(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の階を有する構造物の各階において被固定体を該被固定体の厚み方向が所定方向に沿った状態で固定部に固定して、各階の前記被固定体が上下方向に並ぶように前記構造物を構築する構造物構築方法であって、
上階の前記固定部及び下階の前記固定部を上下方向に並べて配置する工程と、
前記所定方向において上階の前記固定部及び下階の前記固定部の各々を位置決めする工程と、
位置決めされた上階の前記固定部及び下階の前記固定部の各々に前記被固定体を固定する工程と、を有し、
上下方向及び前記所定方向の両方向と交差する交差方向に複数の前記被固定体を並べて配置する工程を更に有し、
上階の前記固定部及び下階の前記固定部の各々に前記被固定体を固定する工程では、前記交差方向に並んだ複数の前記被固定体を固定し、
前記交差方向に複数の前記被固定体を並べて配置する工程は、上階及び下階の各々において実施され、
上階において複数の前記被固定体を前記交差方向に並べて配置する際には、上階の前記被固定体と下階の前記被固定体とが上下方向に並ぶように上階の前記被固定体を配置し、
下階において複数の前記被固定体を前記交差方向に並べて配置する際には、前記交差方向において前記被固定体同士の間に下階隙間が形成されるように複数の前記被固定体を配置し、
上階において複数の前記被固定体を前記交差方向に並べて配置するにあたり、
前記交差方向における長さが調整可能な調整部を、該調整部の下側部分が前記下階隙間内に収容され、且つ、前記調整部の上側部分が前記下階隙間よりも上方に突出するように配置することと、
前記交差方向における前記調整部の長さを、前記交差方向における前記下階隙間の長さと等しくなるように調整することと、を行い、
上階において複数の前記被固定体を前記交差方向に並べて配置する際には、前記交差方向において前記調整部の上側部分と隣接する位置に前記被固定体を配置することで、前記交差方向において前記被固定体同士の間に、上下方向において前記下階隙間と連続する上階隙間が形成されるように複数の前記被固定体を配置することを特徴とする構造物構築方法。
前記調整部を配置する際には、前記交差方向に並んだ一対の板片を備える前記調整部を、前記一対の板片の各々の下側部分が前記下階隙間内に収容され、且つ、前記一対の板片の各々の上側部分が前記下階隙間よりも上方に突出するように配置し、
前記調整部の長さを調整する際には、前記一対の板片の間の間隔を調整するために前記一対の板片に取り付けられた操作部を、前記間隔が前記交差方向における前記下階隙間の長さと等しくなるまで操作することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の構造物構築方法。
複数の階を有する建物の各階において前記被固定体としての外壁パネルを、前記建物の躯体に取り付けられた前記固定部としての取り付け金物に固定して、各階の前記外壁パネルが上下方向に並ぶように前記建物を構築することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の構造物構築方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)の構造物構築方法について、具体例を挙げて説明する。ただし、下記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得る。また、当然ながら本発明にはその等価物が含まれ得る。
【0020】
なお、以下では、外壁を有する建物(住宅、店舗、建屋等)を構造物の一例として挙げて説明する。つまり、以下では、本発明の構造物構築方法を用いて建物を建設するケースについて説明することとする。ただし、建物は、あくまでも構造物の一例に過ぎず、本発明の構造物構築方法は、建物以外の構造物、例えば、太陽光パネルとフレームからなる太陽光発電設備、セグメントを連ねて構築されるシールド工法式のトンネル、あるいは船体ブロックを組み立てて構築される船体を構築する際にも利用可能である。
【0021】
<<建物及び外壁工事の概要>>
本実施形態に係る構造物構築方法について説明するにあたり、建物及び建物の外壁工事について説明する。なお、以下の説明において、水平方向とは、建物の梁間方向若しくは桁行方向のことであり、上下方向とは、鉛直方向のことである。また、以下の説明中、建物の各構成部品(建材)の位置や向きについては、特に断る場合を除き、完成した建物における位置や向きを述べることとする。
【0022】
本実施形態に係る建物は、複数階建ての建物である。ここで、「階」とは、建物内部を上下方向において複数の空間に区画する際の単位である。また、建物には
図1に図示の外壁1が設けられている。外壁1は、水平方向及び上下方向の各方向に外壁パネル2を敷き詰めることにより構成されている。
図1は、建物の外壁1を正面から見た図である。
【0023】
より具体的に説明すると、本実施形態では、建物の各階において外壁パネル2を当該外壁パネル2の厚み方向が出入方向に沿った状態で建物の躯体に固定し、各階の外壁パネル2が上下方向に沿って列状に並ぶように建物を構築する。
【0024】
ここで、「出入方向」とは、本発明の所定方向に相当し、具体的には外壁パネル2の取り付け方向であり、換言すると、後述する取り付け金物3の固定面3aを貫く方向(すなわち、固定面3aの法線方向)である。より具体的に説明すると、例えば、梁間方向に沿って並んだ複数の外壁パネル2から見たときには、桁行方向が出入方向に相当し、桁行方向に沿って並んだ複数の外壁パネル2から見たときには、梁間方向が出入方向に相当する。
なお、以下では、出入方向において建物の躯体(厳密には、取り付け金物3)により近い側を「屋内側」と呼び、躯体(厳密には、取り付け金物3)からより離れている側を「屋外側」と呼ぶこととする。
【0025】
外壁パネル2の構成について説明すると、外壁パネル2は、被固定体に相当し、公知の外壁パネルと略同様の構造となっている。具体的に説明すると、外壁パネル2は、
図2に示すように屋外側に面する仕上材2aと、外壁パネル2の厚み方向において仕上材2aと隣接しており仕上材2aよりも屋内側に位置するパネル本体2bと、を有する。
図2は、外壁パネルと後述する位置決め部材とを示す斜視図である。パネル本体2bは、略矩形状に成形されたフレーム2c内に不図示の断熱材を充填し、その周りをアルミ蒸着フィルム2dで覆うことで構成されている。
【0026】
上記のように構成された外壁パネル2は、建物の各階において、
図1に示すように水平方向において列状に並べられた状態で複数配置される。ここで、水平方向は、上下方向及び出入方向の両方向と交差する交差方向に相当する。
【0027】
列状に並ぶ複数の外壁パネル2の各々は、
図3に示すように取り付け金物3を介して建物の躯体(具体的には、梁4や柱5)に固定される。
