特許第6974879号(P6974879)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974879
(24)【登録日】2021年11月9日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】歯科シミュレーション用のモデル生成
(51)【国際特許分類】
   G06T 17/10 20060101AFI20211118BHJP
【FI】
   G06T17/10
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-118711(P2020-118711)
(22)【出願日】2020年7月9日
(62)【分割の表示】特願2018-547341(P2018-547341)の分割
【原出願日】2017年3月2日
(65)【公開番号】特開2020-173850(P2020-173850A)
(43)【公開日】2020年10月22日
【審査請求日】2020年8月11日
(31)【優先権主張番号】1604155.0
(32)【優先日】2016年3月10日
(33)【優先権主張国】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391011490
【氏名又は名称】株式会社ニッシン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】ニ―ルズ ヴァン デン ブレイバー
(72)【発明者】
【氏名】マーク デュ グリーフ
【審査官】 村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−094128(JP,A)
【文献】 特開2005−199084(JP,A)
【文献】 阿部 哲雄,パーソナルコンピュータを用いた歯の切削シミュレータDecs/1における切削・表示機能の拡張,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.99 No.493,日本,社団法人電子情報通信学会,1999年12月11日,MBE99-118 (1999-12),P.23-30,ISSN 0913-5685
【文献】 阿部 哲雄,ソリッドモデルを用いた実時間切削シミュレーションシステムDecs/1の試作,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.98 No.672,日本,社団法人電子情報通信学会,1999年03月19日,MBE98-146 (1999-03),P.41-48
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G06T 11/00 − 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科シミュレーション用の三次元モデルを生成するための,コンピュータで実行される方法であって:
ある体積を有する三次元物体の表面を三角形のメッシュとして記述するSTLファイルを読み込み、前記三次元物体は歯を表しており;
前記三次元物体を包囲する,複数のボクセルを包含するボクセルグリッドを生成し;
前記三次元物体の体積内に配置される複数のボクセルよりなるボクセルサブセットを特定し、前記ボクセルサブセットの特定は、前記三次元物体の表面の三角形と交差するグリッド線上のポイントを特定するために前記ボクセルグリッドの各グリッド線をラスタースキャンすることを含み、前記表面の三角形のファセット法線を使用して前記ボクセルサブセットを特定し、;
前記ボクセルサブセットを含み,かつ,前記三次元物体の外面を画定する三角形化された表面メッシュを前記交差するポイントを使用して生成し;
前記三次元モデルの中実体積を画定するボクセルサブセットにおける各ボクセルに密度データを割り当て、前記ボクセルサブセット内における異なるボクセルは異なる密度値を有し、;
前記三次元モデルを歯科用シミュレータ装置にロードする,方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって,前記ファイルが,STLファイルである,方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって,前記ファイルが,1本又は複数本の現実の歯の表面ジオメトリを記述する,方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の方法であって,前記三次元モデルを歯科用シミュレータ装置におけるディスプレイに出力することを更に含む,方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の方法であって,シミュレーションプログラムへの前記三次元モデルのローディングを更に含む,方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の方法であって,前記ボクセルグリッド内における各キューブの体積が,0.2mmである,方法。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の方法であって,前記ボクセルグリッドを生成するステップが
