(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に挙げる各実施形態はそれぞれ例示であり、本発明は以下の各実施形態の構成に限定されない。
【0014】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係る顔の肌状態の評価方法(以降、評価方法と略称する)を示すフローチャートである。第一実施形態における評価方法は、例えば、後述する肌状態評価装置のようなコンピュータにより実行される。
第一実施形態に係る評価方法は、取得工程(S11)と評価工程(S13)とを含む。
【0015】
取得工程(S11)は、被験者の顔面皮膚の血流情報を取得する工程である。
ここでの「血流情報」とは、顔の見た目の赤さといった単純な外見情報ではなく、顔面の皮膚組織内の体液(主に血液)の流れ(流速又は流量)に関連する情報である。例えば、「血流情報」は、レーザ光又は超音波を顔面皮膚に照射又は送波して得られる反射光又は反射波のドップラー効果に基づいて測定される情報である。
【0016】
血流情報は、一以上の血流指標に関する一以上の血流指標値を含んでもよい。
ここでの「血流指標」とは、顔面の皮膚組織内の体液(主に血液)の流れ(流速又は流量)に関して指標となり得る情報であればよく、例えば、血流量、血流速度、Skew(血流波形の偏り)、BOS(血流の定常流指標)、Rising rate(血流量の上昇速度)、FAI(血流加速度)、ATI(血流量のピーク位置)、などであり、血流量、血流速度が計測アルゴリズムの簡便さや精度の点で好ましい。具体的には、血流指標は、MBR(Mean Blur Rate)、並びにMBRを用いて算出される、Falling rate、CVR(Cutaneous Vascular Resistance)、RI(Resistivity Index)、Fluctuation、及びBOT(Blowout Time)の中のいずれか一つを含んでもよい。
【0017】
本明細書において「MBR」とは、血流量又は血流速度の指標であり、厳密には、レーザ光を皮膚に照射しその反射光を撮像して得られた光強度画像のスペックルの時間的空間的変動量によって示される指標である(上記特許文献1参照)。また、MBRは、相対血流量(RFV(Relative Flow Volume))を血管径で除算して得られる血流指標ともいえる。上記特許文献1によれば、平均MBR値がストレンゲージ容積脈波法を用いて測定された血流量と極めて高い正の相関があることが認められている。
「MBR」は、血流量及び血流速度の双方に関係するが、本明細書では、血流量及び血流速度と区別して用いる。但し、「MBR」は血流量又は血流速度と同意で用いられてもよい。
「血流量」は、例えば、相対血流量であり、また、上記特許文献1で記載される一次回帰式に平均MBR値を適用して得られる血流量である。
「血流速度」は、血流量を血管断面積で除算して得られる情報である。
【0018】
図2は、MBR時間波形の例を示す図である。
「Falling rate」は、一心拍あたりのMBR値の時間波形における最大MBR値からの下降速度の時間変動を示す指標である。
図2に示される(Sall)及び(S2)を用いて、Falling rateは次の式で表すことができる。以下の「C」は比例定数である。
(Falling rate)=C・(S2)/(Sall)
「CVR」は、皮膚血管抵抗を示す指標であり、CVR値は平均血圧値をMBR値で除算して得ることができる。
「RI」は、末梢血管抵抗を示す指標であり、RI値は最大MBR値(
図2のMBRmax)と最小MBR値(
図2のMBRmin)との差を最大MBR値で除算して得られる。
「Fluctuation」は、MBRの変動係数を示す指標であり、以下の式で表される。
【数1】
「BOT」は、高いMBR値の持続性を示す指標であり、BOT値は、
図2に示されるMBR値の半値幅(時間)(W)及び一心拍幅(時間)(F)、並びに比例定数「C」を用いて次の式で表される。
(BOT)=C・(W)/(F)
これら血流指標は、「MBR」を「血流量」又は「血流速度」に置き換えて得られる情報であってもよいし、血流の指標となり得る他の情報であってもよい。
【0019】
また、取得工程(S11)で取得される血流情報は、上述のような血流指標値を導出し得る又は血流指標値を用いて生成された画像であってもよい。例えば、血流情報は、被験者の顔面皮膚にレーザ光を照射し反射光を撮像して得られる光強度画像(スペックル画像)であってもよいし、
図3に示されるような、光強度画像の画素ごとに求められるMBR値を用いて生成されるMBR画像(血流マップ)であってもよいし、血流マップを心拍で正規化した心拍マップでもよい。
図3は、MBR画像の例を示す図である。
【0020】
評価工程(S13)は、取得工程(S11)で取得された血流情報に基づいて被験者の顔の肌状態を評価する工程である。
本発明者らは、顔面の皮膚組織内の血液の流れ(血流)に着目し、実施例の項で述べるように、その血流の状態が顔の肌状態と高い相関を有することを見出した。そして、本発明者らにより、被験者の顔面皮膚の血流情報を用いることで、被験者の顔の肌状態を評価可能であることが実証された。
【0021】
例えば、取得工程(S11)で或る血流指標の血流指標値が取得された場合には、評価工程(S13)では、その血流指標と肌状態指標との相関性に基づいて、その血流指標値から被験者の顔の肌指標値を算出することができる。
