特許第6975085号(P6975085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6975085アキュムレータの外殻部材及びその製造方法、並びに、アキュムレータ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6975085
(24)【登録日】2021年11月9日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】アキュムレータの外殻部材及びその製造方法、並びに、アキュムレータ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F15B 1/04 20060101AFI20211118BHJP
【FI】
   F15B1/04
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-63932(P2018-63932)
(22)【出願日】2018年3月29日
(65)【公開番号】特開2019-173904(P2019-173904A)
(43)【公開日】2019年10月10日
【審査請求日】2020年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】水上 博嗣
(72)【発明者】
【氏名】中野 尚人
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 美恵子
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/045739(WO,A1)
【文献】 特表2003−514202(JP,A)
【文献】 特開2008−291974(JP,A)
【文献】 特開2007−278346(JP,A)
【文献】 特開平07−197904(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/064862(WO,A1)
【文献】 西独国特許出願公開第3901261(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 1/00− 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋部材と、
円筒部と、前記円筒部の一端に形成され、前記蓋部材に溶接された開口部と、前記円筒部の他端に形成された閉塞部とを有する外殻部材と、
前記外殻部材に収容された蓄圧部品と、を備えるアキュムレータを構成する外殻部材であって、
前記円筒部は、前記円筒部の上端から高さ方向中央近傍まで同じ肉厚で形成された壁部である第1壁部と、前記開口部を有する第2壁部と、前記第1壁部から前記第2壁部まで前記第1壁部よりも外側に張り出すように肉厚が変化して、前記第1壁部の外側面と前記第2壁部の外側面とを接続するためのテーパ部とを備え、
前記第2壁部の肉厚は、前記第1壁部の肉厚よりも厚くなっていることを特徴とする、アキュムレータの外殻部材。
【請求項2】
前記第2壁部は、上下方向全域において前記第1壁部の肉厚の1.03倍以上かつ1.2倍以下の肉厚を有することを特徴とする、請求項1に記載のアキュムレータの外殻部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアキュムレータの外殻部材を製造するための方法であって、
金属製の円板であって、縁部の厚さが中心部よりも厚くなった円板を筒状にプレス成形するための成形工程を有することを特徴とする、アキュムレータの外殻部材の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のアキュムレータの外殻部材を備えるアキュムレータであって、
前記アキュムレータは、前記外殻部材の前記開口部と前記蓋部材との接合部分に前記外殻部材の開口端面及び前記蓋部材の上面の対向領域全体を覆うように形成された溶接部を備えることを特徴とする、アキュムレータ。
【請求項5】
請求項4に記載のアキュムレータを製造するための方法であって、
前記外殻部材の前記開口部と前記蓋部材とを溶接するための溶接工程を有することを特徴とする、アキュムレータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキュムレータの外殻部材及びその製造方法、並びに、アキュムレータ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アキュムレータは、円筒状の外殻部材の内部にベローズを収容して構成される。アキュムレータの内部は、ベローズにより、ガス室と油室とに区画される。そして、油室への流入油の圧力変動が、ベローズの伸縮に伴うガス室内のガスの膨張作用により、緩衝される。このような圧力変動の緩衝作用を利用して、アキュムレータは、例えば自動車の油圧回路等に接続される。
【0003】
