(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974971
(24)【登録日】2021年11月9日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】軸受ユニットの製造装置及び軸受ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
B21J 9/02 20060101AFI20211118BHJP
F16C 19/18 20060101ALI20211118BHJP
B21K 1/05 20060101ALI20211118BHJP
B21D 39/00 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
B21J9/02 A
F16C19/18
B21K1/05
B21D39/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-138106(P2017-138106)
(22)【出願日】2017年7月14日
(65)【公開番号】特開2019-18222(P2019-18222A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 陽介
(72)【発明者】
【氏名】中川 将人
(72)【発明者】
【氏名】福井 正人
(72)【発明者】
【氏名】住元 恵
(72)【発明者】
【氏名】井ノ口 三元
(72)【発明者】
【氏名】篠田 弘行
(72)【発明者】
【氏名】木村 昌宏
【審査官】
山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−250358(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第104550607(CN,A)
【文献】
特開2014−226679(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第10017462(DE,A1)
【文献】
特開2016−159337(JP,A)
【文献】
特開2002−192385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21J 9/02
F16C 19/18
B21K 1/05
B21D 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外輪及び当該外輪の径方向内側に転動体を介して設けられている内軸を備え、当該内軸は、軸本体と、当該軸本体の軸方向一方側の端部に外嵌しかつ当該端部から延びて設けられているかしめ部によって固定されている内輪部材と、を有する軸受ユニットを、製造するための装置であって、
前記内軸の中心軸を上下方向として当該内軸の軸方向他方側を下から保持すると共に当該内軸を前記中心軸回りに回転させる回転体を有し、当該回転体が前記軸受ユニットの加工エリアの下側に設置されている回転機構と、
前記かしめ部に接触して当該かしめ部を塑性変形させるパンチを有し、前記加工エリアの上側に設置されているかしめ機構と、
前記内輪部材の拡径方向の変形を拘束する拘束機構と、
を備え、
前記かしめ機構は、回転が拘束された状態にある固定スピンドルと、当該固定スピンドルに対して前記パンチを当該パンチの中心軸回りに回転可能に支持している軸受部と、を更に有し、
前記拘束機構は、前記内輪部材の外周面の一部に接触するリング部材と、前記リング部材を回転可能に支持する転がり軸受と、を有する、軸受ユニットの製造装置。
【請求項2】
前記パンチを前記かしめ部に押し付けるための推力を発生させる推力発生機構を更に備え、
前記推力発生機構は、電動モータと、当該電動モータの回転力を軸力として出力する直動アクチュエータと、を有して構成されている、請求項1に記載の軸受ユニットの製造装置。
【請求項3】
前記直動アクチュエータは、前記固定スピンドルの水平方向に隣りの領域に設けられている、請求項2に記載の軸受ユニットの製造装置。
【請求項4】
外輪及び当該外輪の径方向内側に転動体を介して設けられている内軸を備え、当該内軸は、軸本体と、当該軸本体の軸方向一方側の端部に外嵌しかつ当該端部から延びて設けられているかしめ部によって固定されている内輪部材と、を有する軸受ユニットを、製造するための方法であって、
前記内軸の中心軸を上下方向として当該内軸の軸方向他方側を下から回転体が保持した状態で、当該回転体を前記中心軸回りに回転させ、
前記内輪部材の拡径方向の変形を拘束するために、当該内輪部材の外周面の一部に、転がり軸受により回転可能に支持されるリング部材を接触させ、
