(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。ただし、本発明の一形態は、以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明の一形態は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0026】
以下に示される複数の実施の形態は適宜組み合わせることが可能である。また1の実施の形態の中に、複数の構成例(作製方法例、動作方法例、使用方法例等も含む。)が示される場合は、互いの構成例を適宜組み合わせること、および他の実施の形態あに記載された1または複数の構成例と適宜組み合わせることも可能である。
【0027】
図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。例えば、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、又は、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
【0028】
〔実施の形態1〕
図1Aに、NAND型不揮発性記憶装置の構成例を示す。
図1Aに示す記憶装置100は、制御回路105、メモリセルアレイ120、周辺回路を有する。
【0029】
制御回路105は記憶装置100全体を統括的に制御し、データの書き込み、データの読み出しを行う。制御回路105は、外部からのコマンド信号を処理して、周辺回路の制御信号を生成する。周辺回路として、行デコーダ111、行ドライバ112、書込み読出し(W/R)回路115、列デコーダ116、ソース線ドライバ117、入出力回路118、ローカルビット線選択回路119が設けられている。これらの回路は、メモリセルアレイ120の構成、および駆動方法等に応じて、適宜、取捨することができる。
【0030】
メモリセルアレイ120は、複数のメモリストリング130、ワード線WL1―WL4、選択ゲート線SGD、SGS、ローカルビット線LBLを有する。
図1Bにメモリストリング130の回路構成例を示す。メモリストリング130は、選択トランジスタST1、ST2、メモリセル11_1―11_4を有する。メモリセル11_1―11_4は、それぞれ、メモリトランジスタMT1で構成されている。
【0031】
メモリトランジスタMT1に特段の制約はない。メモリトランジスタMT1は、浮遊ゲート(FG)を備えるFG型メモリトランジスタでもよいし、絶縁物でなる電荷蓄積層を備える絶縁物トラップ型(代表的には、MONOS型)メモリトランジスタでもよい。
【0032】
選択トランジスタST1、ST2のゲートは、選択ゲート線SGS、SGDにそれぞれ電気的に接続されている。メモリトランジスタMT1乃至MT4のゲートは、ワード線WL1乃至WL4にそれぞれ電気的に接続されている。ローカルビット線LBLは列方向に延在し、ワード線WL1乃至WL4、選択ゲート線SGS、SGDは行方向に延在する。
【0033】
なお、メモリセル11_1―11_4を区別しない場合、メモリセル11と記載する。その他の要素の符号についても同様である。また、要素を区別する場合の符号として、『_1』の他に、『a』、『b』等が用いられる場合がある。
【0034】
メモリストリング130を構成するトランジスタの半導体層は、金属酸化物、シリコン等で形成することができる。金属酸化物半導体を用いることで、オン電流特性が良好なOSトランジスタで、メモリストリング130を構成することができる。
【0035】
金属酸化物のバンドギャップは2.5eV以上あるため、OSトランジスタは極小のオフ電流をもつ。一例として、ソースとドレイン間の電圧が3.5V、室温(25℃)下において、チャネル幅1μm当たりのオフ電流を1×10
−20A未満、1×10
−22A未満、あるいは1×10
−24A未満とすることができる。すなわち、ドレイン電流のオン/オフ電流比を20桁以上150桁以下とすることができる。
【0036】
金属酸化物のエネルギーギャップは、2.5eV以上、又は3.0eV以上と、大きい。金属酸化物は電子が励起されにくいことや、ホールの有効質量が大きいことなどから、OSトランジスタは、一般的なSiトランジスタと比較して、アバランシェ崩壊等が生じにくい場合がある。これにより、例えばアバランシェ崩壊に起因するホットキャリア劣化等を抑制できる場合がある。ホットキャリア劣化を抑制できことで、高いドレイン電圧でOSトランジスタを駆動することができる。
【0037】
例えば、メモリストリング130の半導体層を金属酸化物で形成することで、メモリトランジスタMT1のフローティングノードに高い電圧を印加することが可能になるため、メモリトランジスタMT1でより多くの状態を保持する事が可能である。
【0038】
半導体層に適用される金属酸化物は、Zn酸化物、Zn‐Sn酸化物、Ga‐Sn酸化物、In‐Ga酸化物、In‐Zn酸化物、In‐M‐Zn酸化物(Mは、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHf)などがある。また、インジウムおよび亜鉛を含む酸化物に、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0039】
OSトランジスタの信頼性、電気特性の向上のため、半導体層に適用される金属酸化物は、CAAC‐OS、nc‐OSなどの結晶部を有する金属酸化物であることが好ましい。CAAC‐OSとは、c‐axis‐aligned crystalline metal oxide semiconductorの略称である。nc‐OSとは、nanocrystalline metal oxide semiconductorの略称である。
【0040】
CAAC‐OSは、c軸配向性を有し、かつa‐b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域との間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
【0041】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC‐OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC‐OSが、a‐b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0042】
CAAC‐OSは、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
【0043】
nc‐OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc‐OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc‐OSは、分析方法によっては、非晶質金属酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0044】
なお、メモリセルアレイ120に設けられるメモリストリング130に特段の制約はない、
図1B以外の回路構成をもつメモリストリングをメモリセルアレイ120に設けてもよい。
【0045】
行デコーダ111は、外部から入力されるアドレスデータをデコードし、アクセスされる行を決定する。行ドライバ112は、行デコーダ111のデコード結果に応じて、データの書込み、読出し、および消去に必要な電圧を、選択ゲート線SGS、SGD、SGL、ワード線WLに入力する。
【0046】
ソース線ドライバ117は、ソース線SLを駆動する。
【0047】
