(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974920
(24)【登録日】2021年11月9日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】冷却ファンの配設構造
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20211118BHJP
F01P 5/02 20060101ALI20211118BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
E02F9/00 M
F01P5/02 G
F01P5/02 H
B60K11/04 E
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-186665(P2019-186665)
(22)【出願日】2019年10月10日
(65)【公開番号】特開2021-63339(P2021-63339A)
(43)【公開日】2021年4月22日
【審査請求日】2020年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】505236469
【氏名又は名称】キャタピラー エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】西岡 卓也
【審査官】
高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−297644(JP,A)
【文献】
特開2008−025416(JP,A)
【文献】
特開2017−128928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
F01P 5/02
B60K 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納室に配設される熱交換器と、収納室を覆蓋する外装カバーと、該外装カバーに開設される開口部と、開口部を閉じる閉鎖状態と開口部を開く開放状態とにヒンジを支点として開閉揺動する開閉カバーと、熱交換器に冷却風を供給する冷却ファンとを備えた建設機械において、冷却ファンを熱交換器の室外側に配するにあたり、熱交換器を閉鎖状態の開閉カバーに対向する位置に配置するとともに、開閉カバーは、前記開閉カバーの開閉揺動の支点となるヒンジが取付けられる外側面と、該外側面に一体的に固定され、開閉カバーの閉鎖状態で外側面の室内側に位置する内側面とを備えたものとし、該開閉カバーの内側面に冷却ファンを取付けて、開閉カバーの閉鎖状態では熱交換器に冷却ファンが対向して冷却風を供給する一方、前記ヒンジを支点として開閉カバーを開放状態にすることにより該開閉カバーと共に冷却ファンが熱交換器から離間して該熱交換器に開口部からアクセスできる構成にしたことを特徴とする冷却ファンの配設構造。
【請求項2】
請求項1において、開閉カバーは内側面および外側面を備えた閉断面構造のものであって、該開閉カバーの外側面は冷却風が通過する通気孔を有することを特徴とする冷却ファンの配設構造。
【請求項3】
請求項2において、冷却ファンは、大半部が閉断面構造の内側面と外側面との間の空間部に嵌入する状態で、開閉カバーの内側面に取付けられることを特徴とする冷却ファンの配設構造。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項において、熱交換器の外周側に、開閉カバーの閉鎖状態で冷却ファンの外周側の開閉カバーに当接して熱交換器と冷却ファンとの間の風路を形成するダクト部材を設ける一方、該ダクト部材と開閉カバーとの当接部に気密部材を設けたことを特徴とする冷却ファンの配設構造。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか一項において、冷却ファンの外周側の開閉カバーに、開閉カバーの閉鎖状態で熱交換器の外周側に当接して熱交換器と冷却ファンとの間の風路を形成するダクト部材を設ける一方、該ダクト部材と熱交換器との当接部に気密部材を設けたことを特徴とする冷却ファンの配設構造。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項において、冷却ファンは電動モータにより駆動される電動ファンであることを特徴とする冷却ファンの配設構造。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項において、開閉カバーに冷却ファンを複数取付けたことを特徴とする冷却ファンの配設構造。