(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明による電気光学パネルを実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
【0024】
本願発明の目的、長所および新規な特徴は、添付の図面と関連する以下の詳細な説明からより明白になる。異なる図面において、同一または機能的に類似の要素を示すために、同一の参照符号が使用される。図面は概略を示しており、図面の縮尺は正確でないことを理解されたい。
【0025】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係るOLED表示パネル1を概略的に示す断面図である。OLED表示パネル1は、OLED層13で発生した光をフレキシブル基板10の反対側(すなわち図の上方)に向けて放出するトップエミッションタイプである。図の矢印は、光の放出方向を示す。
【0026】
図1に示すように、OLED表示パネル1は、フレキシブル基板(フレキシブルフィルム)10と、その上に形成されたバリア層(バリアフィルム)11を有する。フレキシブル基板10は、高分子材料、例えばポリイミドから形成されている。バリア層11は、高分子材料または無機材料から形成されている。本実施の形態では、OLED表示パネル1は長方形である。
【0027】
バリア層11の上には、TFT(thin film transistor)層12と、OLED層13と、カラーフィルタ層14が形成されている。詳細な図示はしないが、TFT層12内は、多数のTFTと、TFTを覆う層間絶縁膜を有する。OLED層13は、陽極、陰極、発光層などの層を有する。カラーフィルタ層14は、カラーフィルタだけでなく、層間絶縁膜と、層間絶縁膜を通りTFTとOLED層13の電極を接続する配線とを有する。カラーフィルタ層14は、RGBタイプ、又は、RGBWタイプが用いられる。
【0028】
TFT層12とOLED層13とカラーフィルタ層14は、パッシベーション層15で覆われている。パッシベーション層15は、例えばSiO
2で形成されている。さらに、パッシベーション層15は、カプセル封止体16で覆われている。カプセル封止体16は、例えばエポキシ樹脂で形成されている。パッシベーション層15とカプセル封止体16は、TFT層12とOLED層13とカラーフィルタ層14を覆って保護する。
【0029】
カプセル封止体16の上には、円偏光板17が形成されている。円偏光板17は、外光反射を低減する。円偏光板17は、位相差フィルムと、位相差フィルムよりも光を出射する側(位相差フィルムの上側)に配置された偏光フィルムとで構成される。円偏光板17は、高分子材料から形成された延伸フィルムである。円偏光板17は、カプセル封止体16上に接着剤(図示せず)を介して接着されても、円偏光板17の材料とカプセル封止体16の材料の共有結合の作用または共有結合と分子間力の協働作用により直接接合されてもよい。接着剤としては、例えば、感圧接着剤(PSA(pressure sensitive adhesive))が使用される。
【0030】
また、位相差フィルムと偏光フィルムは、接着剤を介して接着されても、位相差フィルムの材料と偏光フィルムの材料の共有結合の作用または共有結合と分子間力の協働作用により直接接合されてもよい。接着剤としては、例えば、感圧接着剤が使用される。
【0031】
円偏光板17の上にはタッチパネル18が形成されている。タッチパネル18は、円偏光板17上に例えば接着剤(図示せず)を介して接着される。接着剤としては、例えば、感圧接着剤が使用される。なお、OLED表示パネル1にタッチパネル機能が不要な場合には、タッチパネル18は不要である。
【0032】
タッチパネル18の上には接着剤層19を介してフロントフィルム20が接着されている。
【0033】
接着剤層19としては、感圧接着剤が使用される。但し、接着剤層19を排除し、フロントフィルム20をタッチパネル18に、フロントフィルム20の材料とタッチパネル18の材料の共有結合の作用または共有結合と分子間力の協働作用により直接接合してもよい。
【0034】
フロントフィルム20は、OLED表示パネル1の強度を向上させる。フロントフィルム20は、高分子材料、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、又は、PI(ポリイミド)から形成されている。なお、フロントフィルム20の構造については、後ほど詳細に説明する。
【0035】
フロントフィルム20の上にはハードコート21が形成されている。ハードコート21は、表面傷を抑止するため設けられる。ハードコート21は、例えばアクリル樹脂で形成されている。
【0036】
また、フレキシブル基板10の下には接着剤層22を介してバックフィルム23が接着されている。
【0037】