ここで「肌状態指標」とは、肌状態に関して指標となり得る情報であればよい。上述のような血流指標と高い相関性を示す肌状態指標としては、肌の粘弾性、水分蒸散量、角層水分量、肌色(a
*、b
*)、及び角層細胞面積などがあることが本発明者らにより確認されている。このため、評価工程(S13)では、被験者の顔の肌に関して、肌の粘弾性、水分蒸散量、角層水分量、肌色、及び角層細胞面積のいずれか一つ以上を示す一種以上の肌指標値を算出することができる。
【0022】
従って、肌の粘弾性、水分蒸散量など肌状態の指標値を得るには、本来、専用の測定装置を用いて測定する必要があるところ、本実施形態によれば、そのような測定をすることなく、血流情報から肌指標値を算出することができる。そして、この肌指標値を用いることで、容易に顔の肌状態を評価することができる。
また、肌状態を測定する装置は、プローブなどを肌に当接させて測定する装置が一般的であるところ、本実施形態においては、非接触式の血流計を用いることで、非接触で被験者の肌指標値を得ることができる。このため、被験者にとっては、化粧落ちや衛生面を気にする必要がないため、気軽に本実施形態の評価方法を利用することができる。
【0023】
評価工程(S13)での肌状態の評価の主体は、コンピュータであってもよいし、人であってもよい。例えば、後述する肌状態評価装置10のようなコンピュータが上述したように肌指標値を算出する。その肌指標値の出力を確認することで、被験者又は評価者が被験者の肌状態を評価することができる。この場合、被験者の肌指標値と共に、評価の基準となる肌指標値の範囲又は閾値を出力することで、被験者又は評価者にそれらを比較させてもよい。基準となる範囲又は閾値は予め印刷媒体などに出力されていてもよい。例えば、年齢層ごとの平均的な肌指標値の範囲を予め出力しておき、その範囲と被験者の肌指標値とを比較することにより、被験者の肌状態を肌年齢として評価したり、良し悪しとして評価することができる。
但し、肌状態の具体的な評価の仕方はこのような例に限定されない。
【0024】
また、評価工程(S13)での評価に実際に用いる血流情報は、取得工程(S11)で取得された血流情報と同一でなくてもよい。例えば、取得工程(S11)でMBR値が血流情報として取得された場合、そのMBR値から他の血流指標(Falling rate、CVRなど)の値が算出され、評価工程(S13)では、この算出された血流指標値を用いて評価が行われてもよい。また、取得工程(S11)で血流マップが血流情報として取得された場合、その血流マップの各画素からMBR値が取得され、評価工程(S13)では、そのMBR値又はそのMBR値から算出される血流指標値を用いて評価が行われてもよい。
【0025】
[第二実施形態]
以下、第二実施形態に係る顔の肌状態の評価方法(以降、評価方法と略称する)について、第一実施形態と異なる内容を中心に説明する。以下の説明では、第一実施形態と同様の内容については適宜省略する。
図4は、第二実施形態に係る評価方法を示すフローチャートである。第二実施形態に係る評価方法は、例えば、後述する肌状態評価装置のようなコンピュータにより実行される。
【0026】
第二実施形態に係る評価方法は、工程(S31)、工程(S33)、工程(S35)、及び工程(S37)を含む。
工程(S31)は、被験者の顔面皮膚にレーザ光を照射し散乱光を撮像して得られる光強度画像を取得する工程である。この光強度画像は斑点模様(スペックル)を含んでおり、スペックル画像とも呼ばれる。
工程(S31)での光強度画像の取得とは、撮像素子が光強度画像を撮像することであってもよいし、撮像素子により撮像された光強度画像の画像フレームを撮像素子、撮像装置、可搬型記録媒体、又は他の機器から受信することであってもよい。スペックル画像の撮像方法については公知の手法が利用されればよい(例えば、上記特許文献1参照)。
【0027】
工程(S33)は、工程(S31)で取得された光強度画像から、被験者の顔面皮膚の一種以上の血流指標に関する血流指標値を取得する工程である。光強度画像の画像フレームから血流指標値としてのMBR値が算出可能である(上記特許文献1参照)。工程(S33)で取得される血流指標値は、MBR値であってもよいし、MBR値から算出可能な血流指標値(血流量、Falling rate、BOTなど)であってもよい。
【0028】
工程(S35)は、工程(S33)で取得された血流指標値に基づいて、被験者の顔に関する複数種の肌指標値を算出する工程である。血流指標値から肌指標値を算出する手法については第一実施形態において述べたとおりである。
工程(S33)で取得された血流指標値がMBR値である場合、MBR値と高い相関性が認められている複数種の肌状態指標に関する肌指標値が算出されればよい。また、工程(S33)において複数種の血流指標値が取得されている場合には、各血流指標と相関の高い複数種の肌状態指標に関する肌指標値が算出されてもよい。
【0029】
工程(S37)は、工程(S35)で算出された肌指標値に基づいて、被験者の顔の肌状態を評価する工程である。本実施形態においても工程(S37)での評価主体は、コンピュータであってもよいし、人であってもよい。肌指標値に基づく肌状態の評価手法については第一実施形態で述べたとおりである。
【0030】
このように、本実施形態では、被験者の顔面皮膚の光強度画像を取得することにより、被験者の顔に関する複数種の肌指標値が算出され、これら複数種の肌指標値に基づいて顔の肌状態が評価される。よって、肌状態を複数の観点で詳細に評価することができる。また、既存の手法において複数種の肌指標値を得るためには、複数種の測定器を用いて肌指標ごとにそれぞれ肌測定が必要なところ、本実施形態によれば、光強度画像の撮像により複数種の肌指標値を得ることができ、容易に詳細評価を行うことができる。
