(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記左支持機構が、前記所定の方向と交差する方向に関して前記第1スライド部材が所定の位置からずれた場合に前記第1スライド部材に復元力を付与する左弾性部材を有しており、
前記右支持機構が、前記所定の方向と直交する方向に関して前記第3スライド部材が所定の位置からずれた場合に前記第3スライド部材に復元力を付与する右弾性部材を有していることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のコンテナ。
前記左ジャッキ脚部と前記右ジャッキ脚部が互いに同じ方向に且つ互いに同じ速さで前記コンテナ本体に対して相対移動するように前記左可動式脚部及び前記右可動式脚部を駆動することで前記コンテナ本体が直線的に移動することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンテナ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようにコンテナを車両から下ろした後、コンテナの設置位置を調整する作業が発生する場合がある。例えば、設置後に生じた事情によって一旦設置した位置から別の位置に移動させる必要が生じたり、設置を希望する位置にはトラックによる直接の搬入ができず、トラックから下ろした位置から設置を希望する位置までコンテナを移動させる必要があったりする場合である。前者の場合、コンテナを車両や重機を用いて再度移動させることも考えられる。しかしながら、設置位置の調整のためにいちいち車両等で搬送するのは面倒である。また、後者の場合のように車両等による直接の搬入ができない場合もあり得る。
【0005】
そこで、本発明の目的は、車両や重機を用いずに設置位置を容易に調整可能なコンテナ及びその移動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンテナは、車両に対して積み下ろし可能なコンテナであって、左側壁、右側壁、前側壁、後側壁、天井壁及び底壁を有するコンテナ本体と、車両から降ろされている際に地面上で前記コンテナ本体を支持する支持状態と車両に積載されている際に地面から退避した状態とを取る左ジャッキ脚部を、所定の方向に沿って前記左側壁から前記コンテナ本体の側方に張り出す方向に移動させることも前記コンテナ本体に引き込む方向に移動させることも可能な左可動式脚部と、車両から降ろされている際に地面上で前記コンテナ本体を支持した支持状態と車両に積載されている際に地面から退避した状態とを取る右ジャッキ脚部を、前記左側壁と対向した前記右側壁から前記所定の方向に沿って前記コンテナ本体の側方に張り出す方向に移動させることも前記コンテナ本体に引き込む方向に移動させることも可能な右可動式脚部とを備えており、
前記左可動式脚部及び前記右可動式脚部からなる前脚部対が、前記コンテナ本体の前部側に配置されており、前記左可動式脚部及び前記右可動式脚部からなる後脚部対が、前記コンテナ本体の後部側に配置されており、前記前脚部対及び前記後脚部対のそれぞれにおいて、前記左可動式脚部及び前記右可動式脚部を、平面視において前記コンテナ本体に対して回転可能にそれぞれ支持する左支持機構及び右支持機構が前記コンテナ本体内に設けられており、前記前脚部対及び前記後脚部対のそれぞれにおいて前記左ジャッキ脚部及び前記右ジャッキ脚部の両方が前記コンテナ本体の外側に張り出して前記支持状態にあるときに、前記コンテナ本体を平面視において回転移動させるように、前記前脚部対に第1動作を実行させると共に前記後脚部対に第2動作を実行させ、前記第1動作が、前記左ジャッキ脚部及び前記右ジャッキ脚部の一方を前記張り出す方向に移動させつつ他方を前記引き込む方向に移動させるように前記左可動式脚部及び前記右可動式脚部を駆動する動作であり、前記第2動作が、前記第1動作における前記他方を前記張り出す方向に移動させつつ前記第1動作における前記一方を前記引き込む方向に移動させるように前記左可動式脚部及び前記右可動式脚部を駆動する動作である。
【0007】
本発明によると、左ジャッキ脚部及び右ジャッキ脚部がコンテナ本体の外側に張り出してこれを支持した状態で、左可動式脚部及び右可動式脚部によって左ジャッキ脚部及び右ジャッキ脚部の一方を張り出し方向に、他方を引き込み方向に移動させる。これによって、コンテナ本体を地面に対して移動させることができる。このようにコンテナ自体が移動できるので、車両や重機を用いず設置位置を容易に調整可能である。
加えて、コンテナ本体の前部側に前脚部対が、コンテナ本体の端部側に後脚部対が設けられている。また、前記前脚部対及び前記後脚部対のそれぞれにおいて、左支持機構及び右支持機構が左可動式脚部及び右可動式脚部を、平面視においてコンテナ本体に対して回転可能に支持している。このため、前脚部対においては左ジャッキ脚部及び右ジャッキ脚部の一方を張り出し方向に、他方を引き込み方向に移動させると共に、後脚部対においてはその反対に左ジャッキ脚部及び右ジャッキ脚部を移動させることで、平面視においてコンテナ本体を回転移動させることが可能である。なお、「前部側」とは、前後方向の中央と前端との間の位置を意味する。「後部側」とは、前後方向の中央と後端との間の位置を意味する。
【0008】
本発明において、前記左ジャッキ脚部と前記右ジャッキ脚部が互いに同じ方向に且つ互いに同じ速さで前記コンテナ本体に対して相対移動するように前記左可動式脚部及び前記右可動式脚部を駆動することで前記コンテナ本体が直線的に移動することが好ましい。これによると、左ジャッキ脚部と右ジャッキ脚部が同じ速さで同じ方向にコンテナ本体に対して相対移動することで、コンテナ本体を直線移動させることができる。
【0010】
本発明において、前記左可動式脚部が、互いに対してスライド可能に接続され、これによって前記所定の方向に沿って伸縮可能である第1スライド部材及び第2スライド部材と、前記第2スライド部材を前記第1スライド部材に対して相対移動させるスライド駆動部とを有しており、前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材の一方が前記左ジャッキ脚部を支持しており、前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材の他方における端部である左伸縮支持部が、これらの部材の伸縮の際に前記コンテナ本体に対して前記所定の方向に沿って移動するのを、前記左支持機構によって規制されており、前記右可動式脚部が、互いに対してスライド可能に接続され、これによって前記所定の方向に沿って伸縮可能である第3スライド部材及び第4スライド部材と、前記第4スライド部材を前記第3スライド部材に対して相対移動させるスライド駆動部とを有しており、前記第3スライド部材及び前記第4スライド部材の一方が前記右ジャッキ脚部を支持しており、前記第3スライド部材及び第4スライド部材の他方における端部である右伸縮支持部が、これらの部材の伸縮の際に前記コンテナ本体に対して前記所定の方向に沿って移動するのを、前記右支持機構によって規制されており