特許第6975872号(P6975872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6975872喫煙者がタバコ加熱製品又は電子タバコへと切り替えることを容易とするための方法及び製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6975872
(24)【登録日】2021年11月10日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】喫煙者がタバコ加熱製品又は電子タバコへと切り替えることを容易とするための方法及び製品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/00 20200101AFI20211118BHJP
   A24B 15/16 20200101ALI20211118BHJP
   A24B 15/30 20060101ALI20211118BHJP
   A24F 40/00 20200101ALI20211118BHJP
【FI】
   A24D1/00
   A24B15/16
   A24B15/30
   A24F40/00
【請求項の数】7
【全頁数】66
(21)【出願番号】特願2021-516926(P2021-516926)
(86)(22)【出願日】2019年7月26日
(65)【公表番号】特表2021-525551(P2021-525551A)
(43)【公表日】2021年9月27日
(86)【国際出願番号】US2019043611
(87)【国際公開番号】WO2020023848
(87)【国際公開日】20200130
【審査請求日】2021年3月24日
(31)【優先権主張番号】16/047,948
(32)【優先日】2018年7月27日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521038485
【氏名又は名称】キャブベイシス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】CABBACIS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パンドルフィーノ,ジョセフ
【審査官】 杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−502621(JP,A)
【文献】 特表2002−501768(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/205692(WO,A1)
【文献】 特表2016−506729(JP,A)
【文献】 特表2016−501588(JP,A)
【文献】 特表2008−509907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00
A24B 15/16
A24B 15/30
A24F 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
従来的な紙巻タバコの喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることを支援するためのあるいはタバコ製品を完全にやめることを支援するための超低ニコチン紙巻タバコであって、低ニコチンタバコと、超低Δ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)カンナビスサティバと、をブレンドしたフィラーを含み、
前記超低THCカンナビスサティバは、
カンナビスサティバ植物の花と、
カンナビスサティバ植物の葉と、
カンナビスサティバ植物の、花、葉、又は茎を含む再構成大麻と、のいずれかを含み、
前記超低ニコチン紙巻タバコの前記超低THCカンナビスサティバの含有量は、少なくとも2mgであり、
前記超低ニコチン紙巻タバコのニコチン含有量は、2.0mg以下であり、
前記超低ニコチン紙巻タバコ内の前記超低THCカンナビスサティバにおける、Δ9−テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)及びΔ9−テトラヒドロカンナビノール
(THC)の合計含有量は、1.25mg/g以下である、超低ニコチン紙巻タバコ。
【請求項2】
前記超低THCカンナビスサティバは、テトラヒドロカンナビノール酸合成酵素(配列識別番号21)の発現をダウンレギュレートすることによって、対照の大麻植物と比較して、Δ9−テトラヒドロカンナビノール酸を低減させたカンナビスサティバ植物からのものである、請求項1に記載の超低ニコチン紙巻タバコ。
【請求項3】
従来的な紙巻タバコの喫煙者を、タバコ加熱デバイスの使用へと移行させるためのキットであって、複数の、請求項1に記載の超低ニコチン紙巻タバコと、タバコ加熱デバイスと、タバコスティックと、前記喫煙者が前記従来的な紙巻タバコから前記タバコ加熱デバイスの使用へと移行するための情報及び推奨と、を含む、キット。
【請求項4】
従来的な紙巻タバコの喫煙者を、電子タバコの使用へと移行させるためのキットであって、複数の、請求項1に記載の超低ニコチン紙巻タバコと、電子タバコと、前記喫煙者が前記従来的な紙巻タバコから前記電子タバコの使用へと移行するための情報及び推奨と、
を含む、キット。
【請求項5】
従来的な紙巻タバコの喫煙者をエアロゾルデバイスへと移行させるための方法であって、
超低ニコチン紙巻タバコの供給と、エアロゾルデバイスと、移行期間中に前記紙巻タバコ及び前記エアロゾルデバイスを使用するための情報及び推奨と、を含む移行キットを、前記喫煙者に対して提供することを含み、
前記超低ニコチン紙巻タバコの前記供給を、前記喫煙者が1日あたりに喫煙する従来的な紙巻タバコの本数に対して、前記移行期間の日数を掛け算した数の、少なくとも20パーセントに等しいものとし、
前記超低ニコチン紙巻タバコを、紙巻タバコ1本あたりに2.0mg以下のニコチンと、少なくとも5mgの超低THCカンナビスサティバと、を含有するものとし、前記超低THCカンナビスサティバを、Δ9−テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)及びΔ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)に関して、1.25mg/g以下の合計含有量を有するものとし、
前記超低THCカンナビスサティバは、
カンナビスサティバ植物の花と、
カンナビスサティバ植物の葉と、
カンナビスサティバ植物の、花、葉、又は茎を含む再構成大麻シートと、のいずれかを含み、
前記移行期間を、85日間未満とし、
前記情報及び推奨を、
前記喫煙者に、前記移行期間を開始する第1時間ポイントにおいて、従来的な紙巻タバコを喫煙することを停止させるための、及び、前記第1時間ポイントの後には、前記移行期間中に制限なしで、前記超低ニコチン紙巻タバコの前記供給からの前記超低ニコチン紙巻タバコを喫煙させるための指示と、
前記喫煙者が従来的な紙巻タバコに対して圧倒的な渇望を経験した時点で、第2時間ポイントにおいて、制限なしで前記エアロゾルデバイスを使用させるための推奨又は指示と、
前記第2時間ポイントの後には、前記移行期間の終了まで、前記喫煙者が、また、制限なしで前記超低ニコチン紙巻タバコを喫煙することを可能とする推奨又は指示と、
前記喫煙者に、前記移行期間の終了時点で前記超低ニコチン紙巻タバコの喫煙を停止させるための、及び、前記エアロゾルデバイスの喫煙を継続させるための、推奨又は指示と、を含むものとする、方法。
【請求項6】
前記エアロゾルデバイスは、タバコ加熱デバイスを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記エアロゾルデバイスは、電子タバコを含む、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、関連する方法論及びデバイス及び組成物を含めて、タバコ製品に関する。
【0002】
関連技術の説明
タバコを燃やすということから、紙巻タバコは、タバコ製品及びニコチン製品に関する一連の健康リスクにおいて最も有害なタバコ製品であり、ニコチンパッチなどの薬用ニコチンは、最も有害性が低い。タバコの煙は、粒子に対して結合しているあるいは気相内に遊離している5,000個超の煙成分からなる複雑な混合物である。喫煙者が喫煙している際の、紙巻タバコの先端の燃焼円錐体の温度は、800℃超に達し得る。世界で10億人超のタバコユーザの大多数が、燃焼式紙巻タバコを喫煙している。
【0003】
喫煙によって引き起こされる害を低減するために、実質的に2つの公共政策戦略が存在する。最初の戦略は、禁煙を奨励する政策の実施である。禁煙は、最大の健康上の利益をもたらすが、禁煙は困難であり、喫煙者の大部分は、禁煙することを望んでいない。したがって、禁煙を奨励する政策と併せて、喫煙によって引き起こされる害を低減するための第2の戦略は、タバコの害を低減する低減する戦略を実施することである。これには、喫煙者が紙巻タバコから、より有害性の低いタバコ製品へと切り替えることを奨励する政策が含まれる。目標は、できるだけ多くの燃焼式紙巻タバコの喫煙者を、一連の健康リスクの反対側に向けて、よりリスクの少ないタバコ製品又はニコチン製品へと移行させることである。例えば、スウェーデンは、ヨーロッパの中で最も喫煙率が低い国の1つである。スウェーデンでは、スヌースの使用がここ数十年で増加しているが、喫煙率は、非常に高いタバコ税などの禁煙政策のために部分的に減少している。他の国では、喫煙者をスヌースへと切り替えることには、それほど成功していない。紙巻タバコの補助として使用しない限り、喫煙者がスヌースなどの吸い込まない無煙タバコ製品へと排他的に切り替えることは、困難である。タバコの完全な禁煙は、個々の喫煙者の健康リスクと集団レベルで喫煙関連の害とを低減するための金字塔であるが、多くの公衆衛生当局者は、禁煙の取り組みと併せてタバコの害を低減する政策に賛成している。
【0004】
電子タバコ(e−タバコ)は、2004年に中国市場に導入され、一般に、燃焼式紙巻タバコよりも有害性が低いと考えられている。電子タバコは、ニコチン含有液体(e−液体、電子液体)をエアロゾル化する。電子タバコは、人気を博しているが、電子タバコは、世界の紙巻タバコの売上高のごく一部である。タバコ産業が、電子タバコのマーケティングに莫大な資源を投資しているにもかかわらず、また、タバコ規制コミュニティのいくつかが、公的に電子タバコをサポートしているにもかかわらず、従来的な紙巻タバコの喫煙者による電子タバコの採用率は期待外れであり、タバコ産業のアナリストが当初予想していたものよりもはるかに低い。この低い採用率は、主に、電子タバコが従来的な紙巻タバコと比較して喫煙者にとって満足度が低いという事実による。満足度が低いことに関する2つの主要な理由は、電子タバコの蒸気中のニコチンが、典型的には肺によって同様に吸収されないこと、及び、電子タバコには、タバコの葉も、再構成タバコも、また、タバコの葉の全体的抽出物も、含まれていないことである。電子タバコからの蒸気中における唯一の重要なタバコ成分は、ニコチンである。よって、電子タバコは、一般的に、非喫煙者にとってよりも、従来的な紙巻タバコの習慣的な喫煙者にとって、満足度が低い。例えば、従来的な紙巻タバコを全く喫煙したことがない又はほとんど喫煙したことがない若年成人は、従来的な紙巻タバコの喫煙者よりも、電子タバコの方に、満足度を感じる。満足度の点で従来的な紙巻タバコに最も近いと思われる電子タバコは、ニコチン塩と有機酸とを含有した電子液体を含む電子タバコである。
【0005】
タバコの煙には、ニコチン以外にも、他の活性化合物が含まれている。例えば、そして最も重要なものは、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤である。タバコの煙内においてニコチンとMAO阻害剤とを組み合わせることが、従来的な紙巻タバコを、電子タバコや薬用ニコチン製品よりも、喫煙者にとってより満足のいくものとさせている。Lanteri et al.2009,J.Neurosci.,Jan 28;29(4):987−997、及び、Hogg 2016,Nicotine Tob Res.May;18(5):509−23、を参照されたい。その上、ニコチン、MAO阻害剤、及び他のタバコ化合物は、肺によって容易に吸収される超微細炭素ベース粒子(直径が100nm未満)によって付帯されるため、これらの化合物は、喫煙者に対して効率的に送達される。ニコチンとMAO阻害剤との組合せを含んだタバコの煙を吸い込むことによる事実上の瞬間的効果は、喫煙者が、電子タバコや無煙タバコ製品や薬用ニコチン製品へと、排他的に切り替えることを困難としている。
【0006】
電子タバコの限られた可能性を認識した後、喫煙によって引き起こされる害を低減するための努力において、タバコ業界は、ここ数年にわたって、加熱式タバコデバイスを熱心に開発してきた。その名が示すように、加熱式タバコデバイスにおいては、タバコを、燃やすのではなく、約350℃にまで加熱して吸入用のエアロゾルを生成するもので、ニコチン含有液体(電子液体)をエアロゾル化する電子タバコとは対照的である。加熱式タバコデバイスは、従来的な紙巻タバコと同様にニコチン及び他のタバコ化合物を送達するとともに、電子タバコよりも喫煙者に馴染みのある風味と香りを有している。加熱式タバコ製品の例は、タバコ加熱デバイス、タバコ加熱製品、及びタバコ加熱システム、としても知られており、ブリティッシュアメリカンタバコ社のGlo(登録商標)、フィリップモリスプロダクト社のIQOS(登録商標)、及び、日本タバコインターナショナル社のPloom(登録商標)、を含む。従来的な紙巻タバコの喫煙者は、一般に、電子タバコよりもタバコ加熱デバイスを高く評価している。
【0007】
燃焼式紙巻タバコから生成される煙と比較して、タバコ加熱デバイスから生成されるエアロゾル中における毒物は、劇的に少ない。例えば、ブリティッシュアメリカンタバコ社のGlo(登録商標)のエアロゾルは、世界保健機関(WHO)が低減を推奨している9種類の有害成分(4−(N−ニトロソメチルアミノ)−1−(3−ピリジル)−1−ブタノン(NNK)、N’−ニトロソノルニコチン(NNN)、アセトアルデヒド、アクロレイン、ベンゼン、ベンゾ[a]ピレン、1,3−ブタジエン、一酸化炭素、及び、ホルムアルデヒド)に関して、標準的な3R4F基準紙巻タバコ(約9mgの「タール」)からの煙よりも、約90%少ない毒性物質しか生成しない。Burns et al.2008,Tobacco Control,17:132−141を参照されたい。電子タバコによって生成されるエアロゾルは、電子液体が一般にニコチンと水と香料と保湿剤とを含むものであって一般に他のタバコ成分を含まないので、一般に、タバコ加熱デバイスによって生成されるエアロゾルよりもさらに少ない毒性物質しか有していない。ほとんどの毒性物質が大幅に減少しているため、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えた場合には、喫煙者の毒性物質に対する曝露が減少し、タバコ関連疾患のリスクも減少する可能性が高い。したがって、集団レベルでの害を低減するための鍵は、かなりの数の喫煙者を、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えさせることである。これは、現在の紙巻タバコ喫煙者による電子タバコ及びタバコ加熱デバイスの採用率を高めることによって、より迅速に達成することができる。
【0008】
発明の概要
本開示の実施形態は、紙巻タバコの喫煙者をエアロゾルデバイスへと移行させるための関連する方法論及びデバイス及び組成物を含めた、タバコ製品を提供する。
【0009】
一実施形態の一態様によれば、従来的な紙巻タバコの喫煙者をエアロゾルデバイスへと移行させるための方法であって、超低ニコチン紙巻タバコの供給と、エアロゾルデバイスと、移行期間中に超低ニコチン紙巻タバコ及びエアロゾルデバイスを使用するための情報及び推奨と、を含む移行キットを、喫煙者に対して提供することを含み、超低ニコチン紙巻タバコの供給を、喫煙者が1日あたりに喫煙する従来的な紙巻タバコの本数に対して、移行期間の日数を掛け算した数の、少なくとも20パーセントに等しいものとし、超低ニコチン紙巻タバコを、紙巻タバコ1本あたりに2.0mg以下のニコチンを含有するものとし、移行期間を、85日間未満とし、情報及び推奨を、喫煙者に、移行期間を開始する第1時間ポイントにおいて、従来的な紙巻タバコを喫煙することを停止させるための指示であるとともに、第1時間ポイントの後には、移行期間中に制限なしで、超低ニコチン紙巻タバコの供給からの超低ニコチン紙巻タバコを喫煙させるための指示と、喫煙者が従来的な紙巻タバコに対して圧倒的な渇望を経験した時点で、第2時間ポイントにおいて、制限なしでエアロゾルデバイスを使用させるための推奨又は指示と、第2時間ポイントの後には、移行期間の終了まで、喫煙者が、また、制限なしで超低ニコチン紙巻タバコを喫煙することを可能とする推奨又は指示と、喫煙者に、移行期間の終了時点で超低ニコチン紙巻タバコの喫煙を停止させるための、及び、エアロゾルデバイスの喫煙を継続させるための、推奨又は指示と、を含むものとする、方法が提供される。
【0010】
本方法では、エアロゾルデバイスを、タバコ加熱デバイスと、タバコスティックの供給と、を含むものとすることができ、タバコスティックの供給を、喫煙者が1日あたりに喫煙する従来的な紙巻タバコの本数に、移行期間の日数を掛け算した数にほぼ等しいものとし、各タバコスティックを、タバコスティック1本あたりに少なくとも2.0mgのニコチンを含有したものとする。
【0011】
本方法では、エアロゾルデバイスを、電子タバコを含むものとすることができ、電子タバコを、充電式デバイスと、電子液体カートリッジの供給と、を含むものとし、電子液体カートリッジの供給を、喫煙者が1日あたりに喫煙する従来的な紙巻タバコの本数と移行期間の日数との積を、20で割り算した数にほぼ等しいものとし、各電子液体カートリッジを、少なくとも0.10mlという体積のニコチンを含有したものとする。
【0012】
本方法では、エアロゾルデバイスを、タバコ加熱ロッドを含むものとすることができ、タバコ加熱ロッドの供給を、喫煙者が1日あたりに喫煙する従来的な紙巻タバコの本数に、移行期間の日数を掛け算した数にほぼ等しいものとし、各タバコ加熱ロッドを、少なくとも2.0mgのニコチンを含有したものとする。
【0013】
本方法では、情報及び推奨を、スマートフォン、スマートウォッチ、又は携帯電話を介して、喫煙者に対して提供する。
【0014】
一実施形態の一態様によれば、喫煙者を、従来的な紙巻タバコ及びエアロゾルデバイスの併用から、エアロゾルデバイスの排他的な使用であるか、喫煙する紙巻タバコの数を減らしかつエアロゾルデバイスの使用を増やすことによる併用の変更であるか、のいずれかへと移行させるための方法であって、超低ニコチン紙巻タバコの供給と、エアロゾルデバイスと、移行期間中に超低ニコチン紙巻タバコ及びエアロゾルデバイスを使用するための情報及び推奨と、を含む移行キットを、喫煙者に対して提供することを含み、超低ニコチン紙巻タバコの供給を、喫煙者が1日あたりに喫煙する従来的な紙巻タバコの本数に対して、移行期間の日数を掛け算した数の、少なくとも20パーセントに等しいものとし、超低ニコチン紙巻タバコを、紙巻タバコ1本あたりにおよそ2.0mg以下のニコチンを含有するものとし、移行期間を、85日間未満とし、情報及び推奨を、喫煙者に、移行期間を開始する第1時間ポイントにおいて、従来的な紙巻タバコを喫煙することを停止させるための指示であるとともに、第1時間ポイントの後には、移行期間中に制限なしで、超低ニコチン紙巻タバコの供給からの超低ニコチン紙巻タバコを喫煙させるための指示と、第1時間ポイントの後には、また、制限なしでエアロゾルデバイスを使用させるための推奨又は指示と、喫煙者に、移行期間の終了時点で超低ニコチン紙巻タバコの喫煙を停止させるための、及び、エアロゾルデバイスの使用を継続させるための、推奨又は指示と、を含むものとする、方法が提供される。
【0015】
本方法では、エアロゾルデバイスを、タバコ加熱デバイスと、タバコスティックの供給と、を含むものとすることができ、タバコスティックの供給を、喫煙者が1日あたりに喫煙する従来的な紙巻タバコの本数に、移行期間の日数を掛け算した数にほぼ等しいものとし、各タバコスティックを、タバコスティック1本あたりに少なくとも2.0mgのニコチンを含有したものとする。
【0016】
本方法では、エアロゾルデバイスを、電子タバコを含むものとすることができ、電子タバコを、充電式デバイスと、電子液体カートリッジの供給と、を含むものとし、電子液体カートリッジの供給を、喫煙者が1日あたりに喫煙する従来的な紙巻タバコの本数と移行期間の日数との積を、20で割り算した数にほぼ等しいものとし、各電子液体カートリッジを、少なくとも0.10mlという体積のニコチンを含有したものとする。
【0017】
本方法では、エアロゾルデバイスを、タバコ加熱ロッドを含むものとすることができ、タバコ加熱ロッドの供給を、喫煙者が1日あたりに喫煙する従来的な紙巻タバコの本数に、移行期間の日数を掛け算した数にほぼ等しいものとし、各タバコ加熱ロッドを、少なくとも2.0mgのニコチンを含有したものとする。
【0018】
本方法では、情報及び推奨を、スマートフォン、スマートウォッチ、又は携帯電話を介して、喫煙者に対して提供する。
【0019】
一実施形態の一態様によれば、紙巻タバコ1本あたりに2.0mg以下のニコチンを含有するとともに、紙巻タバコ1本あたりに0.25mg超のアナタビンを含有する、超低ニコチン紙巻タバコが提供される。
【0020】
超低ニコチン紙巻タバコは、紙巻タバコ1本あたりに、少なくとも0.10mgのアナバシンを含有することができる。
【0021】
一実施形態の一態様によれば、紙巻タバコ1本あたりに2.0mg以下のニコチンを含有するとともに、紙巻タバコ1本あたりに0.10mg超のアナバシンを含有する、超低ニコチン紙巻タバコが提供される。
【0022】
一実施形態の一態様によれば、従来的な紙巻タバコの喫煙者を、85日間未満の移行期間中に、従来的な紙巻タバコを喫煙することから、エアロゾルデバイスの使用へと移行させるためのキットであって、超低ニコチン紙巻タバコと、エアロゾルデバイスと、情報及び推奨と、を含む1つ又は複数の区画を含み、超低ニコチン紙巻タバコの数は、喫煙者による従来的な紙巻タバコの消費レベルに基づくものとされ、並びに、喫煙者を、従来的な紙巻タバコを喫煙することから、情報及び推奨に従って採用されたエアロゾルデバイスを使用することへと、移行させる方法に基づくものとされ、超低ニコチン紙巻タバコのそれぞれは、紙巻タバコ1本あたりに2.0mg以下のニコチンを含有し、情報及び推奨は、喫煙者を従来的な紙巻タバコからエアロゾルデバイスへと移行させるために、喫煙者が超低ニコチン紙巻タバコ及びエアロゾルデバイスをどのようにして使用するかに関する指示を含む、キットが提供される。
【0023】
本キットでは、エアロゾルデバイスは、タバコ加熱デバイスと、タバコスティックの供給と、を含むことができ、タバコスティックの供給は、喫煙者が1日あたりに喫煙する従来的な紙巻タバコの本数に、移行期間の日数を掛け算した数にほぼ等しいものであり、タバコスティックは、タバコスティック1本あたりに少なくとも2.0mgのニコチンを含有している。
【0024】
本キットでは、エアロゾルデバイスは、電子タバコを含むことができ、電子タバコは、充電式デバイスと、電子液体カートリッジと、を含み、電子液体カートリッジの供給は、喫煙者が1日あたりに喫煙する従来的な紙巻タバコの本数と移行期間の日数との積を、20で割り算した数にほぼ等しいものであり、各電子液体カートリッジは、少なくとも0.10mlという体積のニコチンを含有している。
【0025】
本キットでは、超低ニコチン紙巻タバコのそれぞれは、少なくとも1.0mgのカンナビノイドを含有する。
【0026】
本キットでは、超低ニコチン紙巻タバコのそれぞれは、少なくとも2.0mgの再構成大麻を含有する。
【0027】
一実施形態の一態様によれば、低ニコチンタバコと、超低THCA/THC大麻つぼみと、を含む紙巻タバコであって、紙巻タバコのニコチン含有量が、2.0mg以下であり、紙巻タバコのTHCA及びTHCの合計含有量が、1.25mg/g以下である、紙巻タバコが提供される。
【0028】
本紙巻タバコでは、超低THCA/THC大麻つぼみは、テトラヒドロカンナビノール酸合成酵素(配列識別番号21)の発現をダウンレギュレートすることによって、対照の大麻植物と比較して、Δ9−テトラヒドロカンナビノール酸を低減させた大麻植物からのものである。
【0029】
一実施形態の一態様によれば、大麻植物内におけるテトラヒドロカンナビノール酸合成酵素(配列識別番号21)の発現をダウンレギュレートすることによって、対照の大麻植物と比較して、Δ9−テトラヒドロカンナビノール酸を低減させた大麻植物から作製された再構成大麻が、提供される。
【0030】
一実施形態の一態様によれば、大麻植物内におけるテトラヒドロカンナビノール酸合成酵素(配列識別番号21)の発現をダウンレギュレートすることによって、対照の大麻植物と比較して、Δ9−テトラヒドロカンナビノール酸を低減させた大麻植物から作製された再構成大麻を含む超低紙巻タバコが提供される。
【0031】
一実施形態の一態様によれば、装置であって、通信モジュールと、コンピュータ可読命令を格納したストレージユニットと、通信モジュールとストレージユニットとに対して結合された少なくとも1つのプロセッサであって、少なくとも1つのプロセッサは、コンピュータ可読命令を実行するように構成され、この実行によって、通信ユニットを介して、第1喫煙者のデバイスから、第1喫煙者を特徴づける第1人口統計学的データと第1喫煙者によるタバコ使用を特徴づける使用データとを含む第1信号を受領することと、第1信号の受領に応答して、1人又は複数人の第2喫煙者の各々に関連したプロフィールデータであって、(i)第2喫煙者の各々を特徴づける第2人口統計学的データと、(ii)従来的な紙巻タバコからエアロゾルデバイスへと移行するために各々の第2喫煙者によって利用された製品及び方法を特定するプログラムデータと、を含むプロフィールデータを取得することと、第1人口統計データと、使用データと、プロフィールデータと、に対して確率的アルゴリズムを適用することに基づいて、第1喫煙者を従来的な紙巻タバコからエアロゾルデバイスへと移行させ得る、第1喫煙者への適用のための、複数の候補製品及び複数の候補方法のそれぞれを使用した場合の、第1喫煙者が従来的な紙巻タバコからエアロゾルデバイスへと移行する可能性を示す値を、各々の第2喫煙者を従来的な紙巻タバコからエアロゾルデバイスへと移行させるために利用した製品及び方法を特定するプログラムデータの中から、計算することと、計算された値に基づいて、第1喫煙者に対して適用するための候補製品及び候補方法の中から1つを選択することと、通信ユニットを介して、第1喫煙者のデバイスに対して、第1喫煙者に対する適用のために選択された製品又は方法を特定する第2信号であるとともに、第1喫煙者のデバイスに、第1喫煙者を従来的な紙巻タバコからエアロゾルデバイスへと移行させるよう第1喫煙者への適用のために選択された製品及びサービスの適用を特徴づける情報をユーザインターフェース内に提示させる第2信号を、送信することと、を行う少なくとも1つのプロセッサと、を含む、装置が提供される。