列デコーダ116は、外部から入力されるアドレスデータをデコードし、アクセスする列を決定する。W/R回路115は、アクセスする書込み電圧の調整、メモリセルアレイ120から読み出された電圧の検知等を行う。例えば、W/R回路115は、グローバルビット線の電圧を検知するためのセンスアンプを備える。
【0048】
入出力回路118は、外部から入力される書込みデータを一時的に保持すること、メモリセルアレイ120から読み出されたデータを一時的に保持すること等を行う。
【0049】
記憶装置100のビット線構造に、ローカルビット線とグローバルビット線とで階層化された階層ビット線構造が採用されている。
図2A、
図2Bを参照して、記憶装置100の階層ビット線構造を説明する。
【0050】
(比較例)
比較として、
図2Bにビット線が階層化されていないメモリセルアレイの斜視模式図を示す。NANDセルアレイ191の各列には、ビット線BLが設けられている。ビット線BLには、複数のメモリストリングが電気的に接続されている。ビット線BLはW/R回路192に電気的に接続されている。
【0051】
NANDフラッシュメモリでは、ビット単価を下げるため、メモリセルを3次元的に積層することで、チップ面積を低減し、メモリセルの密度を高めている。しかしながら、NANDセルアレイを3次元構造とすることで、読出しに時間がかかるという短所が生ずる。メモリストリングのメモリトランジスタの電流駆動はプレナ型トランジスタよりも低い。読出しに時において、選択されたメモリトランジスタの電流は、複数のメモリトランジスタを通過する。そのため、ビット線BLの電圧が、データ判定(例えば、0/1判定)可能な値に到達するのに時間を要する。
【0052】
(ビット線階層構造)
そこで、本実施の形態では、読み出し速度の改善のため、ビット線BLを複数のローカルビット線LBLに分割し、かつNANDセルアレイ上に、ローカルビット線LBLの選択および駆動を行う回路を積層する。
図2Aに、メモリセルアレイ120の斜視模式図を示す。
図2Aには、1本のビット線BLを2本のローカルビット線LBLa、LBLbに分割した例を示す。
【0053】
メモリセルアレイ120は階層構造をもち、NANDセルアレイ122、回路部124、グローバルビット線部126に大別される。
【0054】
NANDセルアレイ122には、複数のメモリストリング130が配列されている。メモリストリング130の配列に合わせて、ローカルビット線LBLa、LBLb、ワード線WL1―WL4、ソース線SL、選択ゲート線SGS、SGDが設けられている。グローバルビット線部126には、グローバルビット線GBLが設けられている。グローバルビット線GBLはW/R回路115に電気的に接続される。
【0055】
W/R回路115は、書き込み電圧をグローバル線GBLに入力する、グローバルビット線GBLの電圧を増幅し、データ判定を行う、NANDセルアレイ122に書き込むデータを一時的に格納する、NANDセルアレイ122から読み出したデータの一時的な格納等を行う。また、メモリセル11が多値メモリセルである場合、W/R回路115は、書込みデータをデコードして、書込み電圧を生成する、グローバルビット線GBLの電圧をエンコードして、読み出しデータを生成する機能を備える。
【0056】
回路部124には、グローバルビット線GBLあたり1個のビット線分割回路140が設けられている。ビット線分割回路140は、グローバルビット線GBLに導通するローカルビット線LBLの選択等を行う。
【0057】
<<ビット線分割回路>>
図3A、
図3Bを参照して、ビット線分割回路140について説明する。
図3Aは、ビット線分割回路140の構成例を示す回路図であり、
図3Bは、ビット線分割回路140の動作例を示すタイミングチャートである。
【0058】
ビット線分割回路140は2個の回路141を有する。回路141は、ビット線分割回路140の単位回路である。回路141は、4個のトランジスタM10―M13を有する。
【0059】
ここでは、2個の回路141を区別する場合、ローカルビット線LBLaに電気的に接続されている方を回路141aと呼び、他方を回路141bと呼ぶ。また、回路141a、141bの要素を区別するために、符号に「a」、「b」を付加して記載する場合がある。
【0060】
トランジスタM10―M13は、バックゲートを有するOSトランジスタである。トランジスタM10―M13のバックゲートには、電圧Vbgがそれぞれ入力される。電圧Vbgを変更することで、トランジスタM10―M13のしきい値電圧を変更することができる。なお、トランジスタM10のバックゲートを、ゲート、ソース、またはドレインに電気的に接続してもよい。トランジスタM11−M13についても同様である。
【0061】
OSトランジスタは、電子を多数キャリアとする蓄積型トランジスタである。そのため、pn接合を有する反転型トランジスタ(代表的には、Siトランジスタ)と比較して短チャネル効果の一つであるDIBL(Drain‐Induced Barrier Lowering)の影響が小さい。つまり、OSランジスタは、Siトランジスタよりも短チャネル効果に対する高い耐性を有する。
【0062】
OSトランジスタは、短チャネル効果に対する耐性が高いために、Siシリコン等トランジスタよりもゲート絶縁物を厚くすることが可能となる。例えば、チャネル長及びチャネル幅が50nm以下の微細なトランジスタにおいても、10nm程度の厚いゲート絶縁物を設けることが可能である。ゲート絶縁物を厚くすることで、寄生容量を低減することができるので、回路の動作速度を向上できる。またゲート絶縁物を厚くすることにで、リーク電流が低減されるため、静的消費電流の低減につながる。
【0063】
チャネル長が微細化するのに伴いドレイン電界が強まるが、上掲したように、OSトランジスタはSiトランジスタよりもアバランシェ崩壊が起きにくい。
【0064】
つまり、ゲート絶縁物を厚くすることによりゲート絶縁物の耐圧を高めることができ、より高いゲート電圧でOSトランジスタを駆動することができる。ホットキャリア劣化が抑制されることで、チャネル長を長くせずとも高ドレイン電圧でOSトランジスタを駆動することが可能になる。よって、高電圧が入力される回路をOSトランジスタで構成することで、回路の信頼性を高めることができる。OSトランジスタの信頼性を劣化させずに、チャネル長を縮小することで、回路の集積度を高めることができる。
【0065】
従って、ビット線分割回路140をOSトランジスタで構成することで、面積ペナルティなしで、複数のビット線分割回路140をNANDセルアレイ122に積層することが可能である。
【0066】
トランジスタM10は転送トランジスタとして機能する。回路141aのトランジスタM10は、ゲート書込み制御線GWEaに電気的に接続されており、トランジスタM10は、ローカルビット線LBLaとグローバルビット線GBLとの導通を制御する。
【0067】
回路141bのトランジスタM10のゲートは書込み制御線GWEbに電気的に接続されており、トランジスタM10は、ローカルビット線LBLbとグローバルビット線GBLとの導通を制御する。
【0068】
回路141aにおいて、トランジスタM11―M13は、接地電位を供給する電源線(以下、接地線と呼ぶ)と電圧VHMを供給する電源線(以下、VHM線と呼ぶ場合がある。)との間に直列に電気的に接続されている。トランジスタM11―M13によって、ソースフォロワ回路142aが構成される。トランジスタM11―M13のゲートは、それぞれ、バイアス制御線RBIa、ローカルビット線LBLa、読出し制御線GREaに電気的に接続されている。トランジスタM12のソースはグローバルビット線GBLに電気的に接続されている。トランジスタM11は、ソースフォロワ回路142aの電流源を構成する。トランジスタM13はソースフォロワ回路142aの活性化を制御する。
【0069】