、前記左支持機構が、前記第1スライド部材の上方への移動を規制するための左上部規制部と、前記第1スライド部材の下方への移動を規制するための左下部規制部と、前記第1スライド部材の水平方向の移動を許容しつつ前記第1スライド部材の上方への移動を規制するように、前記左上部規制部及び前記第1スライド部材のいずれか一方に回転可能に支持されていると共に他方と接触しつつ、前記第1スライド部材の前記所定の方向に関する移動に伴って回転する左上部ガイド回転部材と、前記第1スライド部材の水平方向の移動を許容しつつ前記第1スライド部材の下方への移動を規制するように、前記左下部規制部及び前記第1スライド部材のいずれか一方に回転可能に支持されていると共に他方と接触しつつ、前記第1スライド部材の前記所定の方向に関する移動に伴って回転する左下部ガイド回転部材と、を有しており、前記右支持機構が、前記第3スライド部材の上方への移動を規制するための右上部規制部と、前記第3スライド部材の下方への移動を規制するための右下部規制部と、前記第3スライド部材の水平方向の移動を許容しつつ前記第3スライド部材の上方への移動を規制するように、前記右上部規制部及び前記第3スライド部材のいずれか一方に回転可能に支持されていると共に他方と接触しつつ、前記第3スライド部材の前記所定の方向に関する移動に伴って回転する右上部ガイド回転部材と、前記第3スライド部材の水平方向の移動を許容しつつ前記第3スライド部材の下方への移動を規制するように、前記右下部規制部及び前記第3スライド部材のいずれか一方に回転可能に支持されていると共に他方と接触しつつ、前記第3スライド部材の前記所定の方向に関する移動に伴って回転する右下部ガイド回転部材とを有している。これによると、左支持機構において、左上ガイド回転部材及び左下ガイド回転部材が第1スライド部材を円滑に移動するようにガイドする。このため、第1スライド部材及び第2スライド部材の全体を伸縮させることで、第1スライド部材又は第2スライド部材に支持された左ジャッキ脚部を円滑に移動させることが可能である。また、右支持機構において、右上ガイド回転部材及び右下ガイド回転部材が円滑に移動するように第3スライド部材をガイドする。このため、第3スライド部材及び第4スライド部材の全体を伸縮させることで、第3スライド部材又は第4スライド部材に支持された右ジャッキ脚部を円滑に移動させることが可能である。
【0011】
本発明において、前記左支持機構が、前記左伸縮支持部を、所定の閉じた範囲内における水平移動を許容しつつ支持する左受け部を有しており、前記右支持機構が、前記右伸縮支持部を、所定の閉じた範囲内における水平移動を許容しつつ支持する右受け部を有していることが好ましい。これによると、左受け部及び右受け部が、水平移動がある程度可能となるように左伸縮支持部及び右伸縮支持部をそれぞれ支持する。したがって、第1スライド部材及び第2スライド部材が伸縮する際や、第3スライド部材及び第4スライド部材が伸縮する際に、左伸縮支持部及び右伸縮支持部が水平移動することでコンテナ本体の回転移動を円滑に実施できる。
【0012】
本発明において、前記左可動式脚部が、前記左受け部と接触しつつ、前記所定の方向と交差する方向に前記左伸縮支持部が水平移動するのに伴って回転する、前記左伸縮支持部に回転可能に支持された左ガイド回転部材を有しており、前記右可動式脚部が、前記右受け部と接触しつつ、前記所定の方向と交差する方向に前記右伸縮支持部が水平移動するのに伴って回転する、前記右伸縮支持部に回転可能に支持された右ガイド回転部材を有していることが好ましい。これによると、左ガイド回転部材及び右ガイド回転部材が左伸縮支持部及び右伸縮支持部を円滑に移動するようにそれぞれガイドする。したがって、左可動式脚部及び右可動式脚部を円滑に駆動可能である。
【0013】
本発明において、前記左支持機構が、前記所定の方向と交差する方向に関して前記第1スライド部材が所定の位置からずれた場合に前記第1スライド部材に復元力を付与する左弾性部材を有しており、前記右支持機構が、前記所定の方向と直交する方向に関して前記第3スライド部材が所定の位置からずれた場合に前記第3スライド部材に復元力を付与する右弾性部材を有していることが好ましい。これによると、第1スライド部材又は第2スライド部材に負荷が作用して所定の位置からずれた場合であっても、その負荷の作用が解除されたときには、左弾性部材又は右弾性部材の復元力が第1スライド部材又は第2スライド部材に作用することでこれらを所定の位置に戻すことが可能である。
【0014】
本発明において、
車両に対して積み下ろし可能なコンテナであって、左側壁、右側壁、前側壁、後側壁、天井壁及び底壁を有するコンテナ本体と、車両から降ろされている際に地面上で前記コンテナ本体を支持する支持状態と車両に積載されている際に地面から退避した状態とを取る左ジャッキ脚部を、所定の方向に沿って前記左側壁から前記コンテナ本体の側方に張り出す方向に移動させることも前記コンテナ本体に引き込む方向に移動させることも可能な左可動式脚部と、車両から降ろされている際に地面上で前記コンテナ本体を支持した支持状態と車両に積載されている際に地面から退避した状態とを取る右ジャッキ脚部を、前記左側壁と対向した前記右側壁から前記所定の方向に沿って前記コンテナ本体の側方に張り出す方向に移動させることも前記コンテナ本体に引き込む方向に移動させることも可能な右可動式脚部とを備えており、前記左可動式脚部及び前記右可動式脚部が、前記コンテナ本体の前部側及び後部側の一方に配置されており、前記左可動式脚部及び前記右可動式脚部を、平面視において前記コンテナ本体に対して回転可能にそれぞれ支持する左支持機構及び右支持機構が前記コンテナ本体内に設けられており、地面上で前記コンテナ本体を支持する支持脚が、前記コンテナ本体の前部側及び後部側の他方に配置されており、前記左ジャッキ脚部及び前記右ジャッキ脚部の両方が前記コンテナ本体の外側に張り出して前記支持状態にあるときに、前記左ジャッキ脚部及び前記右ジャッキ脚部の一方を前記張り出す方向に移動させつつ他方を前記引き込む方向に移動させるように前記左可動式脚部及び前記右可動式脚部を駆動することで、前記コンテナ本体が平面視において前記支持脚を中心に回転移動するものであってもよい。これによると、前部側及び後部側の一方において、左支持機構及び右支持機構が左可動式脚部及び右可動式脚部を、平面視においてコンテナ本体に対して回転可能に支持している。また、前部側及び後部側の他方において地面上でコンテナ本体を支持脚が一点支持している。このため、前部側及び後部側の一方において、左ジャッキ脚部及び左ジャッキ脚部の一方を張り出し方向に、他方を引き込み方向に移動させることで、平面視において支持脚を中心にコンテナ本体を回転移動させることが可能である。
【0015】