回転が拘束された状態にある固定スピンドルに対して軸受部により回転可能に支持されるパンチを、前記軸本体に連れ回り可能とした状態で、当該パンチを前記かしめ部に上から接触させて当該かしめ部を塑性変形させる、軸受ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受ユニットの製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車において、車体側の懸架装置に車輪を回転可能に支持させるために、ハブユニット(軸受ユニット)が用いられている。
図8に示すように、ハブユニット90は、図外の懸架装置に固定される外輪91と、この外輪91の径方向内側に転動体92を介して設けられている内軸(ハブ軸)93とを備えている。内軸93は、軸本体94と、この軸本体94の軸方向一方側の端部95に外嵌している内輪部材96とを有している。軸本体94は、軸方向他方側にフランジ部97を有しており、このフランジ部97に(図示していないが)車輪のホイールやブレーキディスクが取り付けられる。
【0003】
内輪部材96は、軸本体94の端部95に外嵌していると共に、この端部95から延びて設けられているかしめ部98によって軸方向一方側に脱落不能として固定されている。このようなかしめ部98による内輪部材96の固定は、例えば、特許文献1に示すような製造装置によって行われる。
【0004】
この製造装置は、
図9に示すように、ハブユニット90の内軸93(フランジ部97)を載せて固定する固定ステージ89と、ハブユニット90のかしめ部98に接触してかしめ部98を塑性変形させるためのパンチ88及びこのパンチ88を支持しているスピンドル87を有するかしめ機構86と、スピンドル87を回転させる電動モータ84を含む回転機構85と、パンチ88をかしめ部98に押し付けるための推力を発生させる推力発生機構83とを備えている。推力発生機構83は、電動モータ84とかしめ機構86との間に設けられている油圧シリンダ82と、この油圧シリンダ82に作動油を供給する図外の油圧ユニットとを有する構成とされている。
【0005】
図10は、この製造装置を用いて内輪部材96をかしめ部98によって軸本体94に固定する工程を示す説明図である。先ず、固定ステージ89に内軸93を固定した状態とする。
図10(A)に示すように、加工前、かしめ部98は、軸本体94の端部95から軸方向に延び軸本体94の中心軸C1を中心とする円筒形状を有している。そして、固定ステージ89上で固定状態にあるハブユニット90に対してかしめ機構86を接近させ(降下させ)、スピンドル87を中心軸C1回りに電動モータ84(
図9参照)によって回転させた状態で、パンチ88をかしめ部98に接触させる。すると、
図10(B)に示すように、円筒形状であったかしめ部98は、このパンチ88に押されて徐々に拡径する。このようにして拡径させたかしめ部98により内輪部材96は軸方向に拘束され軸本体94に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−45612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図9に示すように、従来の製造装置は、固定ステージ89に固定したハブユニット90の上方に、かしめ機構86が設けられており、更にその上に、推力発生機構83の油圧シリンダ82、及び、電動モータ84を有する回転機構85が設けられている。このため、作業者がハブユニット90を製造装置にセットしたり加工済みのハブユニット90を取り出したりする等の作業が容易となる高さ(例えば床から1mの高さ)に、固定ステージ89上の加工エリアK1を設定すると、装置全体が高くなり、製造装置が大型化するという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、小型化が可能となる製造装置、及び、小型化した製造装置によって軸受ユニットを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、外輪及び当該外輪の径方向内側に転動体を介して設けられている内軸を備え、当該内軸は、軸本体と、当該軸本体の軸方向一方側の端部に外嵌しかつ当該端部から延びて設けられているかしめ部によって固定されている内輪部材と、を有する軸受ユニットを、製造するための装置であって、前記内軸の中心軸を上下方向として当該内軸の軸方向他方側を下から保持すると共に当該内軸を前記中心軸回りに回転させる回転体を有し、当該回転体が前記軸受ユニットの加工エリアの下側に設置されている回転機構と、前記かしめ部に接触して当該かしめ部を塑性変形させるパンチを有し、前記加工エリアの上側に設置されているかしめ機構と、を備えている。
【0010】
この製造装置によれば、作業者が軸受ユニットを製造装置にセットしたり加工済みの軸受ユニットを取り出したりする等の作業が容易となる高さに、軸受ユニットの加工エリアを設定すると、その加工エリアの下側に回転体が位置し、加工エリアの上側にかしめ機構が位置するため、製造装置の高さを従来よりも低く抑えることができ、製造装置の小型化が可能となる。