前記三次元物体の周りで軸線整列させた最小境界ボックスを生成することを含む,方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって,表面の生成が前記交差ポイントの使用を含む,方法。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の方法であって,前記STLファイルの一部を抽出し,選択されたポイントのみに基づいて三次元モデルを生成することを更に含む,方法。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載の方法であって,前記ボクセルサブセットの特定は、線トレースされた2方向における開放型の三次元物体の表面との2つの交差点を用いて閉じた表面を近似することを含む、方法。
【請求項11】
プロセッサにより実行したときに,請求項1〜10の何れか一項に記載した方法を実行するインストラクションを蓄積した,機械読み取り可能な蓄積媒体。
【請求項12】
システムであって:
請求項1から10の何れか一項に記載の方法に従って三次元モデルを生成する手段と;
前記三次元モデルを選択し,歯科訓練用ソフトウェアプログラムで使用する手段を有する歯科用シミュレータ装置と;
訓練プログラムの実行中に,前記選択された三次元モデルを視認スクリーン上に表示する手段と:
を備える,システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって,前記歯科用シミュレータ装置は、前記訓練プログラムの実行中に,前記三次元モデルを修正するためのインストラクションを生成する手段を更に備える,システム。
【請求項14】
請求項1〜10の何れか一項に記載された方法を実行するように構成された装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,三次元モデルの生成に関し,特に,歯科シミュレーションに使用するための
三次元モデルの生成に関する。
【背景技術】
【0002】
訓練目的のために歯科技術をシミュレートする装置は,本出願人の製造に係るSimodont
(商標)型シミュレータを含めて既知である。これらのシミュレータは,バーチャルリア
リティ技術により,研修医に各種の歯科的処置を練習可能とするものである。シミュレー
タは,一般的には,3Dグラスを装着した使用者が視認するための3Dイメージを表示す
るディスプレイスクリーンを備える。ディスプレイスクリーンの下方には少なくとも1つ
のハンドピースが配置され,このハンドピースは,1組のリンク部材と電動モータとを備
える機構によってシミュレータに固定されている。これらは,(ユーザによって動かされ
る際の)ハンドピースの相対位置と,ユーザが歯,歯列または顎部の仮想的な3Dイメー
ジ上で歯科的処置(例えば,歯内へのドリル操作)を行う際にユーザによって及ぼされる
力を測定するものである。ハンドピースは,歯科医のドリル操作をシミュレートし,研修
医が自らドリル操作を行う際,研修医に触覚的フィードバックを与える。
【0003】
歯科用シミュレータ装置は,歯科研修医が,仮想的ではなく,現実の患者に歯科的技術
を適用する前に,歯科研修医に練習のためのシミュレーション環境を与える。患者の安全
性は,極めて重要である。シミュレーションプロセスがより現実的であるほど,研修医は
訓練に一層集中し,研修医及び患者の両者にとって一層良好な結果を得ることができる。
【0004】
典型的に,三次元モデルは人工的に構成されている。訓練上の異なる要求及び状況に応
じて,異なるモデルが設計される。例えば,特定のモデルは,(シミュレートされた訓練
シナリオ下で研修医による補綴を必要とする)欠損歯であり得る。他のモデルにより,歯
科訓練プログラムの必要性に対応する異なる特性又は特性の組み合わせを実現することも
できる。しかしながら,遭遇し得る全ての歯科シミュレーションを正確に代表させるため
の人工的なモデルを創生することは,非実用的(及びほとんど不可能)である。従って,
包括的なモデルの使用によって,歯科用シミュレーション装置上での研修医の訓練が制約
されることとなる。
【0005】
従来,実際の患者データを使用してシミュレーションモデルを生成する試みが行われて
いる。1つの方法は,CTスキャニングのトモグラフィ・スライスの組み合わせから体積
モデルを生成することである。しかしながら,CTスキャニングは不便かつ効果である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は,上述した欠点の少なくとも幾つかを軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は,第1の態様において,歯科シミュレーション用の三次元モデルを製造するた
めの,コンピュータで実行される方法を提供する。この方法は:ある体積を有する三次元
物体の表面を記述するファイルを読み込み;前記三次元物体を包含する,複数のボクセル
を含むボクセルグリッドを生成し;前記三次元物体の体積内に配置される複数のボクセル
よりなるボクセルサブセットを特定し;前記ボクセルサブセットを含み,かつ,前記三次