本発明の別の観点による車両に対して積み下ろし可能なコンテナの移動方法は、前記コンテナが、左側壁、右側壁、前側壁、後側壁、天井壁及び底壁を有するコンテナ本体と、車両から降ろされている際に地面上で前記コンテナ本体を支持する支持状態と車両に積載されている際に地面から退避した状態とを取る左ジャッキ脚部を、所定の方向に沿って前記左側壁から前記コンテナ本体の側方に張り出す方向に移動させることも前記コンテナ本体に引き込む方向に移動させることも可能な左可動式脚部と、車両から降ろされている際に地面上で前記コンテナ本体を支持した支持状態と車両に積載されている際に地面から退避した状態とを取る右ジャッキ脚部を、前記左側壁と対向した前記右側壁から前記所定の方向に沿って前記コンテナ本体の側方に張り出す方向に移動させることも前記コンテナ本体に引き込む方向に移動させることも可能な右可動式脚部とを備えており、
前記左可動式脚部及び前記右可動式脚部からなる前脚部対が、前記コンテナ本体の前部側に配置されており、前記左可動式脚部及び前記右可動式脚部からなる後脚部対が、前記コンテナ本体の後部側に配置されており、前記前脚部対及び前記後脚部対のそれぞれにおいて、前記左可動式脚部及び前記右可動式脚部を、平面視において前記コンテナ本体に対して回転可能にそれぞれ支持する左支持機構及び右支持機構が前記コンテナ本体内に設けられており、前記前脚部対及び前記後脚部対のそれぞれにおいて前記左ジャッキ脚部及び前記右ジャッキ脚部の両方が前記コンテナ本体の外側に張り出して前記支持状態にあるときに、前記コンテナ本体を平面視において回転移動させるように、前記前脚部対に第1動作を実行させると共に前記後脚部対に第2動作を実行させ、前記第1動作が、前記左ジャッキ脚部及び前記右ジャッキ脚部の一方を前記張り出す方向に移動させつつ他方を前記引き込む方向に移動させるように前記左可動式脚部及び前記右可動式脚部を駆動する動作であり、前記第2動作が、前記第1動作における前記他方を前記張り出す方向に移動させつつ前記第1動作における前記一方を前記引き込む方向に移動させるように前記左可動式脚部及び前記右可動式脚部を駆動する動作である。
【0016】
本発明によると、左ジャッキ脚部及び右ジャッキ脚部がコンテナ本体の外側に張り出してこれを支持した状態で、左可動式脚部及び右可動式脚部によって左ジャッキ脚部及び右ジャッキ脚部の一方を張り出し方向に、他方を引き込み方向に移動させる。これにより、コンテナ本体を地面に対して移動させることができる。このようにコンテナ自体が移動できるので、車両や重機を用いず設置位置を容易に調整可能である。
加えて、コンテナ本体の前部側に前脚部対が、コンテナ本体の端部側に後脚部対が設けられている。また、前記前脚部対及び前記後脚部対のそれぞれにおいて、左支持機構及び右支持機構が左可動式脚部及び右可動式脚部を、平面視においてコンテナ本体に対して回転可能に支持している。このため、前脚部対においては左ジャッキ脚部及び右ジャッキ脚部の一方を張り出し方向に、他方を引き込み方向に移動させると共に、後脚部対においてはその反対に左ジャッキ脚部及び右ジャッキ脚部を移動させることで、平面視においてコンテナ本体を回転移動させることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
以下、本発明の好適な一実施の形態である第1の実施形態について
図1〜
図10を参照しつつ説明する。
【0019】
[コンテナの構造]
本実施形態に係るコンテナ1は、コンテナ本体10、水洗式便器2及び汚水処理装置4を備えている。コンテナ本体10は、トラック等の車両6に対して積み下ろし可能なコンテナである。例えば、国際標準化機構(ISO)の規格における20フィートコンテナが使用される。コンテナ本体10には、10フィートコンテナ、40フィートコンテナ、40フィートハイキューブコンテナ、又は45フィートコンテナ等が使用されてもよい。なお、以下において、説明の便宜上、
図3に示すように長尺方向の一方を前方、その反対方向を後方とすると共に、幅方向の一方を左方、その反対方向を右方とする。
【0020】
図2及び
図3に示すように、コンテナ本体10は、平面視で前後方向に長尺な矩形形状を有している。コンテナ本体10は、前後方向に延びる左側壁11、右側壁12、前側壁13、後側壁14、天井壁15、及び底壁16を備えている。これらの壁部の内部にはそれぞれ水洗式便器2が設置された2つの個室3及び汚水処理装置4が設置されている。2つの個室3は、コンテナ本体10の左側且つ前方寄りの位置に前後方向に並んでいる。左側壁11には、それぞれの個室3に対応して出入口11aが設けられている。また、右側壁12には、2つの出入口11aのうち前方側の一方と対向する位置に出入口12aが設けられている。出入口12aは、汚水処理装置4、種々の配管、及び発電機等の機器のメンテナンスを行うための出入口である。
【0021】
汚水処理装置4は、原水槽、第1活性接触酸化槽、第2活性接触酸化槽、第1バイオリアクター槽、第2バイオリアクター槽、活性炭槽、及び最終処理槽を主に有している。汚水処理装置4には、商用電源により電力が供給されるようになっているが、停電時には発電機により電力が供給される。汚水処理装置4は、コンテナ本体10の右側且つ後方寄りの位置に設置されている。水洗式便器2と接続した主配管5が汚水処理装置4に接続している。水洗式便器2から排出された汚水は主配管5を通じて汚水処理装置4に導入される。
【0022】
汚水処理装置4において、汚水に対して以下の処理が行われる。まず、原水槽において、トイレットペーパーを含む汚水を曝気攪拌によりスラリー化する。原水槽により、汚水の流入量を適正にコントロールする。次に、第1活性接触酸化槽及び第2活性接触酸化槽において、その内部に収容された接触酸化材に付着した微生物により曝気環境下で有機物を分解する微生物処理が行われる。次に、第1バイオリアクター槽及び第2バイオリアクター槽において、第1活性接触酸化槽及び第2活性接触酸化槽から送られた活性汚泥処理水を微生物が付着した濾材により濾過する濾過処理が行われる。次に、活性炭槽において、第1バイオリアクター槽及び第2バイオリアクター槽から送られた濾過処理水が活性炭により高度処理され、脱臭、脱色される。次に、最終処理槽では、活性炭槽から送られた処理水に対して、オゾンガスを注入するオゾン処理及び濾過膜により濾過する膜処理の少なくともいずれか一方(両方でもよい)が行われる。このようにして汚水処理装置4では、汚水が効果的に浄化処理されて、水洗式便器2の洗浄水として再使用できるようになる。なお、第1活性接触酸化槽及び第2活性接触酸化槽の少なくともいずれか一方のみが備えられていてもよい。また、第1バイオリアクター槽及び第2バイオリアクター槽の少なくともいずれか一方のみが備えられていてもよい。また、活性炭層はなくともよい。また、設置場所に公共私設枡がある場合には配管の簡単な切替えで直接放流も可能である。
【0023】
コンテナ本体10内には、車両6からのコンテナ1の積み下ろしを容易にすると共にコンテナ1を地面上に設置した後にその設置位置を調整可能とするためのコンテナ移動ユニット100が設けられている。コンテナ移動ユニット100は、
図2及び
図3に示すように、前脚部対20、後脚部対30、前支持機構40、後支持機構50、作動油供給部90及び制御部110を有している。作動油供給部90は、図示しないモータによって駆動され、前脚部対20及び後脚部対30に油圧駆動用の作動油を供給する。モータは、商用電源又は発電機から供給される電力によって動作する。作動油供給部90からの作動油は、種々の油圧バルブを通じて前脚部対20及び後脚部対30に供給される。制御部110は、当該油圧バルブを制御し、作動油供給部90からの作動油の圧力及び流量を調整する。制御部110は、かかる機能を発揮するための各種の演算や入出力処理等を実行する電子部品からなる。