【0031】
[第三実施形態]
以下、第三実施形態に係る顔の肌状態の評価方法(以降、評価方法と略称する)について、第一実施形態及び第二実施形態と異なる内容を中心に説明する。以下の説明では、第一実施形態及び第二実施形態と同様の内容については適宜省略する。
図5は、第三実施形態に係る評価方法を示すフローチャートである。第三実施形態に係る評価方法は、例えば、後述する肌状態評価装置のようなコンピュータにより実行される。
【0032】
第三実施形態に係る評価方法は、工程(S41)、工程(S43)、工程(S45)、及び工程(S47)を含む。
工程(S41)は、被験者の顔面皮膚にレーザ光を照射し散乱光を撮像して得られる光強度画像を取得する工程であり、
図4の工程(S31)と同じである。但し、工程(S41)で取得される光強度画像には被験者の顔面皮膚の後述の複数部位が含まれていることが望ましい。このようにすれば、複数部位の血流指標値を一括で得ることができるからである。
【0033】
工程(S43)は、工程(S41)で取得された光強度画像から被験者の顔面皮膚の複数部位における或る血流指標の血流指標値を取得する工程である。
ここでの「複数部位」は、被験者の顔面皮膚のうち肌状態を評価すべき部位であり、評価内容に応じて適宜選択されればよい。例えば、テカり状態を評価する場合には、額や鼻先といった皮脂腺が多いTゾーンと呼ばれる範囲から複数部位が選択されてもよいし、乾燥状態を評価する場合には、乾燥し易いUゾーンと呼ばれる範囲から複数部位が選択されてもよい。また、加齢状態を評価する場合には、目尻や口元などの加齢変化し易い複数部位が選択されればよい。
【0034】
工程(S43)では、部位ごとに同一血流指標の血流指標値がそれぞれ取得されてもよいし、部位ごとに異なる血流指標の血流指標値が取得されてもよい。また、部位ごとに複数種の血流指標値がそれぞれ取得されてもよいし、部位ごとに一種の血流指標値がそれぞれ取得されてもよい。
なお、光強度画像から血流指標値を取得する手法については第二実施形態で述べたとおりである。
【0035】
工程(S45)は、工程(S43)で取得された複数部位の血流指標値に基づいて、被験者の顔の肌指標値を算出する工程である。
工程(S45)では、血流指標値が取得された部位ごとに肌指標値が算出されてもよいし、その部位に限定することなく顔の或る肌状態指標の肌指標値が算出されてもよい。
前者の場合、血流指標と肌状態指標との相関式が部位ごとに設けられていてもよいし、部位に依存しない相関式が設けられていてもよい。
後者の場合、複数部位の血流指標と一種の肌状態指標との相関式が設けられていてもよいし、部位ごとの血流指標値の統計値(平均値など)から肌指標値が算出されてもよい。
また、工程(S45)では、複数種の肌状態指標の肌指標値を算出することもできる。
【0036】
工程(S47)は、工程(S45)で算出された肌指標値に基づいて、被験者の顔の肌状態を評価する工程である。本実施形態においても工程(S47)での評価主体は、コンピュータであってもよいし、人であってもよい。肌指標値に基づく肌状態の評価手法については第一実施形態で述べたとおりである。
【0037】
このように本実施形態では、被験者の顔面皮膚の光強度画像を取得することにより、被験者の顔面皮膚の複数部位における血流指標値が取得され、当該複数部位の血流指標値に基づいて顔の肌指標値が算出される。そして、その肌指標値に基づいて被験者の顔の肌状態が評価される。そのため、複数部位の血流状態を考慮して顔の肌状態を高精度に評価することができる。また、複数部位の血流状態を得るのに部位ごとの測定が必ずしも必要とならないため、容易に肌状態評価を行うことができる。
【0038】
〔肌状態評価装置〕
上述の第一から第三の実施形態に係る評価方法の少なくとも一部は、次のような肌状態評価装置(以降、評価装置と略称される場合もある)により実行され得る。
図6は、肌状態評価装置10のハードウェア構成例を概念的に示す図である。
評価装置10は、いわゆるコンピュータであり、例えば、バスで相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、入出力インタフェース(I/F)13、通信ユニット14等を有する。評価装置10を形成する各ハードウェア要素の数はそれぞれ制限されず、これらハードウェア要素は情報処理回路と総称することもできる。また、評価装置10は、
図6に図示されないハードウェア要素を含んでもよく、そのハードウェア構成は制限されない。
【0039】
CPU11は、一般的なCPU以外に、特定用途向け集積回路(ASIC)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等で構成してもよい。
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。
入出力I/F13は、出力装置15、入力装置16等のユーザインタフェース装置と接続可能である。出力装置15は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイのような、CPU11等により処理された描画データに対応する画面を表示する装置、印刷装置などの少なくとも一つである。入力装置16は、キーボード、マウス等のようなユーザ操作の入力を受け付ける装置である。出力装置15及び入力装置16は一体化され、タッチパネルとして実現されてもよい。
