(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2制御部は、前記電極先端位置、及び、前記ワイヤ先端位置に基づいて、前記撮影画像の左右方向についてのワイヤの先端位置を電極の位置に揃えるように、前記溶接ワイヤの左右の位置制御を行う、
請求項1または請求項2に記載の溶接装置。
前記第3制御部は、前記撮影画像における溶融池先端位置から所定距離だけ上の位置を目標位置に設定し、前記ワイヤ先端位置が前記目標位置に近付くように、前記溶接ワイヤの上下の位置制御を行う、
請求項4に記載の溶接装置。
前記画像処理部は、前記バンドパスフィルタが適用されていない前記撮影画像に基づいて、前記溶融池先端位置を検出し、前記バンドパスフィルタが適用されている前記撮影画像に基づいて、前記電極先端位置、前記ワイヤ先端位置、及び、前記開先位置を検出する、
請求項6に記載の溶接装置。
前記画像処理部は、第1のシャッタースピードで撮影された前記撮影画像に基づいて、溶融池先端位置を検出し、前記第1のシャッタースピードよりも遅い第2にシャッタースピードで撮影された前記撮影画像に基づいて、電極先端位置、ワイヤ先端位置及び開先位置を検出する、
請求項8に記載の溶接装置。
前記撮影部は、前記アーク電流がピーク電流のタイミングで撮影された前記撮影画像に基づいて、前記溶融池先端位置を検出し、前記アーク電流がベース電流のタイミングで撮影された前記撮影画像に基づいて、前記電極先端位置、前記ワイヤ先端位置、及び、前記開先位置を検出する、
請求項10に記載の溶接装置。
前記画像処理部は、前記撮影画像に対するエッジ抽出で得られる輪郭から、前記電極の先端の輪郭の直線として2本の斜め線を検出し、検出した2本の斜め線の交点を前記電極先端位置として検出する、
請求項1から12の何れか1項に記載の溶接装置。
前記画像処理部は、前記撮影画像における前記電極先端位置から所定の距離だけ下方にずれた位置における、前記撮影画像の水平方向の輝度値を示す水平プロファイルに基づいて、前記水平プロファイルにおける輝度値が所定の閾値よりも低下する位置を前記開先位置として検出する、
請求項1から13の何れか1項に記載の溶接装置。
前記画像処理部は、前記撮影画像が二値化された画像の垂直方向の画素ライン毎に白の画素数を計数して、垂直方向における白の画素数が所定値以上の範囲を検出し、検出した範囲を水平方向にスキャンして、前記白の画素の領域を検出する、
請求項15または請求項16に記載の溶接装置。
前記画像処理部は、前記撮影画像が二値化された画像における輝度境界を前記溶融池の輪郭線として検出し、前記ワイヤ先端位置から左右それぞれに所定距離進んだ位置から下方向に走査を行い、前記溶融池の輪郭線に到達した点を、前記溶融池先端位置として検出する、
請求項1から17の何れか1項に記載の溶接装置。
溶接対象物の溶接個所に向けて設置された電極と溶接ワイヤとの撮影画像における前記電極の先端位置である電極先端位置と、前記撮影画像における開先の位置である開先位置と、前記撮影画像における前記溶接ワイヤの先端位置であるワイヤ先端位置と、前記撮影画像における溶融池の先端位置である溶融池先端位置と、を検出し、
前記撮影画像における前記ワイヤ先端位置を基準とする所定領域のうち、輝度が所定の輝度閾値以下の領域全体を、水平方向の2辺と垂直方向の2辺とで囲む矩形のうち最少の矩形である外矩形のサイズを、溶滴のサイズとして検出し、
前記電極先端位置、及び、前記開先位置に基づいて、前記溶接個所の位置に対する前記電極の左右の位置制御を行い、
前記電極先端位置、及び、前記ワイヤ先端位置に基づいて、前記溶接個所の位置に対する前記溶接ワイヤの左右の位置制御を行い、
前記溶融池先端位置、及び、前記ワイヤ先端位置に基づいて、前記溶接ワイヤの位置制御を行い、
前記溶滴のサイズの検出結果に基づいて前記溶接ワイヤの先端部における溶滴の有無を判定し、溶滴有りと判定した場合、前記溶接ワイヤを下方へ移動させる
処理を含む溶接方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、消耗式電極を用いる自動溶接装置にて、溶接線倣いを行って溶接を高精度に行うことができる。
一方、非消耗式電極を用いる自動溶接装置では、電極と溶接ワイヤとが別々に設けられている点で制御がより複雑になる。
【0005】
本発明は、非消耗式電極を用いる自動溶接装置における溶接をより高精度に行うことができる、溶接装置、溶接方法およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、溶接装置は、溶接対象物の溶接個所に向けて設置された電極と溶接ワイヤとを撮影する撮影部と、前記撮影部の撮影画像における前記電極の先端位置である電極先端位置と、前記撮影画像における開先の位置である開先位置と、前記撮影画像における前記溶接ワイヤの先端位置であるワイヤ先端位置と、前記撮影画像における溶融池の先端位置である溶融池先端位置と、を検出
し、前記撮影画像における前記ワイヤ先端位置を基準とする所定領域のうち、輝度が所定の輝度閾値以下の領域全体を、水平方向の2辺と垂直方向の2辺とで囲む矩形のうち最少の矩形である外矩形のサイズを、溶滴のサイズとして検出する画像処理部と、前記電極先端位置、及び、前記開先位置に基づいて、前記溶接個所の位置に対する前記電極の左右の位置制御を行う第1制御部と、前記電極先端位置、及び、前記ワイヤ先端位置に基づいて、前記溶接個所の位置に対する前記溶接ワイヤの左右の位置制御を行う第2制御部と、前記溶融池先端位置、及び、前記ワイヤ先端位置に基づいて、前記溶接ワイヤの位置制御を行
い、前記溶滴のサイズの検出結果に基づいて前記溶接ワイヤの先端部における溶滴の有無を判定し、溶滴有りと判定した場合、前記溶接ワイヤを下方へ移動させる第3制御部と、を備える。
【0007】
前記第1制御部は、前記電極先端位置、及び、前記開先位置に基づいて、前記電極が前記開先の幅方向の中央に位置するように、前記電極の左右の位置制御を行うようにしてもよい。