図3は、外壁パネル2の取り付け構造を示す平面図である。ここで、取り付け金物3において屋外側に面する面は、外壁パネル2が固定される固定面3aに相当する。外壁パネル2は、その裏面(屋内側を向く面)を固定面3aに当接させた状態で取り付け金物3を介して梁4や柱5に固定される。
【0028】
取り付け金物3は、固定部に相当し、建物の各階において、水平方向に沿って並べられた状態で複数設けられている。各取り付け金物3は、梁4や柱5にボルト留めあるいは溶接にて固定されている。また、外壁1を構成する外壁パネル2のうち、同じ向きに面する外壁パネル2を固定するために用いられる複数の取り付け金物3は、それぞれの固定面3aが出入方向において揃えられるように位置決めされる。
【0029】
具体的に説明すると、建物中の各階において水平方向に沿って並べられた複数の取り付け金物3のうち、建物の角部分(具体的には、入隅部や出隅部)に設けられた取り付け金物3を基準として、残りの取り付け金物3の各々の位置を出入方向において調整する。より詳しく説明すると、
図4Aに示すように、建物の水平方向一端側にある角部分に設けられた取り付け金物3と、水平方向他端側にある角部分に設けられた取り付け金物3と、の間に水糸8を架設する。厳密には、水平方向一端側の取り付け金物3の固定面3aから、水平方向他端側の取り付け金物3の固定面3aまで水糸8を張る。
図4Aは、取り付け金物3の位置調整についての説明図であり、取り付け金物3周辺を上方から見た図(平面図)である。
【0030】
そして、水平方向において角部分の間に位置する取り付け金物3は、その固定面3aが出入方向において上記の如く張られた水糸8に接するように位置決めされる。この結果、各階において水平方向に沿って複数並べられる取り付け金物3の各々の固定面3aが、出入方向において揃うようになる。なお、上記手順による取り付け金物3の位置調整は、建物の階数に応じた回数だけ繰り返し実施される。
【0031】
上記の如く位置決めされた取り付け金物3には外壁パネル2が固定される。このとき、外壁パネル2は、水平方向及び上下方向の両方向において外壁パネル2同士の間に間隔を開けながら並んだ状態で配置される。これにより、外壁1には、
図1に示すように外壁パネル2同士の間の隙間が連なった目地が形成される。より具体的に説明すると、水平方向において互いに隣り合う一対の外壁パネル2の間の隙間が鉛直方向に連続することで縦目地6が形成されている。また、上下に隣り合う一対の外壁パネル2の間の隙間が水平方向に連続することで横目地7が形成されている。
【0032】
ここで、縦目地6を構成する外壁パネル2同士の隙間、すなわち、水平方向において互いに隣り合う一対の外壁パネル2同士の間の隙間を以降、「縦の隙間」と呼ぶこととする。なお、上下方向において互いに隣接する二つの階のうち、より下階に位置する縦の隙間は、「下階隙間」に相当し、より上階に位置する縦の隙間は、「上階隙間」に相当する。下階隙間と上階隙間とは、互いに連続する(つまり、同じ縦目地6に属する)位置関係にある。
【0033】
次に、外壁1を構築する工事(外壁工事)について説明すると、外壁工事は
図5に図示の手順に従って進められる。
図5は、外壁工事の手順を示す図である。具体的に説明すると、外壁工事は、取り付け金物3の設置(S001)、取り付け金物3の位置決め(S002)、外壁パネル2の配置(S003)、外壁パネル2の固定(S004)の順に行われる。
【0034】
取り付け金物3を設置する工程S001では、各階において取り付け金物3を設置位置に配置する。このとき、上階の取り付け金物3及び下階の取り付け金物3を上下方向に並べて配置する。より詳しく説明すると、本工程S001では、取り付け金物3を梁4や柱5に対してセットし、その時点での位置にて仮留めしておく。なお、各階において取り付け金物3を設置する際には、建物の角部分を含む建物の各箇所に取り付け金物3を配置するが、このとき、建物の角部分に在る取り付け金物3については、
図4Aに示すように柱5の外表面に取り付ける。
【0035】
取り付け金物3を位置決めする工程S002では、前述した水糸8等を用いて、仮留めされた各階の取り付け金物3の位置を出入方向において調整して位置決めする。これにより、同じ向きに面する外壁パネル2を固定するために用いられる複数の取り付け金物3の各々の固定面3aの位置が、出入方向において揃うようになる。なお、取り付け金物3を位置決めする工程S002については、後に詳しく説明する。
【0036】
外壁パネル2を配置する工程S003では、各階において複数の外壁パネル2を水平方向に並ぶように配置する。本工程S003は、各階別に行われ、詳しくは下階から順に行われる。より具体的に説明すると、下階において複数の外壁パネル2を水平方向に並べて配置した後に、その直上階において複数の外壁パネル2を水平方向に並べて配置する。
【0037】
外壁パネル2を配置する際の具体的な手順について概説すると、水平方向に沿って並ぶ複数の外壁パネル2をクレーン等によって同時に吊り上げる。ここで、同時に吊り上げられる複数の外壁パネル2のうち、水平方向において互いに隣り合う二つの外壁パネル2の一方は、第一被固定体に該当し、以下では「第一パネル2M」と呼ぶこととし、他方は、第二被固定体に該当し、以下では「第二パネル2N」と呼ぶこととする。
【0038】
吊り上げられた各外壁パネル2は、吊り上げられた状態のまま、出入方向において取り付け金物3の固定面3aの手前位置に配置される。そして、各外壁パネル2は、取り付け金物3の固定面3aの手前位置に至った状態では、当該外壁パネル2の厚み方向が出入方向に沿った姿勢にて吊られている。
【0039】
また、本実施形態では、建物の各階において複数の外壁パネル2を水平方向に並べて配置する際、水平方向において外壁パネル2同士の間に隙間(厳密には、縦の隙間)が形成されるように複数の外壁パネル2を配置する。
【0040】
また、各外壁パネル2を配置するに際し、吊り込まれた状態にある複数の外壁パネル2の各々の端位置(厳密には、各外壁パネル2の裏面の位置)が出入方向において揃うように各外壁パネル2を位置決めする。具体的に説明すると、第一パネル2Mの裏面と第二パネル2Nの裏面とが面一となるように、第一パネル2Mに対して第二パネル2Nの位置を調整する。
【0041】
上述した外壁パネル2の位置決めは、各階別に行われる。つまり、下階にて水平方向に並べられる複数の外壁パネル2の各々の端位置が揃うように下階の各外壁パネル2が位置決めされた後、上階にて水平方向に並べられる複数の外壁パネル2の各々の端位置が揃うように上階の各外壁パネル2が位置決めされる。
【0042】
また、上階の外壁パネル2を位置決めする際には、出入方向において上階の外壁パネル2の端位置とその直下に位置する下階の外壁パネル2の端位置とが揃うように、上階の各外壁パネル2を位置決めする。具体的に説明すると、出入方向において下階の第一パネル2Mの裏面と、その直上位置に配置される上階の第一パネル2Mの裏面とが面一となり、且つ、下階の第二パネル2Nの裏面と、その直上位置に配置される上階の第二パネル2Nの裏面とが面一となるように、上階の第一パネル2M及び第二パネル2Nの各々を位置決めする。