接着剤層22としては、感圧接着剤が使用される。但し、接着剤層22を排除し、バックフィルム23をフレキシブル基板10に、バックフィルム23の材料とフレキシブル基板10の材料の共有結合の作用または共有結合と分子間力の協働作用により直接接合してもよい。
【0038】
バックフィルム23は、OLED表示パネル1の強度を向上させる。バックフィルム23は、高分子材料、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、又は、PI(ポリイミド)から形成されている。接着剤層22を排除し、バックフィルム23をフレキシブル基板10に、バックフィルム23の材料とフレキシブル基板10の材料の共有結合の作用または共有結合と分子間力の協働作用により直接接合してもよい。
【0039】
(フロントフィルムとバックフィルムの構造)
次に、フロントフィルム20とバックフィルム23の構造について説明する。
図2は、OLED表示パネル1におけるフロントフィルム20とバックフィルム23の面内最大弾性率の方向を示す図である。ここで、弾性率とは、変形のしにくさを表す物性値であり、弾性変形における応力とひずみの間の比例定数の総称である。従って、面内最大弾性率の方向とは、フロントフィルム20とバックフィルム23の面内方向において、最も変形しにくい方向を意味する。
【0040】
本願のOLED表示パネル1では、フロントフィルム20とバックフィルム23に、弾性率の面内異方性があるフィルムを用いている。ポリマー鎖がある程度配向すると弾性率の面内異方性が生じるため、弾性率の面内異方性があるフィルムとして、例えば、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム、及び、キャストフィルムを用いることができる。なお、PETフィルム、PENフィルム、及び、PIフィルムは、延伸フィルム法、及び、キャスト法で製造することができる。
【0041】
図において、フロントフィルム20は、矢印の向き、すなわち、図に対して平行な方向に最大弾性率が大きくなっている。一方、バックフィルム23は、矢印の向き、すなわち、図に対して直交する方向に最大弾性率が大きくなっている。従って、フロントフィルム20の面内最大弾性率を有する方向と、バックフィルム23の面内最大弾性率を有する方向は、90度異なっている。
【0042】
さらに、
図3は、OLED表示パネル1を構成要素ごとに分解した斜視図である。フロントフィルム20の面内最大弾性率を有する方向はX方向(長辺方向)にあり、バックフィルム23の面内最大弾性率を有する方向はY方向(短辺方向)にあり、互いに90度異なっている。本願のOLED表示パネル1のように、フロントフィルム20の面内最大弾性率を有する方向と、バックフィルム23の面内最大弾性率を有する方向とを、90度異なって配置させた理由について説明する。
【0043】
図4は、丸めた状態のOLED表示パネル1を概略的に示す側面図であり、
図5は、曲げた状態のOLED表示パネル1を概略的に示す側面図である。フレキシブルな電気光学パネルには、曲げることができるベンダブルパネル、丸めることができるローラブルパネル、折りたたむことができるフォルダブルパネルがある。OLED表示パネル1は、ベンダブルパネル、ローラブルパネル、およびフォルダブルパネルのいずれであってもよい。いずれにせよ、OLED表示パネルは、長時間変形した状態で維持したり、繰り返し変形させると、変形(すなわちカールまたは反り)が残留し、平面状態に再展開しようとしても、元の平面状態に戻りにくいことがある。
【0044】
なお、
図4及び5では、フロントフィルム20を内側にして、すなわち、電気光学パネルの光を出射する側を内側にして曲げたり丸めたりした場合を想定しているが、バックフィルム23を内側にして、すなわち、電気光学パネルの光を出射する側を外側にして曲げたり丸めたりした場合も同様である。
【0045】
図6は、一般的なOLED表示パネル24を、長時間変形した状態で維持した後、平面状態に再展開しようとした時の状態を概略的に示す側面図である。なお、
図6の左側は、長辺方向に曲げたり丸めたりして長時間変形させた後のOLED表示パネル24の状態を示し、
図6の右側は、短辺方向に曲げたり丸めたりして長時間変形させた後のOLED表示パネル24の状態を示す。いずれの場合でも、元の平面状態に完全には戻らずに変形(すなわちカールまたは反り)が残留する。
【0046】
これに対して、本願のOLED表示パネル1を、長辺方向(短辺方向)に対して角度を付けて曲げたり丸めたりして長時間変形させたり、繰り返し変形させたとしても、フロントフィルム20の面内最大弾性率を有する方向と、バックフィルム23の面内最大弾性率を有する方向が、90度異なって配置されているため、フロントフィルム20とバックフィルム23の元の形状に戻ろうとする力が働き、変形(すなわちカールまたは反り)が残留せず、平面状態に再展開すれば元の平面状態に戻ることができる。
