特許第6974858号(P6974858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974858
(24)【登録日】2021年11月9日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】差込式結合継手の受け金具
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/086 20060101AFI20211118BHJP
   A62C 33/00 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   F16L37/086
   A62C33/00 C
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-9842(P2019-9842)
(22)【出願日】2019年1月24日
(65)【公開番号】特開2020-118226(P2020-118226A)
(43)【公開日】2020年8月6日
【審査請求日】2020年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】593140299
【氏名又は名称】株式会社山田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100055
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 弘明
(72)【発明者】
【氏名】笠原 正司
(72)【発明者】
【氏名】笠原 宏文
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−273486(JP,A)
【文献】 実開昭57−109848(JP,U)
【文献】 特開2007−187271(JP,A)
【文献】 実開平02−047494(JP,U)
【文献】 米国特許第01587079(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/086
A62C 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消防ホースと連結する筒状の小径部及び前記小径部と連なり前記小径部よりも大径の筒状の大径部を備えた筒体と、
前記筒体の前記大径部と着脱自在にねじ結合可能に構成され、径方向の内側へ突出した張り出し部を備えた筒状の締め輪と、
円弧状の複数の爪と、
前記複数の爪を内側へ付勢する板ばねと、
上部が前記締め輪の前記張り出し部と積み重なるように前記締め輪の中に収容可能に構成され、前記複数の爪を周回状に配置可能に構成された円環状の爪座と、を有し、
前記複数の爪と前記板ばねと前記爪座とを前記締め輪の中に収容した状態で、前記締め輪を前記筒体の前記大径部にねじ込むことによって組み立てられた受け金具であって、
前記締め輪における前記張り出し部の径方向の内側への突出量が、前記爪座における前記上部の径方向の幅長より小さくなるように設定され、前記締め輪の前記張り出し部が前記爪座における前記上部の一部と積み重なるように構成されており、
前記爪座の前記上部は肉厚部と凹部とを有しており、前記凹部の上下方向の厚みが前記肉厚部の上下方向の厚みより小さく設定されており、前記締め輪の前記張り出し部と前記爪座の前記凹部とが上下方向に積み重なるように構成されていることを特徴とする受け金具。
【請求項2】
前記締め輪における前記張り出し部の上下方向の厚みと、前記爪座における前記凹部の上下方向の厚みとの和が、前記爪座における前記肉厚部の上下方向の厚みと同一となる又は同一に近くなるように設定されていることを特徴とする請求項に記載の受け金具。
【請求項3】
前記締め輪の前記張り出し部と前記爪座の前記凹部とは軸線回りに周回する円環状であり、前記張り出し部の内側への突出量と前記凹部の径方向の幅長とは同一となるように設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の受け金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は差込式結合継手の受け金具に関し、特に、消防用ホースを着脱自在に結合する金具(継手)として用いるものに関する。
【背景技術】
【0002】
