(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974842
(24)【登録日】2021年11月9日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】フィルム包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 59/04 20060101AFI20211118BHJP
B65B 11/10 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
B65B59/04
B65B11/10
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-39541(P2018-39541)
(22)【出願日】2018年3月6日
(65)【公開番号】特開2019-151393(P2019-151393A)
(43)【公開日】2019年9月12日
【審査請求日】2020年11月13日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会出展による公開/展示日:平成29年10月3〜6日 展示会名、開催場所:JAPAN PACK 2017 東京都江東区有明3−11−1 東京ビッグサイト 東展示棟1〜6ホール
(73)【特許権者】
【識別番号】307019284
【氏名又は名称】ロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一正
【審査官】
佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭61−090703(JP,U)
【文献】
特開2005−015010(JP,A)
【文献】
特開2010−006449(JP,A)
【文献】
特開2005−047619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 59/04
B65B 11/10
B65B 11/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のフィルムを供給するフィルム供給部と、供給された被包装物を前記フィルムで包む被覆包装部を有し、前記被覆包装部に、先行する被包装物に掛けた前記フィルムを切離すとともに次に供給される被包装物の包装のために一対の前記フィルムの先端同士を結合するカットシール部が備えられたフィルム包装機であって、
前記被覆包装部のうち前記カットシール部よりも搬送方向の後段の構成が後段側架台に搭載され、
前記カットシール部が、前記フィルム供給部と共に前段側架台に搭載され、
前記後段側架台と前記前段側架台が、相対移動により前記カットシール部の搬送方向の後段側に作業空間を形成可能に備えられ、
前記相対移動の方向が前記搬送方向の前後方向と同じ方向である
フィルム包装機。
【請求項2】
前記作業空間が人体の進入を許容する大きさである
請求項1に記載のフィルム包装機。
【請求項3】
前記前段側架台と前記後段側架台との間に、前記相対移動のためのアクチュエータが備えられた
請求項1または請求項2に記載のフィルム包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば熱収縮包装などのように被包装物をフィルムで被覆するフィルム包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
前述例の熱収縮包装を行うフィルム包装機は、下記特許文献1に開示されているような構成である。
【0003】
すなわち、特許文献1の
図5に見られるように、搬送路の上方と下方に包装フィルムロールが配設され、包装フィルムは搬送路に向けて引き出されている。これら包装フィルムは、先端同士がヒートシールで結合され、ヒートシール部分は搬送路を構成する搬入コンベアと搬送コンベアの間に位置される。このヒートシール部分の搬送コンベア側の位置には、ヒートシールを行うとともに包装フィルムを切断する第1のシールバーが上下動可能に備えられている。そして、搬送コンベアにおけるシールバーよりも搬送方向の後段側には、包装フィルムの両側に対してヒートシールと切断を行う第2のシールバーが搬送方向に沿って備えられ、第2のシールバーよりも後段側には、熱収縮を行うための加熱トンネルが備えられる。
【0004】
このような構成のフィルム包装機では、搬入コンベアから搬送コンベアに被包装物を押し込むと、被包装物の先端は包装フィルムのヒートシール部分に当たる。更に押し込むことによって、被包装物の上下は包装フィルムで覆われる。このあと第1のシールバーを用いて、被包装物の後端位置で上下の包装フィルムを切断するとともに次の包装のためのヒートシールを行う。包装フィルムで被覆された状態になった被包装物は、後段に送られて両側が第2のシールバーでヒートシールされるとともに余分な部分が切除され、被包装物の四方が閉じられた状態になる。最後に、加熱トンネル内に搬送されると包装フィルムは収縮して、熱収縮包装が完了する。
【0005】