【0043】
さらに、2階以上の階の外壁パネル2については、出入方向において位置決めすると共に、外壁パネル2同士間の隙間(厳密には、縦の隙間)の調整を行うことになっている。この隙間調整により、上階の外壁パネル2の間に形成される縦の隙間の横幅が、下階の外壁パネル2の間に形成される縦の隙間の横幅と揃うようになる。この結果、上階の外壁パネル2の間に形成される縦の隙間と、下階の外壁パネル2の間に形成される縦の隙間とが良好に連続し、外壁1において直線状に延びた縦目地6が形成されるようになる。
なお、外壁パネル2を配置する工程S003については、後に詳しく説明する。
【0044】
外壁パネル2を固定する工程S004では、各階において、上記の如く位置決めされた外壁パネル2の各々を、その前の工程S002において位置決めされた取り付け金物3の各々に固定する。つまり、本工程S004は、位置決めされた上階の取り付け金物3及び下階の取り付け金物3の各々に対して、位置決めされた各外壁パネル2を固定する工程である。
【0045】
なお、各階において水平方向に並ぶ複数の外壁パネル2の各々は、外壁パネル2間に隙間(厳密には、縦の隙間)を開けながら取り付け金物3に固定される。そして、各階において外壁パネル2の固定が完了すると、一面分の外壁1が構築され、当該外壁1では、縦目地6が上端から下端まで略均一な幅で鉛直方向に沿って直線状に連続するように形成される。同様に、横目地7が水平方向一端から他端まで略均一な幅で水平方向に沿って直線状に連続するように形成される。
【0046】
<<取り付け金具を位置決めする工程について>>
次に、上述した外壁工事のうち、取り付け金物3を出入方向において位置決めする工程S002について、より詳細に説明する。
取り付け金物3を出入方向において位置決めする工程S002では、前述したように、各階において、水平方向に並ぶ複数の取り付け金物3の各々の固定面3aが出入方向において揃うように、水糸8等によって各取り付け金物3を位置決めする。
【0047】
ところで、従来においても、各階の取り付け金物3の位置を水糸8等によって調整していた。しかし、従来の方法では、出入方向における取り付け金物3の位置決め後の位置が階毎に異なってしまう可能性があった。より詳しく説明すると、発明が解決しようとする課題の項で説明したように、水糸8を用いることで、同じ階の取り付け金物3の位置については揃えられるものの、互いに異なる階にある取り付け金物3の位置については、水糸8だけで揃えることが困難である。
【0048】
これに対して、本実施形態では、
図6に図示の治具(以下、調整治具30)を用いることで、上階の取り付け金物3及び下階の取り付け金物3の各々の固定面3aを出入方向において面一となるように揃えることが可能である。
図6は、取り付け金物3の位置決めに用いられる調整治具30の一例を示す斜視図である。
【0049】
調整治具30について説明すると、調整治具30は、
図6に示すように、比較的長く延出している長尺な鋼材からなり、より詳しくはL型のアングル材によって構成されている。この調整治具30の内側壁面には、取り付け金物3の位置決め時に取り付け金物3の固定面3aに当接する当接面31が設けられている。
【0050】
以下、上記の調整治具30を用いて上階の取り付け金物3及び下階の取り付け金物3の各々を位置決めする手順について、
図4B及び
図4Cを参照しながら説明する。
図4B及び
図4Cは、調整治具30を用いて取り付け金物3を位置決めする手順についての説明図であり、
図4Bは、取り付け金物3周辺を上方から見た図であり、
図4Cは、取り付け金物3周辺を側方から見た図である。
なお、以下では、ある向きに面した外壁パネル2を固定するための取り付け金物3に対して位置決めを行うケースを想定して説明することとする。
【0051】
上階の取り付け金物3及び下階の取り付け金物3の各々を位置決めするにあたり、上階及び下階のそれぞれにおいて、水平方向に沿って並ぶ複数の取り付け金物3の各々を梁4や柱5に対して仮留めする。このとき、建物の角部分では、
図4Bに示すように取り付け金物3を柱5の外表面に取り付ける。
【0052】
取り付け金物3の仮留めが完了した後、調整治具30を準備し、その長手方向が上下方向に沿うように調整治具30を立てる。このとき、調整治具30の当接面31は、上下方向に延出した状態にある。そして、
図4Cに示すように、当接面31が下階の取り付け金物3(
図4C中、記号3tと表記)及び上階の取り付け金物3(
図4C中、記号3uと表記)の双方に同時に当接するように調整治具30をセットする。
【0053】
より詳しく説明すると、下階にて水平方向に並べられる複数の取り付け金物3のうち、建物の角部分に設けられた取り付け金物3の固定面3aに当接面31が当接するように調整治具30をセットする。このとき、調整治具30は、当接面31の法線方向が出入方向に沿った状態(厳密には出入方向と略平行な状態)にある。また、調整治具30には、
図4Bや
図4Cに示すように風防下げ振り40が取り付けられる。作業者は、風防下げ振り40によって調整治具30自体の鉛直度(分かり易くは、調整治具30の長手方向と上下方向との間の平行度)を確認し、調整治具30の長手方向が上下方向と略平行となるように調整治具30の姿勢を調整する。そして、調整治具30の長手方向が上下方向と略平行となると、当接面31の法線方向が出入方向と略平行になる。
【0054】
その後、当接面31に当接している下階の取り付け金物3の直上位置にある上階の取り付け金物3(すなわち、建物の角部分に設けられた上階の取り付け金物3)の固定面3aが当接面31に当接するように、上階の取り付け金物3の位置を調整する。
【0055】
以上のように本実施形態では、取り付け金物3の位置決めを行うにあたり、当接面31の法線方向が出入方向と略平行になるように調整治具30をセットし、建物の角部分に設けられた下階の取り付け金物3及び上階の取り付け金物3の双方を当接面31に同時に当接させる。これにより、建物の角部分に設けられた下階の取り付け金物3及び上階の取り付け金物3の各々について、当該各々の固定面3aの位置が出入方向で揃えられる。
【0056】
その上で、下階及び上階の各階において、建物の角部分に設けられた取り付け金物3から水糸8を張り、この水糸8を用いて、各階にて水平方向に並べられた複数の取り付け金物3の各々を出入方向において位置決めする。これにより、上階にあるすべての取り付け金物3の位置と、下階にあるすべての取り付け金物3の位置と、が出入方向において揃えられるようになる。換言すると、下階にある各取り付け金物3の固定面3aと、上階にある各取り付け金物3の固定面3aと、が略面一となる。すなわち、ある向きに面した各外壁パネル2を固定するための固定面3aの、出入方向における位置が各階間で略同一となり、結果として、ある向きに面した外壁パネル2により構築される外壁1が良好な美観を呈するようになる。