【0024】
図3に示すように、前脚部対20はコンテナ本体10の前端部に配置されている。前脚部対20は、可動式脚部200FL(本発明でいう左可動式脚部)及び可動式脚部200FR(本発明でいう右可動式脚部)を備えている。可動式脚部200FRは、可動式脚部200FLと同様の構成を有しており、
図3に示す幅方向中心面C1を基準として可動式脚部200FLを左右方向に反転させてから前方に少しずらしたものに対応する。幅方向中心面C1は、左右方向に関してコンテナ本体10の中央を通り左右方向と直交する鉛直面である。左側壁11の前端部付近には、可動式脚部200FLに対応して出入口11bが設けられている。また、右側壁12の前端部付近には、可動式脚部200FRに対応して出入口12bが設けられている。
【0025】
後脚部対30はコンテナ本体10の後端部に配置されている。後脚部対30は、可動式脚部200BL(本発明でいう左可動式脚部)及び可動式脚部200BR(本発明でいう右可動式脚部)を備えている。可動式脚部200BLは、可動式脚部200FLと同様の構成を有しており、
図3に示す長尺方向中心面C2に関して可動式脚部200FLと対称な関係にある。長尺方向中心面C2は、前後方向に関してコンテナ本体10の中央を通り前後方向と直交する鉛直面である。可動式脚部200BRは、可動式脚部200BLと同様の構成を有しており、
図3に示す幅方向中心面C1を基準として可動式脚部200BLを左右方向に反転させてから後方に少しずらしたものに対応する。左側壁11の後端部付近には、可動式脚部200BLに対応して出入口11cが設けられている。また、右側壁12の後端部付近には、可動式脚部200BRに対応して出入口12cが設けられている。
【0026】
以上のように、可動式脚部200FR、200BL及び200BRは、可動式脚部200FLと共通の構成を有している。よって、以下においては、可動式脚部200FLについて主に説明し、可動式脚部200FR、200BL及び200BRについては可動式脚部200FLと共通の構成に共通の符号を付すと共に、その説明を適宜省略する。
【0027】
なお、
図2〜
図9及び
図11においては、可動式脚部200FL、200FR、200BL及び200BRが左右方向に沿って配置された状態が図示されている。したがって、
図2〜
図9及び
図11を用いた以下の説明に当たっては、説明の便宜上、可動式脚部200FL、200FR、200BL及び200BRが左右方向に沿った状態を前提として説明するが、可動式脚部200FL、200FR、200BL及び200BRは
図10に示す通り、左右方向に対して傾斜した状態を取ることも可能である。
【0028】
可動式脚部200FLはステンレス、鋼等の金属製の部材で主に構成されている。
図4及び
図5に示すように、可動式脚部200FLは、ジャッキ脚部210(本発明でいう左ジャッキ脚部)及びアームシリンダユニット220(本発明でいう第1スライド部材)、アームロッド230(本発明でいう第2スライド部材)を備えている。
【0029】
ジャッキ脚部210は、ジャッキシリンダユニット211、ジャッキロッド212、及びジャッキパッド213を有している。ジャッキシリンダユニット211は、上下方向に長尺な直方体状の部材である。ジャッキシリンダユニット211内には油圧シリンダ214が収容されている。ジャッキロッド212は、上下方向に長尺な円柱又は角柱状の部材である。ジャッキロッド212は、ジャッキシリンダユニット211に下方から挿入されている。ジャッキロッド212の上端部は、ジャッキシリンダユニット211内の油圧シリンダ214にさらに挿入されている。ジャッキパッド213は、ジャッキロッド212の下端に取り付けられた平板部材であり、ブロック状のベースB上又は地面上でジャッキロッド212を支持する。油圧シリンダ214には作動油供給部90から作動油が供給される。これにより、油圧シリンダ214がジャッキロッド212を下方に押し出したり上方に引き込んだりするように動作する。もって、ジャッキ脚部210全体が上下方向に関して伸縮する。ジャッキ脚部210は、ジャッキパッド213がコンテナ本体10の底壁16より上方に配置され、出入口11bを通じてコンテナ本体10から出入り可能な長さまで縮小することもできるし、コンテナ本体10の外側においてジャッキパッド213がコンテナ本体10の底壁16より下方に配置される長さまで伸長することもできる。コンテナ1が車両6から地面上に降ろされた際、ジャッキ脚部210がコンテナ本体10の外側で伸長し、地面上でコンテナ本体10を支持した支持状態(
図2及び
図4〜
図11に示す状態)を取る。コンテナ1が車両6に積載されている際、ジャッキ脚部210が縮小してコンテナ本体10の底壁より上方に退避した退避状態(
図1及び
図3に示す状態)を取る。
【0030】
アームシリンダユニット220は、ユニット本体221、上部車輪体222(本発明でいう左支持機構の左上部ガイド回転部材)、及び下部車輪体223(本発明でいう左支持機構の左下部ガイド回転部材)を有している。ユニット本体221は、左右方向に延びていると共に右端が開口した角型の筒形状を有する部材である。ユニット本体221の左端面は、ジャッキシリンダユニット211の右側面の下端部付近に固定されている。これによって、アームシリンダユニット220がジャッキ脚部210を支持している。ユニット本体221内には油圧シリンダ224(本発明でいうスライド駆動部)が収容されている。
【0031】
上部車輪体222は、ユニット本体221の外表面における上面221aの右端部付近に支持されている。上部車輪体222は、ユニット本体221の右端部に設けられた車輪支持部225に、前後方向に沿った回転軸周りに回転可能に支持されている。上部車輪体222は、後述するハウジング本体610の天井壁部(本発明でいう左上部規制部)と接触することでアームシリンダユニット220の上方への移動を規制しつつ、アームシリンダユニット220が移動するのに伴って回転する。一方で、上部車輪体222は、アームシリンダユニット220が水平移動するのを規制していない。つまり、上部車輪体222は、アームシリンダユニット220の水平方向の移動を許容しつつ、アームシリンダユニット220の上方への移動を規制している。
【0032】
下部車輪体223は、ユニット本体221の外表面における下面221bの右端部付近に支持されている。下部車輪体223は、ユニット本体221の右端部に設けられた車輪支持部226に、前後方向に沿った回転軸周りに回転可能に支持されている。下部車輪体223は、後述するハウジング本体610の底壁部(本発明でいう左下部規制部)と接触することでアームシリンダユニット220の下方への移動を規制しつつ、アームシリンダユニット220が移動するのに伴って回転する。一方で、下部車輪体223は、アームシリンダユニット220が水平移動するのを規制していない。つまり、下部車輪体223は、アームシリンダユニット220の水平方向の移動を許容しつつ、アームシリンダユニット220の下方への移動を規制している。
