(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷却治療周期は、前記第2の期間の後で、かつ前記冷却アプリケータが前記皮膚に接して置かれている間、前記治療温度より高い治療後温度を目指して前記冷却アプリケータを調節することをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の皮膚治療システム。
前記冷却アプリケータは、熱電クーラーを含み、前記コントローラは、前記熱電クーラーを通る電流を逆にすることによって前記治療後温度を目指して前記冷却アプリケータを調節する、請求項6に記載の皮膚治療システム。
前記コントローラと連結された接触センサーをさらに含み、前記接触センサーは、前記冷却アプリケータと患者の前記皮膚との間の力を測定するように構成され、前記第1の期間または前記第2の期間は、前記接触センサーによって測定された前記力に基づいて、自動的に調節される、請求項1から8のいずれか一項に記載の皮膚治療システム。
前記コントローラと連結された接触センサーをさらに含み、前記接触センサーは、前記冷却アプリケータと患者の前記皮膚との間の力を測定するように構成され、前記治療前温度または前記治療温度は、前記接触センサーによって測定された前記力に基づいて、自動的に調節される、請求項1から8のいずれか一項に記載の皮膚治療システム。
前記コントローラと連結された接触センサーをさらに含み、前記接触センサーは、前記冷却アプリケータと前記患者の前記皮膚との間の接触を決定するように構成され、前記コントローラは、前記接触センサーによって決定された皮膚接触に基づいて前記冷却治療周期を自動的に開始する、請求項1から8のいずれか一項に記載の皮膚治療システム。
前記コントローラと連結された接触センサーをさらに含み、前記接触センサーは、前記冷却アプリケータと前記患者の前記皮膚との間の接触を決定するように構成され、前記コントローラは、皮膚接触が前記接触センサーにより感知されない場合、前記冷却設備を前記治療前温度に自動的に戻す、請求項1から8のいずれか一項に記載の皮膚治療システム。
前記接触センサーは、力センサーを含み、前記皮膚治療システムは、前記皮膚治療システムの配向を感知するように構成された配向センサーをさらに含み、前記コントローラは、前記配向センサーにより感知された前記皮膚治療システムの前記配向に基づいて前記力センサーからの圧力測定値を調節するように構成されている、請求項12または13に記載の皮膚治療システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
いくつかの低色素沈着治療、装置、およびシステムがこれまでに開発されているが、さらなる改善が望まれ得る。この目的に向けて、皮膚凍結の一貫性を改善することが望ましくなり得る。このような改善は、全体的な低色素沈着の一貫性を改善するために望ましくなり得る。例えば、いくつかの冷却治療では、皮膚は、時として、冷却治療の最初の方に凍結する場合があり、または、時として、しばらくの間、氷点を下回る温度(例えば、0〜−5℃)まで冷却され、その後いくらかの可変時間、凍結し得る。いくつかの冷却治療では、皮膚は、過冷却され(氷点を下回る温度まで冷却され)得、冷却治療中は全く凍結し得ない。皮膚凍結におけるこのような可変性(すなわち、皮膚における水氷の形成)は、最適でない治療を生じ得る。さらに、治療を長引かせ、かつ/または、より低い温度を適用することは、色素沈着過剰などの有害な副作用を生じ得るので、必ずしも解決策とはならない。
【0008】
前記を鑑みると、低色素沈着治療、特に皮膚凍結を介して提供される低色素沈着治療の一貫性または再現性を改善することが望ましくなり得る。本発明の少なくともいくつかの実施形態は、凍結の発生に対するさらなる制御を提供することができ、また、冷却治療中の皮膚の過冷却を制限することができる。さらに、少なくともいくつかの実施形態は、皮膚治療を提供すると共に、色素沈着過剰などの有害な副作用を制限することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、概して、改善された医療装置、システム、および方法に関し、例示的な実施形態は、改善された冷却治療プローブならびに冷却治療方法およびシステムを提供する。いくつかの実施形態では、皮膚の凍結は、患者の皮膚の低色素沈着をもたらすために望ましくなり得る。概して、実施形態は、冷却治療中の患者の皮膚の過冷却を制限することができる。さらに、実施形態は、色素沈着過剰などの有害な副作用を制限することができる。
【0010】
本発明のいくつかの態様では、患者の皮膚における色素沈着を変化させる方法が提供され得る。この方法は、治療装置の冷却アプリケータが患者の皮膚表面と接触する前に冷却アプリケータを治療前温度まで事前冷却することを含み得る。治療前温度は、治療温度より低くてよい。冷却アプリケータが皮膚表面上に位置付けられた後で、かつアプリケータが皮膚に接して維持されている間、冷却アプリケータは、皮膚を凍結させるため事前に調整するように第1の期間にわたり治療前温度を目指して駆動され得る。第1の期間の後で、かつ冷却アプリケータが皮膚表面に接して位置付けられ維持されている間、冷却アプリケータは、第2の期間にわたり治療温度を目指して調節され得る。治療温度は、冷却アプリケータと接触している皮膚組織の少なくとも一部を凍結させるように構成され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、第2の期間は、第1の期間より長くてよい。治療温度は0℃未満であってよい。治療前温度は、−10℃〜−20℃の範囲であってよい。治療温度は、−2℃〜−10℃の範囲であってよい。
【0012】
オプションとして、第2の期間は、期間が第1の期間より3〜10倍長くてよい。特定の実施形態では、第2の期間は5秒未満であってよい。
【0013】
方法は、第2の期間の後で、かつ冷却アプリケータが皮膚に接して位置付けられ維持されている間、治療温度より高い治療後温度を目指して冷却アプリケータを調節することをさらに含み得る。治療後温度は、凍結した皮膚組織を解かすように適用され得る。いくつかの実施形態では、熱電クーラーが、冷却アプリケータと熱的に連結される。冷却アプリケータを治療後温度に調節することは、熱電クーラーを通る電流を逆にするステップを含み得る。オプションとして、電流は、冷却アプリケータが治療後温度に到達するまで、逆にされ得る。いくつかの実施形態では、治療後温度は0℃超である。治療後温度は、10℃未満、または40℃未満であってよい。冷却アプリケータは、皮膚の凍結部分が解けるまで治療後温度で皮膚と接触して維持され得る。
【0014】
なおさらなる態様では、患者の皮膚を治療する方法が提供され得、この方法は、皮膚を治療装置の冷却アプリケータと接触させる前に治療装置の冷却アプリケータを治療前温度まで冷却することを含む。治療前温度は、治療温度より低くてよい。治療前温度は、皮膚の少なくとも一部が凍結するよう事前に調整するように構成され得る。冷却アプリケータは次に、皮膚上に置かれ得、治療装置は、第1の期間中に治療前温度を目指して冷却アプリケータを冷却し得る。第1の期間の後、冷却アプリケータは、治療装置が治療温度を目指して冷却アプリケータを調節する間に第2の期間にわたり皮膚に接して維持され得る。冷却アプリケータは、治療装置の冷却アプリケータを使用して治療温度まで皮膚を治療した後で患者の皮膚から取り外され得る。いくつかの実施形態では、第2の期間は、第1の期間より長くてよい。
【0015】
なおさらなる態様では、皮膚治療システムは、患者の皮膚に接触する冷却アプリケータと、冷却アプリケータと熱的に連結された冷却設備と、冷却設備と動作可能に連結されたコントローラと、を含み得る。コントローラは、冷却治療周期を提供するため、冷却設備を制御するように構成され得る。冷却治療周期は、患者の皮膚と接触する前に冷却アプリケータを治療前温度まで事前冷却することと、冷却アプリケータが患者の皮膚に接して置かれた後で第1の期間にわたり治療前温度を目指して冷却アプリケータを冷却することと、を含み得る。冷却治療周期は、第1の期間後に、冷却アプリケータが皮膚に接して保持されている間に治療前温度より高い治療温度を目指して冷却アプリケータの温度を調節することと、冷却アプリケータが皮膚に接して保持されている間に第2の期間にわたり治療温度を目指して冷却アプリケータを冷却することと、をさらに含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、第2の期間は、第1の期間より長くてよい。治療温度は、ゼロ未満であってよい。治療前温度は、−10℃〜−20℃であってよい。オプションとして、治療温度は、−2℃〜−10℃であってよい。