通信ユニット14は、他のコンピュータとの通信網を介した通信や、他の機器との信号のやりとり等を行う。通信ユニット14には、可搬型記録媒体等も接続され得る。また、通信ユニット14には、上述の光強度画像を撮像するカメラ(図示せず)が接続されてもよい。
また、評価装置10はカメラを内蔵する機器であってもよい。
【0040】
図7は、肌状態評価装置10の処理構成例を概念的に示す図である。
評価装置10は、取得部21、算出部23、出力処理部25等を有する。これら処理モジュールは、ソフトウェア要素であり、例えば、メモリ12に格納されるプログラムがCPU11により実行されることにより実現される。このプログラムは、例えば、CD(Compact Disc)、メモリカード等のような可搬型記録媒体やネットワーク上の他のコンピュータから入出力I/F13又は通信ユニット14を介してインストールされ、メモリ12に格納されてもよい。
評価装置10は、取得部21、算出部23、及び出力処理部25の動作により上述の評価方法の一部又は全部を実現可能である。換言すれば、評価装置10は、インストールされたプログラムを実行することにより上述の評価方法を実行することができる。
【0041】
取得部21は、上述の工程(S11)、工程(S31)、工程(S33)、工程(S41)、又は工程(S43)を実行可能である。即ち、取得部21は、被験者の顔面皮膚の血流情報又は血流指標値を取得する。「血流情報」及び「血流指標値」の定義については上述したとおりである。
【0042】
取得部21は、可搬型記録媒体、他のコンピュータ、カメラのような機器等から通信ユニット14を経由して当該血流情報又は当該血流指標値を取得することができる。
入出力I/F13又は通信ユニット14にカメラが接続されている場合には、取得部21は、そのカメラから上述の光強度画像の画像フレームを取得することもできる。この場合、取得部21は、その光強度画像から被験者の顔面皮膚の一種以上の血流指標に関する血流指標値を取得することができる。また、取得部21は、その光強度画像から被験者の顔の複数部位に関する皮膚の血流指標値を部位ごとに取得することもできる
光強度画像から血流指標値の取得手法については、第二実施形態などで述べたとおりである。
また、取得部21は、被験者の顔に関する
図3に例示されるようなMBR画像(血流マップ)を取得し、そのMBR画像の各画素から、MBR値又はMBR値から算出される血流指標値を取得することもできる。
【0043】
算出部23は、上述の工程(S35)又は工程(S45)を実行可能である。例えば、算出部23は、血流指標と肌状態指標との相関式を保持しており、この相関式に取得部21で取得された血流指標値を適用することにより、被験者の顔の肌状態を示す肌指標値を算出する。
【0044】
取得部21により一種以上の血流指標に関する血流指標値が取得されている場合には、算出部23は、血流指標と肌状態指標との一以上の相関式に取得部21により取得された血流指標値を適用することにより、被験者の顔に関する複数種の肌指標値を算出するができる。この場合、算出部23が保持する相関式は、一種の血流指標と一種の肌状態指標との相関性に基づく複数の相関式であってもよいし、複数種の血流指標と一種の肌状態指標との相関性に基づく複数の相関式であってもよい。
【0045】
また、取得部21により複数部位の血流指標値が取得されている場合には、算出部23は、相関式に取得部21により取得された複数部位の血流指標値を適用することにより、被験者の顔の肌指標値を算出することができる。この場合、算出部23が保持する相関式は、部位ごとの相関式であってもよいし、複数部位の血流指標と一種の肌状態指標との相関性に基づく一以上の相関式であってもよい。つまり、この場合、算出部23は、被験者の顔の部位ごとに肌指標値をそれぞれ算出してもよいし、その部位に限定することなく顔の或る肌状態指標の肌指標値が算出されてもよい。部位に限定しない場合、例えば、算出部23は、部位ごとの血流指標値の統計値(平均値など)を相関式に適用することで、肌指標値を算出してもよい。また、算出部23は、複数種の肌状態指標の肌指標値を算出することもできる。
【0046】
出力処理部25は、算出部23により算出された被験者の顔の肌指標値を出力装置15に出力させる。また、出力処理部25は、当該肌指標値を可搬型記録媒体や他のコンピュータに通信ユニット14を経由して送ることもできる。
【0047】
図7には図示されていないが、評価装置10は、処理モジュールとしての評価部を更に有していてもよい。評価部は、上述の工程(S13)、工程(S37)、又は工程(S47)を実行可能である。
例えば、評価部は、評価の基準となる肌指標値の範囲又は閾値を保持しており、これと算出部23により算出された被験者の肌指標値とを比較することで、肌状態の評価情報を生成することができる。肌指標値の範囲又は閾値により肌状態の程度(良し悪しなど)が区別可能である場合には、評価部は、肌状態の程度を示す評価情報を生成することができる。また、評価部は、年齢層ごとの平均的な肌指標値の範囲を保持しておくことにより、被験者の肌年齢を示す評価情報を生成することもできる。また、評価部が生成する評価情報は、肌状態の程度が肌指標値の範囲又は閾値で区分けされて示されるグラフ上に被験者の肌指標値がプロットされた画像であってもよい。
このような評価部が設けられている場合、出力処理部25は、評価部が生成した評価情報を出力装置15に出力させればよい。
【0048】
