特許第6974915号(P6974915)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974915
(24)【登録日】2021年11月9日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】非消耗電極式アーク溶接方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/167 20060101AFI20211118BHJP
   B23K 9/095 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   B23K9/167 A
   B23K9/095 501A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-211925(P2017-211925)
(22)【出願日】2017年11月1日
(65)【公開番号】特開2019-84537(P2019-84537A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2020年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(72)【発明者】
【氏名】藤堂 道隆
(72)【発明者】
【氏名】大家 正寿
(72)【発明者】
【氏名】田中 利幸
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 一郎
【審査官】 正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−243744(JP,A)
【文献】 特開昭56−086680(JP,A)
【文献】 特開平03−094983(JP,A)
【文献】 特開昭50−159444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/167
B23K 9/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
起動信号の状態に従って、溶接機が溶接電流を出力、又は停止する非消耗電極式アーク溶接方法において、
動作モード指示信号が通常モードを示すとき、前記起動信号の状態に従って溶接機が溶接電流を出力、又は停止し、
動作モード指示信号がインターバルモードを示すとき、前記起動信号が入力されると、溶接機は溶接電流出力期間に溶接電流を出力し、溶接電流休止期間に溶接電流の出力を休止することを繰り返す
ことを特徴とする非消耗電極式アーク溶接方法。
【請求項2】
前記溶接電流出力期間と前記溶接電流休止期間は、予め設定された値である
ことを特徴とする請求項1に記載の非消耗電極式アーク溶接方法。
【請求項3】
前記溶接電流出力期間と前記溶接電流休止期間の繰り返した回数を計数し、繰り返した回数が予め設定した溶接電流出力回数に達したとき、溶接電流の出力を停止し、前記起動信号が入力から非入力に変化すると繰り返した回数を0にする
ことを特徴とする請求項2に記載の非消耗電極式アーク溶接方法。
【請求項4】
前記起動信号が入力されてから、予め設定した起動期間を経過したとき、溶接電流の出力を停止し、前記起動信号が入力から非入力に変化すると起動時間の測定を停止し0にする
ことを特徴とする請求項2に記載の非消耗電極式アーク溶接方法。
【請求項5】
前記起動信号が非入力から入力になると、溶接機は前記溶接電流出力期間に溶接電流を出力し、前記溶接電流休止期間に溶接電流の出力を休止することを繰り返し、前記起動信号が入力から非入力になっても繰り返しを継続し、前記起動信号が再度非入力から入力になると、溶接電流の出力を停止する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の非消耗電極式アーク溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起動信号の状態に従って、溶接機が溶接電流を出力、又は停止する非消耗電極式アーク溶接方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非消耗電極式アーク溶接方法は、電極にタングステンなどの融点の高い金属を用い、シールドガスにアルゴンやヘリウムなどの不活性ガスを用いることで、電極を消耗させず母材を溶融させるアーク溶接方法である。非消耗電極式アーク溶接方法には、TIG溶接やプラズマ溶接などがあり、主に品質を要求する部位の溶接に用いられる溶接方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−9115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