【0017】
第2の期間は、期間が第1の期間より3〜10倍長くてよい。いくつかの実施形態では、第2の期間は、5秒未満であってよい。
【0018】
冷却治療周期は、第2の期間の後で、かつ冷却アプリケータが皮膚に接して置かれている間に、治療温度より高い治療後温度を目指して冷却アプリケータの温度を調節することをさらに含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、冷却アプリケータは熱電クーラーであってよい。コントローラは、熱電クーラーを通る電流を逆にすることによって治療後温度を目指して冷却アプリケータを調節し得る。
【0020】
治療後温度は0℃超であってよい。治療後温度は、10℃未満であるか、または、特定の実施形態では40℃未満であってよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、装置は、コントローラと連結された力センサーをさらに含み得る。力センサーは、冷却アプリケータと患者の皮膚との間の力を測定するように構成され得る。第1の期間または第2の期間は、力センサーにより測定された力に基づいて可変であってよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、装置は、コントローラと連結された力センサーをさらに含み得る。力センサーは、冷却アプリケータと患者の皮膚との間の力を測定するように構成され得る。治療前温度または治療温度は、力センサーにより測定された力に基づいて可変であってよい。
【0023】
オプションとして、装置は、コントローラと連結された接触センサーを含み得る。接触センサーは、冷却アプリケータと患者の皮膚との間の接触を決定するように構成され得る。コントローラは、接触センサーにより決定されるような皮膚接触に基づいて冷却治療周期を開始することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、接触センサーが、コントローラと連結され得る。接触センサーは、冷却アプリケータと患者の皮膚との間の接触を決定するように構成され得る。コントローラは、皮膚接触が接触センサーにより感知されない場合、冷却設備を治療前温度に戻すことができる。
【0025】
なおさらなる態様では、治療装置の冷却アプリケータを使用して患者の皮膚におけるメラニンを減少させる方法が提供され得る。この方法は、冷却アプリケータを皮膚と接触して位置付ける前に−10℃〜−20℃の治療前温度まで冷却アプリケータを事前冷却することと、冷却アプリケータが皮膚上に位置付けられた後で第1の期間にわたり治療前温度を目指して冷却アプリケータを冷却することと、第1の期間の後で、かつ冷却アプリケータが皮膚に接して置かれている間、第1の期間より長い第2の期間にわたり−2℃〜−12℃の治療温度を目指して冷却アプリケータを調節することと、第2の期間の後で、かつ冷却アプリケータが皮膚に接して置かれている間、0℃〜40℃の治療後温度を目指して冷却アプリケータを調節することと、を含み得る。いくつかの実施形態では、冷却アプリケータは、−2℃〜−10℃の治療温度を目指して調節され得る。いくつかの実施形態では、冷却アプリケータは、0℃〜10℃または0℃〜40℃の治療後温度を目指して調節され得る。
【0026】
他の態様では、皮膚色素沈着治療システムが提供され、これは、患者の皮膚に接触する冷却アプリケータと、冷却アプリケータと熱的に連結された熱電クーラーと、熱電クーラーと動作可能に連結されたコントローラと、を含み得る。コントローラは、冷却治療周期を提供するため、熱電クーラーへの電流を制御するように構成され得る。冷却治療周期は、冷却アプリケータがある期間にわたり皮膚に接して保持されている間に治療温度を目指して冷却アプリケータを冷却するように熱電クーラーに電流を印加することと、その期間の後、冷却アプリケータが皮膚に接して保持されている間に治療後温度を目指して冷却アプリケータの温度を調節するように熱電クーラーへの電流を逆にすることと、を含み得る。治療後温度は、10℃未満または40℃未満であってよい。
【0027】
なおさらなる実施形態では、患者の皮膚における色素沈着を変化させる方法が提供され得、これは、治療装置の冷却アプリケータを皮膚表面に接して置くことによって、患者の皮膚を過冷却することを含む。皮膚の過冷却後、方法は、過冷却された皮膚での氷晶形成を促進するために患者の皮膚に振動を加えることを含み得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、患者の皮膚は、振動を加える前に所定の時間にわたり過冷却され得る。
【0029】
オプションとして、患者の皮膚に振動を加えた後、方法は、第1の期間にわたり冷却アプリケータを皮膚表面に接して維持することを含み得る。第1の期間の後で、かつ冷却アプリケータが皮膚に接して位置付けられ維持されている間、方法は、凍結した皮膚組織を解かすために治療後温度を目指して温度を調節することを含み得る。治療後温度は、0℃〜10℃または0℃〜40℃であってよい。第1の期間は10〜30秒であってよい。オプションとして、冷却アプリケータは、第1の期間中に治療温度を目指して駆動され得る。治療温度は、−2℃〜−10℃または−2℃〜−12℃であってよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、治療温度または第1の期間は、冷却アプリケータと患者の皮膚との間の力に基づいて可変であってよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、方法は、冷却アプリケータが患者の皮膚から取り外されたことを示す、接触センサーからの信号に基づいて、治療装置の冷却アプリケータをアイドル状態に向かって戻すことを含み得る。
【0032】
なおさらなる実施形態では、皮膚治療システムが提供され得、これは、患者の皮膚に接触する冷却アプリケータと、冷却アプリケータと熱的に連結された冷却設備と、冷却設備およびバイブレータと動作可能に連結されたコントローラと、を含む。コントローラは、冷却治療を提供するために冷却設備およびバイブレータを制御するように構成され得る。冷却治療は、患者の皮膚を過冷却するために冷却アプリケータを冷却することと、皮膚での氷形成を促進するために過冷却された皮膚内に振動を送達するよう、バイブレータを適用することと、を含み得る。
【0033】
コントローラは、バイブレータから振動を加える前に所定の時間にわたり患者の皮膚を過冷却するように構成され得る。
【0034】
コントローラは、患者の皮膚に振動を加えた後で第1の期間にわたり冷却アプリケータを治療温度へと調節するように構成され得る。
【0035】
コントローラは、第1の期間の後で、かつ冷却アプリケータが皮膚に接して位置付けられ維持されている間、凍結した皮膚組織を解かすために治療後温度を目指して冷却アプリケータの温度を調節するように構成され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、治療後温度は0℃〜10℃または0℃〜40℃であってよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1の期間は10〜30秒であってよい。
【0038】
オプションとして、治療温度は−2℃〜−10℃であってよい。
【0039】
装置は、コントローラと連結された力センサーをさらに含み得る。力センサーは、冷却アプリケータと患者の皮膚との間の力を測定するように構成され得る。治療温度または第1の期間は、冷却アプリケータと患者の皮膚との間の力に基づいて可変であってよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、システムは、コントローラと連結された接触センサーをさらに含み得る。コントローラは、冷却アプリケータが患者の皮膚から取り外されたことを示す、接触センサーからの信号に基づいて、治療装置の冷却アプリケータをアイドル状態に向けて戻すように構成され得る。
【0041】
