(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のダンパ(105a)及び前記第2のダンパ(105b)のうちの少なくとも一方が受動型ダンパを備え、前記受動型ダンパ(105)が粘弾性ダンパ(106)を備える、請求項1又は請求項2に記載の制振システム(100)。
前記粘弾性ダンパ(106)は、2つのスプリングを備え、第1のスプリング(114a)は、第1の周波数にしたがって振動を軽減するよう構成され、第2のスプリング(114b)は、第2の周波数にしたがって振動を軽減するよう構成される、請求項3に記載の制振システム(100)。
前記第1及び第2の周波数のうちの一方は、ダクテッドファンエンジンからの出口気流における擾乱の周波数に基づいて選択される、請求項4に記載の制振システム(100)。
前記第1のスプリング(114a)は、第1の端部(902)で固定下端ダンパ壁(906)に当接するとともに第2の端部(904)で可動上端ダンパ壁(908)に当接し、前記可動上端ダンパ壁(908)が粘性流体チャンバ(108)内のダンパピストン(110)に接続され、それにより、ダンパピストン(110)の直線的な移動が前記第1のスプリング(114a)を圧縮しつつ前記粘性流体チャンバ(108)内の粘性流体によって抵抗され、
前記第2のスプリング(114b)は、前記第1のスプリング(114a)内に位置付けられて、第1の内側スプリング端(912)で前記粘性流体チャンバ(108)の上端面(910)に当接するとともに、第2の内側スプリング端(914)で前記可動上端ダンパ壁(908)に当接する、
請求項4から6のいずれか一項に記載の制振システム(100)。
前記受動型ダンパ(105)が粘弾性ダンパ(106)を備え、それにより、振動を抑制する前記ステップは、粘性流体をピストン(110)の1つ以上のオリフィスに押し通すように前記ピストン(110)を用いて粘性流体を押圧するステップと、振動からの力に応じてスプリング(114a/114b)を圧縮するとともに、力の解放時に、前記スプリングからの力により、前記ピストン(110)を開始位置へ向けて戻すステップとを備える、請求項9に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、航空機の水平安定板と関連付けられる振動を軽減するためにダンパを利用する振動軽減システム及び対応する方法に対するものである。前述したように、航空機の燃料効率を高めることは、航空機及びエンジンの製造業者並びに対応する顧客にとってかなりの関心事である。例えば、高バイパスダクテッドファンエンジンは高い効率を与えることが分かってきたが、これらのエンジンのサイズが増大するにつれて、プロップウォッシュと関連付けられる対応する歪み又は乱流が航空機の水平安定板で望ましくない振動力を生み出す場合がある。これらの振動は、機体へ伝わって、場合により、過度なノイズ及び構造的疲労をもたらし得る。
【0010】
本明細書中に記載される概念及び技術を利用すると、制振システムは、多くのダンパを利用して、振動力を複数の方向で吸収して軽減する。ダンパは、振動を第1の自由度で又はz方向で軽減するためにミッドボックス取り付けポイント又は回動ポイントなどの装着ポイントで航空機の水平安定板に結合されてもよく、一方、水平安定板の前部に結合される1つ以上のダンパは、振動を第2の自由度で又はx方向で軽減する。ダンパは、特定の周波数を有する振動力の軽減を目的とするように最適に動作する受動型のもの、例えば粘弾性ダンパなどであってもよい。ダンパの数、タイプ、又は、特性は、少なくとも1つの周波数又は複数の周波数の振動を軽減するように選択され或いは設計されてもよい。これに加えて或いは代えて、ダンパは、所望の1又は複数の周波数で所望の方向の力を引き起こして対応する振動を軽減するためにリニアアクチュエータを利用する能動型ダンパであってもよい。別の実施形態によれば、能動型ダンパは、リニアアクチュエータを利用せずに粘弾性ダンパの流体チャンバ内の流体の圧力を変えることによって動作してもよい。能動型ダンパによりもたらされる誘発動作は、1つ以上のセンサ又は加速度計により測定される水平安定板の実際のリアルタイムな振動状態に基づいてもよく、1つ以上の航空機パラメータにしたがって予測される推定振動状態に基づいてもよく、或いは、これらの組み合わせに基づいてもよい。
【0011】
以下の詳細な説明では、その一部を形成するとともに、例示として、特定の実施形態として、或いは、実施例として示される添付図面を参照する。ここで、幾つかの図にわたって同様の数字が同様の要素を表わす図面を参照して、様々な実施形態に係る振動軽減システム及び該システムを使用するための方法について説明する。
【0012】
図1は、航空機の水平安定板102と関連付けられる振動を軽減するための振動軽減システム100の側面図を示す。
図1を見ると、制振システム100はダンパ104を含む。この実施形態によれば、ダンパ104は、2つの受動型ダンパ、すなわち、受動型ダンパ105A及び受動型ダンパ105B(まとめて「受動型ダンパ105」と称される)を含む。この図には2つのダンパ104のみが示されるが、更なるダンパ104が使用されてもよい。この例において、各受動型ダンパ105A,105Bは、粘性ダンパ106とスプリング114などの弾性要素とを有する粘弾性ダンパである。粘性ダンパ106は、粘性流体チャンバ108(複動式)と、多くのオリフィス113を有するダンパピストン110とを含む。ダンパピストン110は、粘性流体チャンバ108内の粘性流体112に力を及ぼす。粘性流体112は実質的に非圧縮性であるため、ダンパピストン110によって下向きの力が印加されると、粘性流体112がダンパピストン110における多くのオリフィス113に押し通される。粘性流体112及びオリフィス113の特性は、以下で更に詳しく説明される減衰係数(c)により定量化され得る粘性ダンパ106の制振特性を決定する。スプリング114は、ダンパピストン110に印加される下向きの力によって圧縮され、それにより、下向きの力を更に軽減する一方で、下向きの動きが停止された後にダンパピストン110を開始位置へ向けて上方へ移動させる戻し力を与える。
【0013】
反対のプロセスも当てはまる。上向きの力がダンパピストン110に印加されると、粘性流体チャンバ108の上部内の粘性流体112がオリフィス113に押し通され、それにより、ピストン移動が遅くなって、上向きの力が軽減される。スプリング114は、上向きの力を軽減するように作用する引張り力を生み出すべく伸張される一方で、上向きの動きが停止された後にダンパを下方へ移動させる戻し力を与える。受動型ダンパ105内の粘性ダンパ106の数が更に少なく、更に多く、或いは、弾性要素又はスプリング114の数に等しくてもよいことが理解されるべきである。この開示の全体にわたって、弾性要素がスプリング114と称されるが、この開示の範囲から逸脱することなく任意の適した弾性要素が利用されてもよい。例えば、弾性要素としては、任意の従来型のスプリング、圧縮ガススプリング、又は、所定の力を恒久的に及ぼしている受動型電気リニアアクチュエータを挙げることができるが、これらに限定されない。また、受動型ダンパ105に関する様々な実施形態が粘性流体112を利用する粘性ダンパ106を有するように記載されるが、本開示が代わりに油圧−空気圧式ダンパ又は圧縮性流体を利用する他のダンパを使用して実施されてもよいことも理解されるべきである。
【0014】
