【実施例】
【0030】
1.銀ナノプレートの非水系分散液の作製
1−1.銀ナノプレート水分散液(母液)の作製
1−1−1.銀ナノプレートの種粒子の作製
2.5mMのクエン酸三ナトリウム水溶液20mLに、0.5g/Lの分子量70,000ポリスチレンスルホン酸水溶液1mLと、10mMの水素化ほう素ナトリウム水溶液1.2mLとを添加し、次いで、0.5mMの硝酸銀水溶液50mLを20mL/minで攪拌しながら添加した。得られた溶液をインキュベーター(30℃)中に60分間静置し、銀ナノプレートの種粒子の水分散液を作製した。
【0031】
1−1−2.銀ナノプレート水分散液Aの作製
蒸留水200mlに、10mMのアスコルビン酸水溶液4.5mLを添加し、上述の銀ナノプレートの種粒子の水分散液12mlを添加した。得られた溶液に、0.5mMの硝酸銀水溶液120mLを30mL/minで攪拌しながら添加した。硝酸銀水溶液の添加が終了した4分後に攪拌を停止し、25mMのクエン酸三ナトリウム水溶液20mlを添加し、得られた溶液を大気雰囲気下のインキュベーター(30℃)中に100時間静置し、銀ナノプレート水分散液Aを作製した。作製した分散液を超純水で5倍容に希釈した水分散液の光学特性を
図1及び後述の表1に示す。最大吸収を示す波長は454nm(消光度0.8、半値幅56nm)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。水分散液A中の銀ナノプレートをSEMにより観察したところ、銀ナノプレートの平均粒子径は18nmであり、平均厚さは8nmでアスペクト比は2.2であった。SEM観察写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
【0032】
1−1−3.銀ナノプレート水分散液Bの作製
上記銀ナノプレートの種粒子の水分散液の添加量を12mlから4mlに変更した以外は、銀ナノプレート水分散液Aと同様にして、銀ナノプレート水分散液Bを作製した。作製した分散液を超純水で5倍容に希釈した水分散液の光学特性を
図2及び後述の表2に示す。最大吸収を示す波長は482nm(消光度0.8、半値幅72nm)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。水分散液B中の銀ナノプレートをSEMにより観察したところ、銀ナノプレートの平均粒子径は31nmであり、平均厚さは8nmでアスペクト比は3.8であった。SEM観察写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
【0033】
1−1−4.銀ナノプレート水分散液Cの作製
上記銀ナノプレートの種粒子の水分散液の添加量を12mlから2mlに変更した以外は、銀ナノプレート水分散液Aの作製と同様にして、銀ナノプレート水分散液Cを作製した。作製した分散液を超純水で5倍容に希釈した水分散液の光学特性を
図3及び後述の表3に示す。最大吸収を示す波長は568nm(消光度0.8、半値幅114nm)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。水分散液C中の銀ナノプレートをSEMにより観察したところ、銀ナノプレートの平均粒子径は50nmであり、平均厚さは10nmでアスペクト比は5.0であった。SEM観察写真の解析には株式会社日立製作所製の走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
【0034】
1−1−5.銀ナノプレート水分散液Dの作製
2mMのクエン酸三ナトリウム水溶液50mlに10mMの硝酸銀水溶液6.0mLと24mMの硝酸銅水溶液2.5mLと40mMのジメチルアミンボラン水溶液2.5mlを添加し、10分間撹拌した後、この液を遮光条件化、30℃にて48時間静置させる事により、銀粒子の水分散液を得た。得られた銀粒子には平均粒子径が90nm、平均厚さが15nmのプレート状の銀粒子が含まれていた。また副生成粒子として球状銀粒子や多面体銀粒子のような様々な形状の銀粒子が含まれていた。得られた水分散液を遠心処理する事で、副生成粒子を除去した。作製した分散液を超純水で5倍容に希釈した水分散液の光学特性を
図4に示す。最大吸収を示す波長は800nm(消光度0.8、半値幅248nm)であった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0035】
1−2 銀ナノプレートのトルエン分散液の作製
1−2−1. 銀ナノプレートのトルエン分散液E(実施例1)の作製
12.5gのアジスパーPB824(酸価:17、塩基価:21)を500mLのトルエンに溶解し、更に銀ナノプレート水分散液Aを500mL添加した。撹拌後、銀ナノプレートを水中からトルエン中に移行させた。その後、トルエン層を抽出することにより、銀ナノプレートのトルエン分散液Eを作製した。作製したトルエン分散液Eをトルエンで5倍容に希釈したトルエン分散液の光学特性を
図1及び後述の表1に示す。最大吸収を示す波長は484nm(消光度0.9、半値幅64nm)であり、分散液の色調は黄色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0036】
1−2−2. 銀ナノプレートのトルエン分散液F(実施例2)の作製
上記銀ナノプレート水分散液Aを銀ナノプレート水分散液Bに変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Eと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Fを作製した。作製したトルエン分散液Fをトルエンで5倍容に希釈したトルエン分散液の光学特性を
図2及び後述の表2に示す。最大吸収を示す波長は518nm(消光度0.8、半値幅92nm)であり、分散液の色調は赤色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0037】
1−2−3. 銀ナノプレートのトルエン分散液G(実施例3)の作製
上記銀ナノプレート水分散液Aを銀ナノプレート水分散液Cに変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Eと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Gを作製した。作製したトルエン分散液Gをトルエンで5倍容に希釈したトルエン分散液の光学特性を