【0057】
なお、本実施形態において、下階の取り付け金物3(厳密には、取り付け金物3t)は、上下方向に離れた位置にて一対設けられている。同様に、上階の取り付け金物3(厳密には、取り付け金物3u)は、上下方向に離れた位置にて一対設けられている。本実施形態に係る調整治具30は、
図4Cに示すように、上下一対設けられた下階の取り付け金物3tの各々と、上下一対設けられた上階の取り付け金物3uのうち、より下方に位置する方の取り付け金物3uと、に当接面31が当接するように配置される。
【0058】
また、建物の角部分に設けられた取り付け金物3は、建物の角部分に配置された柱5に取り付けられている。本実施形態に係る調整治具30は、前述したようにL型のアングル材からなり、
図4Bに示すように当該アングル材の直角部を上記柱5の直角部にフィットさせることで、当接面31を取り付け金物3に良好に当接させることが可能である。
【0059】
なお、柱5のうち、取り付け金物3が取り付けられている面と直交する面には、他の取り付け金物3xが取り付けられている。ここで、他の取り付け金物3xは、取り付け金物3に固定される外壁パネル2(すなわち、ある向きに面した外壁パネル2)の向きとは直交した向きを向く外壁パネル2を固定するために用いられる。そして、本実施形態に係る調整治具30は、
図4Bに示すように、ある向きに面した外壁パネル2を固定するための取り付け金物3と当接する際に、上記他の取り付け金物3xにも当接する。これにより、調整治具30が取り付け金物3と当接している状態を、より安定させることが可能となる。
【0060】
<<外壁パネルを配置する工程について>>
次に、上述した外壁工事のうち、外壁パネル2を配置する工程S003について、より詳細に説明する。
外壁パネル2を配置する工程S003では、前述したように、各階において複数の外壁パネル2を水平方向に並ぶように配置する。また、外壁パネル2を配置する工程S003では、出入方向において外壁パネル2を位置決めする。さらに、2階以上の階の外壁パネル2については、出入方向における位置決めと共に、外壁パネル2間の隙間調整も行う。
【0061】
外壁パネル2を配置する工程S003の手順について説明すると、本工程S003は、
図7に図示の流れに従って進行する。
図7は、外壁パネル2を配置する工程の流れを示す図である。具体的に説明すると、外壁パネル2を配置する工程S003では、先ず、外壁パネル2に所定の治具を取り付ける(S011)。当該治具が取り付けられた状態の外壁パネル2を吊り込んで取り付け金物3の固定面3aの手前位置まで搬送する(S012)。このとき、同じ階において水平方向に並ぶ複数の外壁パネル2は、同時に吊り込まれる。
【0062】
その後、吊り込んだ状態にある複数の外壁パネル2の各々に対して、出入方向における位置決めを行う(S015)。具体的には、出入方向において複数の外壁パネル2の各々の裏面が面一となるように各外壁パネル2を位置決めする。これにより、出入方向において複数の外壁パネル2の各々の端位置が揃った状態で各外壁パネル2が配置される。
【0063】
また、出入方向における各外壁パネル2の位置決めは、各階別に繰り返し実施される。さらに、上階において複数の外壁パネル2を水平方向に並べて配置する際には、上階の外壁パネル2と下階の外壁パネル2とが上下方向に並び、且つ出入方向において上階の外壁パネル2の端位置と下階の外壁パネル2の端位置が揃うように上階の各外壁パネル2を配置する。
【0064】
さらにまた、2階以上の外壁パネル2については(S013でYes)、前述したように、外壁パネル2の間に形成される隙間(厳密には、縦の隙間)の横幅が調整される(S014)。この隙間調整により、上階の外壁パネル2の間に形成される隙間の横幅が下階の外壁パネル2の間に形成される隙間の横幅と揃った状態で、上階の各外壁パネル2が配置されるようになる。
【0065】
ところで、本実施形態において外壁パネル2を位置決めする際には、
図2に図示の位置決め部材10が利用される。また、上階の外壁パネル2の間の隙間を調整する際には、
図8A及び
図8Bに図示の隙間調整具50が利用される。
図8A及び
図8Bは、隙間調整具50を示す図であり、
図8Aが隙間調整具50の平面図を示し、
図8Bが隙間調整具50の側面図を示している。
以下では、位置決め部材10や隙間調整具50の構造について言及しつつ、外壁パネル2の位置決め方法について具体的に説明する。
【0066】
(位置決め部材について)
位置決め部材10は、各階において水平方向に沿って並ぶ複数の外壁パネル2の各々を、出入方向において位置決めする際に用いられる。位置決め部材10は、
図2及び
図9に示すように、組み付け部11、保持部12、位置調整部13及び二つの当接部(具体的には第一当接部15及び第二当接部18)によって構成されている。
図9は、外壁パネル2に取り付けられた状態の位置決め部材10を示す図である。
【0067】
組み付け部11は、
図2に示すように長尺なL型のアングル材によって構成されており、互いに略直交する水平部分11a及び突出部分11bを有する。組み付け部11は、外壁パネル2が吊り込まれている間、水平方向に沿って並ぶ複数の外壁パネル2の各々に組み付けられる。具体的には、
図9に示すように、各外壁パネル2の上端面に水平部分11aが締結される。このとき、組み付け部11は、その長手方向が水平方向に沿っており(換言すると、水平方向に延出しており)、出入方向において突出部分11bの端が各外壁パネル2の端(裏面)と揃った状態にある。
【0068】
保持部12は、外壁パネル2の位置決め中、出入方向において複数の外壁パネル2の一つの端位置(具体的には第一パネル2M)と組み付け部11の端位置とが揃った状態を保持するためのものである。保持部12は、
図2に図示した下側第一治具14と上側第一治具16と第一押圧部21と第二押圧部22とを構成要素として備えている。これらは、平板状の第一当接部15と協働して、第一パネル2Mの端位置と組み付け部11の端位置とが揃った状態を保持する。
【0069】
第一当接部15は、略矩形状の鋼板からなり、外壁パネル2の位置決め中、
図10に示すように、出入方向において組み付け部11の突出部分11b及び第一パネル2Mの端(裏面)と当接する位置に配置される。
図10は、位置決め部材10による外壁パネル2の位置決め方法に関する説明図であり、位置決め部材10が取り付けられた状態の第一パネル2Mの側面図である。
【0070】
下側第一治具14は、
図2に示すように側面視でコの字状に成形された金物であり、互いに対向しながら延出している一対の立設部14aと、立設部14a間を連結する連結部14bとを有する。一方の立設部14a(以下、屋内側の立設部14a)には第一押圧部21を取り付けるためのネジ孔(不図示)が形成されている。第一押圧部21は、