ダンパピストン110に印加される力は、受動型ダンパ104が水平安定板102に結合されるため、水平安定板102における振動力によって生じる。1つの実施形態によれば、振動軽減システム100は、水平安定板102の前部116に結合される受動型ダンパ105Aと、回動ポイント118で水平安定板102に結合される少なくとも1つの受動型ダンパ105Bとを含む。この開示の目的のため、「前部」は、回動ポイント118よりも前方の水平安定板102の任意の部分と、トリム調整目的で水平安定板102がその周りで回転する対応する回動軸とを含んでもよい。例えば、幾つかの実施形態によれば、前部116は、水平安定板102の前縁上又は前縁付近であってもよく、一方、他の実施形態によれば、前部116は、前縁と回動ポイント118との間に位置付けされ得る前水平安定板スパーを含んでもよい。幾つかの実施形態では、前部が回動ポイント118付近又はそれに近接していてもよい。
図1の側面図では回動ポイント118に1つの受動型ダンパ105Bのみが示されるが、説明されて図面の全体にわたって示される例によれば、回動軸周りで回動ポイントに2つの受動型ダンパ105が位置付けされてもよい。この形態は、
図3に関して最も良く示されて以下で更に説明される。本明細書中の開示が任意の特定の数のダンパに限定されないことが理解されるべきである。
【0015】
異なる飛行局面中に航空機の異なる重心位置を受け入れるべく航空機のピッチを調整するために回動軸周りで回動することは、民間航空機の水平安定板102に関して一般的である。この回動能力をもたらすために、一般に、航空機の水平安定板102が回動ポイントを介して(尾翼形態に応じて)胴体又は垂直安定板に装着される一方で、水平安定板102の前部116に結合されるジャッキスクリュー又は適したアクチュエータを使用してピッチを制御する。ジャッキスクリューを昇降させることにより、水平安定板102の前部116が昇降され、それにより、水平安定板102が装着される回動ポイントを横切る回動軸の周りで水平安定板102全体を回動させる。この開示の目的のため、振動軽減システム100は、構造体120に装着されるように示されて説明されてもよい。
図1には具体的に示されない(
図3に最も良く見えるとともに、以下で論じられる)が、構造体120は、垂直安定板内及び水平安定板102内のスパーであってもよい。
【0016】
様々な実施形態によれば、水平安定板102の前部116に結合される受動型ダンパ105Aは、振動力を第1の自由度で抑制するように構成され、一方、回動ポイント118で水平安定板102に結合される受動型ダンパ105Bは、振動力を第2の自由度で抑制するように構成される。より具体的には、
図1に見られるように、受動型ダンパ105Aにより第1の自由度で軽減される振動力は、航空機のx軸又は長手方向軸と略平行な前後方向に向けられてもよい。受動型ダンパ105Bにより第2の自由度で軽減される振動力は、航空機のz軸と略平行な或いは長手方向軸に対して略垂直な上下方向に向けられてもよい。
図1にx軸表示周りのロールラベルにより示されるように、ダンパ104がロール軸の周りの第3の自由度で振動力を抑制するように更に動作することに留意すべきである。ロール抑制は、垂直安定板(
図2及び
図3に示される)の両側にある水平安定板102が異なる振動力に晒される状況で存在する。異なる振動力は、エンジン推力非対称、ヨー、又は、非対称突風に起因して起こる場合がある。垂直安定板の両側の水平安定板102に作用するこれらの振動力を軽減することにより、ロール誘発力が軽減されてもよい。
【0017】
図の全体にわたってダンパ104がx軸及びz軸と略平行に向けられるように示されるが、本明細書中に開示される様々な実施形態のいずれかに関して説明されて図示されるダンパ104のうちの任意の1つ以上がx軸又はz軸に対して所定の角度で方向付けられてもよいことが理解されるべきである。例えば、主振動力が水平安定板102の前部116を通じてx軸に対して特定の角度で構造体120へ伝えられると決定された場合、受動型ダンパ105Aは、振動力をダンパピストン110及びスプリング114の移動方向に沿って略直線的に吸収できるようにする対応する角度で方向付けられてもよい。
【0018】
図2は、低尾翼形態200を有する航空機202に設置される制振システム100の側面図を示す。低尾翼形態は、垂直安定板206が水平安定板102よりも上側で胴体204から上方に延伸する状態で水平安定板102が胴体204の後部内に装着される従来の形態である。様々な良く知られた理由のため、従来の低尾翼形態200は、他の別の形態よりも望ましく、以下、その幾つかについて論じる。しかしながら、水平安定板102の低い位置取りは、1つ以上のエンジン208からの出口気流210による歪みに水平安定板102を晒す。エンジン208は、前述したように任意のタイプ及び大きさを成していてもよいが、エンジン208は、かなりの量の出口気流210歪みをもたらす高バイパスダクテッドファンエンジンであってもよい。エンジン208の他の例としては、プロペラ駆動システム、ターボファンシステム、ターボプロペラシステム、電気駆動推進システム、ハイブリッド電気システム、及び、オープンロータ推進システムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
水平安定板102と関連付けられる空気力学的な揚力荷重は、一般に、水平安定板102の回動ポイント118を通じて胴体204へ伝えられ、したがって、回動ポイント118に位置付けされるダンパ104は、出口気流210と関連付けられる振動力に起因して揚力を変化させている周波数を対象にする。出口気流210の歪みは、水平安定板102と関連付けられる抵抗力を変え、該抵抗力は、主に、トリム調整目的で水平安定板102を回動ポイント118の周りで回転させるために使用される水平安定板102の前部116に結合されるジャッキスクリューを介して胴体204へ伝えられる。したがって、水平安定板102の前部116に位置付けされるダンパ104は、出口気流210で引き起こされる歪みの性質に関連付けられる振動力に起因して抵抗力を変化させる周波数を対象にする。また、水平安定板102の回動ポイント118の周りで引き起こされる任意のピッチングモーメントは、水平安定板102の前部116にあるジャッキスクリューへほぼ伝えられる。ピッチングモーメントの変化に関連付けられる任意の変動力も、本明細書中に記載される様々な実施形態に係る水平安定板102の前部116に位置付けされるダンパ104によって軽減されてもよい。
【0020】
それぞれの箇所でダンパ104により対象とされる周波数は、航空機202の飛行特性又は飛行局面に応じて変化する場合がある。例えば、水平安定板102上にわたる出口気流及び周囲環境気流は、任意の所定の飛行の上昇局面中、巡航局面中、及び、降下局面中に異なる場合がある。様々な実施形態によれば、制振システム100は、特定の飛行局面中に望ましくない振動力を軽減するように調整されてもよい。例えば、航空機202が巡航飛行で費やし得る時間の他の飛行局面と比べた不均衡な長さに起因して、ダンパ104は、巡航飛行特性中に直面される可能性が高い振動周波数にしたがって設計され或いは選択されてもよい。後述するように、制振効果を最大にするために制振システム100を特定の航空機202に合わせて調整する或いは特定の航空機202に適合させる際に多くの設計検討事項が利用される。
【0021】
既に示唆されたように、ダンパ104が装着される構造体120は、トリム調整目的で水平安定板102の前部116で一般に使用されるジャッキスクリューを含めて、胴体204の構造的な構成要素を含んでもよい。ここで、
図3を参照して、制振システム100及びそれが取り付けられる構造体120に関する更なる詳細について様々な実施形態にしたがって説明する。
図3は、低尾翼形態200を有する航空機202に設置される制振システム100の斜視図である。この斜視図を用いると、ジャッキスクリュー302の上下動が水平安定板102の前部116を上下に移動させ、それにより、回動ポイント118A,118Bを横切る回動軸310の周りで水平安定板102が回動されるのが分かる。
【0022】
