(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一端に筒状ドリルが装着され、他端に回転駆動装置が装着されるメインシャフトと、該メインシャフトの中程を周方向に囲繞するように形成され、前記メインシャフトを回転自在に支持するアウターカバーと、該アウターカバーと前記メインシャフトとの間に、前記メインシャフトの周方向に沿って環状に形成された空気室と、該空気室と連通するように前記アウターカバーに設けられ、吸引装置が接続される吸引パイプと、前記メインシャフトの内部に、前記筒状ドリルの内方と前記空気室とを連通するように形成された空気通路と、を備えた集塵型穿孔機のスイベル装置であって、
前記空気通路は、前記メインシャフトの端部に前記筒状ドリルの内方と連通する入口を有し前記メインシャフトの軸方向に沿って形成された第1空気通路と、該第1空気通路と連通する接続口と前記空気室と連通する出口を有する第2空気通路とから成り、
該第2空気通路は、前記メインシャフトの軸方向から見て前記接続口が前記出口よりも前記メインシャフトの回転方向の前方に位置するように、前記メインシャフトの径方向に対して傾斜して形成されており、
前記メインシャフトの中程に、前記メインシャフトの軸方向に対して傾斜した上面を有するフランジ部が形成され、該フランジ部の上面に、前記メインシャフトの周方向に間隔を隔てて前記第2空気通路の出口が複数形成され、これら出口の前記メインシャフトの周方向の間隔が、前記接続口の前記メインシャフトの周方向の間隔よりも広い、ことを特徴とする集塵型穿孔機のスイベル装置。
前記第1空気通路が、前記メインシャフトの内部に軸方向に沿って断面円状に形成され、前記第2空気通路が、前記メインシャフトの軸方向から見たとき、前記第1空気通路の接線方向に沿って形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の集塵型穿孔機のスイベル装置。
前記メインシャフトと前記アウターカバーとの間に、前記空気室を挟むように前記メインシャフトの軸方向に間隔を隔てて一対のベアリングが配設され、前記メインシャフトおよび前記アウターカバーの少なくとも一方に、前記ベアリングの少なくとも一部を覆う防塵フランジが形成されている、ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の集塵型穿孔機のスイベル装置。
前記メインシャフトの内部に、前記第1空気通路の中心に位置して、軸方向に沿ってセンターロッドが設けられ、該センターロッドの先端が前記第1空気通路の入口よりも突出されており、前記センターロッドの外周面と前記第1空気通路の内周面との間隔が、前記第2空気通路の通路内径よりも狭い、ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の集塵型穿孔機のスイベル装置。
【背景技術】
【0002】
土木建築の分野においては、道路、橋梁、建築物等を構成するコンクリート、レンガ、アスファルト等の構造材を筒状ドリルによって穿孔し、所定寸法の円柱状の試料(サンプル)を採取する、或いは工事に必要な円孔を形成すること(所謂コア抜き)が行われている。このように、筒状ドリルによって被切削物(コンクリート等)を穿孔する際、切粉や粉塵(以下、切粉等という)が発生するため、切粉等を除去・回収することが好ましい。
【0003】
円孔を穿孔をしつつ切粉等を除去・回収する装置として、一端に筒状ドリルが装着され、他端に回転駆動装置が装着されるメインシャフトと、メインシャフトの中程を周方向に囲繞するように形成され、メインシャフトを回転自在に支持するアウターカバーと、アウターカバーとメインシャフトとの間に、メインシャフトの周方向に沿って環状に形成された空気室と、空気室と連通するようにアウターカバーに設けられ、吸引装置が接続される吸引パイプと、メインシャフトの内部に、筒状ドリルの内方と空気室とを連通するように形成された空気通路とを備えた集塵型穿孔機のスイベル装置が知られている(特許文献1〜4参照)。
【0004】