【0032】
本装置では、ストレージユニットは、プロフィールデータを維持するデータベースを格納し、少なくとも1つのプロセッサは、第1信号の受領に応答して、1人又は複数人の第2喫煙者に関連したプロフィールデータの一部を、データベースから取得するようにさらに構成されている。
【0033】
本装置では、少なくとも1つのプロセッサは、プロフィールデータのその一部に基づいて、第1喫煙者に対して適用するための候補製品及び候補方法を特定するようにさらに構成されている。
【0034】
本装置では、確率的アルゴリズムは、統計的プロセス又は機械学習アルゴリズムのうちの少なくとも1つを含む。
【0035】
本装置では、第1人口統計学的データは、年齢又は性別を含み、第2人口統計学的データは、年齢又は性別を含む。
【0036】
本装置では、使用データは、喫煙年数、又は、1日あたりの紙巻タバコの本数を含む。
【0037】
本装置では、少なくとも1つのプロセッサは、第1人口統計学的データと第2人口統計学的データとの比較に基づいて、候補製品の中の1つを選択するようにさらに構成されている。
【0038】
本装置では、少なくとも1つのプロセッサは、第1喫煙者を従来的な紙巻タバコからエアロゾルデバイスへと移行させ得る、第1喫煙者への適用のための、複数の候補製品及び複数の候補方法のそれぞれに関する最大値に基づいて、第1喫煙者への適用のための候補製品及び候補方法の中の1つを選択するようにさらに構成されている。
【0039】
一実施形態の一態様によれば、喫煙者をタバコからエアロゾルデバイスへと移行させるためのシステムであって、喫煙者を紙巻タバコの喫煙からエアロゾルデバイスへと移行させるための移行計画における方法変数及び製品変数に関連した喫煙者プロフィールであってそれぞれが各喫煙者の人口統計学的特性及びタバコ使用特性を含む喫煙者プロフィールからなるデータベースを格納したメモリと、ある喫煙者を紙巻タバコの喫煙からエアロゾルデバイスへと移行させるための推奨された移行計画を提供するための方法であって、喫煙者の人口統計学的データ及び喫煙者のタバコ使用データを受領することと、喫煙者の人口統計学的データ及び喫煙者のタバコ使用データに基づいて、喫煙者の人口統計学的特性及びタバコ使用特性を決定することと、喫煙者の人口統計学的特性及びタバコ使用特性と同様の、別の喫煙者に関する人口統計学的特性及びタバコ使用特性を有した、データベース内の1つ又は複数の喫煙者プロフィールを決定することと、別の喫煙者を紙巻タバコの喫煙からエアロゾルデバイスへと移行させるための移行計画において使用した製品変数に基づいて、喫煙者を紙巻タバコの喫煙からエアロゾルデバイスへと移行させるための移行計画における方法変数及び製品変数を決定することと、喫煙者に対して、喫煙者を紙巻タバコの喫煙からエアロゾルデバイスへと移行させるための移行計画を提供することと、を含む方法のためのプログラムを実行するように構成されたプロセッサと、を含む、システムが提供される。
【0040】
本システムでは、各喫煙者は、紙巻タバコの喫煙からエアロゾルデバイスへの移行に成功した喫煙者と、紙巻タバコの喫煙からエアロゾルデバイスへと現在移行中の喫煙者と、紙巻タバコの喫煙からエアロゾルデバイスへの移行に失敗した喫煙者と、を含み、喫煙者を紙巻タバコの喫煙からエアロゾルデバイスへと移行させるための移行計画における方法変数及び製品変数の決定は、予測学習によって、喫煙者を紙巻タバコの喫煙からエアロゾルデバイスへと移行させるための移行計画における方法変数及び製品変数を、別の喫煙者を紙巻タバコの喫煙からエアロゾルデバイスへと移行させるための移行計画における方法変数及び製品変数が喫煙者を紙巻タバコの喫煙からエアロゾルデバイスへと移行させることとなる確率に応じて、別の喫煙者を紙巻タバコの喫煙からエアロゾルデバイスへと移行させるための移行計画における方法変数及び製品変数を重み付けすることに基づいて、決定することを含む。
【0041】
本システムでは、各喫煙者の人口統計学的データ及び喫煙者の人口統計学的データのそれぞれは、年齢、人種、性別、民族、出身国、教育レベル、職業、及び婚姻状況、のうちの少なくとも1つを含む。
【0042】
本システムでは、喫煙者のタバコ使用特性及び各喫煙者のタバコ使用特性のそれぞれは、喫煙年数、1日あたりのパック数、ファガストローム依存度スコア、パック年数評価、合計喫煙依存度スコア、先月に1日あたりに喫煙した紙巻タバコの平均本数、普段の紙巻タバコのブランド、電子タバコを含むニコチン製品に関する現在又は過去の使用、タバコ加熱製品に関する現在又は過去の使用、任意の他のタバコ製品に関する現在又は過去の使用、過去に紙巻タバコをやめる試みがあればその回数、タバコを完全にやめることへの関心レベルと比較した場合の電子タバコ又はタバコ加熱製品へと切り替えることへの関心レベル、のうちの少なくとも1つを含む。
【0043】
本システムでは、喫煙者を紙巻タバコの喫煙からエアロゾルデバイスへと移行させるための移行計画における方法変数及び製品変数は、データベース内のうちの、喫煙者の人口統計学的特性及びタバコ使用特性と同様の、別の喫煙者の人口統計学的特性及びタバコ使用特性を有した1つ又は複数の喫煙者プロフィールに関しての、別の喫煙者を紙巻タバコの喫煙からエアロゾルデバイスへと移行させるための移行計画における方法変数及び製品変数の中から選択される。
【0044】
本システムでは、喫煙者を紙巻タバコの喫煙からエアロゾルデバイスへと移行させるための移行計画は、移行期間の長さ、エアロゾルデバイスの種類、超低ニコチン紙巻タバコの種類、並びに、移行期間中に、その種類のエアロゾルデバイス及びその種類の超低ニコチン紙巻タバコを使用するための推奨及び指示、を含む。
【0045】
本開示における上記の及び/又は他の態様は、添付図面を参照して本開示の特定の実施形態を説明することにより、より明瞭となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへの紙巻タバコ喫煙者の移行を示す時系列図である。
図2図2は、フィラーの重量、フィラーのニコチン含有量、及び、紙巻タバコ1本あたりのニコチン含有量、を示す紙巻タバコブランドスタイルの表である。
図3A図3Aは、紙巻タバコの喫煙者を電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと移行させるためのシステムを示すデータフロー図である。
図3B図3Bは、最適な方法変数及び製品変数を特定するためのアルゴリズム照合プロセスの図である。
図4図4は、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへの紙巻タバコ喫煙者の移行を示す時系列図である。
図5図5は、最も売れている50個の紙巻タバコブランドスタイルのフィラーにおける、アナタビン及びアナバシンを含む、マイナーなタバコアルカロイドのレベルを示す表である。
図6図6は、紙巻タバコ喫煙者を電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと移行させる臨床試験プロトコルを示す時系列図である。
【0047】
配列の簡単な説明
配列識別番号1は、キノレートホスホリボシル転移酵素(QPT)の核酸配列である。この核酸配列によってコードされるタンパク質は、配列識別番号2である。
【0048】
配列識別番号3(アクセッション番号AF280402.1)は、プトレシンN−メチル転移酵素(PMT1)の核酸配列である。この核酸配列によってコードされるタンパク質は、配列識別番号4である。
【0049】
配列識別番号5(アクセッション番号AF126809.1)は、プトレシンN−メチル転移酵素(PMT2)の核酸配列である。この核酸配列によってコードされるタンパク質は、配列識別番号6である。
【0050】
配列識別番号7(アクセッション番号AB289456.1)は、N−メチルプトレシン酸化酵素(MPO)の核酸配列である。この核酸配列によってコードされるタンパク質は、配列識別番号8である。
【0051】
配列識別番号9(アクセッション番号AF127242)は、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)の核酸配列である。この核酸配列によってコードされるタンパク質は、配列識別番号10である。
【0052】
配列識別番号11は、NBB1(BBL遺伝子ファミリー)の核酸配列である。この核酸配列によってコードされるタンパク質は、配列識別番号12である。
【0053】
配列識別番号13は、アシル活性化酵素の核酸配列である。この核酸配列によってコードされるタンパク質は、配列識別番号14である。
【0054】
配列識別番号15(アクセッション番号AB164375)は、オリベトール合成酵素の核酸配列である。この核酸配列によってコードされるタンパク質は、配列識別番号16である。
【0055】
配列識別番号17(アクセッション番号AFN42527.1)は、オリベトール酸シクラーゼの核酸配列である。この核酸配列によってコードされるタンパク質は、配列識別番号18である。
【0056】
配列識別番号19は、芳香族プレニル転移酵素の核酸配列である。この核酸配列によってコードされるタンパク質は、配列識別番号20である。
【0057】
配列識別番号21は、テトラヒドロカンナビノール酸合成酵素前駆体(アクセッション番号AB057805.1)の核酸配列である。この核酸配列によってコードされるタンパク質は、配列識別番号22である。
【0058】
配列識別番号23は、カンナビジオール酸合成酵素(アクセッション番号AB292682)の核酸配列である。この核酸配列によってコードされるタンパク質は、配列識別番号24である。
【0059】
配列識別番号25は、カンナビクロメン酸合成酵素の核酸配列である。この核酸配列によってコードされるタンパク質は、配列識別番号26である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
電子タバコ又はタバコ加熱デバイスは、タバコの害を低減するために大きな可能性を有しているが、重要な問題点を是正する必要がある。第一に、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスを試した後に、これらのエアロゾルデバイスを排他的に採用する喫煙者の割合が低く、増加させる必要がある。第二に、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスを定期的に使用している人の大部分が、通常ブランドの従来的な紙巻タバコをなおも喫煙していることである。これは、「併用」として参照され、本明細書において使用した際には、従来的な紙巻タバコが、電子タバコと組み合わせてあるいはタバコ加熱デバイスと組み合わせて、毎日又はそれ以下の頻度で、なおも定期的に喫煙されていることを意味する。例えば、フィリップモリス社による、米国(n=969)、日本(n=638)、韓国(n=843)、イタリア(n=535)、ドイツ(n=377)、及びスイス(n=416)を対象としたTHS−PBA−07試験では、試験の最終週における紙巻タバコとIQOS(登録商標)との併用は、スイスにおける96%から、韓国における84%までの、範囲であった。言い換えれば、スイス及び韓国では、それぞれ4%及び16%の被験者しか、この試験では95%以上のHeatStick(登録商標)使用として定義された「HeatStick(登録商標)の排他的使用」カテゴリに、分類されない。これらの割合は、排他的使用を99%〜100%のHeatStick(登録商標)使用として定義した場合には、さらに低くなる。HeatStick(登録商標)は、フィリップモリスプロダクツS.A.社によって製造されて商標登録されたIQOS(登録商標)用のタバコスティックの一種である。
【0061】
電子タバコ又はタバコ加熱デバイスが、タバコの使用をやめることに関心のない喫煙者の間で従来的な紙巻タバコによって引き起こされる害を大幅に低減させるためには、できるだけ多くの喫煙者を、紙巻タバコから、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと、排他的に切り替えさせること、そしてできるだけ早く切り替えさせることが、不可欠である。そのためには、できるだけ多くの喫煙者に、一刻も早く電子タバコ又はタバコ加熱デバイスを試してもらい、これらの製品の普及率を高めることが必要である。従来的な紙巻タバコとタバコ加熱製品との併用ユーザの中で、従来的な紙巻タバコの喫煙を排除する必要がある、あるいは少なくとも可能な限り低減させる必要がある。従来的な紙巻タバコと電子タバコとの併用ユーザの中で、従来的な紙巻タバコの喫煙を排除する必要がある、あるいは少なくとも可能な限り低減させる必要がある。最近の市場データによれば、日本及び他の市場では、喫煙者のタバコ加熱製品への切替率が横ばいになっていることが示唆されている。従来的な紙巻タバコ喫煙者が、電子タバコ又はタバコ加熱製品を試した時に、これらの製品へと切り替える採用率を高める必要があり、併用ユーザの間で、紙巻タバコの使用を、電子タバコ又はタバコ加熱製品の使用へと完全に置き換える必要がある、あるいは少なくとも、電子タバコ又はタバコ加熱製品の使用によって低減させる必要がある。
【0062】
したがって、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスを試したことのない従来的な紙巻タバコ喫煙者が、これらのタイプの製品のいずれかを使用することへと切り替えることを容易にするための、そして、従来的な紙巻タバコと電子タバコとの併用ユーザが、電子タバコへと排他的に切り替えることを容易にするための、また、従来的な紙巻タバコとタバコ加熱デバイスとの併用ユーザが、タバコ加熱デバイスへと排他的に切り替えることを容易とするための、方法及び製品に関して重要なニーズが存在する。本開示の実施形態は、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることを容易とするための新規な方法及び製品に関する。紙巻タバコの喫煙者が切り替えることを容易とするため、心理学における条件付けの原理を、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスからのエアロゾルで報われつつ、燃焼式紙巻タバコからの煙の快楽効果が消滅する移行期間において、利用する。
【0063】
従来的な紙巻タバコの喫煙者は、タバコの煙に含まれるニコチンの有意な存在によって引き起こされる「喉への衝撃」として知られているものを即座に経験する。これは、従来的な紙巻タバコからの煙を吸い込んだ時に喫煙者が喉の奥で即座に感じる感覚である。煙の中のニコチンは、煙を吸い込んでから約10秒で脳へと到達する。喫煙によるこのニコチンヒットが、軽度の陶酔感をもたらす。その他の効果としては、一般的に喫煙者が肯定的に認識しているものとして、集中力及び短期記憶力の向上、心拍数の増加、並びに食欲抑制、が挙げられる。紙巻タバコを渇望し、紙巻タバコを喫煙し、紙巻タバコを喫煙している間に及び喫煙した後に楽しく報われ、そして、そのサイクルを最初からやり直す、というサイクルが、喫煙者によって何度も何度も繰り返される。
【0064】
消滅の原理とは、以前は補強されていた行動(反応)が、もはや補強的な結果を生み出さなくなった時、その行動が最終的には発生しなくなることを、意味している。従来的なニコチン含有燃焼式紙巻タバコに火をつけて喫煙するという行動は、喉への衝撃と、その直後に続く軽い陶酔感及び他の前述した効果と、によって補強される。超低ニコチン含有の紙巻タバコを喫煙しても、従来的な紙巻タバコにおける喉への衝撃やその他の効果は、有意な程度には生じない。調査研究では、超低ニコチン紙巻タバコを喫煙することは、毎日の紙巻タバコの使用及び煙への曝露を低減させるとともに、従来的な紙巻タバコへの渇望を低減させる。例えば、Donny et al.2015,N Engl J Med;373:1340−9を参照されたい。超低ニコチン紙巻タバコは、従来的な紙巻タバコと同じように見えて、同じように臭いがして、同じように煙が出るため、喫煙者が従来的な紙巻タバコから電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることを容易とするに際して、有用である。
【0065】
正の補強(補強)は、ある行動(反応)が報われた時に発生し、あるいは、その行動に続いた他の刺激が報われた時に発生し、そのため、その行動の頻度を増加させる。本明細書において開示する方法における移行期間においては、超低ニコチン紙巻タバコを喫煙することによって、従来的な紙巻タバコの快楽効果及び補強効果が消滅している間に、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスを使用して、タバコの快楽効果を補強し、これにより、喫煙者を、従来的な紙巻タバコから、これらの有害性の低い製品のいずれかへと、移行させることを容易とする。例えば、図1に示すように、喫煙者は、従来的な紙巻タバコの喫煙を停止し、方法Aにおける例示的な4週間の移行期間(符号1)を開始して(以下においてさらに説明する)、超低ニコチン紙巻タバコの喫煙を開始する。従来的な紙巻タバコへの圧倒的な渇望が生じた時点で、喫煙者は、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスの使用を開始するとともに、移行期間の終了まで超低ニコチン紙巻タバコの喫煙を継続することができ、そして、移行期間の終了時点では、喫煙者は、超低ニコチン紙巻タバコの喫煙を停止するとともに、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスの使用を継続する。普及している電子タバコとは異なり、現時点で全世界の喫煙者の約99.95%は、超低ニコチン紙巻タバコを喫煙したことがなく、現時点で全世界の喫煙者の約97%は、タバコ加熱デバイスを使用したことがない。本明細書において開示する改良型を含む超低ニコチン紙巻タバコは、喫煙者を電子タバコ又はタバコ加熱製品のいずれかへと移行させるに際し、本明細書において開示する方法と組み合わせて喫煙者が使用するのに最適である。米国では、厳密には調査研究のための超低ニコチン紙巻タバコは、ニコチン研究用紙巻タバコ薬剤供給プログラムの下で、国立衛生研究所(NIH)の薬物乱用に関する国立研究所(NIDA)から入手可能であり、そこから配布されている。
【0066】
特許、特許出願の刊行物、非特許文献、及びあらゆる他の参考文献を含めて、本出願において引用されたそれぞれの及びすべての参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。「およそ」又は「約」という用語のそれぞれは、本明細書では、大体、その周囲、ほぼ、又は、その領域内、を意味するために使用される。「およそ」又は「約」という用語が、数値又は範囲と一緒に使用された場合、それは、記載された数値の上下の境界を合理的に拡張することによって、その数値又は範囲を変更する。
【0067】
本明細書において使用した際には、「紙巻タバコ」とは、火をつけると燃焼して煙を生成する、紙に包まれた、非タバコ材料を含み得る、任意のロール状のタバコを意味する。紙巻タバコには、通常、フィルタ、プラグラップ(フィルタ材料を拘束する)、及び、ティップペーパー(紙巻タバコペーパーをフィルタ及びプラグラップに対して保持する)も、含まれる。接着剤が、紙巻タバコのペーパーどうしをシールし、紙巻タバコがフィルタを有している場合には、接着剤は、このような他の構成要素も一緒に保持する。紙巻タバコという用語は、また、その外観に基づいて、フィラー内において使用されているタバコの種類に基づいて、又は、そのパッケージやラベルに基づいて、消費者に対して紙巻タバコとして提供される可能性があるような、あるいは、消費者が紙巻タバコとして購入する可能性があるような、タバコを含有した任意の物質(例えば、葉巻のラッパー)に包まれた任意のロール状のタバコを含むものとする。一例としては、フィルタを含み得る「小さな葉巻」があり、紙巻タバコに対して全体的に非常に似ている。
【0068】
紙巻タバコという用語は、自分で巻く紙巻タバコ及び自分で作る紙巻タバコを含み、紙巻タバコの両方のタイプは、典型的には、エンドユーザによって組み立てられる。自分で巻く紙巻タバコは、単に、タバコと、紙巻タバコの巻紙と、によって作ることができる、あるいは、紙巻タバコの巻き機械を使用することにより、巻紙内にタバコを巻くことができる。自分で作る紙巻タバコは、一般に、紙巻タバコチューブ(例えば、タバコなしで組み立てられたフィルタ付き紙巻タバコ)と一緒に、機械的な紙巻タバコ注入機を使用して作られる。注入器の機構は、タバコチューブ内にタバコを注入し、その結果、事前に巻かれた典型的な市販の紙巻タバコと同じに見える紙巻タバコが得られる。紙巻タバコは、また、電動式の自作用の紙巻タバコ機械を使用して、エンドユーザが作ることもできる。
【0069】
本明細書において使用した際には、「フィラー」とは、紙巻タバコのロッド内に包まれたあるいはタバコ加熱デバイスのタバコスティック内に包まれた(あるいは、別個のホルダがない場合は、タバコ加熱ロッド[例えば、TEEPS(登録商標)]内に包まれた)累積喫煙可能な材料(紙巻タバコの紙以外)を意味し、カットされたタバコ葉(カットラグ)、タバコ茎、再構成タバコ、膨張タバコ、大麻、ケーシング、香料、並びに、外部供給源からの追加的なアルカロイド又はカンナビノイドを含み得る他の添加物、からなる群から選択される。再構成タバコは、リコンとしても知られているものであって、通常、紙巻タバコのフィラー内に含まれており、カットラグタバコに似ている。膨張タバコも、また、通常、紙巻タバコのフィラー内に含まれており、適切なガスの膨張によって処理されるため、タバコは「膨らみ」、その結果、タバコロッドの密度が減少して充填能力が向上する。膨張タバコは、紙巻タバコ内において使用されるタバコの重量を減少させる。
【0070】
本明細書において使用した際には、「再構成タバコシート」とは、予め細かく粉砕された後に凝集剤又はバインダと混合されたタバコのダストや茎や副産物を、圧延又は鋳造によって製造したタバコシートを意味し、保湿剤、香料、防腐剤、カンナビノイド、及び/又は追加的なテルペン、を含むことができる。当該技術分野においては、再構成タバコには、基本的に、バンドキャスト及びペーパーキャストの2種類が存在するけれども、いずれも製造業者によって工程が若干相違する。製造後には、実質的に「リサイクル」されたタバコである再構成タバコシートは、その後、小さなストリップへとカットされる。ストリップのサイズ及び形状は、カットラグタバコに類似しており、この「再構成タバコ」は、紙巻タバコのフィラー内にブレンドすることができる。例えば、米国特許第4,270,552号明細書、米国特許第5,724,998号明細書、及び、Chapter 11,377−379,Tobacco:Production,Chemistry and Technology,1999、を参照されたく、これらの両方は、これらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0071】
「アルカロイド」は、典型的には植物由来の窒素化合物のグループである。例えば、ニコチンは、タバコの種類(例えば、黄色種)及び品種(例えば、K326)に応じてタバコの葉に含まれる総アルカロイドの約95%を占め、商業化された従来的な紙巻タバコに見られる主要なアルカロイドである。アナタビン、ノルニコチン、アナバシン、及び他のアルカロイドは、総アルカロイドの残部を占める。タバコの種類及び品種に応じて、タバコの葉の中で、アナタビンは、約1%〜約4%を占め、ノルニコチンは、約1%〜約3%を占め、アナバシンは、約0.02%〜約0.4%を占める。本明細書において使用した際には、「ニコチン」、「アナタビン」、及び「アナバシン」は、ニコチアナ属の任意の種を含む任意の植物種に由来することができ、これらのアルカロイドは、いずれも、また、合成することができ、又は、類似体とすることができ、又は、有機酸の塩の形態で作製することができる。合成ニコチン、合成アナタビン、及び合成アナバシンと、ニコチンの類似体、アナタビンの類似体、及びアナバシンの類似体と、有機酸のニコチン塩、有機酸のアナタビン塩、及び有機酸のアナバシン塩とは、それぞれ、ニコチン、アナタビン、及びアナバシンの意味合いに含まれる。例えば、Sisson et al.1990,Beitrage zur Tabakforschung International,Volume 14,No.6,June−Julyを参照されたい。
【0072】
本明細書において使用した際には、「従来的な紙巻タバコ」とは、紙巻タバコ1本あたり少なくとも9mgという従来的なニコチン含有量を有した紙巻タバコを意味する。紙巻タバコ1本あたりのニコチン含有量とは、紙巻タバコロッド内のフィラー重量と、紙巻タバコロッド内のフィラーのニコチン含有量と、の積である。人気のあるブランドは、一般的に、紙巻タバコ1本あたり約13mgのニコチンを含有している。例えば、図2に示すように、Marlboro(登録商標)紙巻タバコ(コード102)は、フィラーの重量である660mgにフィラーのニコチン含有量である19.75mg/gを掛け算した値に等しい13.04mgのニコチンを含有している。図2で分析した23個の米国での商業的紙巻タバコのブランドスタイルにわたって、紙巻タバコ1本あたりのニコチン含有量は、9.94mg(GPC(登録商標)−コード116)から、16.18mg(Parliament(登録商標)−コード106)まで、という範囲であり、13.25mgという平均値であった。Morton et al.2008,Regul Toxicol Pharmacol.doi:10.1016/j.yrtph.2008.03.001を参照されたい。しかしながら、紙巻タバコ1本あたりのニコチン含有量は、20mgを超えることがあり、このような高いニコチン含有量のブランドは、図2には示されていない。
【0073】
市販の紙巻タバコにおけるフィラーの重量は、ブランドどうしの間で広く変化することができ、そのようなフィラーに含まれる成分の比率(例えば、全葉タバコは、膨張タバコよりも重い)、タバコロッドの長さ及び円周(体積)、水分レベル、並びに、各紙巻タバコが収容されているフィラー密度レベル、などの様々な要因に依存することができる。図2で分析して示した23個のブランドスタイルにわたって、紙巻タバコ1本あたりのフィラーの重量は、480mg(Merit(登録商標)−コード120)から、800mg(Parliament(登録商標)−コード106)まで、という範囲であり、平均値は、659mgであった。