この実施形態の制振システム100は3つのダンパ104を含む。具体的には、受動型ダンパ105Aは、水平安定板102の前部116でジャッキスクリュー302に結合されるとともに、x軸と略平行な第1の自由度で又は前後で振動力を抑制するように構成される。この例の前部116は水平安定板前スパー304を含み、この場合、ジャッキスクリュー302が受動型ダンパ105Aを介して水平安定板前スパー304に結合されるようになっている。受動型ダンパ105B及び105Cは、水平安定板後スパー306で回動ポイント118A,118Bにそれぞれ結合されるとともに、z軸と略平行な第2の自由度で又は上下で振動力を抑制するように構成される。
【0023】
図4及び
図5は、本明細書中に記載される様々な実施形態に係る十字尾翼形態400を有する航空機202に設置される制振システム100の側面図及び斜視図をそれぞれ示す。十字尾翼形態400に関しては、水平安定板102が垂直安定板206の上端402と根元404との間に装着される。
図5に見られるように、ジャッキスクリュー302は、水平安定板102の前部116を垂直安定板前スパー504に結合する。ダンパ104は、ジャッキスクリュー302と垂直安定板前スパー504(又は構造体120)との間、或いは、ジャッキスクリュー302と水平安定板102の前部116との間に設置される。様々な実施形態によれば、このダンパ104は、前述したような受動型ダンパ105Aであってもよく、或いは、
図10−
図12に関して以下で更に詳しく説明される能動型ダンパであってもよい。
【0024】
十字尾翼形態400のこの例は、ジャッキスクリュー302を介してトリム調整のために水平安定板102がその周りで回転する回動軸310を規定する2つの回動ポイント118A,118Bを含む。2つのダンパ、すなわち、この例では受動型ダンパ105B,105Cは、回動ポイント118A,118Bにおいて水平安定板後スパー306と垂直安定板後スパー506との間で水平安定板102に装着される。ダンパは、低尾翼形態200に関して前述した態様と同じ態様で動作する。特に、受動型ダンパ105Aは、x軸と略平行な第1の自由度で又は前後で振動力を抑制するように構成され、一方、受動型ダンパ105B,105Cは、z軸と略平行な第2の自由度で又は上下で振動力を抑制するように構成される。
【0025】
図6及び
図7は、本明細書中に記載される様々な実施形態に係るT尾翼形態600を有する航空機202に設置される制振システム100の側面図及び斜視図をそれぞれ示す。T尾翼形態600において制振システム100が取り付けられる水平安定板102及び垂直安定板206の正確な構造は先の
図4及び
図5に関して説明された十字尾翼形態400のそれとは僅かに異なる場合があるが、ダンパ104自体の形態及び動作は、
図6及び
図7に示されるT尾翼形態600においてもほぼ同じである。T尾翼形態600に伴う主な相違点は、水平安定板102が上端402と根元404との間の箇所ではなく垂直安定板206の上端402に或いは上端402に近接して装着されるという点である。
【0026】
ここで、
図8を参照して、制振システム100の別の実施形態について説明する。
図8に示される例において、制振システム100は、水平安定板102の前部116に結合される受動型ダンパ105Aとして構成されるダンパ104と、水平安定板102の回動ポイント118に結合される平行ダンパ104のバンク802とを含む。ダンパ104のバンク802は、前述の様々な実施形態における単一のダンパ104に取って代わる。この例におけるバンク802は2つのダンパ104A,104Bを含む。バンク802のダンパ104A,104Bのそれぞれは、粘性ダンパ106とスプリング114とを有する粘弾性ダンパである。各粘弾性ダンパは、ダンパ104のバンク802内の他の対象周波数とは異なってもよい特定の周波数の振動を軽減するように調整され或いは構成されてもよい。その際に、容易に入手できる粘弾性ダンパが、所望の対象周波数にしたがって選択されて、バンク802内の個々のダンパ104の周波数とは異なってもよい1又は複数の周波数の振動を軽減するバンク802を形成するべく統合されてもよい。バンク802内の各ダンパ104は、バンク802内の他のダンパ104の動作に影響を及ぼしてもよいが、その影響は、バンク802をそれに応じて設計できるように既知の工学技術を使用して決定されてもよい。バンク802内のダンパ104の数及びタイプは、この新機軸の範囲から逸脱することなく変化してもよい。
図8において、バンク802は、単一の受動型ダンパ105Aが水平安定板102の前部116に結合された状態で回動ポイント118に結合されるように示されるが、バンク802は、制振システム100内の任意の或いは全てのダンパ位置で利用されてもよい。
【0027】
図9は、様々な実施形態に係る同軸構成900を有する粘弾性ダンパ(又は受動型ダンパ105)の断面図である。同軸構成900は、粘性ダンパ106の周りに位置付けされる同軸に配置された複数のスプリング114A,114Bを含む。この例によれば、第1のスプリング114Aが、第1のスプリング114Aの第1の端部902で、固定下端ダンパ壁906に当接する。第1のスプリング114Aは、第1のスプリング114Aの第2の端部904で、可動上端ダンパ壁908に当接する。可動上端ダンパ壁908は、粘性流体チャンバ108内のダンパピストン110に接続される。可動上端ダンパ壁908は、接続ポイント920で水平安定板102に接続されるとともに、固定下端ダンパ壁906で構造体120に接続される。接続ポイント920での水平安定板102からの振動力は、白抜き矢印により示されるように、ダンパピストン110を上下に移動させる。ダンパピストン110の直線的な移動は、第1のスプリング114Aを圧縮しつつ粘性流体チャンバ108内の粘性流体112によって抵抗される。第2のスプリング114Bは、第1のスプリング114A内に位置付けされて、第1の内側スプリング端912で粘性流体チャンバ108の上端面910に当接するとともに、第2の内側スプリング端914で可動上端ダンパ壁908に当接する。粘弾性ダンパ104は前述の態様で振動力を軽減する。しかしながら、第1のスプリング114A及び第2のスプリング114Bの異なる特性に起因して、粘弾性ダンパ104は、異なる振動周波数を対象にするべく調整されてもよい。
【0028】
1つの実施形態によれば、第1のスプリング114A又は114Bのいずれか一方の変位長さは、他方のスプリングが関与される前に一方のスプリングからの抵抗を伴って可動上端ダンパ壁908が所望の距離を移動できるように選択されてもよい。ダンパピストン110の変位に応じたスプリング114A,114Bの連続的な関与は、ダンパ変位に応じて変化可能な粘弾性ダンパにおける固有周波数を可能にする。粘弾性ダンパ105のこの態様は、異なる飛行条件又はエンジン設定で最も重大な振動周波数のみを受動的に吸収するように調整され得る。以下で更に詳しく説明されるように、この受動型ダンパ105は、別の飛行条件で異なる減衰係数が望まれる場合には、可変ダンパ又は能動型ダンパと組み合わされてもよい。
【0029】
先に図示して説明した同軸構成900を有する受動型ダンパ105の機能性を示す一例として、離陸時にプロップウォッシュに晒される水平安定板102の振動周波数は多くの場合に更に高くなり(更に高いファン/エンジンRPMに起因する)、そのため、振動変位の大きさは、潜在的に更に速い出口気流210と対応するプロップウォッシュとに起因して、巡航状態のそれよりも大きい。順次的スプリングシステムは、離陸時に高周波数/高変位状態で動作するように設計することができ、離陸中には、この状態における水平安定板102の更に高い変位に起因して両方のスプリング114A,114Bが関与され得る。同じシステムは、異なるエンジン設定に起因して水平安定板102が更に低い周波数の振動と更に低い変位とに晒される巡航飛行中に最適に動作することもできる。
【0030】
図1−
