特許第6975503号(P6975503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6975503
(24)【登録日】2021年11月10日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】動物患者用遠隔診察助言システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20211118BHJP
   G06Q 50/22 20180101ALI20211118BHJP
   H04N 7/14 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   H04N7/18 U
   G06Q50/22
   H04N7/14
   H04N7/18 B
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2021-143728(P2021-143728)
(22)【出願日】2021年9月3日
(62)【分割の表示】特願2021-533767(P2021-533767)の分割
【原出願日】2020年6月12日
【審査請求日】2021年9月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515158272
【氏名又は名称】株式会社PECO
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 純
【審査官】 鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−133270(JP,A)
【文献】 特開2005−267115(JP,A)
【文献】 特開2009−110421(JP,A)
【文献】 特開2004−033663(JP,A)
【文献】 特開2002−203041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G06Q 50/22
H04N 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の動物病院端末及び第2の動物病院端末との間で少なくともビデオ通話を介して実行される動物患者用遠隔診察助言システムであって、
少なくとも第1の動物病院端末は、
診察処理が行われている最中に動物患者の映像を取得可能なカメラ部によって取得した当該動物患者の映像を取得し、
前記診察処理が終了した後に、取得した当該映像を前記第2の動物病院端末に送信するとともに前記ビデオ通話を開始する、
動物患者用遠隔診察助言システム。
【請求項2】
請求項1に記載の動物患者用遠隔診察助言システムであって、
前記第2の動物病院端末は、前記第1の動物病院端末から前記動物患者に関する動物患者情報の取得を許可される、
動物患者用遠隔診察助言システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の動物患者用遠隔診察助言システムであって、
前記第2の動物病院端末は、前記動物患者に対応付けられた処方に関する処方情報の入力を受け付ける、
動物患者用遠隔診察助言システム。
【請求項4】
請求項3に記載の動物患者用遠隔診察助言システムであって、
前記第1の動物病院端末は、前記第2の動物病院端末から前記処方情報を取得する、
動物患者用遠隔診察助言システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の動物患者用遠隔診察助言システムであって、
前記第2の動物病院端末から前記第1の動物病院端末に対して、少なくとも前記ビデオ通話に関する情報を含む報酬情報を送信する、
動物患者用遠隔診察助言システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動物患者用遠隔診察助言システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通話機能に加えて、インターネット又はEメール等の通信機能の他にカメラによる撮像機能が備わったいわゆるスマートフォン等の携帯端末の普及により、各種分野において、撮像機能付きの携帯端末の撮像データを利用したサービスが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、携帯端末と情報処理装置とをネットワークを介して通信可能とするサービスシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−110639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、携帯端末が情報処理装置にデータを通知する際に、より簡単な操作で通知できることが望ましい。また、情報処理装置側にとっても、携帯端末からデータを効率よく受信できることが望ましい。
