特許第6975847号(P6975847)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6975847
(24)【登録日】2021年11月10日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】テンショナ
(51)【国際特許分類】
   F16H 7/12 20060101AFI20211118BHJP
   F02B 67/06 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   F16H7/12 A
   F02B67/06 A
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-513794(P2020-513794)
(86)(22)【出願日】2018年9月5日
(65)【公表番号】特表2020-533529(P2020-533529A)
(43)【公表日】2020年11月19日
(86)【国際出願番号】US2018049501
(87)【国際公開番号】WO2019050914
(87)【国際公開日】20190314
【審査請求日】2020年3月31日
(31)【優先権主張番号】15/699,859
(32)【優先日】2017年9月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ケミング
(72)【発明者】
【氏名】ハオ,ミン チュン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン,ジン
(72)【発明者】
【氏名】ウィック,エンリコ
(72)【発明者】
【氏名】マーチネス,アルノー
(72)【発明者】
【氏名】バッシ,フラチェスコ
【審査官】 鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−503151(JP,A)
【文献】 特開2006−161886(JP,A)
【文献】 特開2001−289293(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0369347(US,A1)
【文献】 特表2010−521629(JP,A)
【文献】 特表2012−518140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/12
F02B 67/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2アームがパイロットシャフトの周りに揺動し、かつ第1トーションスプリングによって付勢力を付与するように構成された取付け工具を用いてベルト駆動システムに取付けられるテンショナであって、
孔を区画形成するベースを備え、前記孔には前記パイロットシャフトが係合可能であり、前記孔は中心Cを有し
前記ベースに接続された保持部材によって前記ベースに係合するロータリーアームを備え、前記ロータリーアームは前記中心Cの周りに回転可能であり、
ピボット上において前記ロータリーアームに取付けられたピボットアームを備え、前記ピボットは前記中心Cからずれており、
前記ロータリーアームに軸支された第1プーリと、
前記ピボットアームに軸支された第2プーリと、
前記第2プーリを前記第1プーリに向かって付勢するために、前記ロータリーアームと前記ピボットアームの間に係合する第2トーションスプリングと、
前記ベースと前記ロータリーアームの間に摩擦係合する減衰部材とを備え、
前記ロータリーアームが第1プーリ固定具を受容するための部分を区画形成することにより、第1プーリ位置が調整可能である
テンショナ。
【請求項2】
前記減衰部材が第1管状部材と第2管状部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のテンショナ。
【請求項3】
前記ベースと前記ロータリーアームの相対位置を固定するための第1ロックピンと、
前記ロータリーアームと前記ピボットアームの相対位置を固定するための第2ロックピンとをさらに備える請求項1に記載のテンショナ。
【請求項4】
前記部分がスロットである請求項1に記載のテンショナ。
【請求項5】
前記ロータリーアームに調整可能に固定された偏心部材をさらに備え、前記第1プーリが前記偏心部材に軸支され、
前記偏心部材の回転中心が前記第1プーリの回転中心からずれていることを特徴とする請求項1に記載のテンショナ。
【請求項6】
前記偏心部材が偏心部材位置を調整するために工具に係合可能な受容部を備えることを特徴とする請求項に記載のテンショナ。
