特許第6974973号(P6974973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974973
(24)【登録日】2021年11月9日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】光走査型測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/02 20060101AFI20211118BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20211118BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20211118BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   G01B11/02 Z
   G02B26/10 104Z
   G02B26/08 E
   G01B11/00 A
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-145255(P2017-145255)
(22)【出願日】2017年7月27日
(65)【公開番号】特開2019-27850(P2019-27850A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 成己
(72)【発明者】
【氏名】若林 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】安藤 慶吾
(72)【発明者】
【氏名】新井 克美
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−160033(JP,A)
【文献】 特開昭49−115569(JP,A)
【文献】 特開2009−210808(JP,A)
【文献】 特開2015−159410(JP,A)
【文献】 特開2006−084255(JP,A)
【文献】 特開平02−031102(JP,A)
【文献】 特開2014−197185(JP,A)
【文献】 特開平09−210638(JP,A)
【文献】 特開2015−190869(JP,A)
【文献】 特開2003−075141(JP,A)
【文献】 特開2011−244243(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0211982(US,A1)
【文献】 特開2000−338262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/02
G02B 26/10
G02B 26/08
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光走査手段と、
走査光を平行光に変換する第1の光学系と、
一定間隔の遮光部が形成されたマスク部材と、
該マスク部材を通過した前記平行光を集光させる第2の光学系と、
該第2の光学系で集光された光を検出する光検出手段と、を備え、
該光検出手段が検出する光パルス数を用いて、前記第1と第2の光学系の間にある被測定物の測定を行い、
前記マスク部材の遮光部は、光走査の中央から端部に行くに従って幅が狭くなることを特徴とする光走査型測定装置。
【請求項2】
光走査手段と、
走査光を平行光に変換する第1の光学系と、
一定間隔の遮光部が形成されたマスク部材と、
該マスク部材を通過した前記平行光を集光させる第2の光学系と、
該第2の光学系で集光された光を検出する光検出手段と、を備え、
該光検出手段が検出する光パルス数を用いて、前記第1と第2の光学系の間にある被測定物の測定を行い、
前記マスク部材の透過部は、光走査方向に沿って光学濃度が変化することを特徴とする光走査型測定装置。
【請求項3】
光走査手段と、
走査光を平行光に変換する第1の光学系と、
一定間隔の遮光部が形成されたマスク部材と、
該マスク部材を通過した前記平行光を集光させる第2の光学系と、
該第2の光学系で集光された光を検出する光検出手段と、を備え、
該光検出手段が検出する光パルス数を用いて、前記第1と第2の光学系の間にある被測定物の測定を行い、