図9は、受動型ダンパ105を利用する制振システム100の動作について説明してきた。受動型ダンパを使用する1つの利点は、それらのダンパが比較的単純で、安価であるとともに、信頼性があるという点である。しかしながら、別の実施形態によれば、本明細書中に記載される制振システム100内の任意の或いは全てのダンパ104が能動型ダンパであってもよい。この開示の目的のため、「能動型ダンパ」は、水平安定板102と関連付けられるリアルタイムな振動状態又は推定振動状態にしたがって制振特性を変えるべく動的に適合可能である。幾つかの実施形態によれば、能動型ダンパは、所望の1又は複数の周波数で所望の方向の動きを引き起こして対応する振動を軽減するためにリニアアクチュエータを利用する。別の実施形態によれば、能動型ダンパは、リニアアクチュエータを利用せずに粘弾性ダンパの流体チャンバ内の流体の圧力を変えることによって動作してもよい。能動型ダンパによりもたらされる誘発動作は、1つ以上のセンサ又は加速度計により測定される水平安定板の実際のリアルタイムな振動状態に基づいてもよく、1つ以上の航空機パラメータにしたがって予測される推定振動状態に基づいてもよく、或いは、これらの組み合わせに基づいてもよい。
【0031】
前述したように、航空機202は様々な飛行/エンジン状態で動作し、それにより、出口気流210による歪み又は他の振動力に晒される水平安定板102に作用する様々な力及びモーメントに関して絶えず変化する強制機能がもたらされる。能動型制振システムは、動作状態に適合でき、したがって、優れた制振挙動を与えるという利点を有する。システムの冗長性(複数の同一の独立したシステム)及び潜在的な受動バックアップシステムを考慮に入れるように能動型制振システムを設計できることに留意すべきである。
【0032】
図10を見ると、制振システム100は、能動型ダンパ1002を利用する能動型制振システム1000を含む。能動型ダンパ1002は、水平安定板102によって受けられる振動力に対抗する軽減力を印加するために上下又は前後に移動するべく制振コンピュータ1006からのアクチュエータコマンド1012を介して選択的に作動されてもよい電気リニアアクチュエータ1004を含んでもよい。この例では、センサ1008が水平安定板102及び/又は胴体204と対応する構造体120とに位置付けされる。センサ1008は、振動力と関連付けられるリアルタイムな振動状態を測定して制振コンピュータ1006へセンサ入力1010として与える働きをする任意のタイプ及び数の加速度計又は位置センサを含んでもよい。言うまでもなく、「リアルタイムな振動状態」は、未加工の加速度データ及び位置データであってもよく、或いは、リアルタイムな加速度データ及び位置データを使用して計算される何らかの結果として得られるデータ、例えば水平安定板102における振動の周波数及び振幅などであってもよい。センサ1008は、任意の方向の2つの主軸に沿って測定値を取得する。ただし、それらの軸が互いに略垂直であるとともに、水平安定板102又は胴体204からのそれらの軸のオフセットが知られている場合に限る。
【0033】
センサ入力1010を使用して、制振コンピュータ1006は、能動型ダンパ1002により実行されるべき最適な力(能動型制振システム1000が
図10に関連してここで説明される単に電気制振システムである場合)或いは固有周波数/減衰比(能動型制振システム1000が
図12に関連して以下で論じられる半受動型システムである場合)を決定する。制振コンピュータ1006は、その後、最適な力/位置決定をアクチュエータコマンド1012として能動型ダンパ1002へ作動のために与える。各能動型ダンパ1002は、閉じられた制御ループを確保するために、位置対時間入力信号をアクチュエータフィードバック1014として元の制振コンピュータ1006へ中継する。
【0034】
図11は、能動型ダンパ1002を利用する能動型制振システム1000の別の実施形態を示す。この例は、
図10に関して前述した例に類似しており、主な違いはセンサ入力1010を欠くことである。前述のシステムに関して、センサ1008は、水平安定板102に作用する振動力と関連付けられるリアルタイムな振動状態を測定して制振コンピュータ1006へ与えるために使用される。しかしながら、この別の実施形態において、制振コンピュータ1006は、センサ1008を利用せず、推定振動状態を決定するために航空機202又は1つ以上の航空機システムの現在の状態に対応する1つ以上の航空機パラメータ1102を利用する。制振コンピュータ1006は、推定振動を軽減するアクチュエータコマンドを決定するためにリアルタイムな振動状態に関して前述した態様と同じ態様で推定振動状態を利用する。この実施形態の目的のため、センサ1008と関連するセンサ入力1010とに対応する破線は、更なる他の別の実施形態に関して以下で更に詳しく論じられるべきセンサ1008の随意的な包含を示唆するために使用される。
【0035】
航空機パラメータ1102は、既知の解析技術を使用して任意の所定の時間に水平安定板102に作用する力を決定する際に適用できる任意の数及びタイプの情報を含んでもよい。例えば、航空機パラメータ1102は、1つ以上のエンジン設定、飛行特性、航空機特性、飛行制御設定、周囲環境パラメータ、又は、これらの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。ここで、これらの例示的な航空機パラメータの非限定的な例を与える。エンジン設定は、様々なスプールの1分間当たりのエンジン回転数(RPM)、推力設定、ブレードピッチ、又は、エンジンピッチ(変化可能な場合)を含んでもよい。飛行特性は、対気速度、仰角、ピッチ姿勢、ロール姿勢、ヨー姿勢、及び、飛行経路角度を含んでもよい。航空機特性は、航空機重量及び重心を含んでもよい。飛行制御設定は、水平安定板入射角、昇降舵角、及び、トリムタブ有効角を含んでもよい。周囲環境パラメータは、大気の圧力、温度、及び、相対湿度を含んでもよい。
【0036】
これらの航空機パラメータ1102を使用して、制振コンピュータ1006は、水平安定板102に作用する予測振動力を解析できるとともに、先の
図10の実施形態に関して論じられたセンサ1008により測定されるリアルタイムな振動状態ではなく結果として得られる推定振動状態を使用して、適切なアクチュエータコマンド1012を決定できる。ここで、センサ1008と関連付けられる破線を含む
図11の能動型制振システム1000を参照して、能動型制振システム1000の第3の実施について説明する。
【0037】
能動型制振システム1000のこの第3の実施形態において、制振コンピュータ1006は、航空機パラメータ1102を利用して推定振動状態と対応するアクチュエータコマンド1012とを決定する。また、制振コンピュータ1006は、水平安定板102のリアルタイムな振動状態を測定するセンサ1008からセンサ入力1010を受ける。水平安定板102のリアルタイムな振動状態を利用して、制振コンピュータ1006が対応するアクチュエータコマンド1012を決定してもよく、この対応するアクチュエータコマンド1012は、推定振動状態から与えられるアクチュエータコマンド1012を調整するために使用され得る。このようにして、能動型制振システム1000は、多くの航空機パラメータから決定される予測振動状態に基づいてアクチュエータコマンド1012を与える一方で、実際の振動状態をそれらが起こるときに測定し、それに応じて補正を行なってもよい。このタイプの二重入力システムは、既に説明されたシステムよりも複雑かもしれないが、より高速で且つより正確に動作し得る。
【0038】
図12は、能動型制振システム1000のための更なる他の別の実施形態を示す。このシステムは、水平安定板102に印加される振動力を軽減するために能動型粘弾性ダンパ1202A,1202B(まとめて一般に「能動型粘弾性ダンパ1202」と称される)を利用する。この実施形態は、先の