元物体の外面を画定する三角形化された表面を生成し;前記三次元モデルの中実体積を画
定するボクセルサブセットにおける各ボクセルに密度データを割り当てるものである。こ
の方法は,実際の歯に関する情報を使用して,歯科用シミュレーションプログラムにおい
て使用するための密度データを有する三次元モデルを自動的かつ効率的に提供するもので
ある。
【0008】
本発明は,第2の態様において,請求項13に記載した方法を提供する。この方法は,
歯科シミュレーション環境下で使用するための中実モデルを正確かつ効率的に成形するた
めに,光学的スキャナの利便性及び柔軟性を有利に活用するものである。
【0009】
本発明は,第3の態様において,請求項15に記載した歯科用シミュレータ装置を提供
する。
【0010】
本発明の好適な特徴は,添付した従属請求項に記載したとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下,添付図面を参照して本発明を詳述する。
図1】歯科用シミュレータ装置の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る三次元モデルのイメージング方法における主要なステップのフローチャートである。
図3】本発明の一実施形態に係る三次元モデルの生成方法におけるステップのフローチャートである。
図4】本発明の一実施例に従って生成され,歯科用シミュレータ装置の視認スクリーン上でユーザが見ることのできるイメージの説明図である。
図5a】1組の歯の三角メッシュ表面イメージの説明図である。
図5b】本発明の一実施例に従って生成された,図5aに示す歯のイメージの説明図である。
図6a図5a及び5bの歯のセットを,図5a及び5bに対して回転させたときの三角メッシュ表面イメージの説明図である。
図6b】本発明の一実施例に従って生成された,図6aに示す歯のイメージの説明図である。
図7】本発明の一実施例に従って生成された3本の歯のイメージの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
歯科用シミュレーション装置の全体を図1に示す。この装置100は,バーチャルリアリ
ティ技術を適用して歯科技術を練習するために歯科研修医によって使用されるものである
。研修医は,視認スクリーン101に対面する椅子(図示せず)に腰掛ける。ハンドレスト1
02は,概ね,研修医が歯科技術をシミュレートするエリアを画定する。電源ボタン105は
装置のオン・オフ切り替えを行い,高さ調整スイッチ106は,ユーザにより,ハンドレス
ト102及び視認スクリーン101を含む装置100の位置の高さを調整可能とする。視認スクリ
ーン101は,仮想的な三次元の移動イメージを表示するものであり,その動きは,研修医
によるハンドピースの動き(概ねハンドレスト102のエリア内に存在する)に対応する。
研修医は,受動的な3Dグラスを装着して視認スクリーン上101のイメージを視認する。
マウス104は,シミュレータのユーザにより,仮想的な三次元空間内において,視認スク
リーン101上におけるイメージの相対位置及び方位を調整可能とする。フットペダル107は
,模擬ドリル(又はその他の歯科用動力ツール)の操作制御を容易とする。
【0013】
シミュレータ装置100は,訓練スクリーン103(タッチ感応スクリーンで構成することが
できる。)も備える。訓練スクリーン103は,研修医が訓練に関連する情報,例えば訓練
プログラム,個別レッスン,得点及び採点データ,指導医のコメント等にアクセスし,か
つ,過去の訓練教材を復習するために使用される。シミュレーションプロセスの実行中,
視認スクリーン101上に表示されるイメージは,訓練用スクリーン103にも出力され,研修
医によるシミュレータ装置の使用を傍観者により確認可能とする。
【0014】
以下,図2を参照して本発明の概要を説明する。ステップ211において,口腔内スキャナを使用して1本又は複数本の歯をスキャンする。口腔内スキャナは,治療前,治療中又は治療後に歯及び歯肉のイメージを生成するために,歯科医又は他の医療専門家がしばしば使用する手持ち型の光学スキャナである。口腔内スキャナで生成したイメージは,口腔内のエリアを,場合によってはオフサイトで,又は後の時点で詳細に観察可能とする。口腔内スキャナで生成したイメージは,従来,診断又は予後判断の一助としての視覚的分析のために歯科医によって使用されている。一般的に,口腔内スキャニングは,三次元レーザスキャニング技術を適用するものであり,その詳細は当業者がアクセスできる情報である。
【0015】
ステップ212において,口腔内スキャナからの生データは,スキャンした1本又は複数
本の歯の表面ジオメトリが,ASCII又はバイナリの何れかで,複数の三角形を含むメ
ッシュとして表されるSTLフォーマットに変換される。STLフォーマットの詳細は,
当業者がアクセスできる情報である。
【0016】
スキャンした歯のSTLファイルは三次元物体の表面ジオメトリを記述するものである
が,その内部についての情報を提供するものではない。しかしながら,特定の歯科シミュ
レーションにおいて,研修医は,歯の内部又は外周部にドリル処置を施して歯の体積を減
らすことが求められる場合がある。図3を参照して後述するアルゴリズムは,歯の表面ジ