前記第2の光学系は、表面に凹凸形状が形成されたシートレンズからなり、
前記マスク部材の遮光部と前記シートレンズの凹凸形状は同ピッチで形成されていることを特徴とする光走査型測定装置。
【請求項4】
前記マスク部材の遮光部は、前記シートレンズの凹凸形状の凸部を遮光するように配置されていることを特徴とする請求項に記載の光走査型測定装置。
【請求項5】
光走査手段と、
走査光を平行光に変換する第1の光学系と、
一定間隔の遮光部が形成されたマスク部材と、
該マスク部材を通過した前記平行光を集光させる第2の光学系と、
該第2の光学系で集光された光を検出する光検出手段と、を備え、
該光検出手段が検出する光パルス数を用いて、前記第1と第2の光学系の間にある被測定物の測定を行い、
前記第1の光学系と前記第2の光学系の間に、折り返しミラーを有することを特徴とする光走査型測定装置。
【請求項6】
前記第1の光学系と前記第2の光学系は同一の光学系であることを特徴とする請求項に記載の光走査型測定装置。
【請求項7】
前記折り返しミラーには前記マスク部材が一体に形成され、一定間隔で反射光を生じさせない遮光部が形成されていることを特徴とする請求項またはに記載の光走査型測定装置。
【請求項8】
光走査手段と、
走査光を平行光に変換する第1の光学系と、
一定間隔の遮光部が形成されたマスク部材と、
該マスク部材を通過した前記平行光を集光させる第2の光学系と、
該第2の光学系で集光された光を検出する光検出手段と、を備え、
該光検出手段が検出する光パルス数を用いて、前記第1と第2の光学系の間にある被測定物の測定を行い、
前記第1または第2の光学系は、前記マスク部材が一体に形成されたシートレンズからなり、表面に凹凸形状と一定間隔の遮光部とが形成されていることを特徴とする光走査型測定装置。
【請求項9】
光走査手段と、
走査光を平行光に変換する第1の光学系と、
一定間隔の遮光部が形成されたマスク部材と、
該マスク部材を通過した前記平行光を集光させる第2の光学系と、
該第2の光学系で集光された光を検出する光検出手段と、を備え、
該光検出手段が検出する光パルス数を用いて、前記第1と第2の光学系の間にある被測定物の測定を行い、
前記光検出手段の上に配置された二等辺三角形形状の導光体を有し、
前記光検出手段は、前記第2の光学系に対して前記第2の光学系の焦点位置から離れた位置に配置されていることを特徴とする光走査型測定装置。
【請求項10】
前記光走査手段は共振周波数近傍で駆動された振動素子であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の光走査型測定装置。
【請求項11】
前記第1と第2の光学系の間を通過する被測定物を連続的に測定することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光走査型測定装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の光走査型測定装置を有することを特徴とする画像読み取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査によって物体の形状寸法、及び、通過位置を検出する光走査型測定装置、並びに、それを用いた画像読み取り装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学的な物体の測定装置として、ポリゴンミラーなどを用いて一定速度の光走査を行い、その走査域に被測定物を配置して走査光が遮られる時間から寸法を測定するものがある(特許文献1参照)。このような装置では、放射状の走査光をコリメータレンズで平行光にして被測定物に照射し、遮られずに通過した光をレンズで集光して光検出器で検出する。
【0003】
一方、スキャナなどの画像読み取り装置において、読み取った画像の枠の検知や斜行補正を正確に行うために紙葉類の形状寸法と読み取り時の斜行量の情報が必要であり、搬送中の紙葉類の幅と、紙葉類端部の画像読み取りセンサに対する通過位置の変化を精密に測定する要求がある。近年の画像読み取り装置の高速化、高機能化のために、搬送される紙葉類を光走査で検出するには高速走査が求められ、また、紙葉類のサイズは名刺や写真からA3用紙まで対応できるように幅広い走査域と、サイズの小さい紙葉類でも正確に斜行量が測定できる高い分解能が必要となる。