回路141bのトランジスタM11―M13も、同様に、ソースフォロワ回路142bを構成する。ソースフォロワ回路142bは、バイアス制御線RBIa、ローカルビット線LBLa、読出し制御線GREaに電気的に接続されている。
【0070】
ソースフォロワ回路142aは、ローカルビット線LBLaを流れる電流を増幅するバッファアンプとして機能する。従って、読出し動作時に、ローカルビット線LBLaに電気的に接続されているメモリセル11を流れる電流をソースフォロワ回路142aで増幅して、グローバルビット線GBLに入力することができる。ソースフォロワ回路142bもソースフォロワ回路142aと同様に機能する。
【0071】
書込み制御線GWEa、GWEb、読出し制御線GREa、GREb、バイアス制御線RBIa、RBIbは、ローカルビット線選択回路119によって駆動される。
【0072】
図3Bを参照して、ローカルビット線LBLaに電気的に接続されているメモリセル11がアクセス対象である場合の、ビット線分割回路140の動作例を説明する。
【0073】
書込み動作では、書込み制御線GWEaを“H”にして、その他の制御線GWEb、GREa、GREb、RBIa、RBIbは“L”が維持される。回路141bのトランジスタM10はオフであり、ソースフォロワ回路142a、142bは非活性状態である。回路141aのトランジスタM10がオンになり、グローバルビット線GBLとローカルビット線LBLaとが導通されるため、グローバルビット線GBLの電圧が、ローカルビット線LBLaに入力される。
【0074】
読出し動作では、読出し制御線GREaを“H”にし、バイアス制御線RBIaにバイアス電圧Vbを入力する。その他の制御線GWEa、GWEb、GREb、RBIbは“L”が維持される。回路141a、141bの各トランジスタM10はオフであり、ソースフォロワ回路142bは非活性状態である。
【0075】
ソースフォロワ回路142aにおいて、トランジスタM11のゲートにバイアス電圧Vbが入力され、トランジスタM13はオンになる。よって、ソースフォロワ回路142aは活性状態となり、グローバルビット線GBLを駆動する。ローカルビット線LBLaの電圧に応じたドレイン電流がトランジスタM12に流れるため、グローバルビット線GBLの電圧が変化する。
【0076】
つまり、メモリセル11からグローバルビット線GBLへのデータ伝送を、メモリセル11よりも電流駆動能力の高いソースフォロワ回路142aが行っている。これより、グローバルビット線GBLの電圧がデータ判定可能な電圧に到達する時間が短縮されるため、データ読み出しにかかる時間を低減することができる。
【0077】
ビット線分割回路140は、メモリセル11が多値メモリセルである場合のデータ読出しをサポートする。ソースフォロワ回路142aを流れる電流は、ローカルビット線LBLaの電圧に応じて変化するので、ソースフォロワ回路142aは、メモリセル11が保持する電圧レベルに応じた電流を、グローバルビット線GBLに入力することができる。
【0078】
上掲したように、NANDフラッシュメモリは、ビット単価が低いが、動作速度は低い。そのため、NANDフラッシュメモリは、記憶階層の下位レベルに位置し、主にストレージとして使用される。NANDフラッシュメモリの動作速度は、メインメモリとして使用されるDRAMの1000分の1(10
−3)である。従って、コンピューティングシステムにおいて、NANDフラッシュメモリへのアクセスは、プロセッサの性能の著しい劣化を招く。本実施の形態により、NANDフラッシュメモリの動作速度を向上することができるため、プロセッサの性能の劣化を低減できる。
【0079】
ビット線階層構造の一例として、グローバルビット線あたり2本のローカルビット線を設ける例を説明したが、グローバルビット線あのローカルビット線数は2以上であればよい。
図4を参照して、ビット線階層構造の他の例を説明する。
図4はメモリセルアレイの3次元構造例を回路図で模式的に表した図である。
【0080】
図4に示すメモリセルアレイ150には、グローバルビット線あたり4本のローカルビット線が設けられている。メモリセルアレイ150の構成要素は、メモリセルアレイ120と同様、NANDセルアレイ152、回路部154、グローバルビット線部156に大別される。
【0081】
NANDセルアレイ152において、1列あたり4本のローカルビット線LBLa―LBLdが設けられている。ローカルビット線LBLa―LBLdには、複数のメモリストリング130がそれぞれ電気的に接続されている。グローバルビット線部156には、グローバルビット線GBLが設けられている。
【0082】
回路部154には、グローバルビット線GBLごとに、ビット線分割回路145が設けられている。ビット線分割回路145は、回路141a―141dを有し、書込み制御線GWEa―GWEd、読出し制御線GREa―GREd、バイアス制御線RBIa―RBIdに電気的に接続されている。
【0083】
ビット線分割回路145の動作は、ビット線分割回路140と同様である。書込み動作の際には、ビット線分割回路145によって、ローカルビット線LBLa―LBLdの何れか1が選択され、選択されたローカルビット線LBLはグローバルビット線GBLに電気的に接続される。読出し動作の際には、読出し対象のローカルビット線LBLに電気的に接続されているソースフォロア回路が活性化される。
【0084】
なお、ビット線の分割数が増えるほど、ビット線分割回路数が増える。そのため、面積ペナルティが発生しないように、ビット線分割数を決定することが好ましい。
【0085】
<<OSトランジスタ回路>>
記憶装置100の周辺回路の一部をOSトランジスタで構成される回路で構成することができる。
【0086】
なお、シリコンのようにドーピングによって、金属酸化物半導体の導電型を制御することは困難である。例えば、インジウムを含む金属酸化物(例えば、酸化インジウム)、あるいは亜鉛を含む金属酸化物(例えば、酸化亜鉛)では、n型半導体は作製できるが、p型半導体は作製できていない。現状、実用化レベルの特性を備えるpチャネル型OSトランジスタの作製されていない。
【0087】
まず、OSトランジスタ回路の一例として、nチャネル型トランジスタのみで構成されるダイナミックロジック回路について説明する。
【0088】
(AND回路)
図5Aに4入力AND回路の一例を示す。
図5Aに示すAND回路170において、電圧VDD1用の電源線(以下、VDD1線と呼ぶ。)と電圧VSS用の電源厳線(以下、VSS線と呼ぶ。)との間に、トランジスタM51、M40―M42、M52が電気的に直列接続されている。トランジスタM40―M43のゲートはそれぞれノードA0―A3に電気的に接続されている。トランジスタM51、M52のゲートは、ノードPRE、PREBに電気的に接続されている。ここではトランジスタM43とトランジスタM52の接続ノードをノードYと呼ぶ。
【0089】
電圧VDD2用の電源線(以下、VDD2線と呼ぶ。)とVSS線との間に、トランジスタM51、容量素子C53、C51が電気的に直列接続されている。電圧VDD2は電圧VDD1よりも高い電圧である。容量素子C53と容量素子C51との接続ノードは、ノードYに電気的に接続され、トランジスタM53と容量素子C53との接続ノードはノードOUTに電気的に接続されている。トランジスタM53のバックゲートは、ノードBSGに電気的に接続されている。トランジスタM53、容量素子C53によりブートストラップ回路175が構成されている。
【0090】
プリチャージ期間では、ノードPRE、PREBを“H”、“L”にする。評価期間では、ノードPRE、PREBを“L”、“H”にする。評価期間では、ノードA0―A3の論理積が演算され、演算結果に応じたデータがノードOUTから出力される。
【0091】