【0047】
さらに、本願のOLED表示パネル1を、長辺方向に曲げたり丸めたりして長時間変形させたり、繰り返し変形させたとしても、フロントフィルム20の面内最大弾性率を有する方向が長辺方向にあるため、フロントフィルム20の元の形状に戻ろうとする力が働き、変形(すなわちカールまたは反り)が残留せず、平面状態に再展開すれば元の平面状態に戻ることができる。
【0048】
同様に、本願のOLED表示パネル1を、短辺方向に曲げたり丸めたりして長時間変形させたり、繰り返し変形させたとしても、バックフィルム23の面内最大弾性率を有する方向が短辺方向にあるため、バックフィルム23の元の形状に戻ろうとする力が働き、変形(すなわちカールまたは反り)が残留せず、平面状態に再展開すれば元の平面状態に戻ることができる。
【0049】
以上の効果を確認するためにいくつかの実験を行った。
図7は、第1の実施形態に係る実験の手法を示すOLED表示パネルの側面図である。実験の一つの手法では、
図7に示すように、4mmの間隔をおいた平行な2枚のガラス板25、26の間に、曲げた状態の試料27を挟んで60℃の温度で24時間放置した。すると、試料27には変形が残留した。
図8は、上記の実験での残留変形量の測定方法を説明する図である。変形を有したままの試料27の長さ(または幅)L
1は、初期の平面状態の試料27の長さ(または幅)Lより短かった。そして、式(1)に従って、残留変形量Rを計算した。
R=(L−L
1)/L (1)
【0050】
図9は、第1の実施形態に係る他の実験の手法を示すOLED表示パネルの側面図である。実験のもう一つの手法では、
図9に示すように、直径60mmの剛体の円筒28に、試料27を巻き付けて60℃の温度で24時間放置した。やはり試料27には変形が残留した。式(1)に従って、残留変形量Rを計算した。
【0051】
図10は、本実験に供した試料27(A及びB)の詳細を示す表である。
図11は、本実験に供した試料Aの構造を模式的に示す断面図である。
図12は、本実験に供した試料Bの構造を模式的に示す断面図である。図のように、試料A及びBの両方とも、2枚のPET組成物フィルム29及び30を感圧接着剤31で貼り合わせた3層構造を有する。試料A及びBの大きさは、10cm×10cmである。
【0052】
2枚のPET組成物フィルム29及び30は、東洋紡株式会社製のA4300を使用した。本フィルムは、PET組成物のみから構成された延伸フィルムであり、その厚さは50μmである。PET組成物とは、ポリエチレンテレフタレートを主成分とし、他の添加物を含む組成物である。
【0053】
試料Aは、2枚のPET組成物フィルム29及び30の面内最大弾性率を有する方向が直交、即ち、90度異なっている。一方、試料Bは、2枚のPET組成物フィルム29及び30の面内最大弾性率を有する方向が平行、即ち、同一となっている。
【0054】
ここで、面内最大弾性率の方向の測定は以下のように行った。フィルムの面内弾性率は、ASTM−D−822に記載の方法に準拠して引張試験を行い、引張弾性率を求めた。フィルムの最大弾性率の方向を調べるためにフィルムのMD方向(成膜ラインの樹脂の流れ方向)を角度0度とし、時計回りに0度、30度、60度、90度、120度及び150度の角度が、長辺方向と一致するようにフィルムをそれぞれ短冊状に切り出した。長辺方向に引張試験を行い、各角度に対する引張弾性率を計算し、最大弾性率が得られる方向を求めた。
【0055】
各角度における引張弾性率を測定した結果、最大弾性率の方向は60度で4.9GPaであった。また、最小弾性率の方向は150度で4.3GPaであった。最大弾性率の方向は、必ずしもMD方向、又は、MD方向に対して垂直なTD方向と一致するとは限らないことが分かった。測定結果を元に、2枚のPET組成物フィルムの方向を適当に合わせて感圧接着剤で貼り合わせ、その後、10cm×10cmの大きさに切断した。なお、角度の刻みは30度に限らず、5度、10度など更に細かく刻んだり、最小2乗法を用いるなどして、より正確に最大弾性率の方向を求めることができる。
【0056】
感圧接着剤31は、DIC株式会社製のDAITAC ZB7011W−2(膜厚25μm)を使用したが、他の市販品でも構わない。
【0057】
図13は、
図7及び
図9の実験の結果を示す表である。図において、曲率半径が2mmの箇所は、
図7の実験の結果を示し、曲率半径が30mmの箇所は、
図9の実験の結果を示す。
【0058】
また、曲げ方向がx方向とは、試料A及びBをx方向に曲げたことを示す。従って、試料Aは、PET組成物フィルム29の最大弾性率の方向と同じ方向で、かつ、PET組成物フィルム30の最大弾性率の方向と直交する方向に曲げられたことを示す。また、試料Bは、PET組成物フィルム29の最大弾性率方向、及び、PET組成物フィルム30の最大弾性率方向と同じ方向に曲げられたことを示す。なお、本実験では、試料A及びBを、PET組成物フィルム29を内側、PET組成物フィルム30を外側にして曲げている。