【請求項7】
前記ロータリーアームがさらに、ピボットアーム位置を表示するために前記ピボットアームに対して協働的に配置されたインジケータを備えることを特徴とする請求項1に記載のテンショナ。
【請求項8】
前記従動プーリが回転軸Rを有し、回転軸Rが前記中心Cに整列することを特徴とする請求項1に記載のテンショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテンショナに関し、特に、第1プーリの位置を調整可能にする、第1プーリ固定具を受容するための部分を形成するロータリーアームを有するテンショナに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチリブドベルトは一般に、エンジンクランクシャフトとアクセサリ要素の間で動力を伝達するために、自動車に用いられる。従来の駆動機構では、エンジンクランクシャフトのプーリが1本のベルトまたは複数本のベルトを介してアクセサリを駆動する。テンショナは通常、複数のアクセサリがベルトを介して駆動されるとき用いられる。テンショナアームが適切に位置しているときであっても、ベルトの取付け張力はベルト長さの公差に関連して僅かに変化しうる。
【0003】
モータジェネレータユニット(MGU)は、BSG(ベルトスタータジェネレータ)エンジンのスタートストップ・トルクアシストを実行して、エンジンの加速と回復を高め、オルタネータによる通常の発電に加えて電気を発生するために用いられる。顕著な燃料節約と排気ガスの減少はBSG技術により達成され得る。
【0004】
2つの異なる駆動モード、すなわちエンジン駆動を伴うMGU駆動とMGU発電のモードにおいて張力を制御するため、オービタル型テンショナが開発された。テンショナは一般的に、1つのスプリングにより連結されたロータリーアームとピボットアームを有する。テンショナはMGUに取付けられる。この形態のテンショナは両モード、すなわち駆動および発電において、ベルトの作動張力を制御できる。しかし、従来の単一アームのテンショナとは異なり、張力変動を低減するために、オービタル型テンショナのアームを最適な方法で位置決めすることは実用的ではない。ベルト長さの公差とプーリの位置とサイズによる取付け張力の変化は、単一アームのテンショナよりも著しく高い。ベルト張力は、ベルト駆動の摩擦損失あるいは動力損失を決定する重要な要素であり、したがってシステムの機能的な性能を満足することなく、ベルト張力を低下することが望ましい。
【0005】
この技術の代表は米国特許第9709137号であり、これは、原動装置のシャフト上の回転駆動部材に係合された無端状駆動部材に張力を与えるためのテンショナを開示する。テンショナは、原動装置に取付け可能なベースと、原動装置のシャフトを囲むようにしてベースにより回転可能に支持され、リング軸の周りに回転可能なリングと、アームピボット軸の周りに揺動運動するためにリングに揺動可能に取付けられたテンショナアームと、第1および第2テンショナプーリとを含む。第1テンショナプーリはテンショナアームに回転可能に取付けられる。テンショナアームは、回転駆動部材の一方の側部において、無端状駆動部材の第1スパンに向かって付勢される。第2テンショナプーリは、少なくとも直接的にリングに回転可能に取付けられ、ロータリー駆動部材の他方の側部において、無端状駆動部材の第2スパンに向かって付勢される。リングは、無端状駆動部材の第1および第2スパンとの係合から生じる、第1および第2テンショナプーリにおけるハブ負荷に応動して回転可能である。
【0006】
必要なものは、第1プーリ固定具を受容するスロットを形成し、これにより第1プーリ位置が調整可能であるロータリーアームを有するテンショナである。本発明はこの必要性に合致する。
【発明の概要】
【0007】
本発明の主な特徴は、第1プーリ固定具を受容するスロットを形成し、これにより第1プーリ位置が調整可能であるロータリーアームを有するテンショナを提供することである。
【0008】
本発明の他の特徴は、本発明の次の記載と添付した図面により示され、明らかになる。
【0009】
