特許第6974911号(P6974911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6974911部分的に被覆されたステンレス鋼の内部表面を備える調理用容器、およびその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974911
(24)【登録日】2021年11月9日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】部分的に被覆されたステンレス鋼の内部表面を備える調理用容器、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 36/02 20060101AFI20211118BHJP
   A47J 37/10 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   A47J36/02 B
   A47J37/10
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-7607(P2020-7607)
(22)【出願日】2020年1月21日
(62)【分割の表示】特願2017-515959(P2017-515959)の分割
【原出願日】2015年9月22日
(65)【公開番号】特開2020-72972(P2020-72972A)
(43)【公開日】2020年5月14日
【審査請求日】2020年2月18日
(31)【優先権主張番号】1458977
(32)【優先日】2014年9月23日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シモン アルマン
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 韓国登録特許第10−0804387(KR,B1)
【文献】 特開2005−007399(JP,A)
【文献】 特開昭62−084715(JP,A)
【文献】 特開平04−329860(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1392095(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 36/02
A47J 37/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理用容器(1)を製造する方法であって、
− ステンレス鋼のシートからブランク(20)を具現化または提供するステップと、
− 前記ブランク(20)を絞り加工して、内部表面(22)および外部表面(23)を備えるキャップ(21)を形成するステップであって、前記内部表面(22)は、側壁(25)に取り囲まれた平坦な基部領域(24)を含むステップと、
− 前記キャップ(21)の前記外部表面(23)上に拡散基部(8)をホットスタンピングするステップと、
− 前記拡散基部(8)をホットスタンピングする間に、前記キャップ(21)の前記内部表面(22)の前記基部領域(24)の少なくとも一部分に格子パターン(27)を刻設して、谷(15)よりも上側に延在する上部表面(11)と、前記谷(15)の底部表面(16)とは異なる側部表面(12)とを有しているリブ(10)のネットワークを形成するステップであって、前記リブ(10)の前記側部表面(12)は、前記リブ(10)の前記上部表面(11)を前記谷(15)の前記底部表面(16)に接続しており、前記リブ(10)の前記側部表面(12)は、前記リブ(10)の前記上部表面(11)を前記谷(15)の前記底部表面(16)に接続する傾斜路を形成するステップと、
− 前記キャップ(21)の前記内部表面(22)の少なくとも刻設された前記基部領域(24)をサンディングして、粗さ(26)を作り出すステップと、
− 少なくともサンディングされ刻設された前記基部領域(24)上に焦げ付き防止被覆(7)を適用するステップと、
− 少なくともサンディングされ刻設され被覆された前記基部領域(24)をブラッシングおよび/または研磨して、前記リブ(10)の前記上部表面(11)上の前記ステンレス鋼を露出させるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記拡散基部(8)が前記キャップ(21)の前記外部表面(23)上にホットスタンピングされるときに、前記キャップ(21)とは反対側の前記拡散基部(8)の表面上にフェライト系ステンレス鋼の基部プレート(9)をホットスタンピングするステップより成ることを特徴とする請求項1に記載の調理用容器(1)を製造する方法。
【請求項3】
調理用容器(1)を製造する方法であって、
− ステンレス鋼で作られた少なくとも1つの外側表面(30a)を含む多層ステンレス鋼シート(30a、30b、30c)からブランク(30)を具現化または供給するステップと、
− ステンレス鋼で作られた前記ブランクの前記外側表面(30a)の少なくとも一部分に格子パターン(37)を刻設して、谷(15)よりも上側に延在する上部表面(11)と、前記谷(15)の底部表面(16)とは異なる側部表面(12)とを有しているリブ(10)の格子を形成するステップであって、前記側部表面(12)は、前記リブ(10)の前記上部表面(11)を前記谷(15)の前記底部表面(16)に接続しており、前記リブ(10)の前記側部表面(12)は、前記リブ(10)の前記上部表面(11)を前記谷(15)の前記底部表面(16)に接続する傾斜路を形成するステップと、
− 前記ブランク(30)を絞り加工して、内部表面(32)および外部表面(33)を備えるキャップ(31)を形成するステップであって、前記内部表面(32)は、側壁(35)に取り囲まれた基部領域(34)を含み、前記リブ(10)は、前記基部領域(34)の少なくとも一部分にわたって延在するステップと、