【0059】
また、曲げ方向がy方向とは、試料A及びBをy方向に曲げたことを示す。従って、試料Aは、PET組成物フィルム29の最大弾性率の方向と直交する方向で、かつ、PET組成物フィルム30の最大弾性率の方向と同じ方向に曲げられたことを示す。また、試料Bは、PET組成物フィルム29の最大弾性率方向、及び、PET組成物フィルム30の最大弾性率方向と直交する方向に曲げられたことを示す。なお、本実験では、試料A及びBを、PET組成物フィルム29を内側、PET組成物フィルム30を外側にして曲げている。
【0060】
図13から明らかなように、試料Aをx方向に曲げた場合とy方向に曲げた場合の残留変形量Rの平均値は、試料Bをx方向に曲げた場合とy方向に曲げた場合の残留変形量Rの平均値よりも小さかった。
【0061】
弾性率は、変形のしにくさを示す指標であり、フィルム面内に弾性率の異方性が有る場合は、最も弾性率の高い方向が、応力に対して最も変形しにくい。試料Aでは、曲げ方向x、曲げ方向yに対して、内側のフィルム、又は、外側のフィルムのいずれかの最大弾性率の方向が同じになる。一方、試料Bでは、曲げ方向xに対しては、内側のフィルムと外側のフィルムの両方の最大弾性率の方向が同じになり最も変形しにくい。しかし、曲げ方向yに対しては、内側のフィルムと外側のフィルムの両方の最低弾性率の方向が同じになり最も変形しやすい。
【0062】
今回の実験により、複数の方向に曲げる場合は、試料Aが好ましいことが分かった。今回の実験で用いた試料のように、OLED表示パネルが正方形の形状の場合、x方向とy方向の区別がつきにくく、常にx方向だけ、又は、y方向にだけ曲げることは難しい。このような場合には、特に、試料Aの構成が良いことが分かった。
【0063】
本実施の形態では、フロントフィルム20の面内最大弾性率を有する方向は長辺方向にあり、バックフィルム23の面内最大弾性率を有する方向は短辺方向にあるが、フロントフィルム20の面内最大弾性率が短辺方向にあり、バックフィルム23の面内最大弾性率が長辺方向にあってもよい。
【0064】
また、本実施の形態では、フロントフィルム20の面内最大弾性率を有する方向は長辺方向にあり、バックフィルム23の面内最大弾性率を有する方向は短辺方向にあり、互いに90度異なっているが、互いに90度異なっていれば、フロントフィルム20の面内最大弾性率を有する方向、及び、バックフィルム23の面内最大弾性率を有する方向が、OLED表示パネル1の長辺方向、及び、短辺方向と揃っていなくてもよい。
【0065】
さらに、フロントフィルム20の面内最大弾性率を有する方向とバックフィルム23の面内最大弾性率を有する方向が互いに90度まで異なっていなくても、90度より小さい角度、例えば、30度異なっていても、同様の効果を有する。
【0066】
第1の実施の形態によれば、OLED表示パネルを構成するフロントフィルムとバックフィルムが、面内最大弾性率を有する方向が異なって配置されているので、OLED表示パネルを複数の方向に変形させて長時間保管しても、又は、OLED表示パネルを複数の方向に繰り返し変形させても、フロントフィルム又はバックフィルムの元の形状に戻ろうとする力が働き、変形(すなわちカールまたは反り)が残留しないので、平面状態に再展開すれば元の平面状態に戻ることができる。
【0067】
(第2の実施の形態)
次に、本発明にかかる電気光学パネルの第2の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する第2の実施の形態においては、第1の実施の形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第1の実施の形態では、フロントフィルムにおける面内の最大弾性率を有する方向とバックフィルムにおける面内の最大弾性率を有する方向を異ならせて配置しているが、第2の実施の形態では、フロントフィルムを2層構造とし、フロントフィルムにおける面内の最大弾性率を有する方向を互いに異ならせて配置している。
【0068】
図14は、第2の実施形態に係るOLED表示パネル41を概略的に示す断面図である。
図14に示すように、OLED表示パネル41は、フレキシブル基板(フレキシブルフィルム)10、バリア層(バリアフィルム)11、TFT層12、OLED層13、カラーフィルタ層14、パッシベーション層15、カプセル封止体16、円偏光板17、タッチパネル18、接着剤層19、フロントフィルム42、接着剤層43、フロントフィルム44、ハードコート21、接着剤層22、及び、バックフィルム45を備えている。本実施の形態では、OLED表示パネル41は長方形である。
【0069】