【0033】
アームロッド230は、ロッド本体231及び車輪ユニット240(本発明でいう左伸縮支持部)を有している。ロッド本体231は、左右方向に延びた円柱又は角柱状の部材である。ロッド本体231はユニット本体221に右方から挿入されている。ロッド本体231の左端部は、ユニット本体221内の油圧シリンダ224にさらに挿入されている。これにより、アームシリンダユニット220とアームロッド230は互いに対してスライド可能となるよう接続されている。油圧シリンダ224には作動油供給部90から作動油が供給される。これにより、油圧シリンダ224がアームロッド230をユニット本体221から押し出したりユニット本体221内に引き込んだりするように動作する。もって、アームシリンダユニット220及びアームロッド230の全体が伸縮する。アームシリンダユニット220及びアームロッド230の伸縮方向(以下、「アーム伸縮方向」という。)は本発明でいう所定の方向に対応する。この伸縮動作の際に、アームシリンダユニット220に設けられた上部車輪体222及び下部車輪体223は、アームシリンダユニット220がアーム伸縮方向に移動するのをガイドする役割を担う。
【0034】
車輪ユニット240は、軸受け部232及び車輪体241(本発明でいう左ガイド回転部材)を有している。車輪体241は、上車輪242、及び下車輪243及び車軸244を有している。軸受け部232は、ロッド本体231の右端から右方に突出した部材である。軸受け部232の右端部は、上下方向に貫通した貫通孔を有している。車軸244は上下方向に延びており、軸受け部232の上記貫通孔に通されている。これにより車輪体241は、上下方向に沿った車軸244の中心軸周りに回転可能である。上車輪242は車軸244の上端に、下車輪243は車軸244の下端に固定されている。車輪体241は、後述するハウジング本体610の受け部620と接触しつつ、アーム伸縮方向と交差する方向に車輪ユニット240が水平移動するのに伴って回転する。このように、車輪体241は、受け部620と接触した車輪ユニット240をガイドする。よって、車輪ユニット240は、車輪体241が受け部620と接触した状態を維持しつつ円滑に水平移動することが可能である。
【0035】
前支持機構40は、ハウジング部600FL及び600FR(本発明でいう左支持機構及び右支持機構)を有している。
図3〜
図5に示すように、ハウジング部600FLは、可動式脚部200FLのアームシリンダユニット220及びアームロッド230を支持した部材である。ハウジング部600FRは、可動式脚部200FRのアームシリンダユニット220及びアームロッド230を支持した部材である。後支持機構50は、ハウジング部600BL及び600BR(本発明でいう左支持機構及び右支持機構)を有している。ハウジング部600BLは、可動式脚部200BLのアームシリンダユニット220及びアームロッド230を支持した部材である。ハウジング部600BRは、可動式脚部200BRのアームシリンダユニット220及びアームロッド230を支持した部材である。ハウジング部600FL、600FR、600BL及び600BRは、コンテナ本体10の内部の床面に固定されている。
【0036】
ハウジング部600FRは、ハウジング部600FLと同様の構成を有しており、
図3に示す幅方向中心面C1を基準としてハウジング部600FLを左右方向に反転させてから前方に少しずらしたものに対応する。ハウジング部600BLは、ハウジング部600FLと同様の構成を有しており、
図3に示す長尺方向中心面C2に関してハウジング部600FLと対称な関係にある。ハウジング部600BRは、ハウジング部600BLと同様の構成を有しており、
図3に示す幅方向中心面C1を基準としてハウジング部600BLを左右方向に反転させてから後方に少しずらしたものに対応する。このように、ハウジング部600FR、600BL及び600BRは、ハウジング部600FLと共通の構成を有している。よって、以下においては、ハウジング部600FLについて主に説明し、ハウジング部600FR、600BL及び600BRについてはハウジング部600FLと共通の構成に共通の符号を付すと共に、その説明を適宜省略する。
【0037】
図4及び
図5に示すように、ハウジング部600FLは、ハウジング本体610、受け部620(本発明でいう左受け部)、上部車輪体630(本発明でいう左上部ガイド回転部材)、下部車輪体640(本発明でいう左下部ガイド回転部材)、並びにばねユニット650及び660(本発明でいう左弾性部材)を有している。
【0038】
ハウジング本体610は、左右方向に長尺な角型の筒形状の左半部611と、左半部611の右端から右方に突出した角型の筒形状の右半部612を有した箱状の部材である。ハウジング本体610の内部空間は、左半部611の内部空間及び右半部612の内部空間からなる。左半部611の内部空間は、前後方向に関してアームシリンダユニット220より相当に大きい。右半部612の内部空間は、前後方向に関してアームシリンダユニット220より若干大きい。これにより、アームシリンダユニット220がハウジング本体610内で前後方向に関して水平移動が可能な空間が
図4の矢印d1に示す範囲で確保されている。アームシリンダユニット220は、左半部611内を左右方向に延びており、左半部611の左端から左方へと突出している。アームロッド230は、概ね右半部612内に収容されている。
【0039】
受け部620は、右半部612の右端に設けられている。受け部620は、右半部612と上下方向及び前後方向に同じ大きさである直方体の箱状の部分である。受け部620内には車輪ユニット240が収容されている。受け部620は、左右方向に関して車輪ユニット240より若干大きい。受け部620の左壁部には左右方向に貫通した貫通孔621が形成されている。貫通孔621は、上下方向に関して受け部620の左壁部の中央に形成されている。貫通孔621には車輪ユニット240の軸受け部232が通されている。貫通孔621は、上下方向に関して車輪体241より小さい。よって、車輪体241は、貫通孔621を通過しようとしても受け部620の左壁部に衝突するため、これを通過できない。同様に、車輪体241は、受け部620の右壁部、前壁部及び後壁部によって移動が規制される。つまり、車輪体241は、受け部620の四方の壁部によって水平移動が規制されている。これにより、受け部620は、受け部620内の閉じた範囲内に限り車輪体241の水平移動を許容しつつ車輪体241を支持している。アームシリンダユニット220及びアームロッド230が伸縮する際には車輪体241が受け部620の左壁部又は右壁部に接触する。これによって、受け部620がアームロッド230を支持する(アームロッド230のアーム伸縮方向の移動を規制する)ので、伸縮動作に伴ってアームシリンダユニット220がコンテナ本体10に対してアーム伸縮方向に相対移動する。
【0040】