アキュムレータに関する技術として、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1には、円筒部と、前記円筒部の一端に形成された開口部と、前記円筒部の他端に形成された閉塞部とを有する外殻部材(特許文献1に記載のシェル20)と、外殻部材に対して溶接された蓋部材(特許文献1に記載のシェル30)とを備えるアキュムレータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−120601号公報(特に、図1、段落0021参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のアキュムレータにおいては、外殻部材と蓋部材とを溶接した溶接部近傍において外側に張り出しているものの、外殻部材の肉厚は一様である。そのため、溶接部における外殻部材の肉厚も、外殻部材における他の部位の肉厚と同じになっている。しかし、アキュムレータの内部は高圧であるため、応力は、他の部位と比較して脆い溶接部に集中する。そのため、溶接部の部分が破断し易くなり、アキュムレータの耐久性に課題がある。
【0006】
一方で、特許文献1に記載のアキュムレータにおいて、溶接部の肉厚を厚くして耐久性を改善しようとした場合、外殻部材全体の肉厚が厚くなる。この結果、アキュムレータが重くなり、アキュムレータを搭載した車両等の重量が重くなる。これにより、車両等の燃費の低下を招く。
【0007】
本発明の少なくとも一実施形態は、耐久性を向上させつつ軽量化可能なアキュムレータの外殻部材及びその製造方法、並びに、アキュムレータ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係るアキュムレータの外殻部材は、蓋部材と、円筒部と、前記円筒部の一端に形成され、前記蓋部材に溶接された開口部と、前記円筒部の他端に形成された閉塞部とを有する外殻部材と、前記外殻部材に収容された蓄圧部品と、を備えるアキュムレータを構成する外殻部材であって、前記円筒部は、第1壁部と、前記開口部を有する第2壁部とを備え、前記第2壁部の肉厚は、前記第1壁部の肉厚よりも厚くなっていることを特徴とする。
【0009】
上記(1)の構成によれば、蓋部材に対して溶接してアキュムレータを得たときに、溶接部の肉厚を厚くすることができる。これにより、アキュムレータの使用時に、溶接部に応力が集中しても、溶接部を起点とする破断を抑制し、アキュムレータの耐久性を向上させることができる。また、第2壁部以外の部分(第1壁部を含む)では肉厚が第2壁部よりも薄くなっているため、アキュムレータの軽量化を図ることができる。
【0010】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)において、前記第2壁部は、前記第1壁部よりも外側に張り出すように形成されたことを特徴とする。
【0011】
上記(2)の構成によれば、外殻部材の内容積を確保して、アキュムレータによる圧力変動の緩衝作用を十分に発揮させることができる。また、内側への張り出しが抑制されるため、応力の集中を抑制して、アキュムレータの耐久性を高めることができる。
【0012】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)において、前記円筒部は、前記第1壁部と前記第2壁部との間に、前記第1壁部の外側面と前記第2壁部の外側面とを接続するためのテーパ部を備えることを特徴とする。
【0013】
上記(3)の構成によれば、外殻部材の製造の際、成形機から取り外すときに取り外しを容易に行うことができる。また、テーパ部を備えることで、円筒部の肉厚を徐々に変化させることができ、溶接の対象となる開口部の肉厚を十分に確保しつつ、他の部分の肉厚を薄くして、外殻部材の軽量化を図ることができる。
【0014】
(4)本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係るアキュムレータの外殻部材の製造方法は、上記(1)〜(3)の何れか1に記載のアキュムレータの外殻部材を製造するための方法であって、金属製の円板であって、縁部の厚さが中心部よりも厚くなった円板を筒状にプレス成形するための成形工程を有することを特徴とする。
【0015】
上記(4)の方法によれば、金属性の円板を使用したプレス成形によって、外殻部材を製造することができる。このため、鋳造等によって製造する場合と比べて、製造工程を大幅に簡略化することができる。また、鋳造設備等と比べて、製造設備を簡便なものとすることができる。
【0016】
(5)本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係るアキュムレータは、上記(1)〜(3)の何れか1項に記載のアキュムレータの外殻部材を備えるアキュムレータであって、前記アキュムレータは、前記外殻部材の前記開口部と前記蓋部材との接合部分に溶接部を備えることを特徴とする。
【0017】
上記(5)の方法によれば、アキュムレータの使用時に、溶接部に応力が集中しても、溶接部を起点とする破断を抑制し、アキュムレータの耐久性を向上させることができる。また、第2壁部以外の部分では肉厚が薄くなっているため、アキュムレータの軽量化を図ることができる。
【0018】
(6)本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係るアキュムレータの製造方法は、前記外殻部材の前記開口部と前記蓋部材とを溶接するための溶接工程を有することを特徴とする。