本特許でカバーされる本発明の実施形態は、この概要ではなく、以下の特許請求の範囲によって定められる。この概要は、本発明のさまざまな態様の高水準の概観であり、以下の発明を実施するための形態の項でさらに説明する概念の一部を紹介するものである。この概要は、特許請求される主題の重要または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、また、特許請求される主題の範囲を決定するために単独で使用されることを意図していない。主題は、本特許の明細書全体、任意またはすべての図面、および各請求項の適切な部分を参照することによって理解すべきである。
【0042】
本発明は、以下の説明を読み、それに付随する図面を検討すれば、より良く理解されるであろう。これらの図面は、例示目的でのみ提供されるものであり、決して本発明に対し制限するものではない。
【0043】
本発明のさらなる詳細、態様、および実施形態は、ほんの一例として、また図面を参照して説明される。図面では、同様の要素または機能が類似した要素を識別するために同様の参照符号を使用する。図面中の要素は、簡略化および明確化のために例示されており、必ずしも一定の比率に縮小して描いたものではない。
【発明を実施するための形態】
【0045】
前述したように、本発明のいくつかの実施形態は、患者のメラノサイトおよび/またはケラチノサイトに影響を及ぼす技術を対象とし得る。例えば、いくつかの実施形態は、患者の皮膚を冷却することによって皮膚色素沈着を軽減する方法およびシステムを対象とし得る。いくつかの実施形態では、皮膚を凍結させることが有益となり得る。さらに、より制御可能で一貫した様式で皮膚を凍結させることが有利となり得る。凍結事象は、必要とされているわけではないが、色素沈着の軽減という望ましい結果だけでなく、表皮壊死、また症例によっては長期の紅斑および色素沈着過剰という短期的な副作用にも影響を与えることが示されている。これまでの研究では、皮膚凍結のタイミングに一貫性がないことが分かっている。同じ治療パラメータの複製を行った場合に異なる結果(凍結までの時間、または凍結の不足)が見られている。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、患者の皮膚における凍結の発生に対する制御の増大を提供し、皮膚の過冷却を制限し得る。よって、本明細書に記載される方法およびシステムは、患者の皮膚における凍結(例えば、特定の温度および/もしくは冷却速度での反復可能な凍結)の機会、予測性、および/または一貫性を増大させ得、また、これにより、治療中の皮膚凍結期間に対するさらなる制御を提供し得る。いくつかの実施形態は、冷却治療中の患者の皮膚の過冷却を制限することを対象とし得る。皮膚の過冷却は、皮膚において水を固化または結晶化させずに皮膚を水の氷点未満に冷却することであってよい。
【0046】
皮膚色素沈着を明るくするためのいくつかの冷却システムが開発されてきた(例えば、内容が参照により全体として本明細書に組み込まれる、2009年8月7日出願の特許文献1;2012年11月16日出願の特許文献2;2012年11月16日出願の特許文献3;2015年2月12日出願の特許文献4、および2016年9月6日出願の特許文献5を参照のこと)。一般的に、これらのシステムは、皮膚組織(典型的には、皮膚の上層から真皮/表皮の接合部まで)に接触しこれを凍結させるように構成された冷却接触表面を提供する。皮膚組織の凍結は、メラニン生成を減少させ、メラノソーム生成を減少させ、メラノサイトを破壊し、かつ/または表皮層の下方領域でのケラチノサイト内へのメラノソームの移動を阻止し、それによって、しばらくの間、または永続的に皮膚を明るくすること(すなわち、低色素沈着)を引き起こし得る。
【0047】
いくつかの治療は、例えば15秒以下および最大で2分以上と短い、きわめて短い時間枠にわたって0℃〜−20℃の範囲の温度への比較的控えめな皮膚冷却を使用し得る。いくつかの実施形態では、皮膚冷却は、アルミニウム板(例えば、クーラーまたは冷却アプリケータ)の温度を制御し、クーラーを皮膚に直接当て、それにより皮膚からクーラーへの熱伝導を通じて皮膚を冷却することによって、実行され得る。
【0048】
冷却アプリケータと皮膚との間の境界面の特定の態様を制御すると、皮膚の凍結挙動が改変されることが分かっている。例えば、当てられるアプリケータと皮膚との間の境界面において流体を特定し維持することによって、凍結がより確実に誘発され得る。水は、アプリケータと皮膚との間の熱接触抵抗を減少させ、それによって冷却を改善するのに使用され得る、連結流体である。水は、純粋であるか、または、粘度を増大するため増粘剤を含有することができる。水は、概して0℃の氷点を有し、これは、組織の氷点に非常に近い。しかしながら、水は、特に少量では、特に、より緩やかな冷却速度で、その典型的な氷点未満に過冷却することが知られている。したがって、望ましくないであろう、氷点の著しい低下ではなく過冷却の機会を最小限にするために、物質が水と混合され得る。いくつかのそのような物質は、すす、ほこり、微粒子、またはヨウ化銀結晶などの無機材料である。添加され得る他の材料は、タンパク質、リポタンパク質、細菌または真菌などの有機物質である。長鎖脂肪族アルコールおよびアミノ酸、例えばL−アスパラギン酸も、水、または氷点が0℃付近の別の流体に添加されて、組織における過冷却の機会を減少させ得る。
【0049】
凍結はさらに、飽和状態のガーゼ片(saturated piece of gauze)または別の織布もしくは不織布材料などの支持体を境界面に当てることによって、促進され得る。この支持体は、いくらかの体積を占めるが、水がその支持体を自由に移動することを可能にするものでなければならない。この支持体は、十分に多く均一な量の水または他の流体が境界面に存在することを確実にし、それにより皮膚の凍結を促進する。
【0050】
過冷却は、水の氷点またはその直下で水の核生成源として役立つ種晶を提供することによって最小限に抑えられ得る。最も良い種晶の1つは、凍結した水、すなわち氷である。湿度が比較的低い場合でも空気から入手可能である氷晶をアプリケータが有することを確実にするため、アプリケータ表面の表面粗さは増大され得る。アプリケータ表面上に奥まった所(nooks)および割れ目を設けることによって、アプリケータの表面積は増大し、凹型領域は、アルコールまたは他のクリーナーで掃除された後であっても氷晶を保持する。さらに、これらの凹型領域は、最初に暖かい皮膚に当てられたときに氷が溶けるのを防ぐ。アプリケータ表面を、治療前のしばらくの間、氷点下の温度にとどまらせて、空気からの水がその表面上で凍結するのを確実にすることは有用であり得る。あるいは、アプリケータ表面に、水または他の液体のミストを吹き付けてよく、それを、治療前にその表面上で凍結させる。
【0051】
過冷却媒体において氷核生成を誘発する他のメカニズムは、振動または他の機械的摂動、および超音波もしくは音響放射を含む。クーラーのデザインは、冷却周期のある時点で凍結を引き起こすために振動要素を含み得る。超音波または音響変換器は、核生成事象を制御するためにシステムデザインに組み込まれてもよい。
【0052】
いったん氷が境界面に形成され始めると、次に皮膚内へ伝播されることが必要である。表皮は、概して水を通さないが、汗腺などの特殊領域があり、これは、水分がこのバリアにわたって流れるのを制御するよう特に意図されている。しかしながら、氷の伝搬は、皮膚が冷却されると表皮全体で制限され、これにより、組織に過冷却を生じ得ると思われる。これを防ぐため、小さい穴が表皮に作られて、氷がこのバリアにわたって自由に伝播されることを可能にし得る。穴は、ざらざらした布もしくはブラシで、マイクロダーマブレーションローラー(microderm abrasion roller)もしくはシステムで、レーザーで、またはいくつかの追加技術で、こすることにより始動され得る。冷却アプリケータと皮膚との間の境界面の態様を制御する方法および装置のさらなる詳細は、内容全体が参照により既に組み込まれていて、本明細書で説明する開示の態様と共に使用され得る、特許文献5に記載されている。
【0053】
冷却アプリケータと皮膚との間の境界面の態様を制御することに加え、凍結挙動(凍結の回数および時間)が、冷却アプリケータの熱パラメータを調節することによって改良され得ることが分かっている。したがって、本発明のいくつかの態様では、皮膚を治療する方法が提供され得、この方法では、冷却アプリケータの熱パラメータが治療中に調節される。例えば、