図2に示すように第一ネジ体21a及び押圧キャップ21bを備えている。第一ネジ体21aは、下側第一治具14が有する屋内側の立設部14aに設けられたネジ孔に螺合しており、操作されて回転することで第一ネジ体21aの中心軸に沿って進退し、所定方向に回転した際には、その先端部が反対の立設部14a(以下、屋外側の立設部14a)に近付くように進行する。押圧キャップ21bは、第一ネジ体21aの先端部に取り付けられたゴム製のキャップである。
【0071】
上側第一治具16は、外観上、下側第一治具14と略同様の構造であり、
図2及び
図9に示すように、一対の立設部16aと、立設部16a間を連結する連結部16bとを有する。一方の立設部16a(以下、屋内側の立設部16a)には第二押圧部22を取り付けるためのネジ孔(不図示)が形成されている。第二押圧部22は、
図2に示すように第二ネジ体22a及び押圧キャップ22bを備える。第二ネジ体22a及び押圧キャップ22bは、第一押圧部21が有する第一ネジ体21a及び押圧キャップ21bと同じ構造であり、使用方法についても同様である。
【0072】
位置調整部13は、出入方向において第一パネル2Mの端位置が組み付け部11の端位置と揃っている間に、出入方向において組み付け部11の端位置と第二パネル2Nの端位置とが揃うように、組み付け部11に対する第二パネル2Nの位置を調整するためのものである。位置調整部13は、
図2に示すように下側第二治具17と上側第二治具19と第三押圧部23と第四押圧部24とを構成要素として備えている。これらは、平板状の第二当接部18と協働して、組み付け部11に対する第二パネル2Nの位置を調整する。
【0073】
第二当接部18は、略矩形状の鋼板からなり、出入方向において第一当接部15が突出部分11b及び第一パネル2Mの裏面と当接している間、突出部分11b及び第二パネル2Nの端(裏面)と当接する位置に配置される。
【0074】
下側第二治具17は、下側第一治具14と同じ構造であり、
図2に示すように一対の立設部17a及び連結部17bを有する。また、一方の立設部17a(以下、屋内側の立設部17a)には第三押圧部23を取り付けるためのネジ孔(不図示)が形成されている。第三押圧部23は、
図2に示すように第三ネジ体23a及び押圧キャップ23bを備える。第三ネジ体23a及び押圧キャップ23bは、第一押圧部21が有する第一ネジ体21a及び押圧キャップ21bと同じ構造であり、使用方法についても同様である。
【0075】
上側第二治具19は、上側第一治具16と同じ構造であり、
図2に示すように一対の立設部19a及び連結部19bを有する。また、一方の立設部19a(以下、屋内側の立設部19a)には第四押圧部24を取り付けるためのネジ孔(不図示)が形成されている。第四押圧部24は、
図2に示すように
図2に示すように第四ネジ体24a及び押圧キャップ24bを有する。第四ネジ体24a及び押圧キャップ24bは、第一押圧部21が有する第一ネジ体21a及び押圧キャップ21bと同じ構造であり、使用方法についても同様である。
【0076】
(出入方向における外壁パネルの位置決めについて)
以下、上述した位置決め部材10によって外壁パネル2を出入方向において位置決めする方法について説明する。
出入方向において外壁パネル2を位置決めするにあたり、水平方向に並ぶ複数の外壁パネル2(厳密には、同じ階に位置して水平方向に並べられる複数の外壁パネル2)の各々に、下側第一治具14や下側第二治具17に相当する治具を取り付ける。
【0077】
当該治具の取り付け手順について、下側第一治具14を例に挙げて説明すると、外壁パネル2が有するパネル本体2bの裏面の上方部分には、
図2に示すように、水平方向に沿ってアルミ蒸着フィルム2dを切ることで形成された切れ目(以下、上方切れ目M1)が設けられている。この上方切れ目M1に、下側第一治具14が有する一対の立設部14aのうち、屋外側の立設部14aを差し込む。上方切れ目M1に差し込まれた屋外側の立設部14aは、
図10に示すように、パネル本体2b内部においてフレーム2cの上端部と係合し、当該フレーム2cの上端部と当接する。これにより、下側第一治具14が
図9に示すように外壁パネル2の上端部に取り付けられる。
なお、下側第二治具17を外壁パネル2に取り付ける場合の手順は、上記の取り付け手順と同様であるため、説明を省略することとする。
【0078】
その後、治具が取り付けられた複数の外壁パネル2を同時に吊り上げ、外壁1において最も水平方向一端側に位置する外壁パネル2を第一パネル2Mとし、これと隣り合う外壁パネル2を第二パネル2Nとして位置決めを開始する。出入方向における外壁パネル2の位置決めは、
図11に図示の流れに沿って進められる。
図11は、出入方向において外壁パネル2を位置決めする手順を示す図である。
【0079】
出入方向において外壁パネル2を位置決めする工程では、先ず、水平方向において第一パネル2M及び第二パネル2Nの間に跨る位置に、組み付け部11を配置する(S021)。組み付け部11が上記の位置に配置された後、組み付け部11の水平部分11aを第一パネル2Mの上端面に締結して組み付け部11を第一パネル2Mに組み付ける(S022)。
【0080】
その後、組み付け部11のうち、第一パネル2Mに組み付けられた部分に在る突出部分11bに上側第一治具16を取り付ける(S023)。具体的に説明すると、
図10に示すように、組み付け部11のうち、第一パネル2Mに組み付けられた部分に在る突出部分11bを出入方向において一対の立設部16aの間に挟むように上側第一治具16を配置する。このとき、一対の立設部16aのうち、第二押圧部22が取り付けられる側とは反対側の立設部16a(屋外側の立設部16a)が突出部分11bと係合し、当該突出部分11bの屋外側の端面と当接する。これにより、上側第一治具16が組み付け部11の突出部分11bに取り付けられる。なお、本実施形態において、第一パネル2Mの上端部には下側第一治具14が取り付けられており、上側第一治具16は、第一パネル2Mに取り付けられた下側第一治具14の略直上位置に配置される。
【0081】
上側第一治具16の取り付けが完了した後、下側第一治具14及び上側第一治具16の各々が有する一対の立設部14a、16aの間に第一当接部15を配置する(S024)。具体的には、
図10に示すように、第一当接部15の下側部分が第一パネル2Mの裏面に対向し、第一当接部15の上側部分が突出部分11bの屋内側の端面に対向するように第一当接部15を配置する。
【0082】
その後、下側第一治具14に取り付けられた第一押圧部21、及び、上側第一治具16に取り付けられた第二押圧部22をそれぞれ操作して、第一当接部15を、組み付け部11のうち、第一パネル2Mに組み付けられた部分に在る突出部分11b及び第一パネル2Mの裏面の双方に押し付ける(S025)。
【0083】