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項において、開閉カバーは、熱交換器あるいは該熱交換器を収納室に取付け支持するための熱交換器支持部材に、ヒンジを介して開閉揺動自在に支持されることを特徴とする冷却ファンの配設構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に冷却風を供給する冷却ファンの配設構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、パワーショベル等の建設機械には、オイルクーラーやラジエータ、エアコン用コンデンサ等の各種熱交換器と、これら熱交換器に冷却風を供給するための冷却ファンが設けられる。このような冷却ファンとしては、エンジン出力軸にベルトを介して連動連結されるファンや、油圧モータで回転させるファン等が従来から汎用的に用いられているが、近年、エンジンを搭載していない電動式パワーショベルが増加していることや、レイアウトの自由度、速度コントロールのしやすさ等の観点から、DCモータ式の電動ファンも用いられている。さらに、これら冷却ファンおよび熱交換器を車体に配設するにあたり、エンジン出力軸に連動連結されているファンの場合には、通常、エンジンルーム内においてファンの室外側に熱交換器を配し、ファンで外気を吸い込んで熱交換器およびエンジンルーム内を冷却するように構成されている。一方、電動ファンのように、電子部品が熱の影響を受けにくいように熱交換器よりも冷却風の上流側にファンを配することが要求される場合や、レイアウトの都合上、熱交換器の室外側に冷却ファンを配したものも知られている(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、パワーショベル等の建設機械は、土砂や塵芥等が飛散する過酷な作業現場で使用されることが多いため、熱交換器が目詰まりしやすく、清掃、点検、修理等の定期的なメンテナンスが必要となる。このため、通常、熱交換器が収納されている収納室に車外からアクセスできる開口部を設けるとともに、該開口部を開閉自在なカバーで覆蓋し、該カバーを開けることで開口部から熱交換器のメンテナンスを行えるように構成することが要求される。この場合、熱交換器が冷却ファンの室外側に配設されていれば、カバーを開けるだけで開口部から熱交換器に容易にアクセスすることができる。しかしながら、前記特許文献1のように、冷却ファンが熱交換器の室外側に配設されていると、該冷却ファンが邪魔になって熱交換器にアクセスすることができず、熱交換器のメンテナンス時には冷却ファンあるいは冷却ファンが組付けられているケーシングごと取外す必要があって、時間と手間がかかり、メンテナンス性に劣るという問題がある。
一方、熱交換器の室外側に冷却ファンが配された建設機械(ホイールローダ)において、冷却ファンが組み込まれた送風ユニットを、熱交換器の背面に対向する閉位置と、熱交換器の背面を露出させる開位置とに回動可能に構成したものが提唱されている(例えば、特許文献2参照)。このものでは、熱交換器の室外側に冷却ファンが配されていても、送風ユニットを開位置にすることによって、開口部から熱交換器にアクセスすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−140643号公報
【特許文献2】WO2018/123021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献2のものは、熱交換器のメンテナンスを行うにあたり、まず、開口部を開閉自在に覆蓋するカバー(グリル)を開き、さらに、送風ユニットを開位置に位置せしめるという二段階の開操作が必要となる。しかも、カバーを開閉するための機構と、送風ユニットを開閉するための機構との2つの開閉機構が必要であって、部品点数も多くなり構造も複雑になるという問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、
収納室に配設される熱交換器と、
収納室を覆蓋する外装カバーと、該外装カバーに開設される開口部と、開口部を
閉じる閉鎖状態と開口部を開く開放状態とにヒンジを支点として開閉揺動する開閉カバーと、熱交換器に冷却風を供給する冷却ファンとを備えた建設機械において、冷却ファンを熱交換器の室外側に配するにあたり、熱交換器を閉鎖状態の開閉カバーに対向する位置に配置するとともに、
開閉カバーは、前記開閉カバーの開閉揺動の支点となるヒンジが取付けられる外側面と、該外側面に一体的に固定され、開閉カバーの閉鎖状態で外側面の室内側に位置する内側面とを備えたものとし、該開閉カバーの内側面に冷却ファン
を取付けて、
開閉カバーの閉鎖状態では熱交換器に冷却ファンが対向して冷却風を供給する一方、
前記ヒンジを支点として開閉カバー
を開放状態
にすることにより該開閉カバー
と共に冷却ファンが熱交換器から離間して該熱交換器に開口部からアクセスできる構成にしたことを特徴とする冷却ファンの配設構造である。
請求項2の発明は、請求項1において、開閉カバーは内側面および外側面を備えた閉断面構造のものであって、
該開閉カバーの外側面は冷却風が通過する通気孔を有することを特徴とする冷却ファンの配設構造である。