本発明は、孔を区画形成するベースを備え、孔は中心Cを有し、孔は従動プーリを受容するのに十分な直径を有し、ベースに接続された保持部材によってベースに係合するロータリーアームを備え、ロータリーアームは中心Cの周りに回転可能であり、ピボット上においてロータリーアームに取付けられたピボットアームを備え、ピボットは中心Cからずれており、ロータリーアームに軸支された第1プーリと、ロータリーアームに軸支された第2プーリと、第2プーリを第1プーリに向かって付勢するために、ロータリーアームとピボットアームの間に係合するトーションスプリングと、ベースとロータリーアームの間に摩擦係合する減衰部材とを備え、ロータリーアームが第1プーリ固定具を受容するための部分を区画形成することにより、第1プーリ位置が調整可能であるテンショナである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
この明細書に組み込まれその一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
図1a】従来技術である。
図1b】従来技術である。
図2】従来技術である。
図3a】ロータリーアームの詳細である。
図3b】テンショナの斜視図である。
図4】取付け工具の側面図である。
図5】テンショナ上の取付け工具の側面図である。
図6】テンショナに係合された取付け工具の断面図である。
図7】取付け工具の分解図である。
図8】取付け工具の分解図である。
図9】ベルト駆動システムの模式図である。
図10】代替的な実施形態の断面図である。
図11図10の代替的な実施形態の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は従来技術である。オービタル型テンショナはベース1を備える。ロータリーアーム2はベース1に回転可能に取付けられる。プーリ6はロータリーアーム2に軸支される。ピボットアーム3はピボット4においてロータリーアーム2に取付けられる。プーリ7はピボットアーム3の端部に軸支される。ロータリーアーム2は中心Cの周りに回転する。ベース1とロータリーアーム2はそれぞれ、孔8を区画形成する。中心Cは孔8内に配置され、MGUプーリの回転軸Rに対して同軸的に整列される。図2参照。トーションスプリング5は付勢力をロータリーアーム2とピボットアーム3に付与し、これは延いてはベルトに負荷を与える。図9参照。ピボット4は中心Cからずれている。
【0012】
図2は従来技術である。ベース1は固定具あるいは他の公知の手段により、モータジェネレータユニット(MGU)に固定される。MGUは車両のエンジン・ストップ/スタート・アプリケーションに使用される。この例において、ピボット4とアームプーリ6の間の角度αは130°である。
【0013】
図3aはロータリーアームの詳細である。角度αは、ベルトと駆動部の長さの変化を補償するために調整可能である。図9参照。プーリ6は固定具61によってロータリーアーム部分21に取付けられる。固定具61はスロット22に係合する。スペーサ62はスロット22内において固定具61を位置決めする。ロータリーアーム部分21はロータリーアームの中心Cから径方向外方に延びる。部分21の径方向長さは短く、プーリ6をロータリーアームの最小半径に定め、あるいはシステムによって要求されるかもしれない適当な径方向長さであってもよい。
【0014】
固定具61はスロット22内で移動可能であり、これにより部分21に対するプーリ6の相対位置の調整が可能になる。固定具61の移動、したがってプーリ6の移動は、ベルト/駆動部の長さの公差を補償するために、広い角度範囲にわたって角度αの調整を許容する。固定具61はロックナット62により所定位置に固定される。図3b参照。
【0015】
図3bはテンショナの斜視図である。位置決めピン51と位置決めピン52はそれぞれ、ベースとアームとピボットアームの相対位置を一時的に固定するために使用される。位置決めピン51はベース1とロータリーアーム2の間に係合し、それらの間の相対位置をロックする。位置決めピン52はロータリーアーム2とピボットアーム3の間に係合し、それらの間の相対位置をロックする。
【0016】
製造工程の間、位置決めピン51、52はテンショナに取付けられる。テンショナがMGUに取付けられ、ベルトがシステムにおいて経路に沿って掛け回されると、位置決めピン51、52は取外され、テンショナはベルトとともに作動位置に移動する。図9はベルト駆動システムの模式図である。
【0017】
本発明はプーリ6の位置の調整を許容して、ベルトおよび駆動部の長さの差を吸収する。これは、ベルトおよび駆動部の公差により生じるベルト張力変化を低減あるいは除去する。ここに記載される取付け工具は、調整が迅速かつ正確に達成される手段を提供する。
【0018】
