特許第6974894号(P6974894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社松浦機械製作所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6974894
(24)【登録日】2021年11月9日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】三次元造形装置
(51)【国際特許分類】
   B22F 12/49 20210101AFI20211118BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20211118BHJP
【FI】
   B22F12/49
   B22F10/28
【請求項の数】33
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2021-117425(P2021-117425)
(22)【出願日】2021年7月15日
【審査請求日】2021年7月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146087
【氏名又は名称】株式会社松浦機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084696
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 直人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 光慶
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 翔太
【審査官】 松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2019−504182(JP,A)
【文献】 特開2015−199195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 12/49
B22F 3/105
B22F 3/16
B22F 10/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査するガルバノスキャナーを複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とする長手方向が、水平方向に即してテーブル面の中心位置を内側として当該中心位置の周囲の全部又は一部を囲む状態を形成しており、隣接し合う一方側のガルバノスキャナーの前記先端側の領域及び/又は第2ミラーを収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向領域の先端側以外の領域の上側又は下側に配置し、かつ前記先端側から第2ミラーを、前記長手方向と交差する方向であって、かつ前記内側への方向にて突設しており、前記一方側のガルバノスキャナー及び前記他方側のガルバノスキャナーにおける各第2ミラーの回動中心の位置を、当該各第2ミラーから反射したレーザビーム又は電子ビームがそれぞれ他方側のガルバノスキャナー及び一方側のガルバノスキャナーの領域を通過しないか、又は当該ガルバノスキャナーの下側を通過するように設定しており、各ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビーム又は電子ビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射している三次元造形装置。
【請求項2】
粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査するガルバノスキャナーを複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とする長手方向が、水平方向に即してテーブル面の中心位置の周囲にて、前記先端側領域が所定角度による交差に基づく放射形状を形成しており、隣接し合う一方側のガルバノスキャナーの前記先端側領域及び/又は第2ミラーを収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナーの先端側領域及び/又は第2ミラーを収容している当該先端側領域の近傍領域の上側又は下側に配置し、かつ第2ミラーを、前記長手方向と交差する方向に突設しており、前記一方側のガルバノスキャナー及び前記他方側のガルバノスキャナーにおける各第2ミラーの回動中心の位置を、当該各第2ミラーから反射したレーザビーム又は電子ビームがそれぞれ他方側のガルバノスキャナー及び一方側のガルバノスキャナーの各第2ミラーの下側を通過するように設定しており、各ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビーム又は電子ビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射している三次元造形装置。
【請求項3】
各ガルバノスキャナーにおいて、第2ミラーの突設方向が長手方向と直交しており、かつ複数個の第2ミラーを、前記中心位置を両側にて挟んだ状態にて配列していることを特徴とする請求項1、2の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項4】
各第2ミラーの回動中心軸の中央位置を、前記中心位置を基準として水平方向に即して等距離にて配列していることを特徴とする請求項1、2の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項5】
一方側のガルバノスキャナーの先端側領域及び/又は第2ミラーを収容している当該先端領域の近傍領域を、前記長手方向が前記先端側の上側又は下側となるような傾斜状態を設定した上で、他方側のガルバノスキャナーにおいて、一方側のガルバノスキャナーの傾斜状態と同一方向に傾斜している前記長手方向領域の上側又は下側にそれぞれ配置することを特徴とする請求項1、2の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項6】
一方側のガルバノスキャナーの全領域を、他方側のガルバノスキャナーの全領域の上側又は下側に配置していることを特徴とする請求項1、2の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項7】
請求項1に基づく2個のガルバノスキャナーを採用した上で、一方側サイドに配置されているガルバノスキャナーaにおける第2ミラーの回転中心軸と、他方側サイドに配置されているガルバノスキャナーbにおける第2ミラーの回転中心軸とが同一の高さ位置にて直交する状態にあり、かつガルバノスキャナーaの第2ミラーのテーブル面に向かう傾斜角度が最も小さい場合におけるレーザビーム又は電子ビームが、ガルバノスキャナーbの第2ミラーの下端がテーブル面に向かう傾斜角度が最も大きい場合に、当該第2ミラーの下端の近傍を通過することを特徴とする請求項5記載の三次元造形装置。
【請求項8】
回動段階において、上端から下端に至るまでの幅を50mmとし、かつ回動中心軸の方向の幅を70mmとする各第2ミラーを採用し、かつ各第2ミラーの回動中心角度を水平方向に対し45°±11°の範囲に設定した場合に、ガルバノスキャナーaの第2ミラーの回動中心軸の中心位置に水平方向に入射したレーザビーム又は電子ビームを当該第2ミラーが反射した場合に、ガルバノスキャナーaの第2ミラーの回動中心軸と、ガルバノスキャナーbの第2ミラーの回動中心軸の中央位置との距離の最小値が、水平方向に即して48mmであることを特徴とする請求項7記載の三次元造形装置。
【請求項9】
請求項2に基づく2個のガルバノスキャナーを採用した上で、全領域が上側に配置されているガルバノスキャナーaにおける第2ミラーの回転中心軸と、下側に配置されているガルバノスキャナーbにおける第2ミラーの回転中心軸とが、平行状態にて前記中心位置の両側に配置された状態にあり、かつガルバノスキャナーaにおいて回動している第2ミラーのテーブル面に向かう傾斜角度が最も小さい場合におけるレーザビーム又は電子ビームが、ガルバノスキャナーbにおいて回動している第2ミラーの下端が当該レーザビーム又は電子ビームに最も近い状態の傾斜角度を形成した場合に、当該下端の近傍を通過することを特徴とする請求項6記載の三次元造形装置。
【請求項10】
回動段階において上端から下端に至るまでの幅を50mmとする第2ミラーを採用し、かつ各第2ミラーの回動中心角度を水平方向に対し45°±11°の範囲に設定した場合に、ガルバノスキャナーaの第2ミラーの回動中心軸の中央位置に水平方向に入射したレーザビーム又は電子ビームを当該第2ミラーが反射した場合に、双方の第2ミラー間における回動中心軸の中央位置の距離の最小値が水平方向に即して34mmであることを特徴とする請求項9記載の三次元造形装置。
【請求項11】
各ガルバノスキャナーにおける第1ミラーがテーブル面と直交する鉛直方向の回動中心軸を介して回動し、かつ水平方向のレーザビーム又は電子ビームを反射することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項12】
第2ミラーの反射領域が回動中心軸の位置及びその近傍であると共に、回動段階における上端及び下端近傍の範囲内にあることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項13】
請求項1に基づく2個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、前記中心位置の周囲にて水平方向に即して、各長手方向を90°の交差状態に設定した上で、各第2ミラーを、回動中心軸の中央位置が前記中心位置を基準として点対称となるように配列した上で、一方側のガルバノスキャナーにおける第1ミラーの収容領域及び第2ミラーの収容領域を、他方側のガルバノスキャナーにおける先端側領域以外の領域の上側に配置していることを特徴とする請求項5記載の三次元造形装置。
【請求項14】
請求項2に基づく2個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、前記中心位置を基準として反対方向の位置に平行状態に設定した上で、各第2ミラーの回動中心軸の中央位置を、前記中心位置を基準として点対称となるように配列し、1個のガルバノスキャナーを、残1個のガルバノスキャナーの上側に配置していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形装置。
【請求項15】