請求項3の発明は、請求項2において、冷却ファンは、大半部が閉断面構造の内側面と外側面との間の空間部に嵌入する状態で、開閉カバーの内側面に取付けられることを特徴とする冷却ファンの配設構造である。
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか一項において、熱交換器の外周側に、開閉カバーの閉鎖状態で冷却ファンの外周側の開閉カバーに当接して熱交換器と冷却ファンとの間の風路を形成するダクト部材を設ける一方、該ダクト部材と開閉カバーとの当接部に気密部材を設けたことを特徴とする冷却ファンの配設構造である。
請求項5の発明は、請求項1乃至3の何れか一項において、冷却ファンの外周側の開閉カバーに、開閉カバーの閉鎖状態で熱交換器の外周側に当接して熱交換器と冷却ファンとの間の風路を形成するダクト部材を設ける一方、該ダクト部材と熱交換器との当接部に気密部材を設けたことを特徴とする冷却ファンの配設構造である。
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか一項において、冷却ファンは電動モータにより駆動される電動ファンであることを特徴とする冷却ファンの配設構造である。
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか一項において、開閉カバーに冷却ファンを複数取付けたことを特徴とする冷却ファンの配設構造である。
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れか一項において、開閉カバーは、熱交換器あるいは該熱交換器を収納室に取付け支持するための熱交換器支持部材に、ヒンジを介して開閉揺動自在に支持されることを特徴とする冷却ファンの配設構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、冷却ファンを熱交換器の室外側に配したものでありながら、メンテナンス性の向上、構造の簡略化を図れる。
請求項2の発明とすることにより、通気孔を有した開閉カバーへの冷却ファンの取付けが容易になるとともに、開閉カバーの剛性アップも図れる。
請求項3の発明とすることにより、冷却ファンを有効に保護できるとともに、冷却ファンの開閉カバー内側面から室内側への突出量を抑えることができる。
請求項4または5の発明とすることにより、開閉カバーを開いたときに熱交換器と冷却ファンとが離間するものであっても、開閉カバーの閉鎖状態では熱交換器と冷却ファンとの間に気密状の風路を形成することができて、冷却効率の向上に貢献できる。
請求項6の発明とすることにより、電動ファンを、熱の影響を受けにくい状態で配設することができる。
請求項7の発明とすることにより、熱交換器の数、容量、種類等に対応した数の冷却ファンを設けることができる。
請求項8の発明とすることにより、熱交換器と開閉カバーに取付けられる冷却ファンとの位置関係の調整を容易に行えるとともに、熱交換器または熱交換器支持部材が開閉カバーの支持フレームを兼ねることになって、部材の兼用化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】上部旋回体における機器類の配置状態を示す図である。
【
図3】開閉カバーを開けた状態の要部斜視図である。
【
図4】開閉カバーを開けた状態の要部断面図である。
【
図6】冷却ファンの開閉カバーへの取付けを示す図である。
【
図7】開閉カバーに当接した状態のダクトを示す図である。
【
図8】閉鎖状態の開閉カバーおよび熱交換器ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図において、1は建設機械の一例であるパワーショベルであって、該パワーショベル1は、本実施の形態では電力を動力源とする電動ショベルであるが、クローラ式の下部走行体2、該下部走行体2に旋回自在に支持される上部旋回体3、該上部旋回体3に装着されるフロント作業部4等から構成されている。尚、以下の説明における前後左右の方向は、上部旋回体3の前後左右の方向を基準としている。
【0009】
5は前記上部旋回体3の架台となる旋回フレームであって、該旋回フレーム5の後部には、動力源となるバッテリ6が収納されるバッテリ収納室7が設けられており、該バッテリ収納室7の前方左側には、キャブ8が搭載されるキャブ搭載部9が設けられている。また、バッテリ収納室7の前方左右中央部および前方右側にはメイン収納室10が設けられており、該メイン収納室10には、バッテリ6から電力供給されて駆動するモーター(図示せず)、該モーターにより駆動する油圧ポンプ11、作動油タンク12、後述する熱交換器ユニット13等の各種機器類やタンク類が収納されている。さらに、メイン収納室10の前方右側にはバルブ収納室14が設けられていて、該バルブ収納室14には、パワーショベル1に設けられる各種油圧アクチュエータ(例えば、フロント作業部4を構成するブーム4a、アーム4b、バケット4cをそれぞれ揺動せしめるべく伸縮作動するブームシリンダ4d、アームシリンダ4e、バケットシリンダ4fや、下部走行体2を走行せしめるべく駆動する走行モータ(図示せず)等)に対する油給排制御を行うコントロールバルブ15が収納されている。
