(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6975571
(24)【登録日】2021年11月10日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/241 20180101AFI20211118BHJP
F21S 41/24 20180101ALI20211118BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20211118BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20211118BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20211118BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20211118BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20211118BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20211118BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20211118BHJP
F21W 103/15 20180101ALN20211118BHJP
F21W 102/30 20180101ALN20211118BHJP
F21W 103/40 20180101ALN20211118BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20211118BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20211118BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20211118BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S41/24
F21S43/14
F21S2/00 412
F21W103:00
F21W102:00
F21W103:10
F21Y115:10
F21Y115:30
F21W103:15
F21W102:30
F21W103:40
F21W103:35
F21W103:45
F21W103:20
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-142598(P2017-142598)
(22)【出願日】2017年7月24日
(65)【公開番号】特開2019-23965(P2019-23965A)
(43)【公開日】2019年2月14日
【審査請求日】2020年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】石坂 一代
【審査官】
山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−021313(JP,A)
【文献】
特開2016−122520(JP,A)
【文献】
特開2012−212673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21S 2/00
F21W 102/00
F21W 103/00
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光を導光させる導光体とを備え、
前記導光体は、前記光源に一面が対向して配置された第1の導光部と、前記第1の導光部の輪郭を構成する端面のうち、V字状となるように切り欠かれた第1の端面を挟んで隣り合う第2の端面及び第3の端面から前記光源と対向する側とは反対側に向かって立ち上がり形成された第2の導光部とを有し、
前記第1の導光部は、前記一面に設けられた入射部と、前記入射部と対向する面に設けられた第1の反射部と、前記第1の端面に設けられた第2の反射部と、前記第2の端面及び前記第3の端面に設けられた第3の反射部とを含み、
前記第2の導光部は、前記第1の導光部と対向する側とは反対側の端面に設けられた出射部を含み、
前記第2の反射部は、前記第1の端面の前記第2の端面と対向する側に位置して、前記第1の端面に入射する光の一部を前記第2の端面に向けて反射する複数の傾斜面を含む第1の段差部と、前記第1の端面の前記第3の端面と対向する側に位置して、前記第1の端面に入射する光の一部を前記第3の端面に向けて反射する複数の傾斜面を含む第2の段差部とを有し、
前記光源から出射された光が前記入射部から前記第1の導光部の内部へと入射し、
前記第1の反射部に入射した光が少なくとも前記第1の端面、前記第2の端面及び前記第3の端面に向けて反射され、
前記第2の反射部に入射した光が前記第2の端面及び前記第3の端面に向けて反射され、