図10及び
図11の電気リニアアクチュエータ1004に関して前述したシステムと同様に、能動型粘弾性ダンパ1202を介して水平安定板102に軽減力を能動的に印加するために制振コンピュータ1006を利用する。しかしながら、電気リニアアクチュエータを使用する代わりに、この例の能動型制振システム1000は、能動型粘弾性ダンパ1202を利用する。前述した受動型ダンパ105と同様に、能動型粘弾性ダンパ1202は、スプリング114などの弾性要素と、可変粘性ダンパ1206である粘性ダンパとを有する。既に説明した受動型システムの粘性ダンパ106と能動型システムをもたらすこの実施形態の可変粘性ダンパ1206との間の相違点は、必要に応じて振動力を能動的に軽減するべくダンパピストン110を上下に移動させるために粘性流体チャンバ108内の圧力を変えるように制振コンピュータ1006が作用するという点である。可変粘性ダンパ1206は、内部の粘性流体112の圧力を変えることができるようにするため、可変粘性ダンパ1206内のチャンバは可変係数制振要素1224と称される。
【0039】
図12の能動型制振システム1000は、1つ以上の関連する可変係数制振要素1224内の圧力を制御する制振コンピュータ1006によって動作する。これは、粘性流体112及び対応する圧力を可変粘性ダンパ1206に加える或いは可変粘性ダンパ1206から除去するために流体アキュムレータ回路1204A又は1204B(まとめて一般的に「流体アキュムレータ回路1204」と称される)内の可変流量弁、すなわち、流量制御弁1214を作動させることによって行なわれる。可変係数制振要素1224内の圧力を変えると、減衰係数(c)が変化し、それにより、能動型粘弾性ダンパ1202の制振特性が変化する。
【0040】
粘性流体112の圧力を制御するために、流体アキュムレータ回路1204が使用されてもよい。例示目的で、能動型粘弾性ダンパ1202Bに流体結合される流体アキュムレータ回路1204Bについて説明する。
図12では、流体アキュムレータ回路1204Bが破線により輪郭付けられる。同様に、第2の流体回路、又は、流体アキュムレータ回路1204Aは、能動型粘弾性ダンパ1202Aと関連付けられるとともに、明確にするために鎖線により輪郭付けられる。
【0041】
流体アキュムレータ回路1204Bは、可変流量弁1214と直列を成す圧力センサ1208を含む。圧力センサ1208は、可変係数制振要素1224内及び流体アキュムレータ回路1204B内の圧力に関するセンサ入力1210を制振コンピュータ1006に与える。可変流量弁1214の作動は、流体をアキュムレータ1216から可変係数制振要素1224へ移動させるとともに、同様に、可変係数制振要素1224から圧力を解放し、それにより、制振コンピュータ1006が能動型粘弾性ダンパ1202内の減衰係数(c)を管理できるようにする。流体アキュムレータ回路1204Bは、粘性流体112の貯留のためのリザーバ1220と、システムを充填するためのポンプ1218とを更に含む。
【0042】
この実施形態における制振コンピュータ1006は、可変流量弁1214のための圧力コマンド1212を決定するために使用される振動状態入力1222を受ける。振動状態入力1222は、
図10に関して前述したような多くの加速度計及び位置センサによりリアルタイムで測定されてもよく、リアルタイムな振動状態又は対応する加速度及び位置データを含んでもよい。或いは、振動状態入力1222は、
図11に関して前述したような推定振動状態を決定するために制振コンピュータ1006により使用されてもよい航空機パラメータ1102を含んでもよい。
【0043】
図12は、能動型制振システム1000内の複数の能動型粘弾性ダンパ1202を制御するための別の実施形態を示す。第1に、各能動型粘弾性ダンパ1202は、別個の流体アキュムレータ回路1204に結合されてもよい。
図12における点線を無視すると、能動型粘弾性ダンパ1202Aが流体アキュムレータ回路1204Aに結合され、一方、能動型粘弾性ダンパ1202Bが流体アキュムレータ回路1204Bに結合される。制振コンピュータ1006は流体アキュムレータ回路1204A,1204Bの両方を制御する。或いは、複数の能動型粘弾性ダンパ1202へ流体を供給するように選択され或いは設計されてもよい流体アキュムレータ回路1204の構成要素が共有されてもよい。点線を用いて描かれる構成要素を含む
図12を見るが、流体アキュムレータ回路1204Aを無視すると、能動型粘弾性ダンパ1202A,1202Bの両方へ粘性流体112を供給する更に小さい流体アキュムレータ回路を見ることができる。明確にするために図面が簡略化されるとともに、図面が限定的に見なされるべきでないことが理解されるべきである。更なる構成要素又は
図12及び他の図面に示される構成要素よりも少ない構成要素が存在してもよい。
【0044】
図13を参照して、本明細書中で与えられる様々な実施形態にしたがって航空機202の水平安定板102における振動を軽減するためのダンパ特性を決定する方法について説明する。図に示されて本明細書中に記載されるよりも多い或いは少ない工程が行なわれてもよいことが理解されるべきである。これらの工程は、並行して行なわれてもよく、或いは、本明細書中に記載される順序とは異なる順序で行なわれてもよい。
図13は、制振システム100のダンパの特性を決定するためのルーチン1300を示す。ルーチン1300は工程1302で始まり、この工程1302では、解析のための入力が決定される。入力は、航空機の幾何学的形態及び航空機202の全体の構造的配置、水平安定板102のための材料特性、エンジンコア及びファン性能パラメータ、設計ミッションプロファイルに対応する一連の動作条件(すなわち、マッハ数及び高度)、及び、ミッションプロファイルのために与えられるべき重み係数を含むがこれらに限定されない多くのパラメータを含んでもよい。重み係数は、ノイズ及び疲れの観点からの様々なパラメータの相対的重要性を示す。
【0045】
工程1302から、ルーチン1300は工程1304へと続き、この工程1304では、ミッションで達成できる多くの飛行条件に関して工程1302で決定された解析入力を使用して非定常電動計算流体力学(CFD)解析が行なわれる。ルーチン1300は、工程1306及び工程1308へと並行して続く。工程1306では、CFD結果を後処理することによって水平安定板102に作用する振動力が決定される。このプロセスは、出口気流210中に晒される水平安定板102に作用する不安定な揚力、抗力、及び、ピッチングモーメントをモデリングする。言い換えると、工程1306は、乱流プロップウォッシュから振動力を受ける水平安定板102に作用する揚力、抗力、及び、ピッチングモーメントを時間の関数として推定する。
【0046】
工程1308では、工程1302において決定された水平安定板102の幾何学的形態及び機械的特性を使用して動的有限要素法(FEM)モデルが構築される。工程1306,1308から、ルーチン1300は工程1310へと続き、この工程1310では、CFD解析から得られる一連の振動力(揚力、抗力、及び、ピッチングモーメント)に関して動的FEMモデルが実行される。工程1312では、一連の飛行条件に関して水平安定板102の根元(すなわち、回動ポイント118)における励起周波数(ω
0)の行列が与えられる。
【0047】
ルーチン1300は工程1314へと続き、この工程1314では、所定の設計上の問題と航空機の一般的な要件が定め得るものとに関連付けられる技術的な制限及び要件の範囲内で制振システム100が振動を実質的に抑制させるように適切な減衰係数及び減衰比を特定するべく動作の線形常微分方程式が解かれる。1つの非限定的な実施によれば、動作の線形常微分方程式は、適切な減衰係数(c)と減衰比(ζ)とを(ζ)が1よりも大きいように特定するために解かれる。工程1316では、工程1314で決定された減衰係数(c)にしたがってダンパ104が選択され或いは設計され、ルーチン1300が終了する。