前記第2制御部は、前記電極先端位置、及び、前記ワイヤ先端位置に基づいて、前記撮影画像の左右方向についてのワイヤの先端位置を電極の位置に揃えるように、前記溶接ワイヤの左右の位置制御を行うようにしてもよい。
前記第3制御部は、前記溶融池先端位置と前記ワイヤ先端位置との上下方向の相対位置の差を一定に保つように、前記溶接ワイヤの上下の位置制御を行うようにしてもよい。
前記第3制御部は、前記撮影画像における溶融池先端位置から所定距離だけ上の位置を目標位置に設定し、前記ワイヤ先端位置が前記目標位置に近付くように、前記溶接ワイヤの上下の位置制御を行うようにしてもよい
。
【0008】
前記溶接装置が、前記撮影部の撮影画像の輝度値を抑制するバンドパスフィルタを備えるようにしてもよい。
前記画像処理部は、前記バンドパスフィルタが適用されていない前記撮影画像に基づいて、前記溶融池先端位置を検出し、前記バンドパスフィルタが適用されている前記撮影画像に基づいて、前記電極先端位置、前記ワイヤ先端位置、及び、前記開先位置を検出するようにしてもよい。
【0009】
前記撮影部は、異なるシャッタースピードで複数の前記撮影画像を撮影するようにしてもよい。
前記画像処理部は、第1のシャッタースピードで撮影された前記撮影画像に基づいて、溶融池先端位置を検出し、前記第1のシャッタースピードよりも遅い第2にシャッタースピードで撮影された前記撮影画像に基づいて、電極先端位置、ワイヤ先端位置及び開先位置を検出するようにしてもよい。
前記撮影部は、アーク電流が異なるタイミングで複数の前記撮影画像を撮影するようにしてもよい。
前記撮影部は、前記アーク電流がピーク電流のタイミングで撮影された前記撮影画像に基づいて、前記溶融池先端位置を検出し、前記アーク電流がベース電流のタイミングで撮影された前記撮影画像に基づいて、前記電極先端位置、前記ワイヤ先端位置、及び、前記開先位置を検出するようにしてもよい。
前記溶接装置が、前記撮影画像の輝度値が所定の閾値以上か否かを判定する制御部をさらに備え、前記画像処理部は、輝度値が前記閾値以上であると判定された前記撮影画像である明画像に基づいて、前記溶融池先端位置を検出し、輝度値が前記閾値未満であると判定された前記撮影画像である暗画像に基づいて、前記電極先端位置、前記ワイヤ先端位置、及び、前記開先位置を検出するようにしてもよい。
前記画像処理部は、前記撮影画像に対するエッジ抽出で得られる輪郭から、前記電極の先端の輪郭の直線として2本の斜め線を検出し、検出した2本の斜め線の交点を前記電極先端位置として検出するようにしてもよい。
前記画像処理部は、前記撮影画像における前記電極先端位置から所定の距離だけ下方にずれた位置における、前記撮影画像の水平方向の輝度値を示す水平プロファイルに基づいて、前記水平プロファイルにおける輝度値が所定の閾値よりも低下する位置を前記開先位置として検出するようにしてもよい。
画像処理部は、撮影画像が二値化された画像から白の画素の領域を検出し、検出した領域の最上部を前記ワイヤ先端位置として検出するようにしてもよい。
前記画像処理部は、前記撮影画像にminフィルタを適用し、さらにmaxフィルタを適用した画像を二値化するようにしてもよい。
前記画像処理部は、撮影画像が二値化された画像の垂直方向の画素ライン毎に白の画素数を計数して、垂直方向における白の画素数が所定値以上の範囲を検出し、検出した範囲を水平方向にスキャンして、前記白の画素の領域を検出するようにしてもよい。
前記画像処理部は、前記撮影画像が二値化された画像における輝度境界を前記溶融池の輪郭線として検出し、前記ワイヤ先端位置から左右それぞれに所定距離進んだ位置から下方向に走査を行い、前記溶融池の輪郭線に到達した点を、前記溶融池先端位置として検出するようにしてもよい
。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、溶接方法は、溶接対象物の溶接個所に向けて設置された電極と溶接ワイヤとの撮影画像における前記電極の先端位置である電極先端位置と、前記撮影画像における開先の位置である開先位置と、前記撮影画像における前記溶接ワイヤの先端位置であるワイヤ先端位置と、前記撮影画像における溶融池の先端位置である溶融池先端位置と、を検出し、
前記撮影画像における前記ワイヤ先端位置を基準とする所定領域のうち、輝度が所定の輝度閾値以下の領域全体を、水平方向の2辺と垂直方向の2辺とで囲む矩形のうち最少の矩形である外矩形のサイズを、溶滴のサイズとして検出し、前記電極先端位置、及び、前記開先位置に基づいて、前記溶接個所の位置に対する前記電極の左右の位置制御を行い、前記電極先端位置、及び、前記ワイヤ先端位置に基づいて、前記溶接個所の位置に対する前記溶接ワイヤの左右の位置制御を行い、前記溶融池先端位置、及び、前記ワイヤ先端位置に基づいて、前記溶接ワイヤの位置制御を行
い、前記溶滴のサイズの検出結果に基づいて前記溶接ワイヤの先端部における溶滴の有無を判定し、溶滴有りと判定した場合、前記溶接ワイヤを下方へ移動させる処理を含む。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、撮影部に、溶接対象物の溶接個所に向けて設置された電極と溶接ワイヤとを撮影させる制御を行わせ、前記撮影部の撮影画像における前記電極の先端位置である電極先端位置と、前記撮影画像における開先の位置である開先位置と、前記撮影画像における前記溶接ワイヤの先端位置であるワイヤ先端位置と、前記撮影画像における溶融池の先端位置である溶融池先端位置と、を検出させ、
前記撮影画像における前記ワイヤ先端位置を基準とする所定領域のうち、輝度が所定の輝度閾値以下の領域全体を、水平方向の2辺と垂直方向の2辺とで囲む矩形のうち最少の矩形である外矩形のサイズを、溶滴のサイズとして検出させ、前記電極先端位置、及び、前記開先位置に基づいて、前記溶接個所の位置に対する前記電極の左右の位置制御を行わせ、前記電極先端位置、及び、前記ワイヤ先端位置に基づいて、前記溶接個所の位置に対する前記溶接ワイヤの左右の位置制御を行わせ、前記溶融池先端位置、及び、前記ワイヤ先端位置に基づいて、前記溶接ワイヤの位置制御を行わせ