具体的には、第一押圧部21の第一ネジ体21a及び第二押圧部22の第二ネジ体22aの各々を、その先端部に設けられた押圧キャップ21b、22bが第一当接部15に当接するように進行させる。このとき、出入方向において屋外側では、
図10に示すように、下側第一治具14に備えられた屋外側の立設部14aが第一当接部15とは反対側で第一パネル2M(厳密にはフレーム2c)と当接する。また、上側第一治具16に備えられた屋外側の立設部16aが第一当接部15とは反対側で組み付け部11の突出部分11bと当接する。これにより、第一押圧部21及び第二押圧部22が第一当接部15を押圧する際の反力が確保され、各押圧部が第一当接部15を適切に押圧するようになる。
【0084】
そして、第一当接部15が組み付け部11の突出部分11b及び第一パネル2Mの裏面と当接することで、出入方向において組み付け部11の端位置が第一パネル2Mの端位置と揃うようになる。以降、外壁パネル2の位置決めが完了するまで間、出入方向において組み付け部11の端位置(突出部分11bの端位置)が第一パネル2Mの端位置と揃った状態が保持される。
【0085】
以上までの工程が終了した時点において、組み付け部11は、第一パネル2Mの上端に取り付けられている。また、水平方向において第一パネル2Mと所定の隙間を隔てて隣り合う位置には、第二パネル2Nが配置されている。このとき、第二パネル2Nは、組み付け部11の水平部分11aの直下に位置している。かかる状態において、組み付け部11のうち、第二パネル2Nに組み付けられる部分に在る突出部分11bに対して上側第二治具19を取り付ける(S026)。上側第二治具19を突出部分11bに取り付ける要領は、上側第一治具16を突出部分11bに取り付ける際の要領と同様である。
なお、本実施形態において、第二パネル2Nの上端部には下側第二治具17が取り付けられており、上側第二治具19は、第二パネル2Nに取り付けられた下側第二治具17の略直上位置に配置される。
【0086】
その後、下側第二治具17及び上側第二治具19の各々が有する一対の17a、19aの間に第二当接部18を配置する(S027)。具体的には、第二当接部18の下側部分が第二パネル2Nの裏面に対向し、第二当接部18の上側部分が突出部分11bの屋内側の端面に対向するように第二当接部18を配置する。
【0087】
第二当接部18の配置後、下側第二治具17に取り付けられた第三押圧部23、及び、上側第二治具19に取り付けられた第四押圧部24をそれぞれ操作して、第二当接部18を、組み付け部11のうち、第二パネル2Nに組み付けられる部分に在る突出部分11b及び第二パネル2Nの裏面の双方に押し付ける(S028)。
【0088】
具体的には、第三押圧部23の第三ネジ体23a及び第四押圧部24の第四ネジ体24aの各々を、その先端部に設けられた押圧キャップ23b、24bが第二当接部18に当接するように進行させる。このとき、出入方向において屋外側では、下側第二治具17に備えられた屋外側の立設部17aが第二当接部18とは反対側で第二パネル2N(厳密にはフレーム2c)と当接する。また、上側第二治具19に備えられた屋外側の立設部19aが第二当接部18とは反対側で組み付け部11の突出部分11bと当接する。これにより、第三押圧部23及び第四押圧部24が第二当接部18を押圧する際の反力が確保され、各押圧部が第二当接部18を適切に押圧するようになる。
【0089】
そして、第二当接部18が組み付け部11の突出部分11b及び第二パネル2Nの裏面と当接することで、出入方向において組み付け部11の端位置が第二パネル2Nの端位置と揃うようになる。これにより、
図12に示すように、出入方向において第一パネル2Mの裏面が第二パネル2Nの裏面と揃う(面一となる)ように、組み付け部11に対する第二パネル2Nの位置が調整される。
図12は、出入方向において位置決めされた状態の外壁パネル2を上方から見た図である。
【0090】
以上までの工程により、第二パネル2Nの位置が調整され、出入方向において第二パネル2Nの端位置が組み付け部11の突出部分11bの端位置と揃うようになる。すなわち、第二パネル2Nが組み付け部11に対して位置決めされる。その後、上記のように位置決めされた第二パネル2Nの上端面に組み付け部11の水平部分11aを締結し、組み付け部11を第二パネル2Nに組み付ける(S029)。この時点において、第二パネル2N一つ分の位置決めが終了する。
【0091】
以後、それまで第二パネル2Nとして取り扱っていた外壁パネル2を第一パネル2Mとし、これと隣り合う外壁パネル2(厳密には、それまで第一パネル2Mとして取り扱っていた外壁パネル2とは反対側に位置する外壁パネル2)を第二パネル2Nとした上で、S022〜S029までの一連の工程を繰り返す。
【0092】
そして、同じ階に位置して水平方向に並べられる複数の外壁パネル2の各々について、上記一連の工程S022〜S029が繰り返されることで、組み付け部11が水平方向に沿って並ぶ複数の外壁パネル2のすべてに跨った状態で各外壁パネル2に組み付けられる。この結果、出入方向において複数の外壁パネル2の各々の端位置が揃うように各外壁パネル2が順次、位置決めされる。このとき、水平方向において一定間隔毎(例えば、2〜3枚分の外壁パネル2に相当する間隔毎)に風防下げ振り40等を外壁パネル2に取り付けて、各外壁パネル2の高さ方向が鉛直方向に対して略平行となっていることを適宜確認するのが望ましい。
【0093】
そして、複数の外壁パネル2の各々について位置決めが完了した後、各外壁パネル2が取り付け金物3の固定面3aに固定される。その後、各外壁パネル2に組み付けられていた組み付け部11が取り外される。取り外された組み付け部11は、次回以降の位置決めに(具体的には、上階の外壁パネル2を位置決めする際に)再利用される。
【0094】
また、本実施形態では、ある階において水平方向に並ぶ複数の外壁パネル2の各々が位置決めされて取り付け金物3に固定された後、その直上階において水平方向に並ぶ複数の外壁パネル2の各々について、出入方向における位置決めが行われる。出入方向において上階の外壁パネル2を位置決めする際には、前述した工程S021〜S029を行うと共に、上階の外壁パネル2の端位置と下階の外壁パネル2の端位置とを揃える工程(以下、階間位置揃え工程)を更に実施する。
【0095】
階間位置揃え工程では、水平方向において同じ位置に位置し、且つ上下方向において互いに隣り合う外壁パネル2同士の端位置(裏面の位置)を揃える。ここで、下階において水平方向に並ぶ複数の外壁パネル2のうちの一つを「下階の第一パネル2M」としたとき、その直上階において水平方向に並ぶ複数の外壁パネル2のうち、下階の第一パネル2Mの直上位置に配置される外壁パネル2を「上階の第一パネル2M」と呼ぶこととする。また、下階の第一パネル2Mと水平方向において隣り合う外壁パネル2を「下階の第二パネル2N」としたとき、当該下階の第二パネル2Nの直上位置に配置される外壁パネル2を「上階の第二パネル2N」と呼ぶこととする。