かかる集塵型穿孔機のスイベル装置によれば、回転駆動装置によって回転駆動されるメインシャフトの中程に、吸引装置に接続される吸引パイプを備えたアウターカバーが回転自在に装着されているので、回転駆動装置によってメインシャフトを回転させてもアウターカバーが静止した状態となる。よって、メインシャフトを回転駆動装置によって回転させると共に吸引パイプに接続された吸引装置を作動させることにより、メインシャフトに装着された筒状ドリルによって被切削物(コンクリート等)を穿孔でき、穿孔の際に発生した切粉等(切粉、粉塵)は、筒状ドリルの内方からメインシャフトの内部に形成された空気通路を通ってメインシャフトとアウターカバーとの間に形成された空気室に吸い出され、空気室から吸引パイプを通って吸引装置に吸い込まれる。
【0005】
この結果、筒状ドリルによって被切削物(コンクリート等)を穿孔する際に発生した切粉等を吸引装置に回収でき、作業環境および周辺環境の悪化を防止できる。回収した切粉等(コンクリート等)は再利用できる。なお、回収した切粉等から塩素成分を除去することで、より強いコンクリートに再生できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の集塵型穿孔機のスイベル装置においては、筒状ドリルを回転させるメインシャフトの内部に形成された空気通路は、単に空気および切粉等を吸引装置に移送するための通路として利用されているのみであり、メインシャフトの回転力によって積極的に空気および切粉等を排出させる工夫が為されておらず、改善の余地が残されている。
【0008】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、メインシャフトの回転を、筒状ドリルによって被切削物を穿孔する際の切削力として用いるのみならず、切削により生じた切粉や粉塵を積極的に排出するための気流発生のためにも利用でき、筒状ドリルの内方の空気および切粉等を効率よく排出できる集塵型穿孔機のスイベル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成すべく創案された本発明によれば、一端に筒状ドリルが装着され、他端に回転駆動装置が装着されるメインシャフトと、メインシャフトの中程を周方向に囲繞するように形成され、メインシャフトを回転自在に支持するアウターカバーと、アウターカバーとメインシャフトとの間に、メインシャフトの周方向に沿って環状に形成された空気室と、空気室と連通するようにアウターカバーに設けられ、吸引装置が接続される吸引パイプと、メインシャフトの内部に、筒状ドリルの内方と空気室とを連通するように形成された空気通路と、を備えた集塵型穿孔機のスイベル装置であって、空気通路は、メインシャフトの端部に筒状ドリルの内方と連通する入口を有しメインシャフトの軸方向に沿って形成された第1空気通路と、第1空気通路と連通する接続口と空気室と連通する出口を有する第2空気通路とから成り、第2空気通路は、メインシャフトの軸方向から見て接続口が出口よりもメインシャフトの回転方向の前方に位置するように、メインシャフトの径方向に対して傾斜して形成されており
、メインシャフトの中程に、メインシャフトの軸方向に対して傾斜した上面を有するフランジ部が形成され、フランジ部の上面に、メインシャフトの周方向に間隔を隔てて第2空気通路の出口が複数形成され、これら出口のメインシャフトの周方向の間隔が、接続口のメインシャフトの周方向の間隔よりも広い、ことを特徴とする集塵型穿孔機のスイベル装置が提供される。
【0010】
本発明に係る集塵型穿孔機のスイベル装置においては、第1空気通路が、メインシャフトの内部に軸方向に沿って断面円状に形成され、第2空気通路が、メインシャフトの軸方向から見たとき、第1空気通路の接線方向に沿って形成されていてもよい。
【0011】
本発明に係る集塵型穿孔機のスイベル装置においては、
アウターカバーが、メインシャフトの中程を周方向に囲繞するように略筒状に形成され、そのアウターカバーの内周面に、空気室を区画するカバー凹部が周方向に沿って形成され、カバー凹部と対向するように、メインシャフトの外周面に、シャフト凹部が周方向に沿って形成され、シャフト凹部とカバー凹部とが対向することで、メインシャフトとアウターカバーとの間に、空気室が環状に区画され、空気室を区画するカバー凹部とシャフト凹部との上下の接続部が、滑らかな曲線で接続されていてもよい。
【0012】