図3及び後述の表3に示す。最大吸収を示す波長は624nm(消光度0.8、半値幅136nm)であり、分散液の色調は青色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0038】
1−2−4. 銀ナノプレートのトルエン分散液H(実施例4)の作製
上記銀ナノプレート水分散液Aを銀ナノプレート水分散液Dに変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Eと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Hを作製した。作製したトルエン分散液Hをトルエンで5倍容に希釈したトルエン分散液の光学特性を
図4に示す。最大吸収を示す波長は876nm(消光度0.8、半値幅286nm)であり、分散液の色調は水色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0039】
1−2−5. 銀ナノプレートのトルエン分散液I(実施例5)の作製
12.5gのアジスパーPB824を12.5gのソルスパーズ39000(酸価:17、塩基価:30)に変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Eと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Iを作製した。作製したトルエン分散液Iをトルエンで5倍容に希釈したトルエン分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は470nm(消光度0.9、半値幅66nm)であり、分散液の色調は黄色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0040】
1−2−6. 銀ナノプレートのトルエン分散液J(実施例6)の作製
12.5gのアジスパーPB824を12.5gのDisperBYK9077(酸価:0、塩基価:48)に変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Eと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Jを作製した。作製したトルエン分散液Jをトルエンで5倍容に希釈したトルエン分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は450nm(消光度0.9、半値幅78nm)であり、分散液の色調は黄色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0041】
1−2−7. 銀ナノプレートのトルエン分散液K(実施例7)の作製
12.5gのアジスパーPB824を12.5gのDisperBYK2050(酸価:0、塩基価:30)に変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Eと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Kを作製した。作製したトルエン分散液Kをトルエンで5倍容に希釈したトルエン分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は472nm(消光度0.9、半値幅110nm)であり、分散液の色調は黄色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0042】
1−2−8. 銀ナノプレートのトルエン分散液L(実施例8)の作製
12.5gのアジスパーPB824を12.5gのソルスパーズ13240(酸価:0、塩基価:91)に変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Eと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Lを作製した。作製したトルエン分散液Lをトルエンで5倍容に希釈したトルエン分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は468nm(消光度0.8、半値幅110nm)であり、分散液の色調は黄色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0043】
1−2−9. 銀ナノプレートのトルエン分散液M(実施例9)の作製
2.55gのアジスパーPB824を12.5gのソルスパーズ13940(酸価:0、塩基価:91)に変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Eと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Mを作製した。作製したトルエン分散液Mをトルエンで5倍容に希釈したトルエン分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は467nm(消光度0.8、半値幅111nm)であり、分散液の色調は黄色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0044】
1−2−10. 銀ナノプレートのトルエン分散液N(実施例10)の作製
12.5gのアジスパーPB824を12.5gのDisperBYK145(酸価:76、塩基価:71)に変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Eと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Nを作製した。作製したトルエン分散液Nをトルエンで5倍容に希釈したトルエン分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は466nm(消光度0.8、半値幅62nm)であり、分散液の色調は黄色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0045】
1−2−11. 銀ナノプレートのトルエン分散液O(実施例11)の作製