、前記溶滴のサイズの検出結果に基づいて前記溶接ワイヤの先端部における溶滴の有無を判定させ、溶滴有りと判定した場合、前記溶接ワイヤを下方へ移動させる制御を行わせる、ためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
上記した溶接装置、溶接方法およびプログラムによれば、非消耗式電極を用いる自動溶接装置における溶接をより高精度に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の実施形態に係る溶接装置の機能構成を示す概略ブロック図である。
図1に示すように、溶接装置1は、本体部100と、溶接制御装置200とを備える。
【0015】
溶接装置1は、鋼板など溶接対象をアーク溶接する。具体的には、本体部100が、溶接制御装置200の制御に従ってアーク溶接を実行する。
図2は、本体部100の構成例を示す斜視図である。
図2では、本体部100のうち溶接個所付近における構成を示している。
図2に示す例で、本体部100は、電極110と、ワイヤ送り機構120と、撮影部130とを備える。また、撮影部130のレンズ群には、赤外線のみを通すバンドパスフィルタ131が装着されている。
また、
図2には、方向の定義を3次元直交座標で示している。
図2に示すように、水平方向のうち溶接対象物900の隙間の長手方向を前後方向と称する。水平方向のうち溶接対象物900の隙間の幅方向(長手方向に直交する方向)を左右方向と称する。垂直方向を上下方向と称する。
【0016】
ワイヤ送り機構120には溶接ワイヤ800がセットされており、電極110からのアーク放電にて溶接ワイヤ800の先端部分が溶融される。溶接ワイヤ800が溶融した液相の金属が、溶接対象物900である2枚の鋼板の隙間に溶融池を形成する。この液相の金属が冷えて固化することで、溶接対象物900が溶接される。
電極110及びワイヤ送り機構120が溶接対象物900の隙間に沿って相対移動することで、溶接対象物900の隙間全体が溶接される。電極110及びワイヤ送り機構120が移動するようにしてもよいし、溶接対象物900が移動するようにしてもよい。
【0017】
撮影部130は、溶接個所の付近を撮影する。撮影部130が撮影した画像は、各部の位置を検出するために用いられる。位置制御の対象を同一の画像に撮影するために、
図2の例では撮影部130は、電極110及び溶接ワイヤ800を斜め上から覗き込む位置に設置されている。
以下では、撮影部130が撮影した画像を、撮影部130の撮影画像とも称する。
【0018】
図3は、撮影部130が撮影した画像の例を示す図である。
図3の例で、電極110と、溶接ワイヤ800と、溶融池810と、溶接対象物900の開先とが撮影されている。ここでいう開先は、溶接対象物900と隙間との境界である。
図3の例のように、撮影部130は、溶接対象物900の溶接個所に向けて設置された電極110と溶接ワイヤ800とを撮影する。
【0019】
溶接制御装置200は、撮影部130が撮影した画像における電極先端位置P11、ワイヤ先端位置P12、開先位置P13、および、溶融池先端位置P14を検出する。開先位置P13は、溶接対象物900の開先のうち、電極110との相対位置で定められる所定箇所の位置である。
溶融池先端位置P14は、溶融池810の先端部分の位置である。
図3の例では、溶接対象物900に対して電極110及び溶接ワイヤ800が図の下側へ相対移動する。従って、溶融池810の下端の位置であるP14が、溶融池先端位置である。
なお、撮影部130に対する電極110及びワイヤ送り機構120の相対位置は固定されており、撮影部130が撮影する画像では、溶接対象物900の像が画像の上側へ移動する。
【0020】
図4は、溶接制御装置200の機能構成を示す概略ブロック図である。
図4に示すように、溶接制御装置200は、通信部210と、操作入力部220と、表示部230と、記憶部280と、制御部290とを備える。制御部290は、撮影制御部291と、画像処理部292と、第1制御部293と、第2制御部294と、第3制御部295と、溶接制御部296とを備える。
【0021】
通信部210は、他の装置と通信を行う。特に、通信部210は、撮影部130が撮影した画像を画像データにて受信する。また、通信部210は、本体部100の各部へ制御信号を送信する。
操作入力部220は、例えばキーボード及びマウス又は操作パネル等の入力デバイスを備え、ユーザ操作を受ける。
表示部230は、例えば液晶パネル等の表示画面又は表示盤等の表示装置を備え、各種情報を表示する。
【0022】
記憶部280は、溶接制御装置200が備える記憶デバイスを用いて構成され、各種情報を記憶する。
制御部290は、溶接制御装置200の各部を制御して各種機能を実行する。制御部290は、例えば溶接制御装置200が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が、記憶部280からプログラムを読み出して実行することで構成される。
【0023】
撮影制御部291は、撮影部130を制御して撮影を行わせる。
特に、撮影制御部291は、撮影部130を制御して異なるシャッタースピードで複数の画像を撮影させる。
図5は、撮影部130が比較的遅いシャッタースピードで撮影した画像の例を示す図である。撮影部130が比較的遅いシャッタースピードで撮影を行った場合、
図5の例のように画像が明るくなる。これにより、溶接制御装置200が溶融池先端位置P14を検出し易くなる。
【0024】
図6は、撮影部130が比較的速いシャッタースピードで撮影した画像の例を示す図である。撮影部130が比較的速いシャッタースピードで撮影を行った場合、