【0006】
そこで、本開示は、より簡単な操作で第1の動物病院端末及び第2の動物病院端末との間で少なくともビデオ通話によるデータ共有を図りながら、双方向側からリアルタイムで通信することの可能な動物患者用遠隔診察助言システムを提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、第1の動物病院端末及び第2の動物病院端末との間で少なくともビデオ通話を介して実行される動物患者用遠隔診察助言システムであって、少なくとも第1の動物病院端末は、動物患者の映像を取得可能なカメラ部によって取得した当該動物患者の映像を前記第2の動物病院端末に送信し、前記映像が表示される第1表示領域と前記第2の動物病院端末を利用する者が表示される第2表示領域とを同一の表示領域内に表示する、動物患者用遠隔診察助言システムが得られる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、より簡単な操作で第1の動物病院端末及び第2の動物病院端末との間で少なくともビデオ通話によるデータ共有を図りながら、双方向側からリアルタイムで通信することの可能な動物患者用遠隔診察助言システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1の実施形態に係る動物患者用遠隔診察助言システム1の構成例を示す図である。
図2図1に示した第1の動物病院端末10の機能ブロック構成図である。
図3】本開示の第1の実施形態に係るカルテDB131の一例を示す図である。
図4図1に示した第2の動物病院端末20の機能ブロック構成図である。
図5】本開示の第1の実施形態に係る遠隔診察助言方法に係るフローチャートの一例である。
図6】本実施形態のビデオ通話において第1の動物病院端末10に表示される画面構成例を示す図である(その1)。
図7】本実施形態のビデオ通話において第1の動物病院端末10に表示される画面構成例を示す図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態の内容を列記して説明する。本開示は、以下のような構成を備える。
[項目1]
第1の動物病院端末及び第2の動物病院端末との間で少なくともビデオ通話を介して実行される動物患者用遠隔診察助言システムであって、
少なくとも第1の動物病院端末は、
動物患者の映像を取得可能なカメラ部によって取得した当該動物患者の映像を前記第2の動物病院端末に送信し、
前記映像が表示される第1表示領域と前記第2の動物病院端末を利用する者が表示される第2表示領域とを同一の表示領域内に表示する、
動物患者用遠隔診察助言システム。
[項目2]
項目1に記載の動物患者用遠隔診察助言システムであって、
前記第1表示領域は、前記第2表示領域よりも大きく表示される、
動物患者用遠隔診察助言システム。
[項目3]
項目1又は項目2に記載の動物患者用遠隔診察助言システムであって、
前記第2の動物病院端末は、前記第1の動物病院端末から前記動物患者に関する動物患者情報の取得を許可される、
動物患者用遠隔診察助言システム。
[項目4]
項目3のいずれか記載の動物患者用遠隔診察助言システムであって、
前記動物患者情報は、前記表示領域又は他の表示領域における第3表示領域に表示される、
動物患者用遠隔診察助言システム。
[項目5]
項目1乃至項目4のいずれかに記載の動物患者用遠隔診察助言システムであって、
前記第2の動物病院端末は、前記動物患者に対応付けられた処方に関する処方情報の入力を受け付ける、
動物患者用遠隔診察助言システム。
[項目6]
項目5に記載の動物患者用遠隔診察助言システムであって、
前記第1の動物病院端末は、前記第2の動物病院端末から前記処方情報を取得する、
動物患者用遠隔診察助言システム。
[項目7]
項目1乃至項目6のいずれかに記載の動物患者用遠隔診察助言システムであって、
前記第2の動物病院端末から前記第1の動物病院端末に対して、少なくとも前記ビデオ通話に関する情報を含む報酬情報を送信する、
動物患者用遠隔診察助言システム。
[項目8]