【0048】
図14は、本明細書中で与えられる様々な実施形態に係る受動型ダンパ105を利用する航空機202の水平安定板102における振動を軽減するためのルーチン1400を示す。ルーチン1400は工程1402で始まり、この工程1402では、制振システム100の受動型ダンパ105で振動力が受けられる。工程1404,1406が並行して行なわれる。工程1404では、粘弾性ダンパの弾性要素が圧縮される。前述したように、受動型ダンパ105の形態に応じて、スプリング114などの単一の弾性要素、複数の弾性要素、及び/又は。同軸的に配置されるスプリング114が存在してもよい。例えば同軸構成900などを伴う幾つかの実施形態では、スプリング圧縮が順次的であってもよく、その場合、第1のスプリングは、第2のスプリングが関与される前に所定の変位量まで圧縮する。
【0049】
工程1406では、印加された振動力によって粘性ダンパ108と関連付けられるダンパピストン110が移動される。この移動が粘性流体112をダンパピストン110のオリフィス113に押し通し、これは、ダンパピストン110の移動に抵抗する或いは移動を遅くするように作用する。工程1404,1406から、ルーチン1400は工程1408へと続き、この工程1408では、圧縮された弾性要素により及ぼされる力によってダンパピストン110がそれらの開始位置の方向で戻される。受動型ダンパ105のこの抵抗振動動作は、水平安定板102に印加される振動力を効果的に軽減する。
【0050】
図15は、本明細書中で与えられる様々な実施形態に係る能動型ダンパ1002を利用する航空機202の水平安定板102における振動を軽減するためのルーチン1500を示す。言うまでもなく、本明細書中に記載される論理演算は、(1)一連のコンピュータ実施行為又はコンピュータシステムで実行するプログラムモジュールとして、及び/又は、(2)相互に接続された機械論理回路又はコンピュータシステム内の回路モジュールとして実装されてもよい。実装は、コンピュータシステムの性能及び他の動作パラメータに依存する選択的事柄である。したがって、本明細書中に記載される論理演算は、工程、構造的装置、行為、又は、モジュールと様々に称される。これらの工程、構造的装置、行為、及び、モジュールは、ソフトウェアで、ファームウェアで、ハードウェアで、専用のデジタル論理で、及び、これらの組み合わせで実装されてもよい。図に示されて本明細書中に記載されるよりも多い或いは少ない工程が行なわれてもよいことも理解されるべきである。これらの工程は、並行して行なわれてもよく、或いは、本明細書中に記載される順序とは異なる順序で行なわれてもよい。
【0051】
ルーチン1500は工程1502で始まり、この工程1502では、能動型ダンパ1002で振動力が受けられる。工程1504において、制振コンピュータ1006は、リアルタイムな振動状態が測定される場合にはセンサ1008からセンサ入力1010を受ける。リアルタイムな振動状態を測定するためにセンサ1008が使用されなければ、制振コンピュータ1006は、航空機202における様々な航空機システムから航空機パラメータ1102を受ける。前述したように、1つの実施形態によれば、制振コンピュータ1006は、センサ入力1010及び航空機パラメータ1102の両方を受ける。
【0052】
工程1504から、ルーチン1500は工程1506へと続き、この工程1506では、センサ1008からのリアルタイムな測定値に基づいて振動状態が決定され、或いは、受けられた航空機パラメータ1102にしたがって振動状態が推定される。工程1508において、制振コンピュータ1006は、振動状態に基づいてアクチュエータコマンド1012又は圧力コマンド1212を決定するとともに、適切なコマンドを能動型ダンパ1002又は可変流量弁1214へ与える。工程1510では、制振コンピュータ1006が能動型ダンパ1002からフィードバックを受けて、ルーチン1500が終了する。
【0053】
図16は、水平安定板102における振動を先に与えられた態様で軽減する本明細書中に記載されるソフトウェアコンポーネントを実行できる前述した制振コンピュータ1006の例示的なコンピュータアーキテクチャ1600を示す。コンピュータアーキテクチャ1600は、中央処理ユニット1602(CPU)と、ランダムアクセスメモリ1614(RAM)及びリードオンリーメモリ1616(ROM)を含むシステムメモリ1608と、メモリをCPU1602に結合するシステムバス1604とを含む。
【0054】
CPU1602は、コンピュータアーキテクチャ1600の動作のために必要な算術演算及び論理演算を行なう標準的なプログラマブルプロセッサである。CPU1602は、1つの別個の物理状態から次の物理状態へと、これらの状態間を区別してこれらの情報を変化させる切り換え要素の操作によって移行することにより必要な演算を行なってもよい。切り換え要素は、一般に、2つのバイナリ状態のうちの一方を維持する電子回路、例えばフリップフロップと、1つ以上の他の切り換え要素の状態の論理的な組み合わせに基づいて出力状態を与える電子回路、例えば論理ゲートとを含んでもよい。これらの基本的な切り換え要素は、レジスタ、加算器−減算器、算術論理演算ユニット、浮動小数点ユニット等を含む更に複雑な論理回路を形成するように組み合わされてもよい。
【0055】
コンピュータアーキテクチャ1600は、オペレーティングシステム又は制御システム1618と、アクチュエータコマンド1012及び圧力コマンド1212を前述した様々な実施形態に係るダンパ104へ与えるようになっている振動軽減モジュール1624などの特定用途モジュール又は他のプログラムモジュールとを記憶する大容量記憶装置1610も含む。大容量記憶装置1610は、バス1604に接続される大容量記憶コントローラー(図示せず)を介してCPU1602に接続される。大容量記憶装置1610及びその関連するコンピュータ可読媒体は、コンピュータアーキテクチャ1600のための不揮発性記憶装置を与える。
【0056】
コンピュータアーキテクチャ1600は、記憶されるべき情報を反映するように大容量記憶装置の物理状態を変換することによって大容量記憶装置1610にデータを記憶する。物理状態の特定の変換は、この説明の異なる実施では、様々な因子に依存してもよい。そのような因子の例は、大容量記憶装置1610を実装するために使用される技術、大容量記憶装置が一次記憶装置として或いは二次記憶装置として特徴付けられるかどうか等を含んでもよいが、これらに限定されない。例えば、コンピュータアーキテクチャ1600は、磁気ディスクドライブ装置内の特定の箇所の磁気特性、光学記憶装置内の特定の箇所の反射特性又は屈折特性、又は、特定のコンデンサ、トランジスタ、又は、固体記憶装置内の他の別個の構成要素の電気的特性を変えるために記憶コントローラーを介して命令を出すことによって情報を大容量記憶装置1610に記憶してもよい。この説明を容易にするためだけに与えられる前述の例に関しては、本明細書本文の範囲及び思想から逸脱することなく、物理媒体の他の変換も想定し得る。コンピュータアーキテクチャ1600は、大容量記憶装置内の1つ以上の特定の箇所の物理状態又は物理特性を検出することによって大容量記憶装置1610から情報を更に読み取ってもよい。
【0057】