図1は、いくつかの実施形態による例示的な治療方法100を示す。方法100は、参照により既に組み込まれている特許文献5に記載されるように患者の皮膚を改良することを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、方法100は、小さい穴を皮膚に設置することから開始することができる。例えば、0.3mm、0.25mm、または0.5mmのダーマローラーを使用して、小さい穴を表皮に設置することができる。これによって、後で生成される氷が角質層にわたって自由に伝播することが可能となり得る。これまでの研究では、角質層は、氷伝播に対するバリアを作り出すように思われ、凍結は境界面で起こるが、皮膚は、一貫した治療条件であっても、可変で予測できない時間に凍結する。
【0054】
方法100は、冷却アプリケータを患者の皮膚表面と接触させる前に冷却アプリケータを治療前温度に事前冷却することをさらに含み得る102。冷却アプリケータを治療前温度に事前冷却した後、アプリケータは、患者の皮膚上に置かれ得る103。冷却アプリケータが皮膚表面上に位置付けられた後、冷却アプリケータは、皮膚を凍結させるよう事前に調整するため第1の期間にわたり治療前温度を目指して駆動され得る104。第1の期間の期間の後で、かつ冷却アプリケータが皮膚表面に接して位置付けられ維持されている間、冷却アプリケータの温度は、第2の期間にわたり治療温度を目指して調節され得る106。第2の期間の後で、かつ冷却アプリケータが皮膚に接して位置付けられ維持されている間、冷却アプリケータの温度は、凍結した皮膚組織を解かすように治療後温度を目指して調節され得る108。その後、冷却アプリケータは、冷却アプリケータと皮膚との間の境界面が解けた後で患者の皮膚から取り外され得る110。
【0055】
最初により低い温度を適用し、したがってクーラーと皮膚との間により大きい温度勾配を設定することによって、皮膚は、より一貫して凍結され得ることが分かっている。他の条件が等しい場合、−5℃のより低い温度を皮膚に適用すると、−2℃の温度を適用した場合よりも短い時間にわたり、より一貫して凍結が引き起こされる。−10℃の温度は、−5℃の温度よりも一貫してかつ迅速に凍結させ、−20℃の温度は、−10℃の温度よりも一貫してかつ迅速に凍結させる。より低い温度は、より一貫してかつより迅速に皮膚を凍結させるが、より低い温度および/またはより長い期間は色素沈着過剰などの有害な副作用を増大させ得るので、治療期間中このような低い温度を皮膚に適用することは望ましくない場合がある。したがって、クーラーは、第1のより低い温度(または治療前もしくは事前調整温度)で適用されて、凍結を誘発し得、次に、治療期間にわたって依然として皮膚組織の氷点未満である、より高い/暖かい温度へと調節され得る。
【0056】
さらに、皮膚接触前に冷却アプリケータを事前冷却することにより、空気中の水分による、または水を冷却アプリケータに直接付けること(例えば、ミスト化など)による冷却アプリケータ上での氷晶形成がもたらされ得る。さらに、より低い事前冷却温度では、アプリケータが患者の皮膚と接触させられたときにアプリケータの表面上に形成されている氷晶が溶ける可能性が低い。したがって、冷却アプリケータ上での氷形成は、境界面での、および皮膚内への氷形成を播種する(seed)ため患者の皮膚と最初に接触した後に残り得る。
【0057】
事前冷却温度が暖かすぎると、冷却アプリケータ上に形成された氷は、アプリケータと皮膚とが最初に接触すると溶ける場合があり、また、境界面での、および皮膚内への氷形成を播種することができない場合がある。代わりに、水は、液体状態に戻り、その状態にとどまることができ、いくらかの可変の時間にわたり過冷却され得、それによって、凍結の一貫性を低下させる。
【0058】
いくつかの実施形態では、冷却アプリケータは、−10℃〜−20℃の温度に事前冷却される102。オプションとして、冷却アプリケータは、−12℃〜−18℃、例えば−15℃に事前冷却される102。いくつかの実施形態では、冷却アプリケータは、−15℃以下の温度に事前冷却される102。
【0059】
前述したように、患者の皮膚と接触した後、冷却アプリケータの温度は、患者の皮膚からの熱伝導によって高まり得る。したがって、いくつかの実施形態では、冷却アプリケータは、最初の接触後にある期間にわたり治療前温度を目指して駆動される104。冷却アプリケータが治療前温度を目指して駆動される期間は、いくつかの実施形態では、5秒未満(例えば、0〜3秒など)であってよい。いくつかの実施形態では、この期間は、事前プログラムされた治療周期のプリセットパラメータであってよい。より低い治療前温度は、冷却アプリケータと皮膚との間により大きな温度勾配を提供し得、それによって、より一貫した様式で皮膚を凍結させるよう調製し、かつ/または先に播種された氷晶を、冷却アプリケータと皮膚との間の境界面に維持することができる。
【0060】
境界面材料およびアプリケータ材料の熱浸透率は、ここで作用し始めることができる。アプリケータが境界面に比べて高い熱浸透率を有する場合、その温度は、比較的安定した状態のままであってよく(例えば、それほど暖かくない)、したがって、その表面に形成されている任意の小さい氷晶が凍結したままとなり得るので、凍結を開始することができる。アプリケータ材料の厚さも作用し始めることができる。高い熱浸透率の厚い材料は、比較的一定の温度を維持するが、より低い熱浸透率の別の材料で裏打ちされた薄い材料は、かなり暖かい。いくつかの実施形態では、アプリケータは、約0.5インチの厚さを有するアルミニウム表面を含み得る。あるいは、アプリケータは、高い過渡熱負荷に反応することもできる、より強力なTECと組み合わせて、0.25インチ以下の厚さを有する冷却表面を有し得る。冷却板は、銅または適切に高い熱浸透率を有する別の材料で作られることもできる。
【0061】
アプリケータが当てられた後、これは、短期間にわたって治療前温度を目指して駆動され、凍結を開始するために境界面から十分なエネルギーが引き出されるのを確実にし、その後、アプリケータは、第1の温度より暖かい第2の温度(または治療温度)へと調節されるか、または暖められ得る106。治療温度は、治療前温度より暖かいが、少なくとも特定の実施形態では、好ましくは皮膚凍結温度より低い。いくつかの実施形態では、治療温度は、−2℃〜−12℃、または−2℃〜−10℃、例えば−8℃〜−10℃である。第2のより暖かい治療温度により、治療効果を調整し(温度が暖かいほど効果が少ない)、副作用(より低い温度でよく見られる)を減少させることができる。アプリケータは次に、所望の治療効果を達成するが、望ましくない副作用を避けるのに十分な期間にわたり第2の温度を目指して駆動され得る。いくつかの実施形態では、冷却アプリケータの温度は、アプリケータが皮膚に接して位置付けられる間、10〜30秒の期間にわたり治療温度を目指して調節され得る。いくつかの実施形態では、第2の治療温度を適用する期間は、事前プログラムされた治療周期のプリセットパラメータであってよい。
【0062】
前述したように、冷却アプリケータが治療温度を目指して駆動される期間は、プリセット治療周期へとプログラムされた所定のパラメータであってよい。いくつかの実施形態では、冷却アプリケータが治療温度を目指して駆動される期間は、可変であってよく、特定の実施形態では、皮膚凍結の開始に左右され得る。例えば、いくつかの実施形態では、センサーが組み込まれて、アプリケータに近位の組織の凍結を検出することができる。凍結が検出された後、より適度な(より暖かい)第2の凍結温度が、凍結の検出後のプリセット期間にわたり、適用され得る。このような実施形態は、組織を事前に指定された期間にわたり凍結状態に維持することによって治療効果を調節することができる。
【0063】
特定の実施形態では、凍結検出センサーは、局所的な組織凍結の発生を検出するように構成された温度センサーであってよい。温度センサーによって検出された温度は、それが接触している冷却アプリケータの温度に対応し得る。アプリケータが皮膚表面上に置かれると、検出された温度は、アプリケータの下部表面が皮膚によりわずかに暖められるにつれて、上昇する。アプリケータによる皮膚の伝導性の冷却が進むと、測定された温度が次に低下する。このような低下の速度および範囲は、いくつかの要因、例えば、アプリケータの初期温度、材料、および幾何学的外形、アプリケータを冷却するのに使用される冷却設備の効率などによって左右され得る。組織凍結がアプリケータの下部表面の近位で起こると、局所温度の一時的なわずかな上昇が検出され得、これは、凍結相転移中に放出された潜熱から生じるものである。検出された温度は、その後、凍結組織のさらなる冷却が進むにつれて、低下し続け得る。したがって、温度センサーによって経時的な冷却曲線において検出される「隆起」は、局所組織凍結の発生も示し得る。先に組み込まれている特許文献2および特許文献3は、皮膚凍結の開始を決定する目的で本開示の実施形態と組み合わせられ得る他の凍結検出センサーを記載している。