[他の実施形態]
上述の第一から第三の実施形態に係る評価方法は、以下のように応用することができる。以下、他の実施形態としての肌美容カウンセリング方法とスキンケア手法又はスキンケア品の効果提示方法とについて上述の各実施形態と異なる内容を中心に説明し、上述の各実施形態と同様の内容については適宜省略する。
【0049】
〔肌美容カウンセリング方法〕
図8は、肌美容カウンセリング方法を示すフローチャートである。
肌美容カウンセリング方法は、
図8に示されるように、工程(S51)、工程(S53)、及び工程(S55)を含む。
図8には、第一実施形態に係る評価方法を含む場合のフローが例示されており、工程(S51)及び工程(S53)は、
図1に示される工程(S11)又は工程(S13)と同様である。但し、本方法の工程(S53)では、血流情報としての血流指標値から被験者の顔の肌指標値が算出される。
【0050】
工程(S55)は、工程(S53)で算出された被験者の顔の肌指標値に基づいて、スキンケア手法又はスキンケア品の提案情報を提示する提示工程である。
ここで「スキンケア手法」とは、肌美容の手法であり、医療行為を除くものである。スキンケア手法には、食生活や運動メニュー、お風呂上り時や就寝前にすることなど生活習慣に関する手法、美容施術方法(美容マッサージや顔面パックなど)、スキンケア品の使い方など様々な手法があり得る。
「スキンケア品」とは、スキンケアのために利用され得るあらゆる物品であり、例えば、洗顔料、化粧水、美容液などのようなスキンケア化粧料、化粧落としに利用される物品(吸収性物品など)、スキンケアのための飲食品などがあり得る。スキンケアのための飲食品には、水に溶かして摂取するサプリメントと呼ばれる栄養補助食品なども含まれる。
なお、本実施形態において提案する「スキンケア手法」及び「スキンケア品」の具体的内容は何ら制限されない。
【0051】
「提案情報」とは、肌状態を維持又は改善するために提案されるスキンケア手法若しくはスキンケア品又はそれら両方に関する情報である。この提案情報は、スキンケア手法又はスキンケア品を特定可能な情報(名称、写真、メニュー内容など)を少なくとも含むものであればよい。その提案情報は、そのような情報に加えて、原材料や使い方、効能などのそのスキンケア品に関する詳細情報又はスキンケア手法の詳細情報を更に含んでもよい。
【0052】
また、工程(S55)での提示手法についても何ら制限されない。
工程(S55)がコンピュータにより実行される場合には、当該提案情報が、表示装置に表示されてもよいし、印刷されてもよいし、音声で読み上げられてもよい。提案情報の生成手法については、肌状態評価装置10の説明中で述べることとする。
また、コンピュータが被験者の顔の肌指標値を出力し、その肌指標値に基づいて、評価者が当該提案情報を被験者に提示してもよい。この場合、例えば、肌指標値の範囲と提案すべきスキンケア品又はスキンケア手法の情報とが関連付けられた対応表が予め生成されており、評価者がその対応表と被験者の肌指標値とを見比べることで、被験者のためのスキンケア品又はスキンケア手法の提案情報を提示してもよい。
【0053】
本方法によれば、被験者の顔面皮膚の血流情報を取得することで、被験者の顔の肌状態に適合したスキンケア手法又はスキンケア品の提案情報を容易に提示することができる。
肌美容カウンセリング方法は、第二実施形態又は第三実施形態に係る評価方法を含んでもよい。いずれの場合にも、工程(S35)又は工程(S45)の後に、工程(S55)が実行されればよい。この場合、工程(S55)は、工程(S37)又は工程(S47)の前に実行されてもよいし、それらと並行に実行されてもよいし、それらの後に実行されてもよい。
【0054】
工程(S51)において、被験者の顔面皮膚の複数部位における或る血流指標の血流指標値が取得される場合、肌美容カウンセリング方法は次のように実行されてもよい。
この場合、当該複数部位は、ベースケアに対応する複数部位と、これら複数部位とは異なる局所ケアに対応する部位とを含むことが好ましい。
「ベースケア」とは、顔の肌全体に適用する基礎的なケアである。ベースケアに対応する複数部位としては、例えば、Tゾーン、Uゾーンといった比較的広い領域内の複数部位が選択される。
「局所ケア」とは、目尻や口周りなどのような局所的な特性を持つ部位専用に適用するケアである。
つまり、工程(S51)において、被験者の顔面皮膚に関してベースケアに対応する複数部位の血流指標値及び局所ケアに対応する部位の血流指標値が取得される。
【0055】
この場合、工程(S53)では、当該ベースケアに対応する複数部位の血流指標値に基づいて被験者の広域肌指標値が算出され、局所ケアに対する部位の血流指標値に基づいて被験者の局所肌指標値が算出される。このとき、ベースケアに対応する複数部位の血流指標と肌状態指標との相関性に基づく相関式及び局所ケアに対応する部位の血流指標と肌状態指標との相関性に基づく相関式が用いられればよい。
【0056】
工程(S55)では、工程(S53)で算出された広域肌指標値及び局所肌指標値に基づいて、ベースケア及び局所ケアの少なくとも一方のスキンケア手法又はスキンケア品の提案情報が提示される。このとき、広域肌指標値の範囲ごとに提案すべきベースケア用のスキンケア手法又はスキンケア品の特定情報が関連付けられた対応表と、局所肌指標値の範囲ごとに提案すべき局所ケア用のスキンケア手法又はスキンケア品の特定情報が関連付けられた対応表とを用いて提案情報が生成されてもよい。