OLED表示パネル41は、フレキシブル基板(フレキシブルフィルム)10と、その上に形成されたバリア層(バリアフィルム)11を有する。バリア層11の上には、TFT(thin film transistor)層12と、OLED層13と、カラーフィルタ層14が形成されている。TFT層12とOLED層13とカラーフィルタ層14は、パッシベーション層15で覆われている。さらに、パッシベーション層15は、カプセル封止体16で覆われている。カプセル封止体16の上には、円偏光板17が形成されている。円偏光板17の上にはタッチパネル18が形成されている。
【0070】
タッチパネル18の上には接着剤層19を介してフロントフィルム42が接着されている。さらに、フロントフィルム42の上には接着剤層43を介してフロントフィルム44が接着されている。
【0071】
フロントフィルム42及び44は、OLED表示パネル41の強度を向上させる。フロントフィルム42及び44は、高分子材料、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、又は、PI(ポリイミド)から形成されている。接着剤層43としては、感圧接着剤が使用される。なお、フロントフィルム42及び44の構造については、後ほど詳細に説明する。
【0072】
フロントフィルム44の上にはハードコート21が形成されている。また、フレキシブル基板10の下には接着剤層22を介してバックフィルム45が接着されている。
【0073】
バックフィルム45は、OLED表示パネル41の強度を向上させる。バックフィルム45は、高分子材料、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、又は、PI(ポリイミド)から形成されている。接着剤層22を排除し、バックフィルム45をフレキシブル基板10に、バックフィルム45の材料とフレキシブル基板10の材料の共有結合の作用または共有結合と分子間力の協働作用により直接接合してもよい。
【0074】
なお、バックフィルム45は、第1の実施の形態で説明したバックフィルム23と違い、面内最大弾性率の方向を考慮する必要はない。
【0075】
(フロントフィルムの構造)
次に、フロントフィルム42及び44の構造について説明する。
図15は、OLED表示パネル41におけるフロントフィルム42及び44の面内最大弾性率の方向を示す図である。
【0076】
本願のOLED表示パネル41では、フロントフィルム42及び44に、弾性率の面内異方性があるフィルムを用いている。弾性率の面内異方性があるフィルムとして、例えば、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム、及び、キャストフィルムを用いることができる。なお、PETフィルム、PENフィルム、及び、PIフィルムは、延伸フィルム法、及び、キャスト法で製造することができる。
【0077】
図において、フロントフィルム42は、矢印の向き、すなわち、図に対して直交する方向に最大弾性率が大きくなっている。一方、フロントフィルム44は、矢印の向き、すなわち、図に対して平行な方向に最大弾性率が大きくなっている。従って、フロントフィルム42の面内最大弾性率を有する方向と、フロントフィルム44の面内最大弾性率を有する方向は、90度異なっている。
【0078】
さらに、
図16は、OLED表示パネル41を構成要素ごとに分解した斜視図である。フロントフィルム42の面内最大弾性率を有する方向はY方向(短辺方向)にあり、フロントフィルム44の面内最大弾性率を有する方向はX方向(長辺方向)にあり、互いに90度異なっている。
【0079】
第1の実施の形態に係るOLED表示パネル1では、フロントフィルム20の面内最大弾性率を有する方向と、バックフィルム23の面内最大弾性率を有する方向が、90度異なって配置されている。これに対して、本実施の形態に係るOLED表示パネル41では、フロントフィルム42の面内最大弾性率を有する方向と、フロントフィルム44の面内最大弾性率を有する方向が、90度異なって配置されている。この場合、本願のOLED表示パネル41を、長辺方向(短辺方向)に対して角度を付けて曲げたり丸めたりして長時間変形させたり、繰り返し変形させたとしても、フロントフィルム42の面内最大弾性率を有する方向と、フロントフィルム44の面内最大弾性率を有する方向が、90度異なって配置されているため、フロントフィルム42とフロントフィルム44の元の形状に戻ろうとする力が働き、変形(すなわちカールまたは反り)が残留せず、平面状態に再展開すれば元の平面状態に戻ることができる。
【0080】
同様に、本願のOLED表示パネル41を、短辺方向に曲げたり丸めたりして長時間変形させたり、繰り返し変形させたとしても、フロントフィルム42の面内最大弾性率を有する方向が短辺方向にあるため、フロントフィルム42の元の形状に戻ろうとする力が働き、変形(すなわちカールまたは反り)が残留せず、平面状態に再展開すれば元の平面状態に戻ることができる。