【0010】
前記バッテリ収納室7、メイン収納室10、バルブ収納室14は、それぞれ外装カバー16、17、18により覆蓋されているが、メイン収納室10を覆蓋する外装カバー17の右側面は大きく開口19しており、該開口部19は後述する開閉カバー20によって開閉自在に覆蓋されている。尚、本実施の形態において、メイン収納室10は本発明の開口部を有する収納室に相当する。
【0011】
前記熱交換器ユニット13は、本実施の形態では、上下に隣接する状態で配される第一、第二熱交換器21、22と、これら第一、第二熱交換器21、22をメイン収納室10の床フレーム5a(旋回フレーム5の一部)に取付け支持するための熱交換器支持枠(本発明の熱交換器支持部材に相当する)23とから構成されているが、該熱交換器ユニット13は、前記外装カバー17の開口部19の前半側に対向近接する状態で、メイン収納室10の右側端部に配設されている。これにより、開口部19を開閉自在に覆蓋する開閉カバー20を開けることで、開口部19から容易に熱交換器ユニット13にアクセスできるようになっている。尚、本実施の形態では、第一、第二熱交換器として、作動油を冷却するオイルクーラーと、エアコン用コンデンサとが設けられている。
【0012】
前記熱交換器支持枠23は、前後一対の縦枠23a、23bと、縦枠23a、23bの上部間を連結する上枠23cと、縦枠23a、23bの上下中間部間を連結する中間枠23dと、縦枠23a、23bの下部間を連結する下枠23eと、縦枠23a、23bの下端部をメイン収納室10の床フレームに固定するための固定金具23f等から構成されており、上記前後の縦枠23a、23b、上枠23c、中間枠23d、下枠23eにより形成される枠内に、第一熱交換器21が上側に、第二熱交換器22が下側に位置する状態で組み込まれている。
【0013】
さらに、前記熱交換器支持枠23には、第一、第二熱交換器21、22と後述する冷却ファン24との間に風路を形成するダクト(本発明のダクト部材に相当する)25が取付けられている。該ダクト25は、第一、第二熱交換器21、22の外周側を囲うようにして熱交換器支持枠23から開口部19側に延びる短尺四角筒形状のダクト本体部25aと、該ダクト本体部25aの基端側に形成されて熱交換器支持枠23にビス固定されるフランジ部25bと、ダクト本体部25aの先端側に形成される気密部材装着部25cとを備えているとともに、該気密部材装着部25cには、弾性材からなる気密部材26が装着されている。該気密部材26は、閉状態の開閉カバー20に当接して風路の気密性を確保するとともに、ダクト25と開閉カバー20とが当接する際の緩衝材として機能するようになっている。
【0014】
さらに、前記熱交換器支持枠23の前側の縦枠23aには、開閉カバー20を開閉自在に支持するための上下一対のヒンジ27が、それぞれヒンジブラケット28を介して取付けられている。該ヒンジブラケット28は、熱交換器支持枠23の前側の縦枠23aに固着のブラケット取付座23gに取付けられる第一取付片28aと、ヒンジ27の一方のヒンジ片27bに取付けられる第二取付片28bと、これら第一、第二取付片28a、28bの上下端部同士を連結する連結片部28cとを備えて形成されている。また、ヒンジ27は、ヒンジピン27aと、前記ヒンジブラケット28の第二取付片28bに取付けられる一方のヒンジ片27bと、前記開閉カバー20の前縁端部のヒンジ取付部20aに取付けられる他方のヒンジ片27cとから形成されている。
【0015】
一方、前記開閉カバー20は、前述したようにメイン収納室10の右側面の開口部19を開閉自在に覆蓋するものであって、その前縁端部には、前記ヒンジ27の他方のヒンジ片27cが取付けられるヒンジ取付部20aが形成されている。そして、
図4および図9から明らかなように、該ヒンジ取付部20aに取付けられたヒンジ27を
支点として、開閉カバー20は前記熱交換器支持枠23の前側縦枠23aに開閉揺動自在に支持されているとともに、開閉カバー20が開口部19を閉じている閉鎖状態では、前述したように開口部19の前半側に近接対向するようにしてメイン収納室10に配設された熱交換器ユニット13が、開閉カバー20に所定間隔を存して近接対向するようになっている。
【0016】
ここで、前記熱交換器ユニット13が対向する開閉カバー20の前半側は、
図4から明らかなように、前記ヒンジ27が取付けられる外側面20cと、該外側面20cに一体固定される内側面20bを備えた閉断面構造に形成されており、内側面20bには、冷却ファン24が取付けられるファン取付孔20dが開設される一方、外側面20cには、冷却風が通過する通気孔を有したパンチングメタル構造の通気板29が取付けられている。尚、本実施の形態では、冷却ファン24は、上下方向に並ぶ状態で3つ設けられており、該3つの冷却ファン24に対応して3つのファン取付孔20dが設けられるとともに、各ファン取付孔20dの車外側となる位置に通気板29が取付けられている。