12.5gのアジスパーPB824を12.5gのアジスパーPB881(酸価:17、塩基価:17)に変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Eと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Oを作製した。作製したトルエン分散液Oをトルエンで5倍容に希釈したトルエン分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は480nm(消光度0.8、半値幅73nm)であり、分散液の色調は黄色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0046】
1−2−12. 銀ナノプレートのトルエン分散液P(実施例12)の作製
12.5gのアジスパーPB824を12.5gのソルスパーズ24000GR(酸価:25、塩基価:42)に変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Eと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Pを作製した。作製したトルエン分散液Pをトルエンで5倍容に希釈したトルエン分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は450nm(消光度0.8、半値幅70nm)であり、分散液の色調は黄色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0047】
1−2−13. 銀ナノプレートのトルエン分散液Q(実施例13)の作製
12.5gのアジスパーPB824を12.5gのソルスパーズ24000SC(酸価:25、塩基価:42)に変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Eと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Qを作製した。作製したトルエン分散液Qをトルエンで5倍容に希釈したトルエン分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は448nm(消光度0.8、半値幅68nm)であり、分散液の色調は黄色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0048】
1−2−14. 銀ナノプレートのトルエン分散液R(実施例14)の作製
12.5gのアジスパーPB824を12.5gのソルスパーズ32000(酸価:16、塩基価:31)に変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Eと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Rを作製した。作製したトルエン分散液Rをトルエンで5倍容に希釈したトルエン分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は470nm(消光度0.8、半値幅96nm)であり、分散液の色調は黄色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0049】
1−2−15. 銀ナノプレートのトルエン分散液S(実施例15)の作製
12.5gのアジスパーPB824を12.5gのDisperBYK9077(酸価:0、塩基価:48)に変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Fと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Sを作製した。作製したトルエン分散液Sをトルエンで5倍容に希釈したトルエン分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は494nm(消光度0.8、半値幅102nm)であり、分散液の色調は赤色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0050】
1−2−16. 銀ナノプレートのトルエン分散液T(実施例16)の作製
12.5gのアジスパーPB824を12.5gのソルスパーズ24000SC(酸価:25、塩基価:42)に変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Fと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Tを作製した。作製したトルエン分散液Tをトルエンで5倍容に希釈したトルエン分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は490nm(消光度0.8、半値幅100nm)であり、分散液の色調は赤色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0051】
1−2−17. 銀ナノプレートのトルエン分散液U(実施例17)の作製
12.5gのアジスパーPB824を12.5gのDisperBYK9077(酸価:0、塩基価:48)に変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Gと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Uを作製した。作製したトルエン分散液Uをトルエンで5倍容に希釈したトルエン分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は590nm(消光度0.8、半値幅145nm)であり、分散液の色調は青色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0052】
1−2−18. 銀ナノプレートのトルエン分散液V(実施例18)の作製
12.5gのアジスパーPB824を12.5gのソルスパーズ24000SC(酸価:25、塩基価:42)に変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Gと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Vを作製した。作製したトルエン分散液Vをトルエンで5倍容に希釈したトルエン分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は596nm(消光度0.8、半値幅147nm)であり、分散液の色調は青色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0053】