品質を要求する部位の溶接において、歪みが大きくなる、溶け落ちるといった不良を避けるため、母材入熱をできる限り低くすることが求められる。
【0005】
特許文献1において、相対的に高い電流値であるピーク電流と、相対的に低いベース電流を周期的に出力するパルスTIG溶接において、相対的に低い平均電流値である高周波パルス電流をベース電流の代わりに出力するパルスTIG溶接方法が提案されている。
【0006】
特許文献1によると、平均電流が70A以下で行われるパルスTIG溶接において、ベース電流を20A以下にする場合が生じ、ベース電流を出力している間にアークが不安定になると示されている。特許文献1では、ベース電流の代わりに高周波パルス電流を出力することで、アークが安定すると示されている。
【0007】
特許文献1に示される方法を用いても、ベース電流を出力することには変わりなく、母材入熱を低くするには限界がある。
【0008】
そこで、本発明では、簡便な方法で母材入熱をできる限り低くする非消耗電極式アーク溶接方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、起動信号の状態に従って、溶接機が溶接電流を出力、又は停止する非消耗電極式アーク溶接方法において、動作モード指示信号が通常モードを示すとき、前記起動信号の状態に従って溶接機が溶接電流を出力、又は停止し、動作モード指示信号がインターバルモードを示すとき、前記起動信号が入力されると、溶接機は溶接電流出力期間に溶接電流を出力し、溶接電流休止期間に溶接電流の出力を休止することを繰り返すことを特徴とする非消耗電極式アーク溶接方法である。
【0010】
請求項2の発明は、前記溶接電流出力期間と前記溶接電流休止期間は、予め設定された値であることを特徴とする請求項1に記載の非消耗電極式アーク溶接方法である。
【0011】
請求項3の発明は、前記溶接電流出力期間と前記溶接電流休止期間の繰り返した回数を計数し、繰り返した回数が予め設定した溶接電流出力回数に達したとき、溶接電流の出力を停止し、前記起動信号が入力から非入力に変化すると繰り返した回数を0にすることを特徴とする請求項2に記載の非消耗電極式アーク溶接方法である。
【0012】
請求項4の発明は、前記起動信号が入力されてから、予め設定した起動期間を経過したとき、溶接電流の出力を停止し、前記起動信号が入力から非入力に変化すると起動時間の測定を停止し0にすることを特徴とする請求項2に記載の非消耗電極式アーク溶接方法である。
【0013】
請求項5の発明は、前記起動信号が非入力から入力になると、溶接機は前記溶接電流出力期間に溶接電流を出力し、前記溶接電流休止期間に溶接電流の出力を休止することを繰り返し、前記起動信号が入力から非入力になっても繰り返しを継続し、前記起動信号が再度非入力から入力になると、溶接電流の出力を停止することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の非消耗電極式アーク溶接方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡便な方法で母材入熱をできる限り低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態1に係る非消耗電極式アーク溶接方法を実施するための溶接機のブロック図である。
図2】本発明の実施の形態1における非消耗電極式アーク溶接方法の動作モード指示信号がインターバルモードのときのタイミングチャートである。
図3】本発明の実施の形態2に係る非消耗電極式アーク溶接方法を実施するための溶接機のブロック図である。
図4】本発明の実施の形態2における非消耗電極式アーク溶接方法のタイミングチャートである。
図5】本発明の実施の形態3に係る非消耗電極式アーク溶接方法を実施するための溶接機のブロック図である。
図6】本発明の実施の形態4に係る非消耗電極式アーク溶接方法を実施するための溶接機ブロック図である。