項目1乃至項目7のいずれかに記載の動物患者用遠隔診察助言システムであって、
前記ビデオ通話は、前記動物患者の診察時刻に連動して予め定めた開始時刻において、少なくとも前記第1の動物病院端末又は前記第2の動物病院端末による開始操作によって、開始される、
動物患者用遠隔診察助言システム。
[項目9]
項目1乃至項目7のいずれかに記載の動物患者用遠隔診察助言システムであって、
前記ビデオ通話は、前記第1の動物病院端末から前記第2の動物病院端末への呼出操作を行うことによって開始される、
動物患者用遠隔診察助言システム。
[項目10]
項目1乃至項目7のいずれかに記載の動物患者用遠隔診察助言システムであって、
前記第1の動物病院端末は、
診察処理が行われている最中に前記カメラ部によって前記映像を取得し、
前記診察処理が終了した後に、取得した当該映像を前記第2の動物病院端末に送信するとともに前記ビデオ通話を開始する、
動物患者用遠隔診察助言システム。
[項目11]
項目1乃至項目7のいずれかに記載の動物患者用遠隔診察助言システムであって、
前記ビデオ通話は、前記動物患者の手術時刻に連動して予め定めた開始時刻において、少なくとも前記第1の動物病院端末又は前記第2の動物病院端末による開始操作によって、開始される、
動物患者用遠隔診察助言システム。
【0011】
<実施の形態の詳細>
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<概要>
本開示の実施の形態に係る動物患者用遠隔診察助言システムは、主治医R1が第1の動物病院端末10を用いて現場で撮像した撮像データを主治医R1と異なる専門医R2側の第2の動物病院端末20に通知して、当該専門医R2とビデオ通話を介して音声データを交えて共有する際に適用される。
【0013】
<システム構成>
図1は、本開示の第1の実施形態に係る動物患者用遠隔診察助言システム1の構成例を示す図である。図示するように、本実施形態に係る動物患者用遠隔診察助言システム1は、第1の動物病院端末10と、第2の動物病院端末20とを備える。第1の動物病院端末10と、第2の動物病院端末20とは、ネットワークNWを介して通信可能に接続されている。なお、本構成は一例であり、ある構成が他の構成を兼ね備えていたり、他の構成が含まれていたりしてもよい。
【0014】
本実施形態においてネットワークNWはインターネットを想定している。ネットワークNWは、例えば、公衆電話回線網、携帯電話回線網、無線通信網、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0015】
第1の動物病院端末10は、例えば、第1の動物病院に勤務する主治医R1(以下、主治医R1という)が所有する、または貸与されている端末である。かかる端末は、主治医R1により操作され得る。第1の動物病院端末10は、少なくとも主治医R1が専門医R2と通話する通話機能、主治医R1がいる現場で被写体を撮像する機能を有する。例えば、第1の動物病院端末10は、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータまたはパーソナルコンピュータ等であり得る。
【0016】
第2の動物病院端末20は、例えば、第2の動物病院に勤務する専門医R2であって、犬・猫以外のいわゆるエキゾチック・アニマルを専門に扱う専門医R2(以下、専門医R2という)が所有する、または貸与されている端末である。第2の動物病院端末20は、少なくとも専門医R2が主治医R1と通話する通話機能、第1の動物病院端末10から送信される撮像データを受信する撮像データ受信機能、受信した撮像データを画面表示する表示機能を有する。かかる端末は、専門医R2により操作され得る。例えば、第2の動物病院端末20は、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータまたはパーソナルコンピュータ等であり得る。
【0017】
ここで、エキゾチック・アニマルとしては、キツネ、タヌキ、フェネック、ハムスター、モルモット、ハツカネズミ、シマリス、タイワンリス、プレーリードッグ、モモンガ、ウサギ、サル、ミニブタ、フェレット、スカンク、ロバ、ウマ(ミニチュアホース、ファラベラ)、九官鳥、ジュウシマツ、セキセイインコ、オカメインコ、ワカケホンセイインコ、文鳥、鳩、ミズガメ、リクガメ、ヤモリ、トカゲ、ヘビ、ワニ、カエル、サンショウウオ、金魚、錦鯉、熱帯魚、エビ、カブトムシ、クワガタムシ、スズムシ、水生昆虫、カマキリ、クモ、サソリ、サソリモドキ、ウデムシ、ヒヨケムシ、ムカデ、ヤスデなどが例示されるがこの限りではない。