1−2−19. 銀ナノプレートのトルエン分散液W(比較例1)の作製
12.5gのアジスパーPB824を12.5gのアジスパーPA111(酸価:35、塩基価:0)に変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Eと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Wの作製を試みた。しかし、トルエンに銀ナノプレートが移行しておらず、銀ナノプレートのトルエン分散液Wを作製することはできなかった。
【0054】
1−2−20. 銀ナノプレートのトルエン分散液X(比較例2)の作製
12.5gのアジスパーPB824を12.5gのDisperBYK180(酸価:94、塩基価:94)に変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Eと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Xの作製を試みた。しかし、トルエンに銀ナノプレートが移行しておらず、銀ナノプレートのトルエン分散液Xを作製することはできなかった。また、銀ナノプレートの粒子成長による金属光沢が認められ、水からトルエンへの移行の際に銀ナノプレートの粒子径が変化していると推測される。
【0055】
1−2−21. 銀ナノプレートのトルエン分散液Y(比較例3)の作製
12.5gのアジスパーPB824を12.5gのDisperBYK109(酸価:0、塩基価:140)に変更した以外は、銀ナノプレートのトルエン分散液Eと同様の方法で、銀ナノプレートのトルエン分散液Yを作製した。しかし、得られた銀ナノプレートのトルエン分散液Yでは、銀ナノプレートの粒子成長による金属光沢が認められ、水からトルエンへの移行の際に銀ナノプレートの粒子径が変化していると推測される。
【0056】
1−3 銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液の作製
1−3−1 銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液Z(実施例19)の作製
35gのトルエン分散液Eを遠心処理し、銀ナノプレート及び分散剤を沈降させた。得られた沈降物を35mLのプロピレングリコールモノメチルエーテルに再分散させて銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液Zを作製した。作製したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液Zをプロピレングリコールモノメチルエーテルで5倍容に希釈したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液の光学特性を
図1及び後述の表1に示す。最大吸収を示す波長は474nm(消光度0.8、半値幅62nm)であり、分散液の色調は黄色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0057】
1−3−2 銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AA(実施例20)の作製
上記トルエン分散液Eをトルエン分散液Jに変更した以外は、銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液Zと同様の方法で、銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AAを作製した。作製したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AAをプロピレングリコールモノメチルエーテルで5倍容に希釈したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は440nm(消光度0.8、半値幅66nm)であり、分散液の色調は黄色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0058】
1−3−3 銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AB(実施例21)の作製
上記トルエン分散液Eをトルエン分散液Qに変更した以外は、銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液Zと同様の方法で、銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液ABを作製した。作製したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液ABをプロピレングリコールモノメチルエーテルで5倍容に希釈したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は438nm(消光度0.8、半値幅56nm)であり、分散液の色調は黄色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0059】
1−3−4 銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AC(実施例22)の作製
上記トルエン分散液Eをトルエン分散液Fに変更した以外は、銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液Zと同様の方法で、銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液ACを作製した。作製したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液ACをプロピレングリコールモノメチルエーテルで5倍容に希釈したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液の光学特性を
図2及び後述の表2に示す。最大吸収を示す波長は506nm(消光度0.8、半値幅86nm)であり、分散液の色調は赤色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0060】