− 少なくとも刻設された前記基部領域(34)をサンディングして、粗さ(36)を作り出すステップと、
− 少なくともサンディングされ刻設された前記基部領域(34)上に焦げ付き防止被覆(7)を適用するステップと、
− サンディングされ刻設され被覆された前記基部領域(34)をブラッシングおよび/または研磨して、前記リブ(10)の前記上部表面(11)上の前記ステンレス鋼を露出させるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
調理用容器(1)を製造する方法であって、
− ステンレス鋼で作られた少なくとも1つの外側表面(40a)を含む多層ステンレス鋼シートからブランク(40)を具現化または提供するステップと、
− 前記ブランク(40)を絞り加工して、前記ステンレス鋼外側表面(40a)によって形成された内部表面(42)と、外部表面(43)とを備えるキャップ(41)を形成するステップであって、前記内部表面(42)は、側壁(45)に取り囲まれた基部領域(44)を含むステップと、
− 前記基部領域(44)の少なくとも一部分に格子パターン(47)を刻設して、谷(15)よりも上側に延在する上部表面(11)と、前記谷の底部表面(16)とは異なる側部表面(12)とを有しているリブ(10)の格子を形成するステップであって、前記リブ(10)の前記側部表面(12)は、前記リブ(10)の前記上部表面(11)を前記谷(15)の前記底部表面(16)に接続しており、前記リブ(10)の前記側部表面(12)は、前記リブ(10)の前記上部表面(11)を前記谷(15)の前記底部表面(16)に接続する傾斜路を形成するステップと、
− 少なくとも刻設された前記基部領域(44)をサンディングして、粗さ(46)を作り出すステップと、
− 少なくともサンディングされ刻設された前記基部領域(44)上に焦げ付き防止被覆(7)を適用するステップと、
− サンディングされ刻設され被覆された前記基部領域(44)をブラッシングおよび/または研磨して、前記リブ(10)の前記上部表面(11)上の前記ステンレス鋼を露出させるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の調理用容器(1)を製造する方法であって、前記リブ(10)の前記上部表面(11)を研磨するステップは、前記リブ(10)の前記上部表面(11)への前記焦げ付き防止被覆(7)の付着を制限するために、前記焦げ付き防止被覆(7)の適用に先立って行われることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分的に被覆されたステンレス鋼で作られた内部表面を備える調理用容器の技術分野に関する。
【0002】
より正確には、本発明は、ステンレス鋼のシートから、または、ステンレス鋼の少なくとも1つの外側層を有している多層シートから絞り加工された調理用容器、およびそれらの製造方法に関する。
【0003】
本発明は、具体的には、例えばフライパンまたはソースパンなどの、レンジ台の上面(cooktop)上で使用されるように設計された調理用品に関する。
【0004】
本発明はまた、電子調理用デバイスの容器に関し、詳細には、限定的ではないが、移動可能な容器に関する。
【背景技術】
【0005】
部分的に被覆されたステンレス鋼で作られた内部表面を備える調理用容器が開示されている(例えば、特許文献1参照)。内部表面は、複数の谷を有し、その基部は、焦げ付き防止被覆を有する。内部表面は、谷間に離間されたリブを有する。リブの被覆されていない上部表面は、谷の底部表面を覆っている焦げ付き防止被覆を越えて延在する。しかし、リブは、谷の底部表面よりも上側に延在する、被覆されていない側面を有する。リブの側面は、谷の底部表面に対して直角である。そのようなステンレス鋼で作られた物体の具現化は、この文献で提案されている絞り加工工程に従うことは難しいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国登録特許第100804387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、例えば金属製器具などの硬い材料で作られた器具と共に使用される場合でも洗浄の容易さおよび耐久性の両方を提供する調理表面を有している調理用容器を提案することである。
【0008】
本発明の別の目的は、例えば金属製器具などの硬い材料で作られた器具と共に使用される場合でも洗浄の容易さおよび耐久性の両方を提供する調理表面を有している調理用容器を製造する方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的は、部分的に被覆されたステンレス鋼で作られているテクスチャ加工された内部表面を有する容器本体を備える調理用容器であって、テクスチャ加工された内部表面が、谷よりも上側に延在する複数のリブを有し、谷が、焦げ付き防止被覆で被覆された底部表面を有し、リブが、被覆されていない上部表面、および谷の底部表面とは異なる側部表面を有し、リブの側部表面が、リブの上部表面を谷の底部表面に接続し、リブの上部表面が、焦げ付き防止被覆が上部表面の高さを超えることなく谷の底部表面からリブの上部表面に向かってリブの側部表面の上に延在するように、また、谷の底部表面およびリブの側部表面が、焦げ付き防止被覆の付着を促進するために焦げ付き防止被覆の下に粗い表面を有するように、谷の底部表面を覆う焦げ付き防止被覆よりも上側に延在する調理用容器によって達成される。これらの構成は、容器の金属体構成要素の製造を簡単にする。これらの構成はまた、テクスチャ加工された内部表面の表面全体に焦げ付き防止被覆が適用され、その後にリブの上部表面のブラッシングが続くので、焦げ付き防止被覆の付着を向上させる。単一層の焦げ付き防止被覆を最初に適用することは、被覆の品質を向上させる。谷の被覆された底部表面よりも上側に延在するリブの金属製上部表面により、調理表面の良好な機械的抵抗力が保たれながら、調理用容器の耐久性が向上される。