このような肌美容カウンセリング方法によれば、部位ごとに肌状態を測定することなく、顔面皮膚の必要範囲の血流情報を得ることで、ベースケア及び局所ケアの少なくとも一方のスキンケア手法又はスキンケア品の提案情報を提示することができる。
【0057】
本方法は、上述の肌状態評価装置10により実行されてもよい。
この場合、評価装置10は、
図7に示される処理構成に加えて、提案生成部を更に有していればよい。提案生成部についても他の処理モジュールと同様に実現されればよい。
【0058】
提案生成部及び出力処理部25が上述の工程(S55)を実行可能である。即ち、提案生成部は、算出部23により算出された被験者の肌指標値に基づいて、スキンケア手法又はスキンケア品の提案情報を生成し、出力処理部25がその提案情報を出力すればよい。例えば、提案生成部は、肌指標値の範囲と提案すべきスキンケア品又はスキンケア手法の情報とが関連付けられた対応表を保持しており、算出部23により算出された肌指標値に基づいてその対応表を参照することにより、提案すべきスキンケア品又はスキンケア手法の情報を抽出することができる。提案生成部は、その抽出された情報に基づいて提案情報を生成することができる。
【0059】
また、評価装置10が評価部(図示せず)を有している場合には、提案生成部は、評価部の評価結果となり得る情報と提案すべきスキンケア品又はスキンケア手法の情報とが関連付けられた対応表を保持しておけばよい。これにより、提案生成部は、評価部の評価結果に基づいて、スキンケア手法又はスキンケア品の提案情報を生成することができる。
【0060】
〔スキンケア手法又はスキンケア品の効果提示方法〕
図9は、スキンケア手法又はスキンケア品の効果提示方法を示すフローチャートである。
以降、効果を提示すべき対象となるスキンケア手法を対象手法と表記し、同対象となるスキンケア品を対象品と表記する。スキンケア手法及びスキンケア品については上述したとおりである。
本効果提示方法は、対象手法の実施前後の被験者又は対象品の使用前後の被験者に関して上述の肌状態評価方法を実行する工程(S61)及び工程(S63)、工程(S61)及び工程(S63)でそれぞれ算出された肌指標値を比較する工程(S65)、工程(S65)での比較結果に基づいて対象手法又は対象品の効果情報を提示する工程(S67)を含む。
【0061】
工程(S61)及び工程(S63)で実施される肌状態評価方法は、上述の第一から第三のいずれかの実施形態に係る方法であればよい。また、その肌状態評価方法を適用する、対象手法の実施前後の被験者又は対象品の使用前後の被験者は同一人物であることが望ましい。
工程(S65)では肌指標値同士が比較される。肌状態評価方法において複数種の肌指標値が算出されている場合には、同一種の肌指標値同士が比較されるか、又は、複数種の肌指標値の統計値同士が比較されればよい。
【0062】
工程(S67)で提示される効果情報は、肌指標値の比較結果に基づく情報であれば、その具体的な内容は制限されない。例えば、対象手法の実施前後又は対象品の使用前後の肌指標値の変化傾向が効果情報とされてもよいし、その差が効果情報とされてもよい。また、効果情報は、効果有りか効果無しかのみを示すものであってもよい。
【0063】
また、工程(S67)での提示手法についても何ら制限されない。
工程(S67)がコンピュータにより実行される場合には、当該効果情報が、表示装置に表示されてもよいし、印刷されてもよいし、音声で読み上げられてもよい。効果情報の生成手法については、肌状態評価装置10の説明中で述べることとする。
また、コンピュータが被験者の顔の肌指標値を出力し、工程(S65)及び工程(S67)は人によって実行されてもよい。
【0064】
本方法は、第二実施形態又は第三実施形態に係る評価方法を含んでもよい。いずれの場合にも、工程(S35)又は工程(S45)の後に、工程(S65)が実行されればよい。この場合、工程(S65)は、工程(S37)又は工程(S47)の前に実行されてもよいし、それらと並行に実行されてもよいし、それらの後に実行されてもよい。
本方法によれば、被験者の肌状態を測定することなく、血流情報を用いることで、被験者にとっての対象手法又は対象品の効果を容易に知ることができる。
これにより、被験者は、対象手法又は対象品に関する自身への効果、言い換えれば、効果を得るために対象手法又は対象品が自身に合うかどうかを容易に確認することができる。一方で、対象手法の提案者又は対象品の製造元は、複数の被験者に関して本方法を適用することで、対象手法又は対象品の総合的な効き目を容易に把握することができる。
【0065】
本方法は、上述の肌状態評価装置10により実行されてもよい。
この場合、評価装置10は、
図7に示される処理構成に加えて、比較部及び情報生成部を更に有していればよい。比較部及び情報生成部についても他の処理モジュールと同様に実現されればよい。
【0066】
比較部が工程(S65)を実行可能である。即ち、比較部は、算出部23により算出部23により算出された対象手法の実施前後又は対象品の使用前後の肌指標値を比較する。例えば、比較部は、肌指標値同士の差を求める。
【0067】
情報生成部及び出力処理部25が上述の工程(S67)を実行可能である。即ち、情報生成部は、比較部による比較結果に基づいて対象手法又は対象品の効果情報を生成し、出力処理部25がその効果情報を出力する。情報生成部は、比較部により比較結果として算出される肌指標値の差をそのまま効果情報に含めてもよいし、被験者に関して算出された差に加えて、複数の被験者から予め算出された平均的な肌指標値の差を効果情報に含めてもよい。また、情報生成部は、被験者に関して算出された差に基づいて、効果の有無を示す効果情報又は効果の程度(効果大・中・小)を示す効果情報を生成することもできる。効果の程度は、平均的な差との比較により定めることができる。