図6は従来の差込式結合継手の一部切り欠き断面斜視図である。図6に示すように、従来の差込式結合継手100は、一方の消防ホースHaの端部に取り付けられた円筒状の差し金具30を、他方の消防ホースHbの端部に取り付けられた円筒状の受け金具40の中に挿入すると、受け金具40の複数の爪12a,12b,12cが差し金具30の環状凹部31rに引っ掛かって差し金具30と受け金具40が連結し、この状態で、差し金具30の押し輪32を受け金具40の側へスライドさせると、押し輪32が複数の爪12a,12b,12cを環状凹部31rから外して、差し金具30を受け金具40から分離できるように構成されている。なお、この種類の差込式結合継手100は日本工業規格(Japanese Industrial Standard,JIS)に記載されている(JIS B 9911)。
【0003】
この差込式結合継手100における受け金具40は、締め輪44が断面L字形の円筒状であり、一端に張り出し部44eを備えている。この張り出し部44eは径方向の内側へ突出しており、図示しない軸線周りの全周にわたり張り出した円環状となっている。締め輪44の中に複数の爪12a,12b,12cと爪座43とを収容した状態で、締め輪44を円筒状の筒体11にねじ込むことによって、締め輪44と筒体11が連結されて受け金具40が組み立てられている。このとき、筒体11と爪12a,12b,12cと爪座43と締め輪44とが積み重ねられており、外側の締め輪44と筒体11が内側の爪座43と複数の爪12a,12b,12cを挟持している。この状態において、締め輪44の張り出し部44eは爪座43の上部を全て覆っており、受け金具40のうち締め輪44の側の端部(受け金具40の受け口側)から、締め輪44の張り出し部44eが露出しており、爪座43がほとんど露出しないようになっている。締め輪44の外周には一般的にゴムバンドやタイヤと呼ばれる円筒状の緩衝材45が全周にわたって取り付けられている。
【0004】
特許文献1には別の受け金具が2つ記載されている(特許文献1の図1図4参照)。これら2つの受け金具の一部切り欠き断面斜視図を図7図8に示す。図7図8に示すように、受け金具50,60(雌型金具1)は、筒体と締め輪を一体形成してなる円筒状の本体56(受け金具3)を有しており、この本体56の締め輪部分56a(締め輪3d)の内側に円環状の爪座53,63(爪座4)がねじ込まれて、爪座53,63と本体56が複数の爪12a,12b,12cを挟持している。本体56の締め輪部分56aの外周には一般的にゴムバンドやタイヤと呼ばれる円筒状の緩衝材45が全周にわたって取り付けられている。
【0005】
図7に示す受け金具50は、本体56の締め輪部分56aの側の端部(受け金具50の受け口側)から、爪座53と本体56の締め輪部分56aとが同心円状に露出している。一方、図8に示す受け金具60は、円環状の爪座63の一端にフランジ部63f(フランジ部44f)が形成されている。このフランジ部63fは径方向の外側へ突出しており、軸線周りの全周にわたり張り出した円環状となっている。爪座63を本体56の締め輪部分56aにねじ込んだ状態において、爪座63のフランジ部63fが本体56の締め輪部分56aの上に積み重ねられ、締め輪部分56aを覆っている。このため、本体56の締め輪部分56aの側の端部(受け金具60の受け口側)から爪座63のみが露出しており、本体56における締め輪部分56aは露出しないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4467289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の受け金具40は、締め輪44の張り出し部44eが爪座43の上部を全て覆っていることにより、締め輪44における張り出し部44eの径方向の内側への突出量が爪座43の上部の径方向の幅長と同一又はその近くとなるので、筒状材料から締め輪44を製造する際、鍛造によって張り出し部44eを形成することが難しいという問題がある。また、筒状材料を切削して張り出し部44eを形成すると、筒状材料の切削量が多くなるので、製造コストが高くなってしまうとともに、加工時間が長くなってしまうという問題がある。
【0008】