【0019】
上記(6)の方法によれば、外殻部材と蓋部材とを、別途の接合部材を使用することなく、溶接により接合することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の少なくとも一実施形態により、耐久性を向上させつつ軽量化可能なアキュムレータの外殻部材及びその製造方法、並びに、アキュムレータ及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るアキュムレータの断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る外殻部材の断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るアキュムレータの製造方法を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係る外殻部材を筒状にプレス成形する際の模式図である。
図5図4に示すプレス成形により得られた外殻部材の断面図である。
図6】外殻部材の開口部を蓋部材の上面に載せた様子を示す図である。
図7】外殻部材と蓋部材との対向部分に形成される溶接部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、以下に実施形態として記載されている内容又は図面に記載されている内容は、あくまでも例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、任意に変更して実施することができる。また、各実施形態は、2つ以上を任意に組み合わせて実施することができる。
また、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係るアキュムレータ100の断面図である。アキュムレータ100は、外殻部材10と、蓋部材30と、外殻部材10に収容された蓄圧部品70とを備える。アキュムレータ100の内部において、蓄圧部品70を構成するベローズ50の上方にガス室Gが形成される。一方で、ベローズ50の下方に液室Lが形成される。
【0024】
外殻部材10は、円筒部11と、円筒部11の一端(下端)に形成された開口部13と、円筒部11の他端(上端)に形成された閉塞部12とを有する。外殻部材10は蓋部材30に溶接される。従って、外殻部材10の開口部13は、蓋部材30により封止(閉塞)される。そして、外殻部材10の開口部13と蓋部材30との溶接部分には溶接部40が形成される。
【0025】
また、閉塞部12には、ガス注入口21が形成されており、ガス注入口21はプラグ22によって封止される。なお、プラグ22は、閉塞部12に溶接される。プラグ22の上方にはヘッド23が配置され、ヘッド23も閉塞部12に溶接される。
【0026】
蓋部材30は、上面視で円形状を有しており、所謂「鏡板」といわれるものである。蓋部材30には、アキュムレータ100の内外を連通するポート31が形成される。ポート31は、図示しない油圧回路に接続され、油圧回路からの油がポート31を通じてアキュムレータ100の内部に侵入することで、油圧回路における圧力変動が緩衝される。
【0027】
蓋部材30の外径は、上記円筒部11の開口部13の外径と一致する。ただし、詳細は図2を参照しながら説明するが、外殻部材10は、下方に向かって外側に広がるような形状になっている。そのため、蓋部材30の外径は、円筒部11の上端に形成される閉塞部12の外径よりは長くなっている。
【0028】
蓄圧部品70は、上記のように外殻部材10に収容されたものであり、蓄圧部品70が相互に作用することで、圧力変動の緩衝作用が奏される。蓄圧部品70は、例えば成形ベローズにより構成されるベローズ50と、円筒部材51と、連通孔52と、セルフシール62と、シール機能部材63と、ガイド64とを備えて構成される。
【0029】
これらのうち、セルフシール62は、シール機能部材63の下面に固定される。また、シール機能部材63の縁には、シール機能部材63の上下動をガイドするためのガイド64が固定される。さらには、シール機能部材63の下面とガイド64の上面との間には、ベローズ50の上端が固定される。従って、セルフシール62、シール機能部材63及びガイド64は、ベローズ50と一体になっている。
【0030】
ベローズ50が収縮しているとき、セルフシール62の下端62aは、円筒部材51の上端面51aに接触している。そして、この状態で、ポート31を通じて図示しない油圧回路の油が円筒部材51の内部に入り、液室Lの圧力がガス室Gの圧力を超えると、ベローズ50が上方に伸び始める。これにより、ベローズ50と一体となって形成されたシール機能部材63等は、ガイド64によって上方に移動する。この結果、ガス室Gの気体が圧縮される。
【0031】
一方で、液室Lの圧力が低下し、ガス室Gの圧力を下回ると、ベローズ50は下方に収縮する。そして、最終的には、セルフシール62の下端62aが円筒部材51の上端面51aに接触する位置に、シール機能部材63等が戻る。この結果、ガス室Gの気体が膨張され、圧縮前の状態に戻る。
【0032】