【0074】
市販の紙巻タバコ内のフィラーのニコチン含有量も、また、ブランドによって大きく異なり得る。主な要因の1つは、使用されているタバコの種類であり、また、使用されている各種類の割合である。一般に、バーレイタバコが、最も高いニコチン含有量を有し、次いで、黄色種タバコ及びオリエンタルタバコが、これに続く。いくつかの紙巻タバコのブランドは、バーレイ又はオリエンタルを一切含むことなく、黄色種タバコを含むけれども、他のブランドは、オリエンタルを含むことなく、黄色種及びバーレイを含み、他のブランドは、すべての3つのタバコ種類を含む。ほとんどの紙巻タバコブランドは、また、再構成タバコ及び膨張タバコを含む。フィラーのニコチン含有量の他の主要な要因は、フィラー内の、ケーシング及びトップフレーバーなどの非ニコチン成分の量である。図2で分析した23個のブランドスタイルにわたって、フィラーのニコチン含有量は、16.85mg/g(GPC(登録商標)−コード116)から、24.27mg/g(Merit(登録商標)−コード120)まで、という範囲であり、フィラーの平均ニコチン含有量は、20.18mg/gであり、紙巻タバコ1本あたりの平均ニコチン含有量は、13.25mgであった。
【0075】
3R4F基準紙巻タバコは、ケンタッキー大学のケンタッキータバコ研究開発センタによってタバコ製造業者に対して供給されているものであり、紙巻タバコのフィラー及び煙の化学的性質を測定するための長年にわたって確立された基準である。3R4F基準紙巻タバコのフィラーのタバコ重量(13%OV)は、0.783グラムであり、フィラーは、20.5mg/g(2.05%)という総アルカロイドを含有している。したがって、紙巻タバコは、約16.05mgという総アルカロイドを含有している。総アルカロイドのニコチン部分は、3R4F基準紙巻タバコに関するケンタッキー大学の分析には開示されていないが、ニコチンが、典型的には、タバコの総アルカロイドの約95%を構成することから、3R4F基準紙巻タバコのニコチン含有量は、約15.7mgである。
【0076】
本明細書において使用する際には、「超低ニコチン紙巻タバコ」とは、紙巻タバコ1本あたりのニコチン含有量が、0.05mg未満、0.10mg未満、0.15mg未満、0.20mg未満、0.25mg未満、0.30mg未満、0.35未満、0.40mg未満、0.45mg未満、0.50mg未満、0.55mg未満、0.60mg未満、0.65mg未満、0.70mg未満、0.75mg未満、0.80mg未満、0.85mg未満、0.90mg未満、0.95mg未満、1.00mg未満、1.05mg未満、1.10mg未満、1.15mg未満、1.20mg未満、1.25mg未満、1.30mg未満、1.35mg未満、1.40mg未満、1.45mg未満、1.50mg未満、1.55mg未満、1.60mg未満、1.65mg未満、1.70mg未満、1.75mg未満、1.80mg未満 1.85mg未満、1.90mg未満、又は、1.95mg未満、などの、紙巻タバコ1本あたりのニコチン含有量が2.0ミリグラム(mg)以下の紙巻タバコを意味する。これは、紙巻タバコのロッド内のフィラーの重量に対して紙巻タバコのロッド内のフィラーのニコチン含有量を掛け算することによって、計算される。例えば、2.0mgのニコチンを含有するとともに0.667グラムの重量を有した紙巻タバコは、約3mg/gというニコチン含有量を有したフィラーを有している。3mg/gというニコチン含有量を有したフィラーは、図2の紙巻タバコのブランドスタイルにおけるタバコフィラーの平均ニコチン含有量と比較して、約85%の低減に等しい。
【0077】
ニコチン、アナタビン、又はアナバシンのレベルなどの、総アルカロイドレベル又は個々のアルカロイドレベルは、当該技術分野において公知のいくつかの方法によって測定することができる。例としては、ガスクロマトグラフィ(GC)及び高速液体クロマトグラフィに基づく定量が挙げられる。例えば、Lisko et al.2013,Anal Chem.March 19;85(6):3380−3384を参照されたく、これは、紙巻タバコブランドのフィラー内における及びタバコの種類(例えば、バーレイタバコ)内におけるアルカロイドの量を測定するために使用される以下の方法を提供する。マイナーアルカロイドの分析は、水素炎イオン化型検出器(FID)、窒素−リン検出(NPD)、及び質量分析(MS)を含む幅広い検出技術と組み合わせたガスクロマトグラフィ(GC)を使用して行われてきた。他の分析アプローチは、高速液体クロマトグラフィ−紫外線検出法(HPLC−UV)、キャピラリゾーン電気泳動−紫外線検出法(CZE−UV)、ミセル電気泳動キャピラリクロマトグラフィ−紫外線検出法(MECC−UV)、窒素化学発光検出法(NCD)、及び、マイクロエマルジョン電気泳動クロマトグラフィ−紫外線検出法(MEEKC−UV)、を含む。多重反応モード(MRM)でのガスクロマトグラフィ−タンデム質量分析法(GC−MS/MS)を利用することにより、同じ親質量を共有するが正しい遷移イオンを欠いている他の化合物に由来するマトリクスイオンを除去することによって、バックグラウンドの干渉を大幅に減少させて検出限界を下げることができ、化合物の特異性を高めることができる。特段に明記されない限り、分析物の測定値(例えば、ニコチン)は、乾燥重量ベースである。
【0078】
本明細書において使用した際には、「タバコ加熱デバイス」とは、タバコを加熱するが燃焼させないデバイスであって、タバコの煙ではなくエアロゾルを生成するデバイスである。タバコ加熱デバイスは、ホルダと、タバコスティックと、充電器と、から構成することができる。この例示的な構成では、例えば、IQOS(登録商標)タバコスティック(HeatStick(登録商標))が、電子制御された加熱ブレードを使用してタバコ材料を加熱するIQOS(登録商標)ホルダ内へと、挿入される。HeatStick(登録商標)は、多くの点で紙巻タバコと相違する。例えば、IQOS(登録商標)製品用のHeatStick(登録商標)内のタバコは、タバコの粉末から作られており、タバコは、独自に処理されているとともに、ホルダと一緒に機能してエアロゾルを生成するように詳細に設計されている。タバコカットフィラー(紙巻タバコに見られる小さな断片へとカットされたタバコの葉)を含む紙巻タバコとは異なり、HeatStick(登録商標)は、水、グリセリン、グアーガム(ヘミセルロース)、及びセルロース繊維を添加した後にシート(キャストリーフと称される)へと再構成された特別に処理されたタバコを含有している。このタバコスティックは、紙巻タバコとは異なり、2つの独特で独立したフィルタを含んでいる、すなわち、エアロゾルを冷却するためのポリマーフィルムフィルタと、紙巻タバコのこの態様を模倣するための低密度セルロースアセテート製マウスピースフィルタと、を含んでいる。中空のアセテートチューブが、タバコのプラグと、ポリマーフィルムフィルタと、を分離している。充電器は、ホルダを充電して、20本程度のタバコスティックを使用するのに充分なエネルギを蓄えるものであり、家庭用電源から充電することができる。
【0079】
IQOS(登録商標)は、ユーザがタバコスティックをホルダ内に挿入し、スイッチによってデバイスの電源を入れることによって、操作される。これらのステップにより、タバコのプラグ内に挿入された加熱ブレードを介してタバコの加熱が開始される。電子的に制御された加熱を、独自に処理されたタバコと組み合わせることにより、燃焼の発生が防止される。ホルダは、約6分間にわたって加熱ブレードを介してタバコスティックに対して熱を供給し、その間に、ユーザは、最大14パフを吸引することができる。加熱ブレードの温度は、注意深く制御され、その動作温度が350℃を超えると、ブレードへのエネルギ供給が遮断される。タバコ内で測定される温度は、350℃に達することはなく、ほとんどのタバコは、250℃未満のままである。
【0080】
IQOS(登録商標)は、タバコを燃焼レベル未満に加熱することに基づいて、タバコの煙とは全く異なる組成を有したエアロゾルを生成する。このエアロゾルは、紙巻タバコの煙と比較して、有害な成分及び潜在的に有害な成分(HPHCs)のレベルが著しく低減されており、主に、水、グリセリン、及びニコチンから構成されている。IQOS(登録商標)によって生成されたエアロゾルの化学分析により、IQOS(登録商標)エアロゾルに含まれるHPHCsのレベルが大幅に低減されていることが確認された。平均で、これは、3R4F基準紙巻タバコからの煙と比較して、HPHCsのレベルで、90%超の低減に相当する。
【0081】
他の例示的な構成では、タバコ加熱デバイスは、従来的な紙巻タバコと同様に点火される。ホルダ、充電器、又はバッテリはなくてもよく、タバコは、タバコ加熱ロッド内において直接的に加熱することができる。例えば、点火されたカーボン熱源は、タバコを加熱し(燃焼させることなく)、別個のタバコスティックからなるタバコ加熱デバイスと同様のエアロゾルを生成する。カーボン熱源を有したこのタイプのタバコ加熱デバイスは、例えば、典型的な紙巻タバコに対して物理的に非常に似ているものの、燃焼させるものではない。使い捨ての加熱要素は、吸入対象をなすエアロゾルを生成する各ロッド内に含まれており、本明細書では「タバコ加熱ロッド」又は「加熱ロッド」として知られている。これらのタイプのタバコ加熱デバイスは、また、著しく低減されたレベルのHPHCsを有している。一例は、フィリップモリスインターナショナル社によって開発されているTEEPS(登録商標)である。他の例は、以前は米国で販売されていたもののもはや市場に出回っていないEclipse(登録商標)及びRevo(登録商標)を含む。他の例示的な構成では、タバコ加熱デバイスは、ホルダ又は充電器を有しておらず、すべての加熱ロッド内にバッテリを含み、各加熱ロッドは、使い捨て可能とすることができる。したがって、タバコ(又は、タバコ抽出物、又は、再構成タバコなどのタバコの形態)を燃焼未満に加熱して(タバコを燃焼させずに)エアロゾルを生成する任意のデバイスが、ホルダ又は加熱要素とは別個のタバコスティックが存在するかどうかにかかわらず、バッテリの充電が必要かどうかとかバッテリがさらに必要かどうかとかにかかわらず、カーボン熱源の端部などの点火対象をなす対象物が必要であるかどうかにかかわらず、及び/又は、任意の電子機器が含まれるかどうかにかかわらず、タバコ加熱デバイス(又は、他の同義語)であることは、理解されよう。本明細書において使用した際には、タバコ加熱デバイス、タバコ加熱製品、加熱式タバコデバイス、及び、加熱式タバコ製品は、同義である。
【0082】
タバコスティック又は加熱ロッドは、紙巻タバコと比較して、より少量のタバコを含む。例えば、各HeatStick(登録商標)は、従来的な紙巻タバコ内における約480mg〜約900mgというフィラーと比較して、約320mgを含む。HeatStick(登録商標)のニコチン含有量は、約4.8mgであり、これは、IQOS(登録商標)が、従来的な紙巻タバコと同等のレベルで喫煙者に対してニコチンを送達するにもかかわらず、従来的な紙巻タバコよりもはるかに少ない。パフ間を含めて燃焼がないことにより、タバコスティック又は加熱ロッド内において、より少量のタバコしか必要とされない。Farsalinos et al.2017,Nicotine Tob Res.Jun 16.doi:10.1093/ntr/ntx138、及び、2018年1月24日〜25日のタバコ製品科学諮問委員会会議のためにフィリップモリスプロダクツS.A.社によって作成されたTobacco Heating System (IQOS),Briefing Document,December 2017、を参照されたい。タバコ加熱デバイスのための各タバコスティック、及び、別個のホルダを必要とすることなくエアロゾルを生成する各タバコ加熱ロッド(構成要素が、ロッド自体内で熱を生成する)は、少なくとも、1.0mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、1.6mg、1.7mg、1.8mg、1.9mg、2.0mg、2.1mg、2.2mg、2.3mg、2.4mg、2.5mg、2.6mg、2.7mg、2.8mg、2.9mg、3.0mg、3.1mg、3.2mg、3.3mg、3.4mg、3.5mg、3.6mg、3.7mg、3.8mg、3.9mg、4.0mg、4.1mg、4.2mg、4.3mg、4.4mg、4.5mg、4.6mg、4.7mg、4.8mg、4.9mg、5.0mg、5.1mg、5.2mg、5.3mg、5.4mg、5.5mg、5.6mg、5.7mg、5.8mg、5.9mg、6.0mg、6.1mg、6.2mg、6.3mg、6.4mg、6.5mg、6.6mg、6.7mg、6.8mg、6.9mg、7.0mg、7.1mg、7.2mg、7.3mg、7.4mg、7.5mg、7.6mg、7.7mg、7.8mg、7.9mg、8.0mg、8.1mg、8.2mg、8.3mg、8.4mg、8.5mg、8.6mg、8.7mg、8.8mg、8.9mg、又は、9.0mg、というニコチン含有量を含むことができる。
【0083】
本明細書において使用した際には、「エアロゾルデバイス」とは、任意の電子タバコ又はタバコ加熱デバイスなどの、吸入のためのエアロゾルを生成する任意のデバイスを意味する。
【0084】
電子タバコの典型的な構成要素は、電子液体をエアロゾルに変換する加熱コイル及び噴霧器を含む充電式デバイスと、電子液体を収容したカートリッジ又は同種のもの(スティック又はポッド)と、マウスピースと、充電デバイス内のバッテリと、を含む。様々なステップを包含し得る多くの外観及び設計が存在するけれども、それらは、一般に、電子タバコを利用し、加熱要素を活性化して電子液体をエアロゾル化し、そして、液体エアロゾルを吸入することによって、動作する。電子液体は、典型的には、ニコチンと、水と、香料と、保湿剤と、を含む。保湿剤は、ニコチン及び香料を溶解させるキャリア溶媒であって、電子タバコの噴霧器上における特定の温度でエアロゾル化するキャリア溶媒として、機能する。典型的には、プロピレングリコール及び/又はグリセロールが、電子液体に使用される溶媒である。カートリッジ内に収容されている電子タバコの電子液体は、例えば、ブランド及びブランドスタイルによって大きく異なるニコチン含有量を含んでいる。例えば、JUUL(登録商標)ポッドは、それぞれ、0.7mlという体積のニコチンを含有し、これは、5重量%というニコチンに相当する。1つのJUUL(登録商標)ポッドは、本明細書における任意の方法のための供給計算という観点から、約200パフにわたって持続する20本の紙巻タバコと、ほぼ同等である。電子タバコの各ブランドは、ニコチン含有量において、及び、電子液体の量において、相違する場合がある。カートリッジ、ポッド、スティック(又は、同種のもの)の電子液体内に含まれるニコチンの割合は、少なくとも、0.25重量%、0.50重量%、0.75重量%、1.0重量%、1.25重量%、1.5重量%、1.75重量%、2.0重量%、2.25重量%、2.5重量%、2.75重量%、3.0重量%、3.25重量%、3.5重量%、3.75重量%、4.0重量%、4.25重量%、4.5重量%、4.75重量%、5.0重量%、5.25重量%、5.5重量%、5.75重量%、6.0重量%、6.25重量%、6.5重量%、6.75重量%、7.0重量%、7.25重量%、7.5重量%、7.75重量%、8.0重量%、等とほぼ同じとすることができる。これに代えて、電子タバコのカートリッジ、ポッド、スティック(又は、同種のもの)の電子液体内に含まれるニコチンのおおよその量は、少なくとも、0.025ml、0.05ml、0.075ml、0.10ml、0.15ml、0.20ml、0.25ml、0.30ml、0.35ml、0.40ml、0.45ml、0.50ml、0.55ml、0.60ml、0.65ml、0.70ml、0.75ml、0.80ml、0.85ml、0.90ml、0.95ml、1.00ml、1.05ml、1.10ml、1.15ml、1.20ml、1.25ml、等とすることができる。
【0085】
電子タバコデバイスは、時に、その製品特性及び特徴点に基づいて、第一世代、第二世代、又は第三世代として、特徴づけられることがある。第一世代の電子タバコデバイスは、外観に関して従来的な紙巻タバコを模倣するように設計されているため、「シガライク」又はベイプスティックと呼ばれている。第二世代の電子タバコは、電子液体と噴霧器とバッテリとを保持する透明なカートリッジであるクリアロマイザを特徴とすることができる。これらの第二世代のデバイスは、第一世代のデバイスよりもかなり大きく、以前のデバイスよりも多量の電子液体を保持する透明なリザーバを参照して「タンクシステム」と呼ばれることがある。第三世代のデバイスは、多くの場合、「蒸気を吸う製品」と考えられており、従来的な紙巻タバコとはほとんど似ていない。これらは、再構築可能でカスタム型の噴霧器及びバッテリを特徴とすることができる。
【0086】
最新のタイプすなわち第四世代の電子タバコは、ニコチン塩及び有機酸を利用する。例えば、JUUL(登録商標)ポッド(カートリッジ)は、タバコ及び他の物質に見られる天然存在成分である安息香酸を含む、独自の塩ベースのニコチン電子液体組成物を含む。安息香酸をニコチン塩と組み合わせることは、一般的な電子タバコと比較して、より高い満足感を提供することを補助する。JUUL(登録商標)は、クローズドシステムであり、そのポッドは、詰め替えできないものとして設計されており、JUUL(登録商標)は、USBポートによって充電可能である。
【0087】
いくつかの態様では、タバコ製品を完全にやめることに興味のない喫煙者が、従来的なニコチン含有燃焼式紙巻タバコを喫煙することから、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスを使用することへと切り替えることを容易とするための方法が提供される。この方法論では、超低ニコチン紙巻タバコが、喫煙者の普段の紙巻タバコブランドと電子タバコとの間にわたっての、あるいは、喫煙者の普段の紙巻タバコブランドとタバコ加熱デバイスとの間にわたっての、橋渡しとして利用される。
【0088】
他の態様では、コンピュータ又はモバイルアプリケーション(アプリ)が、開示された方法及び製品を使用して喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることを支援する。
【0089】
他の態様では、開示された方法のために利用し得る、アナタビン及び/又はアナバシンのレベルを増強させた超低ニコチン紙巻タバコが提供される。
【0090】
他の態様では、超低ニコチン紙巻タバコと、タバコ加熱デバイスと、タバコスティックと、喫煙者がタバコ加熱デバイスへと切り替えることを支援するための情報及び指示及び推奨と、を含む移行キットが提供される。
【0091】
他の態様では、超低ニコチン紙巻タバコと、電子タバコと、喫煙者がタバコ加熱デバイスへと切り替えることを支援するための情報及び指示及び推奨と、を含む移行キットが提供される。
【0092】
他の態様では、上述した方法のために利用され得る、カンナビノイドを含む及び/又はTHC非含有大麻を含む超低ニコチン紙巻タバコが提供される。この方法では、カンナビノイドを含む又はTHC非含有大麻を含む、再構成大麻又は再構成タバコを、超低ニコチン紙巻タバコ内に含むことができる。
【0093】
1.低ニコチンタバコ
超低ニコチン紙巻タバコにおいて使用するため、タバコのニコチン含有量を低減させるために、様々な方法を採用することができる。これらには、植物育種技術、タバコ系統又はタバコ品種の遺伝子操作、及び/又は、従来的なタバコからのニコチン抽出、が含まれる。従来的な紙巻タバコの製造において使用される市販のタバコ品種を含むタバコ植物のニコチン含有量を低減させるための方法は、植物育種技術を含むことができる。キューバ産の葉巻タバコ品種からの2つの低アルカロイド遺伝子(nic1及びnic2二重変異体)を一連の戻し交配を介して従来的なタバコ品種内へと導入することにより生産された低ニコチンタバコ系統の例は、LA Burley 21、LAFC 53、及びLAMD 609、を含む。NIC1及びNIC2遺伝子座は、ニコチアナタバカムにおける2つの独立した遺伝的座であり、nic1及びnic2変異は、ニコチン生合成酵素及びニコチン含有量の発現レベルを独立して低下させる。Legg et al.,1969,Journal of Heredity Vol.60,Issue 4:213−217、及び、Hibi et al.1994,Plant Cell 6:723−35;Reed & Jelesko 2004,Plant Science 167(5):1123−1130、を参照されたい。
【0094】
LA Burley 21(Burley 21 LAと呼ばれることもある)タバコは、ケンタッキー州Lexingtonにあるケンタッキー大学農業試験場と、メリーランド州Beltsvilleにある米国農務省農業研究サービス(ARS)の作物研究部門と、が共同で開発して発売している遺伝的に安定した品種である。LA Burley 21は、キューバ産葉巻品種のnic1及びnic2の二重変異遺伝子を、Burley 21品種内に導入することにより、開発された。LA Burley 21の低アルカロイド含有量は、Burley 21(当時、紙巻タバコに使用されていた商業品種)に関する3.5%という平均値に対し、約0.20%(乾燥重量ベース)であり、約94%の低減である。Legg et al.1970,Registration of LA Burley 21 Tobacco Germplasm,Registration No.GP 8,Crop Science Vol.10,March−Apr 1970:212を参照されたい。
【0095】
LAFC 53(LA 53と呼ばれることもある)は、米国農務省の農業研究サービス(ARS)と、ノースカロライナ農業試験場と、によって共同で開発されて発売された、低アルカロイドで黄色種のタバコ系統である。LAFC 53は、nic1及びnic2の二重変異体を含む低アルカロイド系統をNC 95品種に戻し交配し、低アルカロイド植物を選抜して開発された。この系統は、1974年に、研究及び育種目的で、植物育種家、試験場、及び他の組織に対して、発売された。LAFC 53は、人気のある商業的な黄色種タバコ品種であったNC 95に対して、約10%程度しかニコチン含有量を含有していないものとすることができる(約90%の低減)。Chaplin 1975,Registration of LAFC 53 Tobacco Germplasm,Registration No.GP 13,Crop Science,Vol.15,March−Apr 1975:282を参照されたい。RJレイノルズタバコカンパニー社、及び、フィリップモリス社は、1980年代にLAFC 53を研究して栽培した。Tobacco Industry Documents,Bates Document No.505348876,Low Nicotine Tobacco 1985 Crop,Chemical Analysis,RJ Reynolds Tobacco Company、及び、Tobacco Industry Documents,Bates Document No.2031403998−2031404044,March 27,1987,Project 1904,Tobacco Physiology and Biochemistry,Philip Morris USA、を参照されたい。
【0096】
LAMD 609は、メリーランド州農業試験場によって開発され、1994年に発売されたメリーランド州産タバコの低アルカロイド生殖系統である。LAMD 609は、nic1及びnic2という二重変異体を含むLA Burley 21とMD 609品種との間における1970年の交配に由来する。1991年及び1992年の2年間のフィールド研究において、セントラルメリーランド研究教育センタのアッパーマールボロ施設における4つの複製を使用して、LAMD 609、MD 609、及びLA Burley 21が、農学的性能及び化学物質含有量について評価された。これらの2年間の平均では、MD 609に関しては1.93%であるのと比較して、LAMD 609の総アルカロイド含有量は、0.06%であり、これは、約97%の低減である。Aycock et al.1998,Registration of LAMD 609 Tobacco Germplasm,Registration No.GP−52,PI 599689,Crop Science,Vol.38,May−June 1998:904、及び、Aycock et al.1997,LAMD 609:A low−alkaloid Maryland tobacco breeding line.University of Maryland Agronomy Res.Bull ARB−5、を参照されたい。
【0097】
遺伝子操作は、ニコチン量を低減させたタバコを生産するための好ましい方法であり、また、低減させたニコチン量に関連してアナタビン量を増強させたタバコを生産するための好ましい方法である。遺伝子操作には、関心のある遺伝子産物(すなわち、標的遺伝子産物)の発現又は機能を減少又は増加させる核酸又は特異的変異を宿主生物内に導入する任意の方法が含まれる。例えば、植物が、標的遺伝子の発現が対照植物に比べて低下するように遺伝子の発現を例えば抑制するポリヌクレオチド配列を含む時には、植物は遺伝子操作される。ニコチン生合成経路に関与する任意の酵素は、低減されたニコチンタバコ系統の標的とすることができる。発現を抑制するための遺伝子操作は、アンチセンス技術、RNA干渉(RNAi)、リボザイム、CRISPR技術、及びmicroRNAs(miRNAs)などの、当該技術分野において公知の任意の方法によって起こり得る。
【0098】
本明細書においてタバコに関連して使用した際には、「ダウンレギュレーション」又は「抑制」は、同義であって、例えばその由来の子孫植物を含むタバコ植物において、特定の遺伝子配列又はその変異体の発現が、あるいは、遺伝子配列の少なくとも15個のヌクレオチドフラグメントの発現が、同様の生育条件で生育した場合の対照植物と比較して、減少したことを意味し、ここで、対照植物は、タバコ植物において低減させたニコチンの変化を除いては、及び関連する付随的な効果を除いては、タバコ植物と実質的に同一の遺伝的背景を共有している。
【0099】