特許文献1に記載された2つの受け金具50,60は、本体56が筒体と締め輪とを一体化したものであり、本体56の形状が複雑であるので、筒状の材料から鍛造や切削を施して本体56を製造すると、本体56の製造コストが高くなってしまうという問題がある。また、受け金具50,60は、爪座53,63を本体56の締め輪部分56aの内側にねじ込む構造であるので、締め輪44と筒体11をねじ結合させる従来の受け金具40に比べて、爪座53,63を本体56から取り外し難いという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、受け金具を取扱い難くすることなく、製造コストの低減と加工時間の短縮とを図ることができる締め輪を備えた受け金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明の受け金具は、消防ホースと連結する筒状の小径部及び前記小径部と連なり前記小径部よりも大径の筒状の大径部を備えた筒体と、前記筒体の前記大径部と着脱自在にねじ結合可能に構成され、径方向の内側に突出した張り出し部を備えた筒状の締め輪と、円弧状の複数の爪と、前記複数の爪を内側へ付勢する板ばねと、上部が前記締め輪の前記張り出し部と積み重なるように前記締め輪の中に収容可能に構成され、前記複数の爪を周回状に配置可能に構成された円環状の爪座と、を有し、前記複数の爪と前記板ばねと前記爪座とを前記締め輪の中に収容した状態で、前記締め輪を前記筒体の前記大径部にねじ込むことによって組み立てられた受け金具であって、前記締め輪における前記張り出し部の径方向の内側への突出量が、前記爪座における前記上部の径方向の幅長より小さくなるように設定され、前記締め輪の前記張り出し部が前記爪座における前記上部の一部と積み重なるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、消防ホースと連結する筒状の小径部及び前記小径部と連なり前記小径部よりも大径の筒状の大径部を備えた筒体と、前記筒体の前記大径部と着脱自在にねじ結合可能に構成され、径方向の内側に突出した張り出し部を備えた筒状の締め輪と、円弧状の複数の爪と、前記複数の爪を内側へ付勢する板ばねと、上部が前記締め輪の前記張り出し部と積み重なるように前記締め輪の中に収容可能に構成され、前記複数の爪を周回状に配置可能に構成された円環状の爪座と、を有し、前記複数の爪と前記板ばねと前記爪座とを前記締め輪の中に収容した状態で、前記締め輪を前記筒体の前記大径部にねじ込むことによって組み立てられた受け金具であって、前記締め輪における前記張り出し部の径方向の内側への突出量が、前記爪座における前記上部の径方向の幅長より小さくなるように設定され、前記締め輪の前記張り出し部が前記爪座における前記上部の一部と積み重なるように構成されているので、前記締め輪における前記張り出し部の突出量が前記爪座における前記上部の径方向の幅長と同一に又はそれより大きく設定されている場合に比べて、前記締め輪における前記張り出し部の長さを短く形成できる。
【0012】
本発明において、前記爪座における前記上部の厚みは全体に亘って均一に形成されていることが好ましい。この発明によれば、前記爪座における前記上部の厚みは全体に亘って均一に形成されているので、前記上部の厚みが径方向の内側部分と外側部分とで互いに異なる場合に比べて、前記上部に印加される応力を全体に亘って分散させて逃がすことができる。
【0013】
本発明において、前記締め輪と前記爪座とを積み重ねると、前記締め輪における前記張り出し部の下面と前記爪座における前記上部の上面とが接触するように構成されており、前記張り出し部の前記下面と前記上部の前記上面とは全面に亘って平坦に形成されていることが好ましい。
【0014】
この発明によれば、前記締め輪と前記爪座とを積み重ねると、前記締め輪における前記張り出し部の下面と前記爪座における前記上部の上面とが接触するように構成されており、前記張り出し部の前記下面と前記上部の前記上面とは全面に亘って平坦に形成されているので、前記締め輪の前記下面の全面に亘って、前記締め輪の前記下面と前記爪座の前記上面とを接触させて、前記締め輪と前記爪座を積み重ねることができる。
【0015】
本発明において、前記爪座の前記上部は肉厚部と凹部とを有しており、前記凹部の上下方向の厚みが前記肉厚部の上下方向の厚みより小さく設定されており、前記締め輪の前記張り出し部と前記爪座の前記凹部とが上下方向に積み重なるように構成されていることが好ましい。
【0016】
この発明によれば、前記爪座の前記上部は肉厚部と凹部とを有しており、前記凹部の上下方向の厚みが前記肉厚部の上下方向の厚みより小さく設定されており、前記締め輪の前記張り出し部と前記爪座の前記凹部とが上下方向に積み重なるように構成されているので、前記締め輪の前記張り出し部と前記爪座の前記肉厚部とが上下方向に積み重なる場合に比べて、前記締め輪の前記張り出し部と前記爪座の前記凹部とを上下方向に積み重ねた厚みを小さくすることができる。
【0017】
本発明において、前記締め輪における前記張り出し部の上下方向の厚みと、前記爪座における前記凹部の上下方向の厚みとの和が、前記爪座における前記肉厚部の上下方向の厚みと同一となる又は同一に近くなるように設定されていることが好ましい。
【0018】