【0010】
有利には、リブの側部表面は、リブの上部表面を谷の底部表面に接続する傾斜路を形成する。この構成は、リブの側部表面への被覆の付着を向上させる。
【0011】
やはり有利には、焦げ付き防止被覆の厚さは、リブの側部の上方部分上よりもリブの側部の下方部分上のほうが厚い。この構成は、リブの側部表面の下方部分、および谷の底部表面の隣り合った部分への被覆の付着を向上させる。
【0012】
やはり有利には、リブの上部表面の幅は、隣り合った2つのリブの上部表面間の距離未満である。この構成は、リブの上部表面の被覆されていない金属表面領域よりも大きな被覆された表面領域を有するテクスチャ加工された内部表面を作り出すことを可能にする。
【0013】
やはり有利には、リブの上部表面の幅は、隣り合った2つのリブ間に延在する谷の底部表面の幅未満である。この構成は、より大きな被覆された表面領域を有するテクスチャ加工された内部表面を作り出すことを可能にする。
【0014】
やはり有利には、リブの側部表面は、45°未満の角度(a)で、好ましくは20°から40°の間の角度(a)で、谷の底部表面から上方に延在する。この構成は、リブの具現化を簡単にする。この構成はまた、リブの側部への被覆の付着を向上させることを可能にする。
【0015】
やはり有利には、リブの上部表面は、平坦である。この構成は、食品をかき混ぜる、取り分ける、または給仕するための、リブにわたる調理用品の運動を円滑にする。この構成はまた、リブの上部表面の具現化を簡単にする。必要に応じて、リブの上部表面は研磨されてもよく、それにより食品の付着が軽減される。
【0016】
やはり有利には、リブは、台形状のものである。この構成は、リブの具現化を簡単にする。
【0017】
やはり有利には、リブの上部表面と谷の底部表面との間に画定される切り込みの深さは、0.05mmから0.2mmの間である。この構成は、製造の容易さを維持しながら、使用するのに適した特徴を持つ調理用容器を製造することを可能にする。
【0018】
1つの実施形態では、焦げ付き防止被覆は、PTFEの外側層を有する。
【0019】
別の実施形態では、焦げ付き防止被覆は、セラミックゾルゲルの外側層を有する。
【0020】
容器本体は、ステンレス鋼で作られ得る。したがって、有利には、適切な熱分配を確実にするために、アルミ製熱拡散プレートが、調理用容器の外部表面を部分的に覆う。やはり有利には、ステンレス鋼基部プレートが、熱拡散プレートを覆う。したがって、有利には、基部プレートは、調理用容器の誘導加熱を可能にするために、フェライト系ステンレス鋼で作られる。
【0021】
容器本体は、ステンレス鋼の少なくとも1つの外側層を含む多層材料で作られてもよい。
【0022】
やはり有利には、調理用容器は、容器本体に取り付けられた少なくとも1つの持ち手を備える。
【0023】
やはり有利には、リブは、相互接続され、かつ、別個の谷を区切る。この構成は、食品をかき混ぜる、取り分ける、または給仕するための、リブにわたる調理用品の運動を円滑にする。
【0024】
これらの目的はまた、以下のステップを含む調理用容器を製造する方法によって達成され得る:
− ステンレス鋼のシートからブランクを具現化または供給するステップ、
− ブランクを絞り加工して、内部表面および外部表面を備えるキャップを形成するステップであって、内部表面が、側壁に取り囲まれた平坦な基部領域を含むステップ、
− キャップの外部表面上に拡散基部をホットスタンピングするステップであって、格子パターンを刻設するステップを伴い、キャップの内部表面の基部領域の少なくとも一部分を刻設して、谷よりも上側に延在する上部表面と、谷の底部表面とは異なる側部表面とを有しているリブのネットワークを形成し、リブの側部表面がリブの上部表面を谷の底部表面に接続しているステップ、
− キャップの内部表面の少なくとも刻設された基部領域をサンディングして、粗さを作り出すステップ、
− 少なくともサンディングされ刻設された基部領域に焦げ付き防止被覆を適用するステップ、
− 少なくとも被覆されサンディングされ刻設された基部領域をブラッシングおよび/または研磨して、リブの上部表面上のステンレス鋼を露出させるステップ。
【0025】
したがって、有利には、方法は、調理用容器の誘導加熱を可能にするために、拡散基部がキャップの外部表面上にホットスタンピングされるときに、キャップとは反対側の拡散基部の表面上にフェライト系ステンレス鋼の基部プレートをホットスタンピングするステップより成る。
【0026】
これらの目的はまた、以下のステップを含む調理用容器を製造する方法によって達成され得る:
− ステンレス鋼で作られた少なくとも1つの外側表面を含む鋼の多層シートからブランクを具現化または供給するステップ、
− ステンレス鋼で作られた前記外側表面の少なくとも一部分に格子パターンを刻設して、谷よりも上側に延在する上部表面と、谷の底部表面とは異なる側部表面とを有しているリブのネットワークを形成するステップであって、リブの側部表面がリブの上部表面を谷の底部表面に接続しているステップ、
− ブランクを絞り加工して、内部表面および外部表面を備えるキャップを形成するステップであって、内部表面が、側壁に取り囲まれた基部領域を含み、リブが、基部領域の少なくとも一部分にわたって延在するステップ、
− 少なくとも刻設された基部領域をサンディングして、粗さを作り出すステップ、
− 少なくともサンディングされ刻設された基部領域上に焦げ付き防止被覆を適用するステップ、
− 被覆されサンディングされ刻設された基部領域をブラッシングおよび/または研磨して、リブの上部表面上のステンレス鋼を露出させるステップ。
【0027】
格子パターンを刻設するステップは、具体的には、スタンピング、好ましくはホットスタンピングによって、またはレーザ刻設によって達成されてもよい。
【0028】
これらの目的はまた、以下のステップを含む調理用容器を製造する方法によって達成され得る:
ステンレス鋼で作られた少なくとも1つの外側表面を含む鋼の多層シートからブランクを具現化または供給するステップ、
− ブランクを絞り加工して、ステンレス鋼の前記外側表面によって形成された内部表面と、外部表面とを備えるキャップを形成するステップであって、内部表面が、側壁に取り囲まれた基部領域を含むステップ、
− 基部領域の少なくとも一部分に格子パターンを刻設して、谷よりも上側に延在する上部表面と、谷の底部表面とは異なる側部表面とを有しているリブのネットワークを形成するステップであって、リブの側部表面がリブの上部表面を谷の底部表面に接続しているステップ、
− 少なくとも刻設された基部領域をサンディングして、粗さを作り出すステップ、
− 少なくともサンディングされ刻設された基部領域上に焦げ付き防止被覆を適用するステップ、
− 被覆されサンディングされ刻設された基部領域をブラッシングおよび/または研磨して、リブの上部表面上のステンレス鋼を露出させるステップ。
【0029】
格子パターンを刻設するステップは、具体的には、スタンピング、好ましくはホットスタンピングによって、またはレーザ刻設によって達成されてもよい。
【0030】
したがって、有利には、リブの上部表面を研磨するステップは、リブの上部表面への焦げ付き防止被覆の付着を制限するために、焦げ付き防止被覆の適用に先立って行われる。
【0031】
これらの目的はまた、上述の特性による方法によって得られる調理用容器によって達成され得る。
【0032】
本発明は、非限定的な例として提供され添付の図面に示された、調理用容器の1つの実施形態の1つの例、および調理容器を製造する方法の3つの実施形態を検討することにより、より明確に理解されるであろう。
【0033】
図3から図8は、本発明による調理用容器を製造する方法の1つの最初の実施形態のステップを概略的に示す図である。
【0034】
図9から図14は、本発明による調理用容器を製造する方法の第2の実施形態のステップを概略的に示す図である。
【0035】
図15から図20は、本発明による調理用容器を製造する方法の第3の実施形態のステップを概略的に示す図である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明による調理用容器の1つの実施形態の上面概略図である。
図1a図1に示された調理用容器の内部表面の拡大断面図である。
図2図1および1aに示された調理用容器の部分的な断面図である。
図3】ステンレス鋼ブランクの断面概略図である。
図4】絞り加工した後の、図3に示されたブランクの断面概略図である。
図5】ブランクの基部の外側表面への拡散基部の組付けおよびブランクの内側表面の基部の刻設後の、図4に示された絞り加工されたブランクの断面概略図である。
図5a図5に示されたブランクの内側表面の基部の上部の拡大断面図である。
図6】ブランクの内側表面の基部のサンディングをした後の、図5に示された絞り加工されたブランクの断面概略図である。
図6a図6に示されたブランクの内側表面の基部の上方部分の拡大断面図である。
図7】ブランクの内側表面の基部に被覆を適用した後の、図6に示された絞り加工されサンディングされたブランクの断面概略図である。
図7a図7に示されたブランクの内側表面の基部の上方部分の拡大断面図である。
図8】ブランクの内側表面の基部上に形成されたリブの上部表面のブラッシングおよび/または研磨をした後の、図7に示された絞り加工されサンディングされ被覆されたブランクの断面概略図である。
図8a図8に示されたブランクの内側表面の基部の上方部分の拡大断面図である。
図9】ステンレス鋼の少なくとも1つの外側表面を含む3層ブランクの断面概略図である。
図9a】3つの層が示されている、図9に示されたブランクの一部分を示す図である。
図10】ブランクの内側表面の一部分の刻設後の、図9に示されたブランクの断面概略図である。
図10a図10に示されたブランクの内側表面の上方部分の拡大断面図である。
図11】絞り加工した後の、図10に示された刻設されたブランクの断面概略図である。
図12】ブランクの内側表面の基部のサンディングをした後の、図11に示された刻設され絞り加工されたブランクの断面概略図である。
図12a図12に示されたブランクの内側表面の基部の上方部分の拡大断面図である。
図13】ブランクの内側表面の基部に被覆を適用した後の、図12に示された刻設され絞り加工されサンディングされたブランクの断面概略図である。
図13a図13に示されたブランクの内側表面の基部の上方部分の拡大断面図である。
図14】ブランクの内側表面の基部上に形成されたリブの上部表面のブラッシングおよび/または研磨をした後の、図13に示された絞り加工されサンディングされ被覆されたブランクの断面概略図である。
図14a図14に示されたブランクの内側表面の基部の上方部分の拡大断面図である。
図15】ステンレス鋼の少なくとも1つの外側表面を含む3層ブランクの断面概略図である。
図15a】3つの層が示されている、図15に示されたブランクの一部分を示す図である。
図16】絞り加工した後の、図15に示されたブランクの断面概略図である。
図17】ブランクの内側表面の一部分の刻設後の、図16に示された絞り加工されたブランクの断面概略図である。
図17a図17に示されたブランクの内側表面の上方部分の拡大断面図である。
図18】ブランクの内側表面の基部のサンディングをした後の、図17に示された刻設され絞り加工されたブランクの断面概略図である。
図18a図18に示されたブランクの内側表面の基部の上方部分の拡大断面図である。
図19】ブランクの内側表面の基部に被覆を適用した後の、図19に示された刻設され絞り加工されサンディングされたブランクの断面概略図である。
図19a図19に示されたブランクの内側表面の基部の上方部分の拡大断面図である。
図20】ブランクの内側表面の基部上に形成されたリブの上部表面のブラッシングおよび/または研磨をした後の、図19に示された絞り加工されサンディングされ被覆されたブランクの断面概略図である。