【0081】
同様に、本願のOLED表示パネル41を、長辺方向に曲げたり丸めたりして長時間変形させたり、繰り返し変形させたとしても、フロントフィルム44の面内最大弾性率を有する方向が長辺方向にあるため、フロントフィルム44の元の形状に戻ろうとする力が働き、変形(すなわちカールまたは反り)が残留せず、平面状態に再展開すれば元の平面状態に戻ることができる。
【0082】
さらに、第1の実施の形態に係るOLED表示パネル1では、バックフィルム23の面内最大弾性率の方向を考慮する必要があったが、第2の実施の形態に係るOLED表示パネル41では、バックフィルム45の面内最大弾性率の方向を考慮する必要がない。そのため、実際の製造では、フロントフィルム42とフロントフィルム44を接着剤で貼り合わせた物を製造して用いればよいので、OLED表示パネルの製造が容易になる。
【0083】
本実施の形態では、フロントフィルム42の面内最大弾性率を有する方向は短辺方向にあり、フロントフィルム44の面内最大弾性率を有する方向は長辺方向にあるが、フロントフィルム42の面内最大弾性率が長辺方向にあり、フロントフィルム44の面内最大弾性率が短辺方向にあってもよい。
【0084】
また、本実施の形態では、フロントフィルム42の面内最大弾性率を有する方向は短辺方向にあり、フロントフィルム44の面内最大弾性率を有する方向は長辺方向にあり、互いに90度異なっているが、フロントフィルム42の面内最大弾性率を有する方向、及び、フロントフィルム44の面内最大弾性率を有する方向が、OLED表示パネル41の短辺方向、及び、長辺方向と揃っていなくてもよい。
【0085】
さらに、フロントフィルム42の面内最大弾性率を有する方向とフロントフィルム44の面内最大弾性率を有する方向が互いに90度まで異なっていなくても、90度より小さい角度、例えば、30度異なっていても、同様の効果を有する。
【0086】
第2の実施の形態によれば、OLED表示パネルを構成する二つのフロントフィルムが、面内最大弾性率を有する方向が異なって配置されているので、OLED表示パネルを複数の方向に変形させて長時間保管しても、又は、OLED表示パネルを複数の方向に繰り返し変形させても、二つのフロントフィルムの元の形状に戻ろうとする力が働き、変形(すなわちカールまたは反り)が残留しないので、平面状態に再展開すれば元の平面状態に戻ることができる。
【0087】
(第3の実施の形態)
次に、本発明にかかる電気光学パネルの第3の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する第3の実施の形態においては、第2の実施の形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第2の実施の形態では、2層構造のフロントフィルムを接着剤で貼り合わせることにより形成しているが、第3の実施の形態では、2層構造のフロントフィルムを直接積層することにより形成している。
【0088】
図17は、第3の実施形態に係るOLED表示パネル51を概略的に示す断面図である。
図17に示すように、OLED表示パネル51は、フレキシブル基板(フレキシブルフィルム)10、バリア層(バリアフィルム)11、TFT層12、OLED層13、カラーフィルタ層14、パッシベーション層15、カプセル封止体16、円偏光板17、タッチパネル18、接着剤層19、フロントフィルム52、ハードコート21、接着剤層22、及び、バックフィルム45を備えている。本実施の形態では、OLED表示パネル51は長方形である。なお、OLED表示パネル51の長辺は、図の左右方向に対応し、OLED表示パネル51の短辺は、図に対して直交する方向に対応する。
【0089】
OLED表示パネル51は、フレキシブル基板(フレキシブルフィルム)10と、その上に形成されたバリア層(バリアフィルム)11を有する。バリア層11の上には、TFT(thin film transistor)層12と、OLED層13と、カラーフィルタ層14が形成されている。TFT層12とOLED層13とカラーフィルタ層14は、パッシベーション層15で覆われている。さらに、パッシベーション層15は、カプセル封止体16で覆われている。カプセル封止体16の上には、円偏光板17が形成されている。円偏光板17の上にはタッチパネル18が形成されている。
【0090】
タッチパネル18の上には接着剤層19を介してフロントフィルム52が接着されている。フロントフィルム52は、OLED表示パネル51の強度を向上させる。フロントフィルム52は、第1の層53と第2の層54を有する。フロントフィルム52は、高分子材料、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、又は、PI(ポリイミド)から形成されている。接着剤層43としては、感圧接着剤が使用される。なお、フロントフィルム52の構造については、後ほど詳細に説明する。