受け部620内で車輪体241の水平移動が可能な範囲は、矢印d2及びd3に示す範囲である。つまり、アームロッド230の右端部である車輪ユニット240において車輪体241が矢印d2に示す範囲で前後移動できるのに対し、アームシリンダユニット220は上記の通り矢印d1に示す範囲で前後移動できる。このように、アームロッド230は前後方向に移動できる範囲が狭いのに対し、アームシリンダユニット220は前後方向に大きく移動することが可能である。このことから、可動式脚部200FL全体は、ハウジング部600FLに対し、車輪ユニット240又はその付近を中心とした回転移動が可能となっている。
【0041】
上部車輪体630は、車輪体631及びその回転軸となる軸部632を有している。車輪体631は、前後方向に沿った円柱状の部材である。車輪体631は左半部611の内部空間より前後方向に関して若干短い。軸部632は、車輪体631の前端から前方に向かって突出していると共に、車輪体631の後端から後方に向かって突出している。軸部632は、軸支部250によって支持されている。軸支部250は、左半部611の前壁部及び後壁部のそれぞれ上部(本発明でいう左上部規制部)に設けられ、いずれも左半部611の左端付近に設けられている。上部車輪体630は、軸部632が軸支部250に支持されていることにより、左半部611の上部に回転可能に支持されている。また、上部車輪体630は、ユニット本体221の上面221aと接触することでアームシリンダユニット220の上方への移動を規制しつつ、アームシリンダユニット220がアーム伸縮方向に移動するのに伴って回転する。これによって、上部車輪体630は、アームシリンダユニット220がアーム伸縮方向に移動するのをガイドする役割を担う。また、上部車輪体630は、アームシリンダユニット220がアーム伸縮方向と交差する方向に移動するのを規制していない。つまり、上部車輪体630は、アームシリンダユニット220の水平方向の移動を許容しつつ、アームシリンダユニット220の上方への移動を規制している。
【0042】
下部車輪体640は、車輪体641及びその回転軸となる軸部642を有している。車輪体641は、前後方向に沿った円柱状の部材である。車輪体641は左半部611の内部空間より前後方向に関して若干短い。軸部642は、車輪体641の前端から前方に向かって突出していると共に、車輪体641の後端から後方に向かって突出している。軸部642は、軸支部260によって支持されている。軸支部260は、左半部611の前壁部及び後壁部のそれぞれ下部(本発明でいう左下部規制部)に設けられ、いずれも左半部611の左端付近に設けられている。下部車輪体640は、軸部642が軸支部260に支持されていることにより、左半部611の下部に回転可能に支持されている。また、下部車輪体640は、ユニット本体221の下面221bと接触することでアームシリンダユニット220の下方への移動を規制しつつ、アームシリンダユニット220がアーム伸縮方向に移動するのに伴って回転する。これによって、下部車輪体640は、アームシリンダユニット220がアーム伸縮方向に移動するのをガイドする役割を担う。また、下部車輪体640は、アームシリンダユニット220がアーム伸縮方向と交差する方向に移動するのを規制していない。つまり、下部車輪体640は、アームシリンダユニット220の水平方向の移動を許容しつつ、アームシリンダユニット220の下方への移動を規制している。
【0043】
ばねユニット650は、ばね部651及び接触部652を有している。ばね部651は、前後方向に延びており前後に伸縮可能な弾性部材である。ばね部651の前端部は、左半部611の前壁部に、左右方向に関して上部車輪体630のやや右方かつ、上下方向に関して左半部611の中央に固定されている。接触部652は、アームシリンダユニット220と接触する部材であり、ばね部651の後端部に固定されている。ばねユニット650にはリミットスイッチが設けられている。このリミットスイッチは、ばね部651が限界まで縮小した際に作動し、制御部110にアラート信号を送信する。制御部110は、かかるアラート信号を受け取ると、可動式脚部200FLの動作を停止させる。
【0044】
ばねユニット660は、ばね部661及び接触部662を有している。ばね部661は、前後方向に延びており前後に伸縮可能な弾性部材である。ばね部661の後端部は、左半部611の後壁部に、左右方向に関して上部車輪体630のやや右方かつ、上下方向に関して左半部の中央に固定されている。接触部662は、アームシリンダユニット220と接触する部材であり、ばね部661の前端部に固定されている。ばねユニット660にはリミットスイッチが設けられている。このリミットスイッチは、ばね部661が限界まで縮小した際に作動し、制御部110にアラート信号を送信する。制御部110は、かかるアラート信号を受け取ると、可動式脚部200FLの動作を停止させる。
【0045】
ばねユニット650及びばねユニット660は、前後方向から接触部652及び662の間にユニット本体221を挟むように配置されている。本実施形態においては、
図3及び
図4に示すようにアームシリンダユニット220が左右方向に沿うように、且つ、前後方向に関してハウジング部600FLの中央に配置された状態においてばね部651及び661の両方が自然状態である。ばねユニット650及びばねユニット660のそれぞれは、アームシリンダユニット220が
図3に示す状態からアーム伸縮方向と直交する方向にずれた場合に、
図3に示す状態に戻す復元力をアームシリンダユニット220に付与する。
【0046】
[コンテナの動作]
以上の構成において、制御部110の制御に従ってアームシリンダユニット220及びアームロッド230が伸長すると、アームロッド230の右端部に設けられた車輪ユニット240が受け部620の右壁部と接触する。これにより、アームロッド230が受け部620に支持されつつアームシリンダユニット220及びアームロッド230が伸長するので、アームシリンダユニット220が、アーム伸縮方向に沿って左方へと移動する。これに伴い、アームシリンダユニット220の左端に固定されたジャッキ脚部210がコンテナ本体10から左方へと張り出す方向に移動する。また、アームシリンダユニット220及びアームロッド230が縮小すると、車輪ユニット240が受け部620の左壁部と接触する。これにより、アームロッド230が受け部620に支持されつつアームシリンダユニット220及びアームロッド230が縮小するので、アームシリンダユニット220が、アーム伸縮方向に沿ってコンテナ本体10に引き込む方向に移動する。これに伴い、アームシリンダユニット220の左端に固定されたジャッキ脚部210がコンテナ本体10に引き込まれる方向に移動する。このように、可動式脚部200FLは、ジャッキ脚部210が出入口11bを通じてコンテナ本体10から出入り可能な長さになった状態でアームシリンダユニット220を上記の通り移動させることによって、コンテナ本体10から外部に張り出された状態とコンテナ本体10内に引き込まれた状態とをジャッキ脚部210に選択的に取らせることができる。