【0004】
高速走査を可能にするものとして、ミラー部を捻り梁で支持した振動素子がある。振動素子はミラー部の慣性モーメントと捻り梁のばね定数で決まる共振周波数を持ち、この共振周波数で駆動することで高速走査と大きな走査角を得ることが可能である
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06-003116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[小型化]
しかしながら、特許文献1の測定装置を画像読み取り装置に用いた場合、測定範囲が幅広いために装置が大型化し、また、光学系に用いられるレンズなどの光学部品も長尺の高価なものが必要になるという課題がある。
【0007】
[等速性]
また、等角速度回転するポリゴンミラーを用いたとしても、装置の小型化、低背化のために走査中心から測定位置までの投射距離を短くして画角を大きくした場合には、fθレンズ等で測定位置のビームスポットの移動速度を一定にする、即ち、等速性を確保するのが難しくなるという課題が生じる。
【0008】
この非等速性の課題は、高速走査のために振動素子を共振周波数で駆動する場合に特に顕著となる。振動素子の走査角は時間に対して正弦波状に変化し、非測定物への照射においてビームスポットの移動速度は大きく変化するため、計測された遮光時間からの寸法算出の計算が複雑になり、誤差も大きくなる。非等速性の影響は、振動ミラーの全走査範囲に対して検出に用いる走査範囲の割合が大きい場合に顕著であり、測定装置の小型化のために投射距離を短くし、且つ、幅広い領域の走査を行おうとしたときに、特に大きな課題となる。アークサインレンズなどを追加すれば等速性を得ることは可能であるが、装置が大きくなると共に、高価な長尺のレンズ数が増加することになり、好ましくない。
【0009】
このような状況を鑑みてなされた本発明の目的は、共振周波数で駆動される振動ミラーを用い、高速で搬送される物体の形状寸法、及び、通過位置の高精度な測定が可能であり、且つ、小型化が可能な光走査型測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明の光走査型測定装置は、光走査手段と、走査光を平行光に変換する第1の光学系と、一定間隔の遮光部が形成されたマスク部材と、該マスク部材を通過した前記平行光を集光させる第2の光学系と、該第2の光学系で集光された光を検出する光検出手段と、を備え、該光検出手段が検出する光パルス数を用いて、前記第1と第2の光学系の間にある被測定物の測定を行い、前記マスク部材の遮光部は、光走査の中央から端部に行くに従って幅が狭くなることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するための本発明の光走査型測定装置の他の態様として、光走査手段と、走査光を平行光に変換する第1の光学系と、一定間隔の遮光部が形成されたマスク部材と、該マスク部材を通過した前記平行光を集光させる第2の光学系と、該第2の光学系で集光された光を検出する光検出手段と、を備え、該光検出手段が検出する光パルス数を用いて、前記第1と第2の光学系の間にある被測定物の測定を行い、前記マスク部材の透過部は、光走査方向に沿って光学濃度が変化することを特徴とする また、上記課題を解決するための本発明の光走査型測定装置の他の態様として、光走査手段と、走査光を平行光に変換する第1の光学系と、一定間隔の遮光部が形成されたマスク部材と、該マスク部材を通過した前記平行光を集光させる第2の光学系と、該第2の光学系で集光された光を検出する光検出手段と、を備え、該光検出手段が検出する光パルス数を用いて、前記第1と第2の光学系の間にある被測定物の測定を行い、前記第2の光学系は、表面に凹凸形状が形成されたシートレンズからなり、前記マスク部材の遮光部と前記シートレンズの凹凸形状は同ピッチで形成されていることを特徴とする。