極小オフ電流のOSトランジスタでAND回路170を構成することで、容量素子C51から電荷がリークすることを防ぐことができるので、AND回路170の駆動周波数に制約がない。ブートストラップ回路175は適宜設ければよい。OSトランジスタはしきい値電圧がSiトランジスタよりも高くなる場合がある。ブートストラップ回路175によってノードYを昇圧することで、ノードOUTの出力信号に対する、トランジスタM40―M43のしきい値電圧の影響を低減できる。
【0092】
ノードBSGの電圧によって、トランジスタM53のしきい値電圧を変更することができるので、ノードOUTの出力信号の振幅を変更できる。よって、ノードOUTに電気的に接続される回路に応じて、ノードBSGの電圧を設定すればよい。
【0093】
(OR回路)
図5Bに4入力OR回路の一例を示す。OR回路171では、トランジスタM51のソースとノードY間にトランジスタM45―M48が並列に電気的に接続されている。トランジスタM45―M48のゲートには、それぞれ、ノードA0―A3が電気的に接続されている。プリチャージ期間では、ノードPRE、PREBを“H”、“L”にする。評価期間では、ノードPRE、PREBを“L”、“H”にする。評価期間では、ノードA0―A3の論理和が演算され、演算結果に応じたデータがノードOUTから出力される。
【0094】
OSトランジスタ回路は、Siトランジスタで構成される周辺回路上に積層すること、ビット線分割回路140と共に回路部124に設けることが可能である。例えば、NANDセルアレイ122と周辺回路とを導通するため引き回し配線が形成される領域に、OSトランジスタ回路を積層することができる。
【0095】
なお、トランジスタM51において、バックゲートをソースまたはドレインに電気的に接続してもよいし、トランジスタM53と同様に、バックゲートに外部から電圧を入力してもよい。または、トランジスタM51をバックゲートの無いOSトランジスタで構成してもよい。AND回路170、OR回路171を構成するトランジスタについても同様である。
【0096】
OSトランジスタによって、アナログ回路を構成することができる。一例として、チャージポンプ回路の一例を
図6に示す。
【0097】
図6に示すチャージポンプ回路173は、4個のOSトランジスタ、4個の容量素子、2個のインバータ回路を有する。インバータ回路は、Siトランジスタで構成される。クロック信号がアクティブであるとき、チャージポンプ回路173は、接地電圧を降圧し、負電圧Vcpを生成する。例えば、負電圧Vcpは、ビット線分割回路140のトランジスタM10−M13のバックゲートに入力される。なお、OSトランジスタによって、昇圧型チャージポンプ回路を構成してもよい。
【0098】
上掲したように、本実施の形態に係る記憶装置は、ビット線分割回路を設け、ビット線を階層化することで、読出し時間を短縮することができる。また、ビット線分割回路をNANDセルアレイに積層することで、面積ペナルティなしに、ビット線を階層化することが可能になる。
【0099】
なお、本実施の形態のビット線分割回路が適用できる記憶装置は、NANDフラッシュメモリに限定されるものではなく、様々な記憶装置に適用が可能である。
【0100】
〔実施の形態2〕
本実施の形態では、上掲の記憶装置を有する電子部品、電子機器等について説明する。
【0101】
上掲の記憶装置は、例えば、各種電子機器(例えば、情報端末、スマートフォン、電子書籍端末、デジタルカメラ(ビデオカメラも含む)、録画再生装置、ナビゲーションシステムなど)のストレージ装置に適用できる。または、記憶装置100は、メモリカード(例えば、SDカード)、USBメモリ、SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)等の各種のリムーバブル記憶装置に適用される。
図7A―
図7Dに、リムーバブル記憶装置の幾つかの構成例を示す。
【0102】
図7AはUSBメモリの模式図である。USBメモリ1100は、筐体1101、キャップ1102、USBコネクタ1103および基板1104を有する。基板1104は、筐体1101に収納されている。基板1104には、記憶装置100を構成する回路が設けられている。例えば、基板1104には、メモリチップ1105、コントローラチップ1106が取り付けられている。メモリチップ1105には、記憶装置100が組み込まれている。コントローラチップ1106には、プロセッサ、ワークメモリ、ECC(誤り検出訂正)回路等が組み込まれている。
【0103】
図7BはSDカードの外観の模式図であり、
図7CはSDカードの内部構造の模式図である。SDカード1110は、筐体1111、コネクタ1112、基板1113を有する。基板1113は筐体1111に収納されている。例えば、基板1113には、メモリチップ1114、コントローラチップ1115が取り付けられている。メモリチップ1114には、上掲の記憶装置が組み込まれている。コントローラチップ1115には、プロセッサ、ワークメモリ、ECC回路等が組み込まれている。
【0104】
基板1113の裏面側にもメモリチップ1114を設けることで、SDカード1110の容量を増やすことができる。また、無線通信機能を備えた無線チップを基板1113に設けてもよい。これによって、ホスト装置とSDカード1110間の無線通信によって、メモリチップ1114のデータの読み出し、書き込みが可能となる。
【0105】
図7DはSSDの外観の模式図であり、
図7Eは、SSDの内部構造の模式図である。SSD1150は、筐体1151、コネクタ1152および基板1153を有する。基板1153は筐体1151に収納されている。例えば、基板1153には、メモリチップ1154、メモリチップ1155、コントローラチップ1156が取り付けられている。メモリチップ1154には、記憶装置100が組み込まれている。基板1153の裏面側にもメモリチップ1155を設けることで、SSD1150の容量を増やすことができる。メモリチップ1155にはワークメモリが組み込まれている。例えば、メモリチップ1155には、DRAMチップを用いればよい。コントローラチップ1156には、プロセッサ、ECC回路等が組み込まれている。コントローラチップ1156にも、ワークメモリとして機能する記憶装置を設けてもよい。
【0106】
例えば、SSD1150は、各種のコンピューティングシステム(パーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバー、スーパーコンピュータ等)のストレージ装置に適用される。
【0107】
次に、
図8を参照して、記憶装置100が組み込まれた情報処理システムについて説明する。
図8に示す情報処理システム1500は、ホスト装置1510、記憶装置1520、出力装置1531、入力装置1532を有する。
【0108】
記憶装置1520は、記憶装置100を適用することができる。記憶装置1520は、例えば、ホスト装置1510のストレージ装置として用いられており、各種データ(例えば、プログラム、映像データ、音響データ等)を記憶する。
【0109】
ホスト装置1510は、情報処理システム1500全体を制御する機能を有する。ホスト装置1510は、プロセッサ1511、メモリ部1512、I/F(インターフェース)1513、およびバス1514を有する。バス1514により、プロセッサ1511、メモリ部1512およびI/F1513が相互接続されている。プロセッサ1511は、演算装置および制御装置として機能し、ファームウエア等のプログラムに従って、情報処理システム1500内の各種装置を制御する。プロセッサ1511には、CPU、マイクロプロセッサ(MPU)、FPGA、GPU等を用いることができる。メモリ部1512は、メインメモリとして機能する記憶装置(例えば、DRAM)を含む。メモリ部1512には、プロセッサ1511が実行するプログラムや、プロセッサ1511で処理したデータ等が格納される。メモリ部1512は、記憶装置100を有していてもよい。また、プロセッサ1511が、記憶装置100を有していてもよい。