いくつかの例示的な実施形態では、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることを容易とするために、超低ニコチン紙巻タバコにおいて使用するための低ニコチンタバコは、プトレシンN−メチル転移酵素(PMT)、キノレートホスホリボシル転移酵素(QPT)、N−メチルプトレスシン酸化酵素(MPO)、BBL(BBL酵素は、フラビン含有酸化酵素である)、A622(A622酵素は、NADPH−依存性還元酵素のPIPファミリーのメンバーである)、及びMATEトランスポータ、などの生成物をコードする1つ又は複数の遺伝子の発現又は活性を直接的にダウンレギュレートする導入遺伝子又は突然変異を含むように、タバコ植物を遺伝子操作することによって、提供される。センス抑制、センス共抑制、アンチセンス抑制、RNAi抑制、二本鎖RNA(dsRNA)干渉、ヘアピンRNA干渉及びイントロン含有ヘアピンRNA干渉、リボザイム、アンプリコン媒介干渉、低分子干渉RNA、人工トランス作用性siRNA、人工又は合成microRNA、ノックアウトアプローチ、ランダム突然変異誘発アプローチ及び標的突然変異誘発アプローチ、を含む当該技術分野において公知の任意の適切な方法を、低ニコチンタバコの製造のために利用することができる。例えば、超低ニコチンタバコ品種であるVector 21−41は、QPT(配列識別番号1に記載のヌクレオチド配列、及び、配列識別番号2に記載のアミノ酸配列)のアンチセンス抑制を利用して、ノースカロライナ州立大学のMark Conkling博士によって開発された。米国特許第6,586,661号明細書を参照されたい。この遺伝子組み換えバーレイ品種のニコチン含有量は、約0.10%であって、これは、その親であるLA Burley 21のニコチン含有量の約半分である。例えば、米国植物品種保護証明書第200100039号、及び、Xie et al.2004 Recent Advances in Tobacco Science,30:17−37、を参照されたい。
【0100】
いくつかの例示的な実施形態では、低ニコチンタバコ系統又はタバコ品種は、精密な遺伝子操作技術を介して、PMT遺伝子ファミリー、QPT、MPO、NBB1及びA622を含むBBL遺伝子ファミリー、を含むがこれらに限定されない1つ又は複数のニコチン生合成遺伝子内へと、非遺伝子組み換え変異を導入することによって、(喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱 gene family including NBB1 anデバイスへと切り替えることを容易とするための超低ニコチン紙巻タバコにおいて使用するために)製造される。NBB1ヌクレオチド配列は、配列識別番号11に記載されており、そのアミノ酸配列は、配列識別番号12に記載されている。米国及び他の国における遺伝子組み換え作物の規制緩和要件などの、遺伝子組み換えタバコを商業化するための多くの障害が存在するために、外来DNA(ニコチアナ植物に固有ではないDNA)を含む低ニコチン植物系統を結果的にもたらさない遺伝子操作的アプローチは、外来DNAを含むタバコを結果的にもたらす遺伝子組み換えアプローチよりも、好ましい。例えば、ノースカロライナ州立大学では、BBL遺伝子ファミリーの3つの最も発現の高いアイソフォームにおけるEMS誘発変異を特定するための突然変異育種アプローチが開発された。ベルベリンブリッジ酵素様体(BBL)は、タバコのアルカロイド形成において主要な役割を果たす。BBL酵素は、ニコチン生成の最終酸化ステップに関与していると考えられているフラビン含有酸化酵素である。BBL遺伝子ファミリーの発現を抑制することの影響は、ニコチン表現型の低下をもたらす。Kajikawa et al.2011,Vacuole−Localized Berberine Bridge Enzyme−Like Proteins Are Required for a Late Step of Nicotine Biosynthesis in Tobacco,Plant Physiology,April Vol.155,pp.2010−2022、及び、Lewis et al.2015,PLOS One,Feb 17;10(2):e0117273、を参照されたく、これらの両方は、これらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0101】
他の例示的な実施形態では、(喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることを容易とするために、超低ニコチン紙巻タバコにおいて使用するための)低ニコチンタバコを提供するための非遺伝子組み換えアプローチは、ランダム突然変異誘発アプローチを利用すること、若しくは、例えば、転写活性化因子様エフェクタヌクレアーゼ(TALENs)、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガヌクレアーゼ、及び、CRISPR−cas9システム、などの、精密なゲノム工学技術を介すること、を含む。例えば、Gaj et al.2013,Trends in Biotechnology,31(7):397−405、及び、Bomgardner 2017,Chemical & Engineering News,Vol.95,Issue 24:30−34、を参照されたい。https://cen.acs.org/static/about/staff_landing/biommb.html
【0102】
いくつかの例示的な実施形態では、(喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることを容易とするために超低ニコチン紙巻タバコにおいて使用するための)低ニコチンタバコは、タバコの系統又は品種の転写因子を遺伝子操作することによって、提供される。転写因子は、DNA結合ドメインを使用して典型的にはプロモータ領域などのDNA領域に対して結合するタンパク質であって、特定の遺伝子の転写を減少又は増加させるタンパク質である。転写因子の発現が、ニコチン生合成酵素をコードする1つ又は複数の遺伝子の転写を減少させて、ニコチン産生を減少させる場合には、転写因子は、ニコチン生合成を負に調節する。転写因子の発現がニコチン生合成酵素をコードする1つ又は複数の遺伝子の転写を増加させて、ニコチン産生を増加させる場合には、転写因子は、ニコチン生合成を正に調節する。転写因子は、それらのDNA結合ドメインの類似性に基づいて分類される。Todd et al.2010,A functional genomics screen identifies diverse transcription factors that regulate alkaloid biosynthesis in Nicotiana benthamiana,The Plant Journal 62,589−600を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0103】
いくつかの例示的な実施形態では、タバコの系統又は品種は、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることを容易とするために超低ニコチン紙巻タバコにおいて使用するための低ニコチンタバコをもたらすNic1又はNic2遺伝子座からの1つ又は複数の遺伝子活性を低減又は除去するNic1又はNic2遺伝子座における1つ又は複数の非天然存在変異対立遺伝子を含むように、遺伝子操作される。変異Nic1又はNic2対立遺伝子は、ランダム突然変異誘発アプローチを含む、若しくは、例えば、転写活性化因子様エフェクタヌクレアーゼ(TALENs)、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガヌクレアーゼ、及びCRISPR−cas9システム、などの精密なゲノム工学技術を介することを含む、当該技術分野において公知の任意の方法によって、導入することができる。
【0104】
圃場に植えられた任意の特定のタバコ品種又はタバコ系統のニコチン含有量は、気象条件、肥料率、土壌条件及びトッピング慣行(ニコチン及び他のタバコアルカロイドを増加させるタバコの花の除去)、並びに、生育場所、などの多くの要因に依存して変化することがあり得る。例えば、乾燥した気象条件は、一般に、ニコチン含有量を含めてニコチンアルカロイド含有量のより大きなタバコ作物をもたらす。様々な生育期に同じ圃場に植えられた同じ商業用タバコ品種に関し、硬化したタバコのニコチン含有量は、最大で約40%にまで変化し得る。
【0105】
いくつかの例示的な実施形態では、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることを容易とするよう超低ニコチン紙巻タバコにおいて使用するために、従来的なタバコからニコチンを抽出するプロセスが利用される。これらのプロセスは、追加的な製造プロセスが必要とされるため、一般的に、低ニコチンレベルのタバコを栽培することと比較して、コストが高い。例えば、タバコからニコチンの最大で約97%を除去するための超臨界COプロセスは、カフェイン抜きコーヒーを製造するプロセスに類似しており、1989年〜1991年に試験販売された市販の紙巻タバコにおいて利用された。タバコからニコチンを抽出することは、また、タバコの味の特徴に重要な他の様々なタバコ葉の化合物及び成分も除去してしまうものと、結論づけられた。これらの付随的な抽出物は、タバコ植物のオイル及びワックスを含む。柑橘類の果実に含まれるエッセンシャルオイルに類似して、タバコに含まれるこれらの化合物の存在及びバランスは、タバコに関連した特徴的な風味及び香りをタバコに与えている。これらの化合物を除去すると、あるいは、濃度比を変更するだけであっても、植物の特徴的な風味及び香りが損なわれてしまい得る。抽出方法の利点は、タバコから抽出されたニコチン及び他のニコチンアルカロイドを、電子タバコなどの他の製品において使用し得ることである。例えば、Tobacco Industry Documents,Bates Document No.2057908259−2057908291,September 1,1994,Alkaloid Reduced Tobacco (ART) Program,Philip Morris USAを参照されたい。
【0106】
2.喫煙者の電子タバコ又はタバコ加熱デバイスに対する評価及び移行
ファガストローム試験は、従来的な紙巻タバコの煙に対する個人の依存性に関する短くて便利な自己報告尺度である。喫煙者に対して、6つの多肢選択式の質問が行われる。The Fagerstrom Test for Nicotine Dependence:a revision of the Fagerstrom Tolerance Questionnaire,British Journal of Addiction (1991) 86,1119−1127における表3を参照されたい。6つの質問のそれぞれに対する喫煙者の回答に基づいて、4つの質問には0〜1というスコアを割り当て、2つの質問には0〜3というスコアを割り当てて、すべての6つの質問に対する回答のスコア結果を合計し、0〜10という合計範囲とするものであり、これは、本明細書では「依存度スコア」として知られている。値が大きいほど、タバコの煙への依存度が高いことを示している。ファガストローム試験でのスコアが1〜2の喫煙者は、依存度が低いと考えられ、3又は4というファガストロームスコアは、低〜中程度の依存度と考えられ、4というスコアは、中程度の依存度と考えられ、そして、5以上というスコアは、非常に依存していると考えられている。Heatherton et al 1991,British Journal of Addiction,86:1119−1127を参照されたい。喫煙依存動機の37項目のウィスコンシンインベントリ(スコア範囲は、11〜77であり、値が大きいほど、依存度が高いことを示す)などの、ニコチン依存度を測定するための他の方法が存在する。
【0107】
喫煙者の過去の従来的な紙巻タバコに関する使用量の多さは、喫煙者を電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと移行させる本明細書において説明する方法を含めて、任意の積極的に補強された行動を消滅又は変更させてしまう重要な考慮事項である。従来的な紙巻タバコの使用量は、パック年数で測定され、これは、個人が喫煙した年数に、個人が喫煙した時間フレームでの1日あたりの平均喫煙パック数を掛け算したものである。例えば、1日あたりに紙巻タバコを約1パック(各パックは、20本の紙巻タバコを含有している)喫煙する人であれば、そして15年間そうしてきたとすれば、15パック年に相当する。パック年数の範囲は、以下のようにスコア付けされる、すなわち、5パック年以下(1の評価)、5パック年超〜10パック年以下(2の評価)、10パック年超〜15パック年以下(3の評価)、15パック年超〜20パック年以下(4の評価)、20パック年超〜25パック年以下(5の評価)、25パック年超〜30パック年以下(6の評価)、30パック年超〜35パック年以下(7の評価)、35パック年超〜40パック年以下(8の評価)、40パック年超〜45パック年以下(9の評価)、45パック年超(10の評価)。5パック年以下の喫煙者(1の評価)は、25パック年の喫煙者(5の評価)よりも、一般に、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへの転換が容易である。
【0108】
ファガストローム依存度スコアとパック年数評価との組合せは、本明細書では「合計喫煙依存度スコア」として知られ、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えるに際しての、切替方法、移行期間の長さ、超低ニコチン紙巻タバコのニコチンレベル、及び/又は、個々の喫煙者が望むタバコスティックのニコチンレベル、などの、最適な方法変数及び製品変数(以下に規定される)を決定することを支援するために、一緒に合計される。例えば、依存度スコアが7でありかつパック年数評価が5である喫煙者は、合計喫煙依存度スコアが12に相当し、一般に、依存度スコアが2でありかつパック年数評価が1であって合計喫煙依存度スコアが3に相当する喫煙者よりも、より長い移行期間を必要とするであろう。
【0109】
本明細書において説明する、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることを容易とするための方法、及びこれらの方法における移行期間の長さは、異なり得る。喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることを支援するための個人向けとされた方法(コンピュータ又は本明細書ではモバイルアプリを利用することができる)は、喫煙者に関しての、ファガストローム依存度スコア、パック年数評価、喫煙年数、1日あたりのパック数、合計喫煙依存度スコア、喫煙者が本アプリを初めて知った方法、先月に1日あたりに喫煙した紙巻タバコの平均本数、普段使用している紙巻タバコのブランド、電子タバコを含むニコチン製品に関するあらゆる現在又は過去の使用、タバコ加熱製品に関するあらゆる現在又は過去の使用、任意の他のタバコ製品に関するあらゆる現在又は過去の使用、過去に紙巻タバコをやめる試みがあればその回数、タバコを完全にやめることへの関心レベルと比較した場合の電子タバコ又はタバコ加熱製品へと切り替えることへの関心レベル、婚姻状況、恋人の喫煙状況及び同居人の喫煙状況、性別、年齢、人種、民族、出身国、最終学歴、職業、仕事中に従来的な紙巻タバコや電子タバコやタバコ加熱製品を喫煙し得ることの容易さ、を含み得る、喫煙者に関する任意の数の「人口統計学的特性及びタバコ使用特性」によって決定することができる。これらの人口統計学的特性及びタバコ使用特性は、様々な要因を考慮して様々な操作を実行するコンピューティングシステム又はコンピューティングデバイスに対して入力され得る喫煙者プロフィールを構築するために、利用される。
【0110】
このようにして、ソフトウェアは、特定の喫煙者の情報又はプロフィールに基づいて、喫煙者を電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと移行させることを支援するための特定の移行計画及び製品種類に関する指示及び推奨を生成する。本明細書において使用した際には、「方法変数及び製品変数」という用語は、(a)喫煙者を電子タバコ又はタバコ加熱製品へと移行させるための方法(例えば、方法A)、並びに、移行期間の長さなどの方法の任意の変数、(b)電子タバコ(例えば、電子液体が詰め替えできないものとして設計されたクローズドシステムであるJUUL(登録商標)及びJUUL(登録商標))ポッド)の、種類、ブランド、及びモデル、あるいは、タバコ加熱製品(IQOS(登録商標)などのホルダ及びタバコスティック対タバコ加熱ロッド)の、種類、ブランド、及びモデル、(c)超低ニコチン紙巻タバコのブランド、(d)超低ニコチン紙巻タバコや電子タバコやタバコスティック/加熱ロッドに関しての、ニコチン、アナタビン、及びアナバシンの含有量、そして存在する場合には、超低ニコチン紙巻タバコや電子タバコやタバコスティック/加熱ロッドに関しての、大麻含有量又はカンナビノイド含有量、並びに、超低ニコチン紙巻タバコや電子タバコやタバコスティック/加熱ロッドに関しての香料、などの移行期間中の(及び、潜在的に移行期間後の)方法のための製品変数、さらには、(e)任意の毎日のリマインダ、個人に合わせた態様又は個人向けとされた態様、及び、送達方法(例えば、スマートフォンを介して)、を含む、方法及び製品を使用するための、情報、推奨、及び指示、を含む。従来的な紙巻タバコの喫煙者を電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと移行させるために使用される任意の方法は、本明細書において開示する任意の製品と組み合わせることができる。
【0111】
方法変数及び製品変数の有効性は、一般に喫煙者が利用する移行計画の移行期間後の期間(移行期間中とすることもできる)における、電子タバコの使用又はタバコスティックの使用(又は、タバコ加熱ロッドの使用)の割合に基づいて、及び、もし存在するならば紙巻タバコの使用の割合に基づいて、測定される。この測定期間は、任意の日数とすることができ、また、任意の時点で開始することができる。例えば、臨床試験の測定期間は、移行期間の直後の1週間とすることができる。また、移行期間の終了直後の3ヶ月間、また、移行期間の終了直後の6ヶ月間、などの1つ又は複数の追跡測定期間を設けることもできる。いくつかの実例では、測定期間は、移行期間の最後の3日間などの、移行期間中とすることができる。臨床試験における切替有効性の上位3つのレベルは、喫煙者がタバコ加熱製品へと排他的に切り替えていること(99%以上かつ100%以下というタバコスティックの使用、及び、0%以上かつ1%以下という紙巻タバコの使用)、喫煙者が圧倒的に切り替えていること(90%以上かつ99%未満というタバコスティックの使用、及び、1%超かつ10%以下という紙巻タバコの使用)、並びに、喫煙者が優勢的に切り替えていること(70%以上かつ90%未満というタバコスティックの使用、及び、10%超かつ30%以下という紙巻タバコの使用)、とすることができる。これらのタイプの詳細は、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱製品へと移行することを支援するために、喫煙者又は喫煙者の部分母集団の特定のプロフィールのための方法変数及び製品変数の組合せの有効性を測定するための研究が実行される時に、米国食品医薬品局(FDA)などの規制機関によって、決定することができる。
【0112】
本明細書において使用した際には、「最適な方法変数及び製品変数」とは、喫煙者に対して推奨される方法変数及び製品変数の組合せであって、ほとんどの場合、喫煙者に対して、電子タバコ又はタバコ加熱製品への切替に関して最も高い推定確率を与える組合せを意味する。最適な方法変数及び製品変数は、アプリをサポートするコンピュータシステムによって計算することができ、同一の又は同様の人口統計学的特性及びタバコ使用特性を有した喫煙者の過去のデータに基づいており、また、コンピュータシステム内の機械学習アルゴリズムの予測モデリングに基づいている。測定期間中の基準に応じて、切替とは、例えば、70%以上かつ90%未満というタバコスティックの使用、及び、10%超かつ30%以下という紙巻タバコの使用、若しくは、99%以上かつ100%以下というタバコスティックの使用、及び、0%以上かつ1%以下という紙巻タバコの使用、を意味する。場合によっては、アルゴリズムは、どの方法変数又は製品変数が所定のプロフィール又は部分母集団にとって切替率を向上させるかをアルゴリズムに学習させるために、喫煙者に対して電子タバコ又はタバコ加熱製品への切替に関する最も高い数学的確率を与えないかもしれない方法変数及び製品変数を推奨することができる。測定期間は、任意の日数とすることができ、また、任意の時点で開始することができる。いくつかの例示的な実施形態では、喫煙者の母集団又は部分母集団に対して同じ方法変数及び製品変数が存在してもよい。例えば、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えるための臨床試験の場合、研究の特定の群は、すべてが同じ方法及び製品を使用することができ、最も効果的なプロトコルは、規制機関又は健康保険会社によって認可された市販製品とすることができる。
【0113】
いくつかの例示的な実施形態では、喫煙者のプロフィールは、コンピュータ又はモバイルアプリによって、最も類似した人口統計学的特性及びタバコ使用特性を有した喫煙者であって、本明細書による方法を使用して、例えば、タバコ加熱デバイスへと排他的に切り替えた喫煙者(99%以上かつ100%以下というタバコスティック、及び、0%以上かつ1%以下という紙巻タバコ)、圧倒的に切り替えた喫煙者(90%以上かつ99%未満というタバコスティック、及び、1%超かつ10%以下という紙巻タバコ)、並びに、優勢的に切り替えた喫煙者(70%以上かつ90%未満というタバコスティック、及び、10%超かつ30%以下という紙巻タバコ)、などの最良の切替結果を達成した喫煙者に対して、照合される。他の例示的な実施形態では、喫煙者のプロフィールは、コンピュータ又はモバイルアプリによって、最も類似した人口統計学的特性及びタバコ使用特性を有した喫煙者であって、本明細書による方法を使用して、例えば、電子タバコへと排他的に切り替えた喫煙者(99%以上かつ100%以下という電子タバコの使用、及び、0%以上かつ1%以下という以前の紙巻タバコの使用)、圧倒的に切り替えた喫煙者(90%以上かつ99%未満という電子タバコの使用、及び、1%超かつ10%以下という紙巻タバコの使用)、並びに、優勢的に切り替えた喫煙者(70%以上かつ90%未満という電子タバコの使用、及び、10%超かつ30%以下という紙巻タバコの使用)、などの最良の切替結果を達成した喫煙者に対して、照合される。次に、アプリは、喫煙者に対して、例えば、電子タバコ又はタバコ加熱製品の種類(ホルダ及びタバコスティック対加熱ロッド)、ブランド、モデル、移行期間の長さを含む最適な切替方法、タバコスティック及び超低ニコチン紙巻タバコに関する必要本数、さらには、アルカロイドプロファイルの観点から、香料の観点から、また、超低THC大麻を含有しているかどうかの観点から、タバコスティック及び超低ニコチン紙巻タバコに関する最適な種類、を推奨する。例えば、本明細書において説明する任意の方法における移行期間の長さは、少なくとも、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、33日間、34日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間、45日間、46日間、47日間、48日間、49日間、50日間、51日間、52日間、53日間、54日間、55日間、56日間、57日間、58日間、59日間、60日間、61日間、62日間、63日間、64日間、65日間、66日間、67日間、68日間、69日間、70日間、71日間、72日間、73日間、74日間、75日間、76日間、77日間、78日間、79日間、80日間、81日間、82日間、83日間、84日間、85日間、86日間、87日間、88日間、89日間、90日間、91日間、92日間、93日間、94日間、95日間、96日間、97日間、又は、98日間、とすることができる。いくつかの例示的な実施形態では、移行期間の長さは、あるグループをなす人々に関して、14日間などの、固定された日数とすることができる。例えば、喫煙者の一般的な母集団にとっての理想的な方法変数又は製品変数を決定する際に、特にアプリの起動時に、方法Aなどの所与の方法に関する移行期間を、固定とすることができる。これは、喫煙者のエアロゾルデバイス採用率を迅速に向上させるために、アプリの機械学習アルゴリズムの予測モデリングを支援することができる。
【0114】
一般に、研究における従来的な紙巻タバコとタバコ加熱デバイスとの併用ユーザは、紙巻タバコとタバコスティックとが、喫煙者に対してほぼ同量のニコチンを送達することにより、従来的な紙巻タバコをタバコスティックによって一対一ベースでトレードオフし、また逆に、タバコスティックを従来的な紙巻タバコによって一対一ベースでトレードオフする。例えば、以前は1日あたり従来的な紙巻タバコを20本喫煙していた併用ユーザは、今は、1日あたり10本の従来的な紙巻タバコを喫煙し得るとともに、1日あたり10本のタバコスティックを使用することができ、これは、50%の紙巻タバコの使用と、50%のタバコスティックの使用と、に相当する。移行期間中に本明細書による方法において必要とされるタバコスティックの数は、1日あたりに喫煙していた紙巻タバコの本数(例えば、直近の30日間において)に、移行期間の日数を掛け算した値に、部分的に基づくことができる。また、一定の割合での余分なタバコスティックの追加数を、含むこともできる。例えば、喫煙者が1日あたりに25本の紙巻タバコを喫煙する場合には、移行期間を21日間とし、追加割合を15%とすれば、少なくとも604本(525本+79本)のタバコスティックが、喫煙者に対して提供される。いくつかの種類のタバコスティック又は加熱ロッドは、喫煙者に対して、従来的な紙巻タバコの場合(紙巻タバコ1本あたり、およそ1mg〜1.5mg)と比較して、より多くの又はより少ないニコチンを送達することがあり、その場合、喫煙者に対して提供されるタバコスティックの数は、調整される。例えば、タバコスティックは、タバコスティック1本あたり20mgのニコチンを送達することができる。このタバコスティックは、1日あたり1パック(典型的には、20本の紙巻タバコ)を喫煙する喫煙者にとっては、約1日で使用するのに充分であろう。
【0115】