オメトリに加えて歯それ自体も記述する歯科シミュレーション用の三次元モデルを提供す
るものである。これは,図2に示す方法のステップ213において達成される。
【0017】
ステップ214において,歯の三次元モデルは歯科シミュレーション装置に供給され,患
者特有の訓練セッション/レッスンの一環として,ユーザアプリケーションを介して研修
医によりアクセス可能となる。これは,他の訓練セッションと同様に,セッション/レッ
スンを完了するためのタイムスケールを規定する期日や,患者特有のモデルが研修医によ
ってアクセスできなくなる日付を規定する満了日を有する場合がある。特定のモデルは,
1名又は複数名の研修医に割り当てることができる。研修医が,ユーザアプリケーション
に「ログイン」すれば,その研修医が現在使用している歯科シミュレータ装置に対するモ
デルのローディングが容易となる。
【0018】
好適には,三次元モデルの生成は,確実な「指導医環境」下で行われる。三次元モデル
を生成した後,歯科用シミュレータ装置上での三次元モデルへのアクセスを許容するに先
立ち,例えば指導医又はメンターが患者のスキャンデータのライブラリからその三次元モ
デルを検索し,そのモデルをレビューしてモデルが特定のレッスン又は特定の研修医に対
して適当であるか否かを評価する。従って,指導医又はメンターは,ケースマネージメン
トプログラムを介して,サーバ,マシン又は他の蓄積設備から三次元モデルをアクセス可
能とすべきか否か,どの時点でアクセス可能とすべきかを決定することができる。
【0019】
三次元モデルが「発行」され,歯科用シミュレータ装置100における訓練スクリーン103を介してレッスンにアクセスした研修医によりアクセス可能となると,その三次元モデルはシミュレーションプログラムの一環として使用することが可能となる(ステップ214)。シミュレーションプログラムを実行すれば,ユーザは,そのモデルを三次元にて視認スクリーン103上で見ると共に,その倍率及び方位を調整することができる。研修医は,1つ又は複数のハンドピース108を,あたかもドリル等の歯科ツールを操作しているかのごとく物理的に動かす。図4は,訓練エクササイズの間に研修医が典型的に見ることのできるイメージを示す。三次元モデル442は4本の歯を含み,そのうちの1本はドリル441のバール部441により処置すべきものである。上述したように,歯科用シミュレータ装置100は,三次元モデルに対する模擬ドリル操作に従ってドリルを操作する研修医に触覚的フィードバックを与える(ステップ215)。研修医が歯内に穿孔すると,プログラムは,歯の体積を適切に減らすことによる固体材料の除去をシミュレートする。歯が密度(従って,材料を除去するためにドリルに加えるべき圧力)を有するため,歯の内部に仮想的な密度を割り当てることにより,シミュレータ100の触覚制御ユニットは,ハンドピース108に連結した電動モータを介して研修医に適当な抵抗を伝達することができる。
【0020】
以下,図3を参照して,三次元モデルを生成する方法について詳述する。この三次元モデルを生成する方法は、機械読み取り可能な蓄積媒体に蓄積したインストラクションをプロセッサにより実行することによって実行される。口腔内スキャナによりスキャンした歯について典型的に提供されるSTLファイルは,メモリーにインポートされ,ここに記載するアルゴリズムを実行するプログラムによって読み取られる。STLファイルは,閉表面の物体,すなわち表面が閉じて接続している物体を記述する。口腔内スキャナにより撮像された歯のスキャンデータは光学的なものであり,その歯は当然のことながら歯肉及び顎に連結しているため,口腔内スキャナを使用して歯の完全な閉表面スキャニングは不可能であり,そのようなスキャニングは常に「開放型」であり,その「開放部」は通常は顎の平面に対して並行な平面内に存在する。STLファイルにより特定される表面ジオメトリは,STLファイルのフォーマットに従って,三角形のメッシュとして記述され,その数及び相対寸法は口腔内スキャナの解像度に依存する。STLファイルは,各三角形の頂点の座標を与える。幾つかのSTLファイルが,メッシュを形成する各三角形に対するファセット法線を提供し,他の幾つかはそうでない場合がある。既知の技術に従って,法線は,STLファイルにおいて提供されない場合でも,計算することができる。本発明の他の実施形態において,中実三次元モデルを生成するためのアルゴリズムはX3Dファイルを処理する。
【0021】
ステップ331において,歯のSTLメッシュは,軸整列最小境界ボックスを生成することにより座標軸と整列させ,これによりSTLファイルに記述された歯の方位及びスケールを決定することができる。代替案として,任意に整列させた最小境界ボックスを使用することもできる。ステップ332において,ボクセルの三次元グリッド構造を最小境界ボックスから生成する。グリッド含むキューブの相対寸法が,グリッドの解像度を決定する。触覚制御ユニットに適当な解像度を与えるため,三次元グリッド構造の各キューブについて0.2mmの縁長さを選択する。
【0022】