請求項1に基づく3個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置から等距離であって、かつ順次60°毎の等角度交差による正三角形の辺を形成するように設定した上で、各ガルバノスキャナーにおいて、前記先端側領域及び第2ミラーの突設領域を上側に配置すると共に、前記後端側領域を下側に配置し、かつ一方側のガルバノスキャナーの前記先端側領域又は第2ミラーの突設領域を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向領域のうち、前記先端側領域以外の領域上に配置していることを特徴とする請求項5記載の三次元造形装置。
【請求項16】
請求項1に基づく3個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置から等距離であって、かつ順次60°毎の等角度交差による正三角形の辺を形成するように設定した上で、3個のガルバノスキャナーを、上下方向に即して3段に配置し、各ガルバノスキャナーをそれぞれ下段、中段、上段に配置していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形装置。
【請求項17】
請求項2に基づく3個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、水平方向に即して120°の交差角度による放射形状を形成する状態に設定した上で、各ガルバノスキャナーの前記先端側領域及び第2ミラーの突設領域を上側に配置すると共に、前記後端側領域を下側に配置し、かつ一方側のガルバノスキャナーの第2ミラーの突設領域を、他方側のガルバノスキャナーの前記先端側領域の上側に配置していることを特徴とする請求項5記載の三次元造形装置。
【請求項18】
請求項2に基づく3個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、水平方向に即して120°の交差角度による放射形状を形成する状態に設定した上で、3個のガルバノスキャナーを、3段に配置し、各ガルバノスキャナーをそれぞれ上下方向に即して下段、中段、上段に配置していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形装置。
【請求項19】
請求項2に基づく2個のガルバノスキャナーにおける2個の第2ミラーを、前記中心位置に対し同一側であって、かつ突設方向が平行であるように配列し、かつ残1個のガルバノスキャナーにおける残1個の第2ミラーを、前記中心位置に対し前記2個の第2ミラーと反対方向の位置であって、かつ前記2個の第2ミラーの突設方向と平行な突設方向となるように配列した上で、2個のガルバノスキャナーを下側に配置し、残1個のガルバノスキャナーを上側に配置し、3個の各ガルバノスキャナーにおいて、前記中心位置を基準として、近い位置に配置されている各第2ミラーの回動中心軸の中央位置を水平方向に即して120°毎の等角度方向に配置していることを特徴とする請求項記載の三次元造形装置。
【請求項20】
請求項2に基づく2個のガルバノスキャナーにおける2個の第2ミラーを、前記中心位置に対し同一側であって、かつ突設方向が平行であるように配列し、かつ残1個のガルバノスキャナーにおける残1個の第2ミラーを、前記中心位置に対し前記2個の第2ミラーと反対方向の位置であって、かつ前記2個の第2ミラーの突設方向と平行な突設方向となるように配列した上で、隣接し合う一方側の2個のガルバノスキャナーを上下方向に即して中段及び下段に配置し、残1個のガルバノスキャナーを上段に配置し、3個の各ガルバノスキャナーにおいて、前記中心位置を基準として、近い位置に配置されている各第1ミラー及び第2ミラーの回動中心軸の中央位置を水平方向に即して120°毎の等角度方向に配置していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形装置。
【請求項21】
請求項1に基づく4個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置と等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次90°の等角度交差による正方形の辺を形成するように設定した上で、平行状態を形成している2個のガルバノスキャナーを、前記平行状態に直交する方向にて平行状態を形成している残2個のガルバノスキャナーの上側に配置していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形装置。
【請求項22】
請求項1に基づく4個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置と等距離であって、かつ当該長手方向の中途部位が、順次90°の等角度にて交差することによって隣接領域から各辺が一方側に突出することによる変形した正方形の辺を形成するように設定した上で、平行状態を形成している2個のガルバノスキャナーを、前記平行状態に直交する方向にて平行状態を形成している残2個のガルバノスキャナーの上側に配置していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形装置。
【請求項23】
請求項2に基づく4個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、90°の交差角度を形成する状態に設定した上で、第2ミラーの突設方向を、前記中心位置に近付く方向とし、かつ平行状態である2個のガルバノスキャナーを、前記平行状態に対し直交する方向にて平行状態である残2個のガルバノスキャナーの上側に配置していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形装置。
【請求項24】
請求項2に基づく4個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、鋭角及び鈍角による交差角度を形成する状態に設定した上で、第2ミラーの突設方向を、前記中心位置に近付く方向とし、かつ平行状態である2個のガルバノスキャナーを、前記平行状態に対し斜交する方向にて平行状態にある残2個のガルバノスキャナーの上側に配置していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形装置。
【請求項25】
請求項2に基づく2個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、前記中心位置の一方側サイドにて平行状態に設定し、かつ残2個のガルバノスキャナーの長手方向の領域を、前記中心位置の前記一方側サイドの反対側サイドにて前記2個のガルバノスキャナーと平行状態に設定した上で、2個のガルバノスキャナーの第2ミラーを相互に向かい合うように前記長手方向から突設し、残2個のガルバノスキャナーにおける第2ミラーもまた相互に向かい合うように突設し、しかも隣接し合い、かつ相互に向かい合う一方側の2個の第2ミラーを、他方側の2個の第2ミラーの上側に配置し、4個の各第2ミラーの回動中心軸の中央位置を、水平方向に即して90°毎の等角度方向に配置していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形装置。
【請求項26】
請求項1に基づく5個のガルバノスキャナーの前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置と等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次72°の等角度交差による正五角形の辺を形成する状態に設定した上で、各ガルバノスキャナーにおいて、前記先端側領域及び第2ミラーの突設領域を上側に配置すると共に、前記後端側領域を下側に配置し、かつ一方側のガルバノスキャナーの前記先端側領域又は第2ミラーの突設領域を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向のうち、前記先端側領域以外の領域上に配置していることを特徴とする請求項5記載の三次元造形装置。
【請求項27】
請求項1に基づく5個のガルバノスキャナーの前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置と等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次72°の等角度交差による正五角形の辺を形成する状態に設定した上で、前記中心位置に対し、2個のガルバノスキャナーを、前記長手方向が時計回りに即して0°、144°を形成した状態にて上下方向に即して下段に配置し、他の2個のガルバノスキャナーを、前記長手方向が時計回りに即して72°、216°を形成した状態にて中段に配置し、残1個のガルバノスキャナーを、前記長手方向が時計回りに即して288°を形成した状態にて上段に配置していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形装置。
【請求項28】
請求項2に基づく5個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、72°毎の等角度による交差角度による放射形状を形成する状態に設定した上で、各ガルバノスキャナーにおいて、前記先端側領域及び第2ミラーの突設領域を上側に配置すると共に、前記後端側領域を下側に配置し、各第2ミラーの突設領域を正五角形の辺を形成する状態にて配置し、かつ一方側の第2ミラーの突設領域を、他方側の前記先端側の領域の上側に配置していることを特徴とする請求項5記載の三次元造形装置。
【請求項29】
請求項2に基づく5個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、72°毎の等角度による交差角度による放射形状を形成する状態に設定した上で、第2ミラーの突設領域を正五角形の辺を形成する状態にて配置し、かつ2個のガルバノスキャナーを、前記長手方向が時計回りに即して0°、144°を形成した状態にて上下方向に即して下段に配置し、他の2個のガルバノスキャナーを、前記長手方向が時計回りに即して72°、216°を形成した状態にて中段に配置し、残1個のガルバノスキャナーを、前記長手方向が時計回りに即して288°を形成した状態にて上段に配置していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形装置。
【請求項30】
請求項1に基づく6個のガルバノスキャナーの前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置と等距離とし、当該長手方向の領域を、順次60°の等角度交差による正六角形の辺を形成する状態に設定した上で、各ガルバノスキャナーにおいて、前記先端側領域又は第2ミラーの突設領域を上側に配置すると共に、前記後端側領域を下側に配置し、かつ一方側のガルバノスキャナーの前記先端側領域及び第2ミラーの突設領域を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向のうち、前記先端側領域以外の領域上に配置していることを特徴とする請求項5記載の三次元造形装置。
【請求項31】