【0091】
フロントフィルム52の上にはハードコート21が形成されている。また、フレキシブル基板10の下には接着剤層22を介してバックフィルム45が接着されている。バックフィルム45は、OLED表示パネル51の強度を向上させる。
【0092】
(フロントフィルムの構造)
次に、フロントフィルム52の構造について説明する。
図18は、OLED表示パネル51におけるフロントフィルム52の面内最大弾性率の方向を示す図である。前述したように、フロントフィルム52は、第1の層53と第2の層54を有する。そして、第1の層53と第2の層54は、弾性率の面内異方性を有する方向が異なっている。
【0093】
図において、第1の層53は、矢印の向き、すなわち、図に対して直交する方向に最大弾性率が大きくなっている。一方、第2の層54は、矢印の向き、すなわち、図に対して平行な方向に最大弾性率が大きくなっている。従って、第1の層53の面内最大弾性率を有する方向と、第2の層54の面内最大弾性率を有する方向は、90度異なっている。
【0094】
さらに、第1の層53の面内最大弾性率を有する方向は短辺方向にあり、第2の層54の面内最大弾性率を有する方向は長辺方向にあり、互いに90度異なっている。
【0095】
弾性率の面内異方性がある方向が互いに異なっている2つの層を有するフィルムは、キャスト法で製造することが可能である。例えば、1層目をキャスト法で製造し、1層目の上にキャスト方向を変えた2層目を積層することにより製造することができる。従って、フロントフィルム52は、キャストフィルムを用いることができる。なお、PETフィルム、PENフィルム、及び、PIフィルムは、キャスト法で製造することができる。
【0096】
第2の実施の形態に係るOLED表示パネル41では、フロントフィルム42の面内最大弾性率を有する方向と、フロントフィルム44の面内最大弾性率を有する方向が、90度異なって配置されている。これに対して、本実施の形態に係るOLED表示パネル51では、フロントフィルム52の第1の層53の面内最大弾性率を有する方向と、フロントフィルム52の第2の層54の面内最大弾性率を有する方向が、90度異なって配置されている。この場合、本願のOLED表示パネル51を、長辺方向(短辺方向)に対して角度を付けて曲げたり丸めたりして長時間変形させたり、繰り返し変形させたとしても、第1の層53の面内最大弾性率を有する方向と、第2の層54の面内最大弾性率を有する方向が、90度異なって配置されているため、第1の層53と第2の層54の元の形状に戻ろうとする力が働き、変形(すなわちカールまたは反り)が残留せず、平面状態に再展開すれば元の平面状態に戻ることができる。
【0097】
同様に、本願のOLED表示パネル51を、短辺方向に曲げたり丸めたりして長時間変形させたり、繰り返し変形させたとしても、第1の層53の面内最大弾性率を有する方向が短辺方向にあるため、第1の層53の元の形状に戻ろうとする力が働き、変形(すなわちカールまたは反り)が残留せず、平面状態に再展開すれば元の平面状態に戻ることができる。
【0098】
同様に、本願のOLED表示パネル51を、長辺方向に曲げたり丸めたりして長時間変形させたり、繰り返し変形させたとしても、第2の層54の面内最大弾性率を有する方向が長辺方向にあるため、第2の層54の元の形状に戻ろうとする力が働き、変形(すなわちカールまたは反り)が残留せず、平面状態に再展開すれば元の平面状態に戻ることができる。
【0099】
さらに、第2の実施の形態に係るOLED表示パネル41では、フロントフィルム42とフロントフィルム44を接着する接着剤層43が必要であったが、第3の実施の形態に係るOLED表示パネル51では、接着剤層が不要となる。そのため、接着剤層の変形によるOLED表示パネルの変形要因を排除することができるとともに、接着剤層の厚さだけOLED表示パネルを薄くすることができる。
【0100】
本実施の形態では、第1の層53の面内最大弾性率を有する方向は短辺方向にあり、第2の層54の面内最大弾性率を有する方向は長辺方向にあるが、第1の層53の面内最大弾性率が長辺方向にあり、第2の層54の面内最大弾性率が短辺方向にあってもよい。
【0101】
また、本実施の形態では、第1の層53の面内最大弾性率を有する方向は短辺方向にあり、第2の層54の面内最大弾性率を有する方向は長辺方向にあり互いに90度異なっているが、互いに90度異なっていれば、第1の層53の面内最大弾性率を有する方向、及び、第2の層54の面内最大弾性率を有する方向が、OLED表示パネル51の短辺方向、及び、長辺方向と揃っていなくてもよい。
【0102】
さらに、第1の層53の面内最大弾性率を有する方向と第2の層54の面内最大弾性率を有する方向が互いに90度まで異なっていなくても、90度より小さい角度、例えば、30度異なっていても、同様の効果を有する。