図7】本発明の実施の形態4における非消耗電極式アーク溶接方法のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
[実施の形態1]
実施の形態1の発明は、前記動作モード指示信号がインターバルモードを示すとき、前記起動信号が入力されると、溶接機は前記溶接電流出力期間に溶接電流を出力し、前記溶接電流休止期間に溶接電流の出力を休止することを繰り返す非消耗電極式アーク溶接方法である。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態1に係る非消耗電極式アーク溶接方法を実施するための溶接機のブロック図である。以下、同図を参照して、各ブロックについて説明する。
【0019】
溶接機WMは、インバータ回路INV、変圧器INT、整流ダイオードD2a〜d、極性切替回路PTR、NTR、駆動回路DR、直流リアクトルWL、溶接条件設定回路IS、電流検出回路ID、制御回路CNTを有し、溶接トーチ4に内蔵される電極1と母材2との間に溶接電流Iwを出力する。前記溶接機WMは、交流TIG溶接機の基本的な回路構成を模しているが、適用される非消耗電極式アーク溶接方法に合わせて回路構成は変更される。例えば、前記溶接機WMが直流TIG溶接機であれば、前記極性切替回路PTR、NTRは省略される。
【0020】
前記溶接条件設定回路ISは、溶接条件設定信号Isを出力する。前記溶接条件設定信号Isには、設定電流Iset、溶接モード設定信号、パルス周波数、パルスピーク電流、パルスベース電流、極性切替周波数等の前記溶接機WMの動作を定義する上で必要な情報が含まれる。
【0021】
前記電流検出回路IDは、前記溶接電流Iwを検出して電流検出信号Idを出力する。前記制御回路CNTは、前記溶接条件設定信号Is、前記電流検出信号Id、後述する溶接出力信号Aoを入力として、駆動信号Dr、電流誤差増幅信号Eiを出力する。前記制御回路CNTは、後述する溶接出力信号Aoが入力されると、前記電流検出信号Idを元に、前記溶接電流Iwが前記溶接条件設定信号Isに定める所定の値になるように、前記駆動信号Drと電流誤差増幅信号Eiを制御する。後述する溶接出力信号Aoが非入力になると、前記溶接条件設定信号Isに従って、前記溶接電流Iwの出力を止めるように電流誤差増幅信号Eiを制御する。
【0022】
前記インバータ回路INVは、3相200V等の商用電源ACと前記電流誤差増幅信号Eiを入力として、前記電流誤差増幅信号Eiに従って前記商用電源ACを高周波交流に変換し、前記変圧器INTへ出力する。前記高周波交流は、前記変圧器INTと前記整流ダイオードD2a〜dにて、前記溶接電流Iwに変換され、前記極性切替回路PTR、NTRへ出力される。
【0023】
前記駆動回路DR、及び前記極性切替回路PTR、NTRは、前記駆動信号Drを入力として、前記駆動信号Drに従って何れかの前記極性切替回路を励起する。前記極性切替回路PTR、NTRは、入力された前記溶接電流Iwの極性を変換して、直流リアクトルWLに出力する。前記溶接電流Iwは、前記直流リアクトルWLにて平滑され、前記溶接トーチ4へ出力される。
【0024】
前記溶接トーチ4は、図示しないが内部に前記電極1に対し前記溶接電流Iwを給電する機構と、前記電極1を把持する機構と、前記電極1と前記母材2の間にシールドガスを供給する機構を有する。シールドガスを供給した状態で前記溶接電流Iwを通電させると、前記電極1と前記母材2との間にアーク3が発生する。
【0025】
上述の通り、前記溶接機WMは、後述する溶接出力信号Aoを入力として、前記溶接電流Iwを、前記溶接トーチ4に出力する回路であると見做すことができる。以下において前記溶接機WMは、後述する溶接出力信号Aoが入力されると前記溶接電流Iwを出力し、後述する溶接出力信号Aoが未入力であると前記溶接電流Iwを出力しない、という挙動を示す回路とする。
【0026】
起動信号設定回路TSは、予め定められた起動信号Tsを出力する。前記起動信号Tsは、少なくともを出力されている状態と、出力されていない状態を示す。
【0027】
動作モード設定回路MSは、予め定められた動作モード指示信号Msを出力する。前記動作モード指示信号Msは、少なくとも通常モードとインターバルモードの2つの状態を指示する信号である。
【0028】