この発明によれば、前記締め輪における前記張り出し部の上下方向の厚みと、前記爪座における前記凹部の上下方向の厚みとの和が、前記爪座における前記肉厚部の上下方向の厚みと同一となる又は同一に近くなるように設定されているので、前記締め輪の前記張り出し部と前記爪座の前記凹部とを積み重ねた状態における高さ位置を、前記肉厚部の高さ位置と同一にできる又は前記肉厚部の高さ位置に近づけることができる。
【0019】
本発明において、前記締め輪の前記張り出し部と前記爪座の前記凹部とは軸線回りに周回する円環状であり、前記張り出し部の内側への突出量と前記凹部の径方向の幅長とは同一となるように設定されていることが好ましい。
【0020】
この発明によれば、前記締め輪の前記張り出し部と前記爪座の前記凹部とは軸線回りに周回する円環状であり、前記張り出し部の内側への突出量と前記凹部の径方向の幅長とは同一となるように設定されているので、前記締め輪と前記爪座の間に隙間が生じることなく、前記締め輪の前記張り出し部を前記爪座の前記凹部の上に積み重ねることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上、説明したように本発明によれば、締め輪における張り出し部の内側への突出量が、爪座における上部の径方向の幅長より小さくなるように設定されているので、前記締め輪における前記張り出し部の長さを短く形成でき、締め輪の製造コストと製造時間を低減できという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る実施形態の受け金具の一部切り欠き断面斜視図である。
図2】本実施形態の受け金具の分解斜視図である。
図3】本実施形態の締め輪と爪座を分離した状態を示す一部切り欠き断面斜視図である。
図4】本実施形態の締め輪と爪座を連結した状態を示す一部切り欠き断面斜視図である。
図5】他の実施形態の受け金具の一部切り欠き断面斜視図である。
図6】従来の差込式結合継手の一部切り欠き断面斜視図である。
図7】従来の別の受け金具の一部切り欠き断面斜視図である。
図8】従来の他の受け金具の一部切り欠き断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施形態の受け金具について詳細に説明する。図1は本発明に係る本実施形態の受け金具の一部切り欠き断面斜視図である。図2は本実施形態の受け金具の分解斜視図である。図1図2に示すように、受け金具10は、上記従来の受け金具40,50,60と同様に、差し金具30と一対となって消防ホースを着脱自在に連結する差込式結合継手を構成するものであり、筒体11と複数の爪12a,12b,12cと爪座13と締め輪14とを有している。
【0024】
なお、図中において、矢印Uで示す方向を上側とし(図1図5では紙面の上側である。)、矢印Dで示す方向を下側とする(図1図5では紙面の下側である。)。矢印UとDで示す方向を上下方向とする。これら方向は相対的な位置関係を示すものであり、重力方向に対する絶対的な位置関係を示すものではない。実施形態では、この上下方向を受け金具10,20の軸線O,O′に沿う方向と同一に設定している。
【0025】
筒体11は、中空の円筒状であって小径部11aと大径部11bを有している。小径部11aは消防ホースを取り付ける部分であり、消防ホースを保持するために外周に複数の凹凸が形成されている。この複数の凹凸は軸線Oの周りに周回している。大径部11bは差し金具を受け入れる受け口側であり、小径部11aの外径より大きい外径を備えている。大径部11bの内周部にはパッキンpkが収容されている。このパッキンpkは合成樹脂等の弾性を備えた素材からなり、軸線Oの周りを周回する円環状であり、差し金具の先端部を取り囲むように差し金具の先端部に密着して差込式結合継手の水密性を確保するためのものである。小径部11aと大径部11bは矢印UとDで示す上下方向に一体形成されており、内部が上下方向に連通している。すなわち、小径部11aは上側に設けられ、大径部11bは下側に設けられている。
【0026】
図2に示すように、爪座13は中空の円環状であり、後述する締め輪14の中に収容可能に構成されている。爪座13の矢印Dで示す下側の部分には複数の切り欠き13a,13b,13cが形成されている。これら複数の切り欠き13a,13b,13cは爪座13の下側の端縁から矢印Uで示す上側へ伸びており、互いに間隔を空けて周回状に配置されている。これら複数の切り欠き13a,13b,13cは複数の爪12a,12b,12cを配置可能に構成されている。このため、複数の爪12a,12b,12cを複数の切り欠き13a,13b,13cに1つずつ配置すると、複数の爪12a,12b,12cは互いに間隔を空けて周回状に配置される。本実施形態では複数の爪12a,12b,12cと複数の切り欠き13a,13b,13cとはそれぞれ3つずつ設けられている。