【0047】
コンテナ1が車両6に積載された
図1に示す状態においては、前脚部対20及び後脚部対30のいずれの可動式脚部も、ジャッキ脚部210が退避状態となり、コンテナ本体10内に収容されている。また、出入口11b、11c、12b及び12cの扉が閉じられている。かかる状態から、コンテナ1を車両6から地面上に降ろされた
図2に示す状態に移行させるには、コンテナ1を以下の通りに動作させる。まず、出入口11b、11c、12b及び12cの扉を開け、制御部110の制御によって可動式脚部200FL、200FR、200BL及び200BRを駆動してそれぞれのジャッキ脚部210をコンテナ本体10の外部へと張り出させる。次に、各ジャッキパッド213がコンテナ本体10の底壁16より下方に突出し、地面に置かれたベースB上でコンテナ本体10を支持した
図6の支持状態になるまでジャッキ脚部210を伸長させる。これにより、コンテナ本体10を車両6の荷台から上方に離隔させた後、車両6を前進させてコンテナ1から離す。次に、ジャッキ脚部210を縮小させることでコンテナ本体10を降下させ、
図2に示す状態にさせる。さらにコンテナ本体10を降下させてコンテナ本体10の底壁16を地面に接触させる。そして、制御部110に可動式脚部200FL、200FR、200BL及び200BRを駆動させ、もって、ジャッキ脚部210をコンテナ本体10内に収容させる。
【0048】
また、コンテナ1が上記の通り地面上に降ろされて設置された後、その設置位置を調整するために、コンテナ1を以下の通りに平行移動させたり回転移動させたりすることができる。以下の工程は、制御部110が可動式脚部200FL、200FR、200BL及び200BRの動作を制御することによって実行される。また、以下の工程は、コンテナ本体10が地面上に載置されていると共に、ジャッキ脚部210が退避状態を取り、コンテナ本体10内に収容された状態から開始するものとする。
【0049】
(平行移動)
コンテナ1を平行移動させる場合について説明する。まず、各ジャッキ脚部210をコンテナ本体10の側方に張り出させる。ここで、可動式脚部200FL、200FR、200BL及び200BRには、例えば、平面視において
図7に示す状態を取らせる。つまり、可動式脚部200FL及び200BLの各ジャッキ脚部210にはコンテナ本体10の左側壁11に比較的近接した位置に張り出させ、可動式脚部200FR及び200BRの各ジャッキ脚部210にはコンテナ本体10の右側壁12から比較的離隔した位置に張り出させておく。そして、ジャッキ脚部210に支持状態を取らせると共に、コンテナ本体10を
図2の状態まで地面の上方に離隔させる。この状態から、可動式脚部200FL及び200BLの各ジャッキ脚部210にコンテナ本体10に対して左方へと張り出す方向に相対移動させると共に、可動式脚部200FR及び200BRの各ジャッキ脚部210にコンテナ本体10に対して左方へと引き込む方向に相対移動させる。このとき、いずれのジャッキ脚部210におけるコンテナ本体10に対する相対移動も同じ速さとする。これにより、コンテナ本体10が地面に対して右方へと移動し、
図8に示す状態となる。次に、コンテナ本体10を地面上に降ろさせる。そして、各可動式脚部においてジャッキ脚部210に退避状態を取らせると共に、コンテナ本体10内にジャッキ脚部210を収容する。以上により、コンテナ1の設置位置を当初の位置から右方へとずれた位置に再設定できる。
【0050】
(回転移動)
コンテナ1を回転移動させる場合について説明する。まず、各ジャッキ脚部210をコンテナ本体10の側方に張り出させる。ここで、可動式脚部200FL、200FR、200BL及び200BRには、例えば、平面視において
図9に示す状態を取らせる。つまり、可動式脚部200FLのジャッキ脚部210にはコンテナ本体10の左側壁11に、可動式脚部200BRのジャッキ脚部210にはコンテナ本体10の右側壁12に、それぞれ比較的近接した位置に張り出させる。また、可動式脚部200FRのジャッキ脚部210にはコンテナ本体10の右側壁12から、可動式脚部200BLのジャッキ脚部210にはコンテナ本体10の左側壁11から、それぞれ比較的離隔した位置に張り出させる。そして、ジャッキ脚部210に支持状態を取らせると共に、コンテナ本体10を
図2の状態まで地面の上方に離隔させる。
【0051】
この状態から、前脚部対20においては、可動式脚部200FLのジャッキ脚部210にはコンテナ本体10に対して左方へと張り出す方向に相対移動させると共に、可動式脚部200FRのジャッキ脚部210にはコンテナ本体10に対して左方へと引き込む方向に相対移動させる。また、後脚部対30においては、可動式脚部200BLのジャッキ脚部210にはコンテナ本体10に対して右方へと引き込む方向に相対移動させると共に、可動式脚部200BRのジャッキ脚部210にはコンテナ本体10に対して右方へと張り出す方向に相対移動させる。これにより、前脚部対20が設けられたコンテナ本体10の前端部は地面に対して右方に移動すると共に、後脚部対30が設けられたコンテナ本体10の後端部は地面に対して左方に移動する。よって、コンテナ本体10は、全体として、平面視において時計回りに回転し、
図10の状態となる。
図10の一点鎖線α1及びβ1は、コンテナ本体10が回転移動前の状態(
図9に示す状態)にあるときに幅方向中心面C1及び長尺方向中心面C2が通る位置をそれぞれ示す。また、
図10の一点鎖線α2及びβ2は、コンテナ本体10が回転移動後の状態にあるときに幅方向中心面C1及び長尺方向中心面C2が通る位置をそれぞれ示す。
【0052】
図9及び
図10に示すような回転移動の際、可動式脚部200FL、200FR、200BL及び200BRは、伸縮動作しつつ、以下のようにハウジング部600FL、600FR、600BL及び600BRに対して相対移動する。つまり、各可動式脚部は、各ハウジング部に対し、車輪ユニット240又はその付近を中心として平面視で反時計回りに回転する。また、各可動式脚部において、車輪ユニット240は、受け部620の範囲で移動の自由度がある程度確保されている。これにより、可動式脚部200FL及び200FRにおいて、各車輪ユニット240は、車輪体241が受け部620の右壁部と接触した状態を維持しつつ右壁部に沿って、アーム伸縮方向と交差する方向に移動する。また、可動式脚部200BL及び200BRにおいて、各車輪ユニット240は、車輪体241が受け部620の左壁部と接触した状態を維持しつつ左壁部に沿って、アーム伸縮方向と交差する方向に移動する。このように、各可動式脚部が各ハウジング部に対して回転移動できるようになっており、且つ、車輪ユニット240が受け部620に対して相対移動できるようになっている。これにより、各可動式脚部の駆動が円滑に実行され、もって、コンテナ本体10の回転移動も円滑に実行される。各可動式脚部が各ハウジング部に対して回転移動すると、可動式脚部200FR及び200BLにおいて、アームシリンダユニット220がばねユニット650と接触し、これを圧縮する。また、可動式脚部200FL及び200BRにおいて、アームシリンダユニット220がばねユニット660と接触し、これを圧縮する。ばねユニット650又は660が限界まで縮小した場合には、リミットスイッチが作動し、作動したリミットスイッチに対応する可動式脚部の動作が制御部110によって停止される。