また、上記課題を解決するための本発明の光走査型測定装置の他の態様として、光走査手段と、走査光を平行光に変換する第1の光学系と、一定間隔の遮光部が形成されたマスク部材と、該マスク部材を通過した前記平行光を集光させる第2の光学系と、該第2の光学系で集光された光を検出する光検出手段と、を備え、該光検出手段が検出する光パルス数を用いて、前記第1と第2の光学系の間にある被測定物の測定を行い、前記第1の光学系と前記第2の光学系の間に、折り返しミラーを有することを特徴とする。
また、上記課題を解決するための本発明の光走査型測定装置の他の態様として、光走査手段と、走査光を平行光に変換する第1の光学系と、一定間隔の遮光部が形成されたマスク部材と、該マスク部材を通過した前記平行光を集光させる第2の光学系と、該第2の光学系で集光された光を検出する光検出手段と、を備え、該光検出手段が検出する光パルス数を用いて、前記第1と第2の光学系の間にある被測定物の測定を行い、前記第1または第2の光学系は、前記マスク部材が一体に形成されたシートレンズからなり、表面に凹凸形状と一定間隔の遮光部とが形成されていることを特徴とする。
また、上記課題を解決するための本発明の光走査型測定装置の他の態様として、光走査手段と、走査光を平行光に変換する第1の光学系と、一定間隔の遮光部が形成されたマスク部材と、該マスク部材を通過した前記平行光を集光させる第2の光学系と、該第2の光学系で集光された光を検出する光検出手段と、を備え、該光検出手段が検出する光パルス数を用いて、前記第1と第2の光学系の間にある被測定物の測定を行い、前記光検出手段の上に配置された二等辺三角形形状の導光体を有し、前記光検出手段は、前記第2の光学系に対して前記第2の光学系の焦点位置から離れた位置に配置されていることを特徴とする。


【発明の効果】
【0012】
本発明の光走査型測定装置に依れば、一定の間隔で遮光部が形成されたマスク部材を用いているため、光走査に伴うビームスポットの移動に対して、一定の距離を移動する毎に光パルスが検出される。このため、パルス数をカウントすることでビームスポットの移動速度に依らずに物体の寸法及び位置測定が可能であり、共振周波数で駆動される振動ミラーを用いて高速、且つ、高精度な測定が可能となる。また、平行光を集光する光学系にフレネルレンズ等のシートレンズを用い、それの表面凹凸形状と同ピッチで凸部に入射する光を遮るようにマスク部材の遮光部を配置することで、光のケラレによるシートレンズの中央部と周辺部との透過光量の差を低減して、安定した光検出ができる。これにより、光学系を小型化し、且つ、信頼性の高い測定が可能となる。また、シートレンズ上に一定間隔の遮光部を形成することでマスク部材と集光光学系を一体にすることができ、高価な長尺の光学部品の部品点数を削減できると共に装置の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態を示す平面図である。
図2】本発明の実施形態を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態を示す平面図である。
図4】本発明の実施形態による検出信号の例を示すグラフ図である。
図5】振動素子の等速性を説明するグラフ図である。
図6】本発明の実施形態を示す平面図である。
図7】本発明の実施形態による検出信号の例を示すグラフ図である。
図8】本発明の実施形態を示す平面図である。
図9】本発明の実施形態を示す平面図である。
図10】本発明の実施形態を示す平面図である。
図11】本発明の実施形態を示す平面図である。
図12】本発明の実施形態を示す平面図である。
図13】本発明の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
[装置構成]
図1に本発明の実施形態である光走査型測定装置1を示す。この光走査型測定装置1において、レーザ光源200から射出されたビームは射出光学系210を通過して振動素子10で走査される。走査光はシートレンズ300により平行光に変換されて、カバー部材230を通して被測定物900に照射される。カバー部材230を通して形成された走査線は被測定物900により一部が遮られ、通過した走査光はマスク部材400によりパルス化されてシートレンズ301により収束光に変換され、導光体510を通してフォトセンサ500で検出される。マスク部材400の遮光部は、シートレンズ301の表面凹凸形状と同一のピッチで配置され、且つ、シートレンズ301の凸部に入射するビームを遮る位置に配置されている。フォトセンサ500はシートレンズ301の焦点位置よりも離れた位置に配置されている。測定に利用される範囲の走査角θeffよりも広い走査角の位置にはビームディテクタ(BD)220、221が配置されている。