そして、このようなガス室Gのガスの圧縮及び膨張作用により、油圧回路を流れる油の圧力変動が緩衝される。これにより、油圧回路の脈動が抑制される。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態に係る外殻部材10の断面図である。なお、図2では、外殻部材の内部に収容された蓄圧部品70の図示を省略する。外殻部材10を構成する円筒部11は、上端部11a(第1壁部)と、上端部11aよりも外側に張り出すように形成された張り出し部11c(第2壁部)とを備える。従って、円筒部11は、下方に向かって外側に張り出すように形成されている。即ち、円筒部11の内面は、鉛直方向に一様な面により形成されているが、その外面は下方に向かって外側に張り出している。
【0034】
このように、張り出し部11cが上端部11aよりも外側に張り出すように張り出し部11cが形成されたことで、外殻部材10の内容積を確保して、アキュムレータ100による圧力変動の緩衝作用を十分に発揮させることができる。また、内側への張り出しが抑制されるため、応力の集中を抑制して、アキュムレータの耐久性を高めることができる。
【0035】
上端部11aの肉厚d1と、張り出し部11cの肉厚d2との相対的な関係として、外殻部材10では、d2>d1(即ち、張り出し部11cの方が上端部11aよりも厚い)が成立する。そして、張り出し部11cの肉厚d2は、好ましくは上端部11aの肉厚d1の1.03倍以上、より好ましくは1.05倍以上、特に好ましくは1.07倍以上である。また、その上限は特に制限されないが、張り出し部11cの肉厚d2は、好ましくは上端部11aの肉厚d1の1.2倍以下、より好ましくは1.15倍以下、特に1.12倍以下である。なお、張り出し部11cの肉厚は、張り出し部11cの上下方向全域に亘って同じとすることが好ましい。
【0036】
このように、外殻部材10では、張り出し部11cの肉厚は、上端部11aの肉厚よりも厚くなっている。張り出し部11cの肉厚が上端部11aの肉厚よりも厚いことで、溶接部40の肉厚を厚くすることができる。これにより、アキュムレータ100の使用時に、溶接部40に応力が集中しても、溶接部40を起点とする破断を抑制し、アキュムレータ100の耐久性を向上させることができる。また、張り出し部11c以外の部分(上端部11aのほか、後記するテーパ部11bを含む)では肉厚が張り出し部11cよりも薄くなっているため、アキュムレータ100の軽量化を図ることができる。
【0037】
また、円筒部11は、上記の上端部11a及び張り出し部11cのほか、これらの間に、上端部11aの外側面と張り出し部11cの外側面とを接続するためのテーパ部11bとを備える。テーパ部11bを備えることで、外殻部材10を例えばプレス成形により製造する際、ダイ(図示しない)からの取り外しを容易に行うことができる。また、テーパ部11bを備えることで、円筒部11の肉厚を徐々に変化させることができ、溶接部40(溶接の対象となる開口部13(図5参照)に相当)の肉厚を十分に確保しつつ、他の部分の肉厚を薄くして、外殻部材10の軽量化を図ることができる。
【0038】
なお、上記の例では、円筒部11において、上端部11aと張り出し部11cとの間にテーパ部11bが形成されるようにしたが、テーパ部11bを形成せずに、図1に示す断面視で例えば矩形となる段差を設けるようにしてもよい。また、テーパ部11bを形成する場合においても、テーパの位置は図2の例に限られず、例えば、円筒部11の上端から高さ方向中央近傍までは同じ肉厚(上記の上端部11aに相当。第1壁部)とし、当該高さ方向中央近傍を起点として張り出し部11cに延びるテーパ部が形成されるようにしてもよい。
【0039】
図3は、本発明の一実施形態に係るアキュムレータ100の製造方法(以下、単に「本実施形態の製造方法」ということがある)を示すフローチャートである。本実施形態の製造方法は、成形工程S1と、組立工程S2と、溶接工程S3とを有する。これらの工程のうち、成形工程S1によって外殻部材10が製造される。そして、組立工程S2及び溶接工程S3によって、成形工程S1で製造された外殻部材10を用いてアキュムレータ100が製造される。なお、各工程は、それぞれ複数回行うことができる。具体的には例えば、成形工程S1を複数繰り返し、所望の形状を有する外殻部材10を形成するようにすることができる。
【0040】
成形工程S1は、金属製の円板であって、縁部の厚さが中心部よりも厚くなった円板を筒状にプレス成形するための工程である。成形工程S1を経ることで、外殻部材10が得られる。この点について、図4及び図5を参照しながら説明する。
【0041】
図4は、本発明の一実施形態に係る外殻部材10を筒状にプレス成形する際の模式図である。外殻部材10は、縁部200aを支持可能なダイ(図示しない)に金属製の円板200を載せ、円板200の中央部200cをパンチ201によりプレスすることで形成される。このプレス加工は、所謂「絞り加工」といわれるものである。
【0042】
円板200は、縁部200aと、テーパ部200bと、中央部200cとを有するものである。なお、縁部200aはプレス成形後の張り出し部11c(図2参照)、テーパ部200bはプレス成形後のテーパ部11b(図2参照)、中央部200cはプレス成形後の閉塞部12(図1参照)に相当する。また、テーパ部200bと中央部200cとの境界部がプレス成形後の上端部11a(図2参照)に相当する。さらには、円板200の側面200eはプレス成形後の開口端面13a(図6参照)に相当する。
