部6に作用する調圧ばね8による荷重が釣り合うことにより前記弁座シート31と調圧弁体5の開口面積を変化させて前記調圧室4の流体圧力を制御することで所望の圧力に調整した流体を取出口22から取り出すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭52−92436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来のレギュレータの減圧構造においては、組み立て時に前記出口カバー24を取り付ける前の取出口22から、調圧ばね8を挿入し、その後ピストン調圧弁7を挿入することになり調圧ばね8の荷重が作用する弁座シート保持部材33、弁座シート31、ピストン調圧弁7、本体部1の各寸法公差や調圧ばね8のセット点の荷重バラツキにより、製品間の個体差が大きかった。
【0009】
また、図7および図8に示したように、本体部1の取出口22から、調圧ばね8を挿入し、その後、ピストン調圧弁7を挿入することになるため弁座シート31と調圧弁体5のシート径(ds)は調圧弁体5の外周部の高圧燃料気密シール91の径(db)に対し小さく設定する必要があった。
【0010】
ここで、導入口21の導入圧力をPin、調圧ばね8がピストン調圧弁7を開方向に与える荷重をFsp、取出口22の取り出し圧力をPout、ピストン調圧弁7における調圧弁体5の連通通路52の内径をd、ピストン部6の受圧径をdpとするとピストン調圧弁7に付加される荷重のつりあい式は次の式()の通りとなる。
【0011】
【数2】
【0012】
更に整理すると、以下の式()となる。
【0013】
【数3】
【0014】
ここで、ds<dbとなることから燃料入口圧力(Pin)が大きいほど開方向の荷重が大きくなるため、導入圧力(Pin)によって取り出し圧力(Pout)が大きくバラツクという問題があった。
【0015】
また、流量遮断時には弁座シート31の平面に対し調圧弁体5の円筒先端を押付けるため、弁座シート31の接触面の平面度やピストン調圧弁7の軸に対する弁座シート31の調圧弁体5への接触面の直角度、調圧弁体5と弁座シート31の軸ずれによって、局部的な応力発生による弁座シート31の破損やリーク不良等による機能損失に発展する問題があった。
【0016】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、調圧ばね8の荷重が弁座シート保持部材33、弁座シート31、ピストン調圧弁7、本体部1の各寸法公差や調圧ばね8のセット点の荷重バラツキによる製品間の個体差をなくすとともに、弁座シート31の破損やリーク不良等による機能損失のないレギュレータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するためになされた本発明であるレギュレータは、本体部に貫通して形成した筒状の通路における一方の開口端を高圧流体の導入口、他方の開口端を減圧流体の取出口とし、前記通路における前記導入口の内方に弁座シートを内側に有するとともに前記通路の軸線方向への貫通孔を形成した弁座シート保持部材からなる弁座を介して調圧室を配置し、前記通路の前記調圧室と前記取出口との間に前記弁座シートに密接可能な先端面を有するとともに両端を開放した筒状の連通通路を有する調圧弁体と前記調圧弁体の前記通路における取出口側の外周に包囲して形成されたピストン部とからなるピストン調圧弁が前記通路の軸線方向に摺動可能に且つ前記ピストン部の周囲において前記調圧室と同軸上に並行して設けられた大気室内に配置された所定の荷重を有する調圧ばねにより前記通路における取出口方向に付勢されており、前記導入口から導入される高圧流体が前記弁体の弁座シート保持部材に形成した貫通孔を介して弁座シートと前記弁座シートに向かい合うように設けられた調圧室へ導入されて連通通路が形成された調圧弁体を通過して前記調圧弁体と接合されたピストンに作用する流体の圧力による荷重と調圧室とは逆側にピストンに作用する調圧ばねによる荷重が釣り合うことにより前記弁座シートと調圧弁体の開口面積を変化させて前記調圧室の流体圧力を制御することで所望の圧力に調整した流体を取出口から取り出すレギュレータにおいて、前記ピストン調圧弁を形成する前記弁座シートに密接する調圧弁体とその外周に包囲して形成される前記調圧ばねを作用させるピストン部が別体に形成されており、前記導入口か通路に挿入した前記調圧弁体と前記取出口から通路に挿入したピストン部を互いに所望の軸線方向位置で嵌合して後、圧入または溶接の少なくとも一方の手段にて固定したことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、組み立て時に調圧ばねを指定荷重位置でセットできるようになることから調圧ばねの荷重が作用する弁座シート保持部材、弁座シート、ピストン調圧弁、本体部の各寸法公差や調圧ばねのセット点の荷重バラツキによる製品間の個体差が生じることを防ぐことができ、均一の品質を保つことができる。