【0018】
図1では、第1の動物病院端末10一台と、第2の動物病院端末20一台のみを図示しているが、動物患者用遠隔診察助言システム1には、複数台の第1の動物病院端末10と複数台の第2の動物病院端末20が接続されていても良い。
【0019】
エキゾチック・アニマルに属する動物患者の病状の程度によって、主治医R1が専門医R2の助言が必要になった場合には、主治医R1は専門医R2との間でビデオ通話を行うことにより専門医R2に診療相談を行う。相談を受けた専門医R2は、主治医R1との間のビデオ通話を行うことにより動物患者の病状等について、専門的な相談ヒアリングを行う。主治医R1との間で相談ヒアリングを行った専門医R2は、主治医R1に対してアドバイス(助言)を行う。主治医R1は、専門医R2のアドバイスを参考にして、最終的に診断、処方などを行って遠隔診療を終了する。
【0020】
<第1の動物病院端末10>
図2は、図1に示した第1の動物病院端末10の機能ブロック構成図である。第1の動物病院端末10は、カメラ部110と、通信部120と、記憶部130と、制御部140とを備える。
【0021】
カメラ部110は、第1の動物病院端末10が見開き状態である場合に第1の動物病院端末10の正面側に存在する被写体(例えば主治医R1)を撮影可能な正面カメラ部110aと、第1の動物病院端末10が見開き状態である場合に第1の動物病院端末10の背面側に存在する被写体(例えばエキゾチック・アニマルに属する動物患者)を撮影可能な背面カメラ部110bとを備えている。
【0022】
背面カメラ部110bは、第1の動物病院端末10において表示画面とは反対側の面に設けられる。そして、背面カメラ部110bは、撮影した撮影画像を表示画面に表示する。第1の動物病院端末10は、例えば、表示画面に主治医R1の顔が正対した状態で用いられる。この場合、背面カメラ部110bの撮影方向は、主治医R1の顔が向く方向(主治医R1の視線の先)と同じになる。そして、表示画面に表示される撮影画像と、主治医R1が見る風景とは同じになる。
【0023】
カメラ部110は、CMOS又はCCDなどの撮像素子を用いて電子撮影する機能を有する。また、カメラ部110は、制御部140の制御により、撮像によって取得した画像データを例えばJPEGなどの圧縮したデジタルデータに変換し、記憶部130に記録したり、通信部120を通じて第2の動物病院端末20に出力したりすることができる。撮像画像は静止画であっても動画像であってもよく、動画像の場合には、制御部140の制御により、動画像の一部を切り出して、静止画像として記憶部130に保存することも可能であるとする。また、正面カメラ部110a並びに背面カメラ部110bで撮像して得られる画像は、第2の動物病院端末20での診察及び助言に必要なだけの情報量を持った精密な画像であるものとし、画素数又は画質を指定可能であるものとする。
【0024】
通信部120は、ネットワークNWを介して第2の動物病院端末20と通信を行うための通信インタフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
【0025】
記憶部130は、各種制御処理又は制御部140内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM、ROM等から構成される。記憶部130には、第1の動物病院端末10を制御するための複数の制御プログラム等が記憶されている。制御部140の各種機能は、CPU又はGPU等が記憶部130内の各種制御プログラムを実行することによって実現される。記憶部130内の複数の制御プログラムには、様々なアプリケーション(アプリケーションプログラム)が含まれている。記憶部130には、例えば、音声通話及びビデオ通話を行うための通話アプリケーション、ウェブサイトを表示するためのブラウザ、電子メールの作成、閲覧及び送受信を行うためのメールアプリケーション、正面カメラ部110a並びに背面カメラ部110bを利用して被写体を撮影するためのカメラアプリケーション、動画を再生するための動画再生アプリケーションなどが記憶されている。
【0026】