【0068】
以下に実施例を挙げ、上述の実施形態を更に詳細に説明する。上述の各実施形態の内容は、以下の内容に限定されない。
【実施例】
【0069】
顔面皮膚の血流情報と顔の肌状態との関係が次のようにして検証された。
健常な30代の女性40名を母集団として、母集団の各被験者の顔面皮膚に関して
図3に示すようなMBR画像をそれぞれ取得した。このように同年代の女性を母集団とすることで加齢変化の影響を排除した。
そして、当該取得されたMBR画像に基づいて被験者ごとに複数種の血流指標値を取得した。
一方で、当該母集団の各被験者に対して既存の手法で肌状態を測定し、その測定値としての肌指標値を取得した。
このように測定された血流指標値と肌指標値との関係を確認し、次のように高い相関を示す血流指標と肌状態指標との関係性が確認された。
【0070】
図10は、Falling rateとUr/Ufとの関係を示すグラフである。
Falling rateは、血流指標であり、上述したとおり、最大MBR値からの下降速度の時間変動を示す指標であり、血流量の下降速度の時間変動を示す指標と換言することもできる。
Ur/Ufは、肌の粘弾性を示す肌状態指標であり、具体的には、肌のクリープ回復の速さを示す指標である。
図10によれば、Falling rateとUr/Ufとは、0.1%水準で有意な負の相関を有することが確認される。これは、肌の弾力性が高い即ちハリが強いと、血管内に血液が長く維持され血流が緩やかに低下し、逆に肌の弾力性が低い即ちハリが弱いと、維持する時間が短くなり血流が急激に低下することを示しており、実際の皮膚性状と合致していると言える。
【0071】
図11は、CVR(cutaneous vascular resistance)とTEWL(transepidermal water loss)との関係を示すグラフである。
CVRは、上述したとおり、皮膚血管抵抗を示す血流指標である。
TEWLは、経表皮水分蒸散量を示す肌状態指標であり、不感蒸泄として1時間に1m
2あたり何gの水分が蒸散しているかを示し、この指標は皮膚のバリア機能を示すともいえる。
図11によれば、CVRとTEWLとは、0.1%水準で有意な負の相関を有することが確認される。これは、皮膚血管抵抗が大きくなると、血液が流れ難くなり不感蒸泄も抑えられ、皮膚血管抵抗が小さくなると、血液が流れ易くなり不感蒸泄も活発化することを示しており、実際の皮膚性状と合致していると言える。
【0072】
図12は、FluctuationとCorneometerとの関係を示すグラフである。
Fluctuationは、上述したとおり、MBRの変動を示す血流指標であり、血流量の変動を表す指標と換言できる。
Corneometerは、角層水分量を示す肌状態指標である。
図12によれば、FluctuationとCorneometerとは、0.1%水準で有意な負の相関を有することが確認される。
【0073】
図13は、MBRと肌色a
*との関係を示すグラフである。
MBRは、上述したとおり、肌指標値であり、肌色a*は、肌の赤みを示す肌状態指標である。
図13によれば、MBRと肌色a
*とは、0.1%水準で有意な正の相関を有することが確認される。これは、MBRが大きくなるとヘモグロビン成分が多くなり肌の赤みが強くなり、MBRが小さくなるとヘモグロビン成分が少なくなり肌の赤みが弱くなることを示しており、実際の皮膚性状と合致していると言える。
【0074】
図14は、RI(Resistivity Index)と肌色b
*との関係を示すグラフである。
RIは、上述したとおり、末梢血管抵抗を示す血流指標であり、肌色b
*は、肌の黄色みを示す肌状態指標である。
図14によれば、RIと肌色b
*とは、0.1%水準で有意な正の相関を有することが確認される。これは、末梢血管抵抗が大きくなると、血液が流れ難くヘモグロビン成分が減り肌の黄色みが強くなり、末梢血管抵抗が小さくなると、血液が流れ易くヘモグロビン成分が増え肌の黄色みが弱くなることを示しており、実際の皮膚性状と合致していると言える。
【0075】
図15は、BOTと角層水分量との関係を示すグラフである。
BOTは、上述したとおり、高いMBR値(血流量)の持続性を表す血流指標であり、皮表角層水分量は、肌状態指標である。
図15によれば、BOTと角層水分量とは、0.5%水準で正の相関を有することが確認される。これは、BOTが高いと1回の心拍中に高い血流量が長く持続することを示している。これについても、実際の皮膚性状と合致しているといえる。
【0076】
ここで、血流指標を組織循環の特性を基に分類すると、次のように分類することができる。
(1)血流量=MBR
(2)血管への血流の入り易さ=ATI、Rising rate
(3)組織血流量の保持力=BOT、Falling rate
(4)組織血流の定常性=Fluctuation、BOS、RI、Skew
そこで、このような分類に基づいて、肌指標値と血流指標値とを重回帰分析することで、血流指標値を用いて肌指標値を予測する重回帰式を算出することができた。算出された2つの重回帰式を以下に例示する。これら重回帰式は、0.1%水準で有意であった。
(重回帰式1)Ur/Uf=0.463+0.251×10
−3×MBR+0.004×Rising rate−0.013×Falling rate−0.007×Fluctuation