【0016】
図2に光走査型測定装置1に用いられる信号処理手段を示す。光パルスを検出したフォトセンサの検出信号は、増幅されて2値化処理が施され、パルス数がカウンタで計測される。カウンタにはBDの検出信号に基づいてリセット、トリガが掛けられ、計測されたカウントは位置情報に変換されて物体端位置データとして出力される。また、2つのBDの検出信号は、信号処理回路により2つのBD間の走査時間計測用2値化信号に変換され、それのパルス幅により走査時間が計測される。計測された走査時間から振動素子の振動振幅が計算され、駆動制御回路により振動振幅の測定値と目標値の差異に基づいて振動素子の駆動信号が生成されて、最大走査角θmaxが一定に制御される。
【0017】
[材料など]
本実施形態の光走査型測定装置の光走査手段には振動素子を用いており、光走査手段の小型化、及び、光走査の高速化のためにはこれが好ましいが、ポリゴンミラーなどの回転鏡を用いることも可能である。レーザ光源にはレーザダイオードが用いられ、ビーム波長としては可視光の他、赤外光を用いても良い。シートレンズにはフレネルレンズや回折レンズを用いることができ、アクリル樹脂等に型により表面凹凸形状を形成して作製される。限定されるものではないが、作製の容易性とコストの観点からシートレンズはシリンドリカルレンズであるのが好ましい。マスク部材はガラスやアクリル、PET等の透明樹脂基板に蒸着などにより一定間隔の遮光部を形成したものの他、金属板に開口部を形成したものなどであっても良い。高分解能を要求される用途でマスクの遮光部ピッチが細かい場合には、シートレンズの凹凸形状との精密な位置合せが必要となり、環境変化による位置ずれを防止するため、シートレンズとマスク部材の基板は同じ材料か熱膨張係数の近い材料を用いるのが好ましい。導光体には二等辺三角形に成形されたガラスや透明樹脂が用いられ、入射光が内部で全反射してフォトセンサに入射するように、収束光の集光角と用いる材料の屈折率に応じて適切な角度に設計されたものが用いられる。
【0018】
[振動素子]
図3に光走査型測定装置1に用いられる振動素子10を示す。ミラー部100は捻り梁110、111により回転振動可能に支持されたミラー部ベース120の上に配置される。捻り梁はフレーム130に保持され、ミラー部ベース120と捻り梁110、111、フレーム130は一体に成形されている。ミラー部の背面には磁石140が配置され、駆動信号に基づいてコイル160の巻回されたヨーク150により発生する磁界の作用によりミラー部に回転振動が励起される。
【0019】
捻り梁にはシリコンの他、金属や樹脂などの材料を用いることができ、半導体プロセスによるシリコンウエハの加工の他、プレス加工や射出成形等で形成される。金属材料を用いる場合には、材料特性の非線形性や振動減衰率が小さく疲労限界の高い時効硬化型のCo−Ni基合金などが好適に用いられる。捻り梁とフレームは一体に成形されるのが好ましいが、これに限定されるものではなく、別部材で支持する構成としても良い。ミラー部は平坦性と反射率が確保できるものであれば良く、シリコンウエハの他、ミラー部ベースに金属反射膜を成膜したものであっても良い。磁石は小型で磁力の大きいものが好ましく、ネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石などが好適に用いられる。
【0020】
振動素子の構成はミラー部の磁石に磁界を作用させるものの他、ミラー部にコイルパターンを形成して外部に磁石を配置するものであっても良い。また、電磁駆動に限定されるものではなく、圧電駆動や静電駆動方式の振動素子であっても良い。
【0021】
[動作原理]