図3は、本開示の第1の実施形態に係るカルテDB131の一例を示す図である。記憶部130には、カルテDB131が格納されている。カルテDB131は、特許請求の範囲に記載された、動物患者に関する動物患者情報の一例となる。カルテDB131に含まれる項目には、図3に示すように、動物情報、問診情報、身体所見、病歴、検査情報、診断情報、処置/投薬情報、処方情報、メモ、画像情報などがある。動物情報には当該動物患者が該当する動物種情報が含まれる。問診情報は、飼い主から取得する主観的な情報(主訴)である。身体所見は、動物病院等において獣医師等が調べることができ、客観的な数値で表せる身体情報である。病歴とは、獣医師等が聴取した主観的な情報である。検査情報には、少なくとも当該動物患者が過去に受けた検査の内容を含んでいる。診断情報には、少なくとも当該動物患者が過去に受けた診断の履歴が含まれている。処置/投薬情報には、当該動物患者が過去に受けた処置または投薬に関する情報を含んでいる。処方情報は、当該動物患者が過去に処方された薬剤等を含む。メモは、診察、入院又は手術の担当医、担当看護師、担当事務などにより入力されたテキストデータである。画像情報は、動物患者の様子を撮影した画像である。画像情報は、静止画像であっても動画像であってもよい。
【0027】
図2に戻り、制御部140は、記憶部130に記憶されている制御プログラムを実行することにより、第1の動物病院端末10の全体の動作を制御するものであり、CPU又はGPU等から構成される。制御部140は、通信制御部141及び表示制御部142を有する。通信制御部141及び表示制御部142は、記憶部130に記憶されている制御プログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)である第1の動物病院端末10により実行される。
【0028】
通信制御部141は、例えば、エキゾチック・アニマルに属する動物患者の映像を取得可能な背面カメラ部110bが取得した当該動物患者の映像を第2の動物病院端末20に送信する機能を有する。表示制御部142は、第1表示領域151と、第2表示領域152とを同一の表示領域150内に表示する。なお、表示領域150、第1表示領域151及び第2表示領域152の詳細は、図6及び図7を参照しながら後述する。
【0029】
<第2の動物病院端末20>
図4は、図1に示した第2の動物病院端末20の機能ブロック構成図である。第2の動物病院端末20は、カメラ部210と、通信部220と、記憶部230と、制御部240とを備える。
【0030】
カメラ部210は、CMOS又はCCDなどの撮像素子を用いて電子撮影する機能を有する。また、カメラ部210は、制御部240の制御により、撮像によって取得した画像データを例えばJPEGなどの圧縮したデジタルデータに変換し、記憶部230に記録したり、通信部220を通じて第1の動物病院端末10に出力したりすることができる。撮像画像は静止画であっても動画像であってもよく、動画像の場合には、制御部240の制御により、動画像の一部を切り出して、静止画像として記憶部230に保存することも可能であるとする。
【0031】
通信部220は、ネットワークNWを介して第1の動物病院端末10と通信を行うための通信インタフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
【0032】
記憶部230は、各種制御処理又は制御部240内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM、ROM等から構成される。記憶部230には、第2の動物病院端末20を制御するための複数の制御プログラム等が記憶されている。制御部240の各種機能は、CPU又はGPU等が記憶部230内の各種制御プログラムを実行することによって実現される。記憶部230内の複数の制御プログラムには、様々なアプリケーション(アプリケーションプログラム)が含まれている。記憶部230には、例えば、音声通話及びビデオ通話を行うための通話アプリケーションなどが記憶されている。なお、記憶部230には、例えば、動物患者であるセキセイインコに対応付けられた処方に関する処方情報が格納され得る。処方情報は、動物患者であるセキセイインコが過去に処方された薬剤等を含み得る。処方情報には、自宅にて処方された薬剤を服用できたか否か、嫌がったかどうか、体調に影響を来たしたか等、処置又は投薬自体の受容性・許容性に関する情報が含まれ得る。
【0033】
制御部240は、記憶部230に記憶されている制御プログラムを実行することにより、第2の動物病院端末20の全体の動作を制御するものであり、CPU又はGPU等から構成される。制御部240は、通信制御部241を有する。通信制御部241は、記憶部230に記憶されている制御プログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)である第2の動物病院端末20により実行される。