【0011】
また、前記製造装置は、前記パンチを前記かしめ部に押し付けるための推力を発生させる推力発生機構を更に備え、前記推力発生機構は、電動モータと、当該電動モータの回転力を軸力として出力する直動アクチュエータと、を有して構成されているのが好ましい。推力発生機構を油圧ユニット及び油圧シリンダを含む油圧機器により構成してもよいが、電動モータと直動アクチュエータとを有して構成する場合の方が、消費電力が少なくて済む。つまり、油圧機器を用いる場合、かしめ部の加工を実際に行っていないアイドル時間においても油圧ユニットを稼働させておく必要があり、電力消費が大きくなるのに対して、電動モータを有する構成の場合、前記アイドル時間では待機電流を流す程度の電力消費でよく、省エネルギ化が可能となる。
また、前記直動アクチュエータは、前記
かしめ機構が有する固定スピンドルの水平方向に隣りの領域に設けられているのが好ましい。この場合、直動アクチュエータと固定スピンドルとが並列に設けられた構成となり、製造装置が高くなって大型化するのをより一層効果的に抑えることが可能となる。
【0012】
また、前記かしめ機構は、回転が拘束された状態にある固定スピンドルと、当該固定スピンドルに対して前記パンチを当該パンチの中心軸回りに回転可能に支持している軸受部と、を更に有しているのが好ましい。この場合、前記回転機構によって内軸を回転させ、この内軸(かしめ部)にパンチが接触すると、回転する内軸にパンチが連れ回る構成となり、このパンチによってかしめ部の塑性変形をスムーズに行うことが可能となる。
【0013】
また、本発明は、外輪及び当該外輪の径方向内側に転動体を介して設けられている内軸を備え、当該内軸は、軸本体と、当該軸本体の軸方向一方側の端部に外嵌しかつ当該端部から延びて設けられているかしめ部によって固定されている内輪部材と、を有する軸受ユニットを、製造するための方法であって、前記内軸の中心軸を上下方向として当該内軸の軸方向他方側を下から回転体が保持した状態で、当該回転体を前記中心軸回りに回転させ、パンチを前記かしめ部に上から接触させて当該かしめ部を塑性変形させる。
【0014】
この製造方法によれば、軸受ユニットの加工エリアの上側にパンチを設置し、内軸を回転させるための回転体を加工エリアの下側に設置して、かしめ加工が行われる。このため、作業者が軸受ユニットを製造装置にセットしたり加工済みの軸受ユニットを取り出したりする等の作業が容易となる高さに、前記加工エリアを設定すると、その加工エリアの下側に回転体が位置し、加工エリアの上側にかしめ機構が位置し、製造装置の高さを従来よりも低く抑えることができ、製造装置の小型化が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、製造装置の高さを従来よりも低く抑えることができ、製造装置の小型化が可能となる。
また、小型化した製造装置によって軸受ユニットを製造する(かしめ部をかしめ加工する)ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の製造装置によって製造される軸受ユニットの一例を示す断面図である。
【
図2】軸受ユニット(ハブユニット)の一部を示す断面図である。
【
図3】本発明の製造装置の一例を示す側面図である。
【
図4】回転体上に取り付けられているハブユニットの斜視図である。
【
図6】回転体上に固定されているハブユニット、かしめ機構、及び拘束機構を示す説明図である。
【
図7】回転体上に固定されているハブユニット、かしめ機構、及び拘束機構を示す説明図である。
【
図8】従来技術を説明するためのハブユニットの断面図である。
【
図10】従来の製造装置を用いて内輪部材をかしめ部によって軸本体に固定する工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の製造装置によって製造される軸受ユニットの一例を示す断面図である。
図1に示す軸受ユニットは、自動車において、車体側の懸架装置に車輪を回転可能に支持させるためのユニットであり、ハブユニットと呼ばれる。以下において、製造する軸受ユニットをハブユニット50と呼んで説明する。ハブユニット50は、図外の懸架装置に固定される外輪51と、この外輪51の径方向内側に二列の玉(転動体)52を介して設けられている内軸(ハブ軸)53とを備えている。内軸53は、軸本体54と、この軸本体54の軸方向一方側(
図1では右側)の端部55に外嵌している内輪部材56とを有している。軸本体54は、軸方向他方側(
図1では左側)にフランジ部57を有しており、このフランジ部57に(図示していないが)車輪のホイールやブレーキディスクが取り付けられる。
【0018】