図4(a)にフォトセンサ500の光検出信号の一例を示す。横軸は時間、縦軸は光検出信号の大きさを示し、一方の走査端から他方へ走査したときの検出信号である。走査光は一定間隔に遮光部の形成されたマスクによりパルス化されるため、ビームスポットが所定の距離移動する毎に光検出信号にパルス状の波形が現れる(図中Aの区間)。被測定物により走査光が遮光されている間はパルス状の波形は現れなくなり(図中Bの区間)、スポットが物体の端部を通過して再びビームが検出されるとビームスポット移動量に応じたパルス波形が観測される(図中Cの区間)。図4(b)は光検出信号を2値化した信号であり、Aの区間のパルス数は一方の走査端から被測定物の一方の端部までの距離に比例し、その距離はマスク部材の遮光部の形成ピッチにパルス数を乗算したものとなる。また、Cの区間も同様にパルス数が被測定物の他方の端部から他方の走査端までの距離に対応する。被測定物が存在しない状態で検出されていたパルスのうち、被測定物の存在で現れなくなったBの区間のパルス数は、被測定物の走査方向の幅に対応する。また、 被測定物が一定速度で走査方向と直交する方向に搬送されていれば、これを連続的に走査してパルス計測することで、被測定物の2次元的な形状測定、及び、搬送時の斜行などの姿勢検知が可能となる。光パルス数の計測は、図4(a)の信号に閾値を設定して2値化する他、図4(b)の光検出信号の微分波形を得て閾値を設定し、光検出信号の立ち上がり、または、立ち下りを検出する方法で行っても良い。
【0022】
図5に振動素子の走査によるビームスポット移動速度の変化率を示す。横軸は走査角であり、縦軸は走査中央位置の移動速度を基準にした移動速度の変化率である。図5のグラフ1から5は夫々、走査角の最大値θmaxが35、40、45、50、55度のときのものであり、移動速度がゼロになって横軸と交わる角度θがそれらに相当する。走査角の最大値θmaxに対して測定に使用される角度範囲θeffが小さい場合を除いて、共振を利用して駆動される振動素子の等速性は良くない。例えばグラフ4の走査角の最大値θmaxが50度のときを考えると、50度のうち45度を測定に使用する角度θeffとした場合、スポットの移動速度は中央から走査端への移動に伴って、一度+8%程度まで増加して減少に転じ、測定範囲の端部では−12%程度まで減少する。即ち、測定中に20%程度の速度変化が生じる。このような速度変化の影響は、図4の光検出信号のパルス周期変化に現れる。本発明では、パルス数の計測による測定を行うため、この周期変化の影響を受けずに、高精度な測定が可能となる。
【0023】
測定装置を低背化して小型化する場合には、測定に使用する走査角θeffを大きくする必要があるが、素子の耐久性に係わる振動素子への負荷を考えると、走査角の最大値θmaxはできるだけ小さく抑えるのが好ましい。このため、走査角の最大値θmaxのうち測定に使用する走査角θeffをできるだけ大きくするのが好ましいが、これはさらにスポット移動速度の等速性の低下を招く。例えばグラフ4の走査角の最大値θmaxが50度のうち49度を測定に使用する角度θeffとした場合、測定範囲端部での速度は−50%まで低下する。このように小型化を行った場合にも、パルス数の計測による測定を行えば非等速性の影響を受けない。また、パルス数の計測のみで複雑な信号処理やデータ演算は不要であるため、共振駆動される振動素子の高速走査を利用して、物体の高速測定が可能となる。本発明により、小型で高速搬送時の高精度測定が可能な光走査型測定装置を実現できる。
【0024】
また、等角速度回転するポリゴンミラーを用いた場合でも、装置の小型化、低背化のために走査中心から測定位置までの投射距離を短くして画角を大きくした場合には、fθレンズ等で等速性を確保するのが難しくなり、本発明のパルス数計測による測定は有効である。
【0025】
図6に走査中央付近、及び、端部付近のマスク部材、及び、集光光学系であるシートレンズの拡大図を示す。図6(a)の走査中央付近では、マスク部材が無い場合、走査光である平行光は全てフォトセンサの方向に曲げられて検出される。図6(b)の走査端部付近では、マスク部材が無い場合、シートレンズの表面凹凸形状の起伏が大きいために光のケラレが生じ(図中の点線で示す光線)、フォトセンサで検出される光量は減少する。図7は、マスクがある場合の光検出信号に対して、マスク部材が無い場合の光検出信号を曲線Tで示したものである。シートレンズ中央部からのビーム光量に対して、端部付近からのビーム光量はケラレのために減少する。