【0110】
ホスト装置1510は、I/F1513を介して、出力装置1531、入力装置1532、および記憶装置1520との通信を行う。例えば、入力装置1532からの入力信号は、I/F1513およびバス1514を経てプロセッサ1511に伝送される。
【0111】
複数の出力装置1531を情報処理システム1500に設けることができる。出力装置1531として、表示装置、スピーカ、振動装置、発光装置(例えば、LEDランプ)等がある。複数の入力装置1532を情報処理システム1500に設けることができる。入力装置1532としては、タッチセンサ、キーボード、マウス、操作ボタン、マイクロフォン(音声入力装置)、カメラ(撮像装置)、各種のセンサ(照度センサ、色温度センサ、赤外線センサ、紫外線センサ、加速度センサ、温度センサ、圧力センサなど)等がある。
【0112】
情報処理システム1500は、記憶装置1520およびホスト装置1510が1つの筐体に収められている態様であってもよいし、有線または無線で接続されている複数の装置で構成されている態様でもよい。例えば、前者の態様として、ノート型PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型情報端末、電子書籍端末、スマートフォン、携帯電話、オーディオ端末、録画再生装置等がある。後者の形態として、デスクトップ型PC、キーボード、マウスおよびモニタのセットがある。また、録画再生装置、音響機器(スピーカ、アンプ等)、およびテレビジョン装置を備えるAV(音響映像)システムや、監視カメラ、表示装置、および録画用記憶装置を備える監視システム等がある。
【0113】
図9A―
図9Dに、情報処理システム1500、または記憶装置100を備える電子機器を模式的に示す。
【0114】
図9Aにタブレット型情報端末の構成例を示す。
図9Aに示す情報端末2010は、筐体2011、表示部2012、照度センサ2013、カメラ2015、操作ボタン2016を有する。筐体2011には、記憶装置100、プロセッサ等が組み込まれている。
【0115】
表示部2012はタッチセンサが組み込まれた表示システムで構成される。表示部2012をスタイラスペン2017(または電子ペン)、指などでタッチ操作することで、情報端末2010を操作することが可能である。情報端末2010の機能には、音声通話、カメラ2015を利用したビデオ通話、電子メール、手帳、インターネット接続、音楽再生などがある。
【0116】
図9BにPC(パーソナルコンピュータ)の構成例を示す。
図9Bに示すPC2030は、筐体2031、表示部2032、照度センサ2034、カメラ2035、キーボード2036を有する。キーボード2036は、筐体2031から着脱可能な構成であってもよい。筐体2031にキーボード2036を装着した状態では、PC2030はノード型PCとして使用できる。筐体2031からキーボード2036を脱着した状態では、PC2030はタブレット型PCとして使用できる。
【0117】
筐体2031には、表示部2032のコントローラ、記憶装置100、プロセッサ等が組み込まれている。
【0118】
図9Cに示すロボット2100は、照度センサ2101、マイクロフォン2102、上部カメラ2103、スピーカ2104、表示部2105、下部カメラ2106、障害物センサ2107、移動機構2108、プロセッサ2110、記憶装置2111を備える。記憶装置2111に記憶装置100を適応することができる。
【0119】
表示部2105は種々の情報を表示する。表示部2105は、タッチパネルを搭載していてもよい。マイクロフォン2102、スピーカ2104を用いて、使用者はロボット2100と音声によるコミュニケーションが可能である。上部カメラ2103および下部カメラ2106は、ロボット2100の周囲を撮像する。例えば、上部カメラ2103で撮影した使用者の情報をもとに、ロボット2100がスピーカ2104から発する音声が選択される。
【0120】
ロボット2100は、移動機構2108によって移動することが可能である。障害物センサ2107によって、ロボット2100の移動方向の障害物の有無を察知することができる。ロボット2100は、上部カメラ2103、下部カメラ2106、および障害物センサ2107を用いて、周囲の環境を認識しており、安全にかつ自立して移動することが可能である。
【0121】
図9Dに示す飛行体2120は、プロセッサ2121、記憶装置2122、カメラ2123、プロペラ2124を有する。記憶装置2122に記憶装置100を適用することができる。
【0122】
図9Dに示す自動車2140は、赤外線レーダー、近赤外線レーダー、ミリ波レーダー、レーザーレーダーなど各種センサなどを備える。自動車2140は、カメラ2141が撮影した画像、およびセンサが取得したデータを解析し、ガードレール2150や歩行者の有無など、周囲の状況を判断し、自動運転を行うことができる。自動車2140には、上掲の記憶装置など、各種の電子部品が組み込まれている。
【0123】
〔実施の形態3〕
本実施の形態では、
図10A―
図13を参照して、OSトランジスタについて説明する。本実施の形態に係るOSトランジスタは、上掲の記憶装置に用いることができる。
【0124】
図10Aは、OSトランジスタ400の構成例を示す上面図である。なお、
図10Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
図10Bは、切断線X1―X2による
図10Aの断面図であり、OSトランジスタのチャネル長方向の断面図である。
図11Aは、切断線Y3―Y4による
図10Aの断面図であり、OSトランジスタのチャネル幅方向の断面図である。
図11Bは、切断線Y5―Y6による
図10Aの断面図である。
図12は、
図10Bの部分拡大図である。
【0125】
OSトランジスタ400は、絶縁体層410上に形成されている。OSトランジスタ400は、絶縁体層418、絶縁体層419、絶縁体層420に覆われている。411―416、422、425―427で示す要素は絶縁体である。
【0126】
なお、
図10B等では、絶縁体層410は単層構造で示されているが、複数の層でなる多層構造であってもよい。このことは、他の要素についても同様である。
【0127】
絶縁体層416上にOSトランジスタ400の半導体層440が設けられている。半導体層440は金属酸化物層441―443で構成されている。金属酸化物層441―443は、上掲のIn‐M‐Zn酸化物等で構成される。半導体層440には、層447A、447Bが設けられている。半導体層440の構成の説明は後述する。
【0128】
OSトランジスタ400のゲートは導電体層460で構成され、バックゲートは導電体層461で構成されている。導電体層460は、絶縁体層422、金属酸化物層444を介して、半導体層440と重なる。導電体層461は、絶縁体層414―415を介して半導体層440と重なる。層447A、447Bに接して、導電体層462A、462Bが設けられている。導電体層461に接して導電体層463が設けられている。導電体層462A、462Bはプラグとして機能し、導電体層463は配線として機能する。
【0129】
導電体層460は、導電体層469、および導電体層470を有する。導電体層463は導電体層471、472を有する。導電体層462A、462Bはそれぞれ導電体層473、474を有する。導電体層463は導電体層475、476を有する。
【0130】