図6の例のように画像がアーク光の影響を比較的受けにくくなる。これにより、溶接制御装置200が、電極先端位置P11、ワイヤ先端位置P12及び開先位置P13を検出し易くなる。
【0025】
撮影制御部291が、シャッタースピードの制御に加えて、或いは代えて、アーク電流との関係で撮影部130の撮影タイミングを制御するようにしてもよい。
アーク電流がピーク電流のタイミングで撮影部130が撮影を行った場合、
図5の例のように、アーク光によって画像が比較的明るくなる。
【0026】
図7は、アーク電流がベース電流のタイミングで撮影部130が撮影した画像の例を示す図である。アーク電流がベース電流のタイミングで撮影部130が撮影を行った場合、
図7の例のように、画像がアーク光の影響を比較的受けにくくなる。
シャッタースピードの場合と同様、溶接制御装置200が、撮影タイミングに基づいて画像を使い分けるようにしてもよい。具体的には、溶接制御装置200が、アーク電流が
ピーク電流のタイミングで撮影された画像では溶融池先端位置P14を検出し、アーク電流がベース電流のタイミングで撮影された画像では電極先端位置P11、ワイヤ先端位置P12及び開先位置P13を検出するようにしてもよい。
【0027】
また、
図2の例のように、撮影部130のレンズ群にはバンドパスフィルタ131が装着されている。撮影部130が、バンドパスフィルタ131を装着された状態に固定されていてもよい。あるいは、バンドパスフィルタ131が着脱可能になっていてもよい。撮影部130が撮影を行う際、撮影制御部291が、バンドパスフィルタ131の適用の有無を切り替えるようにしてもよい。
【0028】
図8は、撮影部130がバンドパスフィルタ131を用いて撮影した画像の例を示す図である。
図8(A)は、バンドパスフィルタ131を適用しない場合の画像の例を示す。
図8(B)は、バンドパスフィルタを適用した場合の画像の例を示す。
図8(B)では、撮影部130が、アーク電流がピークのタイミング、かつ、比較的遅いシャッタースピードで、バンドパスフィルタ131を適用して撮影を行った画像の例を示している。
撮影部130が、アーク電流がピークのタイミング、かつ、比較的遅いシャッタースピードで撮影を行った場合、バンドパスフィルタ131を適用しなければ
図8(A)の例のようにアーク光の影響を受けて画像が明るくなる。
一方、撮影部130が、バンドパスフィルタ131を用いて撮影を行った場合、
図8の例のようにアーク光の反射が抑制され、溶接個所付記の各部の位置を検出し易くなる。
【0029】
シャッタースピードの場合と同様、溶接制御装置200が、バンドパスフィルタ131の適用の有無に基づいて画像を使い分けるようにしてもよい。具体的には、溶接制御装置200が、バンドパスフィルタ131が適用されていない画像では溶融池先端位置P14を検出し、バンドパスフィルタ131が適用されている画像では電極先端位置P11、ワイヤ先端位置P12及び開先位置P13を検出するようにしてもよい。
画像処理部292は、撮影部130が撮影した画像に対して画像処理を行う。特に、画像処理部292は、撮影部130が撮影した画像から電極先端位置P11、ワイヤ先端位置P12、開先位置P13、及び、溶融池先端位置P14を検出するための画像処理を行う。
【0030】
第1制御部293は、撮影部130の撮影画像に基づいて、溶接個所の位置に対する電極110の左右の位置制御を行う。具体的には、第1制御部293は、撮影部130の撮影画像に示される電極先端位置P11及び開先位置P13に基づいて、電極110が左右の開先の中央に位置するように、電極110の左右の位置制御を行う。
【0031】
第2制御部294は、撮影部130の撮影画像に基づいて、溶接個所の位置に対する溶接ワイヤ800の左右の位置制御を行う。具体的には、第2制御部294は、撮影部130の撮影画像に示される電極110及びワイヤ先端位置P12に基づいて、画像の左右方向についてワイヤ先端位置P12を電極110に揃えるように、溶接ワイヤ800の左右の位置制御を行う。
【0032】
第3制御部295は、撮影部130の撮影画像から判定される溶接ワイヤ800の溶融状況に基づいて、溶接ワイヤ800の位置制御を行う。特に、第3制御部295は、溶接ワイヤ800の先端部分の状態に基づいて、溶接ワイヤ800の上下の位置制御を行う。
ここで、非消耗式電極を用いる自動溶接装置では、溶接ワイヤ800の左右方向の位置制御に加えて溶接ワイヤ800の上下方向の位置制御を行う必要がある。
【0033】
例えば溶接ワイヤ800のそり癖等により先端が上方に浮き上がり、溶融池810中に挿入される前にアーク熱で溶接ワイヤ800の先端が溶融した場合、溶接ワイヤ800が溶融した液相の金属が玉状になった後に溶融池810に落下する。この場合、玉状になった液相の金属は、溶滴と称される。
溶接ワイヤ800の先端が更に浮き上がると、溶接ワイヤ800が溶融しきれず電極110に衝突する可能性がある。溶接ワイヤ800が電極110に衝突すると、電極110と溶接ワイヤ800とが短絡してアーク放電が中断される。また、溶接ワイヤ800が電極110に衝突することで、電極110が損傷する可能性がある。
【0034】
溶接ワイヤ800が電極110に衝突することを避けるために、溶滴が発生した状態で溶接ワイヤ800を下方に動かすことが求められる。
一方、溶接ワイヤ800が溶融池の中心に対して下方にずれ過ぎると、溶接ワイヤ800がアーク熱源から離れ過ぎて溶融が不十分となり溶融不良の原因となる。
そこで、第3制御部295は、溶接ワイヤ800の先端の位置を溶融池の先端P14に対して適切な位置に保つよう、溶接ワイヤ800の上下方向の位置制御を行う。第3制御部295は、溶融池先端位置P14の平均位置とワイヤ先端位置P12との上下方向の相対位置の差を一定に保つように溶接ワイヤ800の上下方向制御を行う。第3制御部295は、相対位置の差が小さい場合は溶接ワイヤ800を上方向へ移動させ、差が大きい場合は溶接ワイヤ800を下方向へ移動させる。