【0064】
同様に、冷却アプリケータが初期接触後に治療前温度を目指して駆動される期間は、可変であってよく、また特定の実施形態では、皮膚凍結の開始に左右され得る。例えば、凍結検出センサーは、アプリケータより近位の組織の凍結を検出するために組み込まれ得る。凍結が検出された後、冷却アプリケータは、治療前温度を目指して駆動されるのを止められ得、より適度な(より暖かい)第2の凍結温度がその後適用され得る。
【0065】
冷却治療期間後、冷却アプリケータの温度は、治療後温度を目指して調節され得る108。いくつかの実施形態では、治療後温度は、治療を停止させ、境界面を解かすか、または別様に冷却アプリケータを皮膚から引き離すよう0℃より高くてよい。いくつかの実施形態では、治療後温度は、0℃〜10℃(例えば、5℃など)または0℃〜40℃である。いくつかの実施形態では、アプリケータは、治療後30秒を超えて患者の皮膚に接して維持され得る。境界面が解けた後、アプリケータは、皮膚から取り外され得る110。この時間および温度は不可欠ではないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、目的は、比較的短期間で組織を解凍し、アプリケータを組織から解放することである。
【0066】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、皮膚組織における低色素沈着を生じるために使用され得る例示的な器具10の例示的な断面側面図を示す。例示的な器具10は、熱電クーラー12と熱伝達して提供される冷却アプリケータ11を含み得る。熱交換器16が、冷却アプリケータ11とは反対側で熱電クーラー12と熱的に連結され得る。特定の例示的な実施形態では、冷却アプリケータ11および冷却設備12は、少なくとも一部が単一材料から形成され得る。コントローラ15が、方法100の態様を実行するために熱電クーラー12の特定の態様、例えば、温度、時限シャットオフなど、を制御するために設けられ使用され得る。熱電クーラー12、コントローラ15、および/または冷却アプリケータ11は、オプションとして、
図2に示すようにハウジングまたはハンドピース13内部に設けられるか、またはこれに取り付けられ、例えば、器具10の取り扱いおよび位置付けを促進することができる。
図2に示す例示的な器具10は、必ずしも一定の比率に縮小して描いたものではない。例えば、熱電クーラー12および冷却アプリケータ11の相対寸法は、
図2に示す割合に制限されるものではない。本開示のさらなる例示的な実施形態では、冷却アプリケータ11は、熱電クーラー12の寸法と比較して、幅または断面積がより大きくても、より小さくてもよい。
【0067】
冷却アプリケータ11は、皮膚表面に接触するように構成された遠位(接触)表面14を含み得る。遠位表面14は、実質的に平らであってよい。本開示のさらなる例示的な実施形態では、遠位表面14は、器具10が治療される皮膚領域上に置かれたときに、治療されている皮膚組織の局所形状によりよく合うように、かつ/または皮膚表面との良好な熱接触を提供するように、凸状または凹状であってよい。本開示のなおさらなる例示的な実施形態では、冷却アプリケータ11は、熱電クーラー12から切り離し可能であってよく、例えば、それによって、本明細書に記載するような異なるサイズ、形状、および/または表面特徴を有する複数の冷却アプリケータ11が、単一の熱電クーラー12と共に使用され得る。
【0068】
遠位接触表面14は、皮膚の領域の表面に接触するように構成された大きい幅または直径、例えば、約3〜10cmより大きいか、または約5cmより大きい直径または幅を有して、大きい面積の皮膚の治療を促進することができる。さらなる実施形態では、遠位表面14の幅は、小さく、例えば、およそ1〜2cm以下であってよく、これは、皮膚上の特定の特徴の温度制御および/または治療の改善を促進し得る。
【0069】
冷却アプリケータ11は、金属もしくは金属合金、または、高い熱浸透率を有する別の材料から形成され得、例えば、それによって、これらの熱物理特性の値は、皮膚組織の対応する値よりも大きくなる。熱浸透率εは、材料の熱伝導率とその体積熱容量(volumetric heat capacity)との積の平方根に等しい。熱浸透率は、材料がその周囲と熱交換し、その際に一貫した温度を維持する能力の尺度である。例えば、温度T1およびT2それぞれの2つの半無限材料を接触させる境界面温度Tiは、Ti=T1+(T2−T1)×[ε2/(ε2+ε1)]として、それらの相対的な浸透率ε1およびε2に左右される。したがって、例えば、ε2>>ε1であれば、2つの材料が接触する境界面温度は、熱が一方から他方へ流れるときT2に近いままである。このように、第1の材料の表面は、第2の材料を第1の材料と接触させたときにはるかに高い熱浸透率を有する第2の材料の温度近くまで冷却される。
【0070】
例えば、冷却アプリケータ11は、少なくとも一部または全体が、真ちゅう、銅、銀、アルミニウム、アルミニウム合金、鋼、グラファイト、ダイヤモンド、ダイヤモンド様炭素、従来の接触凍結探針に使用される他の材料、またはそれらの組み合わせで作られ得る。例えば、冷却アプリケータ11は、全体または少なくとも一部が、皮膚組織よりはるかに高い熱伝導率を有する材料から形成され得、冷却アプリケータ11の遠位表面14が接触する組織の部分からの熱の抽出を促進するのに使用され得る。さらに、皮膚組織よりはるかに高い熱浸透率、皮膚の熱浸透率の例えば少なくとも約10倍、を有する材料は、低温でより容易に維持され得る。このような高い浸透率の材料は、これによって、より低い熱浸透率を有する材料よりも、冷却アプリケータ11が接触する組織の部分から効果的に熱を抽出し、接触境界面における組織温度のより良い制御を促進することができる。
【0071】
本開示の特定の例示的な実施形態では、冷却アプリケータ11の遠位接触表面14は、熱電クーラー12に接触する冷却アプリケータ11の近位端部よりも面積が小さくてよい。このような幾何学的形状は、特定の利点をもたらし得る。例えば、冷却アプリケータ11の、より狭いかまたはテーパー状の遠位端部は、冷却される皮膚表面の特定の場所での遠位表面14のより正確な設置を促進すると共に、例えば、ハウジング13による視覚の妨害を軽減することができる。さらに、冷却アプリケータ11の比較的大きい近位端部は、より小さい遠位接触表面14からの熱の抽出を増やすのを促進するため、熱電クーラー12により直接冷却され得る、より大きい面積を提供し得る。特定の実施形態では、冷却アプリケータ11の近位端部の面積は、遠位接触表面14の面積より少なくとも2倍大きく、例えば3〜5倍大きくてよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、冷却アプリケータ11の遠位表面14は、参照により既に組み込まれている特許文献1または特許文献3に記載されるものと同じように、複数の突出部を備えていてよい。
図2Aおよび
図2Bは、本開示による冷却治療を提供し得る皮膚の領域の断続的な治療のための突出部17を備えた例示的な治療装置を示す。あるいは、前述したように、遠位表面は、平らであるか、丸みを帯びて、特許文献2に記載されたアプリケータと同じような連続した接触表面を提供し得る。
図2Cは、本開示による冷却治療を提供し得る皮膚の領域の連続的な接触および治療のための平らな表面を備えた例示的な治療装置を示す。なおさらなる実施形態では、遠位表面14は、特許文献4に記載されるアプリケータと同じようにくぼみを含み得る。
図2Dは、本開示による冷却治療を提供し得る皮膚の領域の治療のためのくぼんだ表面21を備えた例示的な治療装置を示す。オプションとして、遠位表面14は、特許文献6に記載されるアプリケータと同じように、でこぼこにされるか、またはぎざぎざをつけられてよい。
図2Eは、本開示による冷却治療を提供し得る皮膚の領域の治療のためのでこぼこにされた表面を備えた例示的な治療装置を示す。
【0073】
前述したように、コントローラ15が、熱電クーラー12を制御するために提供され得る。