ボトムゲート側のゲート絶縁層は、絶縁体層414、415、416で構成される。フロントゲート側のゲート絶縁層は、絶縁体層422で構成されている。
【0131】
導電体層460上面に接して絶縁体層425が設けられ、絶縁体層425上に絶縁体層426が設けられている。導電体層460側面に接して絶縁体層427設けられている。
【0132】
導電体層471、473、475には、不純物(例えば、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N
2O、NO、NO
2など)、銅原子)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。なお、本明細書において、不純物または酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、または上記酸素のいずれか一またはすべての拡散を抑制する機能とする。例えば、不純物または酸素の拡散を抑制する機能をもつ導電材料としては、タンタル、窒化タンタル、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどが挙げられる。
【0133】
導電体層472は、導電体層471よりも抵抗率が低い導電材料とすることが好ましい、例えば、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。導電体層474、476も同様である。
【0134】
導電体層461において、導電体層471が、酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電体層472が酸化して導電率が低下することを抑制することができる。導電体層462A、462B、463についても同様である。
【0135】
導電体層476のように配線を構成する導電体には、銅を用いることが好ましい。一方、銅は拡散しやすいため、半導体層440に拡散することで、OSトランジスタ400の電気特性を低下させる場合がある。そこで、導電体層476に銅を用いる場合は、絶縁体層412には、銅の透過性が低い酸化アルミニウム、または酸化ハフニウムなどの材料を用い、銅の拡散を抑えることが好ましい。
【0136】
導電体層469は、導電体層471と同様に、不純物または酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。導電体層470には導電体層469よりも抵抗率が低い導電性材料を用いる。例えば、導電体層470には、チタン、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。
【0137】
導電体層461は、半導体層440、および導電体層460と重なるように配置する。チャネル幅方向において、導電体層461は、金属酸化物層442の端部よりも外側に延伸している端部を有することが好ましい(
図11A参照)。このような構成にすることで、ゲート(導電体層460)の電界とバックゲート(導電体層461)の電界とによって、OSトランジスタ400のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。よって、OSトランジスタ400のオン電流を大きくできる。
【0138】
なお、導電体層461、絶縁体層412、および絶縁体層413は設けなくてもよい場合がある。その場合、導電体層463の一部をバックゲートとして機能させればよい。
【0139】
絶縁体層425には、不純物または酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。これにより、導電体層460が酸化するのを抑制することができる。また、絶縁体層425よりも上方からの水または水素などの不純物が、導電体層460および絶縁体層422を介して、半導体層440に混入することを抑制することができる。
【0140】
絶縁体層426はハードマスクとして機能することが好ましい。絶縁体層426を設けることで、導電体層460の加工の際、導電体層460の側面が概略垂直、具体的には、導電体層460の側面と基板表面のなす角を、75度以上100度以下、好ましくは80度以上95度以下とすることができる。導電体層460をこのような形状に加工することで、次に形成する絶縁体層427を所望の形状に形成することができる。
【0141】
絶縁体層426に、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いることで、バリア層の機能を兼ねてもよい。その場合、絶縁体層425は設けなくてもよい。
【0142】
絶縁体層410、412は、上記不純物に対するバリア層として機能することが好ましい。これにより、基板側からOSトランジスタ400に不純物が混入するのを抑制することが好ましい。例えば、絶縁体層410として酸化アルミニウムなどを用い、絶縁体層412として窒化シリコンなどを用いることが好ましい。また、絶縁体層420の上にバリア層として機能する絶縁体を設けてもよい。これにより、絶縁体層420の上からOSトランジスタ400に不純物が混入するのを抑制することができる。
【0143】
これにより、絶縁体層410側からOSトランジスタ400に水素、水などの不純物が拡散することを抑制できる。または、絶縁体層416などに含まれる酸素が、絶縁体層410および絶縁体層412よりも絶縁層410側に拡散することを抑制できる。
【0144】
絶縁体層411、413、420は層間膜として機能するため、絶縁体層410、または絶縁体層412よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い層間膜を設けることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0145】
例えば、絶縁体層411、絶縁体層413、および絶縁体層420として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)または(Ba,Sr)TiO
3(BST)などの絶縁体を単層または積層で用いることができる。またはこれらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0146】
次に、半導体層440について説明を行う。
【0147】
金属酸化物層441および金属酸化物層443の伝導帯下端のエネルギーが、金属酸化物層442の伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。また、言い換えると、金属酸化物層441および金属酸化物層443の電子親和力が、金属酸化物層442の電子親和力より小さいことが好ましい。
【0148】
金属酸化物層441、金属酸化物層442、および金属酸化物層443の接合部において、伝導帯下端はなだらかに変化することが好ましい。換言すると、金属酸化物層441、金属酸化物層442、および金属酸化物層443の接合部における伝導帯下端は、連続的に変化または連続接合することが好ましい。このようにするためには、金属酸化物層441と金属酸化物層442との界面、および金属酸化物層442と金属酸化物層443との界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0149】
このとき、キャリアの主たる経路は金属酸化物層442となる。金属酸化物層441、金属酸化物層443を上述の構成とすることで、金属酸化物層441と金属酸化物層442との界面、および金属酸化物層442と金属酸化物層443との界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、OSトランジスタ400は高いオン電流を得られる。
【0150】