本明細書中に含まれるコンピュータ可読媒体の説明は、ハードディスク又はCD−ROMドライブなどの大容量記憶装置に言及するが、当業者であれば分かるように、コンピュータ可読媒体は、コンピュータアーキテクチャ1600によりアクセスされ得る任意の入手可能なコンピュータ記憶媒体であってもよい。非限定的な一例として、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は、他のデータなどの情報の記憶のための任意の方法又は技術で実装される揮発性及び不揮発性の媒体、除去可能な媒体、及び、除去できない媒体を含んでもよい。例えば、コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他の固体メモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、HD−DVD、BLU−RAY(登録商標)、又は、他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶装置、或いは、所望の情報を記憶するために使用され得るとともにコンピュータアーキテクチャ1600によりアクセスされ得る任意の他の媒体を含むが、これらに限定されない。
【0058】
様々な実施形態によれば、コンピュータアーキテクチャ1600は、ネットワーク1620などのネットワークを介した他の航空機システム及び遠隔コンピュータへの論理的な接続を使用してネットワーク環境内で動作してもよい。コンピュータアーキテクチャ1600は、バス1604に接続されるネットワークインタフェースユニット1606を介してネットワーク1620に接続してもよい。他のタイプのネットワーク及び遠隔コンピュータシステムに接続するためにネットワークインタフェースユニット1606が利用されてもよいことが理解されるべきである。コンピュータアーキテクチャ1600は、制御表示ユニット、キーボード、マウス、電子スタイラス、又は、接続されたディスプレイ1612上に存在してもよいタッチスクリーンを含む多くの他の装置から入力を受けて処理するための入力−出力コントローラー1622を含んでもよい。同様に、入力−出力コントローラー1622は、ディスプレイ1612、プリンタ、又は、他のタイプの出力装置へ出力を与えてもよい。
【0059】
更に、本開示は、以下の項に係る実施形態を備える。
【0060】
項1 航空機の水平安定板のための制振システムであって、
水平安定板の前部に結合される第1のダンパであって、第1のダンパが振動力を第1の自由度で抑制するように構成される、第1のダンパと、
水平安定板の装着ポイントに近接して水平安定板に結合される第2のダンパであって、第2のダンパが振動力を第2の自由度で抑制するように構成される、第2のダンパと、
を備える制振システム。
【0061】
項2 装着ポイントが回動ポイントを備える、項1の制振システム。
【0062】
項3 回動ポイントは、水平安定板のピッチ軸の周りに第1の回動ポイントを備え、制振システムは、水平安定板のピッチ軸の周りの第2の回動ポイントに近接して水平安定板に結合される第3のダンパを更に備え、第3のダンパは、振動力を第2の自由度で抑制するように構成される、項2の制振システム。
【0063】
項4 第1のダンパ及び第2のダンパのうちの少なくとも一方が受動型ダンパを備える、項2の制振システム。
【0064】
項5 受動型ダンパが粘弾性ダンパを備える、項4の制振システム。
【0065】
項6 粘弾性ダンパは、2つのスプリングを備え、第1のスプリングは、第1の周波数にしたがって振動を軽減するように構成され、第2のスプリングは、第2の周波数にしたがって振動を軽減するように構成される、項5の制振システム。
【0066】
項7 第1及び第2の周波数のうちの一方は、ダクテッドファンエンジンからの出口気流における擾乱の周波数に基づいて選択される、項6の制振システム。
【0067】
項8 2つのスプリングが粘弾性ダンパ内に同軸的に配置される、項6の制振システム。
【0068】
項9 第1のスプリングは、第1の端部で固定下端ダンパ壁に当接するとともに第2の端部で可動上端ダンパ壁に当接し、可動上端ダンパ壁が粘性流体チャンバ内のダンパピストンに接続され、それにより、ダンパピストンの直線的な移動が第1のスプリングを圧縮しつつ粘性流体チャンバ内の粘性流体によって抵抗され、
第2のスプリングは、第1のスプリング内に位置付けされて、第1の内側スプリング端で粘性流体チャンバの上端面に当接するとともに、第2の内側スプリング端で可動上端ダンパ壁に当接する、
項8の制振システム。
【0069】
項10 2つのスプリングが互いから分離される項6の制振システム。
【0070】
項11 第1の自由度は、航空機の長手方向軸と略平行な前後方向を成し、第2の自由度は、航空機の長手方向軸に対して略垂直な上下方向を成す、項2の制振システム。
【0071】
項12 第1の自由度は、航空機の長手方向軸と略平行な前後方向を成し、第2の自由度は、航空機の長手方向軸に対して角度をもつ方向を成す、項2の制振システム。
【0072】
項13 水平安定板の回動ポイントに近接して水平安定板に結合される平行なダンパのバンクを更に備え、平行なダンパのバンクが第2のダンパ及び第3のダンパを備え、第2のダンパは、第1の周波数内の第2の自由度で振動力を抑制するように構成され、第3のダンパは、第2の周波数内の第2の自由度で振動力を抑制するように構成される、項2の制振システム。
【0073】
項14 第1のダンパ及び第2のダンパのうちの少なくとも一方が能動型ダンパを備える、項2の制振システム。
【0074】
項15 能動型ダンパが電気リニアアクチュエータを備え、制振システムは、
水平安定板に関連付けられる振動周波数を軽減するためのアクチュエータコマンドを決定するとともに、電気リニアアクチュエータによる実行のためにアクチュエータコマンドを電気リニアアクチュエータへ与えるように動作する制振コンピュータを更に備える、
項14の制振システム。
【0075】
項16 システムは、
水平安定板に関連付けられるリアルタイムな振動状態を測定してリアルタイムな振動状態を制振コンピュータへ与えるように構成される複数の加速度計又は位置センサを更に備え、
振動周波数を軽減するためのアクチュエータコマンドの決定は、複数の加速度計又は位置センサにより測定されるリアルタイムな振動状態を軽減するためのアクチュエータコマンドを決定することを含む、
項15の制振システム。
【0076】
項17 振動周波数を軽減するためのアクチュエータコマンドの決定は、
航空機又は航空機システムの現在の状態に対応する1つ以上の航空機パラメータを受けること、
1つ以上の航空機パラメータに基づいて水平安定板に関連付けられる推定振動状態を決定すること、及び、
推定振動状態を軽減するためのアクチュエータコマンドを決定すること、
を含む項15の制振システム。
【0077】
項18 1つ以上の航空機パラメータは、エンジン設定、飛行特性、航空機特性、飛行制御設定、及び、周囲環境パラメータのうちの1つ以上を備える、項17の制振システム。
【0078】
項19 システムは、
水平安定板に関連付けられるリアルタイムな振動状態を測定してリアルタイムな振動状態を制振コンピュータへ与えるように構成される複数の加速度計又は位置センサを更に備え、
振動周波数を軽減するためのアクチュエータコマンドの決定は、
航空機又は航空機システムの現在の状態に対応する1つ以上の航空機パラメータを受けること、
1つ以上の航空機パラメータに基づいて水平安定板に関連付けられる推定振動状態を決定すること、
推定振動状態を軽減するためのアクチュエータコマンドを決定すること、
推定振動状態を軽減するために決定されたアクチュエータコマンドにしたがって水平安定板を移動させるべく命令を制振コンピュータから電気リニアアクチュエータへ与えること、
複数の加速度計又は位置センサにより測定されるリアルタイムな振動状態を受けること、
リアルタイムな振動状態に基づいて修正アクチュエータコマンドを決定すること、
修正アクチュエータコマンドを電気リニアアクチュエータへ与えること、
を含む項15の制振システム。
【0079】
項20 能動型ダンパは、可変係数制振要素を有する粘弾性ダンパを備え、制振システムは、