図3は、いくつかの実施形態による治療周期を与えるための例示的な方法300を示す。いくつかの実施形態では、コントローラ15は、方法100の特定の態様を実行する冷却治療周期を提供するために熱電クーラー12または他の冷却設備を制御するように構成され得る。例えば、コントローラ15は、患者の皮膚と接触する前に冷却アプリケータ11を治療前温度に事前冷却するために第1の電流を熱電クーラー12に送り得る302。第1の電流は、冷却アプリケータが患者の皮膚に接して置かれた後、第1の期間にわたり治療前温度を目指して冷却アプリケータを冷却するために熱電クーラー12に送られ得る302。第1の期間の後で、かつ冷却アプリケータが患者の皮膚に接して保持されている間、第2の電流が、第2の期間にわたり、治療前温度より高い(より暖かいが、概して皮膚凍結温度よりは低い)治療温度を目指して冷却アプリケータ11の温度を調節するために熱電クーラー12に送られ得る304。第2の期間の後で、かつ冷却アプリケータが患者の皮膚に接して保持されている間、第3の電流が、第3の期間にわたり、治療温度より高い治療後温度を目指して冷却アプリケータ11の温度を調節するために熱電クーラー12に送られ得る306。
【0074】
いくつかの実施形態では、温度センサーは、冷却アプリケータ11の温度と関連付けられた信号をコントローラ15に提供するために設けられ得る。温度センサーからの信号は、冷却アプリケータ11がいつ治療前温度に到達し、患者の皮膚に当てられる準備が整ったかを示すことができる。いくつかの実施形態では、コントローラ15は、装置10が患者の皮膚に当てられる準備が整ったことを示すためにユーザが知覚できる信号を提供し得る。ユーザが知覚できる信号は、音響信号、視覚的信号、または触覚的信号などであってよい。
【0075】
コントローラ15はまた、温度信号に応じて、熱電クーラー12へと送られた電流および/または電力を自動的に調節して、所望の温度を目指して冷却アプリケータを駆動することができる。制御システムの反応性に応じて、いくつかの実施形態では、熱電クーラーに送られた電流は、第1の電流の送達から第2の電流の送達への移行中に、一時的に逆にされ得る。同様に、いくつかの実施形態では、熱電クーラーに送達された電流は、第2の電流の送達から第3の電流の送達への移行中に、一時的に逆にされ得る。
【0076】
オプションとして、いくつかの実施形態では、熱電クーラーに送達された電力は、第1の電流の送達から第2の電流の送達への移行中に減少されるか、または止められ得る。同様に、いくつかの実施形態では、熱電クーラーに送達された電力は、第2の電流の送達から第3の電流の送達への移行中に減少されるか、または止められ得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、第1の期間および第2の期間後の熱電クーラー12に対する調節は、自動であってもよい。例えば、ユーザは、冷却アプリケータが患者の皮膚に当てられたときにスイッチを作動させ得る。スイッチの作動は、治療周期の開始をコントローラ15に信号伝達し得る。その後、コントローラ15は、プリセットされた時間に温度を調節するように、事前プログラムされた様式で、熱電クーラー12に送達された電流および/または電力を調節し得る。
【0078】
さらなる実施例では、接触センサーが、設けられてよく、接触センサーは、冷却アプリケータ11が患者の皮膚に接して置かれたことを示す信号をコントローラ15に提供する。その後、コントローラ15は、(例えば、第1の期間および第2の期間の後で冷却設備12が目指して駆動される温度をコントローラ15が自動的に調節する)冷却治療周期を自動的に開始することができる。接触センサーは、力センサー、光センサー、IRセンサー、温度センサー、または、板および境界面の電気特性の変化、例えば、抵抗、キャパシタンスなどの変化を測定するセンサーであってよい。
【0079】
例えば、いくつかの実施形態では、温度センサーが設けられ得る。治療周期は、温度センサーが治療前温度からの温度の上昇を検出すると、開始され得る。温度の上昇は、患者の皮膚との接触、および皮膚から冷却板への熱伝導によるものであり得る。その後、治療周期は、温度の上昇によって(例えば、自動的に)誘発され得る。いくつかの実施形態では、センサーからの温度信号は、ある期間(例えば、1〜2秒)または移動時間窓(moving time window)にわたって平均化され、その後、閾値と比較され得る。これは、感知される温度の一次的な低下またはスパイクに起因する、意図しない誘発を減少させるのに役立ち得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、力センサーが設けられ得、これは、冷却アプリケータが経験する力に基づいて冷却アプリケータがいつ皮膚と接触したかを検出する。感知される力の増大は、アプリケータが患者の皮膚に押し付けられていることを示し得る。その後、治療周期は、感知される力の増大によって(例えば、自動的に)誘発され得る。同様に、感知された負の力は、不注意に装置が取り外された間、アプリケータが依然として凍結している/患者の皮膚に取り付けられていることを示し得る。次に、エンドユーザへの警告が、患者の皮膚への潜在的なダメージを防ぐために誘発され得る。いくつかの実施形態では、センサーからの力信号は、ある期間(例えば、1〜2秒)または移動時間窓にわたって平均化され、その後、閾値と比較され得る。これは、感知される力の一次的な低下またはスパイクに起因する、意図しない誘発を減少させるのに役立ち得る。
【0081】
皮膚との冷却器具の最初の接触は、熱電クーラーに送達される電力の量の変化に基づいて検出されてもよい。例えば、器具が患者の皮膚と最初に接触したとき、熱電クーラーの温度は、患者の皮膚からの熱伝導により上昇し得る。したがって、コントローラ15は、温度フィードバックを用いて、熱電クーラーに追加の電力を送達して、熱電クーラーを所望の温度に維持することができる。熱電クーラーに送達される電力の増加は、治療周期の開始を誘発し得る。あるいは、接触は、冷却板の測定された温度の変化を観察することによって検出され得る。
【0082】
あるいは、治療は、アプリケータが皮膚と接触させられたときにユーザが作動させる機械スイッチによって誘発され得る。したがって、接触センサーからの1つまたは複数の信号、電力消費測定値、熱流束測定値、または他の測定信号も、治療中、治療パラメータ/アルゴリズムを改変することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、治療装置は、
図4の例示的な断面構成に示すように、1つまたは複数の力センサーを備え得る。例示的な器具400は、ハンドル402と、冷却設備420と、冷却設備420の下方表面上に設けられたオプションの冷却板422と、を含み得る。力センサー410は、冷却板の適用表面のサイズに基づいて圧力へと変換されることにより、例えば器具400の操作中に器具400の接触表面440と皮膚または組織表面との間の接触圧力を伝達し得る、力を検出するために使用され得る。このような圧力検出は、例えば、接触要素422と治療されている組織との間の良好な熱接触を促進するよう、十分なまたは適切な圧力が加えられるのを確実にするために有用となり得る。多少かまたはそれより多いPSI(例えば、血管の収縮期圧より高い、例えば約2.5PSI以上)の接触圧力はまた、組織表面付近の血流のいくらかの局所的なブランチング(blanching)または制限を生じ得る。局所的なブランチングは、流れる血液により局所組織への熱伝導を減少させ、それによって、組織または皮膚表面近くの器具400による冷却または熱抽出を改善し得る。
【0084】
力センサー410は、例えば、圧電材料、ピエゾ抵抗ひずみゲージ、容量もしくは誘導センサー、感圧インクなどといった、力を検出するのに使用され得る任意の従来の構成要素を含み得る。1つまたは複数の力センサー410は、器具400の中に設けられ得る。それらの数、力センサー410のタイプおよび/または場所は、例えば、検出された接触力の信頼性を含むいくつかの要因に基づいて選択され得る。例えば、力センサー410は、小さく、低い熱質量を有し、かつ/または器具400の熱伝導特徴の減少を最小限にするか、もしくは避けるために高い熱伝導率を有し得る。
【0085】
1つまたは複数の力センサー410の場所は、器具400の使用中に接触表面440と皮膚表面との間の接触圧力の正確な表示を提供するよう選択され得る。例えば、1つまたは複数の力センサー410は、冷却設備420およびハンドル402が良好に機械的接触している場合、