軸本体54は、軸方向の中間部に軸方向一方側に向く段付き面59を有している。段付き面59は環状に形成されており、この段付き面59よりも軸方向一方側の部分(端部55)において(かしめ部58を除いて)軸本体54の外径が小さくなっている。内輪部材56は、この端部55に外嵌していると共に、段付き面59に接触した状態にある。更に、内輪部材56は、端部55から径方向外側に向かって延びて設けられているかしめ部58によって軸方向一方側に脱落不能となっている。このため、内輪部材56は、段付き面59とかしめ部58とによって軸方向に挟まれた状態となって軸本体54に固定される。このようなかしめ部58による内輪部材56の固定が、
図3に示す製造装置10によって行われる。
【0019】
製造装置10によって内輪部材56を軸本体54に固定する前のハブユニット50(中間品)は、
図2に示すように、軸本体54の径方向外側に玉52を介して外輪51を組み付けた状態にあり、また、かしめ部58は、軸本体54の軸方向一方側の端部55から軸方向一方側に延びており、軸本体54の中心軸C1を中心とする円筒形状を有している。そして、この端部55に内輪部材56が外嵌している。この状態から、後に説明するパンチ27(
図7参照)が、円筒形状であったかしめ部58に接触して、このかしめ部58を塑性変形させる(拡径させる)。これにより、内輪部材56を軸本体54に固定することができる。
【0020】
図3は、本発明の製造装置の一例を示す側面図である。製造装置10は、回転機構11及びかしめ機構12を備えている。更に、本実施形態の製造装置10は、推力発生機構13及び拘束機構14を備えている。これら回転機構11、かしめ機構12、推力発生機構13、及び拘束機構14は、床面に設置されている装置フレーム15に搭載されている。この製造装置10において、前記ハブユニット50(中間品)の加工エリア(設置エリア)K1は、作業者がハブユニット50(中間品)を製造装置10にセットしたり加工済みのハブユニット50を取り出したりする等の作業が容易となる高さ(例えば床から1mの高さ)に設定されている。
【0021】
製造装置10において、ハブユニット50(中間品)は、内軸53の中心軸C0を上下方向として、かしめ部58が上となり、フランジ部57が下となる姿勢で、回転機構11が有している回転体21上に取り付けられる。回転機構11は、ハブユニット50を載せて固定するための回転体21の他に、電動モータ25及び動力伝達部26を備えており、電動モータ25の回転力が動力伝達部26を通じて回転体21に伝わり、回転体21は、上下方向の基準軸(基準線)Z回りに回転する。この基準軸Zに、内軸53の中心軸C0(軸本体54の中心軸C1)が一致するようにして、ハブユニット50は回転体21上に取り付けられる。動力伝達部26は、プーリ及びベルトによる構成や、歯車による構成とすることができ、電動モータ25の回転を減速する機能を備えている。
【0022】
図4は、回転体21上に取り付けられているハブユニット50の斜視図である。なお、
図4では、説明を容易とするために、ハブユニット50の外輪51、玉52、内輪部材56を省略している。回転機構11は、ハブユニット50を回転体21に固定するための固定手段22を有している。
図4に示す固定手段22は、軸本体54のフランジ部57を回転体21との間で上下方向に挟持するクランプ部材23を有している。この構成によれば、フランジ部57が、円板形状である以外に、
図4に示すように十字形状であっても、軸本体54を回転体21に固定することができ、軸本体54を回転体21と一体回転させることが可能となる。
【0023】
図5は、固定手段22の変形例を示す説明図である。ハブユニット50の軸本体54は、フランジ部57の内周側部において、軸方向に突出している筒部60を有している。筒部60は、軸本体54の中心軸C1を中心とする円筒形状を有しており、軸本体54と一体成形されている。そこで、
図5に示す固定手段22は、回転体21と一体回転可能に設けられているチャック(コレットチャック)24を有しており、このチャック24が前記筒部60を径方向から挟むことで、軸本体54を回転体21に固定する。これにより、軸本体54と回転体21とを一体回転させることが可能となる。
【0024】
固定手段22は
図4及び
図5に示す構成以外とすることができる。例えば、前記構成に追加するように、フランジ部57が十字形状を有する場合(
図4参照)、フランジ部57の側面61に対して図示しないが回転体21と一体であるピン部材を接触させ、回転体21の回転力を前記ピン部材を介して軸本体54に伝えるように構成してもよい。又は、図示しないが、フランジ部57に形成されている穴(例えば作業用の穴)に、回転体21と一体であるピン部材を挿入し、回転体21の回転力を前記ピン部材を介して軸本体54に伝えるように構成してもよい。
【0025】
以上のように、回転機構11は(
図3参照)回転体21を有しており、回転体21は、ハブユニット50の内軸53の中心軸C0を上下方向としてこの内軸53の軸方向他方側(フランジ部57側)を下から保持する。回転体21は、自身が回転することで、内軸53を中心軸C0回りに回転させることができる。そして、回転体21は、ハブユニット50の加工エリアK1の下側に設置されている。本実施形態では、回転体21を前記基準軸Z回りに回転させるための電動モータ25及び動力伝達部26についても、加工エリアK1よりも低い領域に設置されている。