しかし、フィルム包装機ではフィルム交換などにおけるフィルムの装填作業に手間がかかった。つまり、包装フィルムロールはフィルム置きローラ上に置いたのち、引き出して、複数のローラで構成されるフィルム経路に通し、2枚の包装フィルムの先端同士を第1のシールバーでヒートシールする必要がある。このため、包装フィルムの幅が広いほど、これらの作業は行いにくく、一人で行うことができない場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−282732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、フィルムの装填が容易に行えるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのための手段は、一対のフィルムを供給するフィルム供給部と、供給された被包装物を前記フィルムで包む被覆包装部を有し、前記被覆包装部に、先行する被包装物に掛けた前記フィルムを切離すとともに次に供給される被包装物の包装のために一対の前記フィルムの先端同士を結合するカットシール部が備えられたフィルム包装機であって、前記被覆包装部のうち前記カットシール部よりも搬送方向の後段の構成が後段側架台に搭載され、前記カットシール部が、前記フィルム供給部と共に前段側架台に搭載され、前記後段側架台と前記前段側架台が、相対移動により前記カットシール部の搬送方向の後段側に作業空間を形成可能に備えられ
、前記相対移動の方向が前記搬送方向の前後方向と同じ方向であるフィルム包装機である。
【0009】
この構成では、フィルムの装填に際しては、前段側架台と後段側架台のいずれか一方又は双方を、例えば一直線方向や直交方向に相対移動させて、両者を離反又は分離させ、前段側架台のカットシール部の搬送方向の後段側に作業空間を形成する。作業空間はフィルムの装填作業に必要な手や人体が入ることを許容する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、カットシール部の搬送方向の後段側に手や人を入れられるような作業空間をつくることができるので、幅の広いフィルムであっても装填作業を容易に行うことが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、フィルム包装機の一例としての熱収縮包装機11の概略構造を示す側面図である。この熱収縮包装機11は、
図2に示した工程を経て、被包装物12の全体を密着するフィルム13,14で包むものであり、板状の被包装物12や積層された板状の被包装物12、特に幅広の被包装物12を包装するのに適した例である。熱収縮包装機11は、大きく分けると、一対のフィルム13,14を供給するフィルム供給部21と、供給された被包装物12をフィルム13,14で包む被覆包装部22を有している。フィルム13,14には熱収縮性の合成樹脂フィルムが用いられる。
【0014】
フィルム供給部21は、
図1に示したように被包装物12を搬入する搬入路23と、搬入路23の上方と下方に設けられてフィルムロール13a,14aを回転可能に載置するロール載置部24,25と、フィルムロール13a,14aから引き出されたフィルム13,14を搬入路23の後段側に引き出すフィルム経路で構成されている。
【0015】
搬入路23は、ローラコンベアで構成された例を示しているが、ベルトコンベアなどの他のコンベアで構成してもよい。ロール載置部24,25は、複数のローラ24a,25aを配設して構成される。フィルム経路も複数のローラ26,27を配設して構成されている。
【0016】
被覆包装部22は、供給された被包装物12を搬送する搬送路28と、最も上流側、つまり搬送路28とフィルム供給部21における搬入路23との間に設けられたカットシール部29と、カットシール部29よりも後段に設けられた両側閉塞部31と、両側閉塞部31よりも後段側に設けられた加熱部32を有している。
【0017】
搬送路28は、フィルム供給部21の搬入路23から搬送方向に沿って一直線上に形成されており、ベルトコンベア等で構成される。
【0018】
カットシール部29は、上下動して接離する一対のシールバー29aで構成されている。シールバー29aは、離反時において搬送路28の上方と下方に分かれた状態でフィルム13,14の幅方向に延ばして配設されており、上下に重なるフィルム13,14を互いに接近して挟むことでフィルム13,14を切断すると同時に溶着を行い、上下のフィルム13,14の先端同士を一体化するヒートシール部15を形成するものである。つまりカットシール部29は、先行する被包装物12に掛けたフィルム13,14を切離すとともに次に供給される被包装物12の包装のために一対のフィルム13,14の先端同士を結合する。
【0019】
両側閉塞部31は、前述のカットシール部29と同様のシールバーなど公知の手段で構成され、上下のフィルム13,14の両側の余分な部分を切除すると同時に溶着によりシールしてヒートシール部16(
図2参照)を形成する。加熱部32も公知の手段で構成されており、搬送路28の上方に設けられている。加熱部32は、内部を通過する物を所定の温度に加熱するものである。加熱温度はフィルム13,14に合わせて、熱収縮がなされる温度に設定される。
【0020】
熱収縮包装機11を構成する前述の各要素は、前段側架台35と後段側架台36に分けて搭載される。具体的には、被覆包装部22のうちカットシール部29よりも搬送方向の後段の構成要素、つまり搬送路28と両側閉塞部31と加熱部32が後段側架台36に搭載される。そしてカットシール部29は、フィルム供給部21と共に前段側架台35に搭載される。
【0021】