【0017】
前記冷却ファン24は、本実施の形態では電動ファンが採用されており、短尺円筒形状のファンシュラウド24aと、該ファンシュラウド24aの中央部に配される電動モータ24bと、ファンシュラウド24aの筒内に配され電動モータ24bにより駆動される複数の回転翼24c等を備えて構成されているとともに、ファンシュラウド24aの外周部には、冷却ファン24を開閉カバー20のファン取付孔20dの外周部に固定するための取付座24dが形成されている。そして、該取付座24dは、ファンシュラウド24aを開閉カバー20のファン取付孔20dに嵌め込んだときにファン取付孔20dの外周側の内側面20bに当接するようになっており、該当接した取付座24dをビス固定することで、冷却ファン24は、その大半部が閉断面構造の内側面20bと外側面20cとの間の空間部に嵌入する状態で、内側面20bに取付固定されるようになっている。尚、冷却ファン24の電動モータ24bに接続される電線24e(
図3に図示)は、該電線24eが開閉カバー20の開閉時に引っ張られたり邪魔になったりすることがないように、前記ヒンジ27付近を通ってメイン収納室10内に導かれるようになっている。
【0018】
そして、前記開閉カバー20の内側面20bに取付けられた冷却ファン24は、開閉カバー20を閉じることで、前述したように閉鎖状態の開閉カバー20に所定間隔を存して対向するように設けられた熱交換器ユニット13に近接対向する。この状態で冷却ファン24を駆動させると、通気板29の通気孔を通して外気が吸い込まれ、該吸い込まれた外気が冷却風となって第一、第二熱交換器21、22に供給されるようになっている。さらに、開閉カバー20の閉鎖状態では、前述したダクト25の先端部に取付けられた気密部材26が、冷却ファン24の外周側の開閉カバー内側面20bに当接し、これにより第一、第二熱交換器21、22と冷却ファン24との間に風路が形成されて効率の良い冷却を行えるようになっている。一方、開閉カバー20を開けることで、該開閉カバー20に取付けられた冷却ファン24は熱交換器ユニット13から離間し、これにより第一、第二熱交換器21、22が露出して車外から容易にアクセスできるようになっている。
尚、図中、30は開閉カバー20の後端部に取付けられたラッチ、30aはメイン収納室10に立設のフレームに取付けられたラッチ受部であって、開閉カバー20を閉じたときにラッチ30がラッチ受部30aに係合するで、開閉カバー20は閉状態に保持されるようになっている。
【0019】
叙述の如く構成された本形態において、パワーショベル1は、熱交換器(第一、第二熱交換器)21、22と、該熱交換器21、22に冷却風を供給する冷却ファン24とを備えているが、熱交換器21、22が収納されるメイン収納室10は開口部19を有しているとともに、該開口部19は開閉自在な開閉カバー20によって覆蓋されている。このものにおいて、冷却ファン24を熱交換器21、22の室外側に配するにあたり、熱交換器21、22は、閉鎖状態の開閉カバー20に対向する位置に配置される一方、冷却ファン24は開閉カバー20に取付けられていて、該開閉カバー20の閉鎖状態では熱交換器21,22に冷却ファン24が対向して冷却風を供給する一方、開閉カバー20の開放状態では、該開閉カバー20に取付けられた冷却ファン24が熱交換器21、22から離間することで、該熱交換器21、22に開口部19から容易にアクセスできることになる。
【0020】
このように、本形態においては、開閉カバー20に冷却ファン24を取付けることで、該冷却ファン24を熱交換器21、22よりも室外側に配し、これにより、冷却ファン24を構成する電動モータ24bが熱の影響を受けにくいようにしたものでありながら、熱交換器21、22の清掃、点検、修理等のメンテナンスを行う場合には、開口部19を開閉自在に覆蓋する開閉カバー20を開けるだけで、開口部19から熱交換器21、22に容易にアクセスできることになって、メンテナンス性の向上に大きく貢献できる。しかも、冷却ファン24は開閉カバー20に取付けられているから、冷却ファン24自体を開閉させるための専用の操作や機構は必要なく、操作がより簡単であるうえ、部品点数の削減、構造の簡略化に寄与できる。
【0021】
さらにこのものにおいて、開閉カバー20は内側面20bおよび外側面20cを備えた閉断面構造のものであって、該開閉カバー20の内側面に冷却ファン24が取付けられる一方、開閉カバー20の外側面20cには冷却風が通過する通気孔を有した通気板29が取付けられている。このように開閉カバー20を閉断面構造とすることによって、通気孔を有した開閉カバー20への冷却ファン24の取付けが容易になるとともに、開閉カバー20の剛性アップも図れることになる。さらに、この場合に、冷却ファン24は、その大半部が閉断面構造の内側面20bと外側面20cとの間の空間部に嵌入する状態で内側面20bに取付けられる構成となっており、これにより、冷却ファン24を有効に保護できるとともに、冷却ファン24の開閉カバー内側面20bから室内側への突出量を抑えることができる。