【0043】
円板200では、中央部200cの肉厚が最も薄く、縁部200aの肉厚が最も厚くなっている。そして、中央部200cと縁部200aとの間には、これらを接続するためのテーパ部200bが形成される。テーパ部200bの肉厚は、中央部200cから縁部200aに向かって徐々に厚くなっている。なお、円板200において、パンチ201によってプレスされる側の面は一様であり、当該面とは反対側の面の形状が外方向(径方向外側)に向かって変化している。
【0044】
なお、円板200は、例えば、素材板となる金属板を円形状に打ち抜いた後、円形状の平板の表面を加工することで、製造することができる。表面加工の方法としては、例えば、増肉加工を行うことで、素材板の肉厚よりも厚い肉厚の縁部200aを形成することができる。また、例えば、圧延加工を行うことで、素材板の肉厚よりも薄い肉厚の中央部200cを形成することができる。特に、上記のように、中央部200c及びテーパ部200bと中央部200cとの境界部はそれぞれ閉塞部12及び上端部11aに相当するが、アキュムレータの使用時、これらの部分にはかかる応力が小さい。そこで、中央部200c及び境界部について圧延加工を行い、素材板の肉厚よりも薄くすることで、アキュムレータの軽量化を図ることができる。
【0045】
図5は、図4に示すプレス成形により得られた外殻部材10の断面図である。パンチ201(図4参照)によるプレスによって、テーパ部200bと中央部200cとの境界部の近傍で円板200が周方向全域に亘って折れ曲がる。そして、パンチ201によるプレスを適宜複数回繰り替えすことで、円板200が筒状に成形され、外殻部材10が得られる。外殻部材10は、上記のように、円筒部11及び閉塞部12を備えるほか、開口部13を有する。
【0046】
このようにして外殻部材10が成形されることで、金属性の円板200を使用したプレス成形によって、外殻部材10を製造することができる。このため、鋳造等によって製造する場合と比べて、製造工程を大幅に簡略化することができる。また、鋳造設備等と比べて、製造設備を簡便なものとすることができる。
【0047】
図3に戻って、組立工程S2は、アキュムレータ100を構成する部品(外殻部材10、蓋部材30、蓄圧部品70等)を組み立てるための工程である。具体的には、蓋部材30の上面32(図6参照)に上記の蓄圧部品70(図1参照)を取り付けた後、成形工程S1において製造された外殻部材10を被せることで、組立工程S2が行われる。外殻部材10を蓄圧部品70に被せ、蓋部材30に載せる点について、図6を参照しながら説明する。
【0048】
図6は、外殻部材10の開口部13を蓋部材30の上面32に載せた様子を示す図である。上記のように、開口部13を有する張り出し部11cの外径と、蓋部材30の外径とは一致する。そのため、外殻部材10の開口部13を蓋部材30の上面32に載せると、外殻部材10の外側面(円筒部11の外側面)と、蓋部材30の側面とは、同一面内に配置される。
【0049】
また、蓋部材30に外殻部材10を載せると、外殻部材10の開口端面13aは、蓋部材30の上面32に対向する。そして、この状態で、開口端面13a及び上面32の部分を、図6において二点鎖線で示す溶接装置300によって溶接が行われる。この点の詳細は後記する。
【0050】
再び図3に戻って、溶接工程S3は、外殻部材10の開口端面13aと蓋部材30の上面32とが対向している状態で、外殻部材10の開口端面13aと蓋部材30とを溶接するための工程である。これらの溶接により、上記の溶接部40が形成される。溶接は、上記のように、図6において二点鎖線で示す溶接装置300を用いた溶接が行われる。具体的な溶接の手法としては、例えば電子ビーム溶接、レーザビーム溶接等を使用することができる。
【0051】
図7は、外殻部材10と蓋部材30との対向部分に形成される溶接部40を示す図である。溶接部40は、開口端面13a及び上面32(いずれも図6参照)の双方の全体を覆うようにして形成される。このようにすることで、外殻部材10と蓋部材30との接続を強固にすることができる。また、以上のような溶接工程S3を備えることで、外殻部材10と蓋部材30とを、別途の接合部材を使用することなく、溶接により接合することができる。
【符号の説明】
【0052】
10 外殻部材
11 円筒部
11a 上端部
11b テーパ部
11c 張り出し部
12 閉塞部
13 開口部
13a 開口端面
21 ガス注入口
22 プラグ
23 ヘッド
30 蓋部材
31 ポート
32 上面
40 溶接部
50 ベローズ
51 円筒部材
51a 上端面
52 連通孔
62 セルフシール
62a 下端
63 シール機能部材
64 ガイド
70 蓄圧部品
100 アキュムレータ
200 円板
200a 縁部
200b テーパ部
200c 中央
200e 側面
201 パンチ
300 溶接装置
G ガス室
L 液室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7