図4に示すように、冷却設備420の上方部分とハンドル402との間に設けられ得る。この例示的な構成は、力感知能力を提供すると共に、冷却設備420と皮膚表面との間の熱流または熱伝導の減少を避けることができる。本開示のさらなる例示的な実施形態では、1つまたは複数の力センサー410は、冷却設備420と接触要素422との間、接触要素422の接触表面440上、接触要素422内部、またはこれらの場所の任意の組み合わせにおいて設けられ得る。
【0086】
力インジケータ460が、器具400上またはその近くに設けられ得る。このような力インジケータは、検出された接触力のデジタルまたはアナログの読み出し情報、接触力がいつ特定の力範囲内もしくは範囲外、または特定の限界より上/下となったかを示すためにオン/オフするか、または色を変えることができるインジケータライト、可聴信号などを含み得る。
【0087】
力インジケータを使用して、操作者に信号を提供するかまたは別様に送信して、器具400の使用中に適切な接触力の存在を確実にすることができる。この力感知特徴は、本明細書に記載する器具および方法の例示的な実施形態のいずれかと共に使用され得る。
【0088】
オプションとして、いくつかの実施形態では、力センサー410は、コントローラ450と連結され得、冷却アプリケータが治療前および/または治療温度を目指して駆動される期間は、力センサー410により感知される力に基づいて自動的に調整され得る。例えば、力センサー410が特定の閾値を下回る力を感知すると、冷却アプリケータが治療前および/または治療温度を目指して駆動される期間は、調節され(長くされるか、または調節され)得る。同様に、力センサー410が特定の閾値を上回る力を感知すると、冷却アプリケータが治療前および/または治療温度を目指して駆動される期間は、調節され(例えば、長くされるか、または短くされ)得る。場合によっては、力は、圧力を生じる接触表面の表面積によって標準化される。いくつかの実施形態では、治療前時間または治療時間のタイマーは、感知された圧力が閾値を下回る場合には休止され、感知された圧力が閾値を超えて上昇すると再開する。オプションとして、治療前時間または治療時間のタイマーは、感知された圧力が閾値を下回って下がる場合には、リセットされ得る。さらなる実施例では、治療時間は、圧力低下が閾値を下回る、例えば1psiである場合には、延長され得る。さらに、治療時間は、圧力が閾値を超える場合には、延長され得る。これらの治療時間は、TEC電力の閾値および/または測定された熱流束に基づいて、同様に改変され得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、力センサー410が所望の範囲外の力を感知した場合、冷却アプリケータの温度は調節され得る。例えば、いくつかの実施形態では、力センサー410が閾値を下回る力を感知した場合、コントローラ450は、より低い温度を送るよう冷却設備を調節することができる(治療前および/または治療中)。さらに、いくつかの実施形態では、力センサー410が閾値を上回る力を感知した場合、コントローラ450は、より暖かい温度を送るよう冷却設備を調節することができる(治療前および/または治療中)。いくつかの実施形態では、センサーからの信号は、ある期間(例えば、1〜2秒)または移動時間窓にわたって平均化され、その後、閾値と比較され得る。これは、感知される力の一次的な低下またはスパイクに起因する誘発を減少させるのに役立ち得る。
【0090】
さらに、いくつかの実施形態では、力センサー410からのフィードバックは、治療周期の終了の信号を送ることができる。例えば、圧力低下は、力センサー410によって検出され得、例えば、2〜5ポンドから約0ポンドへの移行を感知し、これにより、ユーザ(臨床医など)が器具を患者の皮膚から取り外したことを信号伝達する。その後、コントローラ450は、器具を所望の状態またはアイドル状態にリセットし得る。例えば、いくつかの実施形態では、コントローラ450は、次の冷却治療適用を準備するために治療前温度を目指して接触表面422を駆動するよう冷却設備420を制御することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、コントローラ450は、接触表面422が患者の皮膚から係合解除されたことを力センサー410が示すと、冷却設備420への電力送達を中止し得る。前述したいくつかの態様は、概して力センサー410の使用と共に記載されているが、他の接触センサーまたは測定信号(例えば、熱流束測定)を前述したように使用し得ることが認識されるであろう。例えば、ばねに基づく接触センサー、赤外線接触センサーなどが、患者の皮膚からの接触表面422の係合解除を感知して、所望の状態またはアイドル状態への器具の復帰を自動的に誘発するのに使用され得る。
【0091】
器具がいつ患者の皮膚から取り外されたのかを感知するための力センサー(例えば、センサー410)を使用する実施形態では、圧力示度を較正する(例えば、センサーにより検出された重力効果を調節する)ために配向センサー470(例えば、加速度計など)からの信号を使用することが有益となり得る。例えば、接触要素422が上を向いた状態(すなわち、
図4に示すのと反対側)で器具400が配向されると、力センサー410は、冷却設備420および接触要素422の重量を感知することができる。代替案では、接触要素422が下を向いた状態で(
図4に示すように)器具400が配向されると、力センサー410は、冷却設備420および接触要素422の重量を感知することができない。したがって、いくつかの実施形態では、加速度計または他の配向センサー470が設けられ、器具400の配向を感知して、重力効果または配向効果を調節し、器具がいつ患者の皮膚から取り外されたかをコントローラ450が正確に決定することを確実にし得る。
【0092】
さらに、配向センサーを使用する実施形態では、複数の力センサーと連結されたコントローラは、治療周期中に器具がいつ適切でない傾斜または角度で皮膚に当てられたかを決定するように構成され得る。皮膚に対する器具の傾斜が所望の範囲外である場合、事前冷却期間/温度および/または治療期間/温度は、皮膚に対する器具の適切でない傾斜の説明をつけるように調節され得る。いくつかの実施形態では、配向センサーからの信号は、ある期間(例えば、1〜2秒)にわたって平均化され、その後、傾斜閾値と比較され得る。
【0093】
前述した実施形態の多くは、概して皮膚組織の意図しない過冷却を制限するものとして論じられているが、本発明の他の実施形態は、凍結を開始する前に組織を意図的に過冷却し得る。例えば、
図5は、本発明のいくつかの実施形態による別の例示的な治療方法500を示す。方法500は、冷却アプリケータを患者の皮膚上に置くことで始めることができる502。患者の皮膚は次に、冷却アプリケータで意図的に過冷却され得る504。皮膚の過冷却後、かつ冷却アプリケータが皮膚表面に接して位置付けられ維持されている間、皮膚の凍結は、バイブレータにより開始され得る506。その後、冷却アプリケータは、凍結開始後、第1の期間にわたり皮膚表面と接して維持され得る508。第1の期間後で、かつ冷却アプリケータが皮膚に接して位置付けられ維持されている間、冷却アプリケータの温度は、凍結した皮膚組織を解かすために治療後温度を目指して調節され得る510。冷却アプリケータと皮膚との間の境界面が解けた後、冷却アプリケータは、患者の皮膚から取り外され得る512。例えば、皮膚は、組織に結晶化を引き起こす前に20秒間過冷却され得る。組織は次に、組織を解かすために再び暖める前にさらに15秒間凍結状態に保持され得る。理論に拘束されるわけではないが、氷晶の構造は、過冷却のレベルに応じて変化する。さらに、結晶化は、過冷却された組織でより急速に起こる。皮膚における氷晶の構造および形成速度の両方が、過冷却された組織で引き起こされた場合に有益な臨床結果をもたらし得る。最後に、外部刺激で氷晶化を開始することによって、治療は、より制御可能で一貫性のあるものとなる。
【0094】
図6は、方法500に従って皮膚組織に低色素沈着を生じさせるのに使用され得る例示的な冷却器具600を示す。例示的な器具600は、熱電クーラー612との熱伝達において提供される冷却アプリケータ611を含み得る。熱交換器616が、冷却アプリケータ611とは反対側で熱電クーラー612と熱的に連結され得る。特定の例示的な実施形態では、冷却アプリケータ611および冷却設備612は、少なくとも一部が単一材料から形成され得る。バイブレータ618(例えば、音響変換器、超音波変換器など)が設けられ得る。いくつかの実施形態では、バイブレータ618は、バイブレータ618が熱電クーラーに対して熱交換器616の反対側にあるように、熱交換器616の遠位側と連結され得る。コントローラ615は、熱電クーラー612の特定の態様、例えば温度などを制御するために設けられ、使用され得る。さらに、コントローラ615は、バイブレータ618からの超音波の送達(例えば、タイミング、電力、周波数など)を制御するためにバイブレータ618と連結され得る。熱電クーラー612、コントローラ615、バイブレータ618、および/または冷却アプリケータ611は、オプションとして、