同様に、電子タバコの場合、電子タバコの種類によっては、本明細書による方法において必要な、電子液体タンク、カートリッジ、スティック又はポッド、の数は、従来的な紙巻タバコに対して、タバコ加熱製品のタバコスティックのようには、一対一対応ではないことがあり得る。例えば、JUUL(登録商標)電子タバコは、タバコスティックと比較して、1日あたりに必要なJUUL(登録商標)ポッドの数が少ない。1つのJUUL(登録商標)ポッドは、約200パフ持続する20本の紙巻タバコにほぼ相当し(本明細書による任意の方法に関する供給量計算の観点から)、これは、1日あたり1パック(典型的には、20本の紙巻タバコ)を喫煙する喫煙者にとっては、充分であろう。タバコスティック加熱ロッド、電子液体タンク、電子タバコカートリッジ、スティック又はポッド内のニコチンの量に基づいて、移行期間(及び、任意の追跡期間)中に充分な数のタバコスティックを供給するための適切な調整が必要であり、特定のタイプのエアロゾルデバイスへと排他的に切り替えた元喫煙者の典型的な使用率も、考慮される。例えば、方法AにおけるJUUL(登録商標)ポッドカートリッジの供給量は、喫煙者が1日あたりに喫煙する従来的な紙巻タバコの本数と、移行期間の日数と、の積を、20で割り算した値にほぼ等しい。したがって、本明細書による任意の方法において必要な、任意のエアロゾルデバイスの、タバコスティック、加熱ロッド、電子液体タンク、カートリッジ、スティック又はポッド(又は、同種のもの)の数は、エアロゾルデバイス、タバコ加熱製品、又は電子タバコの設計に基づいて、及び、喫煙者のタバコ消費履歴に基づいて、「移行期間にとって充分な数」と呼ばれることがある。
【0116】
本明細書による方法において必要とされる超低ニコチン紙巻タバコの数(移行期間中、及び、いくつかの実例では、移行期間後の期間中)も、また、1日あたりに喫煙していた紙巻タバコの数(例えば、直近の30日間において)に、移行期間の日数を掛け算した値に、部分的に基づくことができる。次に、この積に対して、少なくとも17%を掛け算し、これにより、移行期間中に必要とされる超低ニコチン紙巻タバコの最小数が得られる。例えば、喫煙者が1日あたりに20本の紙巻タバコを喫煙する場合には、移行期間を28日間とすれば、少なくとも95本の超低ニコチン紙巻タバコ(20×28)×0.17が、喫煙者に対して提供される。典型的には1パックには20本の紙巻タバコがあるので、この数は、100に切り上げることができる。100本という紙巻タバコの数は、方法に応じて調整することができる。例えば、方法Aを推奨するモバイルアプリは、人口統計学的特性及びタバコ使用特性に関する喫煙者のプロフィールに基づいて、また、アプリの過去のユーザに関する人口統計学的特性及びタバコ使用特性に基づいて、1日あたりに喫煙する紙巻タバコと移行期間の日数との積に対して、17%よりも大きい割合を、掛け算する必要があり得る。必要とされるこれらのタバコ製品の量に関する最良の予測因子の1つは、エアロゾルデバイスへと移行するために本明細書による方法及び製品を使用している喫煙者の、実際の使用パターンである。
【0117】
本明細書において使用した際には、「移行キット」とは、1つ又は複数の区画からなるパッケージであり、超低ニコチン紙巻タバコと、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスと、タバコスティック(又は、タバコ加熱デバイス及びタバコスティックの代わりに、タバコ加熱ロッド)と、を含むとともに、従来的な紙巻タバコの喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと移行することを支援するために、これらのタバコ製品の使用に関する、情報、推奨、及び/又は指示、を含むことができる。移行キットは、単一のパッケージとすることができ、図1に示すように単一のパッケージとして喫煙者に対して送達することができる、あるいは、移行キットは、複数のパッケージから構成することができる。例えば、タバコスティック及び超低ニコチン紙巻タバコは、別々に販売又は送達することができる、あるいは、移行期間の半分の期間にとって充分な量の、タバコスティック又は超低ニコチン紙巻タバコを、別々に販売又は送達することができる。方法A又は本明細書における他の方法のために移行キットを使用するための、ソフトウェアによって生成された情報、推奨、又は指示が、方法を使用する人に対して、メッセージ、テキスト、又は電子メールで送信される場合には、あるいは、例えば指示が、YouTube(登録商標)で伝えられる場合には、又は、Twitter(登録商標)又はFacebook(登録商標)などのソーシャルメディアプラットフォーム上に含まれる場合には、指示は、移行キット内に存在することが不要とされ得る。理想的には、移行キットのすべての構成要素は、エアロゾルデバイスへの移行支援を要望する喫煙者に対して直接的に出荷される1つのパッケージ内に含まれる、あるいは、それらは、すべてを1つの小売店で利用可能とすることができる。この重要で便利な機能により、喫煙者は、エアロゾルデバイスへの移行というストレスの多い移行期間中に、アプリの推奨及び指示に従うためのより大きな融通性を得ることができる。
【0118】
従来的な紙巻タバコの喫煙者を電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと移行させるための本明細書による任意の方法における、情報、推奨、及び指示は、すべての喫煙者に関して又は喫煙者の部分母集団に対して一般的なものとし得るけれども、移行計画は、以下においてさらに説明するように、同様の人口統計学的特性及びタバコ使用特性を有した喫煙者に関する履歴データに基づいて、及び、モバイルアプリのコンピュータシステムにおける機械学習アルゴリズムの予測モデリングに基づいて、個々の喫煙者に対して、個人向けとされることが好ましい。情報、推奨、及び指示は、コンピュータシステムによって生成された電子形式とすることができる、並びに/若しくは、電子タバコ又はタバコ加熱デバイス及びタバコスティック(又は、加熱ロッド)と超低ニコチン紙巻タバコとを含んでいて喫煙者に対して提供される移行キット上に配置された又はそのような移行キット内に配置されたラベルなどの、ハードコピーの形式とすることができる。どちらの実例においても、情報及び推奨は、方法変数及び製品変数(後述する)を含む様々な要因を考慮して様々な操作を実行するコンピューティングシステムへの入力に基づいて、コンピュータ又はモバイルアプリによって、決定することができる。本明細書による方法における移行期間(及び、移行期間後の期間)のためのこれらのソフトウェア生成された指示、及び/又は、各日に関連した毎日の指示は、方法を使用している人に対して、メッセージ、テキスト、又は電子メールで送信することができる。
【0119】
3.例示的なハードウェア及びソフトウェアの実装
他の態様では、本開示は、従来的な紙巻タバコの喫煙者を電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと移行させるための、装置、コンピュータ実装された方法、及び同種のもの、を提供する。例えば、そのような装置は、通信モジュール(例えば、イーサネット(登録商標)ネットワークインターフェースカード(NIC)、無線トランシーバ(ブルートゥース(登録商標)、WiFi、等))、命令を有したストレージユニット(すなわち、メモリ)、並びに、1つ又は複数のバス又は有線接続を介して通信モジュール及びストレージユニットに対して結合された少なくとも1つのプロセッサであって、命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを、を有している。これに関して、装置は、第1喫煙者に関する人口統計学的情報及びタバコ使用情報を受領するように、そして、第2喫煙者の人口統計学的情報及びタバコ使用情報を取得する、等のように、そして、第1人口統計学的データの一部に対して確率的アルゴリズムを適用するとともに、第1喫煙者を従来的な紙巻タバコから電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと移行させ得る複数の候補製品及び複数の候補方法のそれぞれを使用した場合に第1喫煙者が従来的な紙巻タバコから電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと移行する可能性を示す値を計算するように、そして、計算した値に基づいて、複数の候補の中から、第1喫煙者に対して適用するための1つの候補を選択するように、そして、通信ユニットを介して、第1喫煙者のデバイスに対して、選択された製品又は方法を特定する第2信号であるとともに、デバイスに、選択された製品又はサービスの適用を特徴づけるデータを、対応するインターフェース内に提示するように指示する情報を含む第2信号を、生成して送信するように、命令を実行することができる。
【0120】
本明細書において説明する主題及び機能的動作の実施形態は、デジタル電子回路内において、有形に具現されたコンピュータソフトウェア又はファームウェア内において、本明細書において開示する構造及びそれらの構造的等価物を含むコンピュータハードウェア内において、あるいは、それらの1つ又は複数の組合せ内において、実装することができる。本明細書において説明する実行可能なアプリケーション又はモバイルアプリケーション並びにアプリケーションプログラムを含むがこれらに限定されない本明細書において説明する主題の実施形態は、1つ又は複数のコンピュータプログラムとして実装することができる、すなわち、データ処理装置(又は、コンピュータシステム)による実行のために又はデータ処理装置(又は、コンピュータシステム)の動作を制御するために、有形の非一過性のプログラムキャリア上において符号化されたコンピュータプログラム命令からなる1つ又は複数のモジュールとして実装することができる。これに加えてあるいはこれに代えて、プログラム命令は、データ処理装置による実行のため、適切な受信装置へと送信するために情報を符号化するように生成された、機械生成の、電気信号、光信号、又は電磁信号、などの人工的に生成された伝搬信号上において、符号化することができる。コンピュータストレージ媒体は、機械可読ストレージデバイス、機械可読ストレージ基板、ランダムアクセス又はシリアルアクセスのメモリデバイス、あるいは、これらの1つ又は複数の組合せ、とすることができる。
【0121】
「装置」、「デバイス」、及び/又は「システム」という用語は、データ処理ハードウェアを指すものであり、データを処理するためのすべての種類の、装置、デバイス、及びマシンを包含し、例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、あるいは、複数のプロセッサ又はコンピュータ、を含む。装置、デバイス、及び/又はシステムは、また、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)などの特殊用途論理回路とすることができる、あるいは、そのような特殊用途論理回路をさらに含むことができる。装置、デバイス、及び/又はシステムは、ハードウェアに加えて、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又はこれらの1つ又は複数の組合せ、を構成するコードなどの、コンピュータプログラムの実行環境を生成するコードを、任意選択的に含むことができる。
【0122】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、又はコード、とも呼ばれ得るあるいはそのようにも記述され得るコンピュータプログラムは、コンパイル型言語又はインタープリタ型言語あるいは宣言型言語又は手続型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述することができ、独立型プログラムを含む、あるいは、モジュール、コンポーネント、サブルーチン、又は、コンピューティング環境内で使用するのに適した他のユニット、を含む、任意の形式で展開することができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応し得るけれども、対応する必要はない。プログラムは、マークアップ言語文書内に格納された1つ又は複数のスクリプトなどの他のプログラム又はデータを保持するファイルの一部内に格納することができ、また、当該プログラムに対して専用とされた単一のファイル内に格納することもでき、また、1つ又は複数のモジュールやサブプログラムやコードの一部を格納するファイルなどの複数の調整されたファイル内に格納することもできる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で実行されるように配備することができる、あるいは、1つのサイトに配置された又は複数のサイトに分散して配置された複数のコンピュータであって、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータの上で実行されるように配備することができる。
【0123】
本明細書において説明するプロセス及び論理フローは、入力データ上で動作して出力を生成することにより機能を実行するための1つ又は複数のコンピュータプログラムを実行する1つ又は複数のプログラマブルコンピュータによって、実行することができる。また、プロセス及び論理フローは、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)などの特殊用途論理回路によって実行することもでき、また、装置は、そのような特殊用途論理回路として実装することもできる。
【0124】
コンピュータプログラムの実行に適したコンピュータは、例示するならば、汎用目的マイクロプロセッサ又は特殊目的マイクロプロセッサ又はその両方を含む、あるいは、任意の他の種類の中央処理ユニットを含む。一般に、中央処理ユニットは、読み出し専用メモリ又はランダムアクセスメモリ又はその両方から、命令及びデータを受領することとなる。コンピュータの重要な構成要素は、命令を遂行又は実行するための中央処理デバイスと、命令及びデータを格納するための1つ又は複数のメモリデバイスと、である。一般に、コンピュータは、また、磁気ディスク、磁気光ディスク、又は光ディスクなどのデータを記憶するための1つ又は複数の大容量ストレージデバイスを含むこととなる、あるいは、そのような1つ又は複数の大容量ストレージデバイスからデータを受領したりそれに対してデータを転送したりするように動作可能に結合されることとなる、若しくは、それら双方の構成を有することとなる。しかしながら、コンピュータは、そのようなデバイスを有する必要はない。その上、コンピュータは、ほんの数例を挙げると、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、モバイルオーディオ又はビデオプレーヤ、ゲームコンソール、全地球測位システム(GPS)受信機、あるいは、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブなどのポータブルストレージデバイス、などの別のデバイス内に埋め込むことができる。
【0125】
コンピュータプログラムの命令及びデータを格納するのに適したコンピュータ可読媒体は、例示するならば、EPROMやEEPROMやフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、内部ハードディスクやリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、磁気光ディスク、並びに、CD−ROMディスク及びDVD−ROMディスク、を含むすべての形態の、不揮発性メモリ、媒体、及びメモリデバイスを含む。プロセッサ及びメモリは、特殊目的論理回路によって補完することができる、あるいは、特殊目的論理回路内に組み込むことができる。
【0126】
ユーザに対しての相互作用を提供するために、本明細書において説明する主題の実施形態は、ユーザに対して情報を表示するための、CRT(陰極線管)モニタ又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタなどの表示デバイスと、ユーザがコンピュータに対して入力を提供することを可能とする、マウス又はトラックボールなどの、キーボード及びポインティングデバイスと、を有したコンピュータ上において、実装することができる。ユーザに対しての相互作用を提供するために、他の種類のデバイスを同様に使用することができ、例えば、ユーザに対して提供されるフィードバックは、視覚フィードバックや聴覚フィードバックや触覚フィードバックなどの感覚フィードバックの任意の形態とすることができ、また、ユーザからの入力は、音響入力や音声入力や触覚入力を含む任意の形態で受領することができる。加えて、コンピュータは、ユーザが使用するデバイスに対して文書を送信したりそのようなデバイスから文書を受信したりすることによって、ユーザと対話することができ、例えば、ウェブブラウザから受信した要求に応答して、ユーザのデバイス上のウェブブラウザに対してウェブページを送信することによって、ユーザと対話することができる。
【0127】
本明細書において説明する主題の実装は、データサーバなどのバックエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステム内において、あるいは、アプリケーションサーバなどのミドルウェアコンポーネントを含むコンピューティングシステム内において、若しくは、ユーザが本明細書の主題の実装と対話することを可能とするグラフィカルユーザインタフェースやウェブブラウザを有したクライアントコンピュータなどのフロントエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステム内において、さらにまた、1つ又は複数のそのようなバックエンドコンポーネントやミドルウェアコンポーネントやフロントエンドコンポーネントの任意の組合せを含むコンピューティングシステム内において、実装することができる。システムの構成要素どうしは、通信ネットワークなどの、デジタルデータ通信の任意の形態又は任意の媒体によって、相互接続することができる。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(LAN)、及び、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(WAN)、が挙げられる。
【0128】
コンピューティングシステムは、クライアント及びサーバを含むことができる。クライアント及びサーバは、一般に互いに離れており、典型的には、通信ネットワークを介して相互作用する。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行されていて、クライアントとサーバとの互いの関係を有しているコンピュータプログラムによって、発生する。いくつかの実装では、サーバは、クライアントとして機能するユーザデバイスと対話しているユーザに対してデータを表示する目的や、そのようなユーザからユーザ入力を受信する目的、などのために、HTMLページなどのデータを、ユーザデバイスに対して送信する。ユーザ相互作用の結果などの、ユーザデバイスで生成されたデータは、サーバ経由でユーザデバイスから受信することができる。
【0129】
本明細書は多くの詳細を含んでいるけれども、これらは、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、また、主張され得るものを限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ、本発明の特定の実施形態に関する、特有の特徴点についての記述として解釈されるべきである。本明細書において別々の実施形態の文脈で説明する複数の特定の特徴点どうしは、また、単一の実施形態において組み合わせて実装することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明する様々な特徴点は、また、複数の実施形態において別々に実装することもできる、あるいは、任意の好適な部分的組合せで実装することもできる。その上、特徴点どうしは、特定の組合せで作用するものとして上記で説明されていて、初期的にはそのように主張され得るけれども、主張された組合せからの1つ又は複数の特徴点は、場合によっては、その組合せから除外することができ、主張される組合せは、部分的組合せに関するものとすることができる、あるいは、部分的組合せの変形に関するものとすることができる。
【0130】
同様に、複数の操作が、特定の順序で図面に図示されているけれども、望ましい結果を達成するに際し、それらの操作が図示された特定の順序で実行される必要がないこと、また、逐次的な順序で実行される必要がないこと、さらに、図示されたすべての操作が実行される必要がないことは、理解されるべきである。特定の状況では、マルチタスク及び並列処理が、有利であり得る。その上、上述した実施形態における様々なシステム構成要素どうしの分離は、すべての実施形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、説明したプログラム構成要素及びシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品内において一緒に統合し得ること、あるいは、複数のソフトウェア製品内においてパッケージ化し得ることは、理解されるべきである。
【0131】
HTMLファイルが言及されている各例では、他のファイルタイプ又は他のファイルフォーマットによって置き換えることができる。例えば、HTMLファイルは、XML、JSON、プレーンテキスト、又は、他のタイプのファイル、によって置き換えることができる。その上、テーブル又はハッシュテーブルが言及されている場合には、他のデータ構造(スプレッドシート、リレーショナルデータベース、又は、構造化ファイル、など)を使用することができる。
【0132】
他の実施形態では、本出願は、機械学習アルゴリズム又は適応プロセスを使用することができる。1つ又は複数の機械学習アルゴリズム又は適応プロセスの例としては、連関規則アルゴリズム(Aprioriアルゴリズム、Eclatアルゴリズム、又は、FP−growthアルゴリズム、など)、クラスタリングアルゴリズム(階層的クラスタリングモジュール、k−meansアルゴリズム、又は、他の統計的クラスタリングアルゴリズム、など)、協調的フィルタリングアルゴリズム(メモリベースの又はモデルベースのアルゴリズム、など)、あるいは、人工知能アルゴリズム(人工ニューラルネットワーク、など)、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、本明細書において説明するように、これらの機械学習アルゴリズム又は適応プロセスのうちの1つ又は複数は、従来的な紙巻タバコから電子タバコ又はタバコ加熱製品へと移行させるために喫煙者に対して適用される1つ又は複数の製品及び方法を特徴づけるデータ、並びに、これらの製品及び方法の成功(又は、失敗)を特徴づけるデータ、を含むがこれらに限定されない、訓練データの特定の部分に対して訓練することができ、さらに、それら特定の部分を使用して適応的に改良することができる。
【実施例】
【0133】
本出願は、喫煙者を従来的な紙巻タバコから電子タバコ又はタバコ加熱製品へと移行させることを容易とするための、方法論、装置、デバイス、製品、及び同種のもの、に関する実施例を提供する。実施例は、例示的なものであり、非限定的なものであって、本出願の精神の範囲内における複数の変形を含む。
【0134】
実施例1
方法A−喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱製品へと切り替えることを容易とするための例示的な実施形態
図1は、紙巻タバコの喫煙者をタバコ加熱デバイスへと移行させるための方法を示す時系列図である。図1に示すように、喫煙者がアプリをダウンロードすると(符号2)、喫煙者は、各喫煙者に関するプロフィールを決定することを補助するために、人口統計学的な及びタバコ使用に関する一連の質問に答えるように求められ、これは、喫煙者プロフィールのデータベースを構築するために利用され、コンピュータは、各喫煙者にとって最適な方法変数及び製品変数を推奨することができる。これらの初期的な人口統計学的な及びタバコ使用に関する質問は、喫煙者に関しての、ファガストローム依存度スコア、パック年数評価、合計喫煙依存度スコア、喫煙者が本アプリを初めて知った方法、先月に1日あたりに喫煙した紙巻タバコの平均本数、普段使用している紙巻タバコのブランド、電子タバコを含むニコチン製品に関するあらゆる現在又は過去の使用、タバコ加熱製品に関するあらゆる現在又は過去の使用、任意の他のタバコ製品に関するあらゆる現在又は過去の使用、過去に紙巻タバコをやめる試みがあればその回数、タバコを完全にやめることへの関心レベルと比較した場合の電子タバコ又はタバコ加熱製品へと切り替えることへの関心レベル、恋人の喫煙状況及び同居人の喫煙状況、性別、年齢、人種、民族、出身国、最終学歴、職業、仕事中に従来的な紙巻タバコや電子タバコやタバコ加熱製品を喫煙し得ることの容易さ、を決定するための質問を含み得るけれども、これらに限定されるものではない。
【0135】
喫煙者のプロフィールの例としては、37歳、白人、アメリカ人、男性で、Marlboro(登録商標)Gold(旧称、Marlboro「Lights」)の喫煙者であって、友人から本アプリを初めて知り、1日あたり平均で20本の紙巻タバコを喫煙し、ファガストローム依存度スコアが8であり、パック年数評価が5であり(13という合計喫煙依存度スコア)、禁煙を試みたことがなく、電子タバコを数回試したことがあるが、電子タバコへと切り替えることを試みたことはなく、それ以外には、現在も過去にもニコチン製品を有意に使用したことがなく、従来的な紙巻タバコ以外のタバコ製品を使用したことは現在も過去にもなく、したがって、紙巻タバコと他のタバコ製品とを有意に併用したことがなく、電子タバコ又はタバコ加熱製品へと切り替えることには大いに関心を有しているが、タバコを完全にやめることはなく、教育学修士の学位を有した高校教師であり、結婚しておらず、仕事時にはランチタイムしか喫煙できる状況にはなく、ガールフレンドはいるが彼女は喫煙せず、一人暮らしをしている喫煙者が、挙げられる。
【0136】