1−3−5 銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AD(実施例23)の作製
上記トルエン分散液Eをトルエン分散液Sに変更した以外は、銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液Zと同様の方法で、銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液ADを作製した。作製したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液ADをプロピレングリコールモノメチルエーテルで5倍容に希釈したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は492nm(消光度0.8、半値幅81nm)であり、分散液の色調は赤色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0061】
1−3−6 銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AE(実施例24)の作製
上記トルエン分散液Eをトルエン分散液Tに変更した以外は、銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液Zと同様の方法で、銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AEを作製した。作製したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AEをプロピレングリコールモノメチルエーテルで5倍容に希釈したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は498nm(消光度0.8、半値幅79nm)であり、分散液の色調は赤色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0062】
1−3−7 銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AF(実施例25)の作製
上記トルエン分散液Eをトルエン分散液Gに変更した以外は、銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液Zと同様の方法で、銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AFを作製した。作製したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AFをプロピレングリコールモノメチルエーテルで5倍容に希釈したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液の光学特性を
図3及び後述の表3に示す。最大吸収を示す波長は600nm(消光度0.8、半値幅126nm)であり、分散液の色調は青色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0063】
1−3−8 銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AG(実施例26)の作製
上記トルエン分散液Eをトルエン分散液Uに変更した以外は、銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液Zと同様の方法で、銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AGを作製した。作製したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AGをプロピレングリコールモノメチルエーテルで5倍容に希釈したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は586nm(消光度0.8、半値幅115nm)であり、分散液の色調は青色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0064】
1−3−7 銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AH(実施例27)の作製
上記トルエン分散液Eをトルエン分散液Vに変更した以外は、銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液Zと同様の方法で、銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AHを作製した。作製したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AHをプロピレングリコールモノメチルエーテルで5倍容に希釈したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は592nm(消光度0.8、半値幅117nm)であり、分散液の色調は青色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0065】
1−3−8 銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AI(実施例28)の作製
上記トルエン分散液Eをトルエン分散液Hに変更した以外は、銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液Zと同様の方法で、銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AIを作製した。作製したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AIをプロピレングリコールモノメチルエーテルで5倍容に希釈したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液の光学特性を
図4に示す。最大吸収を示す波長は846nm(消光度0.8、半値幅264nm)であり、分散液の色調は水色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0066】