【0034】
通信制御部241は、例えば、専門医R2が所定のアイコンをクリック又はタップ等すると、その操作を動物患者であるセキセイインコに対応付けられた処方に関する処方情報の入力操作として検出する。これを契機として、通信部120が、第2の動物病院端末20の通信部220との交信を始め、記憶部230内の処方情報を読み出して取得する。通信制御部241は、第2の動物病院端末20から第1の動物病院端末10に対して、少なくともビデオ通話に関する情報を含む報酬情報を送信する。報酬情報は、主治医R1が専門医R2に対して与える報酬を示す情報であり、報酬とは、診察・助言への参加に対する対価として支払われる金銭又は物品等である。このような動物患者用遠隔診察助言システム1によって客観的な情報をセカンドオピニオンとして専門医R2が主治医R1にフィードバックすることで、主治医R1の負担が軽減され、専門医R2もフィードバックした分を報酬として受け取ることができるので、両者は相互扶助の関係を保つことができる。専門医R2に対する課金方法としては、毎月、一定料金が課金される方式、タイムチャージにより助言した分だけが課金される方式の他、枠単位・回数単位で課金される方式があり得る。
【0035】
<ビデオ通話の開始条件>
(開始条件 例1)ビデオ通話は、動物患者の診察時刻に連動して予め定めた開始時刻において、少なくとも第1の動物病院端末10又は第2の動物病院端末20による開始操作によって、開始されるものであってもよい。これにより、例えば、ビデオ通話開始時刻の到来に先立ち、診察時刻に第1の動物病院に来院している動物患者を主治医R1が診察開始することで動物患者に関する情報を事前に収集しながら、ビデオ通話開始時刻の到来によって通信部120又は通信部220を作動させてビデオ通話を開始する制御を行うことで、専門医R2は主治医R1が事前に収集した情報を基に助言できるので、スムーズで効率の良い診察を行うことができる。
【0036】
(開始条件 例2)ビデオ通話は、第1の動物病院端末10から第2の動物病院端末20への呼出操作を行うことによって開始されるものであってもよい。これにより、例えば、セキセイインコの飼い主が「放鳥時に踏んでしまい、ケガをしてしまった」等の事故が発生した場合、主治医R1が、専門医R2、その他、看護師、理学療法士、医療事務等の医療従事者を緊急に呼び出す場合に適用することができる。
【0037】
(開始条件 例3)第1の動物病院端末10は、診察処理が行われている最中にカメラ部110によって、例えばセキセイインコの映像を取得し、前記診察処理が終了した後に、取得した当該映像を第2の動物病院端末20に送信するとともにビデオ通話を開始するものであってもよい。これにより、例えば、主治医R1が、セキセイインコの診療中に写真等を撮ったり診察結果をカルテ等の書類に書き溜めたりしておくことで、書類に記録が残り、事後的に診察の履歴が容易に確認できるので、専門医R2に助言を求めるうえでの作業性が向上する。
【0038】
(開始条件 例4)ビデオ通話は、動物患者の手術時刻に連動して予め定めた開始時刻において、少なくとも第1の動物病院端末10又は第2の動物病院端末20による開始操作によって、開始されるものであってもよい。これにより、例えば、ビデオ通話開始時刻の到来に先立ち、手術時刻に第1の動物病院に来院している動物患者を主治医R1が手術開始することで動物患者に関する情報を事前に収集しながら、ビデオ通話開始時刻の到来によって通信部120又は通信部220を作動させてビデオ通話を開始する制御を行うことで、専門医R2は主治医R1が事前に収集した情報を基に助言できるので、スムーズで効率の良い手術を施すことができる。
【0039】
<処理の流れ>
図5を参照しながら、本実施形態の動物患者用遠隔診察助言システム1が実行する処理の流れについて説明する。図5は、本開示の第1の実施形態に係る遠隔診察助言方法に係るフローチャートの一例である。本フローチャートの開始前に、第1の動物病院端末10及び第2の動物病院端末20は動物患者用遠隔診察助言システム1にログインしているものとする。
【0040】
まず、第2の動物病院端末20は、通信部220を介して動物患者に関する動物患者情報を受信する(ステップS101)。ここでの動物患者情報は、例えば、名前、ニックネーム、動物患者ID等のアカウント情報と、パスワード又はパスフレーズ、ICカード又はスマートカード、指紋又は虹彩等の認証情報を含み得る。ここで、第2の動物病院端末20は、動物患者情報を受信するとともに、以降の処理で第1の動物病院端末10との接続を確認するために必要な情報も、あわせて第1の動物病院端末10から取得するものとする。