人口統計学的特性及びタバコ使用特性に関する質問に対する喫煙者の回答に基づいて、及び、機械学習アルゴリズムの予測モデリングに基づいて、モバイルアプリのコンピュータは、喫煙者にとって最適な移行計画を選択する。図1に示すように、これは、従来的な紙巻タバコの喫煙者を移行させる方法Aであって、時間ポイント0(符号3)で開始しかつ時間ポイント2(符号4)で終了する4週間の移行期間(符号1)を有した方法Aを含む。タバコ加熱デバイスのタバコスティックを含む移行キット(符号5)が、喫煙者に対して推奨される。その後、喫煙者は、方法Aの概要を含めて方法変数及び製品変数に同意して移行キットを購入するか、あるいは、そうしないか、のいずれかである。他の例示的な実施形態では、モバイルアプリのコンピュータは、タバコ加熱デバイスではなく、JUUL(登録商標)電子タバコ及びポッドなどの電子タバコを含む移行キットを、喫煙者に対して推奨する。喫煙者が、方法変数及び製品変数、移行期間の時系列と、を承認すると、喫煙者の人口統計学的特性及びタバコ使用特性に基づいて、喫煙者を電子タバコ又はタバコ加熱製品へと移行させるための、情報、推奨、及び指示が、喫煙者のスマートフォンに対して配信され(符号6)、その後まもなく、移行キットが出荷されて、喫煙者に対して配送される(符号5)。喫煙者が、喫煙者に対して切替の動機付けを行うための研究又は他の努力の一環である場合には、移行キットを購入する必要がない場合がある。
【0137】
図1の方法Aにおける情報、推奨、及び指示(符号6)は、移行計画中における重要な時間ポイントのタイミングに関しての、喫煙者に対する本アプリからの推奨を含む。例えば、アプリは、時間ポイント0などの理想的な潜在的時間ポイントを決定する際には、他の多くの要因の中で喫煙者の仕事のスケジュールを考慮することとなり、時間ポイント0は、アプリがいくつかの選択肢を推奨した後に喫煙者が最終的に決定する。移行キットの到着、時間ポイント0、時間ポイント1(符号7)、及び時間ポイント2(符号4)などの、今後のイベントに関するリマインダが、移行期間中を通して、少なくとも1日1回、喫煙者のスマートフォンに対して送信される。移行期間中及び移行期間後には、方法Aの推奨及び指示に従うことを励ますメッセージも、また、喫煙者のスマートフォンに対して定期的に送信される。この例示的な実施形態では、喫煙者に対しての、情報、推奨、及び指示は、デバイス、装置、及び/又はコンピュータシステムの機械学習アルゴリズムの予測モデリングによって考慮されて重み付けされた喫煙者プロフィールに基づいて、個人向けのものとされる。他の実施形態では、情報、推奨、及び指示は、喫煙者集団の部分母集団に関して、より一般的で標準的なものとすることができる。
【0138】
37歳のプロフィール付与された喫煙者に対する例示的な移行キットは、紙巻タバコ1本あたり1.0mgのニコチンを含有する超低ニコチン紙巻タバコと、タバコスティック1本あたり4.8mgのニコチンを含有するタバコスティックと共に4週間の移行期間のための特定の種類(ブランド及びモデル)のタバコ加熱システムと、を含み、さらに、喫煙者に対して配送された移行キットには、喫煙者をタバコ加熱デバイスへと切り替えさせるための方法Aに関する情報及び指示が含まれる。移行キットは、少なくとも4週間という移行期間のための、及び、潜在的に移行期間後の期間のための、充分なタバコ製品を含む。いくつかの例示的な実施形態では、移行キットの構成要素は、それぞれ、例えば薬局において又は他の小売店において、喫煙者が個別に利用可能なものとすることができる。
【0139】
図3Aは、紙巻タバコ喫煙者をタバコ加熱デバイスへと移行させるためのシステムを示すデータフロー図である。図3Aに示すように、方法Aの移行期間の前にアプリに対して入力された人口統計学的特性及びタバコ使用特性を含めて、並びに、移行期間(及び、任意の測定期間)中の喫煙者の毎日のタバコ使用を含めて、各喫煙者から収集されたデータセットが、アプリを介して喫煙者によって報告され、喫煙者プロフィールのコンピュータシステムデータベースに対して追加される。喫煙者による、移行期間(及び、潜在的にその後の期間)中における、超低ニコチン紙巻タバコ、電子タバコ又はタバコスティック(又は、加熱ロッド)、及び従来的な紙巻タバコ(使用している場合)に関する毎日のタバコ使用が、喫煙者によって、アプリ内へと、毎日入力される。
【0140】
図1に示すように、この例示的な実施形態における方法Aのプロトコルは、喫煙者に対して、「時間ポイント0」と呼ばれるある瞬間に、普段のブランドの従来的な紙巻タバコ(及び、他の任意の従来的な紙巻タバコ)の使用を停止するように指示する。(符号3)喫煙者が、超低ニコチン紙巻タバコと、タバコ加熱デバイス及びタバコスティック(又は、電子タバコ)と、方法Aに関する指示及び推奨(符号6)と、を含む移行キットを入手した(符号4)後に、喫煙者は、移行期間を開始する時間ポイント0をスケジュール決めするように、指示される。移行期間の長さは、指示及び推奨において概説されており、喫煙者の合計喫煙依存度スコア並びに人口統計学的特性及びタバコ使用特性が考慮されている。最適な方法変数及び製品変数は、アプリのコンピュータシステムによって計算することができる。喫煙者が従来的な紙巻タバコを持たないように、喫煙者が、時間ポイント0(符号3)を、喫煙者の最後のパック内の最後の従来的な紙巻タバコを喫煙した後の瞬間であるように、又は廃棄された後の瞬間であるように、スケジュール決めすることが、喫煙者に対して一般的に推奨される。時間ポイント0の後には、喫煙者は、できるだけ長い期間にわたって、制限なしで超低ニコチン紙巻タバコを喫煙するように指示される。制限なしとは、喫煙者が所望するだけの数の超低ニコチン紙巻タバコを喫煙し得ること、かつ、喫煙者が所望するだけの任意の数のパフを各紙巻タバコから取ることができること、を意味する。制限はない。移行期間のこの部分においては、他のタバコ製品又はニコチン製品を使用しないことを、推奨することができる。
【0141】
この例示的な実施形態では、時間ポイント0(符号3)から移行期間(符号1)の終了までの間においては、喫煙者は、制限なく超低ニコチン紙巻タバコを喫煙するように指示される。移行期間の時間ポイント0から時間ポイント1までの、超低ニコチン紙巻タバコを排他的に喫煙している間においては、喫煙者は、燃焼式紙巻タバコによる快楽効果及び補強効果を消滅させている。超低ニコチン紙巻タバコを喫煙することは、一般に、従来的な紙巻タバコへの渇望を減少させる。喫煙者の依存度スコアが低いほど、通常は、超低ニコチン紙巻タバコが渇望を効果的に減少させる可能性が高く、従来的な紙巻タバコの喫煙者が従来的な紙巻タバコを喫煙せずに行くことができる時間が、より長くなる。時間ポイント0の後に、喫煙者が超低ニコチン紙巻タバコを排他的に喫煙し得る時間が長いほど、タバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)への移行が、より容易となる。
【0142】
図1に示すように、喫煙者は、喫煙者が従来的な紙巻タバコに対する圧倒的な渇望を有するようであればその時点で、制限なくタバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)の使用を開始するように指示される。圧倒的渇望とは、喫煙者が従来的な紙巻タバコを必要としていてこれから従来的な紙巻タバコを喫煙しようとしていることを喫煙者の心が思い描く又は実質的に思い描くような、従来的な紙巻タバコを喫煙することに対する強い欲求として特徴づけることができる。「時間ポイント1」(符号7)は、喫煙者がタバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)の使用を開始する瞬間と称される。タバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)からのエアロゾルが、喫煙者に対して正の補強であるとともに、従来的な紙巻タバコの煙による快楽効果をある程度は代替することから、喫煙者は、喫煙者が従来的な紙巻タバコに対する圧倒的な渇望を有した(そして、従来的な紙巻タバコを喫煙することに抵抗している)時点で、タバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)の使用を開始するように指示される。この経験は、超低ニコチン紙巻タバコを事前に使用したことによって、燃焼式紙巻タバコの快楽効果及び補強効果が消滅していることのために、印象的である。喫煙者が、従来的な紙巻タバコからタバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)へと直接的に移行することと比較して、時間ポイント0(符号3)と時間ポイント1(符号7)との間における時間フレームの存在が、超低ニコチン紙巻タバコを、喫煙者にとって、より受け入れやすいものとし、このことは、喫煙者がタバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)を使用し続けることを支援する。
【0143】
時間ポイント0(符号3)と時間ポイント1(符号7)との間においては、喫煙者が他のタバコ製品又はニコチン製品を使用しないことを、推奨することができる。喫煙者がこれら2つの時間ポイントの間において及び移行期間の残部を通して燃焼式紙巻タバコを所望するようであればその時には、喫煙者は、超低ニコチン紙巻タバコを喫煙するように、かつ、従来的な紙巻タバコを喫煙しないように、指示されて促される。喫煙者がこの時間フレーム中に超低ニコチン紙巻タバコを喫煙し、その後、タバコ加熱製品(又は、充分に満足のいく電子タバコ)を使用するたびごとに、喫煙者は、燃焼式紙巻タバコによる正の効果を消滅させるプロセスであるとともに、タバコ加熱製品又は電子タバコによる正の効果を補強するプロセスを、継続している。タバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)(制限することなく)と、超低ニコチン紙巻タバコ(制限することなく)と、を使用するためのリマインダは、例えば、スマートフォン又はスマートウォッチに対するテキストメッセージなどの毎日のメッセージ、アラーム、電話、又は他のタイプの通信、という形態とすることができる。また、移行期間中は及び/又は移行期間後も、他のタバコ製品又はニコチン製品を使用しないことを推奨することができ、リマインダを送信することもできる。これらのタイプのリマインダは、毎日のものであるかどうかにかかわらず、すべての喫煙者の連絡先情報及び喫煙者の人口統計学的特性及びタバコ使用特性がコンピューティングシステムによって既に含まれていて考慮されているので、本明細書において説明するコンピュータ及びモバイルアプリによって大幅に容易とされ増強される。
【0144】
図1に示すように、喫煙者は、「時間ポイント2」と呼ばれる予定された移行期間の最終日に、超低ニコチン紙巻タバコの喫煙を停止するように、そして、移行期間後も、従来的な紙巻タバコを一切喫煙せずに、タバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)を使用し続けるように、指示される。時間ポイント2(符号4)が近づくにつれて、喫煙者は、テキストメッセージを介して少なくとも毎日のようにこの日付をリマインドされ、従来的な紙巻タバコを喫煙しないようにというこれらのリマインドは、移行期間後も継続することができる。この実施例では、移行期間(符号1)の終了は、時間ポイント0から厳密に28日後であり、喫煙者は、移行期間後にも、タバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)を制限なく使用するように、そして、タバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)を排他的に(他のタバコ製品を使用することなく)使用するようにリマインドされる。喫煙者に対して、残りの超低ニコチン紙巻タバコを冷蔵庫に保管するように(これらのタバコが、新鮮さを失わないように)、そして、喫煙者が従来的な紙巻タバコのための圧倒的な渇望を経験するようであればその時にのみ、超低ニコチン紙巻タバコを喫煙するように、指示することができる。喫煙者が時間ポイント2(符号4)の前に超低ニコチン紙巻タバコを使い果たした場合には、あるいは、コンピューティングシステムの評価に基づいて追加的な超低ニコチン紙巻タバコが推奨される場合には、喫煙者に対して、従来的な紙巻タバコを一切喫煙しないために追加的な超低ニコチン紙巻タバコを入手するように、指示することができる。超低ニコチン紙巻タバコと、タバコスティック(又は、加熱ロッド)又は電子タバコとは、アプリを介して、いつでも注文することができ、アプリは、アプリユーザに不足が生じた時にタバコスティックなどの任意のタバコ製品を自動的に注文するように設定することができる。
【0145】
喫煙者が、移行期間を通して超低ニコチン紙巻タバコを喫煙している間に、そして、移行期間の時間ポイント1からタバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)を使用している間に、超低ニコチン紙巻タバコが、燃焼式紙巻タバコによる快楽効果及び補強効果を消滅させ、タバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)は、タバコの快楽効果を補強する。このような条件付けの原理の両方が移行期間中に発生することにより、喫煙者が従来的な紙巻タバコからタバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)へと移行することが、容易とされる。図1に示すように、移行期間中には、方法Aに従う喫煙者の間で、超低ニコチン紙巻タバコの平均使用量(符号8)が減少することが予想され、また、移行キットを使用している間は従来的な紙巻タバコが消費されないと仮定すれば、タバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)のタバコスティックの平均使用量(符号8)が、喫煙者の1日あたりの従来的な紙巻タバコに関するほぼ以前のレベルにまで増加することが予想される。タバコ加熱デバイス又は電子タバコからのエアロゾルによって紙巻タバコの煙を置き換えることで、喫煙者が曝されている有害で潜在的に有害な成分(HPHCs)のレベルを減少させ、タバコ関連疾患のリスクを減少させることが期待される。
【0146】
メッセージは、時間ポイント0に至るまで、また、移行期間中に、さらに、喫煙者に関するタバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)への切替成功レベルに応じて潜在的に移行期間後の期間にわたって、アプリによって、喫煙者のデバイス(例えば、スマートフォン)に対して、送信することができる。タバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)への切替に最も高い確率を有した喫煙者のために、1日あたりに、複数のメッセージを送信することができる。これらのメッセージの内容、頻度、及びタイミングは、本明細書において開示する方法及び製品と関連して本アプリを既に正常に使用しておりかつタバコ加熱製品(又は、電子タバコ)への切替に成功した同様のプロフィールの喫煙者に対して、本アプリの新規ユーザを照合することに、部分的に基づいている。例えば、最適なメッセージの内容、メッセージを送信する回数、及び、移行キットを受領した喫煙者と時間ポイント0との間の時間フレームのためのメッセージのタイミングは、移行キットを受領した時に喫煙者がメッセージ受信を開始することを含むことができ、その後、時間ポイント0までは、8時間ごとに喫煙者がメッセージを受信することを含むことができる。これらのメッセージは、時間ポイント0に関して、喫煙者をリマインドして準備させる。アプリからのその後のメッセージは、プロトコルの他の注目すべきイベントに関して喫煙者をリマインドして準備させ、禁煙になるために推奨プロトコルに従うように喫煙者に励ます。
【0147】
本出願の出願時点では、喫煙者を電子タバコ又はタバコ加熱製品へと移行させるために超低ニコチン紙巻タバコを利用するという研究に関して、公知の公開された査読済みの結果は存在しないけれども、そのような研究からの情報及び結果は、利用可能になり次第、本アプリに関連するコンピュータシステムへと入力することができ、そのようなコンピュータシステムによって評価することができる。普及している電子タバコとは異なり、現時点で全世界の喫煙者の約99.95%は、超低ニコチン紙巻タバコを喫煙したことがなく、現時点で全世界の喫煙者の約97%は、タバコ加熱デバイスを使用したことがない。
【0148】
実施例2
喫煙者プロフィールの開発、並びに、アプリを介して電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替える喫煙者の割合を増加させること
本開示は、パック年数評価、1日あたりの喫煙本数、等の、コンピュータシステム内へと入力するためのユーザ生成情報を提供することにより、本開示は、本明細書において開示する方法及び製品を使用して従来的な紙巻タバコ喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることをさらに支援するために、従来的な紙巻タバコ喫煙者が、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、コンピュータ、又は他のデバイスに対してダウンロードするための、コンピュータ及びモバイルアプリケーション(アプリ)を想定している。これに関して、まずデータベースが生成され、喫煙行動、電子タバコ行動、及びタバコ加熱デバイス行動の研究から得られたデータ及び情報が入力される。これらは、市場研究における、並びに、従来的な紙巻タバコと電子タバコと併用及び従来的な紙巻タバコとタバコ加熱デバイスとの併用を評価する研究における、喫煙者の人口統計学的特性及びタバコ使用特性を含む。
【0149】
本明細書において説明するように、「コンピュータ又はモバイルアプリ」あるいは「アプリ」は、対応するネットワーク環境内で動作するコンピューティングデバイス又はコンピューティングシステムによって実行可能な、アプリケーションプログラム、スクリプト、又は、コンパイルされたコードからなる1つ又は複数の要素、を含む。世界中における約10億人という喫煙者の人口統計学的特性とタバコ使用特性との多数の組合せに基づく潜在的に数百万という喫煙者プロフィールが存在することに加えて、本明細書において開示する方法の移行期間中に及びそのような移行期間後に、電子タバコ又はタバコ加熱デバイス及び超低ニコチン紙巻タバコの毎日の使用について記録された膨大な量のデータが存在することにより、人間がこの量のデータを思考によって計算して、最適な方法変数及び製品変数を推奨することは不可能である。これらの人口統計学的特性及びタバコ使用特性は、毎日入力されるタバコ製品使用データと一緒に、この大量のデータを処理して解析してこの大量のデータから予測を行うのに充分な計算能力を有したコンピューティングシステム又はコンピューティングデバイスに対して入力される必要がある。
【0150】
別の喫煙者が、上述した37歳男性の喫煙者プロフィールと厳密に同じ喫煙者プロフィールを有している確率は、小さい。厳密な確率は、アプリがどのように質問をするか、質問の種類(例えば、多肢選択質問)、及び、喫煙者が各質問に対してどれだけの選択肢を有しているか、に依存する。例えば、喫煙者の職業は、アプリがどの方法を推奨するかを決定する上で、並びに、その方法に関して使用される方法変数及び製品変数を決定する上で、重要な因子とすることができる。選択肢がホワイトカラー又はブルーカラーであるといったような職業の多肢選択質問は、喫煙者が職業の選択肢を数十も有しているメニューと比較して、あまり明らかとはしないであろう。アプリが喫煙者に対して質問する質問数が多いほど、また、各質問に対する潜在的な回答数が多いほど、潜在的な喫煙者プロフィールの数が多くなり、また、喫煙者プロフィールデータベースは、より細分化される。人口統計学的特性及びタバコ使用特性という観点から、並びに、移行期間中及び移行期間後の毎日のタバコ使用データという観点から、データベースの細分化が大きいほど、機械学習アルゴリズムの予測モデリングが、コンピュータシステム内においてより効果的なものとなる。
【0151】
喫煙者が必要な質問に答えて、アプリが最適な方法変数及び製品変数をリアルタイムで計算した後に、個人向けとされた移行キットを喫煙者が注文するための注文フォームが、デバイスのスクリーン上に表示される。これは、電子タバコあるいはタバコ加熱デバイス及びタバコ加熱デバイス用のタバコスティックと、超低ニコチン紙巻タバコと、従来的な紙巻タバコ喫煙者を電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えさせるための指示及び推奨を含む高度に個人に合わせたコンピュータ生成情報と、を含む。タバコスティックは、別個のホルダがない場合には、タバコ加熱デバイスに含まれていないことがあり、その場合には、発熱部材は、タバコ加熱ロッド(例えば、上述したような、Eclipse(登録商標)タイプ又はTEEPS(登録商標)タイプのタバコ加熱製品)のそれぞれの中に含まれている。その後、パッケージは、宅配便によって喫煙者に対して配送される、若しくは、薬局又は他の場所へと配送し、そこで、喫煙者が、タバコ製品を使用するための最低年齢に達していることを示す身分証明書を提示して、パッケージを受け取ることができる。
【0152】
喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱製品へと切り替えることを容易とするための任意の方法に関するコンピュータ生成された、情報、推奨、又は指示は、喫煙者に対して提供される移行キット内に含まれている以外に、また、スマートフォン、携帯電話、スマートウォッチ、又は他のデバイス上において、ポップアップメッセージ又はテキストメッセージとして、アプリが喫煙者に対して提供することができ、また、毎日又は他の方法で提供することができる。これにより、情報、推奨、及び指示の有効性が向上し、アプリの推奨に基づいて、また、喫煙者の人口統計学的特性及びタバコ使用特性を考慮して、任意のリマインダ、励まし、並びに/若しくは、個人に合わせた推奨及び指示が、効率的に提供される。例えば、上記の37歳男性と同様のプロフィールを有した喫煙者の場合、平日に、学校で教鞭をとっている間に、外で喫煙する機会を、1日あたり2回、すなわち、午前9時30分の15分間休憩と、午後12時30分の1時間の昼休みと、に有しているかもしれない。移行期間中には、及び、移行期間後であっても、アプリは、これらの正確な時間に、従来的な紙巻タバコを喫煙しないように、そして、彼が使用している方法の段階に応じて、超低ニコチン紙巻タバコを喫煙するように、あるいは、タバコ加熱デバイス又は電子タバコを使用するように、彼をリマインドするテキストメッセージを、彼に対して送信することができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、電子タバコ又はタバコ加熱デバイス用のタバコスティックを有したタバコ加熱デバイスと、超低ニコチン紙巻タバコと、を含む移行キットは、移行期間中を通して及び移行期間後の期間を通して、喫煙者が要求された適切な情報を、アプリ内へと入力する限りにおいて、あるいは、その他の方法で適切な情報をコンピューティングシステムに対して伝達する限りにおいて、無料とすることができる、又は、製造業者のコストで販売することができる、あるいは、小売価格と比較して大幅に割引することができる。喫煙者が提供するこの要求された適切な情報は、移行期間中における、あるいは、移行期間中及び移行期間後の例えば6ヶ月などの期間における、移行キット内の超低ニコチン紙巻タバコ及びタバコスティックの毎日の使用に関する詳細を含む。また、従来的な紙巻タバコの使用のすべては、コンピューティングシステムに対して毎日報告されなければならない。タバコ製品の無料の又は大幅に割引された移行キットに関し、IQOS(登録商標)などのいくつかのタバコ加熱デバイスが、様々な使用情報を追跡するデータ記憶容量を有していることにより、例えば、喫煙者は、また、いくつかの時点で、タバコ加熱デバイスを、新しいタバコ加熱デバイスと交換することに同意しなければならないことがあり得る。さらに厳しい要件は、移行期間中に及び/又は移行期間後に、その人が特定の時間フレームにわたって曝露されたタバコ製品の種類及び量を化学的に検証するために、一酸化炭素(CO)検査、血液検査、及び/又は尿検査を含むことができる。
【0154】
アプリを使用する喫煙者が、移行期間中に及び/又は移行期間後に自分のタバコ使用を正確に報告することは重要であり、これが、アプリの使用者に対して、無料の又は割引された製品などの報奨を提供する理由である。場合によっては、アプリを介してコンピュータシステムに対して入力されたこのデータの価値が、健康保険事業者などの特定の利害関係者に対して製品を補助するコストに見合うものとなる。アプリを介してタバコスティック又は超低ニコチン紙巻タバコを一定期間にわたって再注文することは、アプリのユーザが入力したデータを確認することを支援することができる。
【0155】
喫煙者のプロフィール、アプリが推奨した最適な方法変数及び製品変数、再注文情報、並びに、移行期間中の及び移行期間後の紙巻タバコ及びタバコ加熱デバイスの使用(又は、電子タバコの使用)を含めて、アプリを使用している各喫煙者からのすべてのデータが収集されて、コンピュータシステムに対して追加される。移行期間後には、アプリが喫煙者に対して推奨した方法変数及び製品変数の成功度を、同様の喫煙者プロフィールを有した喫煙者に対してアプリが推奨した方法変数及び製品変数に関する移行期間後の成功度と比較する。測定期間は、方法変数及び製品変数が喫煙者に関して達成した切替成功度を測定するための典型的には方法の移行期間後における1つ又は複数の期間であり、任意の長さの期間とし得るとともに、任意の時点から開始することができる(移行期間中からでもよい)。測定期間の例としては、移行期間の直後の7日間、及び/又は、移行期間後の6ヶ月経過時点から開始する10日間、が挙げられる。測定期間時におけるタバコ使用に関連したレベルには、(a)タバコ加熱製品(又は、電子タバコ)を試した喫煙者であって、もはやタバコ加熱製品(又は、電子タバコ)を使用していない喫煙者であり、何であれ、紙巻タバコを喫煙することへと戻った喫煙者、(b)紙巻タバコとタバコ加熱製品とを併用で使用している喫煙者(又は、紙巻タバコと電子タバコとを併用で使用している喫煙者)、(c)タバコ加熱製品(又は、電子タバコ)への切替に成功し、タバコ加熱製品(又は、電子タバコ)を排他的に使用している喫煙者、及び(d)タバコの使用を完全にやめた喫煙者、が含まれる。これらのレベルは、次に、コンピューティングシステムによって、さらに8つのカテゴリに階層化することができる。
【0156】
すなわち、(i)電子タバコ又はタバコ加熱製品を採用することに完全に失敗した喫煙者(まだ喫煙者:100%の紙巻タバコ使用)と、
(ii)主に紙巻タバコを喫煙する喫煙者(優勢的な喫煙者:70%以上の紙巻タバコ使用、及び、30%以下のタバコスティック使用又は電子タバコ使用)と、
(iii)大抵は紙巻タバコを喫煙する喫煙者(傾いた喫煙者:50%以上かつ70%未満の紙巻タバコ使用、及び、30%超かつ50%以下のタバコスティック使用又は電子タバコ使用)と、
(iv)タバコスティック又は電子タバコを使用するのとほぼ同数の紙巻タバコを喫煙する喫煙者(半々の喫煙者:約50%の紙巻タバコ使用、及び、約50%のタバコスティック使用又は電子タバコ使用)と、