本発明に係る集塵型穿孔機のスイベル装置においては、メインシャフトとアウターカバーとの間に、空気室を挟むようにメインシャフトの軸方向に間隔を隔てて一対のベアリングが配設され、メインシャフトおよびアウターカバーの少なくとも一方に、ベアリングの少なくとも一部を覆う防塵フランジが形成されていてもよい。
【0013】
本発明に係る集塵型穿孔機のスイベル装置においては、メインシャフトの内部に、第1空気通路の中心に位置して、軸方向に沿ってセンターロッドが設けられ、センターロッドの先端が第1空気通路の入口よりも突出されて
おり、センターロッドの外周面と第1空気通路の内周面との間隔が、第2空気通路の通路内径よりも狭いものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る集塵型穿孔機のスイベル装置よれば、次のような効果を発揮できる。
(1)筒状ドリルによって被切削物を穿孔するため回転駆動装置により回転されるメインシャフトの内部には、気流の通路となる第1空気通路および第2空気通路が形成されている。ここで、第1空気通路と第2空気通路とを接続する接続口は、メインシャフトの軸方向から見て、第2空気通路の出口よりもメインシャフトの回転方向前方に位置し、第2空気通路がメインシャフトの径方向に対して傾斜して形成されている。
(2)このため、メインシャフトの回転に伴って、第1空気通路内の空気および切粉等は、積極的に接続口から第2空気通路に取り込まれ、出口から排出されることになる。すなわち、第2空気通路が、メインシャフトの回転に伴って、第1空気通路内の空気および切粉等を取り込んで空気室に排出するポンプとして機能する。
(3)このように、メインシャフトの回転が、筒状ドリルによって被切削物を穿孔する際の切削力として用いられるのみならず、切粉等を積極的に排出するための気流発生のためにも利用されるため、吸引装置に吸い込まれる空気流の流量流速が増し、筒状ドリルの内方の空気および切粉等を効率よく排出できる。
(4)吸い込みの空気流の流量流速が増すため、その分、切粉等の除去回収量を増やすことができる。また、空気流による筒状ドリルの刃先(ビット)の冷却効果を高めることができ、空気流の吹き飛ばしによるビットの目詰まり防止効果を高められる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。係る実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
(集塵型穿孔機M)
図1に、本実施形態に係る集塵型穿孔機Mのスイベル装置1の使用状態を示す。本実施形態に係るスイベル装置1には、回転駆動装置(電動モーター等)2、筒状ドリル3および吸引装置のホース4が装着され、これら全体で集塵型穿孔機Mを構成する。この集塵型穿孔機Mは、
図2(a)に示すように、路面R(コンクリート路面、アスファルト路面等)を筒状ドリル3によって鉛直下方に穿孔し、所定寸法の円柱状の試料S(サンプル)を採取するものである。
【0018】
なお、本実施形態に係るスイベル装置1は、上述した路面R用の集塵型穿孔機Mへの適用に限られず、回転駆動装置2、筒状ドリル3および吸引装置のホース4が装着されることで、橋梁、建築物等を構成するコンクリート、レンガ、アスファルト等の構造材を筒状ドリル3によって穿孔し、所定寸法の円柱状のサンプルを採取する、或いは工事に必要なコア抜きをする集塵型穿孔機(鉛直姿勢の使用に限られない)に適用することもできる。
【0019】
(スイベル装置1)
図2(a)に、本実施形態に係るスイベル装置1及びそれに装着された筒状ドリル3の側断面図を示し、
図2(b)に、スイベル装置1のメインシャフト5内に形成された空気通路11(第1空気通路6、第2空気通路7)の配置を示し、
図3にスイベル装置1の平面図を示す。なお、
図2(a)においては、作図の都合上、メインシャフト5の上部に接続される回転駆動装置2(
図1参照)と、吸引パイプ10に接続されるホース4とが省略されている。
【0020】
図1〜
図3に示すように、本実施形態に係る集塵型穿孔機Mのスイベル装置1は、一端に筒状ドリル3が装着され、他端に回転駆動装置2が装着されるメインシャフト5と、メインシャフト5の中程を周方向に囲繞するように形成され、メインシャフト5を回転自在に支持するアウターカバー8と、アウターカバー8とメインシャフト5との間に、メインシャフト5の周方向に沿って環状に形成された空気室9と、空気室9と連通するようにアウターカバー8に設けられ、吸引装置が接続される吸引パイプ10と、メインシャフト5の内部に、筒状ドリル3の内方と空気室9とを連通するように形成された空気通路11とを備えている。