【0041】
次に、第2の動物病院端末20の制御部240は、受信した動物患者情報を基に、第1の動物病院端末10又は記憶部230から動物患者データを取得する(ステップS102)。ここでの動物患者データは、例えば、名前、年齢、性別、希望の診療科、診察の種類、以前に動物患者用遠隔診察助言システム1を利用した際の担当獣医師又は日時等の診療に必要な情報を含み得る。また、ここでの診察の種類には、例えば、再診、初診、予約診断等が含まれ得る。必要に応じて、動物患者データに症状の説明等が含まれていてもよい。
【0042】
次に、第1の動物病院端末10の制御部140は、通信部120を介して画面共有要求を第2の動物病院端末20に対して送信する(ステップS103)。
【0043】
次に、第2の動物病院端末20の制御部240は、第2の動物病院端末20からの画面共有要求を受け、画面共有を開始する(ステップS104)。
【0044】
第2の動物病院端末20側の画面共有要求の受け入れにより、第1の動物病院端末10側でも、制御部140により、画面共有が開始される(ステップS105)。以降の画面共有の実行中は、カメラ部110による撮像画像が音声と共に、又は、撮像画像のみ単独で、第1の動物病院端末10と第2の動物病院端末20で出力されているものとする。
【0045】
ここで、例えば、主治医R1が相手先ユーザを専門医R2として、ビデオ通話リクエストの指示を受け付けるためのボタンオブジェクトをクリック又はタップ等すると、その操作を第1の動物病院端末10の通信制御部141が検出し、それをもって、通信部120は、ビデオ通話リクエストを第2の動物病院端末20に対して送信する(ステップS106)。
【0046】
第2の動物病院端末20側のビデオ通話リクエストの受け入れにより、第1の動物病院端末10は、ビデオ通話を開始する(ステップS107)。ビデオ通話では、第1の動物病院端末10と第2の動物病院端末20との間で、ビデオデータが送受信される。
【0047】
図6及び図7は、本実施形態のビデオ通話において第1の動物病院端末10に表示される画面構成例を示す図である。動物患者用遠隔診察助言システム1によって第1の動物病院端末10と第2の動物病院端末20との間でビデオ通話が開始されると、図6に示すように、第1の動物病院端末10の表示領域150の端部側には、表示制御部142の機能により、第1表示領域151と、第2表示領域152と、接続ボタン153a、切断ボタン153bが表示される(図5に示すステップS108)。
【0048】
図6に示すように、第1表示領域151には、動物患者であるセキセイインコの映像が表示される。第2表示領域152には、第2の動物病院端末20を利用する者である専門医R2が表示される。第1表示領域151は、第2表示領域152よりも大きく表示される。接続ボタン153aは、第1の動物病院端末10と第2の動物病院端末20との間で動物患者のカルテ情報を共有するためのボタンオブジェクトである。切断ボタン153bは、第1の動物病院端末10と第2の動物病院端末20との間における動物患者のカルテ情報の共有を解除するためのボタンオブジェクトである。
【0049】
例えば、主治医R1が共有先ユーザを専門医R2として接続ボタン153aをクリック又はタップ等すると、その操作を第1の動物病院端末10の制御部140が接続操作として検出する。これを契機として、通信部120が、第2の動物病院端末20の通信部220との交信を始め(図5に示すステップS109)、第1の動物病院端末10からカルテDB131の取得を許可する取得許可信号を第2の動物病院端末20に対して送信する(図5に示すステップS110)。
【0050】
そして、所定の接続プロトコルが正常に終了し、第2の動物病院端末20と相互にカルテDB131を共有可能な接続状態が確立されると、図7に示すように、表示制御部142は、第3表示領域154を第2表示領域152の下側に第1表示領域151と重畳するようにして表示領域150に表示する(図5に示すステップS111)。第3表示領域154には、表示制御部142の機能により、カルテDB131が表示される。なお、カルテDB131は、表示領域150に限らず、表示領域150(メインディスプレイなど)以外の他の表示領域(別のウインドウ画面や、他のサブディスプレイなど)に表示されてもよい。
【0051】