これに対して、シートレンズの凸部に入射する光を遮るようにマスク部材の遮光部を配置すると、シートレンズ中央付近の図6(a)では点線で示す光線が遮られ、シートレンズ端部付近の図6(b)では点線で示したケラレが生じる光線が遮られる。その結果、フォトセンサで検出される光量の中央付近と端部付近での差異は減少する。この場合、光パルスの光検出信号の大きさは、図7に示すように、マスク部材の遮光部のピッチに対する遮光部の割合に応じて信号レベルMで頭打ちになり、検出光量の差が抑えられる。例えば、シートレンズ端部付近でケラレにより入射光の80%が減少するとすれば、マスク部材の遮光部のピッチに対する遮光部の割合を80%にすることにより、走査範囲全域からのビームが均一な光量となる。マスク部材の遮光部を適切に形成することにより、光検出信号の2値化の閾値設定や、立ち上がり/立ち下り検出の閾値設定などが容易になり、安定した測定が可能になる。シートレンズとマスク部材を用いた本発明により、装置の小型化、低コスト化に有利なシートレンズを有効に利用することができる。
【0026】
図12に光検出部の構成を示す。平行光を収束光に変換するシートレンズの焦点位置Pよりも離れた位置にフォトセンサが配置され、その光検出面上に二等辺三角形形状の導光体が配置されている。シートレンズの収差によりビームの方向が焦点位置から外れた場合(図12中のL1、及び、L2)であっても、導光体で集光されて検出される。二等辺三角形の角度は、導光体材料の屈折率に応じて、走査端部からのビームの入射角に対して導光体内部で全反射が起こるように設定される。装置の小型化のためにはシートレンズに焦点距離の短いものを用いるのが有利であるが、焦点距離が短くなるほど周辺部の収差は大きくなり、集光した光を検出するフォトセンサに受光面積の大きいものを用いる必要が生じる。しかし、受光面積の大きいフォトセンサは電気容量が大きく応答速度が遅いために高速走査での測定に対応できない。フォトセンサの受光面上に二等辺三角形形状の導光体を配置することで小型化と高速測定の両立が可能になる。
【0027】
[他の実施形態]
図8に、マスク部材の遮光部幅に対してシートレンズの溝が細かい場合の実施形態を示す。図8(a)はシートレンズ中央付近、図8(b)は端部付近の拡大図である。図1の光走査型測定装置1において、マスク部材の遮光部はシートレンズの表面凹凸形状と同一ピッチの構成としたが、これに限定されるものではなく、図8のような構成であっても良い。図8の構成において、図8(a)のシートレンズ中央付近の凹凸形状の起伏が小さくケラレが少ない領域ではマスク部材の遮光部ピッチに対する遮光部の割合を大きくし、図8(b)のシートレンズ端部付近の凹凸形状の起伏が大きくケラレが多い領域ではマスク部材の遮光部ピッチに対する遮光部の割合を小さく設定している。即ち、シートレンズの中央から端部に行くに従って、マスク部材の遮光部の割合が減少するように遮光部が形成されている。これにより、走査範囲全域からのビームが均一な光量となり、安定した測定が可能となる。また、図8(e)のように遮光部の幅は一定にして透過部の光学濃度を変えたものであっても良い。図8(c)のシートレンズ中央付近のケラレが少ない領域では透過部の光学濃度を高くし、図8(d)のシートレンズ端部付近のケラレが多い領域では光学濃度を低く設定する。これによっても、走査範囲全域からのビームが均一な光量となり、安定した測定が可能となる。ここで、一定の遮光部幅を持つマスク部材と走査中央部から端部に向かって光学濃度を減少させた光学フィルタを別部材で構成しても同様に良い。
【0028】
図9に本発明の他の実施形態である光走査型測定装置2を示す。マスク部材410の背面に折り返しミラー250を配置し、走査光を平行光に変換するレンズと平行光を収束光に変換するレンズを共通化したものである。往復の光路を切り分けるためにレンズ部材240を配置し、光路差により搬送方向の測定分解能の低下を防ぐために被測定物900をマスク部材側に寄せて検出する。この構成に依れば測定装置の低背化が可能であり、被測定物を挟んで一方の側の配置スペースが確保できない場合などに有効である。図9の構成において、マスク部材に反射部を形成して、マスク部材と折り返しミラーを一体化しても良い。この場合、マスク部材の透過部の領域に平行光を折り返す反射部を形成し、遮光部の領域は透過部、または、光吸収部として置き換える。反射部にはマスク部材の基材にAu、Ag、Alなどの金属膜が形成される。