図20a図20に示されたブランクの内側表面の基部の上方部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、部分的に被覆されたステンレス鋼で作られているテクスチャ加工された内部表面(3)を有する容器本体(2)を備える調理用容器(1)の1つの例示的な実施形態を示す。テクスチャ加工された内部表面(3)は、調理表面を形成する。図1に示されるように、テクスチャ加工された内部表面(3)は、テクスチャ加工されていない内部表面(4)に取り囲まれる。テクスチャ加工されていない内部表面(4)は、被覆されていてもよく、または被覆されていなくてもよい。被覆された、テクスチャ加工されていない内部表面(4)は、テクスチャ加工された内部表面(3)と同じ被覆を有することが好ましいであろう。被覆された、テクスチャ加工されていない内部表面は、磨かれたステンレス鋼で作られることが好ましい。
【0038】
図1に示された1つの実施形態では、テクスチャ加工された内部表面(3)は、容器本体(2)の基部を形成している平坦な部分一面に延在し、テクスチャ加工されていない内部表面(4)は、容器本体(2)の基部から上に延在している側壁一面に延在する。調理用容器(1)は、具体的には、フライパンまたはソースパンであってもよく、さらには平坦な基部を有する電子調理用デバイスの容器であってもよい。
【0039】
1つの変形形態では、テクスチャ加工された内部表面(3)は、容器本体(2)の基部から少なくとも部分的に側壁の上に延在し得る。したがって、容器本体(2)は、必ずしもテクスチャ加工されていない内部表面(4)を提示するとは限らない。したがって、テクスチャ加工された内部表面(3)は、調理用容器の内部全体を覆う場合もある。
【0040】
1つの変形形態では、容器本体(2)の基部は、必ずしも平坦ではない。したがって、調理用容器(1)は、具体的には、中華鍋であってもよく、または、凹形状の基部を有する電子調理用デバイスの容器であってもよい。
【0041】
図1に示されるように、調理用容器(1)は、容器本体(2)に取り付けられた持ち手(5)を備える。所望に応じて、調理用容器(1)は、容器本体(2)に取り付けられた少なくとも1つの他の持ち手を備え得る。図1に示された容器本体(2)は、円形の形状を有する。1つの変形形態では、容器本体(2)は、他の形状、具体的には長円形または楕円形の形状を有し得る。
【0042】
1つの最初の実施形態では、容器本体(2)は、図3に示された、ステンレス鋼のブランク(20)から製造され得る。ステンレス鋼は、オーステナイト系のもの、具体的にはグレード304のステンレス鋼、または、フェライト系のもの、具体的にはグレード441のステンレス鋼であることが好ましい。容器本体(2)の内部表面にわたる良好な熱分配を確実とするために、容器本体(2)は、有利には、図5に示された、高熱伝導性材料(アルミ合金、銅、等)で作られた対応する拡散基部(8)を有する。所望に応じて、対応する拡散基部(8)は、調理用容器(1)の誘導加熱を可能にするために、容器本体(2)と好ましくはフェライト系ステンレス鋼で作られた基部プレート(9)との間に位置決めされてもよい。
【0043】
第2の実施形態では、容器本体(2)は、図9および15に示された、ステンレス鋼で作られた少なくとも1つの外側表面(30a;40a)を含む多層ブランク(30;40)から製造され得る。ステンレス鋼で作られた外側表面(30a;40a)は、容器本体(2)の内部表面を形成するように意図されている。ステンレス鋼で作られた外側表面(30a;40a)は、オーステナイト系ステンレス鋼、例えばグレード304のステンレス鋼で作られることが好ましい。ブランク(30;40)は、高熱伝導性の材料で作られた、または高熱伝導性の材料(アルミ合金、銅、等)の組立体によって形成された、コア(30b;40b)を含む。ブランクは、調理用容器(1)の誘導加熱を可能にするために、フェライト系ステンレス鋼で作られた別の外側表面(30c;40c)を含むことが好ましい。
【0044】
図1aにより詳細に示されるように、容器本体(2)のテクスチャ加工された内部表面(3)は、複数のリブ(10)を有する。リブ(10)は、テクスチャ加工された内部表面(3)上に網目を形成する。
【0045】
図2により詳細に示されるように、リブ(10)は、谷(15)よりも上側に延在する。谷(15)は、焦げ付き防止被覆(7)で覆われた底部表面(16)を有する。リブ(10)は、被覆されていない上部表面(11)を有する。リブ(10)は、谷(15)の底部表面(16)とは異なる側部表面(12)を有する。言い換えれば、リブ(10)の側部表面(12)は、谷(15)の底部表面(16)よりも上側に延在する。リブ(10)の側部表面(12)は、谷(15)の底部表面(16)を覆う焦げ付き防止被覆(7)よりも上側に延在する。リブ(10)の側部表面(12)は、リブ(10)の上部表面(11)を谷(15)の底部表面(16)に接続する。焦げ付き防止被覆(7)は、上部表面(11)の高さを超えることなく、谷(15)の底部表面(16)からリブ(10)の上部表面(11)に向かってリブ(10)の側部表面(12)の上に延在する。したがって、被覆されていない上部表面(11)は、食品をかき混ぜる、取り分ける、または給仕するために使用される例えばへらなどの調理器具のための支持表面を形成する。
【0046】
谷(15)を覆う焦げ付き防止被覆(7)は、リブ(10)の上部表面(11)により、へらの運動から保護される。リブ(10)は、近隣のまたは隣り合った2つのリブ(10)の上部表面(11)間の距離が向きに関係なく2cm以下になるように、容器本体(2)のテクスチャ加工された内部表面(3)にわたって分散されることが好ましい。
【0047】