(v)大抵はタバコスティック又は電子タバコを使用する喫煙者(傾いたタバコスティック又は電子タバコ使用者:50%以上かつ70%未満のタバコスティック使用又は電子タバコ使用、及び、30%超かつ50%以下の紙巻タバコ使用)と、
(vi)主にタバコスティック又は電子タバコを使用する喫煙者(優勢的なタバコスティック又は電子タバコ使用者:70%以上かつ90%未満のタバコスティック使用又は電子タバコ使用、及び、10%超かつ30%以下の紙巻タバコ使用)と、
(vii)圧倒的にタバコスティック又は電子タバコを使用する喫煙者(圧倒的なタバコスティック又は電子タバコ使用者:90%以上かつ99%未満のタバコスティック使用又は電子タバコ使用、及び、1%超かつ10%以下の紙巻タバコ使用)と、
(viii)排他的に電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えた元喫煙者(排他的なタバコスティック又は電子タバコ使用者:99%以上かつ100%以下のタバコスティック使用又は電子タバコ使用、及び、0%以上かつ1%以下の紙巻タバコ使用)と、に階層化することができる。
【0157】
研究における従来的な紙巻タバコとタバコ加熱デバイスとの併用ユーザは、典型的には、従来的な紙巻タバコをタバコスティックによって一対一ベースでトレードオフし、また逆に、タバコスティックを従来的な紙巻タバコによって一対一ベースでトレードオフする。紙巻タバコの喫煙を、タバコスティック又は加熱ロッドの使用によって置き換えることは、従来型であるか及び/又は超低ニコチン型であるかにかかわらず、紙巻タバコの喫煙の併用が及びタバコ加熱デバイスの使用が、紙巻タバコのみを喫煙してタバコ加熱デバイスを使用しない場合と比較して、喫煙者に対する煙の曝露を一般に減少させることにより、一般的に健康のために有益である。タバコ加熱デバイスが、煙を一切出すことなくエアロゾルを生成し、これにより、毒素を大幅に減少させることにより、喫煙者がタバコ加熱デバイスを排他的に使用するという完全な切替は、最終的な目標である(タバコ及びニコチンの完全停止には達していない)。電子タバコと従来的な紙巻タバコとの併用での使用が、紙巻タバコのみを喫煙して電子タバコを使用しない場合と比較して、喫煙者に対しての煙の曝露を一般に減少させることにより、紙巻タバコの喫煙を電子タバコの使用による任意に置き換えることも、また、一般的に健康のために有益である。
【0158】
独自の機械学習アルゴリズムは、コンピューティングシステムのデータベースと連動して動作し、アプリを初めて使用する人と、アプリを既に使用して電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えた人との間の人口統計学的特性及びタバコ使用特性に関する有意な相関関係を特定して計算する。アプリを起動して間もなく、アプリは、データベース内において最も類似した喫煙者プロフィールによって利用された最も成功した方法変数及び製品変数に対して最も近似した、新規アプリユーザのための最適な方法変数及び製品変数を推奨する。その結果、より多くの喫煙者がアプリを使用して、方法変数及び製品変数の複数の組合せから喫煙者プロフィール及び切替結果を提供する数が増加するにつれて、アプリの予測モデリングアルゴリズムは、喫煙者をタバコ加熱製品へと成功裏に切り替えることに関して継続的に向上する。
【0159】
図3Aのアプリデータフロー図に示すように、アプリのコンピュータシステム内には、様々な入力及び出力が存在する(符号9)。アプリをダウンロードした後、喫煙者(符号10)は、例えば、喫煙者に関しての、ファガストローム依存度スコア、パック年数評価、合計喫煙依存度スコア、喫煙者が本アプリを初めて知った方法、先月に1日あたりに喫煙した紙巻タバコの平均本数、普段使用している紙巻タバコのブランド、電子タバコを含むニコチン製品に関するあらゆる現在又は過去の使用、タバコ加熱製品に関するあらゆる現在又は過去の使用、任意の他のタバコ製品に関するあらゆる現在又は過去の使用、過去に紙巻タバコをやめる試みがあればその回数、タバコを完全にやめることへの関心レベルと比較した場合の電子タバコ又はタバコ加熱製品へと切り替えることへの関心レベル、恋人の喫煙状況及び同居人の喫煙状況、性別、年齢、人種、民族、出身国、最終学歴、職業、仕事中に従来的な紙巻タバコや電子タバコやタバコ加熱製品を喫煙し得ることの容易さ、を決定するための質問に答えることによって、アプリ内へと、人口統計学的特性及びタバコ使用特性を入力する(符号11)。これらの入力は、喫煙者が本明細書において開示する方法及び製品のいずれかの利用を開始する前に行われ、このデータは、コンピュータシステムのデータベースに対して追加される。
【0160】
これらの入力の結果として、コンピュータシステム及びアプリは、図3Aに示すように、喫煙者に対する一連の出力を特定する。これらは、特定の切替方法(例えば、方法A)、移行期間の長さ、超低ニコチン紙巻タバコのニコチンレベル、タバコスティックのニコチンレベル、超低ニコチン紙巻タバコのフィラー内の超低THC大麻のレベル(存在する場合)、タバコスティックのフィラー内の超低THC大麻のレベル(存在する場合)などの、喫煙者にとっての最適な方法変数及び製品変数(符号12)を含み、アプリのリマインダ及び励ましメッセージを含む個人向けとされた推奨及び指示は、継続的に見直されて微調整される。喫煙者がこれらに同意すると、個人向けとされた移行キット、並びに、情報、推奨、及び指示が、喫煙者へと送出される(符号13)。
【0161】
他の入力セットは、喫煙者が本明細書において開示する方法及び製品のいずれかの利用を開始した後に、行われる。図3Aに示すように、喫煙者は、移行期間中は及び任意の測定期間中は、超低ニコチン紙巻タバコ、電子タバコ又はタバコスティック又は加熱ロッド、任意の従来的な紙巻タバコ、並びに、他のタバコ製品又はニコチン製品、に関する使用を含めて、自身の毎日のタバコ使用を入力する(符号14)。喫煙者がアプリ内へと再び入力して、コンピュータシステムのデータベースに対して追加されるこの情報は、将来のアプリユーザに対する方法変数及び製品変数の移行計画の有効性を向上させるため、機械学習アルゴリズムの予測モデリングに関して重要である。移行期間中の及び移行期間後の製品使用情報を含む、図3Aにおけるアプリのコンピュータシステム全体にわたっての情報の流れは、推奨される方法及び方法変数に応じて特定の時間ポイントのタイミングが変化することを除いて、すべてのアプリユーザにとって実質的に同じである。喫煙者がますますアプリを利用し、本明細書において説明する方法及び移行キットを使用するにつれて、コンピュータのデータベース内のデータ量が増大して、方法変数及び製品変数に関する機械学習アルゴリズムの精度も増加し、その結果、切替率が向上する。喫煙者プロフィールの数が増加するにつれて、方法変数及び製品変数の様々な組合せが同様の喫煙者プロフィールに関する切替結果にどのように影響するかについての関連性データがより多くなる。また、本アプリの新規ユーザが、以前にタバコ加熱デバイスへの移行に成功したことが証明されたデータベース内の喫煙者プロフィールに対して、一致する又はほぼ一致する確率が増加することとなる。単数形のアルゴリズムが、複数形のアルゴリズムも含み得ることは、すなわち、予測モデリング及び解析のためにしばしば必要とされる複数のアプリを含み得ることは、理解されよう。
【0162】
図3Bは、図3Aの最適な方法変数及び製品変数(符号12)を特定するためのアルゴリズム照合プロセスの例示的な実施形態を示す図である。コンピュータが、新規アプリユーザのための最適な方法変数及び製品変数を特定する方法に関するこのプロセスは、図3Bに示されている。最初のステップにおいては、新規アプリユーザの数十個の人口統計学的特性及びタバコ使用特性を、切替方法を終了した喫煙者に関するデータベース内の人口統計学的特性及びタバコ使用特性に対して照合する(符号15)とともに、切替方法を開始したけれども切替方法を終了していない喫煙者に関するデータベース内の人口統計学的特性及びタバコ使用特性に対して照合する(符号16)。データベース内において人口統計学的特性及びタバコ使用特性に関して最も類似したプロフィールを有した喫煙者を、これら2つのグループのそれぞれに関して特定することができる。これは、新規アプリユーザの各人口統計学的特性及びタバコ使用特性を、データベース内の切替方法を終了した喫煙者に関する特性と照合することによって達成することができ、そして、人口統計学的特性及びタバコ使用特性の適合数が最も多い特定割合(例えば、10%)の喫煙者を、次なるステップへと進める(符号17)。切替方法を終了していないグループについても、同じことを行う(符号18)。これに代えて、人口統計学的特性及びタバコ使用特性のそれぞれに対して重みを与え(例えば、10を最も重要なものとし、1を最も重要でないものとする)、切替方法を終了した喫煙者であって、データベース内において累積適合数が最も多い特定割合(例えば、5%)の喫煙者を、次なるステップへと進める。
【0163】
次に、方法を終了した以前のアプリユーザの部分集合を、まだ喫煙者(i)から、排他的に電子タバコ又はタバコ加熱製品へと切り替えた元喫煙者(viii)まで、切替結果に関する上記の8つのカテゴリ(i〜viii)へと、階層化することができる(符号19)。これら8つのカテゴリと、元アプリユーザが利用した方法変数及び製品変数と、の間の統計的に有意な関係を解析する。方法変数及び製品変数には、(i)喫煙者を電子タバコ又はタバコ加熱製品へと移行させる方法(例えば、方法A)、並びに、移行期間の長さなどの任意の方法変数、(ii)電子タバコ(例えば、電子液体が詰め替えできないものとして設計されたクローズドシステムであるJUUL(登録商標)及びJUUL(登録商標)ポッド)の、種類、ブランド、及びモデル、あるいは、タバコ加熱製品(例えば、ホルダ及びタバコスティック対タバコ加熱ロッドを含むIQOS(登録商標))の、種類、ブランド、及びモデル、(iii)超低ニコチン紙巻タバコのブランド、(iv)超低ニコチン紙巻タバコや電子タバコ又はタバコスティック/加熱ロッドのニコチン含有量、アナタビン含有量、及びアナバシン含有量、存在する場合には、超低ニコチン紙巻タバコや電子タバコ又はタバコスティック/加熱ロッドの大麻含有量又はカンナビノイド含有量、並びに、超低ニコチン紙巻タバコや電子タバコ又はタバコスティック/加熱ロッドの香料、などの、移行期間中における(及び、潜在的には移行期間後における)方法のための製品変数、さらには、(v)任意の毎日のリマインダ、個人に合わせた態様又は個人向けとされた態様、及び、配信方法(例えば、スマートウォッチを介して)を含む、方法及び製品を使用するための情報、推奨、及び指示、が含まれる。
【0164】
図3Bに示すように、最も高い切替率を達成したこれらの以前のアプリユーザによって使用された方法変数及び製品変数に基づいて、方法を終了していない以前の喫煙者の考慮も併せて、また、切替率を向上させるための予測モデリングに基づいて、最適な方法変数及び製品変数が、新規アプリユーザに対して推奨される(符号20)。推奨されたプロトコルへの不適合が、切替率の低下を引き起こすことから、喫煙者が推奨された移行期間を終了しない原因となったあらゆる要因については、調査して対処する必要がある。予測学習の例は、アプリが、所与のプロフィール又は人口統計学的特性及びタバコ使用特性の所与の部分集合に関して最高の切替率を達成した以前のアプリユーザが使用したものとは異なる、他の方法変数(例えば、移行期間の長さ)及び/又は他の製品変数(例えば、ニコチン2mg対ニコチン1mgあるいはそれ未満を含む超低ニコチン紙巻タバコ)を、新規アプリユーザに対して、推奨し得ることである。例えば、(a)パック年数評価が4であり、(b)Winston(登録商標)を喫煙しており、(c)禁煙(禁煙補助剤を購入するものとして定義される)を2回又は3回試みたことがある40歳の喫煙者が、方法Aにおける移行期間が長いほど切替結果が良好であり、アプリがこれまでに推奨した最長の移行期間が30日でしかなかった場合には、アルゴリズムは、人口統計学的特性及びタバコ使用特性が一致する部分集合に属する喫煙者に対して、より長い移行期間を継続的に推奨することとなる。移行期間の長さ(例えば、42日)の観点から、40歳の喫煙者のこの部分母集団に関する切替成功率が最大になると、アプリは、より長い移行期間を推奨することはなく、この部分母集団の切替率を向上させるための他の変数を継続的に特定することとなる。
【0165】
このようにして、アプリは、最初は、アプリを既に使用した喫煙者の人口統計学的特性及びタバコ使用特性に関する過去の相関関係のみを使用することから、予測モデリング及び解析を利用することへと、進化する。因果関係及び過去の相関関係を使用することにより、できるだけ多くの喫煙者のプロフィールに最適な方法変数及び製品変数を人工知能(AI)によって「学習」する。喫煙者プロフィールの各タイプに関する切替率は、喫煙者を電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えさせる方法変数及び製品変数を最適化することによって、継続的に向上させることができる。また、各喫煙者プロフィールをさらに多様化することで切替成功率を向上させることを目的として、喫煙者プロフィールの開発における新たな質問を、定期的に追加又は修正することもできる。また、アプリは、切替率の向上を数学的に決定するために、人口統計学的特性及びタバコ使用特性が重複している部分集合を有した複数の喫煙者に対して、同じ方法変数及び製品変数を有した異なる切替方法を、推奨することもできる。
【0166】
アプリが最適な方法変数及び製品変数を選択することは、その時点での新規アプリユーザの喫煙者プロフィールに最もよく似たアプリ使用経験済み喫煙者に対して最良の切替結果をもたらした、切替方法、電子タバコ又はタバコ加熱製品の種類、並びに、他の方法変数及び製品変数の組合せ、を意味する。人口統計学的特性及びタバコ使用特性の多くの組合せのため、数百万又は少なくとも数十万の潜在的な喫煙者プロフィールが存在することにより、アプリの新規ユーザとアプリの以前のユーザとの間で完全に一致することはめったにない。
【0167】
コンピュータシステムの機械学習アルゴリズムによって計算された新規アプリユーザのための最適な方法変数及び製品変数は、必ずしも、喫煙者が排他的に電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えるという結果(99%以上かつ100%以下の電子タバコ又はタバコスティック、及び、0%以上かつ1%以下の紙巻タバコ)をもたらす方法変数及び製品変数を意味するものではないけれども、圧倒的に切り替えた喫煙者(90%以上かつ99%未満の電子タバコ又はタバコスティック、及び、1%超かつ10%以下の紙巻タバコ)、優勢的に切り替えた喫煙者(70%以上かつ90%未満の電子タバコ又はタバコスティック、及び、10%超かつ30%以下の紙巻タバコ)、等を考慮している。例えば、アプリが、喫煙者が圧倒的なタバコスティックユーザ(90%以上かつ99%未満のタバコスティック、及び、1%超かつ10%以下の紙巻タバコ)となる確率が例えば55%の方法変数及び製品変数のセットを推奨することは、アプリが、喫煙者が排他的なタバコスティックユーザ(99%以上かつ100%以下のタバコスティック、及び、0%以上かつ1%以下の紙巻タバコ)となる成功確率が例えば20%の方法変数及び製品変数のセットを推奨することよりも、より効果的なものとすることができる。これらの計算は、証拠に基づくものとなるであろうし、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスからのタバコの煙及びエアロゾルへの曝露の異なるレベルを比較した疫学的記録を考慮したものとなるあろう。現時点では、これらのタイプのトレードオフを決定するのに充分な証拠がないけれども、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスの研究からのより多くの結果が利用可能になるにつれて、より多くのデータが、機械学習アルゴリズムによって利用されることとなる。査読付きの研究からのデータは、アプリのコンピュータシステム内へと入力されることとなり、定期的に更新されることとなる。
【0168】
実施例3
方法B−喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱製品へと切り替えることを容易とするための例示的な実施形態
方法Bは、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスを、普段の従来的な紙巻タバコのブランドと一緒に使用したことがある特定の喫煙者にとって、方法Aよりも適したものとすることができる。電子タバコ又はタバコ加熱デバイスの新規ユーザとは異なり、これらの併用ユーザは、電子タバコ及び/又はタバコ加熱デバイスを従来的な紙巻タバコと共に使用した経験があり、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスを既に試したことがある喫煙者の上記8つのカテゴリのうちの7つのカテゴリに階層化することができる(ii〜viii)。普及している電子タバコとは異なり、現在の全世界の喫煙者のうちの約3%だけしか、タバコ加熱デバイスを以前に使用したことがないものの、この数は、時間の経過とともに増加することが予想される。方法変数及び製品変数は、好ましくは、本明細書において説明するように、アプリのコンピューティングシステムによって決定される。
【0169】
図4は、紙巻タバコ喫煙者の移行方法Bを示す時系列図である。この例示的な実施形態は、従来的な紙巻タバコと電子タバコとの併用ユーザを、又は、従来的な紙巻タバコとタバコ加熱デバイスとの併用ユーザを、移行させて、従来的な紙巻タバコからの煙の曝露を低減又は排除し得るとともに、この紙巻タバコの使用を、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスからのエアロゾルによって置き換えることができる。アプリをダウンロードして、人口統計学的な及びタバコ使用に関するすべての質問に答えた後に、アプリは、従来的な紙巻タバコとタバコ加熱デバイスとの併用ユーザである喫煙者が、時間ポイント0(符号23)において開始するとともに時間ポイント2(符号24)において終了する6週間の移行期間(符号22)を有した方法Bを使用することを推奨する(符号21)(方法Bにおいては、時間ポイント1は存在しない)。また、喫煙者に対して推奨されることは、紙巻タバコ1本あたりに1.50mgのニコチンを含有する超低ニコチン紙巻タバコを使用することであり、また、タバコ加熱システムの特定の種類のブランド及びモデル(喫煙者の普段のタバコ加熱製品のブランド及びモデルとは異なることがあり得る)を、タバコスティック1本あたりに6.5mgのニコチンを含有するタバコスティックとともに6週間の移行期間中に使用することである。その後、喫煙者は、方法Bの概要を含めて推奨された方法変数及び製品変数に同意して移行キットを購入するか、あるいは、同意しないか、のいずれかである。喫煙者が、喫煙者に対して切替の動機付けを行うための研究又は他の努力の一環である場合には、何も購入する必要がない場合がある。いずれの場合も、喫煙者が推奨された方法変数及び製品変数に同意した時点で、喫煙者に対して、移行キットが喫煙者へといつどのようにして配送されるかが、本アプリによって通知される。紙巻タバコの使用を減らして、タバコ加熱製品の使用を増やすための、情報、推奨、及び指示が、喫煙者の人口統計学的な及びタバコ使用に関する回答に基づいて、喫煙者のスマートフォンに対して配信される(符号25)。移行キットは、その後まもなく、喫煙者に対して配送される(符号26)。これは、喫煙者に対しての、時間ポイント0(符号23)と呼ばれる理想的な時間ポイントで、喫煙者の普段のブランドを含む従来的な紙巻タバコの喫煙を停止すること、及び、超低ニコチン紙巻タバコの喫煙を継続すること、というアプリの推奨を含む。例えば、アプリは、時間ポイント0に関する理想的な潜在的時間ポイントを決定する際には、他の多くの要因の中で、喫煙者の年齢、婚姻状況、及び/又は仕事のスケジュールを考慮することができ、時間ポイント0は、アプリがいくつかの選択肢を推奨した後に喫煙者が最終的に決定する。
【0170】
喫煙者が、従来的な紙巻タバコと電子タバコとの併用ユーザである場合には、アプリは、例えば、6週間の移行期間を有した方法Bで、2.00mgのニコチンを含有する超低ニコチン紙巻タバコと、喫煙者の普段のブランドよりもニコチン含有量が比較的大きな電子タバコと、を推奨することができる。喫煙者の普段の紙巻タバコのブランド及びタバコ加熱製品さらには他の要因に応じて、アプリは、方法Bに関し、従来的な紙巻タバコとタバコ加熱製品との併用ユーザに対して、電子タバコを推奨することができ、また、喫煙者の普段の紙巻タバコのブランド及び電子タバコさらには他の要因に応じて、アプリは、従来的な紙巻タバコと電子タバコとの併用ユーザに対して、タバコ加熱製品を推奨することができる。
【0171】
方法Bを利用することにより、喫煙者の紙巻タバコ使用による煙の一部を、電子タバコのエアロゾル又はタバコ加熱デバイスのエアロゾルへと置き換え得るとともに、紙巻タバコ使用のレベルに応じて、併用ユーザを、排他的に電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることができる(99%以上かつ100%以下の電子タバコ又はタバコスティック、及び、0%以上かつ1%以下の紙巻タバコ)、あるいは、併用ユーザを、圧倒的に電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることができる(90%以上かつ99%未満の電子タバコ又はタバコスティック、及び、1%超かつ10%以下の紙巻タバコ)、あるいは、併用ユーザを、優勢的に電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることができる(70%以上かつ90%未満の電子タバコ又はタバコスティック、及び、10%超かつ30%以下の紙巻タバコ)。図4に示すように、方法Bのプロトコルは、喫煙者に対して、移行期間中において、「時間ポイント0」(符号23)と呼ばれる瞬間に、従来的な紙巻タバコの普段のブランドの使用を停止すること、及び、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスの使用を継続すること、を指示する。これは、喫煙者が従来的な紙巻タバコと一緒に使用している電子タバコのブランド又はタバコ加熱デバイスのブランドとすることができる、あるいは、移行キット内に含まれ得るものなどの高ニコチン含有量を有した異なるブランドの電子タバコ又は異なるブランドのタバコ加熱デバイスとすることができる。喫煙者が、超低ニコチン紙巻タバコと、電子タバコ又はタバコスティック付きタバコ加熱デバイスと、方法Bに関する情報、推奨、及び説明書(符号25)と、を含む移行キットを入手した後に(符号26)、喫煙者は、移行期間を開始する時間ポイント0(符号23)をスケジュール決めするように指示される。
【0172】
移行キット(符号26)内の電子タバコ又はタバコスティックのニコチン含有量は、方法Bを採用する併用ユーザのためのものを含む本明細書の任意の方法での使用に関し、(典型的なものよりも)より大きなものとすることができる。移行期間中に及び/又はその後に使用される、より高いニコチン含有量の電子タバコ又はタバコスティック(又は、タバコ加熱ロッド)は、特定の喫煙者が、喫煙者の普段のブランドを含む従来の紙巻タバコを吸わないことを容易とする可能性が高い。アプリのコンピューティングシステムによって計算され得る移行期間の長さは、指示(符号25)内に概説されており、喫煙者のファガストローム依存度スコア、パック年数評価及び合計喫煙依存度スコア、併用の現在のレベル(例えば、70%以上かつ90%未満のタバコスティックの使用、及び、10%超かつ30%以下の従来的な紙巻タバコ使用、という優勢的なタバコスティック使用)、及び、アプリによって計算されて考慮され得る他の要因に、部分的に依存する。
【0173】
移行期間中の時間ポイント0(符号23)の後には、喫煙者は、制限なしで超低ニコチン紙巻タバコを喫煙するように、及び、制限なしで電子タバコ又はタバコ加熱デバイスのいずれかを喫煙するように、指示される。移行期間中に喫煙者が燃焼式紙巻タバコを要望するようであればその時には(場合によってはその後も)、喫煙者は、従来的な紙巻タバコではなく、超低ニコチン紙巻タバコを喫煙するように指示されて促される。移行期間中に電子タバコ又はタバコ加熱デバイス(制限することなく)及び超低ニコチン紙巻タバコ(制限することなく)を使用するためのリマインダは、また、例えば、毎日のテキストメッセージ、電話、又は他のタイプの通信、という形態とすることができる。また、移行期間中は及び/又は移行期間後も、他のタバコ製品又はニコチン製品を使用しないことを推奨することができ、リマインダを送信することもできる。これらのタイプのリマインダの有効性は、毎日のものであるかどうかにかかわらず、喫煙者の連絡先情報が既知であることにより、及び、喫煙者の人口統計学的特性及びタバコ使用特性が既知であることにより、本明細書において説明するアプリによって大幅に増強される。
【0174】
喫煙者は、「時間ポイント2」(符号24)として定義される予定された移行期間の最終日に、超低ニコチン紙巻タバコの喫煙を停止するように、そして、移行期間後も、従来的な紙巻タバコを喫煙することなく、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスのいずれか使用し続けるように、指示される。時間ポイント2(符号24)が近づくにつれて、喫煙者は、毎日ベースでこの日付をリマインドされ、スマートフォンへのメッセージの形態とし得るこれらのリマインダは、移行期間後も継続することができる。喫煙者に対して、残りの超低ニコチン紙巻タバコを冷蔵庫に保管するように、指示することができる。開封されたパックは、タバコが新鮮さを失わないように、ビニール袋に入れて保管することができる。これらの残りの超低ニコチン紙巻タバコは、喫煙者が燃焼式紙巻タバコに対する圧倒的な渇望を経験するようであればその時点でのみ、使用されるべきである。喫煙者が超低ニコチン紙巻タバコを使い果たし、喫煙者が超低ニコチン紙巻タバコをまだ必要かもしれないと考えている場合には、喫煙者の普段のブランドなどの任意の従来的な紙巻タバコを喫煙するのではなく、喫煙者に対しては、アプリを介してかあるいは他の方法によるかにかかわらず、追加的な超低ニコチン紙巻タバコを入手するように指示することができる。
【0175】