【0021】
図2(a)に示すように、空気通路11は、第1空気通路6と第2空気通路7とから成っている。第1空気通路6は、メインシャフト5の端部(下端)に筒状ドリル3の内方と連通する入口12を有し、メインシャフト5の軸方向に沿って形成されている。第2空気通路7は、第1空気通路6と連通する接続口13と、空気室9と連通する出口14とを有する。
図2(b)に示すように、第2空気通路7は、メインシャフト5の軸方向から見て、接続口13が出口14よりもメインシャフト5の回転方向(矢印X)の前方に位置するように、メインシャフト5の径方向に対して傾斜して、メインシャフト5の周方向に間隔を隔てて複数形成されている。以下、各構成要素について説明する。
【0022】
(メインシャフト5)
図2(a)に示すように、鉛直姿勢とされたメインシャフト5の上部には、回転駆動装置2(電動モーター等、
図1参照)が接続される断面四角状のチャック部5aが形成され、メインシャフト5の下部には筒状ドリル3が装着される雄ネジ部5bが形成され、メインシャフト5の内部には、筒状ドリル3の内方の空気および切粉等(切粉、粉塵)をメインシャフト5とアウターカバー8との間に形成された空気室9に移送するための空気通路11(第1空気通路6、第2空気通路7)が形成されている。
【0023】
図2(a)に示すように、メインシャフト5の内部には、断面円形の第1空気通路6の中心に位置して、軸方向に沿ってセンターロッド15がネジで取り付けられており、センターロッド15の先端(下端)15aは、第1空気通路6の入口12よりも下方に突出されている。また、センターロッド15の外周面と第1空気通路6の内周面との間隔は、第2空気通路7(断面円形)の内径よりも狭くなっている。これにより、センターロッド15と第1空気通路6との間を通過した礫等(礫、コンクリート破片等)は、詰まることなく第2空気通路7を通過する。
【0024】
(アウターカバー8)
図2(a)に示すように、アウターカバー8は、メインシャフト5の中程を周方向に囲繞するように略筒状に形成され、ベアリング16を介してメインシャフト5に回転自在に装着されている。アウターカバー8の内周面には、空気室9を区画するカバー凹部8aが周方向に沿って形成され、このカバー凹部8aと対向するように、メインシャフト5の外周面には、シャフト凹部5cが周方向に沿って形成されている。カバー凹部8aとシャフト凹部5cとが対向することで、メインシャフト5とアウターカバー8との間に、環状の空気室9が区画される。
【0025】
図2(a)に示すように、空気室9を区画するカバー凹部8aとシャフト凹部5cとの上下の接続部は、滑らかな曲線で接続されている。これにより、筒状ドリル3の内方から第1空気通路6および第2空気通路7を通って空気室9に流入する空気流は、空気室9内の上部および下部において流れが阻害されることなく上下方向にスムーズに転向され、空気室9内にて矢印で示す渦流が生成される。また、アウターカバー8には、回り止めロッド17が取り付けられている。回り止めロッド17は、メインシャフト5が回転した際、
図1に示すように、回転駆動装置2の一部に押し付けられることで、アウターカバー8の供回りを防止する。
【0026】
(吸引パイプ10)
図2(a)、
図3に示すように、アウターカバー8には、空気室9と連通する吸引パイプ10が装着されている。すなわち、筒状のアウターカバー8には、径方向に貫通孔が形成されており、貫通孔に吸引パイプ10が取り付けられている。吸引パイプ10には、
図1に示すように吸引装置に繋がる吸引ホース4(フレキシブルホース)が接続される。吸引装置は、大型の電機掃除機の如き構造であり、空気室9内の空気を切粉等(筒状ドリル3で路面Rを穿孔する際に生じた切粉や粉塵等)と共に吸い出し、切粉等をフィルタで捕集して空気のみを大気に排出する。捕集した切粉や粉塵(コンクリート等)は再利用できる。なお、回収した切粉や粉塵(コンクリート)から塩素成分を除去することで、より強いコンクリートに再生できる。
【0027】
(筒状ドリル3)