【0026】
図6及び
図7は、回転体21上に固定されているハブユニット50、かしめ機構12、及び拘束機構14を示す説明図である。かしめ機構12は、パンチ27と、固定スピンドル28と、固定スピンドル28に対してパンチ27を支持している軸受部29とを有している。かしめ機構12は、前記加工エリアK1の上側に設置されている。
図3において、製造装置10は、装置フレーム15に上下移動可能に支持されている昇降フレーム30を備えている。この昇降フレーム30に
図6に示す固定スピンドル28は取り付けられており、固定スピンドル28は、後に説明する推力発生機構13(
図3参照)の直動アクチュエータ33によって昇降移動する。
【0027】
図6において、固定スピンドル28は、製造装置10の前記基準軸(基準線)Zを中心とする柱状の部材により構成されている。固定スピンドル28は、昇降フレーム30と共に上下方向について移動可能であるが、昇降フレーム30及び装置フレーム15によって回転が拘束された状態にある。つまり、固定スピンドル28は、基準軸Zに沿って上下方向に移動可能であるが、基準軸Z回りには回転不能となっている。固定スピンドル28には、下方に向かって開口している孔31が形成されている。孔31の中心軸(中心線)C2は、前記基準軸Zに対して所定角度で傾斜している。そして、この孔31に軸受部29を介して軸状であるパンチ27が設けられている。軸受部29は、転がり軸受であり、固定スピンドル28に対してパンチ27を中心軸(C2)回りに回転可能に支持することができる。孔31の中心軸C2が、パンチ27の中心軸となり、パンチ27は、この中心軸C2回りに自由に回転(自転)することができる。
【0028】
図3において、推力発生機構13は、電動モータ(サーボモータ)32と、この電動モータ32の回転力を軸力として出力する直動アクチュエータ33とを有して構成されている。本実施形態の直動アクチュエータ33はボールねじ機構を有するものであり、直動アクチュエータ33の直線動作方向、つまり、ボールねじ機構の長手方向を、上下方向として、直動アクチュエータ33は装置フレーム15に搭載されている。このボールねじ機構(直動アクチュエータ33)が有しているナットユニット(移動ユニット)34に、前記昇降フレーム30が取り付けられている。電動モータ32が一方向に回転すると、ナットユニット34が降下し、これにより、かしめ機構12を降下させることができる。電動モータ32が他方向に回転すると、ナットユニット34が上昇し、これにより、かしめ機構12を上昇させることができる。本実施形態では、
図3に示すように、直動アクチュエータ33(ボールねじ機構)は、固定スピンドル28の水平方向に隣りの領域S1に設けられている。
【0029】
以上のように、推力発生機構13は、昇降フレーム30を上昇させ、かしめ機構12を、加工エリアK1の上方の待機位置に位置させることができる(
図6に示す状態)と共に、昇降フレーム30を降下させ、かしめ機構12を、パンチ27がハブユニット50のかしめ部58に接触する加工位置に位置させることができる(
図7に示す状態)。更に、推力発生機構13は、下方に向かう力をかしめ機構12に付与することができ、これにより、パンチ27をかしめ部58に押し付けるための推力を発生させることが可能となる。
【0030】
図7において、パンチ27がかしめ部58を塑性変形させる際、軸本体54の端部55は、かしめ部58を通じて径方向外側に向く力を受け、端部55が内輪部材56を径方向外側に向かって押圧する。これにより、内輪部材56が拡径方向に変形しようとする。そこで、拘束機構14はこの変形を拘束する。拘束機構14は、内輪部材56の外周面の一部に接触するリング部材35を有している。リング部材35は剛性が高く、内輪部材56の変形を防ぐ。なお、ハブユニット50の軸本体54及び内輪部材56は回転機構11によって回転することから、リング部材35も回転自在となっている。そのために、拘束機構14は、リング部材35を回転可能に支持する転がり軸受36を有している。拘束機構14も昇降可能に構成されており、加工エリアK1にハブユニット50が固定されると、リング部材35を降下させて内輪部材56に嵌合させる。
【0031】
以上のように構成された製造装置10によって行われる、ハブユニット50のかしめ部58の加工(軸端かしめ工程)について説明する。
図6に示すように、回転体21上にハブユニット50を固定し、かしめ機構12を前記待機位置から降下させ、更に、回転体21(ハブユニット50)を中心軸C0回りに回転させる。パンチ27は傾いた状態で降下し、かしめ部58に接触するまで回転しない。かしめ機構12の降下を継続し、パンチ27がかしめ部58に接触すると、ハブユニット50(軸本体54)は回転体21と共に回転していることから、かしめ部58に接触したパンチ27は中心軸C2を中心として軸本体54に連れられて回転する(連れ回りする)。パンチ27がかしめ部58に接触した後において、推力発生機構13(