溶接電流出力期間設定回路OSは、予め定められた溶接電流出力期間信号Osを出力する。溶接電流休止期間設定回路FSは、予め定められた溶接電流休止期間信号Fsを出力する。前記溶接電流出力期間信号Os、及び前記溶接電流休止期間信号Fsは、例えば、0.05s以上9.99s以下の時間を示す。
【0029】
第1溶接出力設定回路TM1は、前記起動信号Ts、前記動作モード指示信号Ms、前記溶接電流出力期間信号Os、前記溶接電流休止期間信号Fsを入力とし、溶接出力信号Aoを出力する。前記溶接出力信号Aoは、少なくともを出力されている状態と、出力されていない状態の2つの状態を持つ。前記溶接出力信号Aoを受け取る側からみると、出力されている状態は入力状態であり、出力されていない状態は未入力状態である。入力状態をHighレベル、未入力状態をLowレベルと例示する。前記第1溶接出力設定回路TM1は、電磁リレーやスイッチング素子等の、少なくとも2つのスイッチング回路から構成され、各入力信号を元にそれぞれのスイッチング回路を切り替えて、前記溶接出力信号Aoを生成する。
【0030】
前記第1溶接出力設定回路TM1は、前記動作モード指示信号Msが前記通常モードを示すとき、前記起動信号Tsの状態をそのまま前記溶接出力信号Aoに出力する。前記第1溶接出力設定回路TM1は、前記動作モード指示信号Msが前記インターバルモードを示すとき、次に示す動作をする。
(1)前記起動信号Tsが未入力のとき、前記起動信号Tsの状態をそのまま前記溶接出力信号Aoに出力する。すなわち、前記溶接出力信号AoはLowレベルである。
(2)前記起動信号Tsが入力されると、前記溶接電流出力期間信号Osの示す期間の間、前記起動信号Tsの状態をそのまま前記溶接出力信号Aoに出力する。すなわち、前記溶接出力信号AoはHighレベルである。
(3)前記溶接電流出力期間信号Osの示す期間を経過すると、前記溶接電流休止期間信号Fsの示す期間の間、前記溶接出力信号AoをLowレベルにする。
(4)前記溶接電流休止期間信号Fsの示す期間を経過すると、(2)に戻る。
(5)前記起動信号Tsが入力から未入力に変化すると、(2)〜(4)の繰り返しを終了する。前記起動信号Tsをそのまま前記溶接出力信号Aoに出力する。すなわち、前記溶接出力信号AoはLowレベルである。
【0031】
図2は、実施の形態1における非消耗電極式アーク溶接方法のタイミングチャートである。同図(A)は、前記溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(B)は、前記起動信号Tsの時間変化を示し、同図(C)は、前記溶接出力信号Aoの時間変化を示す。各々の横軸は時刻を示す。以下、同図を用いて、実施の形態1の動作を説明する。
【0032】
同図(B)において、前記起動信号Tsは出力されていない状態を示すOFFと、出力されている状態を示すONの2つの状態を示す。信号を受け取る側からみると、OFFが未入力を、ONが入力を示す。
【0033】
時刻t1以前は、前記起動信号TsはOFFすなわち未入力であるため、前記溶接出力信号Aoは前記起動信号Tsをそのまま出力する。すなわち、前記溶接出力信号AoはLowレベルであり、前記溶接機WMは前記溶接電流Iwの出力をしない。
【0034】
前記時刻t1において、前記起動信号TsはONすなわち入力される。前記溶接出力信号Aoは前記起動信号Tsをそのまま出力する。すなわち、前記溶接出力信号AoはHighレベルであるため、前記溶接機WMは前記溶接電流Iwを出力する。同図(A)前記溶接電流Iwにおいて、実際には平均電流が前記設定電流Isetになる交流波形が出力されるが、簡略して前記設定電流Isetが出力されると表記する。
【0035】
前記時刻t1から前記溶接電流出力期間Osが経過した時刻t2の間、前記溶接出力信号AoはHighレベルであるため、前記溶接機WMが前記溶接電流Iwを出力する。
【0036】
前記時刻t2において、前記溶接出力信号AoはLowになる。前記溶接機WMは前記溶接電流Iwの出力を休止する。
【0037】
前記時刻t2から前記溶接電流休止期間Fsが経過した時刻t3の間、前記溶接出力信号AoはLowを維持する。したがって、前記溶接機WMは、前記溶接電流Iwの出力を休止し続ける。
【0038】
前記時刻t3において、前記溶接出力信号AoはHighになり、前記溶接出力信号Aoは前記起動信号Tsをそのまま出力する。すなわち、前記溶接出力信号AoはHighレベルであるため、前記溶接機WMが前記溶接電流Iwを出力する。