図2(a)に示すように、メインシャフト5の下部の雄ネジ部5bには、筒状ドリル3が装着される。筒状ドリル3は、円筒部3aと、円筒部3aの上部開口を蓋する円板部3bと、円板部3bの中心に形成された円孔に取り付けられた筒状の接続部3cとを備えており、筒状の接続部3cの内周面にはメインシャフト5の雄ネジ部5bと螺合する雌ネジ部が3d形成されている。円筒部3aの下端には、実質的に被切削物(路面R)を切削するビット18が、
図1に示すように、周方向に間隔を隔てて複数溶接されている。
【0028】
図2(a)に示すように、ビット18の厚さは円筒部3aの肉厚よりも大きく、ビット18によって円状に切削された路面Rの溝Gと円筒部3aとの間には、所定の隙間が形成される。よって、回転駆動装置2および吸引装置を作動させて路面Rを穿孔すると、筒状ドリル3の外方の空気は、矢印で示すように、路面Rから円筒部3aの外周面と溝Gとの隙間を通って円筒部3aの下端に至り、円筒部3aの下端においてビット18同士の周方向の隙間を通過して円筒部3aの内周面と溝Gとの隙間を通って筒状ドリル3の内方に至り、第1空気通路6および第2空気通路7を通って空気室9に至り、空気室9から吸引パイプ10および吸引ホース4を通って吸引装置に吸い出される。
【0029】
(第1空気通路6、第2空気通路7)
図2(a)に示すように、メインシャフト5の内部には、筒状ドリル3の内方と空気室9とを連通する空気通路11(第1空気通路6、第2空気通路7)が形成されている。第1空気通路6は、メインシャフト5の中心に軸方向に沿って断面円状に形成されており、メインシャフト5の端部(下端)に筒状ドリル3の内方と連通する入口12を有する。一方、第2空気通路7は、第1空気通路6に連通する接続口13と、空気室9に連通する出口14とを有し、メインシャフト5の周方向に間隔を隔てて複数形成されている。
【0030】
図2(b)に示すように、第2空気通路7は、メインシャフト5の軸方向から見たとき、接続口13が出口14よりもメインシャフト5の回転方向Xの前方に位置するように、メインシャフト5の径方向に対して傾斜して、メインシャフト5の周方向に間隔を隔てて複数形成されている。これにより、メインシャフト5の回転に伴って、第1空気通路6内の空気が積極的に接続口13から第2空気通路7に取り込まれて出口14から排出され、第2空気通路7が、第1空気通路6内の空気を空気室9に排出するポンプとして機能する。なお、第2空気通路7の数は、本実施形態では5であるが、2以上であれば幾つでも構わない。
【0031】
図2(b)に示すように、本実施形態においては、第2空気通路7は、メインシャフト5の軸方向から見たとき、断面円状に形成された第1空気通路6の接線方向(半径と直交する方向)に沿ってストレート状に形成されている。このため、メインシャフト5の回転(矢印X)に伴って、第1空気通路6内の空気および切粉等が遠心力によって第1空気通路6の内周面に押し付けられた際、かかる空気および切粉等が第1空気通路6の接線方向に接続された第2空気通路7に効率よく取り込まれることになる。
【0032】
(フランジ部20)
図2(a)、
図2(b)に示すように、メインシャフト5の中程には、メインシャフト5の軸方向に対して傾斜した上面19を有するフランジ部20が形成されており、フランジ部20の上面19に、第2空気通路7の出口14が、メインシャフト5の周方向に等間隔を隔てて複数(本実施形態では5個)形成されている。出口14が形成されたフランジ部20の上面19の周長は、接続口13が形成された第1空気通路6の内周面の周長よりも長い。この結果、出口14同士のメインシャフト5の周方向の間隔は、接続口13同士のメインシャフト5の周方向の間隔よりも広がる。よって、メインシャフト5の剛性を低下させることなく、第2空気通路7の数を増やすことができる。
【0033】
(防塵フランジ21)
図2(a)に示すように、メインシャフト5とアウターカバー8との間には、空気室9を挟むようにメインシャフト5の軸方向に間隔を隔てて一対の環状のベアリング16が配設されている。そして、メインシャフト5およびアウターカバー8には、空気室9とベアリング16との間に位置して、空気室9内の切粉や粉塵などのダストがベアリング16に侵入することを防止するための防塵フランジ21が、ベアリング16の少なくとも一部を覆うように形成されている。