前記第3の反射部に入射した光が前記第2の導光部に向けて反射され、
前記第2の導光部に入射した光が前記出射部から前記第2の導光部の外部へと出射されることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記第1の段差部の各傾斜面で反射された光が前記第2の端面に向けて互いに平行となるように導光され、
前記第2の段差部の各傾斜面で反射された光が前記第3の端面に向けて互いに平行となるように導光されることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第2の反射部は、前記入射部から前記第1の端面に向かう方向において、前記第1の段差部と前記第2の端面との間の距離及び前記第2の段差部と前記第3の端面との間の距離が、それぞれ漸次短くなる形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第2の導光部は、前記入射部から前記第1の端面に向かう方向において、前記第2の端面及び前記第3の端面と前記出射部との間の距離が漸次短くなる形状を有することを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記入射部から前記出射部まで導光される光の光路長が等しくなるように前記距離が調整されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記導光体は、前記第2の端面と前記第3の端面との間の前記第1の端面とは反対側の第4の端面から前記光源と対向する側とは反対側に向かって立ち上がり形成された第3の導光部を有し、
前記第1の導光部は、前記第4の端面に設けられた第4の反射部を含み、
前記第3の導光部は、前記第1の導光部と対向する側とは反対側の端面に前記出射部と連続した出射部を含み、
前記第1の反射部に入射した光の一部が前記第4の端面に向けて反射され、
前記第4の反射部に入射した光が前記第3の導光部に向けて反射され、
前記第3の導光部に入射した光が前記出射部から前記第3の導光部の外部へと出射されることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記出射部には、複数の反射カットが設けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード(LED)などの光源と、インナーレンズなどの導光体とを組み合わせたものが知られている(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
車両用灯具では、光源から出射された光を導光体の一端面(入射面)から入射し、導光体の内部で導光する間に、この導光体に設けられた複数の反射カット(反射面)で光を内部反射させることによって、各反射カットで反射された光を拡散しながら、この導光体の一面(前面)に設けられた出射面(発光面)を略均一に発光させる。このような車両用灯具は、例えば、車両のテールランプなどに用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−21963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した導光体では、入射面から出射面(発光面)まで導光される光の光路長の違いによって、発光面に輝度(発光)ムラが生じることがあった。すなわち、導光体の出射面(発光面)に輝度(発光)ムラが生じた場合は、発光面のうち、入射面からの光路長が短い箇所よりも入射面からの光路長が長い箇所の方が相対的に暗くなってしまう。
【0006】
特に、1つの光源から出射された光によって、発光面の全域を均一に発光させようとした場合は、上述した光路長の違いによる輝度(発光)ムラの発生を抑制することが困難となる。
【0007】
一方、このような輝度(発光)ムラが発生した場合は、視認性や見栄えが低下してしまうことから、複数の光源を配置した上で、各光源から出射された光を導光体に入射させなければならない。この場合、光源数が増加することによるコストアップや、複数の光源を配置するスペースを確保したことによる灯体の大型化などの問題が発生してしまう。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、より均一な発光を可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 光源と、
前記光源からの光を導光させる導光体とを備え、
前記導光体は、前記光源に一面が対向して配置された第1の導光部と、前記第1の導光部の輪郭を構成する端面のうち、
V字状となるように切り欠かれた第1の端面を挟んで隣り合う第2の端面及び第3の端面から前記光源と対向する側とは反対側に向かって立ち上がり形成された第2の導光部とを有し、
前記第1の導光部は、前記一面に設けられた入射部と、前記入射部と対向する面に設けられた第1の反射部と、前記第1の端面に設けられた第2の反射部と、前記第2の端面及び前記第3の端面に設けられた第3の反射部とを含み、