リブ(10)の上部表面(11)の狭さは、食品とステンレス鋼で作られた表面との接触を最小限に抑えることを可能にし、したがって、調理表面の洗浄し易さを向上させることを可能にする。それらの最小の表面寸法によって画定される上部表面(11)の幅は、有利には100μmから2mmの間である。
【0048】
図1および1aに示されるように、テクスチャ加工された内部表面(3)は、ステンレス鋼の格子を含む。格子は、図2に示されたリブ(10)の上部表面(11)によって形成される。リブ(10)は、相互接続され、かつ、別個の谷(15)を区切る。言い換えれば、リブ(10)は、谷(15)を分離する。したがって、リブ(10)は、連続的な格子ネットワークを形成する。格子内の凹部は、焦げ付き防止被覆(7)によって満たされる。
【0049】
より具体的には、図1および1aに示された実施形態では、リブ(10)は、直角に交わる2つの方向に延在して、方形の格子を形成する。
【0050】
リブ(10)の上部表面(11)によって形成されたステンレス鋼格子は、焦げ付き防止被覆(7)の保護を確実にする。ステンレス鋼格子は、多角形格子(例えば、方形、矩形、三角形、ひし形、または6角形の格子)、または楕円格子(例えば、並置された楕円または円)の形態を取ってもよい。格子ネットワークの表面は(形状に関係なく)、0.25mm2から1cm2の間であることが好ましい。格子によって画定される表面と(格子が存在する領域の)全表面の比率は、0.02から0.25の間である。言い換えれば、リブ(10)の上部表面(11)は、調理表面の2%から25%を占める。
【0051】
1つの変形形態では、隣り合った2つのリブ(10)は、必ずしも平行または垂直に位置しない。
【0052】
1つの変形形態では、格子は、必ずしも連続的ではない。少なくともいくつかの谷(15)が、相互接続され得る。少なくともいくつかのリブ(10)が、谷(15)に取り囲まれ得る。
【0053】
図2に示されるように、谷(15)の底部表面(16)およびリブ(10)の側部表面(12)は、焦げ付き防止被覆(7)の付着を向上させるために、焦げ付き防止被覆(7)の下に粗い表面(6)を有する。
【0054】
図に示された実施形態では、リブ(10)の上部表面(11)の幅は、隣り合った2つのリブ(10)間に延在する谷(15)の底部表面(16)の幅未満である。リブ(10)の上部表面(11)は、平坦である。リブ(10)は、台形状のものである。
【0055】
図2に示されるように、リブ(10)の側部表面(12)は、リブ(10)の上部表面(11)を谷(15)の底部表面(16)に接続する傾斜路を形成する。言い換えれば、リブ(10)の側部表面(12)は、傾けられて、谷(15)の底部表面(16)から上に延在する斜面を形成する。したがって、谷(15)の底部表面(16)を覆う焦げ付き防止被覆(7)は、リブ(10)の側部表面(12)を覆うように、漸進的に上に延在し得る。図2に示されるように、焦げ付き防止被覆の厚さは、リブ(10)の側部表面(12)の上方部分上よりもリブ(10)の側部表面(12)の下方部分上のほうが厚い。
【0056】
有利には、図2に示されるように、リブ(10)の側部表面(12)は、45°未満の角度(a)で谷(15)の底部表面(16)から上に延在する。角度は、20°から40°の間であることが好ましい。
【0057】
リブ(10)の上部表面(11)と谷(15)の底部表面(16)との間に画定される切り込みの深さは、0.05mmから0.2mmの間であることが好ましい。意図された切り込みの深さは、例えば、おおよそ0.1mmである。
【0058】
図2に示されるように、リブ(10)の側部表面(12)は、焦げ付き防止被覆(7)によって覆われ、リブ(10)の上部表面(11)は、焦げ付き防止被覆(7)によって覆われない。
【0059】
焦げ付き防止被覆(7)は、様々なタイプから選択され得る。
【0060】
1つの実施形態では、焦げ付き防止被覆(7)は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の外側層を有する。
【0061】
別の実施形態では、焦げ付き防止被覆(7)は、セラミックゾルゲルの外側層を有する。
【0062】
所望に応じて、少なくとも1つの中間層が外側層の下に適用されてもよい。
【0063】
焦げ付き防止被覆(7)は、調理表面のかなりの割合、典型的には大部分を占めるので、洗浄の容易さを確保することを可能にする。リブ(10)の上部表面(11)が存在することにより、食品のかき混ぜ、切断、および給仕に使用される硬い器具、具体的にはへらまたはナイフなどの金属製器具を谷(15)の底部表面(16)上の焦げ付き防止被覆(7)を損傷することなく使用できるようにする支持表面を作り出すことが可能になる。
【0064】
調理表面のこの構成は、焦げ付き防止被覆(7)によって保証される洗浄の容易さと、谷(15)の底部表面(16)上の焦げ付き防止被覆(7)の一体性を機械的応力から保護する、リブ(10)の上部表面(11)によって形成された金属格子によって保証される、調理用容器(1)の向上された耐久性とを、結び付けることを可能にする。
【0065】
被覆されていない上部表面(11)および被覆された谷(15)の並置により、焦げ付き防止特性を犠牲にすることなく、耐ひっかき性が向上される。この並置はまた、調理表面に違いを付けることを可能にする。
【0066】
ステンレス鋼シートが使用される場合、本発明による調理用容器(1)を製造する方法は、図3から8aに示された以下のステップを含み得る:
− ステンレス鋼のシートからブランク(20)を具現化または供給するステップ、
− ブランク(20)を絞り加工して、内部表面(22)および外部表面(23)を備えるキャップ(21)を形成するステップであって、内部表面(22)が、側壁(25)に取り囲まれた平坦な基部領域(24)を含むステップ、