請求項1に基づく6個のガルバノスキャナーの前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置と等距離とし、当該長手方向の領域が順次60°の等角度交差による正六角形の辺を形成する状態に設定した上で、前記中心位置に対し、2個のガルバノスキャナーを、前記長手方向が時計回りに即して0°、180°を形成した状態にて上下方向に即して下段に配置し、他の2個のガルバノスキャナーを、前記長手方向が時計回りに即して60°、240°を形成した状態にて中段に配置し、残2個のガルバノスキャナーを、前記長手方向が時計回りに即して120°、300°を形成した状態にて上段に配置していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形装置。
【請求項32】
請求項2に基づく6個のガルバノスキャナーの長手方向の領域を、60°毎の等角度による交差角度による放射形状を形成する状態に設定した上で、各ガルバノスキャナーにおいて、前記先端側領域及び第2ミラーの突設領域を上側に配置すると共に、前記後端側領域を下側に配置し、各第2ミラーの突設領域を正六角形の辺を形成する状態にて配置し、かつ一方側の第2ミラーの突設領域を、他方側の前記先端側の領域の上側に配置していることを特徴とする請求項5記載の三次元造形装置。
【請求項33】
請求項2に基づく6個のガルバノスキャナーの長手方向の領域を、60°毎の等角度による交差角度による放射形状を形成する状態に設定した上で、第2ミラーの突設領域を正六角形の辺を形成する状態にて配置し、かつ2個のガルバノスキャナーを、前記長手方向が時計回りに即して0°、180°を形成する状態にて上下方向に即して下段に配置し、他の2個のガルバノスキャナーを、前記長手方向が時計回りに即して60°、240°を形成する状態にて中段に配置し、残2個のガルバノスキャナーを、前記長手方向が時計回りに即して120°、300°を形成した状態にて上段に配置していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイナミックフォーカスレンズを透過して順次集束するレーザビーム又は電子ビームを、二次元方向に走査するガルバノスキャナーを複数個採用している三次元造形装置を対象としている。
【背景技術】
【0002】
テーブル面上に積層した粉末層5に対するレーザビーム又は電子ビームの照射によって焼結面を形成する三次元造形においては、焦点距離を調整し得るダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームをガルバノスキャナーによって焼結面又はその近傍に集束するような走査(スキャニング)が行われている。
【0003】
前記走査を実現するガルバノスキャナーを1個ではなく、2個採用することによって効率的な走査を実現する三次元造形方法は、特許文献1記載の発明(以下「先願発明1」と称する。)として開示されており、2個のガルバノスキャナーを採用することによって効率的な走査を実現する三次元造形装置もまた、特許文献2記載の発明(以下「先願発明2」と称する。)として開示されている。
【0004】
然るに、先願発明1及び同2においては、テーブル13の全領域面の上側に位置している全平坦面においてレーザビーム7、7aの走査(スキャニング)を行っている(特許文献1及び同2の図1、ABSTRACT等)。
【0005】
前記平坦面は、焦点調整ユニット9、9aに対する制御として形成された焦点面5に該当するが(特許文献1の図4、及び特許文献2の図4)、焦点面5の全領域において、レーザビーム7、7aの照射による焼結が行われている訳ではなく、焦点調整ユニット9、9aの制御によって、焦点面5のうち焼結が必要な領域のみにレーザビーム7、7aの焦点における照射が行われ、焼結が必要でない領域については、レーザビーム7、7aの焦点が焦点面5に至らないような制御を不可欠とする。
【0006】
しかしながら、焼結面を形成しない領域にレーザビーム7、7aの走査を伴う照射を行うことは、無駄な走査及び照射を行う点において、非効率的な三次元造形が行われることを意味している。
【0007】
特許文献3記載の発明(以下「先願発明3」と略称する。)においては、2個又は4個のガルバノスキャナー(第1、第2、第3、第4のガルバノスキャナ)を採用した上で、各ガルバノスキャナーを制御する照射制御装置を備えており(請求項1及び請求項7)、かつ照射制御装置は各ガルバノスキャナーの照射面積をコントロールし得る構成を採用しており(請求項5、6、13)、このようなコントロールの場合には、先願発明1及び同2のような欠点を免れ、必然的に照射範囲を選択することが可能となる。
【0008】
先願発明1、2においては、2個のガルバノスキャナーを上下方向にて同一高さに配置しており、先願発明3においては、2個又は4個のガルバノスキャナーを上下方向にて同一高さに設定している。
【0009】
しかも、先願発明1、2、3においては、テーブル面の中心位置を基準とした場合、第2ミラーを内側に配列し、第1ミラーを外側に配列している。
【0010】
先願発明1、2においては、2個のガルバノスキャナーを水平方向に即してコンパクトな配置状態とするような工夫は行われていない。
【0011】
これに対し、先願発明3の場合には、水平方向にて向かい合う位置にある第2ミラーにおける反射位置の距離を150mm以下又は100mm以下とすることを要件としており、2個又は4個のガルバノスキャナーをコンパクトな配置とするような工夫が行われているが如くである。
【0012】
しかしながら、前記反射位置の距離は、回動段階における第2ミラーの上端と下端との幅、即ち回動中心軸と直交する方向の幅によって左右されるにも拘らず、先願発明3においては、前記150mm以下又は100mm以下の基準がどのような幅の下に設定し得るかが不明である。
【0013】
尤も、先願発明3においては、前記幅が技術常識に即した設計である場合には、前記150mm以下又は100mm以下の基準が成立するという前提に立脚しているのかもしれないが、先願発明3においては、どうしてそのような前提が成立するかの根拠は全く不明である。
【0014】
しかも、コンパクトな構成を実現するためには、前記距離の最小値が重要であるにも拘らず、先願発明3においては、当該最小値については全く明らかにされていない。
【0015】
更には、引用文献1、2、3を含む従前の公知技術においては、テーブル面のスペースを有効に活用し得るような複数個のガルバノスキャナーの配置について格別の工夫が行われている訳ではない。
【0016】
現に、先願発明3に関して記載されている図5、6、13を参照するも、2個のガルバノスキャナー32、42の長手方向、及び4個のガルバノスキャナー32、42、52、62が単純な平行状態であって、二次元のテーブル面を有効に活用していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】US10,029,333B2公報
【特許文献2】US9,314,972B2公報
【特許文献3】日本国特許第6,793,806号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、複数個のガルバノスキャナーを、第2ミラーの規格如何に拘らず、水平方向に即してコンパクトな状態にて配置し得ると共に、テーブル面のスペースを有効に活用し得るような三次元造形装置の構成を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を達成するため、本発明の基本構成は、
(1)粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査するガルバノスキャナーを複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とする長手方向が、水平方向に即してテーブル面の中心位置を内側として当該中心位置の周囲の全部又は一部を囲む状態を形成しており、隣接し合う一方側のガルバノスキャナーの前記先端側の領域及び/又は第2ミラーを収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向領域の先端側以外の領域の上側又は下側に配置し、かつ前記先端側から第2ミラーを、前記長手方向と交差する方向であって、かつ前記内側への方向にて突設しており、前記一方側のガルバノスキャナー及び前記他方側のガルバノスキャナーにおける各第2ミラーの回動中心の位置を、当該各第2ミラーから反射したレーザビーム又は電子ビームがそれぞれ他方側のガルバノスキャナー及び一方側のガルバノスキャナーの領域を通過しないか、又は当該ガルバノスキャナーの下側を通過するように設定しており、各ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビーム又は電子ビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射している三次元造形装置、
(2)粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査するガルバノスキャナーを複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とする長手方向が、水平方向に即してテーブル面の中心位置の周囲にて、前記先端側領域が所定角度による交差に基づく放射形状を形成しており、隣接し合う一方側のガルバノスキャナーの前記先端側領域及び/又は第2ミラーを収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナーの先端側領域及び/又は第2ミラーを収容している当該先端側領域の近傍領域の上側又は下側に配置し、かつ第2ミラーを、前記長手方向と交差する方向に突設しており、前記一方側のガルバノスキャナー及び前記他方側のガルバノスキャナーにおける各第2ミラーの回動中心の位置を、当該各第2ミラーから反射したレーザビーム又は電子ビームがそれぞれ他方側のガルバノスキャナー及び一方側のガルバノスキャナーの各第2ミラーの下側を通過するように設定しており、各ダイナミックフォーカスレンズにおける焦点距離の調整によって、レーザビーム又は電子ビームの焦点位置又はその近傍にて焼結面を照射している三次元造形装置、
(3)各ガルバノスキャナーにおいて、第2ミラーの突設方向が長手方向と直交しており、かつ複数個の第2ミラーを、前記中心位置を両側にて挟んだ状態にて配列していることを特徴とする基本構成(1)、(2)の何れかによる三次元造形装置、
(4)各第2ミラーの回動中心軸の中央位置を、前記中心位置を基準として水平方向に即して等距離にて配列していることを特徴とする基本構成(1)、(2)の何れかによる三次元造形装置、
からなる。
【発明の効果】
【0020】