三次元グリッド構造におけるどのボクセル又はデータポイントが表面メッシュ内にあり(従って,スキャンした歯の体積を実質的に含み),どのボクセルが表面メッシュ外にあるかを決定するため,x,y,zの各方向で三次元グリッドの各グリッド線に沿う(すなわち,三次元グリッドの各キューブの各縁に沿う)仮想的なラスタースキャン又は線トレースを行って,STLメッシュの三角形と交差するグリッド線(すなわち,キューブの縁)上のポイントを特定する。交差点が特定されたら,交差点を有するキューブの頂点におけるデータポイントが特定される。STLメッシュ内にある頂点を,三角形のファセット法線を使用して決定し,その方向は表面メッシュ外を示す。従って,STLメッシュ内にあると決定された頂点は,STLメッシュ内にあるとみなされるボクセルを特定する(ステップ333)。
【0023】
STLメッシュは,実際に使用するためには閉じている必要がある。スキャンした歯の
STLメッシュは「開放型」であるため,閉じたメッシュへの近似が必要となる。線トレ
ースされた2方向における交差点は,閉じたメッシュへの近似のための十分なデータを提
供する。例えば,開口部がz−y面内にあれば,x方向における線トレースは,(閉じた
メッシュの場合に該当する2つではなく)1つの交差点しか与えないことがある。しかし
ながら,z及びy方向における線トレースはそれぞれ2つの交差点を与えるものであり,
これはz−y面内における閉じたメッシュへの近似化に十分である。
【0024】
元のマーチングキューブアルゴリズムにより記述されたルックアップテーブルを使用し
て,キューブの三角形セットを提供する。このセットにおいては,キューブの頂点がST
Lメッシュの内外にある。これにより,交差点を使用することにより,STL表面内に配
置されるボクセルに接する三角形の新たな表面メッシュを生成する(ステップ334)。こ
れは,グラフィカルで触覚的なレンダリングのための三次元モデルの外面を画定する仮想
的な構造を生成するものである。STL表面の三角形とは異なり,新たな表面は三次元グ
リッド内におけるキューブの寸法に適合する特定の解像度を有する。
【0025】
STLメッシュの内側にあると判断されたボクセルには,ステップ335において,密度値が割り当てられる。計算効率の観点から,全ての関連するボクセル(すなわち,メッシュの内側にあるボクセル)には同一の密度が割り当てられ,その値はエナメル質を表す。研修医が三次元モデル内に仮想的に穿孔すると,触覚制御ユニットにより制御された研修医へのフィードバックが,エナメル質への穿孔をシミュレートするのに適当なものとなる。
【0026】
しかしながら,歯は,異なる密度を有する異なる材料の「層」を含んでおり,特定の歯の密度は断面方向に変化する。別の実施形態において,この密度変化をシミュレータ装置上での訓練プログラムにおいて使用する仮想的な歯においてシミュレートすることにより,歯科研修医が疑似ドリル操作を行う際に,シミュレータ装置の触覚制御ユニットからの応答を,ドリル操作対象の歯の層における割り当てられた密度値に応じて調整する。そのためには,異なるボクセルに,その位置に応じて異なる密度値を割り当てる。例えば,三次元モデルの外殻に向けて配置されているボクセルにエナメル質の密度値を割り当てるも,歯の中心部側に配置されているボクセルにはエナメル質よりも軟質である象牙質に対応する密度値を割り当てることができる。これにより,三次元モデルは歯の構造と一致する密度データを有するので,歯へのドリル操作のシミュレーションがより現実的なものとなる。密度値が割り当てられると,その三次元モデルは,歯科用シミュレータ装置100にロードすることができる。歯科用シミュレータ装置100は、訓練プログラムの実行中に,三次元モデルを修正するためのインストラクションを生成する手段を備えている。
【0027】
幾つかの口腔内スキャナは,カラーデータを提供する。一実施形態において,カラーデ
ータは,スキャンデータに対応する三次元モデルの表面に付加される。カラーデータは,
歯の内部をより詳細に表すために,ボクセルに付加することもできる。
【0028】
図5a,5b,6a及び6bは,4本の歯のセットを示し,そのうちの1本は置き換え
クラウンを必要とするものである。シミュレーションの間,研修医はクラウン543及び643
のベース部周りに対してドリル操作を行って,新たなクラウン(図示せず)を取付け可能
とする凹部を形成することが求められる場合がある。図5a及び5bは,4本の歯のセッ
ト542及び642の表面メッシュを示し,その表面メッシュは,交差点を使用して生成した三
角形を含んでいる。図5b及び6bは,対応する完成したグレースケールの三次元モデル
を示す。
【0029】
口腔内スキャナでスキャンしたエリアが大きいほど(すなわち,歯の本数が多いほど)
図3に関連して上述した三次元モデルを生成するためにより高い処理能力が必要とされ
る。一実施形態において,STLで表される関心領域を,三次元モデルを生成するための
処理対象として抽出することができる。この場合,STLファイルの一部のみが使用され
る。例えば,歯科技能者,メンター又は指導医が,STLファイルによって提供されるイ
メージを見て,複数本の歯のうちの1本だけのスキャンが必要であると決定する。図7
,STLファイルから生成された3本の歯のセットを示し,このファイルは更なる歯を含
んでいたものである。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7