前段側架台35と後段側架台36は、共に下端部を構成する基台41,42と、基台41,42の上に設けられて前述の必要な構成要素を備える枠体43,44を有しており、相対移動により前記カットシール部29の搬送方向の後段側に作業空間37(
図3参照)を形成可能に備えられる。相対移動の方向は搬送方向の前後方向と同じ方向である。
【0022】
具体的には、後段側架台36の枠体44は、直方体状に形成されており、内部における上下方向の中間部に搬送路28が備えられる。枠体44における前段側架台35に対向する対向面44aは上下方向全体にわたって平らである。基台42は、枠体44よりも前段側架台35の方向、換言すれば搬送路28の上流方向に向けて延びる延長部42aを備えている。延長部42aは、左右方向(フィルムの幅方向)の両側において延びる一対の棒状である。
【0023】
前段側架台35の基台41は後段側架台36の長手方向に沿って延び、下端には、移動を容易にする車輪45が備えられている。基台41は、後段側架台36の基台42の左右方向の内側に入り、後段側架台36の長手方向に沿って相対移動可能である。枠体43は、基台41の左右方向に延びる門型に形成され、基台41の長手方向の中間部に立設されている。枠体43における後段側架台36に対向する面には、後段側架台36の対向面44aに接する当接面43aを有している。当接面43aは上下方向の全体にわたって平らである。
【0024】
枠体43の上下方向の中間部であって後段側架台36の搬送路28と同じ高さに、後段側架台36と反対側に向けて搬入路23が突出形成されており、枠体43の内部にはカットシール部29が備えられている。枠体43の後段側架台36と反対側の面における搬入路23の上方には、上側のロール載置部24が突設され、基台41の上に下側のロール載置部25が形成されている。
【0025】
また、前段側架台35と後段側架台36との間には、相対移動のためのアクチュエータが備えられている。すなわち、アクチュエータとしてエアシリンダ46を後段側架台36の底部に内蔵し、エアシリンダ46のピストンロッド46aの先端を前段側架台35の基台41に固定している。
【0026】
前段側架台35を移動することによって形成する作業空間37の大きさは、人体の腕を差し込める大きさなど、適宜設定される。装填されるフィルム13,14の幅が例えば600mmや1000mmを超えるような幅広の場合には、作業空間37は人体、すなわちフィルム装填作業員の進入を許容する大きさに設定される。この大きさは、具体的には人体が入り屈んだり腕を動かしたりできる大きさであり、例えば前段側架台35と後段側架台36との間に600mm程度から800mm程度の距離の作業空間37ができるようにするとよい。
【0027】
以上のように構成された熱収縮包装機11において、新規に稼働させたり、幅や種類の異なるフィルム13,14と交換したり、フィルム13,14を補充したりするためにフィルム13,14を装填する場合には、次のように行う。
【0028】
まず、エアシリンダ46を駆動して前段側架台35を後段側架台36から離れる方向に移動し、
図3に示したように前段側架台35と後段側架台36との間に作業空間37を形成する。
【0029】
つづいて、フィルムロール13a,14aをロール載置部24,25に載置するとともに、フィルム13,14を引き出してフィルム経路に通す。このときに、作業員は作業空間37に入ると、フィルム13,14に対し正対することができる上に、両手を使うことができる。このためフィルム13,14の装填が簡易迅速にミスなく行える。
【0030】
また、前段側架台35と後段側架台36との相対移動の方向が搬送方向の前後方向と同じ方向であるので、前段側架台35と後段側架台36は一直線上に一定した相対移動が可能である。また前段側架台35と後段側架台36は離反した状態でも基台41,42同士でつながった状態であり、前段側架台35の当接面43aと後段側架台36の対向面44aは面接触する構成である。このため、移動作業が容易である上に、接離動作を繰り返しても、カットシール部29と両側閉塞部31等との位置関係に狂いが生じたりすることなく、一定の稼働状態が得られる。
【0031】
しかも、前段側架台35と後段側架台36との間に相対移動のためのエアシリンダ46を備えているので、移動作業は容易であるとともに、熱収縮包装機11の稼働時には前段側架台35と後段側架台36の高い一体性が得られる。
【0032】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態の構成であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。
【0033】
例えば前段側架台35又は後段側架台36は、搬送方向の前後方向に対して直交する方向に移動する構成としてもよい。
【0034】
また、前段側架台35と後段側架台36は離反したときに両者が完全に分離するものとしてもよい。
【0035】
当接面43aと対向面44aは、上下方向の全体にわたって面一の平面ではなく、上下方向において互いに噛みあう形状であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
11…熱収縮包装機
12…被包装物
13,14…フィルム
21…フィルム供給部
22…被覆包装部
29…カットシール部
35…前段側架台
36…後段側架台
37…作業空間
46…エアシリンダ