図6に示すように、ハウジングまたはハンドピース613内に設けられるか、または取り付けられて、例えば、器具600の取り扱いおよび位置付けを促進することができる。
図6に示す例示的な器具600は、必ずしも一定の比率に縮小して描いたものではない。
【0095】
例えば、熱電クーラー612および冷却アプリケータ611の相対寸法は、
図6に示す割合に制限されるものではない。本開示のさらなる例示的な実施形態では、冷却アプリケータ611は、熱電クーラー612の寸法と比較して、幅または断面積がより大きくても、より小さくてもよい。
【0096】
冷却アプリケータ611は、皮膚表面に接触するように構成された遠位(接触)表面614を含み得る。遠位表面614は、実質的に平らであってよい。本開示のさらなる例示的な実施形態では、遠位表面614は、器具600が治療される皮膚領域上に置かれたときに、治療されている皮膚組織の局所形状によりよく合うように、かつ/または皮膚表面との良好な熱接触を提供するように、凸状または凹状であってよい。本開示のなおさらなる例示的な実施形態では、冷却アプリケータ611は、熱電クーラー612から切り離し可能であってよく、例えば、それによって、本明細書に記載するような異なるサイズ、形状、および/または表面特徴を有する複数の冷却アプリケータ611は、単一の熱電クーラー612と共に使用され得る。
【0097】
遠位接触表面614は、皮膚の領域の表面に接触するように構成された大きい幅または直径、例えば、約3〜10cmより大きいか、または約5cmより大きい直径または幅を有して、大きい面積の皮膚の治療を促進することができる。さらなる実施形態では、遠位表面614の幅は、小さく、例えば、およそ1〜2cm以下であってよく、これは、皮膚上の特定の特徴の温度制御および/または治療の改善を促進し得る。
【0098】
冷却器具600は、患者の皮膚と最初に接触してからしばらくの間、患者の皮膚を意図的に過冷却するように構成され得る504。冷却器具600は、0〜5℃または5〜10℃であってよい第1の温度まで対象の表面を徐々に冷却することによって、皮膚を過冷却し得る。おそらくは、凍結が開始された後、組織は、依然として組織の氷点を下回る、より暖かい温度まで暖められ得る。
【0099】
皮膚の過冷却後で、かつ冷却アプリケータ600が皮膚表面と接して位置付けられ維持されている間、皮膚の凍結は、バイブレータ506により開始され得る。振動または他の種類の機械的摂動は、流体媒体および/または患者の皮膚における氷核生成を誘発するか、または別様に促進するかもしくは促すのに役立ち得る。したがって、いくつかの実施形態では、バイブレータ618は、1つまたは複数の音響または超音波変換器(圧電素子など)を含み得る。超音波変換器は、20〜100kHzの範囲の音響エネルギーを送達し得る。オプションとして、バイブレータ618は、その駆動シャフト上に不安定な質量を有する電気モータであってよい。方法500は、一体化されたバイブレータ618を有する装置600により実施され得るが、方法500は、本発明の他の実施形態では、冷却器具および別個の振動装置で実施され得ることを理解されたい。
【0100】
その後、冷却アプリケータ600は、凍結開始後、第1の期間にわたり皮膚表面と接して維持され得る508。いくつかの実施形態では、冷却アプリケータ600は、第1の期間中、治療温度を目指して駆動され得る。治療温度は、少なくとも特定の実施形態では、皮膚凍結温度を下回っていてよい。いくつかの実施形態では、治療温度は、−2℃〜−12℃、または−2℃〜−10℃、例えば−8℃〜−10℃である。いくつかの実施形態では、冷却アプリケータ600は、アプリケータ600が皮膚に接して位置付けられている間、10〜30秒の期間、治療温度を目指して駆動され得る。いくつかの実施形態では、治療温度を適用する期間は、事前プログラムされた治療周期のプリセットパラメータであってよい。いくつかの実施形態では、この期間は、可変であってよく、また、センサー(例えば、接触センサー、配向センサー)からの信号、または前述した実施形態と同じような他の測定信号に基づいてリセットまたは休止され得る。
【0101】
第1の期間後で、かつ冷却アプリケータが皮膚に接して位置付けられ維持されている間、冷却アプリケータの温度は、凍結した皮膚組織を解かすために治療後温度を目指して調節され得る510。いくつかの実施形態では、治療後温度は、治療を停止させ、境界面を解かすか、または別様に冷却アプリケータを皮膚から引き離すよう0℃より高くてよい。いくつかの実施形態では、治療後温度は0℃〜10℃(例えば、5℃など)、または0℃〜40℃である。いくつかの実施形態では、アプリケータは、治療後30秒を超えて患者の皮膚に接して維持され得る。冷却アプリケータと皮膚との間の境界面が解けた後、冷却アプリケータは、患者の皮膚から取り外され得る512。この時間および温度は不可欠ではないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、目的は、比較的短期間で組織を解凍し、アプリケータを組織から解放することである。
【0102】
1つまたは複数の計算装置が、コンピュータ可読形態で提供されるソフトウェア命令にアクセスすることによって所望の機能性を提供するように構成され得る。ソフトウェアを使用する場合、任意の適切なプログラミング、スクリプト記述、または他のタイプの言語もしくは言語の組み合わせを使用して、本明細書に含まれる教示を実施することができる。しかしながら、ソフトウェアは、排他的にまたは全く使用されなくてもよい。例えば、本明細書に記載する方法およびシステムのいくつかの実施形態は、特定用途向け回路を含むがこれらに限定されない配線論理または他の回路によって実施されてもよい。コンピュータ実行ソフトウェアおよび配線論理または他の回路の組み合わせも適切となり得る。
【0103】
本明細書に開示する方法の実施形態は、1つまたは複数の適切な計算装置によって実行され得る。このようなシステムは、本明細書に開示する方法の1つまたは複数の実施形態を実行するように構成された1つまたは複数の計算装置を含み得る。前述したように、このような装置は、コンピュータ可読命令を具体化している1つまたは複数のコンピュータ可読媒体にアクセスすることができ、この命令は、少なくとも1つのコンピュータによって実行されると、少なくとも1つのコンピュータに、本主題の方法の1つまたは複数の実施形態を実行させる。さらに、または代わりに、計算装置は、本主題の方法の1つまたは複数を実行するように装置を動作させる回路を含み得る。
【0104】
1つまたは複数の任意の適切なコンピュータ可読媒体を使用して、本明細書に開示される主題を実行または実践することができ、これにはディスケット、ドライブ、および他の磁気ベースの記憶媒体、ディスク(例えば、CD−ROM、DVD−ROM、それらの変形体など)、フラッシュ、RAM、ROMを含む光学記憶媒体、および他のメモリ装置などが含まれるがこれらに限定されない。
【0105】
本発明の主題は特殊性をもって本明細書で説明されたが、特許請求される主題は、他の方法で具体化でき、異なる要素またはステップを含み得、他の既存のまたは将来的なテクノロジーと共に使用され得る。この説明は、個々のステップまたは要素の配列の順序が明確に記載されている場合を除き、さまざまなステップまたは要素間の任意の特定の順序または配列を意味すると解釈すべきではない。図面に描かれるか、または前述した構成要素の種々の配列、ならびに図示されていないかまたは説明されていない構成要素およびステップが可能である。同様に、いくつかの特徴およびサブコンビネーションが有用であり、他の特徴およびサブコンビネーションと無関係に用いられ得る。本発明の実施形態は、制限目的ではなく例示目的で記載されており、代替的な実施形態が、本特許の読者には明らかであろう。したがって、本発明は、前述されるかまたは図面に描かれた実施形態に制限されず、さまざまな実施形態および改変を、以下の特許請求の範囲から逸脱せずに行うことができる。