溶接ワイヤ800の先端の適切な位置は、撮影部130の撮影画像では電極110の先端の位置から画像の下方向に所定距離移動した位置となる。撮影画像におけるこの位置が目標位置として設定され、第3制御部295が、撮影画像における溶接ワイヤ800の先端の位置を目標位置に近づける制御を行うようにしてもよい。
【0035】
溶接制御装置200は、撮影部130が撮影した画像における電極先端位置P11、ワイヤ先端位置P12、開先位置P13、および、溶融池先端位置P14を検出する。開先位置P13は、溶接対象物900の開先のうち、電極110との相対位置で定められる所定箇所の位置である。
溶融池先端位置P14は、溶融池810の先端部分の位置である。
図3の例では、溶接対象物900に対して電極110及び溶接ワイヤ800が図の下側へ相対移動する。従って、溶融池810の下端の位置であるP14が、溶融池先端位置である。
【0036】
撮影画像における溶接ワイヤ800の先端の目標位置は、溶融池の先端の位置に基づいて定められていてもよい。
図2に示すように撮影部130が溶接個所付近を斜め上から撮影することで、溶接ワイヤ800の先端が上下すると、撮影画像における溶融池の先端と溶接ワイヤ800の先端との距離が変化する。例えば
図3の画像で、溶接ワイヤ800の先端の位置が低くなるほど、ワイヤ先端位置P12と溶融池先端位置P14との距離が小さくなる。また、溶接ワイヤ800の先端の位置が高くなるほど、ワイヤ先端位置P12と溶融池先端位置P14との距離が大きくなる。そこで、第3制御部295が、撮影画像にて溶融池先端位置P14から所定距離だけ上の位置を目標位置に設定し、ワイヤ先端位置P12が目標位置に近づくように、溶接ワイヤ800の先端の上下方向の位置制御を行うようにしてもよい。
【0037】
溶接制御部296は、本体部100を制御して溶接を行わせる。特に、溶接制御部296は、電極110に流す電流の大きさを制御する。また、溶接制御部296は、電極110及びワイヤ送り機構120が溶接対象物900の隙間に沿って相対移動するように、溶接対象物900を移動させる。あるいは、溶接制御部296が、電極110及びワイヤ送り機構120を移動させるようにしてもよい。また、溶接制御部296はワイヤ送り機構120を制御して、溶接ワイヤ800の溶融分だけ溶接ワイヤ800を送出させる。
【0038】
次に、
図9〜
図23を参照して、溶接装置1の動作について説明する。
図9は、溶接装置1が、溶接対象物900を溶接する処理手順の例を示すフローチャートである。溶接装置1は、例えば溶接開始を指示するユーザ操作を受けると
図9の処理を開始する。
図9の処理で、撮影部130が撮影制御部291の制御に従って撮影を行い、撮影された画像に対して画像処理部292が画像処理を行う(ステップS101)。画像処理部292は、撮影部130の撮影画像に対して画像処理を行って、電極先端位置P11、ワイヤ先端位置P12、開先位置P13及び溶融池先端位置P14を検出する。
【0039】
そして、第1制御部293、第2制御部294及び第3制御部295が、検出された電極先端位置P11、ワイヤ先端位置P12、開先位置P13及び溶融池先端位置P14に基づいて各部の位置制御を行う(ステップS102)。各部の位置制御が行われた状態で、本体部100は、溶接制御部296の制御に従って溶接を行う。
その後、制御部290は、溶接終了を指示するユーザ操作が行われたか否かを判定する(ステップS103)。
溶接終了を指示するユーザ操作が行われていないと判定した場合(ステップS103:NO)、ステップS101へ戻る。
一方、溶接終了を指示するユーザ操作が行われたと判定した場合(ステップS103:YES)、
図9の処理を終了する。
【0040】
図10は、溶接装置1が溶接個所付近を撮影して各部の位置を検出する処理手順の例を示すフローチャートである。溶接装置1は、
図9のステップS101で
図10の処理を行う。
図10の処理で、撮影部130は、撮影制御部291の制御に従って、シャッター速度を変化させて撮影を行う(ステップS201)。撮影部130が、ステップS201の1回分の処理で1枚の画像を撮影するようにしてもよいし、複数枚の画像を撮影するようにしてもよい。
【0041】
次に、制御部290は、撮影部130が撮影した画像の明るさを判定する(ステップS202)。例えば、制御部290は、撮影部130の撮影画像の輝度値(例えば、各画素における輝度値の平均値)が所定の閾値以上か否かを判定する。
画像が暗画像であると判定した場合(ステップS202:暗画像)、画像処理部292が、電極先端位置P11の検出処理(ステップS211)、開先位置P13の検出処理(ステップS212)、及び、ワイヤ先端位置P12の検出処理(ステップS213)を行う。
図10に示すステップS211、S212、S213の処理順序は一例であり、これに限らない。また、画像処理部292が、ステップS211、S212、S123の各処理を並列処理するようにしてもよいし逐次処理するようにしてもよい。
【0042】
次に、制御部290は、暗画像のパス及び明画像のパスの両方について処理を完了したか否かを判定する(ステップS231)。
処理を完了していないパスがあると判定した場合(ステップS231:NO)、ステップS201へ戻る。
一方、暗画像のパス及び明画像のパスの両方について処理を完了したと判定した場合(ステップS231:YES)、
図10の処理を終了する。
【0043】
一方、ステップS202で、画像が明画像であると判定した場合(ステップS202:明画像)、画像処理部292が、溶滴の検出処理(ステップS221)、溶融池先端位置P14の検出処理(ステップS222)を行う。溶滴が発生していない場合、画像処理部292は、ステップS221で溶滴の画像領域のサイズを縦0×横0と検出してステップS222へ進む。
図10に示すステップS221、S222の処理順序は一例であり、これに限らない。また、画像処理部292が、ステップS221、S222の各処理を並列処理するようにしてもよいし逐次処理するようにしてもよい。