【0096】
階間位置揃え工程では、出入方向において下階の第一パネル2Mの端位置と上階の第一パネル2Mの端位置とを揃えるために、
図13に示すように、下階の第一パネル2Mの上端部に下側第一治具14を取り付け、上階の第一パネル2Mの下端部に上側第一治具16を取り付ける。
図13は、出入方向において下階の外壁パネル2の端位置と上階の外壁パネル2の端位置とを揃える様子を示す図であり、下階の第一パネル2M及び上階の第一パネル2Mを側方から見た図である。
【0097】
下階の第一パネル2Mの上端部に取り付けられる下側第一治具14は、下階の外壁パネル2を位置決めする際に利用した下側第一治具14を、そのまま利用する。すなわち、下側第一治具14は、下階の外壁パネル2を位置決めしてから上階の外壁パネル2を位置決めするまでの間(厳密には、階間位置揃え工程が完了するまでの間)、下階の第一パネル2Mの上端部に取り付けられたままの状態で利用される。
他方、上階の第一パネル2Mの下端部に取り付けられる上側第一治具16は、下階の外壁パネル2を位置決めする際に組み付け部11の突出部分11bに取り付けられていた上側第一治具16を取り外すことで用意される。
【0098】
上階の第一パネル2Mの下端部に上側第一治具16を取り付ける手順について説明すると、第一パネル2Mが有するパネル本体2bの裏面の下方部分には、
図2に示すように、上方切れ目M1と同様の切れ目(以下、下方切れ目M2)が設けられている。この下方切れ目M2に、上側第一治具16が有する一対の立設部16aのうち、屋外側の立設部16aを差し込む。下方切れ目M2に差し込まれた屋外側の立設部16aは、
図13に示すように、パネル本体2b内部においてフレーム2cの下端部と係合し、当該フレーム2cの下端部と当接する。これにより、上側第一治具16が上階の第一パネル2Mの下端部に取り付けられる。
【0099】
その後、
図13に示すように、下側第一治具14及び上側第一治具16の各々が有する一対の立設部14a、16aの間に第一当接部15を配置する。具体的には、同図に示すように、第一当接部15の下端部が下階の第一パネル2Mの裏面に対向し、第一当接部15の上端部が上階の第一パネル2Mの裏面に対向するように第一当接部15を配置する。
【0100】
第一当接部15を上記位置に配置した後、下側第一治具14に取り付けられた第一押圧部21、及び、上側第一治具16に取り付けられた第二押圧部22をそれぞれ操作する。具体的には、第一押圧部21の第一ネジ体21a及び第二押圧部22の第二ネジ体22aの各々を、その先端部に設けられた押圧キャップ21b、22bが第一当接部15に当接するように進行させる。これにより、第一当接部15が、下階の第一パネル2Mの裏面及び上階の第一パネル2Mの裏面の双方に押し当たる。
【0101】
そして、第一当接部15が下階の第一パネル2Mの裏面及び上階の第一パネル2Mの裏面と当接することで、出入方向において下階の第一パネル2Mの端位置が上階の第一パネル2Mの端位置と揃うようになる。
【0102】
また、階間位置揃え工程では、上記と同様の手順にて、出入方向において下階の第二パネル2Nの端位置と上階の第二パネル2Nの端位置とを揃える。具体的には、下階の第二パネル2Nの上端部に下側第二治具17を取り付け、上階の第二パネル2Nの下端部に上側第二治具19を取り付ける。ここで、下側第二治具17は、下側第一治具14と同様に、下階の外壁パネル2を位置決めしてから上階の外壁パネル2を位置決めするまでの間(厳密には、階間位置揃え工程が完了するまでの間)、下階の第二パネル2Nの上端部に取り付けられたままの状態で利用される。他方、上階の第二パネル2Nの下端部に取り付けられる上側第二治具19は、下階の外壁パネル2を位置決めする際に組み付け部11の突出部分11bに取り付けられていた上側第二治具19を取り外すことで用意される。
【0103】
下階の第二パネル2Nに下側第二治具17を取り付け、上階の第二パネル2Nに上側第二治具19を取り付けた後には、下側第二治具17及び上側第二治具19の各々が有する一対の立設部17a、19aの間に第二当接部18を配置する。具体的には、第二当接部18の下端部が下階の第二パネル2Nの裏面に対向し、第二当接部18の上端部が上階の第二パネル2Nの裏面に対向するように第二当接部18を配置する。
【0104】
第二当接部18の配置後、下側第二治具17に取り付けられた第三押圧部23、及び、上側第二治具19に取り付けられた第四押圧部24をそれぞれ操作し、第二当接部18を、下階の第二パネル2Nの裏面及び上階の第二パネル2Nの裏面の双方に押し当てる。これにより、出入方向において下階の第二パネル2Nの端位置が上階の第二パネル2Nの端位置と揃うようになる。
【0105】
以上のように本実施形態では、下階にて水平方向に並ぶ複数の外壁パネル2の各々の端位置を揃えるために用いた器具(具体的には、下側第一治具14、上側第一治具16、下側第二治具17、上側第二治具19、第一当接部15及び第二当接部18)を、階間位置揃え工程に用いる。すなわち、本実施形態では、下階にて水平方向に並ぶ複数の外壁パネル2の各々を出入方向において位置決めするために用いた器具を、上階の外壁パネル2及び下階の外壁パネル2の各々の端位置を出入方向において揃える際にも利用する。
【0106】
(隙間調整具について)
隙間調整具50について
図8A及び
図8Bを参照しながら説明する。隙間調整具50は、調整部に相当し、上階の外壁パネル2を下階の外壁パネル2の直上位置に配置する際に、上階の外壁パネル2の間に形成される縦の隙間の横幅を下階の外壁パネル2の間に形成される縦の隙間の横幅と揃えるために用いられる。隙間調整具50は、
図8A及び
図8Bに示すように、一対の板片51と、板片51を連結する連結軸52と、板片51間の間隔を調整するために操作される操作部53と、を有する。
【0107】
一対の板片51は、隙間調整具50の本体部分をなす部分である。隙間調整具50は、一対の板片51が水平方向に並んだ状態で用いられる。各板片51は、
図8Bに示すように側方視で略L字状に成形された鋼板からなり、より背が高い前方部(以下、板片前方部51a)と、より背が低い後方部(以下、板片後方部51b)とを有する。また、各板片51は、板片前方部51aと板片後方部51bとの間で屈曲しており、詳しくは、
図8Aに示すように板片前方部51aと板片後方部51bとの間に鈍角が形成されるように屈曲している。
【0108】
通常時の隙間調整具50では、
図8Aに示すように、一対の板片51の板片前方部51a同士が互いに平行であり、板片後方部51b同士が上面視で逆さV字をなした状態にある。換言すると、通常時の隙間調整具50において、一対の板片51間の間隔の長さは、前方側では一定となっており、後方側では、後端に向かう程長くなっている。
【0109】