一方、第2の動物病院端末20と相互にカルテDB131を共有可能な接続状態から切断ボタン153bがクリック又はタップ等されると、制御部140がその操作を切断操作として検出する。そして、通信部120が、第2の動物病院端末20の通信部220との交信を遮断し、カルテDB131の共有が解除される(図5に示すステップS112)。
【0052】
カルテ共有後、第1の動物病院端末10の表示制御部142は、主治医R1の入力に応じて、画面共有を終了し、第1の動物病院端末20に対して通知する(図5に示すステップS113)。また、第1の動物病院端末10からの画面共有終了の通知により、第2の動物病院端末20側でも画面共有が終了される(図5に示すステップS114)。ここで、ステップS113とステップS114の順序が逆となり、第2の動物病院端末20から第1の動物病院端末10に対して、画面共有の終了を通知してもよいものとする。
【0053】
一般に、初診の場合は、主治医R1との対面での診察が必要である。しかし、事実上、セキセイインコ等のエキゾチック・アニマルに属する動物患者を診察するのは、専門医R2であり、飼い主が専門医R2との対面診察を望む場合には、犬・猫を専門に扱う第1の動物病院から、犬・猫以外のエキゾチック・アニマルを専門に扱う第2の動物病院へ転院せざるを得なかった。
【0054】
この点、本開示の第1の実施形態に係る動物患者用遠隔診察助言システム1によれば、第1の動物病院端末10及び第2の動物病院端末20との間で少なくともビデオ通話によるデータ共有を図りながら、双方向側からリアルタイムで通信することが可能となるので、主治医R1はビデオ通話を通じて専門医R2の助言を受けながら、セキセイインコ等のエキゾチック・アニマルに属する動物患者を診察することができる。従って、セキセイインコ等の飼い主が第1の動物病院から第2の動物病院に転院する手間を省くことができる。
【0055】
例えば、主治医R1が専門医R2とビデオ通話を行っている最中は動物患者がカメラ部110の撮像画角内に収まるように主治医R1の一方の手はこのサポートのために用いられ、他方の手は第1の動物病院端末10の表示面を視認しかつ操作ボタンに対して操作指示を行う動作に用いられていることが多い。このため、主治医R1の両手が塞がってしまうので、使い勝手があまりよくない。この点、本開示の第1の実施形態に係るカメラ部110が備える背面カメラ部110bの撮影方向は、主治医R1の顔が向く方向(主治医R1の視線の先)と同じである。それゆえ、主治医R1の視線の先に撮影対象となる動物患者を位置させることで、主治医R1は、その両手が塞がることなく、背面カメラ部110bの向きを調整するだけの簡単な操作で、動物患者の撮影を容易に行うことが可能となる。
【0056】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0057】
本明細書において説明した装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係る第1の動物病院端末10又は第2の動物病院端末20の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0058】
また、本明細書においてフローチャート図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0059】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【符号の説明】
【0060】
1 動物患者用遠隔診察助言システム
10 第1の動物病院端末
20 第2の動物病院端末
150 表示領域
151 第1表示領域
152 第2表示領域
154 第3表示領域

【要約】
【課題】より簡単な操作で第1の動物病院端末及び第2の動物病院端末との間で少なくともビデオ通話によるデータ共有を図りながら、双方向側からリアルタイムで通信することの可能な動物患者用遠隔診察助言システムを提供すること。
【解決手段】本開示は、第1の動物病院端末及び第2の動物病院端末との間で少なくともビデオ通話を介して実行される動物患者用遠隔診察助言システムであって、少なくとも第1の動物病院端末は、動物患者の映像を取得可能なカメラ部によって取得した当該動物患者の映像を前記第2の動物病院端末に送信し、前記映像が表示される第1表示領域と前記第2の動物病院端末を利用する者が表示される第2表示領域とを同一の表示領域内に表示する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7