ステップS221及びS222の処理の後、ステップS231へ進む。
【0044】
なお、撮影部130が撮影する画像の明るさは、暗画像及び明画像の2段階に限らない。撮影部130が、3段階以上の明るさで撮影を行うようにしてもよい。この場合、画像処理部292は、検出対象毎に何れかの明るさを選択して各部検出処理を行う。例えば、画像の明るさ毎に検出対象が予め定められていてもよい。画像処理部292は、撮影部130が撮影した画像毎に、その画像の明るさに対応付けて定められている検出対象の検出を行う。
また、撮影部130が、ステップS201の1回分の処理で複数枚の画像を撮影した場合、画像処理部292が、暗画像のパスの処理と明画像のパスの処理とを並列処理するようにしてもよいし逐次処理するようにしてもよい。
【0045】
図11は、溶接装置1が各部の位置制御を行う処理手順の例を示すフローチャートである。溶接装置1は、
図9のステップS102で
図11の処理を行う。
図11の処理で、第3制御部295は、溶滴の有無を判定する(ステップS301)。具体的には、第3制御部295は、
図10のステップS221で溶滴が検出されたか否かを判定する。
溶滴無しと判定した場合(ステップS301:溶滴無し)、第1制御部293は、電極110と開先との位置ずれの有無を判定する(ステップS311)。具体的には、第1制御部293は、画像処理部292が検出した電極先端位置P11および開先位置P13に基づいて、電極110が左右の開先の中央に位置しているか否かを判定する。
【0046】
位置ずれ無しと判定した場合(ステップS311:ずれ無し)、第2制御部294は、溶接ワイヤ800と電極110との位置ずれの有無を判定する(ステップS321)。具体的には、第2制御部294は、画像処理部292が検出した電極先端位置P11及びワイヤ先端位置P12に基づいて、画像の左右方向について電極先端位置P11とワイヤ先端位置P12とがずれているか否かを判定する。
【0047】
位置ずれ無しと判定した場合(ステップS321:ずれ無し)、第3制御部295は、溶接ワイヤ800と溶融池810との位置ずれの有無を判定する(ステップS331)。具体的には、第3制御部295は、画像処理部292が検出したワイヤ先端位置P12及び溶融池先端位置P14に基づいて、画像の上下方向についてワイヤ先端位置P12と溶融池先端位置P14との間隔が所定の範囲内か否かを判定する。
ずれ無しと判定した場合(ステップS331:NO)、
図11の処理を終了する。
【0048】
一方、ステップS301で溶滴有りと判定した場合(ステップS301:溶滴有り)、第3制御部295は、溶接ワイヤ800の上下位置を制御する(ステップS302)。ステップS302の場合、第3制御部295は、ワイヤ送り機構120を下方へ移動させる。例えば、第3制御部295は、ワイヤ送り機構120を溶接条件に応じた所定の距離だけ下方へ移動させる。
ステップS302の後、ステップS311へ進む。
【0049】
一方、ステップS311でずれ有りと判定した場合(ステップS311:ずれ有り)、第1制御部293は、電極110の左右位置を制御する(ステップS312)。具体的には、第1制御部293は、電極110が左右の開先の中央に位置するように、電極110を左右に移動させる。
ステップS312の後、ステップS321へ進む。
【0050】
一方、ステップS321でずれ有りと判定した場合(ステップS321:ずれ有り)、第2制御部294は、溶接ワイヤ800の左右位置を制御する(ステップS322)。具体的には、第2制御部294は、溶接ワイヤ800の先端位置が電極110の先端位置と画像の左右方向について一致するように、ワイヤ送り機構120を左右に移動させる。
ステップS322の後、ステップS331へ進む。
【0051】
一方、ステップS331でずれ有りと判定した場合(ステップS331:ずれ有り)、第3制御部295は、溶接ワイヤ800の上下位置を制御する(ステップS332)。具体的には、第3制御部295は、画像の上下方向に関してワイヤ先端位置P12と溶融池先端位置P14とが所定の距離となるように、溶接ワイヤ800を上下に移動させる。
ステップS332の後、
図11の処理を終了する。
【0052】
図11の処理手順は一例でありこれに限らない。ステップS301、S311、S321、S331の実行順序は
図11に示す順序に限らずいろいろな順序とすることができる。また、溶接制御装置200が、ステップS301〜S302の処理と、ステップS311〜S312の処理と、ステップS321〜S322の処理と、ステップS331〜S332の処理とを並列処理するようにしてもよいし逐次処理するようにしてもよい。
【0053】
図12は、画像処理部292が電極先端位置P11を検出する処理手順の例を示す図である。画像処理部292は、
図10のステップS211で
図12の処理を行う。
図12の処理で、画像処理部292は、撮影部130の撮影画像に対してエッジ抽出を行う(ステップS411)。具体的には、画像処理部292は画像にエッジ抽出フィルタを適用して輪郭を抽出する。ステップS411でのエッジ抽出フィルタとして公知のフィルタを用いることができる。
【0054】
次に、画像処理部292は、ステップS411で得られた画像に対して二値化及びノイズ除去を行う(ステップS412)。ステップS412における二値化アルゴリズムとして公知のアルゴリズムを用いることができる。ステップS412におけるノイズ除去アルゴリズムとして公知のアルゴリズムを用いることができる。
次に、画像処理部292は、ステップS412で得られた画像から直線検出を行う(ステップS413)。具体的には、画像処理部292は、電極110の先端の輪郭の斜め線を検出する。
【0055】
そして、画像処理部292は、ステップS413で得られた2本の斜め線の交点から上方向に画像を走査して電極先端位置P11を検出する(ステップS414)。画像処理部292は、輝度値が所定の閾値以上の画素を検出するまで走査を行い、検出した画素の位置を電極先端位置P11とする。