欠陥準位密度が低い混合層を形成するには、例えば、金属酸化物層441と金属酸化物層442、金属酸化物層442と酸化物半導体443が、酸素以外に共通の金属元素を主成分とする。金属酸化物層442がIn‐Ga‐Zn酸化物の場合、金属酸化物層441および金属酸化物層443として、In‐Ga‐Zn酸化物、Ga‐Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いことができる。例えば、金属酸化物層441―443がIn‐Ga‐Zn酸化物層である場合、金属酸化物層441のInに対するGaの原子数比が、金属酸化物層442、443のInに対するGaの原子数比より大きいことが好ましい。
【0151】
図12に示すように、半導体層440は、領域480、481a、481b、482a、482bを有する。領域480はチャネル形成領域として機能する。領域481a、481bは、ソース領域およびドレイン領域として機能する。領域482a、482bは、絶縁体層427と重畳する領域を有する。領域482a、482bの少なくとも一方は、導電体層460と重畳する領域を有していてもよい。
【0152】
領域481a、481bは、酸素濃度が低く、低抵抗化された領域である。領域480は領域481a、481bよりも、酸素濃度が高く、キャリア密度が低い高抵抗領域である。領域482aは、領域481aよりも酸素濃度が高く、キャリア密度が低い、かつ領域480よりも酸素濃度が低く、キャリア密度が高い。つまり、領域482aは領域481aよりも高抵抗であり、領域480よりも低抵抗である。領域482bについても、領域482aと同様である。
【0153】
領域482a、482bを設けることで、ソース領域およびドレイン領域として機能する領域481a、481bと、チャネルが形成される領域480との間に高抵抗領域が形成されないため、トランジスタのオン電流、および移動度を大きくすることができる。また、領域482a、482bを有することで、チャネル長方向において、領域481a、481bはそれぞれゲート(導電体層460)と重ならないため、ゲートの寄生容量を低減。また、領域482a、482bを有することで、非導通時のリーク電流を小さくすることができる。
【0154】
図12では、各領域の境界を、半導体層440の上面に対して略垂直に表示しているが、これに限定されない。また、半導体層440において、各領域の境界は明確に検出することが困難な場合がある。各領域内で検出される金属元素、並びに水素、および窒素などの不純物元素の濃度は、領域ごとの段階的な変化に限らず、各領域内でも連続的に変化(グラデーションともいう。)していてもよい。つまり、チャネル形成領域に近い領域であるほど、金属元素、並びに水素、および窒素などの不純物元素の濃度が減少していればよい。
【0155】
半導体層440を選択的に低抵抗化することで、半導体層440の各領域に所望の機能を付与することができる。つまり、回路設計の要求を満たすOSトランジスタ400を提供することができる。
【0156】
半導体層440を選択的に低抵抗化するには、導電性を高める金属元素、および不純物の少なくとも一を所定の領域に添加すればよい。例えば、導電性を高める金属元素としては、アルミニウム、チタン、タンタル、タングステン、クロムなどがある。不純物としては、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素などがあり、具体的には、水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、希ガス元素(代表的には、アルゴン)等が挙げられる。
【0157】
領域481a、481bの、導電性を高める金属元素、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素の含有率を高くすることで、領域481a、481bのキャリア密度を高くし、低抵抗化を図ることができる。
【0158】
領域481a、481bを低抵抗化するために、例えば、領域481a、481bに接して、金属含有膜(以下、金属含有膜と呼ぶ)を成膜するとよい。絶縁体層427を形成した後に、金属含有膜を形成することが好ましい。
【0159】
つまり、半導体層440に低抵抗領域を形成する際に、ゲート電極として機能する導電体層460、および絶縁体層427をマスクとすることで、自己整合的に半導体層440は低抵抗化する。そのため、複数のOSトランジスタ400を同時に形成する場合、トランジスタ間の電気特性バラつきを小さくすることができる。例えば、導電体層460の幅を最小加工寸法とすることが可能であり、OSトランジスタ400微細化される。
【0160】
金属含有膜としては、金属膜、金属元素を含む酸化膜、金属元素を含む窒化膜などがある。上記金属含有膜の厚さは、例えば、10nm以上200nm以下とするとよい。金属元素を有する膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
【0161】
半導体層440と金属含有膜とが接することにより、当該金属元素を有する膜の成分と、半導体層440の成分とが、金属化合物を形成し、領域481a、481bとなり、低抵抗化する。また、半導体層440と当該金属元素を有する膜との界面、または当該界面近傍に位置する半導体層440中の酸素の一部が層447A、447Bに吸収され、半導体層440に酸素欠損を形成し、低抵抗化し、領域481a、481bを形成する場合がある。
【0162】
また、半導体層440と金属含有膜とが接した状態で、窒素を含む雰囲気下において熱処理を行うとよい。当該熱処理により、当該金属元素を有する膜から、当該金属元素を有する膜の成分である金属元素が半導体層440へ、または半導体層440の成分である金属元素が当該金属元素を有する膜へと、拡散し、半導体層440と、当該金属元素を有する膜とが金属化合物を形成し、低抵抗化する。このようにして、半導体層440と当該金属元素を有する膜との間に層447A、447Bが形成される。なお、その際、半導体層440の金属元素と、当該金属元素を有する膜の金属元素とが、合金化してもよい。従って、層447A、447Bは合金を含む場合がある。当該合金は、比較的安定な状態であり、OSトランジスタ400の信頼性を劣化しない。
【0163】
上記熱処理は、例えば、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行えばよい。なお、熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気で行う。また、熱処理は減圧状態で行ってもよい。また、窒素または不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、酸化性ガスを含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。
【0164】
また、半導体層440中の水素は、領域481a、481bに拡散し、領域481a、481bに存在する酸素欠損の中に入った場合、比較的安定な状態となる。領域480に存在する酸素欠損中の水素は、250℃以上の熱処理によって、酸素欠損から抜け出し、領域481a、481bに拡散し、領域481a、481bに存在する酸素欠損の中に入り、比較的安定な状態となる。従って、熱処理によって、領域481a、481bはより低抵抗化し、領域480は高純度化(水、水素などの不純物の低減)し、より高抵抗化する。
【0165】
領域480、482a、482bは、導電体層460、および絶縁体層427を存在することで、金属元素の添加が抑制される。また、領域480、482a、482bにおいて、半導体層440中の酸素原子が、上述した金属含有膜へ吸収されることが抑制される。
【0166】