2.銀ナノプレートの非水系分散液作製用の固体組成物の作製
2−1 銀ナノプレートの非水系分散液作製用の固体組成物AJ(実施例29)の作製
12.5gのソルスパーズ24000SC(酸価:25、塩基価:42)を500mLのトルエンに溶解し、更に銀ナノプレート水分散液Aを500mL添加した。撹拌後、銀ナノプレートを水中からトルエン中に移行させた。その後、トルエン層を抽出することにより、銀ナノプレートのトルエン分散液を作製した。
作製したトルエン分散液(ソルスパーズ24000SC)35gを遠心処理し、銀ナノプレート及び分散剤を沈降させた。更に得られた沈降物に対して、トルエンを除去することにより、固体組成物AJを得た。
得られた固体組成物AJを35mLのプロピレングリコールモノメチルエーテルに再分散させて銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AJ−1(実施例29−1)を作製した。作製したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AJ−1をプロピレングリコールモノメチルエーテルで5倍容に希釈したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は438nm(消光度0.8、半値幅78nm)であり、分散液の色調は黄色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0067】
2−2 銀ナノプレートの非水系分散液作製用の固体組成物AK(実施例30)の作製
12.5gのDisperBYK2050(酸価:0、塩基価:30)を500mLのトルエンに溶解し、更に銀ナノプレート水分散液Bを500mL添加した。撹拌後、銀ナノプレートを水中からトルエン中に移行させた。その後、トルエン層を抽出することにより、銀ナノプレートのトルエン分散液を作製した。
作製したトルエン分散液35gを遠心処理し、銀ナノプレート及び分散剤を沈降させた。更に得られた沈降物に対して、トルエンを除去することにより、固体組成物AKを得た。
得られた固体組成物AKを35mLのプロピレングリコールモノメチルエーテルに再分散させて銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AK−1(実施例30−1)を作製した。作製したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AK−1をプロピレングリコールモノメチルエーテルで5倍容に希釈したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は554nm(消光度0.8、半値幅114nm)であり、分散液の色調は赤色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0068】
2−3 銀ナノプレートの非水系分散液作製用の固体組成物AL(実施例31)の作製
12.5gのDisperBYK2022(酸価:0、塩基価:61)を500mLのトルエンに溶解し、更に銀ナノプレート水分散液Bを500mL添加し、1分間振とうさせた。撹拌後、銀ナノプレートを水中からトルエン中に移行させた。その後、トルエン層を抽出することにより、銀ナノプレートのトルエン分散液を作製した。
作製したトルエン分散液35gを遠心処理し、銀ナノプレート及び分散剤を沈降させた。更に得られた沈降物に対して、トルエンを除去することにより、固体組成物ALを得た。
得られた固体組成物ALを35mLのプロピレングリコールモノメチルエーテルに再分散させて銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AL−1(実施例31−1)を作製した。作製したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AL−1をプロピレングリコールモノメチルエーテルで5倍容に希釈したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は558nm(消光度0.8、半値幅114nm)であり、分散液の色調は赤色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0069】
2−4 銀ナノプレートの非水系分散液作製用の固体組成物AM(実施例32)の作製
35gのトルエン分散液Eを遠心処理し、銀ナノプレート及び分散剤を沈降させた。更に得られた銀ナノプレートに対して、トルエンを除去することにより、固体組成物AMを得た。
得られた固体組成物AMを1mLのプロピレングリコールモノメチルエーテルに分散させて銀ナノプレートのプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AM−1(実施例32−1)を作製した。作製したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液AM−1をプロピレングリコールモノメチルエーテルで700倍容に希釈したプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液の光学特性を測定した結果、最大吸収を示す波長は472nm(消光度0.8、半値幅72nm)であり、分散液の色調は黄色だった。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、光路長:1cm及び測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。
【0070】
3.銀ナノプレートの非水系塗料の作製
3−1 銀ナノプレートの非水系塗料(プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)の作製
3−1−1 銀ナノプレートの非水系塗料(分散液Z含有)(実施例33)の作製
分散液Zを20質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET−30 日本化薬社製)を100質量部、そして光重合開始剤(DAROCUR1173、BASF社製)を3質量部混合し、銀ナノプレートの非水系塗料(分散液Z含有)を作製した。
3−1−2 銀ナノプレートの非水系塗料(分散液AC含有)(実施例34)の作製