ステップS414の後、
図12の処理を終了する。
画像処理部292が、
図12の処理の前処理として、画像の上半分を切り出す、あるいは、画像のうち輝度値が所定値以上の部分のみをマスキングにて抽出するなど、処理対象領域の絞り込みを行うようにしてもよい。
【0056】
図13は、画像処理部292が検出する直線の例を示す図である。
図12のステップS413で、画像処理部292は、電極110の先端部の輪郭の直線である線L11および線L12
を抽出する。
図12のステップS414で、画像処理部292は、線L11と線L12との交点である点P21から画像を上方に走査して、輝度値が所定の閾値以上の画素の位置を電極先端位置P11として検出する。
【0057】
図14は、画像処理部292が開先位置P13を検出する処理手順の例を示す図である。画像処理部292は、
図10のステップS212で
図14の処理を行う。
図14の処理で、画像処理部292は、撮影部130の撮影画像に対して電極110の下部の位置を決定する(ステップS421)。具体的には、画像処理部292は、電極先端位置P11から所定の距離だけ下方にずれた位置に、画像の水平方向の位置を設定する。
図15は、画像処理部292が設定する位置の例を示す図である。
図15の例では画像処理部292は、線L21で示される位置を設定している。線L21は、電極先端位置P11から所定の距離にある線、かつ、画像の水平方向の線である。
【0058】
図14のステップS421の後、画像処理部292は、設定した位置における水平プロファイルを取得する(ステップS422)。ここでいう水平プロファイルは、画像の水平方向の輝度値のプロファイルである。
そして、画像処理部292は、水平プロファイルにおける輝度値が所定の閾値よりも低下する位置を開先位置P13として検出する(ステップS423)。
ステップS423の後、
図14の処理を終了する。
【0059】
図16は、水平プロファイルの例を示すグラフである。
図16は、
図15の線L12の位置における水平プロファイルの例を示している。
図16のグラフの横軸は画像における水平方向の位置を示す。縦軸は輝度値を示す。
図16の例で、水平プロファイルが2箇所で所定の閾値よりも低下している。画像処理部292は、この2箇所を開先位置P13として検出する。
【0060】
図17は、画像処理部292がワイヤ先端位置P12を検出する処理手順の例を示す図である。画像処理部292は、
図10のステップS213で
図17の処理を行う。
図17の処理で、画像処理部292は、撮影部130の撮影画像に対してminフィルタを適用し、さらにmaxフィルタを適用する(ステップS431)。minフィルタは、注目している所定画素領域(例えば3×3画素領域)のうち輝度が一番低いものに合わせるフィルタである。maxフィルタは、注目している所定画素領域(例えば3×3画素領域)のうち輝度が一番高いものに合わせるフィルタである。minフィルタ及びmaxフィルタを適用するアルゴリズムとして公知のアルゴリズムを用いることができる。
画像処理部292は、画像にminフィルタ及びmaxフィルタを適用することで画像の輝度をなます(画像の周波数を抑制する)。
【0061】
次に、画像処理部292は、ステップS431で得られた画像に対して二値化及びノイズ除去を行う(ステップS432)。ステップS432における二値化アルゴリズムとして公知のアルゴリズムを用いることができる。ステップS432におけるノイズ除去アルゴリズムとして公知のアルゴリズムを用いることができる。
【0062】
次に、画像処理部292は、ステップS432で得られた画像に対して水平/垂直投影を行う(ステップS433)。具体的には、画像処理部292は、二値化画像における白の画素数を、垂直方向の画素ライン毎に計数し、画素数が所定値以上の範囲を検出する。垂直方向の範囲が決まると、画像処理部292は、画像の水平方向にスキャンして、抽出した領域における白画素の範囲を検出する。これにより、画像処理部292は、白の画素の領域の輪郭を検出する。
【0063】
そして、画像処理部292は、ステップS433で得られた白の画素の領域のうち、画像の上下方向で最も上の画素の位置をワイヤ先端位置P12として検出する(ステップS434)。
ステップS434の後、
図18の処理を終了する。
画像処理部292が、
図17の処理の前処理として、電極先端位置P11よりも下側、かつ、左右の開先位置P13の内側を切り出すことで、処理対象の領域を限定するようにしてもよい。
【0064】
図18は、画像処理部292が抽出する領域の例を示す図である。
例えば、画像処理部292は、
図17のステップS432で、
図18の二値化画像を取得する。そして、画像処理部292は、ステップS433で、領域A11内の白の画素の領域を検出する。さらに画像処理部292は、ステップS434で、白の画素の領域の最上部をワイヤ先端位置P12として検出する。
【0065】
図19は、画像処理部292が溶融池を検出する処理手順の例を示す図である。画像処理部292は、
図10のステップS221で
図19の処理を行う。
図19の処理で、画像処理部292は、撮影部130の撮影画像にて溶融池領域の絞り込みを行う(ステップS441)。具体的には、画像処理部292は、電極先端位置P11よりも下側、かつ、左右の開先位置P13の内側を切り出す。
【0066】
次に、画像処理部292は、ステップS441で得られた画像に対して二値化及びノイズ除去を行う(ステップS442)。ステップS442における二値化アルゴリズムとして公知のアルゴリズムを用いることができる。ステップS442におけるノイズ除去アルゴリズムとして公知のアルゴリズムを用いることができる。
【0067】
次に、画像処理部292は、ステップS442で二値化された画像における輝度境界を検出する(ステップS443)。これにより、画像処理部292は、溶融池の輪郭線を検出する。