前記第2の導光部は、前記第1の導光部と対向する側とは反対側の端面に設けられた出射部を含み、
前記第2の反射部は、前記第1の端面の前記第2の端面と対向する側に位置して、前記第1の端面に入射する光の一部を前記第2の端面に向けて反射する複数の傾斜面を含む第1の段差部と、前記第1の端面の前記第3の端面と対向する側に位置して、前記第1の端面に入射する光の一部を前記第3の端面に向けて反射する複数の傾斜面を含む第2の段差部とを有し、
前記光源から出射された光が前記入射部から前記第1の導光部の内部へと入射し、
前記第1の反射部に入射した光が少なくとも前記第1の端面、前記第2の端面及び前記第3の端面に向けて反射され、
前記第2の反射部に入射した光が前記第2の端面及び前記第3の端面に向けて反射され、
前記第3の反射部に入射した光が前記第2の導光部に向けて反射され、
前記第2の導光部に入射した光が前記出射部から前記第2の導光部の外部へと出射されることを特徴とする車両用灯具。
〔2〕
前記第1の段差部の各傾斜面で反射された光が前記第2の端面に向けて互いに平行となるように導光され、
前記第2の段差部の各傾斜面で反射された光が前記第3の端面に向けて互いに平行となるように導光されることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記第2の反射部は、前記入射部から前記第1の端面に向かう方向において、前記第1の段差部と前記第2の端面との間の距離及び前記第2の段差部と前記第3の端面との間の距離が、それぞれ漸次短くなる形状を有することを特徴とする前記
〔1〕又は〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記第2の導光部は、前記入射部から前記第1の端面に向かう方向において、前記第2の端面及び前記第3の端面と前記出射部との間の距離が漸次短くなる形状を有することを特徴とする前記〔3〕に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記入射部から前記出射部まで導光される光の光路長
が等しくなるように前記距離が調整されていることを特徴とする前記〔3〕又は〔4〕に記載の車両用灯具。
〔6〕 前記導光体は、前記第2の端面と前記第3の端面との間の前記第1の端面とは反対側の第4の端面から前記光源と対向する側とは反対側に向かって立ち上がり形成された第3の導光部を有し、
前記第1の導光部は、前記第4の端面に設けられた第4の反射部を含み、
前記第3の導光部は、前記第1の導光部と対向する側とは反対側の端面に前記出射部と連続した出射部を含み、
前記第1の反射部に入射した光の一部が前記第4の端面に向けて反射され、
前記第4の反射部に入射した光が前記第3の導光部に向けて反射され、
前記第3の導光部に入射した光が前記出射部から前記第3の導光部の外部へと出射されることを特徴とする前記〔1〕〜〔5〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔7〕 前記出射部には、複数の反射カットが設けられていることを特徴とする前記〔1〕〜〔6〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、より均一な発光を可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態による車両用灯具が備える導光体を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す車両用灯具を前面側から見た正面図である。
【
図3】
図2中に示す線分A−Aによる車両用灯具の断面図である。
【
図4】
図2中に示す線分B−Bによる車両用灯具の断面図である。
【
図5】
図1に示す車両用灯具が備える導光体の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0013】
本発明の一実施形態として、例えば
図1〜
図5に示す車両用灯具1について説明する。
なお、
図1は、車両用灯具1が備える導光体3を示す斜視図である。
図2は、車両用灯具1を前面側から見た正面図である。
図3は、
図2中に示す線分A−Aによる車両用灯具1の断面図である。
図4は、
図2中に示す線分B−Bによる車両用灯具1の断面図である。
図5は、車両用灯具1の変形例を示す正面図である。
【0014】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具1の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0015】
本実施形態の車両用灯具1は、例えば、車両(図示せず。)の後端側の両コーナー部(本実施形態では左後端側のコーナー部)に搭載されるテールランプ(尾灯)に本発明を適用したものである。
【0016】
なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具1を正面(車両後方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。したがって、車両を正面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向とは、前後左右を逆にした方向となっている。
【0017】
具体的に、この車両用灯具1は、
図1〜
図4に示すように、光源2と、光源2からの光を導光させる導光体3とを概略備えている。光源2及び導光体3は、この車両用灯具1を構成する灯体(図示せず。)の内側に収容された状態で、車両の左後端側のコーナー部に配置されている。
【0018】
光源2は、例えば赤色光(以下、単に光という。)Lを発するチップLED(SMD LED)からなる。また、チップLEDには、車両照明用の高出力(高輝度)タイプのものを使用している。光源2は、このチップLEDが発する光Lを前方(車両後方)に向けて放射状に出射する。
【0019】
導光体3は、車両用灯具1のインナーレンズとして、光源2から出射された光Lを導光させる1つの第1の導光部4と、2つの第2の導光部5と、1つの第3の導光部6とを有している。なお、導光体3には、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなど、空気よりも屈折率の高い材質のものを用いることができる。
【0020】
このうち、第1の導光部4は、全体として略矩形平板状に形成されて、上下方向(高さ方向)に対して平行となる向きで配置されている。また、第1の導光部4は、光源2に背面(一面)4aが対向して配置されている。したがって、第1の導光部4は、前面(他面)4b側を前方(車両後方)に向けた状態で配置されている。
【0021】
一方、2つの第2の導光部5は、第1の導光部4の輪郭を構成する4つ(上下左右)の端面4c〜4fのうち、第1の導光部4の上側及び下側に位置する端面4c,4dから光源2と対向する側とは反対側(車両後方)に向かって立ち上がり形成されている。また、2つの第2の導光部5は、全体として略三角形平板状に形成されて、左右方向(幅方向)に対して平行となる向きで互いに平行に配置されている。
【0022】
一方、第3の導光部6は、第1の導光部4の右側に位置する端面4fから光源2と対向する側とは反対側(車両後方)に向かって立ち上がり形成されている。また、第3の導光部6は、全体として略矩形平板状に形成されて、2つの第2の導光部5の間で連続するように上下斜めとなる向きで配置されている。さらに、2つの第2の導光部5と第3の導光部6との間の角部は、丸みを帯びた形状を有している。
【0023】
これにより、導光体3は、第1の導光部4と2つの第2の導光部5との間が略90°で屈曲されると共に、第1の導光部4と第3の導光部6との間が略90°で屈曲された形状を有している。また、導光体3は、第1の導光部4の前面4a側の周囲を2つの第2の導光部5及び第3の導光部6が連続して囲むような形状(コの字形状)を有している。
【0024】
第1の導光部4は、背面4aに設けられた入射部7と、入射部7と対向する前面4bに設けられた第1の反射部8と、左側の端面(以下、第1の端面という。)4eに設けられた第2の反射部9と、上側の端面(以下、第2の端面という。)4c及び下側の端面(以下、第3の端面という。)4dに設けられた2つの第3の反射部10と、右側の端面(以下、第4の端面という。)4fに設けられた第4の反射部11とを有している。
【0025】
入射部7は、光源2と対向する位置に第1の入射面7aを有している。第1の入射面7aは、光源2が発する光Lの光軸AXを中心に回転対称となる略円錐形状を有して、第1の導光部4の背面4aから突出して設けられている。入射部7では、光源2から出射された光Lのうち、第1の入射面7aから第1の導光部4の内部に入射した光Lを第1の反射部8に向けて光軸寄りに集光させる。
【0026】
また、入射部7は、第1の入射面7aの周囲に第2の入射面7bを有している。第2の入射面7bは、光源2が発する光Lの光軸AXを中心に回転対称となるフレネルレンズ面を構成している。入射部7では、光源2から出射された光Lのうち、第2の入射面7bから第1の導光部4の内部に入射した光Lを第1の反射部8の周囲に向けて光軸寄りに集光させる。
【0027】
第1の反射部8は、第1の入射面7aと対向する位置に反射面8aを有している。反射面8aは、光源2が発する光Lの光軸AXを中心に回転対称となる略円錐形状を有して、第1の導光部4の前面4bを凹まして設けられている。すなわち、この反射面8aは、第1の入射面7aと相対する位置にあり、光源2が発する光Lの光軸AXに対して略45°の角度で傾斜した円錐面により構成されている。
【0028】
第1の反射部8では、反射面8aに入射した光Lを第1の導光部4の各端面4c〜4fに向けて内部反射(全反射)させる。これにより、第1の反射部8(反射面8a)で反射された光Lは、第1の導光部4の各端面4c〜4fに向けて放射状に導光されることになる。
【0029】