分散液Zを分散液ACに変更した以外は、非水系塗料(分散液Z含有)と同様の方法により、銀ナノプレートの非水系塗料(分散液AC含有)を作製した。
3−1−3 銀ナノプレートの非水系塗料(分散液AF含有)(実施例35)の作製
分散液Zを分散液AFに変更した以外は、非水系塗料(分散液Z含有)と同様の方法により、銀ナノプレートの非水系塗料(分散液AF含有)を作製した。
【0071】
4.銀ナノプレート塗膜の作製
銀ナノプレートの非水系塗料(分散液Z含有)、非水系塗料(分散液AC含有)、又は非水系塗料(分散液AF含有)をそれぞれ、バーコーターを用いて、ガラス板に塗装し、有機溶媒を蒸発させた後、空気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm
2の光を照射して、膜厚60μmの硬化膜(塗膜Z’(実施例33’)、塗膜AC’(実施例34’)、又は塗膜AF’(実施例35’))を作製した。その後、硬化膜を表面に有するガラス板の光学特性スペクトルを測定した。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。塗膜Z’(分散液Z含有非水系塗料由来)、塗膜AC’(分散液AC含有非水系塗料由来)、及び塗膜AF’(分散液AF含有非水系塗料由来)を有するガラス板の光学特性スペクトルの測定結果を、それぞれ
図1〜
図3及び後述の表1〜3に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
5.銀ナノプレートの非水系分散液のさらなる実施例
長波長側(800nm〜900nmの領域)に最大吸収波長を有する銀ナノプレートの水系分散液を常法により作製し、実施例1の作製方法に準じて、アジスパーPB822(酸価:14、塩基価:17)又はアジスパーPB821(酸価:17、塩基価:9)を分散剤として使用し、トルエンを有機溶媒として使用した銀ナノプレートの非水系分散液(実施例36及び37)を作製した。そして、これらトルエンを有機溶媒として使用した銀ナノプレートの非水系分散液から、実施例19の作製方法に準じて、アジスパーPB822又はアジスパーPB821を分散剤として使用し、プロピレングリコールモノメチルエーテルを有機溶媒として使用した銀ナノプレートの非水系分散液(実施例38及び39)も作製した。
【0076】
6.評価
実施例1〜28、実施例29−1〜32−1及び実施例36〜39、並びに比較例1〜3の非水系分散液に使用した分散剤及び分散媒の種類、並びに、非水系分散液の調製の成否を以下の表4にまとめた。また、非水系分散液を調製できた場合には、その極大吸収波長及び半値幅も記載した。
【0077】
【表4】
【0078】
上述の実施例の結果から理解できるように、酸価が90以下であり、かつ塩基価が5〜100である分散剤を使用した場合、安定した分散状態を有する水分散液と比較してほぼ同等の分光特性を有する非水系分散液を作製することができた。また、最大吸収波長と半値幅との関係を
図5に示す。実施例に由来するプロットは、次式:
半値幅[nm]=最大吸収波長[nm]×0.50−157
で近似することができた(
図5中の実線)。また、各プロットは、概ね、次式:
半値幅[nm]=最大吸収波長[nm]×0.50−157±40
の範囲内に収まった(
図5中の破線)。これらの半値幅の値は、対応する水分散液と比較して同程度であり、最大吸収波長のピークの鋭い非水系分散液を作製することができた。このことから、上記特性を有する分散剤を使用すれば、銀ナノプレートの光学特性を変化させずに、水分散液から非水系分散液に転換させることができることがわかった。
一方で、比較例1のように、塩基価が5未満の分散剤を用いた場合には、有機溶媒に銀ナノプレートが移行せず、銀ナノプレートの非水系分散液を作製することができなかった。そして、比較例2のように、酸価が90より大きい分散剤を用いた場合、及び、比較例3のように塩基価が100より大きい分散剤を用いた場合には、銀ナノプレートの粒子成長による金属光沢が認められた。これは、水からトルエンへの移行の際に銀ナノプレートが凝集して嵩高くなったためであり、銀ナノプレートの粒子径も変化していると推測される。
【0079】
さらに、実施例29−1〜32−1の結果から理解できるように、粉末化した銀ナノプレートの固形組成物を再度有機溶媒に分散させた場合にも、安定した分散状態を有する水分散液と比較してほぼ同等の分光特性を有する非水系分散液を作製することができることがわかった。半値幅の値も、対応する水分散液と比較して同程度であり、最大吸収波長のピークの鋭い非水系分散液を作製することができた。これらのことから、前述の特性を有する分散剤を使用すれば、再分散性にも優れた銀ナノプレートの非水系分散液調製用の固体組成物を製造できることがわかった。
加えて、製造方法が及ぼす銀ナノプレートの非水系分散液への影響を比較するために、水分散液、遠心分離によって分散媒を置換した実施例19の分散液Z、及び、固体組成物の生成を介して分散媒を置換した実施例32−1の分散液AM−1の光学特性を
図6に示す。この図より、実施例19の分散液Zと実施例32−1の分散液AM−1とは、ほぼ同等の分光特性を有していることが理解できるので、どのような方法で銀ナノプレートの非水系分散液を作製する場合であっても、酸価が90以下であり、かつ塩基価が5〜100である分散剤を使用すれば、安定な非水系分散液を作製することができることがわかった。
以上より、酸価が90以下であり、かつ塩基価が5〜100である分散剤は、銀ナノプレートなどの金属ナノプレートの安定な非水系分散液の製造に有用である。
【0080】
7.銀ナノプレートの非水系分散液のまた別の実施例
長波長側(900nm〜1200nmの領域)に最大吸収波長を有する銀ナノプレートの水系分散液を常法により作製した。最大吸収波長が956nmの銀ナノプレートの粒子径は120nmであり、最大吸収波長が1026nmの銀ナノプレートの粒子径は150nmであり、最大吸収波長が1140nmの銀ナノプレートの粒子径は180nmだった。これらの水系分散液から、実施例1及び19の作製方法(トルエン分散液からの溶媒置換法)に準じて、アジスパーPB824を分散剤として使用し、プロピレングリコールモノメチルエーテルを有機溶媒として使用した銀ナノプレートの非水系分散液(実施例40〜42)を作製した。
【0081】