【0027】
ここで、複数の爪12a,12b,12cは円弧状であり、その背後、すなわち径方向の外側に板ばねspが図示しないピン等により取り付けられている。これにより、複数の爪12a,12b,12cは板ばねspによって径方向に出没可能に構成される。具体的には、板ばねsp付きの複数の爪12a,12b,12cと爪座13とを締め輪14の中に収容すると、板ばねspが複数の爪12a,12b,12cと締め輪14の内周部との間に配置され、複数の爪12a,12b,12cと締め輪14の内周部とを互いに離す方向に付勢して、複数の爪12a,12b,12cを径方向の内側へ突出させる。このため、複数の爪12a,12b,12cは板ばねspの付勢に抗って径方向の外側へ没入可能となる。
【0028】
図3は本実施形態の締め輪と爪座を分離した状態を示す一部切り欠き断面斜視図である。図4は本実施形態の締め輪と爪座を連結した状態を示す一部切り欠き断面斜視図である。図3図4に示すように、締め輪14は中空の円筒状であり、断面形状がL字状となっている。締め輪14の矢印Uで示す上側の端部に張り出し部14eが設けられている。この張り出し部14eは径方向の内側へ突出しており、軸線Oの周りの全周にわたり形成された円環状となっている。締め輪14は爪座13を内部に収容可能に構成されている。爪座13は上側に上部13uが設けられている。この上部13uは円環状であり、軸線Oの周りを周回している。
【0029】
また、締め輪14と爪座13とは上下方向に積み重ね可能に構成されている。具体的には、爪座13を締め輪14の中に挿入して、締め輪14の張り出し部14eの方へ移動させると、爪座13における上部13uの上面13Fが締め輪14における張り出し部14eの底面14Dと当接して、爪座13の上部13uと締め輪14の張り出し部14eとが積み重なる。このとき、締め輪14の張り出し部14eが上側に位置し、爪座13の上部13uが下側に位置する。
【0030】
ここで、締め輪14における張り出し部14eの径方向の内側への突出量Pは、爪座13における上部13uの径方向の幅長Tより小さく設定されている(P<T)。このため、締め輪14の張り出し部14eと爪座13の上部13uとを積み重ねると、締め輪14の張り出し部14eは爪座13における上部13uの一部に引っ掛かるようになっている。言い換えると、締め輪14の張り出し部14eは爪座13における上部13uの径方向の外側部分(外縁側)に載置され、上部13uの径方向の内側部分(内縁側)に載置されないようになっている。つまり、締め輪14の張り出し部14eは爪座13の上部13uを全て覆わないようになっている。
【0031】
なお、張り出し部14eの突出量Pは、爪座13における上部13uの径方向の幅長Tより小さければよく(P<T)、上部13uの幅長Tの4分の3より大きくてもよいし(P>3/4・T)、上部13uの幅長Tの4分の3でもよいし(P=3/4・T)、上部13uの幅長Tの4分の3より小さくてもよい(P<3/4・T)。例えば、上部13uの幅長Tの3分の2でもよいし(P=2/3・T)、上部13uの幅長Tの2分の1でもよいし(P=1/2・T)、上部13uの幅長Tの3分の1でもよいし(P=1/3・T)、上部13uの幅長Tの4分の1でもよいし(P=1/4・T)、上部13uの幅長Tの5分の1でもよいし(P=1/5・T)、上部13uの幅長Tの6分の1でもよい(P=1/6・T)。
【0032】
また、爪座13における上部13uの上下方向の厚みRは上部13uの全体に亘って均一に形成されている。換言すると、爪座13における上部13uの上下方向の厚みRは上部13uの径方向の全長に亘って均一に形成されている。これにより、締め輪14から爪座13の上部13uへ印加される応力を上部13uの全体に亘って分散させて逃がすことができる。なお、爪座13における上部13uの上面13Fと、締め輪14における張り出し部14eの下面14Dとは全面に亘って平坦又は平滑に形成されていることが好ましい。これにより、上部13uの上面13Fと張り出し部14eの下面14Dとの接触を張り出し部14eの下面14Dの全面に亘って広げることができる。
【0033】