また、第2の入射面7bから第1の導光部4の内部に入射した光Lは、第1の導光部4の前面4bと背面4aとの間で内部反射を繰り返しながら、第1の導光部4の各端面4c〜4fに向けて放射状に導光されることになる。
【0030】
第2の反射部9は、第1の段差部12と、第2の段差部13とを有している。第1の段差部12と第2の段差部13とは、第1の導光部4を前面4b側から見たときに、光源2が発する光Lの光軸AXから第2の端面4c及び第3の端面4dと平行に延びる分割ラインDを挟んで略V字状に切り欠かれた第1の端面4eに設けられている。
【0031】
このうち、第1の段差部12は、分割ラインDを挟んだ上側の第1の端面4eに向かって導光される光Lの進行方向に対して略平行となる複数の段差面12aと、複数の段差面12aの各間に位置して、互いに同一方向に傾斜する複数の傾斜面12bとを有している。第1の段差部12では、各傾斜面12bに入射した光Lを第2の端面4c(上方)に向けて内部反射(全反射)させる。これにより、第1の段差部12(各傾斜面12b)で反射された光Lは、第1の導光部4の第2の端面4cに向けて互いに略平行に導光されることになる。
【0032】
一方、第2の段差部13は、分割ラインDを挟んだ下側の第1の端面4eに向かって導光される光Lの進行方向に対して略平行となる複数の段差面13aと、複数の段差面13aの各間に位置して、互いに同一方向に傾斜する複数の傾斜面13bとを有している。第2の段差部13では、各傾斜面13bに入射した光Lを第3の端面4d(下方)に向けて内部反射(全反射)させる。これにより、第2の段差部13(各傾斜面13b)で反射された光Lは、第1の導光部4の第3の端面4dに向けて互いに略平行に導光されることになる。
【0033】
2つの第3の反射部10は、第2の端面4c及び第3の端面4dに向かって導光される光Lの進行方向に対して、これら第2の端面4c及び第3の端面4dを約45°の角度で第2の導光部5に向かって傾斜した複数の傾斜面10aにより構成されている。
【0034】
第3の反射部10では、傾斜面10aに入射した光Lを第2の導光部5に向けて内部反射(全反射)させる。これにより、第3の反射部10(傾斜面10a)で反射された光Lは、第2の導光部5に入射し、この第2の導光部5の前方(車両後方)向けて導光されることになる。
【0035】
第4の反射部11は、第4の端面4fに向かって導光される光Lの進行方向に対して、この第4の端面4fを約45°の角度で第3の導光部6に向かって傾斜した複数の傾斜面11aにより構成されている。
【0036】
第4の反射部11では、傾斜面11aに入射した光Lを第3の導光部6に向けて内部反射(全反射)させる。これにより、第4の反射部11(傾斜面11a)で反射された光Lは、第3の導光部6に入射し、この第3の導光部6の前方(車両後方)向けて導光されることになる。
【0037】
第2の導光部5及び第3の導光部6は、第1の導光部4と対向する側とは反対側の端面(前面)5a,6aに出射部14を有している。出射部14は、2つの第2の導光部5と第3の導光部6との間で連続した導光体3の発光面Eを構成している。
【0038】
出射部14には、この出射部14から出射される光Lを拡散させるための複数の反射カット14aが設けられている。複数の反射カット14aは、第2の導光部5及び第3の導光部6の端面5a,6aを第2の導光部5及び第3の導光部6の厚み方向に切り欠く溝部が端面5a,6aの延長方向に並ぶことによって構成されている。また、複数の反射カット14aは、導光体3の発光面Eを略均一に発光させるため、この発光面Eの形状に合わせて、出射部14から出射される光Lの拡散度合いを制御している。
【0039】
なお、反射カット14aについては、上述した溝部の形状に限定されるものではなく、例えば、第2の導光部5及び第3の導光部6の端面5a,6aにシボ加工等を施すことによって、出射部14から出射される光Lを拡散させる凹凸形状を設けた構成としてもよい。
【0040】
出射部14では、第2の導光部5及び第3の導光部6に入射した光Lを第2の導光部5及び第3の導光部6の外部へと出射する。これにより、車両用灯具1の前方(車両後方)に向けて導光体3の発光面Eを発光させることができる。
【0041】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1では、上述した第1の導光部4の第1の端面4eに向かって導光される光Lを、第2の反射部9(複数の傾斜面12b,13b)によって第1の導光部4の第2の端面4c及び第3の端面4dに向けて反射する。
【0042】
この場合、第2の導光部5の入射部7から出射部14まで光路長が長くなる側(左側)において、発光面Eを発光させるための光量を増加させることが可能である。これにより、1つの光源2から出射された光Lの入射部7から出射部14まで導光される光Lの光路長の違いによる輝度(発光)ムラの発生を抑制しながら、導光体3の発光面Eをより均一に発光させることが可能である。
【0043】
さらに、本実施形態の車両用灯具1では、発光面Eの全域を均一に発光させるため、入射部7から出射部14まで導光される光Lの光路長が略々等しくなるように調整されている。