また、505nmに最大吸収波長を有する銀ナノプレートの水系分散液を常法により作製し、実施例1及び19の作製方法(トルエン分散液からの溶媒置換法)に準じて、アジスパーPB824を分散剤として使用し、アセトン、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、又はトルエンを有機溶媒として使用した銀ナノプレートの非水系分散液(実施例43〜49)を作製した。(なお、実施例49のトルエン分散液は、実施例1の作製方法に準じて作製したトルエン分散液を、実施例19の作製方法に準じて溶媒置換する際に、再度トルエンを分散媒として採用して作製したものである。)
【0082】
実施例40〜49の非水系分散液に使用した分散剤及び分散媒の種類、非水系分散液の調製の成否、並びに、その極大吸収波長及び半値幅を以下の表5にまとめた。
【表5】
【0083】
実施例40〜42のように長波長側に最大吸収波長を有する銀ナノプレートの粒子径は比較的大きいものであったが、そのような銀ナノプレートであっても、本発明に従えば、安定性が良好な非水系分散液を作製することができた。また、実施例43〜49のように異なる分散媒を使用した場合であっても、本発明に従えば、安定性が良好な非水系分散液を作製することができた。なお、実施例40〜49の半値幅も上述した式(最大吸収波長[nm]×0.50−157±40)の範囲内に収まるものであるので、これらの半値幅は対応する水分散液と比較して同程度であり、最大吸収波長のピークの鋭い非水系分散液を作製することができたといえる。これらのことから、酸価が90以下であり、かつ塩基価が5〜100である分散剤を使用すれば、銀ナノプレートの粒子径や分散媒の種類に関わらず、水分散液中の銀ナノプレートの光学特性を変化させずに非水系分散液を作製することができることが確認できた。
【0084】
8.銀ナノプレートの粒子径とその最大吸収波長との関係
上記実施例の非水系分散液について、その中に含まれている銀ナノプレートの粒子径とその最大吸収波長との関係を、
図7及び表6に示す。
【0085】
【表6】
【0086】
図7及び表6から明らかなように、銀ナノプレートの粒子径とその最大吸収波長との間には正の相関関係があった。特に
図7では、銀ナノプレートの粒子径及びその最大吸収波長のプロットについて線形近似することができた。これらのことから、銀ナノプレートの粒子径を調節することで、前記銀ナノプレートの最大吸収波長を所望の領域に調節できることがわかった。具体的には、銀ナノプレートの粒子径を増大させて、前記銀ナノプレートの最大吸収波長を長波長側にシフトさせたり、銀ナノプレートの粒子径を減少させて、前記銀ナノプレートの最大吸収波長を短波長側にシフトさせたりすることができることがわかった。
【0087】
9.分散媒の屈折率と銀ナノプレートの分散液の最大吸収波長との関係
実施例43〜49の非水系分散液では、同じ銀ナノプレートを含んでいるにもかかわらず、分散媒が異なるだけで最大吸収波長が少しずつ異なっている(
図8)。分散媒のどの特性が最大吸収波長の変化と対応しているのか調査した結果、
図9及び表7に示すように、分散媒の屈折率と銀ナノプレートの分散液の最大吸収波長との間には正の相関関係があることがわかった。
【0088】
【表7】
【0089】
特に
図9では、分散媒の屈折率及び銀ナノプレートの非水系分散液の最大吸収波長のプロットについて線形近似することができた。これらのことから、適切な屈折率を有する分散媒を選択することで、銀ナノプレートの非水系分散液の最大吸収波長を所望の領域に調節できることがわかった。具体的には、屈折率の高い分散媒を使用して、銀ナノプレートの非水系分散媒の最大吸収波長を長波長側にシフトさせたり、屈折率の低い分散媒を使用して、銀ナノプレートの非水系分散媒の最大吸収波長を短波長側にシフトさせたりすることができることがわかった。
【0090】
10.銀ナノプレートの非水系塗料及び塗膜のまた別の実施例
粒子径が17nm、40nm、又は65nmである銀ナノプレートの水系分散液を常法により作製し、実施例1及び19の作製方法(トルエン分散液からの溶媒置換法)に準じて、アジスパーPB824を分散剤として使用し、プロピレングリコールモノメチルエーテルを有機溶媒として使用した銀ナノプレートの非水系分散液(AN、AO、及びAP)を作製した。次に、上記非水系分散液のいずれかを20質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET−30 日本化薬社製)を10質量部、そして光重合開始剤(DAROCUR1173、BASF社製)を0.3質量部混合し、銀ナノプレートの非水系塗料(分散液AN、AO、又はAP含有)を作製した(実施例50〜52)。
【0091】
銀ナノプレートの非水系塗料(分散液AN含有)、非水系塗料(分散液AO含有)、又は非水系塗料(分散液AP含有)をそれぞれ、スピンコーターを用いて、ガラス板に塗装し、有機溶媒を蒸発させた後、空気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm
2の光を照射して、膜厚6μmの硬化膜(塗膜AN’(実施例50’)、塗膜AO’(実施例51’)、又は塗膜AP’(実施例52’))を作製した。その後、硬化膜を表面に有するガラス板の光学特性スペクトルを測定した。光学特性の測定は、株式会社島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計MPC3100UV−3100PCを用い、測定波長:190−1300nmの条件下で行われた。塗膜AN’(実施例50’)、塗膜AO’(実施例51’)、又は塗膜AP’(実施例52’)を有するガラス板の光学特性スペクトルの測定結果を、
図10及び表8に示す。
【0092】
【表8】
【0093】
以上の実施例から理解できるように、本発明に従えば、酸価が90以下であり、かつ塩基価が5〜100である分散剤を使用すれば、銀ナノプレートなどの金属ナノプレートのの粒子径や分散媒の種類に関わらず、水分散液中の金属ナノプレートの光学特性を変化させずに非水系分散液を作製することができるので、様々な最大吸収波長を有する金属ナノプレートの非水系塗料及び塗膜を作製することができる。また、本発明に従えば、銀ナノプレートなどの金属ナノプレートの粒子径を調節することで、その最大吸収波長を容易に調節することができるので、多様なバリエーションの色調を示す金属ナノプレートの非水系塗料及び塗膜を提供することができる。さらに、本発明に従えば、金属ナノプレートの分散媒として異なる屈折率の分散媒を採用することで、金属ナノプレートの分散液の最大吸収波長を容易に調節することができる。