図2に戻って、締め輪14の下側の内周部には雌ねじ14sが形成され、筒体11の大径部11bの外周部には雄ねじ11sが形成されている。これら締め輪14の雌ねじ14sと筒体11の雄ねじ11sは螺合可能に構成されている。締め輪14の中に爪座13と複数の爪12a,12b,12cとを収容した状態で、締め輪14の雌ねじ14sを筒体11の雄ねじ11sにねじ込むと、締め輪14と筒体11が着脱自在に連結され、筒体11と複数の爪12a,12b,12cと爪座13と締め輪14とが上下方向に積み重なる。このとき、内側の爪座13と複数の爪12a,12b,12cは外側の締め輪14と筒体11によって挟持される。
【0034】
図2図3に示すように、締め輪14の外周14Aには凹部14gが形成されている。この凹部14gは環状溝であり、軸線Oの周りを周回している。凹部14gの上下方向の幅長Vは締め輪14の上下方向の幅長W1より小さく設定されており(V<W1)、凹部14gは締め輪14の中に収容された複数の爪12a,12b,12cに対応する位置又はその近くに形成されている。締め輪14の凹部14gには緩衝材15が取り付けられている。
【0035】
図1図2に示すように、緩衝材15はゴムバンドやタイヤ等と呼ばれており、エチレンプロピレンゴム等の合成ゴムなどの可撓性と弾性を備えた素材から構成されている。緩衝材15は円環状であり、締め輪14の凹部14gに挿入した状態でカシメ等によって固定されている。このため、緩衝材15は締め輪14の外周14Aに沿って軸線Oの回りに周回している。
【0036】
ここで、緩衝材15の上下方向の幅長U1は締め輪14の上下方向の幅長W1より小さく設定されている(U1<W1)。このため、緩衝材15は締め輪14の外周14Aの全面を覆わないようになっており、締め輪14の外周14Aのうち緩衝材15が配置された部分以外は外部に露出している。また、緩衝材15は締め輪14の外周14Aのうち複数の爪12a,12b,12cに対応する位置又はその近くの位置に配置されている。これにより、受け金具10を引きずる際の緩衝材15による摩擦抵抗の低減と、受け金具10の外部から受け金具10の内部に収容された複数の爪12a,12b,12cへ伝達される衝撃の緩和とを両立できる。
【0037】
なお、緩衝材15の上下方向の幅長U1は締め輪14の上下方向の幅長W1より小さければ特に限定されず、複数の爪12a,12b,12cの上下方向の高さHと同一(U1=H)又はその近くに設定されていてもよいし、複数の爪12a,12b,12cの上下方向の高さHより小さく設定されていてもよいし(U1<H)、複数の爪12a,12b,12cの上下方向の高さHより大きく設定されていてもよい(U1>H)。また、緩衝材15の上下方向の幅長U1は締め輪14の上下方向の幅長W1の4分の3より大きくてもよいし(U1>3/4・W1)、締め輪14の幅長W1の4分の3でもよいし(U1=3/4・W1)、締め輪14の幅長W1の4分の3より小さくてもよい(U1<3/4・W1)。例えば、緩衝材15の上下方向の幅長U1は締め輪14の幅長W1の3分の2でもよいし(U1=2/3・W1)、締め輪14の幅長W1の2分の1でもよいし(U1=1/2・W1)、締め輪14の幅長W1の3分の1でもよいし(U1=1/3・W1)、締め輪14の幅長W1の4分の1でもよいし(U1=1/4・W1)、締め輪14の幅長W1の5分の1でもよいし(U1=1/5・W1)、締め輪14の幅長W1の6分の1でもよい(U1=1/6・W1)。
【0038】
また、緩衝材15は径方向に所定幅を備えており、緩衝材15を締め輪14の凹部14gに固定された状態で、緩衝材15の径方向の外側部分は締め輪14の外周14Aより外側へ突出している。言い換えると、緩衝材15の径方向の外側部分は締め輪14の外周14Aの位置より径方向の外側に位置する。これにより、緩衝材15によって締め輪14が直接外部から衝撃を受けることを低減できる。
【0039】
さらに、緩衝材15の径方向の外側部分は円弧状に湾曲している。換言すると、緩衝材15の径方向の外側部分は断面形状が半円形又は半楕円形又はそれに近い形状となっている。つまり、緩衝材15の径方向の外側部分は径方向の外側へ向かって緩衝材15の上下方向の幅長U1が順次小さくなるように形成されている。これにより、緩衝材15における径方向の外側部分の断面形状が矩形状である場合に比べて、緩衝材15が外部と接触する部分を小さくすることができ、受け金具10を引きずる際の緩衝材15の摩擦抵抗をさらに低減できる。
【0040】
図5は他の実施形態の受け金具の一部切り欠き断面斜視図である。この他の実施形態においては上記実施形態と同一内容については同一であり、その説明を省略する。上記実施形態と異なる部分について説明する。図5に示すように、受け金具10における爪座13の上部13uは上下方向の厚みが全体に亘って均一に形成されているが、他の実施形態の受け金具20における爪座23の上部は径方向の内側部分と外側部分とで上下方向の厚みが異なっている。図5では、爪座23の上部における外側部分の厚みが内側部分の厚みより小さく設定されており、この爪座23の外側部分の上に締め輪24の張り出し部24eが載置されている。これにより、締め輪24と爪座23を上下方向に積み重ね状態において、締め輪24の上面位置と爪座23の内側部分の上面位置とを上下方向に近づけることができる。ここで、爪座23の上部における内側部分は上記肉厚部に相当し、外側部分は上記凹部に相当する。