【0019】
殊に、本発明において、前記導入口か通路に挿入した前記調圧弁体と前記取出口から通路に挿入したピストン部を互いに所望の軸線方向位置で嵌合する際にばね荷重をモニタリングし、指定荷重となった状態で固定することにより容易且つ確実に調圧ばねを指定荷重位置でセットすることかできる。
【0020】
更に、本発明において、前記弁座シートの径が前記弁座シートに対向して配置される前記通路の内周面と前記調圧弁体の外周との間に嵌挿される高圧燃料室気密シール径と同径とすることにより、調圧弁体に付加される導入口側からの高圧流体の圧力荷重が相殺されて取出口側の圧力を安定させることができる。
【0021】
加えて、前記調圧弁体の弁座シート側内周先端が先端方向に向けて拡開するテーパ形状に形成されている場合、前記弁座シートが弾性を有した高分子材料により形成された緩衝材を介して前記弁座シート保持部材に形成した凹部に前記通路の軸線方向に摺動可能に設置されており、調圧弁体と弁座シートの均一な接触を可能とした場合には閉鎖時に弁座シートと調圧弁体が確実に密接させて閉鎖させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、個体差によるバラツキが解消されるとともに閉鎖時に弁座シートと調圧弁体が確実に密接させて閉鎖させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明における実施の形態の閉弁時を示す断面図。
図2図1に示した実施の形態の開弁時を示す断面図。
図3図1に示した実施の形態の閉弁時を示すピストン調圧弁部分を拡大した断面図。
図4図1に示した実施の形態の閉弁時を示す弁座部分を更に拡大した断面図。
図5】従来例における実施の形態の閉弁時を示す断面図。
図6図5に示した従来例の開弁時を示す断面図。
図7図5に示した従来例の閉弁時を示すピストン調圧弁部分を拡大した断面図。
図8図5に示した従来例の閉弁時を示す弁座部分を更に拡大した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0025】
図1乃至図4は、本発明における好ましい実施の形態の断面図を示すものであり、全体の構成は前記図5乃至図8に示した従来例とほぼ同様であり、それらの部分については詳細な説明を省略する。また、前記従来例と同一構成部には同一符号を付して説明する。
【0026】
そして、特に前記従来例と異なる点は、まず、ピストン調圧弁7が形成する弁座シート31に密接する円筒状の調圧弁体5とその外周に包囲して形成される調圧ばね8を作用させる円筒体からなるピストン部6が別体に形成されている点である。
【0027】
本実施の形態は、前記別体に形成されているピストン調圧弁7を形成する調圧弁体5とその外周に包囲して形成されるピストン部6が密接状態で圧接可能な口径に差し込み可能に形成されていると好ましく、組み立て時にピストン部6と分離した前記調圧弁体5を導入口21から通路2に挿入し、ピストン部6を取出口22から通路2に挿入し、通路2内で互いに軸線方向に所定位置に嵌挿することで両者の仮止めが可能であると好ましい。
【0028】
更に、本実施の形態では、前記円筒状で内部に連通通路52を有する調圧弁体5のシート弁31への接触側先端は先端に向けて拡大するテーパ形状としており、逆側の先端は前記ピストン部6の中央部の連結孔62で接合する形状とし、外周部は高圧燃料気密シール91を介して本体部1にガイドされる。また、ピストン部6は外周部がシール部材92を介して本体部1にガイドされている。
【0029】
殊に、本実施の形態では、調圧弁体5の弁座シート31との接触部のシート径(Ds)は調圧弁体5の外周部に設けられた弁座シート31と調圧弁体5間のシート径(Db)に対し同等となっている。