【0034】
図2(a)において、上段のベアリング16の防塵フランジ21は、メインシャフト5に形成されており、アウターカバー8の内周面に周方向に沿って形成された凸部22と重なることで、防塵効果が高められている。一方、下段のベアリング16の防塵フランジ21は、アウターカバー8に形成されており、メインシャフト5の外周面に周方向に沿って形成された凸部23と重なることで、防塵効果が高められている。なお、防塵フランジ21は、上述とは逆の配置でもよく、上下各段のベアリング16の夫々について、メインシャフト5およびアウターカバー8の少なくとも一方に形成されていればよい。
【0035】
(作用・効果)
図1、
図2(a)に示すように、本実施形態に係るスイベル装置1を用いた集塵型穿孔機Mによって被切削物である路面R(コンクリート路面、アスファルト路面等)を穿孔する際には、回転駆動装置2によってメインシャフト5を回転すると共に、吸引装置を作動させて吸引パイプ10内を吸引する。
【0036】
すると、筒状ドリル3によって路面R(コンクリート路面等)に円孔が切削され、筒状ドリル3のビット18によって切削された路面の切粉や粉塵(コンクリート等)が、
図2(a)に矢印で示すように、筒状ドリル3の内方、メインシャフト5内の第1空気通路6および第2空気通路7、メインシャフト5とアウターカバー8との間の空気室9、吸引パイプ10を通って、吸引装置に吸引される気流と共に除去される。
【0037】
ここで、本実施形態に係るスイベル装置1においては、
図2(b)に示すように、メインシャフト5内の第1空気通路6と第2空気通路7とを接続する接続口13が、メインシャフト5の軸方向から見て、第2空気通路7の出口14よりもメインシャフトの回転方向(矢印X)の前方に位置し、第2空気通路7がメインシャフト5の径方向に対して傾斜して形成されている。
【0038】
このため、メインシャフト5の回転に伴って、第1空気通路6内の空気および切粉等は、積極的に接続口13から第2空気通路7に取り込まれ、出口14から排出されることになる。すなわち、第2空気通路7が、メインシャフト5の回転に伴って、第1空気通路6内の空気および切粉等を空気室9に排出するポンプとして機能する。
【0039】
このように、メインシャフト5の回転が、筒状ドリル3によって被切削物である路面Rを穿孔する際の切削力として用いられるのみならず、切粉や粉塵を積極的に排出するための気流発生のためにも利用されるため、吸引装置に吸い込まれる空気流の流量流速が増し、筒状ドリル3の内方の空気および切粉・粉塵を効率よく排出できる。よって、被切削物である路面Rの切粉や粉塵(コンクリート等)が穿孔の周囲に飛散する事態を可及的に抑制でき、作業環境および周辺環境の悪化を防止できる。
【0040】
また、吸引装置に吸い込まれる空気流の流量流速が増すことで、筒状ドリル3の内方が負圧となる度合が高まる。このため、
図2(a)に矢印で示すように、筒状ドリル3の外方の空気が、路面Rの溝Gと筒状ドリル3との隙間を通り、筒状ドリル3の下端のビット18において折り返し、筒状ドリル3の内方に流入する流量流速が増加する。よって、空気流による筒状ドリル3のビット18の冷却効果が高まり、ビット18の劣化を抑制できる。また、ビット18を通過する空気流の吹き飛ばし効果が高まるため、ビット18の目詰まりを適確に防止できる。
【0041】
(第2空気通路7の接線配置について)
図2(b)に示すように、本実施形態に係るスイベル装置1においては、第2空気通路7は、メインシャフト5の軸方向から見たとき、断面円状に形成された第1空気通路6の接線方向(半径と直交する方向)に沿って形成されている。
【0042】
このため、メインシャフト5の回転に伴って、遠心力によって第1空気通路6の内周面に押し付けられた空気および切粉・粉塵が、第1空気通路6の接線方向に接続された第2空気通路7に効率よく取り込まれる。従って、吸い込みの空気流の流量流速を適確に増大させることができる。この結果、切粉や粉塵を効率よく吸い込んで排出でき、ビット18の冷却効果、ビット18の目詰まり防止効果を高められる。
【0043】
(フランジ部20について)
図2(a)、