【0103】
また、本実施の形態では、フロントフィルム52は、第1の層53と第2の層54を有し、第1の層53と第2の層54の弾性率の面内異方性がある方向が異なっている。しかしながら、フロントフィルム52が1つの層で構成され、その表面側と裏面側で弾性率の面内異方性がある方向が異なっていても、同様の効果を有する。例えば、コレステリック液晶を含む樹脂をキャスト法で製造することができる。この場合、フィルムの厚み方向でコレステリック液晶の配向方向がらせん状に回転しているため、適切な膜厚や,らせんピッチを選択すれば,フィルム表面側と裏面側とで,コレステリック液晶の配向方向が異なり,弾性率の面内異方性が互いに異なっているフィルムを製造することができる。
【0104】
第3の実施の形態によれば、OLED表示パネルを構成する1つのフロントフィルムが、面内最大弾性率を有する方向が異なる2つの層を有しているので、OLED表示パネルを複数の方向に変形させて長時間保管しても、又は、OLED表示パネルを複数の方向に繰り返し変形させても、フロントフィルムの元の形状に戻ろうとする力が働き、変形(すなわちカールまたは反り)が残留しないので、平面状態に再展開すれば元の平面状態に戻ることができる。
【0105】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であればこれから様々な変形及び均等な実施の形態が可能である。
【0106】
(変形例1)
第1〜第3の実施形態に係るOLED表示パネルは、OLED層で発生した光をフレキシブル基板の反対側に向けて放出するトップエミッションタイプである。しかしながら、OLED表示パネルが、OLED層で発生した光をフレキシブル基板側に向けて放出するボトムエミッションタイプであってもよい。
【0107】
図19は、第1の変形例に係るOLED表示パネル61を概略的に示す断面図である。OLED表示パネル61は、OLED層13で発生した光をフレキシブル基板10側(すなわち図の下方)に向けて放出するボトムエミッションタイプである。
【0108】
図19に示すように、LED表示パネル61は、第1の実施の形態に係るOLED表示パネル1と比べて以下の相違点を有するが、フロントフィルム20の面内最大弾性率を有する方向と、バックフィルム23の面内最大弾性率を有する方向が、90度異なって配置されているため、第1の実施の形態に係るOLED表示パネル1と同様の効果を有する。
・円偏光板17、タッチパネル18、接着剤層19、フロントフィルム20、及び、ハードコート21は、フレキシブル基板10側(すなわち図の下方)に配置される。
・接着剤層22、及び、バックフィルム23は、フレキシブル基板10の反対側(すなわち図の上方)に配置される。
・カプセル封止体16と接着剤層22の間に、金属封止層62が配置される。
【0109】
なお、本変形例では、第1の実施形態に係るOLED表示パネル1、即ち、フロントフィルム20における面内の最大弾性率を有する方向とバックフィルム23における面内の最大弾性率を有する方向を異ならせて配置したOLED表示パネルをボトムエミッションタイプに変形した例を説明したが、第2及び第3の実施形態に係るOLED表示パネル41及び51をボトムエミッションタイプに変形した場合も同様である。
【0110】
(変形例2)
第1〜第3の実施形態に係るOLED表示パネルでは、カラーフィルタ層14が設けられているが、これを削除してもよい。
図20、及び、
図21は、第2の変形例に係るOLED表示パネル71、及び、81を概略的に示す断面図である。
図20のOLED表示パネル71は、
図1のOLED表示パネル1からカラーフィルタ層14を削除した場合を表す。
図21のOLED表示パネル81は、
図19のOLED表示パネル61からカラーフィルタ層14を削除した場合を表す。いずれの場合も、第1の実施の形態に係るOLED表示パネル1と同様の効果を有する。
【0111】
なお、本変形例では、第1の実施形態に係るOLED表示パネル1からカラーフィルタ層14を削除した場合、及び、変形例1に係るOLED表示パネル61からカラーフィルタ層14を削除した場合を説明したが、第2及び第3の実施形態に係るOLED表示パネル41及び51からカラーフィルタ層14を削除した場合も同様である。
【0112】
実施形態として、OLED表示パネルを例として説明したが、コレステリック液晶表示パネル、PDLC表示パネル、電気泳動表示パネル、または照明パネルのような他の電気光学パネルにも本発明を適用することができる。
【0113】
よって、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲で定義される本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形や改良形態も本発明に含まれる。