【0044】
具体的に、第2の反射部9では、入射部7から第1の端面4eに向かう方向において、第1の段差部12と第2の端面4cとの間の距離及び第2の段差部13と第3の端面4dとの間の距離が、それぞれ漸次短くなるように、上述した略V字形状を有している。
【0045】
また、第2の導光部5では、入射部7から第1の端面4eに向かう方向において、第2の端面4c及び第3の端面4dと出射部14との間の距離が漸次短くなるように、上述した略三角形状を有している。
【0046】
これにより、1つの光源2から出射された光Lの入射部7から出射部14まで導光される光Lの光路長が略々等しくなることによって、導光体3の発光面Eをより均一に発光させることが可能である。
【0047】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記車両用灯具1では、実際の車両のデザイン等に合わせて、上記導光体3の形状などを適宜変更することが可能である。例えば、
図5(a)に示す導光体3Aや、図(b)に示す導光体3Bのような構成としてもよい。なお、これら導光体3A,3Bにおいて、上記導光体3と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0048】
具体的に、
図5(a)に示す導光体3Aは、第1の導光部4の輪郭を構成する4つ(上下左右)の端面4c〜4fのうち、第1の導光部4の上側及び下側に位置する端面(第2及び第3の端面)4c,4dから2つの第2の導光部5が立ち上がり形成され、第1の導光部4の左側及び右側に位置する端面(第1の端面)4e,4fに第2の反射部9を構成する第1の段差部12及び第2の段差部13が設けられた構成となっている。
【0049】
これにより、導光体3Aは、2つの発光面Eが平行に並ぶ形状(二の字形状)を有している。導光体3Aでは、上記導光体3と同様に、1つの光源2から出射された光Lの入射部7から出射部14まで導光される光Lの光路長の違いによる輝度(発光)ムラの発生を抑制しながら、この導光体3Aの発光面Eをより均一に発光させることが可能である。
【0050】
一方、
図5(b)に示す導光体3Bは、第1の導光部4の輪郭を構成する3つの端面4g,4h,4iのうち、第1の端面4gを挟んで隣り合う第2の端面4h及び第3の端面iから2つの第2の導光部5が連続して立ち上がり形成され、第1の端面4gに第2の反射部9を構成する第1の段差部12及び第2の段差部13が設けられた構成となっている。
【0051】
これにより、導光体3Bは、2つの発光面Eの間が屈曲した形状(くの字形状)を有している。導光体3Bでは、上記導光体3と同様に、1つの光源2から出射された光Lの入射部7から出射部14まで導光される光Lの光路長の違いによる輝度(発光)ムラの発生を抑制しながら、この導光体3Bの発光面Eをより均一に発光させることが可能である。
【0052】
また、上記光源2については、光Lを放射状に出射するものであればよく、上述したLED以外にも、例えばレーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いることができる。また、発光素子が発する光の色については、上述した赤色光に限らず、白色光や橙色光など、その光源2の用途に応じて適宜変更することも可能である。
【0053】
また、上記導光体3は、上述した1つの第1の導光部4と3つの第2の導光部5とを一体化した構成となっているが、このうちの一部を分割した構成としてもよい。例えば、第1の導光部4と第2の導光部5とを分割したものを一体に組み合わせて、上記導光体3とすることも可能である。
【0054】
なお、上記実施形態では、上述したテールランプなどの車両用灯具に本発明を適用した場合を例示したが、テールランプを構成する場合、上述した光源2やインナーレンズとなる導光体3,3A,3Bの他にも、例えば、アウターレンズやリフレクター、エクステンションなどの他の部材と組み合わせることが可能である。
【0055】
また、本発明が適用される車両用灯具については、上述したテールランプ(尾灯)に限らず、例えば、車両用前照灯(ヘッドランプ)、車幅灯(ポジションランプ)、補助前照灯(サブヘッドランプ)、前部(後部)霧灯(フォグランプ)、昼間点灯用(デイタイム・ランニング)ランプ、リッドランプ、ブレーキランプ(ストップランプ)、バックランプ、方向指示器(ウィンカーランプ)など、光源と導光体とを備えた車両用灯具に対して本発明を幅広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…車両用灯具 2…光源 3,3A,3B…導光体 4…第1の導光部 4a…背面(一面) 4b…前面(他面) 4c,4h…第2の端面 4d,4i…第3の端面 4e,4g…第1の端面 4f…第4の端面 5…第2の導光部 6…第3の導光部 7…入射部 8…第1の反射部 9…第2の反射部 10…第3の反射部 11…第4の反射部 12…第1の段差部 13…第2の段差部 14…出射部 14a…反射カット E…発光面 L…光