基本構成(1)においては、複数個のガルバノスキャナーの長手方向の領域を、テーブル面の中心位置を内側として、当該中心位置の周囲の全部又は一部を囲む方向にて設定しており、基本構成(2)においては、複数個のガルバノスキャナーを、長手方向の領域が前記中心位置の周囲にて所定の交差角度を形成する状態に設定していることから、当該長手方向の領域を放射状に設定しており、何れもテーブル面の全領域を有効に活用することができる。
【0021】
更には、基本構成(1)の場合には、隣接し合う一方側のガルバノスキャナーの前記先端領域及び/又は第2ミラーを収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向領域のうち、前記先端領域以外の領域の上側又は下側に設定することによって、水平方向に即して重複する状態にて配置していることから、隣接領域を、水平方向に即してコンパクトな配置を実現することができる。
【0022】
同様に、基本構成(2)の場合には、隣接し合う一方側のガルバノスキャナーの前記先端部及び/又は第2ミラーを収容している前記先端部の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナーの前記先端部の領域及び/又は第2ミラーを収容している前記先端部の近傍の領域の上側又は下側に設定することによって、水平方向に即して重複する状態にて配置していることから、隣接領域を水平方向に即してコンパクトな配置を実現することができる。
【0023】
しかも、基本構成(3)のように、基本構成(1)、(2)において、各ガルバノスキャナーにおいて、第2ミラーの突設方向が長手方向と直交しており、かつ複数個の第2ミラーを、前記中心位置を両側にて挟んだ状態とした場合には、第2ミラーのコンパクトかつ略均等な配列状態を実現し、その結果、前記中心位置を基準として均一な照射のコントロールを実現することができる。
【0024】
前記中心位置を両側にて挟んだ状態とする具体的構成については、実施例1〜11に即して後述する通りである。
尚、第2ミラーを、長手方向と直交する方向に突設することは、殆どのガルバノスキャナーにおいて採用されている技術常識に該当する。
【0025】
更には、基本構成(4)のように、基本構成(1)、(2)において、各ガルバノスキャナーにおける第2ミラーの回動中心軸の中央位置を、水平方向に即して等距離に配列することによって、各第2ミラーの配置によって形成される空間をコンパクトに設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1-1】基本構成(1)において、2個のガルバノスキャナーを配置した実施例1の平面図である。尚、点線は下側に配置されているガルバノスキャナーの端部を示す。
図1-2】基本構成(2)において、2個のガルバノスキャナーを配置した実施例1の平面図である。尚、点線は下側に配置されているガルバノスキャナーの端部を示す。
図2-1】基本構成(1)において、3個のガルバノスキャナーを、テーブル面の中心位置を重心として正三角形状に配置した実施例2の平面図であって、左側の各図面は、長手方向に沿って順次高さ方向が変化するように配置した場合を示し、右側の各図面は、長手方向の領域自体を3段に配置した場合を示す。
図2-2】基本構成(2)において、3個のガルバノスキャナーの長手方向の領域を、等角度の交差状態による放射形状に配置した実施例3の平面図であって、左側の図面は、長手方向に沿って順次高さ方向が変化するように配置した場合を示し、右側の図面は、ガルバノスキャナーの全領域を3段に配置した場合を示す。
図2-3】基本構成(2)において、3個のガルバノスキャナーの第2ミラーを、前記中心位置の両側にて相互に平行な状態に配置した実施例4の平面図であって、左側の図面は、前記中心位置の一方側における2個の第2ミラーに対し、他方側における残1個の第2ミラーを上側に配列した場合を示し、右側の図面は、3個のガルバノスキャナー自体を上下方向に即して3段に配置した場合を示す。尚、点線は最も下側の位置(下段)に配置されているガルバノスキャナーの端部を示す。
図3-1】基本構成(1)において、4個のガルバノスキャナーを、テーブル面の中心位置と点対称にて配置した実施例5の平面図であって、左側の図面は、長手方向の領域が正方形の辺を形成し、かつ相互に平行状態にある2辺及び残2辺を上側及び下側に配置した場合を示しており、右側の図面は、長手方向の中途部位が90°毎に順次交差することによって各辺の一方側が突出している変形した正方形状を形成し、かつ相互に平行状態にある2辺及び残2辺を有するガルバノスキャナーの全領域を上側及び下側に配置した場合を示す。
図3-2】基本構成(2)において、4個のガルバノスキャナーの長手方向から突設された第2ミラーを、前記中心位置に向かう方向にて配置する実施例6の平面図であって、左側の図面は、4個のガルバノスキャナーの長手方向が90°毎の交差角度による放射形状を形成し、かつ長手方向の領域を2段に配置した場合を示しており、右側の図面は、4個のガルバノスキャナーの長手方向が鋭角及び鈍角の交差角度による放射形状を形成し、かつガルバノスキャナーの全領域を2段に配置した場合を示す。
図3-3】基本構成(2)において、2個毎のガルバノスキャナーを、前記中心位置を挟んだ状態にて平行状態であって、しかも2個毎のガルバノスキャナーの長手方向から突設された第2ミラーを相向かうような状態にて隣接し合っている2個の一方側の第2ミラーを、2個の他方側の第2ミラーの上側に配置している実施例7を示す。
図4-1】基本構成(1)において、5個のガルバノスキャナーの長手方向の領域を、テーブル面の中心位置の周囲にて正五角形の辺を形成するように設定している実施例8の平面図であって、左側の図面は、長手方向に沿って順次高さ方向が変化するように配置している場合を示し、右側の図面は、ガルバノスキャナーの全領域を3段に配置している場合を示す。
図4-2】基本構成(2)において、5個のガルバノスキャナーの長手方向の領域を、72°の等角度による交差角度による放射形状を形成する状態に設定し、かつ各第2ミラーが正五角形の辺を形成するように配置している実施例9の平面図であって、左側の図面は、長手方向に沿って順次高さ方向が変化するように配置した場合を示し、右側の図面は、ガルバノスキャナーの全領域を3段に配置した場合を示す。
図5-1】基本構成(1)において、6個のガルバノスキャナーを、テーブル面の中心位置の周囲にて正六角形の辺を形成するように設定している実施例10の平面図であって、左側の図面は、長手方向に沿って順次高さ方向が変化するように配置している場合を示しており、右側の図面は、ガルバノスキャナーの全領域を3段に配置している場合を示す。
図5-2】基本構成(2)において、6個のガルバノスキャナーの長手方向の領域を、60°毎の等角度の交差角度による放射形状を形成する状態に設定し、かつ各第2ミラーが正六角形の辺を形成するように配置している実施例11の平面図であって、左側の図面は、長手方向に沿って順次高さ方向が変化するように配置した場合を示し、右側の図面は、ガルバノスキャナーの全領域を3段に配置した場合を示す。
図6】基本構成(1)のアウトライン、及び隣接する一方側のガルバノスキャナーの第2ミラーから反射されたレーザビーム又は電子ビームが、隣接する他方側のガルバノスキャナーを通過しないか、又は当該ガルバノスキャナーの下側を通過する状態を示す平面図であって、(a)は、通過しない場合を示し、(b)は、下側を通過する場合を示し、(c)は、各ガルバノスキャナーにおける各構成要素の配列状況を示す。尚、(a)、(b)において、各ガルバノスキャナーから内側方向への2本の点線は、各第2ミラーの水平方向における反射角度範囲を示す。
図7】基本構成(2)のアウトライン、及び隣接し合う各ガルバノスキャナーの配置状況を示す平面図であって、(a)は、隣接領域において、一方側のガルバノスキャナーの第2ミラーの収容領域が他方側のガルバノスキャナーの先端領域の上側に配列された状況を示し、(b)は、隣接領域において一方側のガルバノスキャナーにおける第2ミラーの収容領域が他方側のガルバノスキャナーの第2ミラーの上側に配列された状況を示し、(c)は、各ガルバノスキャナーにおける各構成要素の配列状況を示す。
図8】基本構成(4)の特徴点を示す平面図であって、(a)は、基本構成(1)において3個のガルバノスキャナーを採用した場合を示し、(b)は、基本構成(2)において4個のガルバノスキャナーを採用した場合を示す。
図9(a)】基本構成(1)において、コンパクトな実施形態を採用した場合の側面図を示す。
図9(b)】基本構成(2)において、コンパクトな実施形態を採用した場合の側面図を示す。
図10図9に示す実施形態に立脚した上で、2個の第2ミラー同士の回動中心軸の中央位置の距離を算定するための模式側面図であり、(a)は、基本構成(1)の場合を示し、(b)は、基本構成(2)の場合を示す。
図11】第2ミラーの反射領域が回動中心軸の位置及びその近傍であると共に、回動段階における上端及び下端の範囲内にあることを特徴とする実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
基本構成(1)は、図6(a)、(b)に示すように、粉末を走行を介してテーブル4の上に積層するスキージ、当該粉末層5に対しレーザビーム又は電子ビーム7を走査するガルバノスキャナー3を複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナー3は、ダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム又は電子ビーム7に対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸30を介して回動する第1ミラー31及び第1ミラー31の回動と独立した状態にて前記第1ミラー31における回動中心軸30の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸30を介して回動する第2ミラー32からの反射によって、レーザビーム又は電子ビーム7の直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナー3を、レーザビーム又は電子ビーム7の発振源1を収容している領域を後端側とし、第1ミラー31を収容している領域を先端側とする長手方向が、水平方向に即してテーブル4の面の中心位置Pを内側として当該中心位置Pの周囲の全部又は一部を囲む状態を形成しており、隣接し合う一方側のガルバノスキャナー3の前記先端側の領域及び/又は第2ミラー32を収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向領域の先端側以外の領域の上側又は下側に配置し、かつ前記先端側から第2ミラー32を、前記長手方向と交差する方向であって、かつ前記内側への方向にて突設しており、前記一方側のガルバノスキャナー3及び前記他方側のガルバノスキャナー3における各第2ミラー32の回動中心の位置を、当該各第2ミラー32から反射したレーザビーム又は電子ビーム7がそれぞれ他方側のガルバノスキャナー3及び一方側のガルバノスキャナー3の領域を通過しないか、又は当該ガルバノスキャナー3の下側を通過するように設定しており、各ダイナミックフォーカスレンズ2における焦点距離の調整によって、レーザビーム又は電子ビーム7の焦点位置又はその近傍にて焼結面6を照射している三次元造形装置である。