【0030】
更にまた、弁座3を形成する弁座シート保持部材33は燃料気密保持用の入り口カバー23と弁座シート保持部材33の間に例えば摺動性が高い弾性を有した高分子材料を使用したO−RINGからなる緩衝材93を介して、本体部1内部の段差11との間で挟み込み前記緩衝材93の弾性力のみで半固定しており、弁座3の弁座シート保持部材33が軸直方向にスライドできる構造となっている。
【0031】
以上の本実施の形態は、ほぼ全体の構成ならびに減圧の方法は前記図5乃至図8に示した従来例とほぼ同様であるが、前記ピストン調圧弁7が形成する弁座シート31に密接する円筒状の調圧弁体5とその外周に包囲して形成される調圧ばね8を作用させる円筒体からなるピストン部6が別体に形成されており、組立時に導入口21から通路2に挿入した調圧弁体5と取出口22から通路2に挿入したピストン部6を互いに所望の軸線方向位置で嵌合し、調圧ばね8の荷重が指定荷重になった位置で調圧弁体5とピストン部6とを例えば溶接などにより固定してピストン調圧弁7を構成するものである。
【0032】
従って、関連部品である弁座シート保持部材33,弁座シート31、ピストン部6、調圧弁体5、本体部1の各寸法や調圧ばね8の荷重バラツキ等があったとしても一定荷重にてセットが可能となり、製品間の個体差が極力小さくすることが可能である。
【0033】
更に、ピストン調圧弁7に作用する各荷重は図3および図4に示すように燃料入口圧力をPin、調圧ばね8が調圧弁体5を開方向に与える荷重をFsp、燃料出口圧力をPout、調圧弁体5の連通通路52の内径をD、ピストン部6の受圧径をDpとするとピストン調圧弁7に負荷される荷重のつりあい式は前記式(1)と同様になり、更に整理すると、前記の式(2)と同様になる。
【0034】
ここで、Ds≒Dbとすることで、上記式()、式()は更に整理され以下の式()のようになる。
【0035】
【数4】
【0036】
従って、ピストン調圧弁7に付加される燃料入口圧力(Pin)の荷重は相殺することが可能であり、また、本実施の形態では、前記弁座3を形成する弁座シート31の径が弁座シート31に対向して配置される通路2の内周面と前記調圧弁体5の外周との間に嵌挿される高圧燃料気密シール91の径と同径に形成されており、調圧弁体5付加される導入口21側からの高圧流体の圧力荷重が相殺されて取出口側22の減圧圧力を安定させることができる。
【0037】
加えて、調圧弁体5弁座シート31側内周先端が先端方向に向けて拡開するテーパ形状に形成されているとともに、弁座シート31は例えば弾性材により形成された気密部材を介して弁座シート保持部材33形成した凹部に通路2の軸線方向に摺動可能に設置されている。
【0038】
そのため、弁座シート31と調圧弁体5の連通通路が閉塞されて燃料を遮断する際には、弁座シート31と調圧弁体5の接触部に連動して弁座シート31を保持する弁座シート保持部材33がスライド移動し、調圧弁体5と弁座シート31の同軸が確保され、弁座シート31と調圧弁体5の接触面が均一化されることにより開弁時の開口面積も均一になり、閉鎖時に弁座シート31に調圧弁体5を確実に密接させて閉鎖させることができる。更に、調圧弁体5弁座シート31側内周先端が先端方向に向けて拡開するテーパ形状に形成されていることと相俟って弁リーク防止、調圧性能の安定化、製品間バラツキの抑制効果を自動的に得ることが可能となる。
【0039】
特に、本実施の形態では、組立時に調圧ばね8の荷重を測定しながら指定荷重位置で調圧弁体5とピストン部6とが固定可能であり、通常は溶接などで固定するが、調圧弁体5とピストン部6とが互いに圧接して嵌合可能な場合において、使用する流体の圧力がさして高圧でなければ圧入状態で嵌合させた仮止め状態で強度と気密性を確保でき、溶接処理を廃止することでコスト低減も図れる。
【符号の説明】
【0040】
1 本体部、2 通路、3 弁座、4 調圧室、5 調圧弁体、6 ピストン部、7 ピストン調圧弁、8 調圧ばね、21 導入口、22 取出口、23 入力カバー、24 出口カバー、31 弁座シート、32 貫通孔、33 弁座シート保持部材、51 先端面、52 連通通路、61 大気室、62 連結孔、91 高圧燃料気密シール、92 シール部材、93 緩衝材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8