【0039】
前記時刻t3以降は、前記起動信号TsがOFFになるまで、前記時刻t1から前記時刻t3の間に示す処理を繰り返す。そして、前記起動信号TsがOFFになる時刻teにおいて、処理の繰り返しを終了し、前記溶接出力信号AoをLowにする。前記溶接機WMは、前記溶接電流Iwの出力を停止する。
【0040】
次に、上述した本発明の実施の形態1に係る非消耗電極式アーク溶接方法の作用効果について説明する。一般的にはアークを維持することが困難である電流の平均電流20Aで溶接する場合、例えば前記設定電流Isetを80A、前記溶接電流出力期間Osを0.1s、前記溶接電流休止期間信号Fsを0.3sとすると、アークを維持することに十分な電流を出力しつつ、休止期間を設けることで平均電流が下げられるため、平均電流20Aで溶接することができる。このように、前記溶接機WMの処理に関知することなく、設定電流、出力期間、休止期間を適切に設定することで、容易に低い溶接電流を得ることができる。
【0041】
しかるに、本発明の実施の形態1に係る非消耗電極式アーク溶接方法は、低い溶接電流を出力するために特別な機能を有する溶接機を用いる必要がないため、簡便な方法で母材入熱をできる限り低くすることができる。
【0042】
本発明の実施の形態1に係る非消耗電極式アーク溶接方法は、品質を要求する部位の溶接に用いられることから、作業者が母材の溶融状態を目視で確認しつつ調整しながら溶接する手動溶接において用いられることが望ましい。また、非消耗電極式アーク溶接方法の中で、アークのエネルギー密度が低く手動溶接に向くTIG溶接に用いられることが望ましい。
【0043】
[実施の形態2]
実施の形態2の発明は、前記溶接電流出力期間と前記溶接電流休止期間の繰り返した回数を計数し、繰り返した回数が予め設定した溶接電流出力回数に達したとき、溶接電流の出力を停止する非消耗電極式アーク溶接方法である。
【0044】
図3は本発明の実施の形態2に係る非消耗電極式アーク溶接方法を実施する溶接機のブロック図である。以下、同図を参照して、各ブロックについて説明する。同図において、図1と同一のブロックには同一符号を付して、それらの説明は省略する。同図は、図1に繰り返し回数設定回路CSを追加し、前記第1溶接出力設定回路TM1を第2溶接出力設定回路TM2に置換したものである。
【0045】
前記繰り返し回数設定回路CSは、予め定められた繰り返し回数設定信号Csを出力する。前記繰り返し回数設定信号Csは、例えば1〜999回の範囲を持つ。
【0046】
前記第2溶接出力設定回路TM2は、前記起動信号Ts、前記動作モード指示信号Ms、前記溶接電流出力期間信号Os、前記溶接電流休止期間信号Fs、前記繰り返し回数設定信号Csを入力とし、溶接出力信号Aoを出力する。
【0047】
前記第2溶接出力設定回路TM2は、前記動作モード指示信号Msが前記通常モードを示すとき、前記起動信号Tsの状態をそのまま前記溶接出力信号Aoに出力する。前記第2溶接出力設定回路TM2は、前記動作モード指示信号Msが前記インターバルモードを示すとき、次に示す動作をする。
(1)前記起動信号Tsが未入力のとき、前記起動信号Tsの状態をそのまま前記溶接出力信号Aoに出力する。すなわち、前記溶接出力信号AoをLowにし、繰り返し回数を0にする。
(2)前記起動信号Tsが入力されると、前記溶接電流出力期間信号Osの示す期間の間、前記起動信号Tsの状態をそのまま前記溶接出力信号Aoに出力する。すなわち、前記溶接出力信号AoをHighにする。
(3)前記溶接電流出力期間信号Osの示す期間を経過すると、前記溶接電流休止期間信号Fsの示す期間の間、前記溶接出力信号AoをLowにする。
(4)前記溶接電流休止期間信号Fsの示す期間を経過すると、繰り返し回数をカウントアップし、(2)に戻る。
(5)(2)〜(4)の繰り返し回数が前記繰り返し回数設定信号Cs以上になると、(2)〜(4)の繰り返しを終了し、前記溶接出力信号AoをLowにする。
(6)前記起動信号Tsが入力から未入力に変化すると、(2)〜(4)の繰り返しを終了し、繰り返し回数を0にする。同時に前記起動信号Tsの状態をそのまま前記溶接出力信号Aoに出力する。すなわち、前記溶接出力信号AoをLowにする。
【0048】