【0053】
次に、コンテナ本体10を地面上に降ろさせる。そして、各可動式脚部においてジャッキ脚部210に退避状態を取らせると共に、ジャッキ脚部210をコンテナ本体10内に収容させる。ジャッキ脚部210に退避状態を取らせる際、ジャッキ脚部210がベースBから離れる。このため、アームシリンダユニット220を回転させていた負荷も解除される。したがって、ばねユニット650及び660がアームシリンダユニット220に作用させた復元力により、アームシリンダユニット220は、
図10に示すように左右方向に対して傾斜した状態(ハウジング部に対して回転した状態)から、
図4に示すように左右方向に沿った位置(本発明でいう所定の位置)に戻る。以上により、コンテナ1の設置位置を当初の位置から平面視で回転させた位置に再設定できる。
【0054】
[第1の実施形態の主な効果]
以上説明した本実施形態によると、前脚部対20及び後脚部対30において、各ジャッキ脚部210をコンテナ本体10の外側に張り出して支持状態とした上で、可動式脚部200FL及び200FRの一方のジャッキ脚部210を張り出す方向に移動させると共に他方のジャッキ脚部210を引き出す方向に移動し、可動式脚部200BL及び200BRの一方のジャッキ脚部210を張り出す方向に移動させると共に他方のジャッキ脚部210を引き出す方向に移動する。これによって、コンテナ本体10を地面に対して平行移動させたり回転移動させたりすることが可能である。このようにコンテナ1自体が移動できるので、車両や重機を用いることなくコンテナ1の設置位置を容易に調整可能である。
【0055】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る別の一実施の形態である第2の実施形態について
図11を参照し通説明する。第2の実施形態は多くの構成が第1の実施形態と共通であるため、かかる共通の構成には同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。また、以下においては主に第1の実施形態との違いについて説明する。第2の実施形態に係るコンテナ1’は、コンテナ本体10、水洗式便器2及び汚水処理装置4を備えている。また、コンテナ1’には、コンテナ移動ユニット100の代わりにコンテナ移動ユニット100’が設けられている。コンテナ移動ユニット100’におけるコンテナ移動ユニット100との違いは、前脚部対20及び後脚部対30のうち、前脚部対20のみが設けられている点と、コンテナ本体10の後端にジャッキ脚部700(本発明でいう支持脚)が設けられている点とにある。ジャッキ脚部700は、鉛直方向に延びた角柱状の部材であり、手動で、又は機械に駆動されて伸縮する。これにより、ジャッキ脚部700は、地面上でコンテナ本体10を一点で支持した状態と地面から退避した状態とを取ることができる。ジャッキ脚部700が地面上でコンテナ本体10を一点で支持した状態では、コンテナ本体10がジャッキ脚部700を中心に平面視で地面に対して回転可能となっている。かかるコンテナ1’の前脚部対20において、各ジャッキ脚部210をコンテナ本体10の外側に張り出して支持状態とし、ジャッキ脚部700もコンテナ本体10を支持した状態とした上で、可動式脚部200FL及び200FRの一方のジャッキ脚部210を張り出す方向に移動させると共に他方のジャッキ脚部210を引き出す方向に移動する。これによって、コンテナ本体10の前部が左右のいずれかに移動する。したがって、コンテナ本体10を、ジャッキ脚部700を中心に、地面に対して回転移動させることが可能である。なお、かかるジャッキ脚部700が上述の第1の実施形態に追加されてもよい。
【0056】
[変形例]
以上は、本発明の好適な実施形態についての説明であるが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、課題を解決するための手段に記載された範囲の限りにおいて様々な変更が可能なものである。
【0057】
例えば、上述の実施形態では、前脚部対20がコンテナ本体10の前端付近に、後脚部対30がコンテナ本体10の後端付近にそれぞれ配置されている。しかし、前脚部対20は
図3の長尺方向中心面C2より前方に、後脚部対30は
図3の長尺方向中心面C2より後方にそれぞれ配置されていればよい。例えば、前脚部対20がより後方に設けられていたり、後脚部対30がより前方に設けられたりしてもよい。また、前脚部対20及び後脚部対30の一方又は両方がコンテナ本体10の外側に設けられていてもよい。例えば、前脚部対20の各可動式脚部を支持する支持機構が、コンテナ本体10の前方において、前側壁13の前面に固定されており、その支持機構に各可動式脚部が支持されていてもよい。
【0058】
また、上述の実施形態では、コンテナ1の長尺方向の一方を前方、その反対方向を後方とすると共に、幅方向の一方を左方、その反対方向を右方としている。しかし、これは単に説明の便宜上、設定した方向であり、その他の方法で方向を設定した上で本発明における前後左右方向と対応させてもよい。例えば、コンテナの長尺方向を左右方向とし、幅方向を前後方向とした上で本発明における前後左右方向と対応させてもよい。
【0059】
また、上述の実施形態では、各可動式脚部においてジャッキ脚部210を伸縮させたり、アームシリンダユニット220及びアームロッド230を伸縮させたりするために油圧式の機構が採用されている。しかし、これらを駆動する機構としてその他の方式の機構が採用されてもよい。例えば、電動リニアアクチュエータが採用されたり、モータによる回転運動をクランクによって直線運動に変換する機構が採用されたりしてもよい。
【0060】
また、上述の実施形態において、例えばコンテナ1を回転移動させる際に、アームシリンダユニット220を回転させた負荷が解除されると、ばねユニット650及び660がアームシリンダユニット220を元の位置に戻すようにこれらに復元力を作用させる。このときにアームシリンダユニット220が元の位置に戻る移動速度を抑える手段がばねユニット650及び660に設けられていてもよい。例えば、ばねユニット650及び660の急激な変位を抑えるショックアブソーバ等のダンパが設けられていてもよい。
【解決手段】車両に対して積み下ろし可能なコンテナ1に可動式脚部200FL等が設けられている。各可動式脚部は、ジャッキ脚部210を、コンテナ本体10の側壁からその側方に張り出す方向に移動させることもコンテナ本体10に引き込む方向に移動させることも可能である。ジャッキ脚部210は、コンテナ本体10を車両から降ろされている際に地面上で支持する支持状態と、車両に積載されている際に地面から退避した状態とを取る。ジャッキ脚部210が支持状態にあるときに、左側及び右側のジャッキ脚部210の一方を張り出す方向に移動させつつ他方を引き込む方向に移動させることで、コンテナ本体10が地面に対して移動する。