表Aは、プーリ6の位置調整の利点がある場合とない場合における、張力制御の例を示す。本発明は、調整がないシステムと比較して、作動張力変化を20%未満まで減少させる。調整できることにより、動力の損失が低減し、特にMGUアプリケーションに用いられたとき、ベルト張力の低下により燃費が向上する。表Aにおいて、「ベルト/駆動部の長さ」は平均的なシステムのベルト全長との長さの差を示す。「CAの位置変化」は調整の間におけるスロット22内でのプーリ6の相対移動を示す。「PA角度」は角度αを示す。「スプリングTQ」はスプリング5のスプリングトルクを示す。「張力」はベルト張力を示す。「調整あり」は調整を伴うことを示す。「調整なし」は調整しなかったことを示す。この例において、スプリングトルクとベルト張力の変化は調整可能なテンショナによって著しく減少し、これはより小さいベルトの設計張力を許容する。
【0019】
【表A】
【0020】
図4は取付け工具の側面図である。取付け工具100は、調整アーム120に揺動自在に連結された第1レバーアーム110を備える。トーションスプリング130はアーム110とアーム120の間に配設される。スプリング130の第1端部131はピン111に係合する。スプリング130の第2端部132はピン121に係合する。
【0021】
パイロットシャフト140は、取付け工具を安定させ、中心合わせをするために、孔8に係合する。アーム110とアーム120はパイロットシャフト140に対して同軸的に回動する。取付けの間、部分150はプーリ6に寄りかかる。
【0022】
図5はテンショナと取付け工具の斜視図である。インデックスマーク112はアーム110に刻印される。シャフト122のインジケータ124は、インジケータ124とインデックスマーク112が整列したとき、インデックスマーク112と協働して、適切な取付けスプリング負荷を示す。
【0023】
取付け工具の使用は、次の項目を備える。
1)ベルトBをシステムレイアウトに従い掛け回して取付ける。例えば図9参照。
2)テンショナの位置決めピン51、52を取付ける。プーリ6は角度αが最大になるように配置される。固定具61はロックナット62により僅かに締められる。
3)テンショナをMGUに取付ける。ベルトを両テンショナプーリ6、7に背面で係合するように配置する。テンショナをMGUに固定するために取付けボルトを締める。
4)パイロットシャフト140をテンショナの孔8に挿入することにより、取付け工具を位置決めする。部分150は、初期負荷のスプリング130でプーリ6に係合する。
5)アーム110を回転させ、インジケータ124をインデックスマーク112に整列させ、負荷がかけられたスプリング130から所定の力を、ベルトBに抗してプーリ6に付与する。
6)ロックナット62を締める。取付け工具を除去し、位置決めピン51、52を除去する。ベルトは設計された公称張力で、あるいはそれに近い張力で張られる。角度αは、設計されたベルト駆動部長さに対応した適切な作動位置に調整される。
【0024】
テンショナを取付ける方法は、位置決めピンをベースとロータリーアームの間に、また位置決めピンをロータリーアームとピボットアームの間に取付け、全てがテンショナにあり、第1テンショナプーリとピボットアームの間の角度αを最大にし、ベルト駆動システムにベルトを取付け、ベルトを第1テンショナプーリと第2テンショナプーリに係合させ、テンショナを駆動装置に取付け、パイロットシャフトをテンショナの孔に挿入することにより、取付け工具を位置決めし、取付け工具の部分を第1テンショナプーリに係合させ、第1取付け工具アームを回転させて、第1取付け工具アーム上のインジケータを第2取付け工具アーム上のインデックスマークに整列させ、これにより所定の力をトーションスプリングから第1テンショナプーリに付与するとともに、負荷をベルトにかけ、第1テンショナプーリをロータリーアームの所定位置に固定する。
【0025】
図6はテンショナに係合された取付け工具の断面図である。テンショナはベース1とロータリーアーム2を備える。ベース1は受容部20を備える。受容部20内には減衰部材21と減衰部材22が配設される。減衰部材21、22はそれぞれ、環状に成形され、孔8に対して径方向外側に配置される。減衰部材21、22はロータリーアーム2に摩擦係合して、ロータリーアーム2の振動を減衰させる。
【0026】
ロータリーアーム2は環状部27を備える。減衰部材21、22は環状部に摩擦係合する。保持部材24は筒状部材23に取付けられる。部材23はベース1の孔8に、例えば圧入によって、固定的に連結される。ロータリーアーム2は部材23と部材24によってベース1に保持される。
【0027】
取付け工具が使用されるとき、パイロットシャフト140がベース1の孔8の中に挿入される。部分150はプーリ6に係合する。
【0028】