そして、画像処理部292は、ステップS443で検出した境界上で溶融池先端位置P14を検出する(ステップS444)。具体的には、画像処理部292は、ワイヤ先端位置P12から左右それぞれに距離間隔進んだ位置から画像の下方向へ走査を開始して、ステップS443で得られた輝度境界に達するまで走査を行う。
ステップS444の後、
図19の処理を終了する。
【0068】
図20は、画像処理部292が検出する輝度境界の例を示す図である。
例えば画像処理部292は、
図19のステップS443で、線L31に示される輝度境界を検出する。そして、画像処理部292は、ステップS444で、点P31から画像の下方向に走査を行い、輝度境界に到達した点を溶融池先端位置P14として検出する。点P31は、ワイヤ先端位置P12から左右それぞれに所定距離進んだ位置を示す点である。
【0069】
図21は、画像処理部292が溶滴を検出する処理手順の例を示す図である。画像処理部292は、
図10のステップS221で
図21の処理を行う。
図21の処理で、画像処理部292は、撮影部130の撮影画像から画像処理の対象領域を切り出す(ステップS451)。溶接ワイヤ800の先端付近で溶滴が発生することから、画像処理部292は、ワイヤ先端位置P12を基準とする所定範囲を切り出す。
【0070】
次に、画像処理部292は、ステップS451で切り出した対象領域のうち、溶滴検出のために予め定められた輝度閾値以下の輝度の領域を抽出する(ステップS452)。
そして、画像処理部292は、画像の二値化及びノイズ除去を行う(ステップS453)。ステップS453における二値化アルゴリズムとして公知のアルゴリズムを用いることができる。また、画像処理部292は、ステップS452で得られた領域のうち最大の領域を残すことでノイズを除去する。
【0071】
そして、画像処理部292は、ステップS453で得られた領域の外矩形のサイズを溶滴サイズとして検出する(ステップS454)。ここでいう外矩形は、画像の水平方向の2辺と垂直方向の2辺とを有し、対象となる領域全体を囲む矩形のうち最小の矩形である。
ステップS454の後、
図21の処理を終了する。
【0072】
図22は、画像処理部292が検出する領域の例を示す図である。
例えば画像処理部292は、
図21のステップS451で領域A21を切り出す。そして画像処理部292は、ステップS452で、溶滴の像の領域A22を検出する。そして画像処理部292は、ステップS454で、領域A22の外矩形の領域A23のサイズ(縦×横)を溶滴サイズとして検出する。
【0073】
以上のように、撮影部130は、溶接対象物900の溶接個所に向けて設置された電極110と溶接ワイヤ800とを撮影する。第1制御部293は、撮影部130の撮影画像に基づいて、溶接個所の位置に対する電極110の左右の位置制御を行う。第2制御部294は、撮影部130の撮影画像に基づいて、溶接個所の位置に対する溶接ワイヤ800の左右の位置制御を行う。第3制御部295は、撮影部130の撮影画像から判定される溶接ワイヤ800の溶融状況に基づいて、溶接ワイヤ800の位置制御を行う。
【0074】
このように、溶接制御装置200は撮影画像に基づいて電極110、溶接ワイヤ800それぞれの位置制御を行う。これにより、溶接装置1では、非消耗式電極を用いる自動溶接装置における溶接をより高精度に行うことができる。
また、第3制御部295が溶接ワイヤ800の溶融状況に基づいて溶接ワイヤ800の位置制御を行うことで、溶接ワイヤ800が電極110に近づきすぎて衝突する可能性、及び、溶接ワイヤ800が電極110から離れ過ぎて溶融が不十分になる可能性を低減させることができる。
【0075】
ここで、非消耗式電極を用いる従来のアーク溶接装置では、溶接士が肉眼で、もしくはカメラを用いて開先と電極の相対位置、溶接ワイヤが溶融池に挿入される位置、及び、電極と溶融池との相対位置を監視し、適正位置からずれた場合は調整作業を実施している。
これに対し、溶接装置1は、撮影部130の撮影画像を用いてこれらの位置を自動調節することができ、人的資源の省力化を図ることができる。また、従来のアーク溶接装置では監視調整作業に溶接士の技能が必要であったのに対し、溶接装置1が自動で調整を行うことで、調整技能を有する溶接士がいない場合でも溶接を行い得る。
撮影画像を用いた自動位置制御を可能にするために、溶接装置1では、電極先端位置P11、ワイヤ先端位置P12、開先位置P13及び溶融池先端位置P14を画像における特徴量とし、これらを自動溶接のためのパラメータに用いている。
【0076】
また、第3制御部295は、溶接ワイヤ800の先端部分の状態に基づいて、溶接ワイヤ800の上下の位置制御を行う。このように、溶滴が生じる可能性のある溶接ワイヤ800の先端部分に判定対象を限定することで、画像処理部292が溶滴を検出する対象領域を限定することができ、画像処理部292の処理負荷を軽減することができる。
【0077】
また、バンドパスフィルタ131は、撮影部130の撮影画像の輝度値を抑制する。これにより、撮影画像におけるアーク光の影響を低減させることができ、この点で、画像処理部292が各部を検出する精度を向上させることができる。
【0078】
また、撮影部130は、異なるシャッタースピードで複数の画像を撮影する。これにより、画像処理部292は、検出対象に応じて画像を選択することができ、この点で、画像処理部292が各部を検出する精度を向上させることができる。
【0079】
なお、制御部290の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することで各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0080】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。