図4は、実施の形態2における非消耗電極式アーク溶接方法のタイミングチャートである。同図(A)は、前記溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(B)は、前記起動信号Tsの時間変化を示し、同図(C)は、前記溶接出力信号Aoの時間変化を示す。各々の横軸は時刻を示す。以下、同図を用いて、実施の形態2の動作を説明する。同図において、図2と同一の信号及び時刻には同一符号を付して、それらの説明は省略する。
【0049】
図4の時刻t3からt4の間、繰り返し回数が前記繰り返し回数設定信号Cs以上になるまで、前記時刻t1から前記時刻t3の間に示す処理を繰り返す。時刻t4において、繰り返し回数が前記繰り返し回数設定信号Csに達する。したがって、繰り返しを終了し、前記溶接出力信号AoをLowにする。
【0050】
次に、上述した本発明の実施の形態2に係る非消耗電極式アーク溶接方法の作用効果について説明する。品質を要求する部位の溶接において、母材入熱を管理する観点から溶接時間を管理する必要がある。特に手動溶接において、作業者はアークを目視しながら溶接することから、時間を知る術がなく時間管理がおろそかになる。そのため、予め繰り返し回数を指定することで、溶接時間の管理を容易にする。
【0051】
[実施の形態3]
実施の形態3の発明は、前記起動信号が入力されてから、予め設定した起動期間を経過したとき、溶接電流の出力を停止する非消耗電極式アーク溶接方法である。
【0052】
図5は本発明の実施の形態3に係る非消耗電極式アーク溶接方法を実施する溶接機のブロック図である。以下、同図を参照して、各ブロックについて説明する。同図において、図1及び図3と同一のブロックには同一符号を付して、それらの説明は省略する。同図は、図3の前記繰り返し回数設定回路CSを起動時間設定回路TCに、前記第2溶接出力設定回路TM2を第3溶接出力設定回路TM3に置換したものである。
【0053】
前記起動時間設定回路TCは、予め定められた起動時間設定信号Tcを出力する。前記起動時間設定信号Tcは、例えば0.1秒以上である。
【0054】
前記第3溶接出力設定回路TM3は、前記起動信号Ts、前記動作モード指示信号Ms、前記溶接電流出力期間信号Os、前記溶接電流休止期間信号Fs、前記起動時間設定信号Tcを入力とし、溶接出力信号Aoを出力する。
【0055】
前記第3溶接出力設定回路TM3は、前記動作モード指示信号Msが前記通常モードを示すとき、前記起動信号Tsの状態をそのまま前記溶接出力信号Aoに出力する。前記第3溶接出力設定回路TM3は、前記動作モード指示信号Msが前記インターバルモードを示すとき、次に示す動作をする。
(1)前記起動信号Tsが未入力のとき、前記起動信号Tsの状態をそのまま前記溶接出力信号Aoに出力する。すなわち、前記溶接出力信号AoをLowにし、起動時間を0にする。
(2)前記起動信号Tsが入力されると同時に起動時間の測定を開始する。
(3)前記溶接電流出力期間信号Osの示す期間の間、前記溶接出力信号AoをHighにし、前記起動信号Tsの状態をそのまま前記溶接出力信号Aoに出力する。すなわち、前記溶接出力信号AoをHighにする。
(4)前記溶接電流出力期間信号Osの示す期間を経過すると、前記溶接電流休止期間信号Fsの示す期間の間、前記溶接出力信号AoをLowにする。
(5)前記溶接電流休止期間信号Fsの示す期間を経過すると(3)に戻る。
(6)起動時間が前記起動時間設定信号Tc以上になると、(3)〜(5)の繰り返しを終了し、前記溶接出力信号AoをLowにする。同時に溶接時間の測定を停止する。
(7)前記起動信号Tsが入力から未入力に変化すると、(3)〜(5)の繰り返しを終了し、起動時間の測定を停止し0にする。同時に前記起動信号Tsの状態をそのまま前記溶接出力信号Aoに出力する。すなわち、前記溶接出力信号AoをLowにする。
【0056】
実施の形態3は、実施の形態2に示す繰り返し回数ではなく、起動時間をそのままを指定する形態である。実施の形態3のタイミングチャートは、起動時間が図2の時刻t1から時刻t4であるため、図2と同様になる。ただし、前記起動時間設定信号Tcによっては、時刻t4は溶接電流出力期間に重なることが在り得る。実施の形態3は起動時間を指定することから、より溶接時間の管理が容易になる。
【0057】
[実施の形態4]