【0028】
図6(a)、(b)に示すように、基本構成(1)においては、ガルバノスキャナー3の長手方向がテーブル4の面の中心位置Pの周囲の全部又は一部を囲む方向に設定しているが、前記周囲の位置については、前記中心位置Pとの距離を任意に選択することが可能であることから、このような設定によって、テーブル4のスペースを有効に活用することができることについては、既に効果の項において説明した通りである。
【0029】
前記設定に際し、基本構成(1)においては、ガルバノスキャナー3の長手方向のうち、各第1ミラー31側を収容している先端領域及び/又は第2ミラー32を収容している当該先端側領域の近傍領域を、隣接するガルバノスキャナー3における前記先端側領域以外の長手方向領域の上側又は下側に配置することによって、隣接領域を水平方向に即して重複状態とすることによって、コンパクトな隣接状態を実現することができる。
【0030】
基本構成(2)は、図7(a)、(b)に示すように、粉末を走行を介してテーブル4の上に積層するスキージ、当該粉末層5に対しレーザビーム又は電子ビーム7を走査するガルバノスキャナー3を複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナー3は、ダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム又は電子ビーム7に対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸30を介して回動する第1ミラー31及び第1ミラー31の回動と独立した状態にて前記第1ミラー31における回動中心軸30の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸30を介して回動する第2ミラー32からの反射によって、レーザビーム又は電子ビーム7の直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナー3を、レーザビーム又は電子ビーム7の発振源1を収容している領域を後端側とし、第1ミラー31を収容している領域を先端側とする長手方向が、水平方向に即してテーブル4の面の中心位置Pの周囲にて、前記先端側領域が所定角度による交差に基づく放射形状を形成しており、隣接し合う一方側のガルバノスキャナー3の前記先端側領域及び/又は第2ミラー32を収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナー3の先端側領域及び/又は第2ミラー32を収容している当該先端側領域の近傍領域の上側又は下側に配置し、かつ第2ミラー32を、前記長手方向と交差する方向に突設しており、前記一方側のガルバノスキャナー3及び前記他方側のガルバノスキャナー3における各第2ミラー32の回動中心の位置を、当該各第2ミラー32から反射したレーザビーム又は電子ビーム7がそれぞれ他方側のガルバノスキャナー3及び一方側のガルバノスキャナー3の各第2ミラー32の下側を通過するように設定しており、各ダイナミックフォーカスレンズ2における焦点距離の調整によって、レーザビーム又は電子ビーム7の焦点位置又はその近傍にて焼結面6を照射している三次元造形装置である。
【0031】
図7(a)、(b)に示すように、基本構成(2)においては、ガルバノスキャナー3の長手方向がテーブル4の面の中心位置Pの周囲にて所定の交差角度による放射状を形成する状態を設定しているが、交差角度及び長手方向の長さを任意に選択することが可能であることから、このような設定によって、テーブル4のスペースを有効に活用することができることについては、既に効果の項において説明した通りである。
【0032】
前記設定に際し、基本構成(2)においては、隣接している一方側のガルバノスキャナー3の前記長手方向の先端側領域及び/又は第2ミラー32を収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナー3を、前記先端側領域及び/又は第2ミラー32を収容している当該先端側領域の近傍領域の上側又は下側に配置することによって、水平方向に即して重複する状態に配置されていることから、水平方向の空間をコンパクトに設計することができる。
【0033】
基本構成(3)は、図6(a)、(b)及び図7(a)、(b)、更には後述する実施例1〜11に即した図1−1〜図5−2に示すように、各ガルバノスキャナー3において、第2ミラー32の突設方向が長手方向と直交しており、かつ複数個の第2ミラー32を、前記中心位置Pを両側にて挟んだ状態にて配列していることを特徴としている。
【0034】
このような特徴による効果については、既に発明の効果の項において説明した通りである。
【0035】
基本構成(4)は、図8(a)、(b)に示すように、各第2ミラー32の回動中心軸30の中央位置Qを、前記中心位置Pを基準として水平方向に即して等距離にて配列していることを特徴としている。
【0036】
このような特徴による効果についてもまた、既に発明の効果の項において説明した通りである。
【0037】
基本構成(1)及び(2)において、一方側のガルバノスキャナー3の先端領域及び/又は第2ミラー32を収容しかつ当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナー3の上側又は下側に配置する構成としては、
A 一方側のガルバノスキャナー3の先端側領域及び/又は第2ミラー32を収容している当該先端領域の近傍領域を、前記長手方向が前記先端側の上側又は下側となるような傾斜状態を設定した上で、他方側のガルバノスキャナー3において、一方側のガルバノスキャナー3の傾斜状態と同一方向に傾斜している前記長手方向領域の上側又は下側にそれぞれ配置することを特徴とする構成、
B 一方側のガルバノスキャナー3の全領域を、他方側のガルバノスキャナー3の全領域の上側又は下側に配置していることを特徴とする構成
の何れかを採用することができる。
【0038】
前記Aの構成においては、双方のガルバノスキャナー3の長手方向の傾斜方向は同一であって、一方側のガルバノスキャナー3が先端側領域に向かって上側又は下側に傾斜している場合には、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向に対し、それぞれ上側及び下側の配置が実現しているが、このような配置による上下方向の位置は、一方側のガルバノスキャナー3と、他方側のガルバノスキャナー3との間にて局所的に相違しているに過ぎない。
【0039】
これに対し、前記構成Bにおいては、一方側のガルバノスキャナー3は他方側のガルバノスキャナー3に対し全領域において上下方向の位置が相違している。
尚、前記A、Bの各構成については、2個乃至6個のガルバノスキャナー3に立脚している実施例1〜11において後述する通りである。
【0040】
基本構成(1)においては、図9(a)に示すように、基本構成(1)に基づく2個のガルバノスキャナー3を採用した上で、一方側サイドに配置されているガルバノスキャナーaにおける第2ミラー32の回転中心軸30と、他方側サイドに配置されているガルバノスキャナーbにおける第2ミラー32の回転中心軸30とが同一の高さ位置にて直交する状態にあり、かつガルバノスキャナーaの第2ミラー32のテーブル4の面に向かう傾斜角度が最も小さい場合におけるレーザビーム又は電子ビーム7が、ガルバノスキャナーbの第2ミラー32の下端がテーブル4の面に向かう傾斜角度が最も大きい場合に、当該第2ミラー32の下端の近傍を通過することを特徴とする実施形態を採用することができる。
【0041】
このような実施形態においては、基本構成(1)及び(3)、(4)のコンパクトな状態を更に徹底することができる。
【0042】
具体的に説明するに、基本構成(1)において、回動段階の上端から下端に至るまでの幅を50mmとし、回動中心軸30方向の幅を70mmとする第2ミラー32を有する2個のガルバノスキャナー3を採用し、かつ水平方向に入射したレーザビーム又は電子ビーム7を反射した場合に、双方の第2ミラー32間における回動中心軸30の中央位置Qの距離の最小値につき、水平方向に即してコンパクトな状態を得るために前記Aの構成を採用した場合に、以下の通り、具体的に明らかに説明する。
【0043】
図10(a)に示すように、左側の第2ミラー32に対し、水平方向のレーザビーム又は電子ビーム7が入射し、かつ当該第2ミラー32の水平方向に対する傾斜角度をαとし、右側の第2ミラー32の水平方向に対する傾斜角度をβとし、かつ左側の第2ミラー32の下端が当該ミラーを反射したレーザビーム又は電子ビーム7に当接する場合の左側の第2ミラー32の回動中心軸30と右側の第2ミラー32の回動中心軸30の中央位置Qとの水平方向の距離をxとし、垂直方向の距離をyとし、各第2ミラー32の上側端と下側端との距離を2Lとし、しかも回動中心軸30方向の幅を2Wとし、かつ反射したレーザビーム又は電子ビーム7が左側の第2ミラー32の下端と当接するに至るまでの透過距離をaとした場合には、
【数1】
【数2】
が成立する。
【0044】
ここで、左側の第2ミラー32が最小の傾斜角度γに至り、かつ右側の第2ミラー32が最大の傾斜角度γに至った場合においても、図10(a)に示すようなレーザビーム又は電子ビーム7が右側の第2ミラー32の下端に当接している場合には、左側の第2ミラー32の下端が右側の第2ミラー32の回動面に衝突することはあり得ない。
【0045】
何故ならば、上記各場合には、左側の第2ミラー32の回動中心軸30から右側の第2ミラー32の回動中心軸30の中央位置Qに対し最大距離を形成しているにも拘らず、上記当接状態が実現していることは、双方の第2ミラー32が衝突していないことを裏付けるからである。
【0046】
具体的には、前記の各場合に双方の第2ミラー32が衝突しない場合には、左側の第2ミラー32が最小の傾斜角度より大きい場合、更には、右側の第2ミラー32が最大の傾斜角度より小さい場合には、双方の衝突はあり得ないからである。
【0047】
ここで、左側の第2ミラー32に対し、右側の第2ミラー32の上下方向の距離をDとした場合には、上記当接が成立する場合には、
【数3】
が成立する。
【0048】
従って、
【数4】
が成立し、D=0の場合に、aは最小値を呈することに帰する。
【0049】
水平方向に即してコンパクトな配置を実現する前記構成Aの構成の場合は、一方側のガルバノスキャナー3における第1ミラー31及び第2ミラー32は、他方側のガルバノスキャナー3の先端領域以外の長手方向の側に配置されることを要件としているが、当該要件の場合には、双方の一方側及び他方側の第2ミラー32を、同一の高さと設定し、上記式においてD=0と設定することができる(これに対し、コンパクトな配置を実現する構成Bの場合には、D=0と設定することができない。)。