図3参照)によってパンチ27をかしめ部58に押し付けた状態とする。軸本体54の回転が継続され、回転するかしめ部58をパンチ27が押圧することで、円筒形状であったかしめ部58(
図2参照)は徐々に塑性変形して拡径する(
図7参照)。
【0032】
本実施形態のかしめ機構12では、回転が拘束された状態にある固定スピンドル28に対してパンチ27を、転がり軸受により構成されている軸受部29によって、中心軸C2回りに回転可能に支持している。このため、回転機構11によって内軸53(軸本体54)を回転させ、この内軸53(軸本体54のかしめ部58)にパンチ27が接触すると、前記のとおり、回転する内軸53にパンチ27が連れ回る構成となる。この結果、回転するパンチ27によってかしめ部58の塑性変形をスムーズに行うことが可能となる。
【0033】
そして、かしめ部58の拡径に伴って内輪部材56も拡径しようとするが、拘束機構14のリング部材35が内輪部材56の一部に嵌合した状態にあり、内輪部材56の変形を防止している。以上より、先端が拡径したかしめ部58によって、内輪部材56は軸本体54に固定される。
【0034】
以上のように、本実施形態の製造装置10によって行われるハブユニット50の製造方法は、ハブユニット50の内軸53の中心軸C0を上下方向として、この内軸53のフランジ部57側(軸方向他方側)を下から回転体21が保持した状態で、この回転体21を中心軸C0回りに回転させ(
図6参照)、パンチ27をかしめ部58に上から接触させてこのかしめ部58を塑性変形させる(
図7参照)。この製造方法によれば、ハブユニット50の加工エリアK1の上側にパンチ27を設置し、そのハブユニット50の内軸53を回転させるための回転体21を加工エリアK1の下側に設置して、かしめ加工が行われる。このため、作業者がハブユニット50を製造装置10にセットしたり加工済みのハブユニット50を取り出したりする等の作業が容易となる高さ(例えば床から1mの高さ)に、加工エリアK1を設定すると、その加工エリアK1の下側に回転体21が位置し、加工エリアK1の上側にかしめ機構12が位置する。このため、製造装置10の高さを従来(
図9参照)よりも低く抑えることができ、製造装置10の小型化が可能となる。
【0035】
更に本実施形態では、推力発生機構13が備えている直動アクチュエータ(ボールねじ機構)33は、前記のとおり、回転機構11の固定スピンドル28の水平方向に隣りの領域S1に設けられている。このため、直動アクチュエータ33と固定スピンドル28とが並列に設けられた構成となる。この結果、製造装置10が高くなって大型化するのをより一層効果的に抑えることが可能となる。
【0036】
また、本実施形態の推力発生機構13は、電動モータ32と直動アクチュエータ33とを有して構成されている。推力発生機構13を、油圧シリンダ及び油圧ユニットを含む油圧機器によって構成してもよいが、この場合、ハブユニット50のかしめ部58の加工を実際に行っていないアイドル時間においても油圧ユニットを稼働させておく必要があり、電力消費が大きくなる。しかし、本実施形態では、推力発生機構13は電動モータ32を動力源としていることで、前記アイドル時間では待機電流を流す程度の電力消費でよく、省エネルギ化が可能となる。
【0037】
本実施形態の回転機構11では、回転体21と連結される動力伝達部26の出力軸26aの下部に第一のプーリ26bが取り付けられている。また、電動モータ25の出力軸25aに第二のプーリ26cが取り付けられている。そして、これらプーリ26b,26cにベルト26dが掛けられており、前記出力軸26aを支持するハウジング26eの水平方向の隣りに電動モータ25が配置されている。この配置により、回転機構11の高さを抑えることができ、製造装置10の小型化に貢献している。
【0038】
以上のとおり開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。つまり、本発明の製造装置は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。例えば、回転機構11は、図示した構成以外であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
10:製造装置 11:回転機構 12:かしめ機構
13:推力発生機構 21:回転体 27:パンチ
28:固定スピンドル 29:軸受部 32:電動モータ
33:直動アクチュエータ 50:ハブユニット(軸受ユニット)
51:外輪 52:玉(転動体) 53:内軸
54:軸本体 55:端部 56:内輪部材
58:かしめ部 C0:内軸の中心軸 C1:軸本体の中心軸
C2:中心軸 K1:加工エリア S1:領域