連結軸52は、一対の板片51の間、厳密には板片後方部51b同士の間を連結するピンやネジである。本実施形態において、連結軸52は、各板片51において板片前方部51aと板片後方部51bとの境界位置よりも若干後方に位置する部分を貫通するように設けられている。
【0110】
操作部53は、一対の板片51に取り付けられており、本実施形態では、各板片51において連結軸52よりも幾分後方に位置する部分を貫通するように取り付けられた蝶ボルトである。操作部53の一端部にはナット54が取り付けられており、当該ナット54は、
図8Aに示すように一方の板片51の板片後方部51bの外側面に係止されている。
【0111】
そして、操作部53の頂部(ナット54とは反対側の端部)を操作すると、一対の板片51の各々が、板片前方部51aと板片後方部51bとの境界位置を支点として動く。かかる動作により、板片後方部51b同士の間の間隔が狭まる一方で、板片前方部51a同士の間の間隔(厳密には、板片51の前端同士の間の隙間)が広げられる。このようにして一対の板片51の間の間隔が調整される。換言すると、操作部53を操作することで、水平方向における隙間調整具50の長さを調整することが可能である。
【0112】
(上階の外壁パネル間の隙間調整について)
以下、上述した隙間調整具50によって、上階の外壁パネル2の間の隙間(縦の隙間)を調整する方法について説明する。
隙間調整を行うにあたっては、下階において複数の外壁パネル2が水平方向に並べて配置される。このとき、下階の外壁パネル2の間の隙間(縦の隙間)が規定の長さとなるように調整される。その上で、下階の各外壁パネル2が下階の取り付け金物3に固定される。その後、上階の外壁パネル2が吊り込まれて下階の外壁パネル2の直上位置に配置される。このときに上階の外壁パネル2間の隙間調整が行われる。
【0113】
上階の外壁パネル2間の隙間調整は、
図14に図示の流れに沿って進められる。
図14は、上階の外壁パネル2間の隙間を調整する手順を示す図である。同図に示すように、上階の外壁パネル2間の隙間調整では、上階の外壁パネル2を下階の外壁パネル2の直上位置に配置するにあたり(S033)、隙間調整具50のセット及び操作を行う(S031、S032)。
【0114】
具体的に説明すると、上階の外壁パネル2間の隙間調整では、先ず、下階の外壁パネル2の間の隙間内に一対の板片51の各々の板片前方部51aを差し込んで、隙間調整具50をセットする(S031)。この際、
図15に示すように、各板片51における板片前方部51aの下側部分が下階の外壁パネル2の間の隙間内に収容され、且つ、板片前方部51aの上側部分が下階の外壁パネル2の間の隙間よりも上方に突出するように隙間調整具50を配置する。
図15は、隙間調整具50をセットした状態を示す図であり、当該隙間調整具50を下階の外壁パネル2の正面から見た図である。
なお、このとき、各板片51における板片後方部51bは、下階の外壁パネル2の間の隙間よりも手前(出入方向において屋外側)に位置している。
【0115】
隙間調整具50のセット後、隙間調整具50の操作部53を操作して隙間調整具50の長さ(厳密には、水平方向における長さ)を調整する(S032)。より詳しく説明すると、操作部53である蝶ネジを回すことにより、板片前方部51a同士の間の間隔を広げて隙間調整具50の長さを長くする。そして、板片前方部51a同士の間の間隔が下階の外壁パネル2の間の隙間と等しくなるまで操作部53を操作する。これにより、各板片51の板片前方部51aが、隙間を挟む下階の外壁パネル2の側端(隙間に面している側の端)に当接するようになる。換言すると、隙間調整具50の長さ(厳密には、板片前方部51a同士の間の間隔の長さ)が、下階の外壁パネル2の間の隙間と等しくなるように調整される。
【0116】
その後、上階の外壁パネル2を下階の外壁パネル2の直上位置に配置する。より厳密には、上階の外壁パネル2の間の隙間と下階の外壁パネル2の間の隙間とが上下に連続するように上階の各外壁パネル2を配置する(S033)。このとき、隙間調整具50が有する一対の板片51の板片前方部51aのうち、下階の外壁パネル2の間の隙間よりも上方に突出した部分(以下、突出部分)をガイドとして上階の外壁パネル2を配置する。より詳しく説明すると、
図16に示すように、水平方向において突出部分と隣接する位置に上階の外壁パネル2を配置する。
図16は、隙間調整具50によって上階の外壁パネル2の間の隙間を調整する様子を示す図であり、当該隙間調整具50を上階及び下階の各々の外壁パネル2の正面から見た図である。
【0117】
そして、上階の外壁パネル2が突出部分によってガイドされながら下階の外壁パネル2の直上位置に配置されることにより、上階の外壁パネル2の間には、下階の外壁パネル2の間の隙間と上下方向に連続した隙間(縦の隙間)が形成されるようになる。また、上階の外壁パネル2同士の間に形成される隙間の横幅は、下階の外壁パネル2同士の間に形成される隙間の横幅と揃うようになる。
【0118】
以上のように、本実施形態では、上階において複数の外壁パネル2を水平方向に並べて配置する際に、隙間調整具50を用いて上階の外壁パネル2の間の隙間を調整することで、当該隙間が上下方向において下階の外壁パネル2の間の隙間と良好に連続するように上階の各外壁パネル2を配置することが可能である。
【0119】
<<その他の実施形態>>
以上までに本発明の構造物構築方法について具体例を挙げて説明してきたが、上記の実施形態は、あくまでも一例に過ぎず、他の実施形態も考えられる。例えば、上記の実施形態では、建物の角部分に在る取り付け金物3を出入方向において位置決めする際、上下に隣り合う二つの階の各々に配置された取り付け金物3に、長尺な調整治具30の当接面31を同時に当接させることとした。ただし、これに限定されるものではなく、上下に連続する三つ以上の階の各々に配置された取り付け金物3に調整治具30の当接面31を同時に当接させてもよい。
【0120】
また、上記の実施形態では、建物の角部分に在る取り付け金物3に対して、調整治具30による出入方向の位置決めを行うこととした。ただし、これに限定されるものではなく、建物の角部以外に設けられる取り付け金物3に対して、調整治具30に相当する治具による位置決めを行ってもよい。
【0121】
また、上記の実施形態では、L型のアングル材によって構成された調整治具30を用いることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、長尺な平板や棒体若しくは角材によって構成される調整治具30を用いてもよい。
【0122】
また、上記の実施形態では、本発明の構造物構築方法の適用例として、複数の外壁パネル2によって構成される外壁1を有する建物を建設するケースについて説明したが、これに限定されるものではない。複数の階を有し、各階においてパネル体やブロック体(例えば、ALC板、コイルブロック、フェンス、タイル及び仮囲い材)を固定部に固定することで建物を建設する場合にも、本発明の構造物構築方法は利用可能である。