実施の形態4の発明は、前記起動信号が非入力から入力になると、溶接機は前記溶接電流出力期間に溶接電流を出力し、前記溶接電流休止期間に溶接電流の出力を休止することを繰り返し、前記起動信号が再度非入力から入力になると、溶接電流の出力を停止する非消耗電極式アーク溶接方法である。
【0058】
図6は本発明の実施の形態4に係る非消耗電極式アーク溶接方法を実施する溶接機のブロック図である。以下、同図を参照して、各ブロックについて説明する。同図において、図1と同一のブロックには同一符号を付して、それらの説明は省略する。同図は、図1の前記起動信号設定回路TSと前記第1溶接出力設定回路TM1の間に、自己保持回路SKを挿入し、前記第1溶接出力設定回路TM1の入力信号の1つである前記起動信号Tsを、第2起動信号Ts2に置換したものである。
【0059】
前記自己保持回路SKは、前記起動信号Tsを入力とし、第2起動信号Ts2を出力する。第2起動信号Ts2は、出力されている状態と、出力されていない状態を示す。前記自己保持回路SKは、前記起動信号Tsが非入力から入力に変化したときのみ、第2起動信号Ts2の状態を切り替える。
【0060】
図7は、実施の形態4における非消耗電極式アーク溶接方法のタイミングチャートである。同図(A)は、前記溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(B)は、前記起動信号Tsの時間変化を示し、同図(B′)は、前記第2起動信号Ts2の時間変化を示し、同図(C)は、前記溶接出力信号Aoの時間変化を示す。各々の横軸は時刻を示す。以下、同図を用いて、実施の形態4の動作を説明する。同図において、図2と同一の信号及び時刻には同一符号を付して、それらの説明は省略する。
【0061】
同図(B′)において、前記第2起動信号Ts2は、出力されていない状態を示すOFFと出力されている状態を示すONの2つの状態を示す。信号を受け取る側からみると、OFFが未入力を、ONが入力を示す。
【0062】
時刻t1にて、前記起動信号TsがOFFからONに変化したため、前記第2起動信号Ts2はOFFからONに変化する。よって、前記第1溶接出力設定回路TM1が、実施の形態1と同様の動作を行い、溶接電流Iwが出力される。
【0063】
時刻t1以降、いずれかの時刻で、前記起動信号TsはONからOFFに変化する。しかし、前記第2起動信号Ts2はONのまま変化しない。したがって、前記第1溶接出力設定回路TM1は、実施の形態1と同様の動作を続ける。
【0064】
時刻teにて、前記起動信号TsがOFFからONに変化したため、前記第2起動信号Ts2はONからOFFに変化する。よって、前記第1溶接出力設定回路TM1が、実施の形態1と同様の動作を行い、溶接電流の出力を停止する。
【0065】
実施の形態4は、実施の形態1の前記起動信号Tsの状態を自己保持し、実施の形態1の前記起動信号Tsが未入力でも溶接電流出力期間と溶接電流休止期間を繰り返すことができる形態である。手動溶接において、起動信号設定回路に相当する部品であるトーチスイッチを押し続けて溶接することは、作業者の苦痛になり作業性の低下につながる。したがって、実施の形態4は、実施の形態1より手動溶接における作業性が向上する。
【0066】
また実施の形態4は、起動信号周辺を置換すれば実施できることから、実施の形態2及び実施の形態3と組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0067】
AC 商用電源
Ao 溶接出力信号
CNT 制御回路
CS 繰り返し回数設定回路
Cs 繰り返し回数設定信号
D2a〜d 整流ダイオード
DR 駆動回路
Dr 駆動信号
Ei 電流誤差増幅信号
FS 溶接電流休止期間設定回路
Fs 溶接電流休止期間信号
ID 電流検出回路
Id 電流検出信号
INT 変圧器
INV インバータ回路
IS 溶接条件設定回路
Is 溶接条件設定信号
Iw 溶接電流
MS 動作モード設定回路
Ms 動作モード指示信号
NTR、PTR 極性切替回路
OS 溶接電流出力期間設定回路
Os 溶接電流出力期間信号
SK 自己保持回路
TC 起動時間設定回路
Tc 起動時間設定信号
TM1 第1溶接出力設定回路
TM2 第2溶接出力設定回路
TM3 第3溶接出力設定回路
TS 起動信号設定回路
Ts 起動信号
Ts2 第2起動信号
WL 直流リアクトル
WM 溶接機
1 電極
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7