水平安定板に関連付けられる振動周波数を軽減するために可変係数制振要素のための圧力コマンドを決定するとともに、振動周波数を軽減するために可変係数制振要素内の減衰係数を管理するべく圧力コマンドにしたがって流体アキュムレータ回路内の可変流量弁を作動させるように動作する制振コンピュータを更に備える、
項14の制振システム。
【0080】
項21 水平安定板が航空機の胴体内に低尾翼形態で装着される項2の制振システム。
【0081】
項22 水平安定板が航空機の垂直安定板内に十字尾翼形態で装着される項2の制振システム。
【0082】
項23 水平安定板が航空機の垂直安定板の上端部内にT尾翼形態で装着される項2の制振システム。
【0083】
項24 航空機の水平安定板における振動を軽減するための方法であって、
水平安定板の前部に結合される第1のダンパ及び回動ポイントに近接して水平安定板に結合される第2のダンパで振動を受けるステップと、
第1のダンパを用いて振動を第1の自由度で抑制するステップと、
第2のダンパを用いて振動を第2の自由度で抑制するステップと、
を備える方法。
【0084】
項25 第1のダンパ及び第2のダンパのうちの少なくとも一方が受動型ダンパを備える項24の方法。
【0085】
項26 受動型ダンパが粘弾性ダンパを備え、それにより、振動を抑制するステップは、粘性流体をピストンの1つ以上のオリフィスに押し通すようにピストンを用いて粘性流体を押圧するステップと、振動からの力に応じてスプリングを圧縮するとともに、力の解放時に、スプリングからの力により、ピストンを開始位置へ向けて戻すステップとを備える項25の方法。
【0086】
項27 スプリングを圧縮するステップは、第1の周波数で第1の振動力を軽減するように構成される第1のスプリングを圧縮させるとともに、第2の周波数で第2の振動力を軽減するように構成される第2のスプリングを圧縮させるステップを備える、項26の方法。
【0087】
項28 第1のスプリングを圧縮するとともに第2のスプリングを圧縮するステップは、可動上端ダンパ壁を用いて、中心ダンパ部材の周囲に同軸的に配置される第1のスプリング及び第2のスプリングに力を印加するステップを備え、中心ダンパ部材は、一端の可動上端ダンパ壁から他端の粘性流体チャンバ内のダンパピストンまで延伸し、それにより、可動上端ダンパ壁に印加される力は、ダンパピストンを用いて粘性流体チャンバ内の粘性流体により抵抗されつつ第1のスプリング及び第2のスプリングを圧縮させる、項27の方法。
【0088】
項29 水平安定板の回動ポイントに近接して水平安定板に結合される平行なダンパのバンクで振動を受けるステップを更に備え、平行なダンパのバンクが第2のダンパ及び第3のダンパを備え、第2のダンパは、第1の周波数において第2の自由度で振動力を抑制するように構成され、第3のダンパは、第2の周波数において第2の自由度で振動力を抑制するように構成され、
第2のダンパを用いて振動を第2の自由度で抑制するステップは、第2のダンパ及び第3のダンパを用いて振動を第2の自由度で抑制するステップを備える、
項24の方法。
【0089】
項30 第1のダンパ及び第2のダンパのうちの少なくとも一方が能動型ダンパを備える、項24の方法。
【0090】
項31 能動型ダンパが電気リニアアクチュエータを備え、方法は、
水平安定板に関連付けられる振動周波数を軽減するためのアクチュエータコマンドを決定するステップと、
電気リニアアクチュエータによる実行のためにアクチュエータコマンドを電気リニアアクチュエータへ与えるステップと、
を更に備える項30の方法。
【0091】
項32 方法は、
水平安定板に関連付けられるリアルタイムな振動状態を複数の加速度計又は位置センサから受けるステップと、
リアルタイムな振動状態を制振コンピュータへ与えるステップと、
を更に備え、
振動周波数を軽減するためのアクチュエータコマンドを決定するステップは、複数の加速度計又は位置センサにより測定されるリアルタイムな振動状態を軽減するためのアクチュエータコマンドを決定するステップを備える、
項31の方法。
【0092】
項33 振動周波数を軽減するためのアクチュエータコマンドを決定するステップは、
航空機又は航空機システムの現在の状態に対応する1つ以上の航空機パラメータを受けるステップと、
1つ以上の航空機パラメータに基づいて水平安定板に関連付けられる推定振動状態を決定するステップと、
推定振動状態を軽減するためのアクチュエータコマンドを決定するステップと、
を備える項31の方法。
【0093】
項34 1つ以上の航空機パラメータは、
エンジン設定、飛行特性、航空機特性、飛行制御設定、及び、周囲環境パラメータのうちの1つ以上を備える、項33の方法。
【0094】
項35 振動周波数を軽減するためのアクチュエータコマンドを決定するステップは、
航空機又は航空機システムの現在の状態に対応する1つ以上の航空機パラメータを受けるステップと、
1つ以上の航空機パラメータに基づいて水平安定板に関連付けられる推定振動状態を決定するステップと、
推定振動状態を軽減するためのアクチュエータコマンドを決定するステップと、
推定振動状態を軽減するために決定されたアクチュエータコマンドにしたがって水平安定板を移動させるべく命令を制振コンピュータから電気リニアアクチュエータへ与えるステップと、
水平安定板に関連付けられるリアルタイムな振動状態を複数の加速度計又は位置センサから受けるステップと、
リアルタイムな振動状態に基づいて修正アクチュエータコマンドを決定するステップと、
修正アクチュエータコマンドを電気リニアアクチュエータへ与えるステップと、
を備える、項31の方法。
【0095】
項36 能動型ダンパは、可変係数制振要素を有する粘弾性ダンパを備え、方法は、
制振コンピュータを用いて水平安定板に関連付けられる振動周波数を軽減するために可変係数制振要素のための圧力コマンドを決定するステップと、
振動周波数を軽減するために可変係数制振要素内の減衰係数を管理するべく圧力コマンドにしたがって流体アキュムレータ回路内の可変流量弁を作動させるステップと、
を更に備える、項30の方法。
【0096】
項37 航空機の水平安定板のための制振システムであって、
水平安定板の前部に結合される第1の粘弾性ダンパであって、第1の粘弾性ダンパが振動力を第1の自由度で抑制するように構成される、第1の粘弾性ダンパと、
水平安定板のピッチ軸の周りの第1の回動ポイントに近接して水平安定板に結合される第2の粘弾性ダンパであって、第2の粘弾性ダンパが振動力を第2の自由度で抑制するように構成される、第2の粘弾性ダンパと、
水平安定板のピッチ軸の周りの第2の回動ポイントに近接して水平安定板に結合される第3の粘弾性ダンパであって、第3の粘弾性ダンパが振動力を第2の自由度で抑制するように構成される、第3の粘弾性ダンパと、
を備える、制振システム。
【0097】
項38 第1の粘弾性ダンパ、第2の粘弾性ダンパ、及び、第3の粘弾性ダンパは、少なくとも2つの異なる周波数内の振動を軽減するように構成される、項37の制振システム。
【0098】
項39 第1の粘弾性ダンパ、第2の粘弾性ダンパ、及び、第3の粘弾性ダンパのそれぞれが平行な粘弾性ダンパのバンクを備え、バンクの各ダンパが別個の振動周波数に対応する、項38の制振システム。
【0099】
項40 第1の粘弾性ダンパ、第2の粘弾性ダンパ、及び、第3の粘弾性ダンパのそれぞれが複数のスプリングを備え、各スプリングが別個の振動周波数内の振動を軽減するように構成される、項38の制振システム。
【0100】
以上に基づき、水平安定板102における振動を軽減するための技術が本明細書中で与えられることが理解されるべきである。前述の主題は、例示としてのみ与えられ、限定的に解釈されるべきでない。図示されて説明された実施形態例及び用途に従うことなく、また、以下の特許請求の範囲に記載される本開示の真の思想及び範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載される主題に対して様々な修正及び変更がなされてもよい。