領域481aの酸素が吸収されることで、これら領域481aに酸素欠損が生じる場合がある。半導体層440中の水素が、当該酸素欠損に入ることで、領域481aのキャリア密度は増加する。従って、領域481aは、低抵抗化される。領域481b、482a、482bも低抵抗化される場合がある。
【0167】
金属含有膜が水素を吸収する特性を有する場合、上記熱処理において、半導体層440中の水素は、当該膜へと吸収される。従って、半導体層440中の不純物である水素を低減することができる。金属含有膜は、後にエッチングにより除去されるので、半導体層440から吸収した水素の大部分は除去される。
【0168】
OSトランジスタは、チャネル形成領域に不純物及び酸素欠損が存在すると、電気特性が変動しやすく、信頼性低下する場合がある。また、チャネル形成領域に酸素欠損が含まれていると、OSトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、チャネルが形成される領域480中の酸素欠損はできる限り低減されていることが好ましい。
【0169】
絶縁体層427は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素(過剰酸素ともいう。)を含む絶縁体であることが好ましい。絶縁体層427が有する過剰酸素が領域480に拡散することで、領域480の酸素欠損を低減し、領域480を高抵抗化することができる。
【0170】
絶縁体層427に過剰酸素領域を設けるには、絶縁体層427に接する絶縁体層418として、酸化物を、スパッタリング法により成膜するとよい。酸化物の成膜にスパッタリング法を用いることにより、水または水素などの不純物の少ない絶縁体を成膜することができる。スパッタリング法を用いる場合は、例えば、対向ターゲット型のスパッタリング装置を用いて成膜することが好ましい。対向ターゲット型のスパッタリング装置は、対向するターゲット間の高電界領域に被成膜面が晒されることなく成膜できるので、被成膜面がプラズマによる損傷を受けにくく成膜することができるので、絶縁体層418となる絶縁体の成膜時に半導体層440への成膜ダメージを小さくすることができるので好ましい。対向ターゲット型のスパッタリング装置を用いた成膜法を、VDSP(Vapor Deposition SP)(登録商標)と呼ぶことができる。
【0171】
なお、絶縁体層427は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることが好ましい。酸化窒化シリコンなどの材料は、過剰酸素領域を形成されやすい傾向がある。一方、上述の酸化窒化シリコンなどの材料と比較して、スパッタリング法を用いた酸化膜を半導体層440上に形成したとしても、半導体層440には、過剰酸素領域が形成しにくいという傾向がある。従って、過剰酸素領域を有する絶縁体層427を領域480の周辺に設けることで、領域480へ、絶縁体層427の過剰酸素を効果的に供給することができる。
【0172】
半導体層440の酸素欠損を低減するため、絶縁体層416、絶縁体層422も絶縁体層427と同様、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素過剰領域を有することが好ましい。
【0173】
絶縁体層416が、過剰酸素領域を有する場合、絶縁体層415は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の少なくとも一の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)ことが好ましい。絶縁体層415が、酸素の拡散を抑制する機能を有することで、絶縁体層416が有する過剰酸素領域の酸素は、絶縁体層414側へ拡散することなく、効率よく半導体層440へ供給することができる。また、導電体層461が、絶縁体層416が有する過剰酸素領域の酸素と反応することを抑制することができる。
【0174】
絶縁体層415は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)または(Ba,Sr)TiO
3(BST)などのいわゆるhigh‐k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いることが好ましい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体にhigh‐k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
【0175】
特に、不純物、および酸素などの拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)絶縁性材料であるアルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体層415を形成した場合、絶縁体層415は、半導体層440からの酸素の放出や、OSトランジスタ400の周辺部から半導体層440への水素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。
【0176】
または、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。または、これらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0177】
絶縁体層418も絶縁体層415と同様に酸素の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。なお、絶縁体層418は、酸化アルミニウムを用いることが好ましい。酸化アルミニウムは、半導体層440と近接した状態で、熱処理を行うことで、半導体層440中の水素を引き抜く場合がある。なお、半導体層440と、酸化アルミニウムとの間に層447A、447Bが設けられている場合、層447A、447B中の水素を酸化アルミニウムが吸収し、水素が低減された層447A、447Bは、半導体層440中の水素を吸収する場合がある。従って、半導体層440中の水素濃度を低減することができる。また、絶縁体層418と、半導体層440とを近接した状態で熱処理を行うことで、絶縁体層418から半導体層440、絶縁体層416に酸素を供給できる場合がある。
【0178】
(OSトランジスタの他の構成例)
図13にOSトランジスタのチャネル長方向の部分拡大図を示す。
図13に示すOSトランジスタ402は、OSトランジスタ400の変形例であり、絶縁体層427に代えて絶縁体層429が設けられている。なお、その他の構成については、
図10乃至
図12の説明を援用する。
【0179】
絶縁体層429は、不純物または酸素の透過を抑制する機能をもつ絶縁物であることが好ましい。つまり、絶縁体層429は、ゲート電極およびゲート絶縁体の側面を保護するサイドバリアとして機能する。絶縁体層429で絶縁体層422、金属酸化物層444、および導電体層460の側面を覆うことができる。従って、絶縁体層422、および金属酸化物層444の端部などから半導体層440に水素、水などの不純物が混入するのを抑制することができる。そのため、半導体層440と絶縁体層422との界面における酸素欠損の形成が抑制され、OSトランジスタ402の信頼性を向上させることができる。
【0180】
例えば、絶縁体層429はALD法を用いて成膜することが好ましい。ALD法を用いることで、緻密な薄膜を成膜することができる。絶縁体層429は、例えば、酸化アルミニウム、または酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。絶縁体層429として、ALD法を用いて酸化アルミニウムを設ける場合、絶縁体層429の膜厚は、0.5nm以上3.0nm以下とすることが好ましい。