− キャップ(21)の外部表面(23)上に拡散基部(8)をホットスタンピングするステップであって、キャップ(21)の内部表面(22)の基部領域(24)の少なくとも一部分に格子パターン(27)を刻設して、谷(15)よりも上側に延在する上部表面(11)と、谷(15)の底部表面(16)とは異なる側部表面(12)とを有しているリブ(10)のネットワークを形成するステップを伴い、リブ(10)の側部表面(12)がリブ(10)の上部表面(11)を谷(15)の底部表面(16)に接続しているステップ、
− キャップ(21)の内部表面(22)の少なくとも刻設された基部領域(24)をサンディングして、粗さ(26)を作り出すステップ、
− 少なくとも刻設されサンディングされた基部領域(24)に焦げ付き防止被覆(7)を適用するステップ、
少なくとも刻設されサンディングされ被覆された基部領域(24)をブラッシングおよび/または研磨して、リブ(10)の上部表面(11)上のステンレス鋼を露出させるステップ。
【0067】
したがって、調理表面の基部領域(24)の格子パターン形成(grid patterning)は、ホットスタンピング工程中に行われる。調理表面の基部に刻設されるように意図された格子パターン(またはデザイン)を有するパンチが使用される。格子パターンは、例えば、放電刻設(electro-spark engraving)を使用してパンチに刻設されてもよい。
【0068】
したがって、スタンピングの際に適切なパラメータ(予熱温度、スタンピング力、等)を使用することにより、スタンピングされる拡散基部(8)の付着を確実にすること、および、内部表面(22)の基部領域(24)に一様な深さで格子パターンを刻設することが可能になり、目標とされる深さは、おおよそ0.1mmである。スタンピング作業により、調理用容器(1)の平坦な部分に模様を刻設することが可能になる。したがって、この工程では、基部領域(24)と側壁(25)との間の曲げ半径における表面、または側壁(25)に何ら刻設をすることはできない。
【0069】
好ましい実施形態では、工程は、拡散基部(8)がキャップ(21)の外部表面(23)上にホットスタンピングされるときに、キャップ(21)とは反対側の拡散基部(8)の表面上にフェライト系ステンレス鋼の基部プレート(9)をホットスタンピングするステップより成る。したがって、誘導によって加熱され得る調理用容器(1)が得られ得る。基部プレート(9)は、円板の形状を有することが好ましい。基部プレート(9)は、所望に応じて追加されてもよい。
【0070】
ステンレス鋼の少なくとも1つの外側表面を含む多層ステンレス鋼シートが使用される場合、本発明による調理用容器(1)を製造する方法は、図9から14aに示された以下のステップを含み得る:
− ステンレス鋼で作られた少なくとも1つの外側表面(30a)を含む鋼(30a;30b;30c)の多層シートからブランク(30)を具現化または供給するステップ、
− ステンレス鋼の外側表面(30a)の少なくとも一部分の格子パターン(37)を刻設して、谷(15)よりも上側に延在する上部表面(11)と、谷(15)の底部表面(16)とは異なる側部表面(12)とを有しているリブ(10)のネットワークを形成するステップであって、リブ(10)の側部表面(12)がリブ(10)の上部表面(11)を谷(15)の底部表面(16)に接続しているステップ、
− ブランク(30)を絞り加工して、内部表面(32)および外部表面(33)を備えるキャップ(31)を形成するステップであって、内部表面(32)が、側壁(35)に取り囲まれた基部領域(34)を含み、リブ(10)が、基部領域(34)の少なくとも一部分にわたって延在するステップ、
− 少なくとも刻設された基部領域(34)をサンディングして、粗さ(36)を作り出すステップ、
− 少なくとも刻設されサンディングされた基部領域(34)上に焦げ付き防止被覆(7)を適用するステップ、
− 刻設されサンディングされ被覆された基部領域(34)をブラッシングおよび/または研磨して、リブ(10)の上部表面(11)上のステンレス鋼を露出させるステップ。
【0071】
絞り加工は格子パターン(37)を劣化させないので、内部表面(32)によって形成された調理表面全体にわたって一様な形で模様が刻設され得る。
【0072】
模様を刻設するために、スタンピング作業、好ましくはホットスタンピングが使用され得る。この作業により、ステンレス鋼で作られた外側表面(30a)上に所望の格子パターンを刻設することが可能になる。スタンピングされた基部を含む調理用容器に対して説明されたのと同じように、パンチおよび放電刻設された網目が、スタンピング作業のために使用され得る。
【0073】
上述の実施形態では、スタンピング作業は、絞り加工の前に行われる。
【0074】
1つの変形形態では、ブランクを絞り加工するステップは、格子パターンを刻設するステップに先立って行われ得る。したがって、本発明による調理用容器(1)を製造する方法は、図15から20aに示された以下のステップを含み得る:
− ステンレス鋼で作られた少なくとも1つの外側表面(40a)を含む鋼(40a;40b;40c)の多層シートからブランクを具現化または供給するステップ、
− ブランク(40)を絞り加工して、ステンレス鋼で作られた外側表面(40a)によって形成された内部表面(42)と、外部表面(43)とを備えるキャップ(41)を形成するステップであって、内部表面(42)が、側壁(45)に取り囲まれた平坦な基部領域(44)を含むステップ、
− 基部領域(44)の少なくとも一部分にわたって格子パターン(47)を刻設して、谷(15)よりも上側に延在する上部表面(11)と、谷(15)の底部表面(16)とは異なる側部表面(12)とを有しているリブ(10)のネットワークを形成するステップであって、リブ(10)の側部表面(12)がリブ(10)の上部表面(11)を谷(15)の底部表面(16)に接続しているステップ、
− 少なくとも刻設された基部領域(44)をサンディングして、粗さ(46)を作り出すステップ、
− 少なくとも刻設されサンディングされた基部領域(44)上に焦げ付き防止被覆(7)を適用するステップ、