【0050】
通常、第2ミラー32の回動における中心角度は45°であって、当該45°を中心として±11°の回動を行っていることから、γ=34°及びγ=56°である。
【0051】
従って、
【数5】
を得ることができる。
【0052】
このような場合、
【数6】
を得ることができる。
【0053】
従って、1.2mmの余裕幅を考慮した場合には、左側の第2ミラー32の回動中心軸30と右側の第2ミラー32の回動中心軸30の中央位置Qの距離として、48mmを設定することができる。
【0054】
図10(a)の場合には、左側の第2ミラー32と右側の第2ミラー32の反射方向は相互に直交しているが、このような直交状態であっても、双方の照射領域を重畳又は区分することによって、均一な照射を実現することができる。
【0055】
しかも、左側の第2ミラー32の回動軸30の片側幅が25mmであることから、最小傾斜角度34°の場合の片側幅の水平方向の距離は、
25mm×cos34°=25mm×0.8290≒20.7mm である。
【0056】
他方、右側の第2ミラー32の回動中心軸30の中央位置Qの片側の幅が35mmであることを考慮するならば、双方による水平方向の距離幅は、55.7mmである。
【0057】
従って、上記48mmという最小値の距離は、左側の第2ミラー32が水平方向に至らずに、最小傾斜角度を形成している場合においても、双方の第2ミラー32の一部領域が水平方向に即して重複していることを裏付けている。
尚、後述するように基本構成(2)において、水平方向に即してコンパクトな配置を実現するために前記Bの構成を採用した場合の回動中心軸30の中央位置Qの最小距離につき、左側の第2ミラー32が最小の傾斜角度を形成した場合に即した計算を行っているが、基本構成(1)において、同様に前記構成Bに立脚した上で、後述の場合と同様の算定を行った場合には、双方の第2ミラー32における回動中心軸30の中央位置Qの最小距離については、
【数7】
であって、2.3mmの余裕幅を考慮した場合には、54mmの最小距離を設定することができる。
【0058】
上記54mmの場合においても、左側の第2ミラー32が最小傾斜角度を呈した場合の水平方向の距離幅である55.7mmよりも小さい値であって、左側の第2ミラー32の一部領域と右側の第2ミラー32の一部領域とが90°にて直交しながら水平方向に重複していることを示している。
【0059】
基本構成(2)においては、図9(b)に示すように、基本構成(2)に基づく2個のガルバノスキャナー3を採用した上で、全領域が上側に配置されているガルバノスキャナーaにおける第2ミラー32の回転中心軸30と、下側に配置されているガルバノスキャナーbにおける第2ミラー32の回転中心軸30とが、平行状態にて前記中心位置Pの両側に配置された状態にあり、かつガルバノスキャナーaにおいて回動している第2ミラー32のテーブル4の面に向かう傾斜角度が最も小さい場合におけるレーザビーム又は電子ビーム7が、ガルバノスキャナーbにおいて回動している第2ミラー32の下端が当該レーザビーム又は電子ビーム7に最も近い状態の傾斜角度を形成した場合に、当該下端の近傍を通過することを特徴とする実施形態を採用することができる。
【0060】
このような特徴点によって、基本構成(2)においては、コンパクトな構成を更に徹底することができる。
【0061】
具体的に説明するに、回動段階において上端から下端に至るまでの幅を50mmとする第2ミラー32を有する2個のガルバノスキャナー3を採用し、かつ各回転中心軸を中央位置Qとして水平方向に入射したレーザビーム又は電子ビーム7を反射した場合に、双方の第2ミラー32間における回動中心軸30の中央位置Qの距離の最小値の距離において採用し得る最小値につき、図10(b)に即して、以下の通り具体的に明らかに説明する。
【0062】
図10(b)に示すように、上側の第2ミラー32に対し、水平方向のレーザビーム又は電子ビーム7が入射し、かつ当該第2ミラー32の水平方向に対する傾斜角度をαとし、下側の第2ミラー32の水平方向に対する傾斜角度をβとし、かつ上側の第2ミラー32の下端が当該ミラーを反射したレーザビーム又は電子ビーム7に当接する場合の上側の第2ミラー32の回転中心軸30における中央位置Qと下側の第2ミラー32の前記下端の位置との水平方向の距離をxとし、垂直方向の距離をyとし、各第2ミラー32の上側端と下側端との距離を2Lとし、かつ反射したレーザビーム又は電子ビーム7が下側の第2ミラー32の下端と当接するに至るまでの透過距離をaとした場合には、
【数8】
【数9】
が成立する。
【0063】
ここで、上側の第2ミラー32が最大の傾斜角度γに至った場合においても、上側の第2ミラー32の下端と下側の第2ミラー32の回動中心軸30における中央位置Qの高さ位置が同一であり、しかも図10(b)に示すような当接状態の場合には、上側の第2ミラー32の下端が下側の第2ミラー32の回動面に衝突することはあり得ない。
【0064】
上側の第2ミラー32が前記要件である最小の傾斜角度γであり、かつ下側の第2ミラー32の傾斜角度がβを維持している場合に、前記高さ位置が同一である場合には、図10(b)によって、
【数10】
であることから、
【数11】
が成立する。
【0065】
レーザビーム又は電子ビーム7が上側の第2ミラー32から反射して、下側の第2ミラー32の下端に当接するに至る距離aが最大値を呈する場合には、下側の第2ミラー32が上側の第2ミラー32から反射したレーザビーム又は電子ビーム7を最も遮断し難い状態に至る寸前の事態に該当する。
【0066】
前記aが最大値であるためには、
β=最大の傾斜角度γ
の成立を必要とし、結局、
【数12】
を得ることができる。
【0067】
基本構成(2)のように、上側の第1ミラー31の傾斜角度が最小値γであり、かつ前記のように、
β=γ
である場合には、
【数13】
が成立する。
【0068】
一般に、通常γ=56°、γ=34°であることから、
【数14】
という近似式が成立する。
【0069】
回動段階における上端と下端の幅が2L=50mmの場合、
x≒31.7mm
を得ることができる。
【0070】
従って、2.3mmの余裕幅を考慮した場合、上側の第2ミラー32の回動中心軸30における中央位置Qと下側の第2ミラー32の回動中心軸30における中央位置Qとの最小距離として、34mmを設定することができる。
【0071】
図10(a)の左側の第2ミラー32に即して説明したように、最小傾斜角度34°の場合の第2ミラー32の水平方向の片側幅は、
25mm×cos34°=25mm×0.8290≒20.7mm である。
【0072】
従って、双方の第2ミラー32が最小傾斜角度を呈した場合の数値が41.4mmであることを考慮するならば、上記34mmの最小距離は、双方の第2ミラー32の一部領域が最小傾斜角度を呈した場合には、水平方向に即して重複し合っていることを明瞭に裏付けている。
尚、上記のx≒1.266Lの近似式が成立する場合には、
【数15】
であることが判明する。
【0073】
図9(b)に示す実施形態においては、下側のガルバノスキャナー3において回動している第2ミラー32において下端から当該レーザビーム又は電子ビーム7に最も近い状態の傾斜角度を形成した場合に、当該下端の近傍を通過することを要件としているが、最小の傾斜角度が34°である場合には、図10(b)に即した前記計算からも明らかなように、上記下端の近傍を通過するような下側のガルバノスキャナー3の傾斜角度としては最大傾斜角度である56°が選択されることに帰する。
【0074】
基本構成(1)においては、隣接し合う一方側及び他方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32の回動中心軸30の位置を、当該第2ミラー32から反射したレーザビーム又は電子ビーム7がそれぞれ他方側及び一方側のガルバノスキャナー3の領域を通過しないか、又は当該ガルバノスキャナー3の下側を通過するように設定することを要件としている。
【0075】
このような要件は、一方側及び他方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32から反射したレーザビーム又は電子ビーム7が、それぞれ他方側及び一方側のガルバノスキャナー3によって遮蔽されないという当然必要な技術的要請に立脚している。
【0076】
基本構成(2)においては、隣接し合う一方側及び他方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32の回動中心軸30の位置を、当該第2ミラー32から反射したレーザビーム又は電子ビーム7が、それぞれ他方側及び一方側のガルバノスキャナー3の各第2ミラー32の下側を通過するように設定することを要件としている。
【0077】
このような要件は、一方側及び他方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32から反射したレーザビーム又は電子ビーム7が、それぞれ他方側及び一方側のガルバノスキャナー3の各第2ミラー32によって遮蔽されないという当然必要な技術的要請に立脚している。
【0078】
図9(a)、(b)に示すように、第1ミラー31及び第2ミラー32は、それぞれ回動駆動装置310及び320を備えている。
【0079】
基本構成(1)及び(2)におけるガルバノスキャナー3の複数個の最大数については、ガルバノスキャナー3の長手方向の寸法と、テーブル4の面の面積とによって選択される。
但し、後述する各実施例に示すように、実際には2個〜6個のガルバノスキャナー3を採用する場合が多い。
【0080】
基本構成(1)及び(2)においては、スキージ、ガルバノスキャナー3以外に、レーザビーム又は電子ビーム7の走査によって形成された焼結面6に対する切削を行う切削工具を備えることによって、様々な形状の三次元造形物を製造する場合が多い。
【0081】
基本構成(1)及び(2)においては、通常、図9(a)に示すように、各ガルバノスキャナー3の長手方向においては、レーザビーム又は電子ビーム7を水平方向に照射し、かつ第1ミラー31が鉛直方向の回動中心軸30を介して回動する設計が採用されている。
【0082】
しかしながら、図9(b)に示すように、レーザビーム又は電子ビーム7を長手方向の後端側から先端側に向かって上側に傾斜するような照射状態も可能である。
【0083】
基本構成(1)及び(2)においては、図11に示すように、第2ミラー32の反射領域が回動中心軸30の位置及びその近傍であると共に、回動段階における上端及び下端近傍の範囲内にあることを特徴とする実施形態を採用することができる。
【0084】
通常、第2ミラー32の回動中心軸30の位置は固定されていることから、第2ミラー32における反射領域は回動中心軸30の下側又は上側に限定される場合がある。
【0085】
然るに、図11に示す実施形態の場合には、第2ミラー32における反射位置が回動中心の位置又はその近傍であり、回動中心軸30の位置に対する上端及び下端の双方の近傍の位置を反射領域に設定している。