図2(b)に示すように、本実施形態においては、メインシャフト5の中程に、メインシャフト5の軸方向に対して傾斜した上面19を有するフランジ部20が形成されており、フランジ部20の上面19に、メインシャフト5の周方向に等間隔を隔てて第2空気通路7の出口14が複数(本実施形態では5個)形成されている。これにより、これら出口14のメインシャフト5の周方向の間隔が、接続口13のメインシャフト5の周方向の間隔よりも広がる。よって、メインシャフト5の剛性を低下させることなく、第2空気通路7の数を増やすことができる。
【0044】
すなわち、
図2(b)において、第2空気通路7の数を増やすと接続口13同士の間隔が狭くなってメインシャフト5の剛性低下を招くが、メインシャフト5にフランジ部20を設けてそのフランジ部20の上面19に出口14を形成することで、フランジ部20の出口14同士の間の部分24が補強部材として機能し、メインシャフト5の剛性が向上する。よって、第2空気通路7の数を可及的に増やすことができ、空気流の流量を増大させることができる。
【0045】
また、フランジ部20の上面19に出口14を形成することで、
図2(a)に示すように、第2空気通路7が斜め上方(メインシャフト5の径方向かつ軸方向の斜め方向)に形成されることになる。従って、第1空気通路6から第2空気通路7を通って空気室9に至る空気の流れがスムーズになり、空気流の流量流速を稼ぐことができる。
【0046】
(防塵フランジ21について)
図2(a)に示すように、本実施形態においては、メインシャフト5およびアウターカバー8には、空気室9とベアリング16との間に位置して、空気室9内のダスト(切粉や粉塵)がベアリング16に侵入することを防止するための防塵フランジ21が、ベアリング16の少なくとも一部を覆うように形成されている。
【0047】
よって、ダストがベアリング16に侵入することが抑制され、信頼性・耐久性が向上する。ベアリング16にダストが侵入蓄積してベアリング16がスムーズに回転しなくなると、メインシャフト5の回転速度が低下し、被切削物の切削性能の低下を招くばかりでなく、アウターカバー8がメインシャフト5と供回りする事態も生じ得るため、好ましくない。本実施形態においては、防塵フランジ21によって、上述の不具合を抑制できる。
【0048】
(センターロッド15について)
図2(a)に示すように、本実施形態においては、メインシャフト5の内部には、第1空気通路6の中心に位置して、軸方向に沿ってセンターロッド15が設けられ、センターロッド15の先端15aが第1空気通路6の入口12(メインシャフト5の下端開口)よりも突出されている。これにより、筒状ドリル3の内方において、円柱状の路面サンプルSが地面から切り離されて吸い上げられたとき、路面サンプルSの頂面がセンターロッド15の下端15aに当接し、第1空気通路6の入口12が路面サンプルSで塞がれる事態を防止できる。
【0049】
また、
図2(a)に示すセンターロッド15は、被切削物である路面R(コンクリート路面等)を筒状ドリル3で切削した際に生じた礫や破片を、第1空気通路6の入口12(メインシャフト5の下端開口)とセンターロッド15との間に捕集し、礫等が吸い上げられて第1空気通路6または第2空気通路7に詰まって閉塞する事態を防止する。詳しくは、センターロッド15の外周面と第1空気通路6の内周面との間隔は、第2空気通路7(断面円形)の内径よりも狭くなっており、センターロッド15と第1空気通路6との間を通過した礫は、途中で詰まることなく第2空気通路7を通過する。
【0050】
(変形例)
本発明の変形例を
図4(前実施形態の
図2(b)に対応する図)に示す。変形例に係るスイベル装置は、第2空気通路7がカーブ状に形成されている点を除き、前実施形態と同様の構成となっている。すなわち、第2空気通路7がメインシャフト5の軸方向から見てメインシャフト5の径方向に対して傾斜して形成されているの概念には、ストレート状に傾斜されているもののみならず、カーブ状に傾斜されているものも含む。かかる変形例においても、前実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0051】
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例または修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。