− 刻設されサンディングされ被覆された基部領域(44)をブラッシングおよび/または研磨して、リブ(10)の上部表面(11)上のステンレス鋼を露出させるステップ。
【0075】
次いで、格子パターン(47)の刻設は、ブランク(40)が絞り加工された後に平坦な基部領域(44)の少なくとも一部分に行われる。したがって、この工程は、基部領域(44)と側壁(45)との間の曲げ半径における表面、または側壁(45)上の表面への、いかなる刻設も可能としない。
【0076】
被覆される表面は、刻設工程中に形成された上部表面(11)を損傷することなく、焦げ付き防止被覆(7)の最大限の付着を可能にするのに十分な粗さ(26;36;46)を作り出すために、サンディングされる。
【0077】
場合により、リブ(10)の上部表面(11)は、リブ(10)の上部表面(11)への焦げ付き防止被覆(7)の付着を制限するために、焦げ付き防止被覆(7)の適用に先立って研磨される。
【0078】
PTFEタイプの焦げ付き防止被覆の場合、具体的には褐色コランダム(brown corundum)(α−アルミナ)により、サンディングが行われ得る。以下の粗さパラメータは、粗さ(26;36;46)に対して想定されたものである:
Ra≧2μm、好ましくは3μm≦Ra≦5μm
Rz≧25μm、好ましくは30μm≦Rz≦50μm
RaおよびRzは、ISO規格4287で定義され、Raは、輪郭曲線の算術平均高さとして定義され、Rzは、最も高い5つのピークと最も低い5つの谷との間の平均距離を表す。
【0079】
表面トポグラフィが、具体的には、ダイヤモンド付刃触針式表面形状測定装置(diamond-tipped stylus probe profilometer)を用いて、またはクロマティック共焦点センサが非接触表面形状測定を可能にするAltisurf(登録商標)デバイスなどの光学式プロファイラ(optical profiler)を用いて、検査され得る。この表面トポグラフィの検査により、上記で定義されたような表面粗さパラメータを判定することが可能になる。
【0080】
PTFEタイプ焦げ付き防止被覆(7)は、表面がサンディングされた後で表面上に吹き付けられてもよい。所望に応じて、PTFEタイプ焦げ付き防止被覆(7)の外側層の適用に先立って、少なくとも1つの中間層が適用され得る。焦げ付き防止被覆(7)を420℃で加熱した後、調理用容器(1)の内部のテクスチャ加工された内部表面(3)、および、所望に応じて、テクスチャ加工されていない内部表面(4)は、研磨される。研磨することにより、リブ(10)の上部表面(11)を選択的に露出させることによるステンレス鋼格子ネットワークの露出が可能になり、被覆された谷(15)は、この作業の影響を受けない。さらに、容器本体(2)の外部もまた、PTFE被覆加熱工程中に現れる酸化物層を除去するために、研磨される。
【0081】
焦げ付き防止被覆(7)がセラミックゾルゲルの外側層を有する場合、再被覆されるべき表面は、刻設工程中に形成された上部表面(11)を損傷することなく、焦げ付き防止被覆(7)の最大限の付着を確実にするのに十分な粗さを作り出すために、サンディングされる。サンディングは、具体的には、ジルコニアコランダム研磨剤を用いて行われ得る。
【0082】
セラミック被覆が使用される場合、サンディング条件は、粗さ(26;36:46)のための以下の粗さパラメータを作り出すように調整される:
Ra≧1.5μm、好ましくは2μm≦Ra≦3μm
Rz≧10μm、好ましくは15μm≦Rz≦30μm
セラミックゾルゲル焦げ付き防止被覆(7)は、サンディング処理を受けた表面上に吹き付けられてもよい。20から40μmの被覆厚さが目標とされ得る。ステンレス鋼基材に適用されるゾルゲル被覆のための加熱サイクルは、15分間にわたる250℃までの温度上昇と、それに続く250℃での15分間の加熱とを含み得る。調理用容器(1)の内部の研磨は、リブ(10)の上部表面(11)からゾルゲル被覆を選択的に除去することにより、リブ(10)の上部表面(11)によって形成されたステンレス鋼格子ネットワークの表面を露出させることを可能にする。セラミック被覆された谷(15)は、そのような作業によって影響されない。さらに、容器本体(2)の外部もまた、ゾルゲル加熱工程中に現れる酸化物層を除去するために、研磨される。
【0083】
図8a、14a、および20aに示されるように、リブ(10)の側部表面(12)は、リブ(10)の上部表面(11)を谷(15)の底部表面(16)に接続する傾斜路を形成する。
【0084】
図8a、14a、および20aに示されるように、リブ(10)の側部表面(12)は、焦げ付き防止被覆(7)によって覆われ、リブ(10)の上部表面(11)は、焦げ付き防止被覆(7)によって覆われない。
【0085】
1つの変形形態では、リブ(10)は、必ずしもホットスタンピングまたはコールドスタンピングによって作り出されるとは限らない。絞り加工の前または後で、ブランク(20;30;40)にレーザ刻設が行われてもよい。高出力のレーザの使用は、切り込みの所望の深さ(おおよそ50から100μm)、およびリブ(10)の上部表面(11)の所望の狭さの両方を得ることを可能にする。所望に応じて、具体的にはブランク(20)がステンレス鋼で作られている場合に、拡散基部(8)、および適用可能であればフェライト系ステンレス鋼基部プレート(9)を組み付けるために、スタンピング作業が使用されてもよい。
【0086】
本発明は、決して説明された例示的な実施形態および変形形態に制限されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で多くの修正形態を包含する。
図1
図1a
図2
図3
図4
図5
図5a
図6
図6a
図7
図7a
図8
図8a
図9
図9a
図10
図10a
図11
図12
図12a
図13
図13a
図14
図14a
図15
図15a
図16
図17
図17a
図18
図18a
図19
図19a
図20
図20a