【0086】
しかも、回動段階における上端及び下端の近傍の位置の範囲を反射領域としていることから、第2ミラー32の回動中心軸30と直交する方向の幅をレーザビーム又は電子ビーム7のスポット径より稍大きいという程度の極端に小さい状態と設定することができる。
【0087】
その結果、図9(a)、(b)に示す実施形態の場合とは別に、コンパクトな配置状態を実現することができる。
【0088】
以下、実施例に即して説明する。
尚、以下の実施例のうち、各右側の図面に示す実施例は上記実施形態に立脚している。
【実施例1】
【0089】
実施例1は、図1−1に示すように、基本構成(1)及び前記構成Aに基づき、2個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、前記中心位置Pに対し、周囲にて水平方向に即して等距離であって、かつ各長手方向を90°の交差状態に設定した上で、各第2ミラー32を、回動中心軸30の中央位置Qが前記中心位置Pを基準として点対称となるように配列した上で、一方側のガルバノスキャナー3における第1ミラー31の収容領域及び第2ミラー32の収容領域を、他方側のガルバノスキャナー3における先端側領域以外の領域の上側に配置していることを特徴とする構成、及び図1−2に示すように、基本構成(2)及び前記構成Bに基づき、2個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、前記中心位置Pを基準として反対方向の位置に平行状態に設定した上で、各第2ミラー32の回動中心軸30の中央位置Qを、前記中心位置Pを基準として点対称となるように配列し、1個のガルバノスキャナー3を、残1個のガルバノスキャナー3の上側に配置していることを特徴とする構成を採用している。
【0090】
実施例1は、2個のガルバノスキャナー3を採用するというシンプルな構成によって、基本構成(1)及び(2)の作用効果を発揮することができ、図1−1に示す実施例は、図10(a)の模式図を示す実施形態に適用することができ、図1−2に示す実施例は、図10(b)の模式図を示す実施形態に適用することができる。
【実施例2】
【0091】
実施例2は、基本構成(1)に立脚した上で、図2−1の左側に示すように、前記構成Aに基づき3個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置Pから等距離であって、かつ順次60°毎の等角度交差による正三角形の辺を形成するように設定した上で、各ガルバノスキャナー3において、前記先端側領域及び第2ミラー32の突設領域を上側に配置すると共に、前記後端側領域を下側に配置し、かつ一方側のガルバノスキャナー3の前記先端側領域又は第2ミラー32の突設領域を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向領域のうち、前記先端側領域以外の領域上に配置していることを特徴とする構成、及び図2−1の右側に示すように、前記構成Bに基づき3個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置Pから等距離であって、かつ順次60°毎の等角度交差による正三角形の辺を形成するように設定した上で、3個のガルバノスキャナー3を、上下方向に即して3段に配置し、各ガルバノスキャナー3をそれぞれ下段、中段、上段に配置していることを特徴とする構成を採用している。
【0092】
実施例2においては、3個のガルバノスキャナー3を前記中心位置Pの周囲にて正三角形の各辺を形成するように配置することによってテーブル4の全面を有効に活用することができる一方、交差状態にあるガルバノスキャナー3の一部領域を、水平方向に即して重複状態とすることによって、コンパクトな配置を実現することができる。
【実施例3】
【0093】
実施例3は、基本構成(2)に立脚した上で、図2−2の左側に示すように、前記構成Aに基づき3個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、水平方向に即して120°の交差角度による放射形状を形成する状態に設定した上で、各ガルバノスキャナー3の前記先端側領域及び第2ミラー32の突設領域を上側に配置すると共に、前記後端側領域を下側に配置し、かつ一方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32の突設領域を、他方側のガルバノスキャナー3の前記先端側領域の上側に配置していることを特徴とする構成、及び図2−2の右側に示すように、前記構成Bに基づき3個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、水平方向に即して120°の交差角度による放射形状を形成する状態に設定した上で、3個のガルバノスキャナー3を、3段に配置し、各ガルバノスキャナー3をそれぞれ上下方向に即して下段、中段、上段に配置していることを特徴とする構成を採用している。
【0094】
実施例3においても、3個のガルバノスキャナー3を中心位置Pから放射状に配置することによってテーブル4の全面を有効に活用することができる一方、ガルバノスキャナー3の一部領域を、交差する位置において、水平方向に即して重複した状態とすることによって、コンパクトな配置を実現することができる。
【実施例4】
【0095】
実施例4は、基本構成(2)に立脚した上で、図2−3の左側に示すように、前記構成Aに基づき2個のガルバノスキャナー3における2個の第2ミラー32を、前記中心位置Pに対し同一側であって、かつ突設方向が平行であるように配列し、かつ残1個のガルバノスキャナー3における残1個の第2ミラー32を、前記中心位置Pに対し前記2個の第2ミラー32と反対方向の位置であって、かつ前記2個の第2ミラー32の突設方向と平行な突設方向となるように配列した上で、2個のガルバノスキャナー3を下側に配置し、残1個のガルバノスキャナー3を上側に配置し、3個の各ガルバノスキャナー3において、前記中心位置Pを基準として、近い位置に配置されている各第2ミラー32の回動中心軸30の中央位置Qを水平方向に即して120°毎の等角度方向に配置していることを特徴とする構成、及び図2−3の右側に示すように、前記構成Bに基づき2個のガルバノスキャナー3における2個の第2ミラー32を、前記中心位置Pに対し同一側であって、かつ突設方向が平行であるように配列し、かつ残1個のガルバノスキャナー3における残1個の第2ミラー32を、前記中心位置Pに対し前記2個の第2ミラー32と反対方向の位置であって、かつ前記2個の第2ミラー32の突設方向と平行な突設方向となるように配列した上で、隣接し合う一方側の2個のガルバノスキャナー3を上下方向に即して中段及び下段に配置し、残1個のガルバノスキャナー3を上段に配置し、3個の各ガルバノスキャナー3において、前記中心位置Pを基準として、近い位置に配置されている各第1ミラー31及び第2ミラー32の回動中心軸30の中央位置Qを水平方向に即して120°毎の等角度方向に配置していることを特徴とする構成を採用している。
【0096】
実施例4においても、実施例2及び3と同様の効果を発揮し得る一方、図2−3からも明らかなように、3個のガルバノスキャナー3を平行状態に配置することによって、細長いテーブル4の配置に適合することが可能である一方、各ガルバノスキャナー3の第2ミラー32が存在する領域の近傍を水平方向に即して重複することによって、コンパクトな配置を実現することができる。
【実施例5】
【0097】
実施例5は、基本構成(1)に立脚した上で、図3−1の左側に示すように、前記構成Aに基づき4個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置Pと等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次90°の等角度交差による正方形の辺を形成するように設定した上で、平行状態を形成している2個のガルバノスキャナー3を、前記平行状態に直交する方向にて平行状態を形成している残2個のガルバノスキャナー3の上側に配置していることを特徴とする構成、及び図3−1の右側に示すように、前記構成Bに基づき4個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置Pと等距離であって、かつ当該長手方向の中途部位が、順次90°の等角度にて交差することによって隣接領域から各辺が一方側に突出することによる変形した正方形の辺を形成するように設定した上で、平行状態を形成している2個のガルバノスキャナー3を、前記平行状態に直交する方向にて平行状態を形成している残2個のガルバノスキャナー3の上側に配置していることを特徴とする構成を採用している。
【0098】
実施例5においては、4個のガルバノスキャナー3をテーブル4の面の中心位置Pの周囲にて各辺が一方側に突出するという変形した矩形状の各辺を形成するように配置することによって、テーブル4の全面を有効に活用することを可能としている。
【0099】
しかも、平行状態にある2個のガルバノスキャナー3と平行状態にある残2個のガルバノスキャナー3とが上下2段にて交差していることから、交差位置において水平方向に即して重複状態とすることによって、コンパクトな配置を実現することができる。
【実施例6】
【0100】
実施例6は、基本構成(2)に立脚した上で、図3−2の左側に示すように、前記構成Aに基づき4個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、90°の交差角度を形成する状態に設定した上で、第2ミラー32の突設方向を、前記中心位置Pに近付く方向とし、かつ平行状態である2個のガルバノスキャナー3を、前記平行状態に対し直交する方向にて平行状態である残2個のガルバノスキャナー3の上側に配置していることを特徴とする構成、及び図3−2の右側に示すように、前記構成Bに基づき4個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、鋭角及び鈍角による交差角度を形成する状態に設定した上で、第2ミラー32の突設方向を、前記中心位置Pに近付く方向とし、かつ平行状態である2個のガルバノスキャナー3を、前記平行状態に対し斜交する方向にて平行状態にある残2個のガルバノスキャナー3の上側に配置していることを特徴とする構成を採用している。
【0101】
実施例6においても、4個のガルバノスキャナー3を中心位置Pに対し放射状に配置することによってテーブル4の全面を有効に活用することができる一方、ガルバノスキャナー3の一部領域が交差する位置において、水平方向に即して重複した状態とすることによって、コンパクトな配置を実現することができる。
【実施例7】
【0102】