図7は取付け工具の分解図である。シャフト113はシャフト122に同軸的に係合する。部分150はシャフト123の周りに揺動してもよい。シャフト123はアーム120から延びる。シャフト123、シャフト122、シャフト113は相互に平行である。シャフト113、122は軸A−Aに沿って同軸的である。
【0029】
図8は取付け工具の分解図である。シャフト122はシャフト113の中に同軸的に係合する。シャフト122は、シャフト113の内径よりも小さい外径を有する。ストッパ114は、アーム110の過回転を防止するために、ストッパ125に係合する。
【0030】
取付け工具は、第1アームと、第1アームに揺動自在に連結された第2アームと、第1アームと第2アームの間に係合して、第1アームと第2アームに付勢力を付与するトーションスプリングと、テンショナプーリに係合するために第2アームから延びる部分と、テンショナの孔に係合するためのパイロットシャフトとを備え、第1アームと第2アームはパイロットシャフトに対して同軸的であり、テンショナの取付け状態を表示するために、第1アーム上のインデックスマークと協働するように配置された第2アーム上のインジケータを備える。
【0031】
図9はベルト駆動システムの模式図である。ベルトBは、空調機コンプレッサ(A_C)とモータジェネレータユニット(MGU)を含む種々のアクセサリシステム要素の間において、経路に沿って掛け回される。システムはエンジンクランクシャフト(CRK)によって駆動される。
【0032】
第1駆動モードでは、クランクシャフトは上記要素を駆動する。MGUは電力を車両システムに供給するジェネレータとして作用する。第1駆動モードにおいて、ベルトスパンB1は「張り側」であり、スパンB2は「緩み側」である。
【0033】
スタートストップモードでは、一定の動作条件が満足されているとき、例えば、適用されたブレーキにより停止信号において停止したとき、エンジンは停止する。このモードにおいてエンジンは、運転者の入力信号が受信されるまで、例えばアクセルペダルを踏むときまで、停止し続ける。運転者の入力信号は、MGUをスタータとして作用させ、これにより、ベルトによってクランクシャフトに伝達される駆動力を介してエンジンを始動させる。
【0034】
ピボットアーム3とロータリーアーム2はそれぞれ、本システムの作動の間、揺動する。プーリ7は、MGUがスタートストップモードにあるとき、特にスタートモードにあるとき、位置7aにある。プーリ7はMGUがジェネレータとして作動しているとき、位置7bにある。ピボットアーム3の動きはロータリーアーム2の回転運動に関連する。ロータリーアーム2とピボットアーム3の組合せ運動は、MGUの各側における各ベルトスパンB1、B2の動きを制御し、これにより本システムの効率を高めつつベルト摩耗を低減させる。ストップスタートモードでは、ベルトスパンB1は「緩み側」にあり、ベルトスパンB2は「張り側」にある。
【0035】
図10は代替的な実施形態の断面図である。偏心部材62は固定具61によってロータリーアーム2に固定される。プーリ6の回転中心(C2)は偏心部材62の回転中心(C1)から寸法64だけずれている。プーリ6の位置調整は、ここに記載されたように、テンショナに対してベルトを緩く取付けることにより達成される。固定具61は、受容部63に係合する工具の使用により、偏心部材62が、延いてはプーリ6が回転してベルトに接触するように、緩められる。偏心部材62が最終位置に定められると、固定具61はロータリーアーム2にきつく固定される。通常のラチェットレンチが、部分63に係合する工具として用いることができる。固定具61はねじ付きである。
【0036】
図11図10の代替的な実施形態の分解図である。プーリ6は、例えばボール、スリーブ、ブッシュ、あるいはローラのような公知のベアリング6aにより、偏心部材62に軸支される。偏心部材は、偏心部材の位置を調整するため、工具Tに係合可能な受容部63を備える。
【0037】
インジケータ28はロータリーアーム2から延び、ピボットアーム3と協働する。インジケータ28は、ロータリーアーム2に対するピボットアーム3の所定または相対位置を示すために用いられる。ピボットアーム3の所定位置は、取付けの間、所定のベルト負荷と関連させるために用いられる。インジケータ28はまた、偏心部材62の位置調整の一部として、ピボットアーム3のための参照点を提供することができる。
【0038】
本発明の形態が説明されたが、当業者がここに記載された発明の精神と範囲から逸脱することなく、構成と部分の関係と方法において変形を施すことは自明である。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11