(重回帰式2)Ur/Uf=0.525+0.007×Rising rate−0.018×Falling rate
重回帰式1では、分類された4項目の項目ごとに一つの血流指標がそれぞれ用いられ、重回帰式2では、血管への血流の入り易さと組織血流量の保持力との2項目について一つの血流指標がそれぞれ用いられた。
なお、肌状態指標としてのUr/Ufは、上述したとおり、肌の粘弾性を示す肌状態指標であり、肌粘弾性測定装置により測定された。
本実施例で例示されるように、複数種の血流指標と複数種の肌状態指標とにおいて高い相関性が確認されており、上述の各実施形態の実効性が実証されている。
【0077】
なお、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施形態では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【0078】
上記の内容は次のようにも特定され得る。但し、上述の内容が以下の記載に制限されるものではない。
【0079】
<1>被験者の顔面皮膚の血流情報を取得する取得工程と、
前記取得された血流情報に基づいて前記被験者の顔の肌状態を評価する評価工程と、
を含む肌状態評価方法。
【0080】
<2>前記取得される血流情報は、或る血流指標に関する血流指標値を含み、
前記評価工程では、前記血流指標と肌状態指標との相関性に基づいて、前記血流指標値から前記被験者の顔の肌指標値を算出する、
<1>に記載の肌状態評価方法。
<3>前記取得工程では、
前記被験者の顔面皮膚にレーザ光を照射し散乱光を撮像して得られる光強度画像を取得し、
前記取得された光強度画像から前記被験者の顔面皮膚の一種以上の血流指標に関する血流指標値を取得し、
前記評価工程では、前記取得された血流指標値に基づいて、前記被験者の顔に関する複数種の肌指標値を算出する、
<2>に記載の肌状態評価方法。
<4>前記血流指標は、MBR(Mean Blur Rate)、並びに、MBRを用いて算出される、Falling rate、CVR(Cutaneous Vascular Resistance)、RI(Resistivity Index)、Fluctuation、及びBOT(Blowout Time)の中のいずれか一つを含み、
前記肌状態指標は、肌の粘弾性、水分蒸散量、角層水分量、肌色、及び角層細胞面積の中のいずれか一つを含む、
<2>又は<3>に記載の肌状態評価方法。
<5>前記取得工程では、
前記被験者の顔面皮膚にレーザ光を照射し散乱光を撮像して得られる光強度画像を取得し、
前記取得された光強度画像から前記被験者の顔面皮膚の複数部位における或る血流指標の血流指標値を取得し、
前記評価工程では、前記取得された前記複数部位の血流指標値に基づいて、前記被験者の顔の肌指標値を算出する、
<2>から<4>のいずれか一つに記載の肌状態評価方法。
<6><2>から<5>のいずれか一つに記載の肌状態評価方法を含み、
前記算出された肌指標値に基づいて、スキンケア手法又はスキンケア品の提案情報を提示する提示工程、
を更に含む肌美容カウンセリング方法。
<7><5>に記載の肌状態評価方法を含み、
前記算出された肌指標値に基づいて、スキンケア手法又はスキンケア品の提案情報を提示する提示工程、
を更に含み、
前記複数部位は、ベースケアに対応する複数部位と、該複数部位とは異なる局所ケアに対応する部位とを含み、
前記評価工程では、前記ベースケアに対応する前記複数部位の血流指標値に基づいて前記被験者の広域肌指標値を算出し、前記局所ケアに対する部位の血流指標値に基づいて前記被験者の局所肌指標値を算出し、
前記提示工程では、前記広域肌指標値及び前記局所肌指標値に基づいて、前記ベースケア及び前記局所ケアの少なくとも一方のスキンケア手法又はスキンケア品の提案情報を提示する、
肌美容カウンセリング方法。
<8><2>から<5>のいずれか一つに記載の肌状態評価方法を含み、
対象スキンケア手法の実施前後又は対象スキンケア品の使用前後の前記被験者に関して前記肌状態評価方法を実行することにより、該対象スキンケア手法の実施前後又は該対象スキンケア品の使用前後の肌指標値を比較する比較工程と、
前記比較工程での比較結果に基づいて前記対象スキンケア手法又は前記対象スキンケア品の効果情報を提示する提示工程と、
を更に含むスキンケア手法又はスキンケア品の効果提示方法。
<9>被験者の顔面皮膚の血流指標値を取得する取得手段と、
前記取得された血流指標値を血流指標と肌状態指標との相関式に適用することにより、前記被験者の顔の肌状態を示す肌指標値を算出する算出手段と、
を備える肌状態評価装置。
<10>前記取得手段は、
前記被験者の顔面皮膚にレーザ光を照射し散乱光を撮像して得られる光強度画像を取得し、
前記取得された光強度画像から前記被験者の顔面皮膚の一種以上の血流指標に関する血流指標値を取得し、
前記評価手段は、前記血流指標と前記肌状態指標との一以上の相関式に前記取得された血流指標値を適用することにより、前記被験者の顔に関する複数種の肌指標値を算出する、
<9>に記載の肌状態評価装置。
<11>前記取得手段は、
前記被験者の顔面皮膚にレーザ光を照射し散乱光を撮像して得られる光強度画像を取得し、
前記取得された光強度画像から前記被験者の顔の複数部位に関する皮膚の血流指標値を部位ごとに取得し、
前記算出手段は、前記血流指標と前記肌状態指標との一以上の相関式に前記取得された前記複数部位の血流指標値を適用することにより、前記被験者の顔の肌指標値を算出する、
<9>に記載の肌状態評価装置。