実施例7は、基本構成(2)に立脚した上で、図3−3及び前記構成Bに示すように、 2個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、前記中心位置Pの一方側サイドにて平行状態に設定し、かつ残2個のガルバノスキャナー3の長手方向の領域を、前記中心位置Pの前記一方側サイドの反対側サイドにて前記2個のガルバノスキャナー3と平行状態に設定した上で、2個のガルバノスキャナー3の第2ミラー32を相互に向かい合うように前記長手方向から突設し、残2個のガルバノスキャナー3における第2ミラー32もまた相互に向かい合うように突設し、しかも隣接し合い、かつ相互に向かい合う一方側の2個の第2ミラー32を、他方側の2個の第2ミラー32の上側に配置し、4個の各第2ミラー32の回動中心軸30の中央位置Qを、水平方向に即して90°毎の等角度方向に配置していることを特徴とする構成を採用している。
【0103】
実施例7においても、実施例5及び6と同様の作用効果を発揮することができる。
【0104】
しかも、4個のガルバノスキャナー3を採用している点において先願発明3と共通しているが、2段の高さ方向の調整によって、水平方向に即して、第2ミラー32の領域を重複することが可能であることから、先願発明3の場合よりもコンパクトな配置を実現することができる。
【実施例8】
【0105】
実施例8は、基本構成(1)に立脚した上で、図4−1の左側に示すように、前記構成Aに基づき5個のガルバノスキャナー3の前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置Pと等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次72°の等角度交差による正五角形の辺を形成する状態に設定した上で、各ガルバノスキャナー3において、前記先端側領域及び第2ミラー32の突設領域を上側に配置すると共に、前記後端側領域を下側に配置し、かつ一方側のガルバノスキャナー3の前記先端側領域又は第2ミラー32の突設領域を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向のうち、前記先端側領域以外の領域上に配置していることを特徴とする構成、及び図4−1の右側に示すように、前記構成Bに基づき5個のガルバノスキャナー3の前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置Pと等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次72°の等角度交差による正五角形の辺を形成する状態に設定した上で、前記中心位置Pに対し、2個のガルバノスキャナー3を、前記長手方向が時計回りに即して0°、144°を形成した状態にて上下方向に即して下段に配置し、他の2個のガルバノスキャナー3を、前記長手方向が時計回りに即して72°、216°を形成した状態にて中段に配置し、残1個のガルバノスキャナー3を、前記長手方向が時計回りに即して288°を形成した状態にて上段に配置していることを特徴とする構成を採用している。
【0106】
実施例8においては、5個のガルバノスキャナー3をテーブル4の面の中心位置Pの周囲にて正五角形の各辺を形成するように配置することによって、テーブル4の全面を有効に活用することを可能としている。
【0107】
しかも、相互に交差状態にある5個のガルバノスキャナー3の一部領域が上下方向にて交差していることから、交差位置において水平方向に即して重複状態とすることによって、コンパクトな配置を実現することができる。
【実施例9】
【0108】
実施例9は、基本構成(2)に立脚した上で、図4−2の左側に示すように、前記構成Aに基づき5個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、72°毎の等角度による交差角度による放射形状を形成する状態に設定した上で、各ガルバノスキャナー3において、前記先端側領域及び第2ミラー32の突設領域を上側に配置すると共に、前記後端側領域を下側に配置し、各第2ミラー32の突設領域を正五角形の辺を形成する状態にて配置し、かつ一方側の第2ミラー32の突設領域を、他方側の前記先端側の領域の上側に配置していることを特徴とする構成、及び図4−2の右側に示すように、前記構成Bに基づき5個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、72°毎の等角度による交差角度による放射形状を形成する状態に設定した上で、第2ミラー32の突設領域を正五角形の辺を形成する状態にて配置し、かつ2個のガルバノスキャナー3を、前記長手方向が時計回りに即して0°、144°を形成した状態にて上下方向に即して下段に配置し、他の2個のガルバノスキャナー3を、前記長手方向が時計回りに即して72°、216°を形成した状態にて中段に配置し、残1個のガルバノスキャナー3を、前記長手方向が時計回りに即して288°を形成した状態にて上段に配置していることを特徴とする構成を採用している。
【0109】
実施例9においても、5個のガルバノスキャナー3を中心位置Pに対し放射状に配置することによってテーブル4の全面を有効に活用することができる一方、ガルバノスキャナー3の一部領域が上下方向にて交差することから、水平方向に即して重複する状態とすることによって、コンパクトな配置を実現することができる。
【実施例10】
【0110】
実施例10は、基本構成(1)に立脚した上で、図5−1の左側に示すように、前記構成Aに基づき6個のガルバノスキャナー3の前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置Pと等距離とし、当該長手方向の領域を、順次60°の等角度交差による正六角形の辺を形成する状態に設定した上で、各ガルバノスキャナー3において、前記先端側領域又は第2ミラー32の突設領域を上側に配置すると共に、前記後端側領域を下側に配置し、かつ一方側のガルバノスキャナー3の前記先端側領域及び第2ミラー32の突設領域を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向のうち、前記先端側領域以外の領域上に配置していることを特徴とする構成、及び図5−1の右側に示すように、前記構成Bに基づき6個のガルバノスキャナー3の前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置Pと等距離とし、当該長手方向の領域が順次60°の等角度交差による正六角形の辺を形成する状態に設定した上で、前記中心位置Pに対し、2個のガルバノスキャナー3を、前記長手方向が時計回りに即して0°、180°を形成した状態にて上下方向に即して下段に配置し、他の2個のガルバノスキャナー3を、前記長手方向が時計回りに即して60°、240°を形成した状態にて中段に配置し、残2個のガルバノスキャナー3を、前記長手方向が時計回りに即して120°、300°を形成した状態にて上段に配置していることを特徴とする構成を採用している。
【0111】
実施例10においては、6個のガルバノスキャナー3をテーブル4の面の中心位置Pの周囲にて正六角形の辺を形成する状態に配置することによって、テーブル4の全面を有効に活用することを可能としている。
【0112】
しかも、相互に交差状態にある6個のガルバノスキャナー3の一部領域が上下方向にて交差していることから、交差位置において水平方向に即して重複状態とすることによって、コンパクトな配置を実現することができる。
【実施例11】
【0113】
実施例11は、基本構成(2)に立脚した上で、図5−2の左側に示すように、前記構成Aに基づき6個のガルバノスキャナー3の長手方向の領域を、60°毎の等角度による交差角度による放射形状を形成する状態に設定した上で、各ガルバノスキャナー3において、前記先端側領域及び第2ミラー32の突設領域を上側に配置すると共に、前記後端側領域を下側に配置し、各第2ミラー32の突設領域を正六角形の辺を形成する状態にて配置し、かつ一方側の第2ミラー32の突設領域を、他方側の前記先端側の領域の上側に配置していることを特徴とする構成、及び図5−2の右側に示すように、前記構成Bに基づき6個のガルバノスキャナー3の長手方向の領域を、60°毎の等角度による交差角度による放射形状を形成する状態に設定した上で、第2ミラー32の突設領域を正六角形の辺を形成する状態にて配置し、かつ2個のガルバノスキャナー3を、前記長手方向が時計回りに即して0°、180°を形成する状態にて上下方向に即して下段に配置し、他の2個のガルバノスキャナー3を、前記長手方向が時計回りに即して60°、240°を形成する状態にて中段に配置し、残2個のガルバノスキャナー3を、前記長手方向が時計回りに即して120°、300°を形成した状態にて上段に配置していることを特徴とする構成を採用している。
【0114】
実施例11においては、6個のガルバノスキャナー3をテーブル4の面の中心位置Pに対し、放射状に配置することによって、テーブル4の全面を有効に活用することができる一方、ガルバノスキャナー3の一部領域が上下方向にて交差することから、水平方向に即して重複する状態とすることによって、コンパクトな配置を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本願発明は、複数個のガルバノスキャナーを上下方向に交差状態とすることによって、水平方向に即してコンパクトな配置を実現する一方、テーブル面のスペースを有効に活用することによって、効率的な焼結面の形成に寄与することを可能とする点において画期的であり、その利用範囲は広範である。
【符号の説明】
【0116】
1 レーザビーム又は電子ビームの発振源
2 ダイナミックフォーカスレンズ
3 ガルバノスキャナー
30 回動中心軸
31 第1ミラー
32 第2ミラー
310 第1ミラーに対する回動駆動装置
320 第2ミラーに対する回動駆動装置
4 テーブル
5 粉末層
6 焼結面
7 レーザビーム又は電子ビーム
8 支持部
P テーブル面の中心位置
Q 回動中心軸30における中央位置
【要約】
【課題】複数個のガルバノスキャナーを、水平方向に即してコンパクトな状態にて配置し得ると共に、テーブル面のスペースを有効に活用し得る三次元造形装置の構成の提供。
【解決手段】複数個のガルバノスキャナー3を、レーザビーム又は電子ビーム7の発振源1から第1ミラー31に至るまでの長手方向がテーブル4の中心位置Pの周囲の全部又は一部を囲む方向に設定するか、又は前記長手方向が前記中心位置Pの周囲にて放射状に設定した上で、各第2ミラー32の回動中心軸30の中央位置Qが前記中心位置Pから等距離となるように配置し、隣接する一方側の第2ミラー32から反射したレーザビーム又は電子ビーム7が、他方側のガルバノスキャナー3によって遮蔽されないように、各第2ミラー32の回動中心の位置を調整し、かつ各ダイナミックフォーカスレンズ2の焦点距離を調整することによって前記課題を達成する三次元造形装置。
【選択図】図9(b)
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6
図7
図8
図9(a)】
図9(b)】
図10
図11