【0022】
さらにこのものでは、熱交換器21、22の外周側(本実施の形態では熱交換器21,22が取付けられる熱交換器支持枠23)に、開閉カバー20の閉鎖状態で冷却ファン24の外周側の開閉カバー20に当接して熱交換器21,22と冷却ファン24との間の風路を形成するダクト25が設けられているとともに、該ダクト25には、開閉カバー20との当接部に気密部材26が設けられている。これにより、開閉カバー20を開いたときに熱交換器21,22と冷却ファン24とが離間するものであっても、開閉カバー20の閉鎖状態では熱交換器21,22と冷却ファン24との間に気密状の風路を形成することができて、冷却効率の向上に貢献できる。
【0023】
さらに、前記開閉カバー20は、熱交換器21,22をメイン収納室10に取付け支持するための熱交換器支持枠23に、ヒンジ27を介して開閉揺動自在に支持されている。これにより、例えば開閉カバーを車体側フレームに開閉用動自在に支持せしめる場合と比して、熱交換器21,22と、開閉カバー20に取付けられる冷却ファン24との位置関係の調整を容易に行うことができるとともに、熱交換器支持枠23が開閉カバー20の支持フレームを兼ねることになって、部材の兼用化が図れる。
【0024】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されないことは勿論であって、例えば。上記実施の形態では、熱交換器の外周側にダクトが設けられているが、冷却ファンの外周側の開閉カバーに、開閉カバーの閉鎖状態で熱交換器の外周側に当接して熱交換器と冷却ファンとの間の風路を形成するダクト部材を設ける一方、該ダクト部材と熱交換器との当接部に気密部材を設ける構成することもできる。さらに、上記実施の形態では、ダクト側に気密部材が装着されているが、ダクトに当接する開閉カバー側あるいは熱交換器側に気密部材を設ける構成にすることもできる。
また、上記実施の形態では、収納室に配設される熱交換器として第一、第二熱交換器21、22を示すとともに、第一、第二熱交換器としてオイルクーラー、エアコン用コンデンサを例示したが、熱交換器の数、熱交換器の種類、熱交換器が複数設けられている場合の熱交換器同士の配置関係等は、熱交換器が搭載される建設機械に応じて適宜設定される。例えば、エンジンが搭載されている建設機械においては、熱交換器としてラジエータやインタークーラーが設けられ、また、複数の熱交換器の配置としては、冷却風の流れに対して左右に隣接するように配されていたり、冷却風の流れに対して前後に重なる状態で配されていても良い。
また、上記実施の形態では、上下に並ぶ状態で3つの冷却ファンが設けられているが、冷却ファンの数や配置は、熱交換器の数、容量、週類等に対応して適宜設定される。さらに、上記実施の形態では、冷却ファンとして電動ファンが採用されているが、電動ファンに限定されることなく、例えば油圧モータで駆動するファンであっても、レイアウトの都合上冷却ファンを熱交換器の室外側に配設したいような場合に、本発明を実施できる。
また、上記実施の形態では、開閉カバーを熱交換器支持枠(熱交換器支持部材)に開閉用動自在に支持せしめる構成となっているが、上記実施の形態のような熱交換器支持部材が設けられておらず、熱交換器自体の外郭が強固な構造のものであるように場合には、熱交換器自体の外郭に開閉カバーを開閉用動自在に支持せしめる構成にすることもできる。さらに、上記実施の形態では、開閉カバーは面方向が前後方向を向く状態で設けられていて、前縁部側を支点として開閉揺動する構成となっているが、後縁部側、あるいは上縁部側や下縁部側を支点として開閉揺動する構成でも良く、また、面方向が左右方向を向く状態で設けられている開閉カバーであれば、左縁部側あるいは右縁部側を支点として開閉揺動する構成であっても勿論良い。
また、上記実施の形態では、開閉カバーの外側面に通気孔を設けるにあたり、外側面に、通気孔を有した通気板が取付けられる構成となっているが、外側面自体に通気孔が開設されたものであっても勿論良い。
さらに、本発明は、パワーショベルに限定されることなく、熱交換器が設けられる各種建設機械に実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、熱交換器および該熱交換器を冷却する冷却ファンが設けられている建設機械に利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
10 メイン収納室
19 開口部
20 開閉カバー
20b 内側面
20c 外側面
21 第一熱交換器
22 第二熱交換器
23 熱交換器支持枠
24 冷却ファン
25 ダクト
26 気密部材
27 ヒンジ
29 通気板