【0029】
図10に本発明の他の実施形態である光走査型測定装置3を示す。シートレンズ302にマスク機能を付加することでマスク部材を無くした以外は図1の構成と同様である。シートレンズ302は通常のシートレンズにおける表面凹凸形状の凸部を平坦面とし、転写等により平坦部に遮光材を塗布してある。凸部の光透過を妨げるものであればこの構成に限られず、平坦面を粗面にするなどしても良い。シートレンズとマスク部材が別部品である場合、特にシートレンズ凸部に入射する光を遮るようにマスク部材の遮光部の位置合せが必要な場合、調整に手間が掛かり、また、シートレンズとマスク部材の材質が異なり熱膨張係数が異なる場合には環境変化により位置ずれが生じることがある。本実施形態のシートレンズとマスク部材を一体化した構成であれば、環境変化に依らずに安定した測定が可能となる。
【0030】
図11に本発明の他の実施形態である光走査型測定装置4を示す。走査光を平行光に変換する光学系に曲面ミラーを用いたものであり、走査光学系はこのような構成であっても良い。検出光学系は図1と同様である。曲面ミラーは、樹脂モールドに反射膜を成膜したものの他、研磨処理を施した鏡面金属板や反射膜を形成したガラス薄板を用いて弾性変形状態で曲面に保持するなどの構成であっても良い。ガラス板は鏡面を形成しやすく、また、厚さ数十μmのガラスリボンで溶融処理により端面にR形状を形成したものを用いれば曲面に変形保持しても破損することは無く、より安価に走査光学系を構成できる。
【0031】
(実施例)
図13(a)に本発明の実施例である画像読み取り装置5を示す。本実施例では、上述した光走査型測定装置をラインセンサ状に並べて配置し、画像読み取り装置の低背化を図っている。光走査型測定装置は、図13(b)のように光走査方向に並べて配置しても良いし、図13(c)のように搬送方向にずらして配置しても同様に良い。図13(c)の配置に依れば、ラインセンサ状に複数の光走査型測定装置を配置した場合であっても、測定装置間の繋ぎ目に検出できない領域ができることは無く、搬送路全幅で測定が可能になる。並べて配置された光走査型測定装置の光走査は同期して行われ、同じ時間間隔で搬送される紙葉類の測定がなされる。
【0032】
画像読み取り装置5において、紙葉類910は搬送ローラの回転により搬送路820を高速搬送され、光走査型測定装置により通過中の紙葉類の幅と搬送路の横幅に対する紙葉類両端部の通過位置とが連続的に測定されて、紙葉類の2次元的な形状寸法と、搬送時の姿勢、即ち、斜行量が検出される。光走査型測定装置を通過した紙葉類は画像読み取りセンサ800、801により両面の画像が取り込まれる。画像の読み取りが完了した紙葉類は搬送ローラにより搬送されて画像読み取り装置上部に排出される。取り込まれた画像は、光走査型測定装置の形状、寸法測定結果に基づいて紙葉類以外の背景が写った部分が切り取られ、斜行量の検出結果に基づいて斜行補正がなされて記憶媒体等に保存される。
【0033】
本実施例の画像読み取り装置は、本発明の光走査型測定装置を用いているため、高速で高精度な寸法測定が可能であり、紙葉類を高速で搬送した際にも正確な画像切り取り、斜行補正ができる。本発明により、読み取り速度、及び、読み取り性能に優れた画像読み取り装置が実現できる。
【符号の説明】
【0034】
1、2、3、4 光走査型測定装置
5 画像読み取り装置
10 振動素子
100 ミラー部
110、111 捻り梁
120 ミラー部ベース
130 フレーム
140 磁石
150 ヨーク
160 コイル
200 レーザ光源
210 射出光学系
220、221 ビームディテクタ
230 カバー部材
240 レンズ部材
250 折り返しミラー
270 曲面ミラー
300、301、302 シートレンズ
400、401、402 マスク部材
500 フォトセンサ
510 導光体
700 信号処理手段
800、801 画像読み取りセンサ
810 搬送ローラ
820 搬送路
900 被測定物
910 紙葉類
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13