【0041】
図示例では、爪座23の上部における外側部分の上下方向の厚みと締め輪24の張り出し部24eの上下方向の厚みとの和が爪座23の上部における内側部分の上下方向の厚みと同一となるように設定されている。これにより、締め輪24と爪座23を上下方向に積み重ねると、締め輪24の上面位置と爪座23の内側部分の上面位置とが上下方向に一致する。なお、締め輪24の上面と爪座23における上部の上面は平坦又は平滑に形成されていてもよい。
【0042】
また、受け金具10における緩衝材15の上下方向の幅長U1は、締め輪14の上下方向の幅長W1より小さく設定されているが(U1<W1)、他の実施形態の受け金具20における緩衝材25の上下方向の幅長U2は、締め輪24の上下方向の幅長W2と同一又は同一の近くに設定されている(U2=W2)。これにより、受け金具20の緩衝材25によって締め輪24の外周が全面にわたって又は全面近くにわたって覆われている。なお、緩衝材25の上下方向の幅長U2は締め輪24の上下方向の幅長W2より大きく設定されていてもよい(U2>W2)。
【0043】
上述のように構成された受け金具10,20は、締め輪14,24の中に爪座13,23と複数の爪12a,12b,12cとを収容してから、締め輪14,24を筒体11の大径部11bにねじ込むことによって、組み立てられている。
【0044】
本実施形態においては、締め輪14,24における張り出し部14e,24eの径方向の内側への突出量Pが爪座13,23における上部13u,23uの径方向の幅長Tより小さく設定されていることにより(P<T)、締め輪14,24における張り出し部14e,24eの突出量Pが爪座13,23における上部13u,23uの径方向の幅長Tと同一である場合又は幅長Tより大きい場合に比べて(P=T,P>T)、締め輪14,24における張り出し部14e,24eの長さが短いので、円筒材料を鍛造や切削して締め輪14,24を容易に形成でき、締め輪14,24の製造コストを低減できるとともに、締め輪14,24の加工時間を短縮できる。
【0045】
尚、実施形態の受け金具10,20とは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、締め輪14,24の張り出し部14e,24eは軸線O,O′の周りを周回する円環状であるが、円環状でなくてもよく、軸線O,O′の周りの一箇所から径方向の内側へ突出するように形成されていてもよいし、軸線O,O′の周りに互いに間隔を空けて2箇所や3箇所や4箇所以上から径方向の内側へ突出するように形成されていてもよい。
【0046】
また、図1図2に記載された受け金具10では、緩衝材15が締め輪14の外周14Aのうち複数の爪12a,12b,12cに対応する位置又はその近くの位置に配置されているが、緩衝材15が締め輪14の外周14Aのうち複数の爪12a,12b,12cに対応する位置又はその近くの位置に配置されていなくてもよい。
【0047】
なお、図1図2に記載された受け金具10では、緩衝材15が、締め輪14の外周14Aに1本設けられているが、緩衝材15の本数は特に限定されず、緩衝材15が締め輪14の外周14Aに2本設けられていてもよいし、3本設けられていてもよいし、4本以上設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10,20,40,50,60…受け金具、11…筒体、11a…小径部、11b…大径部、11s…雄ねじ、12a,12b,12c…爪、13,23,43,53,63…爪座、13a,13b,13c…切り欠き、13F…上面、13u…上部、14,24,44…締め輪、14e,24e,44e…張り出し部、14A…外周、14D…下面、14g…凹部、14s…雌ねじ、15,25,45…緩衝材、30…差し金具、31r…環状凹部、32…押し輪、56…本体、56a…締め輪部分、63f…フランジ部、100…差込式結合継手、Ha,Hb…消防ホース、pk…パッキン、sp…板ばね、O,O′…軸線、U,D…矢印、P…突出量、H…高さ、T,U1,U2,V,W1,W2…幅長、R…厚み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8