図4に示すように、移行期間中には、方法Bに従う喫煙者においては、超低ニコチン紙巻タバコの平均タバコ使用量(符号27)が減少することが予想され、従来的な紙巻タバコが喫煙されていないと仮定すると、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスのタバコスティックの平均使用量(符号27)が、電子タバコ及び従来的な紙巻タバコの、又は、タバコスティック及び従来的な紙巻タバコの、1日あたりの喫煙者の以前の累積レベル程度まで増加することが予想される。電子タバコ又はタバコ加熱デバイスからのエアロゾルによって紙巻タバコの煙を置き換えることで、喫煙者が曝されている有害で潜在的に有害な成分(HPHCs)のレベルを減少させ、タバコ関連疾患のリスクを減少させることが期待される。
【0176】
喫煙者が、移行期間を通して超低ニコチン紙巻タバコを喫煙して、タバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)を使用している間に、超低ニコチン紙巻タバコは、従来的な燃焼式紙巻タバコの快楽効果及び補強効果を消滅させており、タバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)は、従来的な紙巻タバコとタバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)との併用の場合よりも大きな程度で、紙巻タバコの快楽効果を補強している。移行期間に発生するこれらの条件付け原理の両方によって、併用ユーザは、従来的な紙巻タバコの喫煙をより容易に減少させ、又は、従来的な紙巻タバコの喫煙を完全に排除し、従来的な紙巻タバコの喫煙の減少分を、タバコ加熱デバイス(又は、電子タバコ)の使用の増加分によって置き換える。これにより、喫煙者が曝されている有害な成分及び潜在的に有害な成分(HPHCs)のレベルが減少し、タバコ関連疾患のリスクが減少することが期待される。
【0177】
実施例4
アナタビン含有量及び/又はアナバシン含有量を増強させた超低ニコチン紙巻タバコ
アナタビン及びアナバシンは、ニコチンと化学構造を共有しており、アナタビン及びアナバシンは、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChRs)に対して親和性を有していることが示されている。ラットに関する研究では、アナタビンの投与量が多いほど、ニコチンの自己投与が減少し、アナタビンの投与量が少ないほど、ニコチンの自己投与が増加することが示されている。2.0mg/kgのアナタビンによる前処理は、ニコチンの自己投与を、ほぼ半分へと大幅に減少させた。アナバシンは、二相性の用量効果機能を示した。0.02mg/kgのアナバシンによる前処置は、ニコチンの自己投与を25%増加させ、他方、2.0mg/kgのアナバシンは、1回あたりのニコチン注入量を50%より多く減少させた。ラットに対して経口投与したアナタビンの排泄半減期は、ニコチンと比較して、およそ2倍〜2.5倍大きなものであった。これらの結果は、アナタビン及びアナバシンが、ニコチンの主観的効果の代わりになり得ること、及び、ニコチンの乱用責任を負うことなく禁断症状及び渇望を減衰させ得ること、を示している。例えば、Hall et al.2014,Pharmacol Biochem Behav,May;120:103−108を参照されたい。
【0178】
本発明の他の例示的な実施形態は、増強させた含有量のアナタビン及び/又はアナバシンを含むように設計された超低ニコチン紙巻タバコの使用である。超低ニコチン紙巻タバコにおけるアナタビン及び/又はアナバシンのレベルは、従来的な紙巻タバコのそれと比較して典型的なレベルであり、あるいは、従来的な紙巻タバコに見られる典型的なレベルを超えて上昇してさえいるけれども、少なくともアナタビン及び/又はアナバシンのレベルは、調査研究において使用される典型的な超低ニコチン紙巻タバコと比較して、増加している。タバコに見られるこれらの重要なアルカロイドの独特の比率を有したこれらのタイプの超低ニコチン紙巻タバコが必要とされており、これらの超低ニコチン紙巻タバコは、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることを支援するために使用される場合に、あるいは、喫煙者がタバコの使用を完全にやめることを支援するために使用される場合に、特に有利である。図5は、米国で最も売れている50個のタバコブランドスタイルのフィラー内の特定のマイナーなニコチンアルカロイドのレベルを示している。アナタビン含有量は、0.927mg/g〜1.390mg/gという範囲であり、平均値は、1.1mg/gである。アナバシン含有量は、0.127mg/g〜0.185mg/gという範囲であり、平均値は、0.147mg/gである。Lisko et al 2013,Anal Chem.March 19;85(6):3380−3384を参照されたい。
【0179】
一般に、共通の生合成経路のため、タバコ植物の全アルカロイドの約95%を構成するニコチン含有量と、タバコ品種及びタバコ系統におけるアナタビン含有量又はアナバシン含有量と、の間には高い相関関係がある。nic1/nic2二重変異体(LA Burley 21、LAFC 53、LAMD 609、及びVector 21−41)を有した上記のタバコ系統のすべてを含んで、ニコチン含有量が低い(従来的な紙巻タバコと比較して)タバコは、また、アナタビン及びアナバシン含有量も相対的に低い。例えば、国立衛生研究所(NIH)の国立薬物乱用研究所(NIDA)がニコチン研究用紙巻タバコ医薬品供給プログラムの下で調査研究のために配布している超低ニコチン研究用紙巻タバコの6つのスタイル(NRC 100、NRC 101、NRC 102、NRC 103、NRC 104、及びNRC 105)は、これらの紙巻タバコのフィラー内に、約0.40mg/gのニコチンと、約0.0065mg/gのアナタビンと、約0.0315mg/gのアナバシンと、を含有している。Lisko et al.2013,von Weymarn et al.2016,Chem Res Toxicol.March 21;29(3):390−397、及び、2018年7月20日にアクセスされたNotice of Availability of Nicotine Research Cigarettes through NIDA’s Drug Supply Program,Notice Number:NOT−DA−14−004: https://grants.nih.gov/grants/guide/notice−files/NOT−DA−14−004.html、を参照されたい。
【0180】
これらの超低ニコチン研究用紙巻タバコのニコチンレベル、アナタビンレベル、及びアナバシンレベルは、図2における従来的な紙巻タバコブランドの平均ニコチンレベルと比較して、及び、図5における従来的な紙巻タバコブランドの平均アナタビンレベル及び平均アナバシンレベルと比較して、それぞれ98%、99%、及び79%という分だけ、より低くなっている。これらの従来的な紙巻タバコブランドは、いずれも、遺伝子操作された低ニコチンタバコを含有していない。典型的には、アナタビン及びアナバシンのレベルは、ニコチン生合成遺伝子の発現をダウンレギュレートすることにより、遺伝子操作されたタバコ植物におけるニコチンレベルと一緒に同時的に低減される。例えば、遺伝子操作によりBBL遺伝子ファミリーのメンバーの発現を抑制することは、ニコチン、アナタビン、及びアナバシンの含有量を同時的に低減させることに関する他の例である。6つの機能性RNAiタバコ系統では、硬化葉内のニコチンレベルは、形質転換されていない対照系統K326に関して観察されたものよりも有意に低く(P<0.05)、これら6つのタバコ系統は、形質転換されていない対照系統K326と比較して、平均して、16パーセントのアナタビン含有量、及び、70パーセントのアナバシン含有量、であった。Lewis et al.2015,PLOS One,Feb 17;10(2):e0117273を参照されたい。
【0181】
しかしながら、ニコチン含有量とアナタビン含有量との正の相関の例外は、タバコ系統が、(1)プトレシンN−メチル転移酵素(PMT)遺伝子ファミリーのメンバー(例えば、配列識別番号3及び配列識別番号5に記載のPMT1及びPMT2のヌクレオチド配列)、(2)N−メチルプトレシン酸化酵素(MPO)(配列識別番号7)、又は(3)オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)(配列識別番号9)の発現をダウンレギュレートすることによって遺伝子操作された場合に発生し、これにより、ニコチン含有量を低減させつつ、アナタビン含有量を増強させることができる。実際、得られたタバコ系統のいくつかでは、葉内のアナタビンレベルは、ニコチン含有量よりも多いものとすることができる。Chintapakom et al.2003,Plant Molecular Biology 53:87−105、及び、米国特許第8,410,341号明細書、を参照されたい。これらの変更は、実験的な理由で二次代謝物の経路を解明するためにタバコ植物において行われているものであって、タバコ製品での使用のためではないけれども、本明細書の出願人は、アナタビンレベルを増強させた超低ニコチン紙巻タバコを利用することが、特に電子タバコ又はタバコ加熱製品への切替を試みる喫煙者にとってあるいはタバコ製品を完全にやめることを試みる喫煙者にとって、典型的な超低ニコチン紙巻タバコよりも、改良をもたらすことを発見した。NIDAによって配布されたものなどの典型的な超低ニコチン紙巻タバコは、Liskoらによって実証されたように、従来的な紙巻タバコのアナタビンレベルのごく一部であるアナタビンレベルを含有している。増強させたアナタビンレベルが、PMT、MPO、及び/又はODCの発現をダウンレギュレートしたことに由来するかあるいは外部供給源からのアナタビンの添加に由来するかにかかわらず、増強させたアナタビン含有量を有した超低ニコチン紙巻タバコは、従来的な燃焼式紙巻タバコによる快楽効果及び補強効果の消滅を支援することにおいて、有用である。PMT1ヌクレオチド配列は、配列識別番号3に記載され、アミノ酸配列は、配列識別番号4に記載されている。PMT2ヌクレオチド配列は、配列識別番号5に記載され、アミノ酸配列は、配列識別番号6に記載されている。MPOヌクレオチド配列は、配列識別番号7に記載され、アミノ酸配列は、配列識別番号8に記載されている。ODCヌクレオチド配列は、配列識別番号9に記載され、アミノ酸配列は、配列識別番号10に記載されている。
【0182】
本明細書において使用した際には、「アナタビンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコ」とは、2.0ミリグラム(mg)以下のニコチンと、少なくとも0.15mgのアナタビンと、を含有した紙巻タバコを意味する。いくつかの例示的な実施形態では、アナタビンの外部供給源を利用することができ、紙巻タバコのフィラーに対して添加することができる。この供給源は、アナタビン含有量の大きなタバコ植物を含む植物とすることができ、アナタビンは、例えば超臨界CO抽出プロセスによって抽出される。これに代えて、他の例示的な実施形態では、対照植物と比較してアナタビンが増加するように遺伝子操作されたタバコ植物を、そのような紙巻タバコにおいて使用することができる。いずれの場合においても、外因性アナタビン植物又は高アナタビン植物は、アナタビンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコのフィラー内で使用される再構成タバコ内に含まれることができる。アナタビン含有量は、また、有機酸のアナタビン塩、アナタビン類似体、又は合成されたアナタビンによって、増強することもできる。これらのアナタビン源のいずれかは、また、アナタビンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコのフィラー内で使用される再構成タバコ内に組み込むこともできる。アナタビンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコは、紙巻タバコ1本あたりに、少なくとも、0.15mg、0.20mg、0.25mg、0.30mg、0.35mg、0.40mg、0.45mg、0.50mg、0.55mg、0.60mg、0.65mg、0.70mg、0.75mg、0.80mg、0.85mg、0.90mg、0.95mg、1.0mg、1.05mg、1.10mg、1.15mg、1.20mg、1.25mg、1.30mg、1.35mg、1.40mg、1.45mg、1.50mg、1.55mg、1.60mg、1.65mg、1.70mg、1.75mg、1.80mg、1.85mg、1.90mg、1.95mg、2.0mg、2.05mg、2.10mg、2.15mg、2.20mg、2.25mg、2.30mg、2.35mg、2.4mg、2.45mg、2.50mg、2.55mg、2.60mg、2.65mg、2.70mg、2.75mg、2.80mg、2.85mg、2.90mg、2.95mg、3.0mg、3.05mg、3.1mg、3.15mg、3.20mg、3.25mg、3.30mg、3.35mg、3.40mg、3.45mg、3.50mg、3.55mg、3.60mg、3.65mg、3.70mg、3.75mg、3.80mg、3.85mg、3.90mg、3.95mg、4.0mg、4.05mg、4.10mg、4.15mg、4.20mg、4.25mg、4.30mg、4.35mg、4.40mg、4.45mg、4.50mg、4.55mg、4.60mg、4.65mg、4.70mg、4.75mg、4.80mg、4.85mg、4.90mg、4.95mg、又は、5.0mg、というアナタビンを含有することができる。アナタビンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコの利点は、このタイプの紙巻タバコが、例えば0.0065mg/gのアナタビンを有したフィラーを使用した超低ニコチン紙巻タバコと比較して、従来的な紙巻タバコの禁断症状や渇望を、より効果的に低減させることである。アナタビンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコは、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと移行することを支援するために使用された場合にあるいは喫煙者がタバコの使用を完全にやめることを支援するために使用された場合に、特に有用である。
【0183】
紙巻タバコに含まれる(単位をミリグラムとして)あるいはフィラーに含まれる(単位をmg/gとして又はパーセントとして)、ニコチン、アナタビン、又はアナバシンの量を指すこれらのパーセント及び本明細書における他のものが、フィラーに含まれるタバコ葉内のこれらアルカロイドの量と完全に相関していないことに注意することが重要である。紙巻タバコ内のフィラーは、カットラグタバコという形態でタバコ葉を含むけれども、ほとんど常に、ケーシング、香料、及び、再構成タバコから作られた成分の一部、などの、アルカロイドを含まない非タバコ成分も含有している。フィラーのこれらの非タバコ部分は、フィラー内に含まれているタバコ葉自体のアルカロイドの割合と比較して(あるいは、アルカロイドレベルがフィラーとは独立して測定されるタバコ葉全体と比較して、あるいは、タバコの葉が紙巻タバコ内のフィラーの一部になる前と比較して)、フィラー内の、ニコチン、アナタビン、アナバシン、及びノルニコチンを含むアルカロイドの割合を低下させる。
【0184】
本明細書において使用した際には、「アナバシンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコ」とは、2.0ミリグラム(mg)以下のニコチンと、少なくとも0.10mgのアナバシンと、を含む紙巻タバコを意味する。いくつかの例示的な実施形態では、アナバシンの外部供給源を利用することができ、紙巻タバコのフィラーに対して添加することができる。この供給源は、タバコ植物を含む植物とすることができる、あるいは、優勢的なアルカロイドがアナバシンであるような、ニコチアナグラウカ植物、ニコチアナノクチフローラ植物、ニコチアナペツニオイデス植物、及び/又はニコチアナデブネイ植物などの、タバコ植物を含む植物とすることができる。アナバシンは、任意の種類のタバコから、例えば、超臨界CO抽出プロセスによって抽出することができる。他の例示的な実施形態では、対照植物と比較してアナバシンが増加するように遺伝子操作されたタバコ植物を、アナバシンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコにおいて使用することができる。いずれの場合においても、外因性アナバシン植物又は高アナバシン植物は、アナバシンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコのフィラー内で使用される再構成タバコ内に含まれることができる。アナバシン含有量は、また、有機酸のアナバシン塩、アナバシン類似体、又は合成されたアナバシンによって、増強することもできる。これらのそれぞれは、また、アナバシンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコのフィラー内で使用される再構成タバコ内に組み込むこともできる。アナバシンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコは、紙巻タバコ1本あたりに、少なくとも、0.10mg、0.12mg、0.14mg、0.16mg、0.18mg、0.20mg、0.22mg、0.24mg、0.26mg、0.28mg、0.30mg、0.32mg、0.34mg、0.36mg、0.38mg、0.40mg、0.42mg、0.44mg、0.46mg、0.48mg、0.50mg、0.52mg、0.54mg、0.56mg、0.58mg、0.60mg、0.62mg、0.64mg、0.66mg、0.68mg、0.70mg、0.72mg、0.74mg、0.76mg、0.78mg、0.80mg、0.82mg、0.84mg、0.86mg、0.88mg、0.90mg、0.92mg、0.94mg、0.96mg、0.98mg、1.0mg、1.02mg、1.04mg、1.06mg、1.08mg、1.10mg、1.12mg、1.14mg、1.16mg、1.18mg、1.20mg、1.22mg、1.24mg、1.26mg、1.28mg、1.30mg、1.32mg、1.34mg、1.36mg、1.38mg、1.40mg、1.42mg、1.44mg、1.46mg、1.48mg、1.50mg、1.52mg、1.54mg、1.56mg、1.58mg、1.60mg、1.62mg、1.64mg、1.66mg、1.68mg、1.70mg、1.72mg、1.74mg、1.76mg、1.78mg、1.80mg、1.82mg、1.84mg、1.86mg、1.88mg、1.90mg、1.92mg、1.94mg、1.96mg、1.98mg、又は、2.0mg、のアナバシンを含有することができる。アナバシンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコの利点は、この紙巻タバコが、例えば0.0135mg/gのアナバシンを有したフィラーを使用した超低ニコチン紙巻タバコと比較して、従来的な紙巻タバコの禁断症状や渇望を、より効果的に低減させることである。アナバシンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコは、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと移行することを支援するために使用された場合にあるいは喫煙者がタバコの使用を完全にやめることを支援するために使用された場合に、特に有用である。ニコチアナタバカム植物の品種又は系統は、優勢的なアルカロイドがアナバシンであるニコチアナ種(例えば、ニコチアナグラウカ)と交配することができる。戻し交配とは、子孫植物がその親の1つに対して繰り返し的に交配されるプロセスを指す。この場合、「ドナー」親(ニコチアナグラウカ)は、導入されるべき所望の遺伝子又は遺伝子座を有した親植物を指し、高アナバシンである。1回又は複数回にわたって使用し得る「レシピエント」親(エリート種で商品化されたニコチアナタバカム品種とすることができる)、あるいは、2回以上にわたって使用し得る「リカレント」親は、遺伝子又は遺伝子座が導入されている親植物を指す。最初の交配では、F1世代が生成され、2回目の交配では、F2世代が生成される、などである。この例における戻し交配は、連続する各戻し交配世代の子孫個体がそれ自体同じ親遺伝子型に対して戻し交配されることで繰り返し行われる。上記の戻し交配スキームでは、充分な世代が、高いアナバシン含有量を有するけれども、典型的な紙巻タバコであるニコチアナタバカムの他の多くの望ましい形質を合理的に可能な限り有したタバコ系統を達成するために生産される。
【0185】
増強させたアナタビン含有量及び増強させたアナバシン含有量を有した超低ニコチン紙巻タバコ(すなわち、「アナタビンを増強させたかつアナバシンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコ」)は、例えば、紙巻タバコ1本あたりに約1.0ミリグラムのニコチンと、紙巻タバコ1本あたりに約2.0mg/gのアナタビンと、紙巻タバコ1本あたりに約0.55mg/gのアナバシンと、を含むことができる。これらの超低ニコチン紙巻タバコの重量が、紙巻タバコ1本あたりに700mgであると仮定すると、この紙巻タバコのフィラーは、約1.43mg/gのニコチンと、約2.86mg/gのアナタビンと、約0.79mg/gのアナバシンと、を含む。このアナタビンを増強させたかつアナバシンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコは、超低ニコチン紙巻タバコのニコチンを含有するとともに、従来的な紙巻タバコとほぼ同じアナタビン含有量と、従来的な紙巻タバコの上限よりもわずかに大きなアナバシン含有量と、を含む。アナタビンを増強させたかつアナバシンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコは、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと移行することを支援するために使用された場合にあるいは喫煙者がタバコの使用を完全にやめることを支援するために使用された場合に、特に有用である。これらは、アナタビンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコよりも、また、アナバシンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコよりも、より効果的なものとすることができる。
【0186】
LAFC 53は、上述したようにその親品種であるNC 95と比較してニコチンが約90%低減されたものであって、改良された低ニコチンタバコ植物系統を生産するために使用される好ましいタバコ系統の一例である。正真正銘の黄色種品種として、NC 95は、何十年にもわたって栽培され、多くの市販品に使用されてきた。LAFC 53は、NC 95から自然交配(nic1/nic2)されたタバコ系統であり、したがって、非遺伝子組み換えである。重要なことは、LA Burley 21などの他のnic1/nic2低ニコチン系統とは異なり、LAFC 53が、黄色種系統であることである。実質的にすべてのフィルタ付き紙巻タバコのフィラーは、黄色種カットラグタバコのみを含むか、あるいは、黄色種カットラグタバコがフィラー内の主要なタイプのタバコであるか、のいずれかである。
【0187】
1つの例示的な実施形態では、LAFC 53は、上述した方法のいずれかによって、プトレシンメチル転移酵素(例えば、PMT1又はPMT2)の発現が抑制されるように遺伝子操作されている。これは、双方ともが当該技術分野で周知のアンチセンス技術又はRNAi技術を介して、PMTをダウンレギュレートすることによって達成することができる。例えば、LAFC 53を、NtPMT1 cDNA(又は、NtPMT2 cDNA)のアンチセンス発現を駆動する2.0kb NtQPT1根皮質特異的プロモータ(又は、任意の他の適切な植物プロモータ)を付帯したバイナリアグロバクテリウムベクターによって、形質転換する。300個の独立した形質転換体は、自己繁殖を許容される。これらの植物の子孫(T1)を、導入遺伝子の分離についてスクリーニングする。一次形質転換体の3分の2の子孫は、3:1(単一の遺伝子座)に分離する。残りの3分の1の子孫は、15:1以上の比率(2つ以上の遺伝子座)で分離する。3:1(単一の遺伝子座での形質転換に起因する)を分離するT1の子孫が、進められる。
【0188】
3:1で分離したT1子孫のニコチンレベル及びアナタビンレベルは、ガスクロマトグラフィを使用して測定される。ニコチン含有量がLAFC 53親の50%未満であるT1子孫は、自己繁殖が許容され、T2子孫を生産する。ホモ接合型のT2子孫は、子孫の100%が導入遺伝子を付帯した集団を選択することによって特定される(ヘテロ接合性の子孫は、3:1に分離する)。ホモ接合型及びヘテロ接合型のT2子孫のニコチンレベル及びアナタビンレベルは、ニコチンレベルが、LAFC 53親のニコチン含有量の50%未満であることを確認するために、ガスクロマトグラフィを使用して測定される。また、LAFC 53親と比較して同じレベルの又は増加したレベルのアナタビンを有した形質転換体のホモ接合型T2子孫は、自己繁殖が許容され、T3子孫を生産する。T3子孫を栽培し、ニコチンレベル及びアナタビンレベルを再度測定して確認する。ニコチンレベルが最も低くかつアナタビンレベルが最も高い植物系統のT3子孫は、自己繁殖が許容され、T4子孫を生産する。T4子孫のバルク化した種子のサンプルを栽培し、再度ニコチン及びアナタビンを測定して確認する。この低ニコチンでアナタビンを増強させたタバコ系統は、LN−HAと改名される。LN−HA植物系統は、さらに実地試験され、そのNC95親に対して、及び、他の対照に対して、比較される。
【0189】
他の例示的な実施形態では、LAFC 53は、N−メチルプトレシン酸化酵素(配列識別番号7)の発現が上記の方法のいずれかによって抑制されるように遺伝子操作される。これは、アンチセンス技術又はRNAi技術を介してMPOをダウンレギュレートすることによって達成することができる。例えば、LAFC 53を、NtMPO cDNAのアンチセンス発現を駆動する2.0kb NtQPT1根皮質特異的プロモータ(又は、任意の他の適切な植物プロモータ)を付帯したバイナリアグロバクテリウムベクターによって、形質転換する。300個の独立した形質転換体は、自己繁殖を許容され、これらのMPOダウンレギュレートされた形質転換体のための残りのプロセスは、当該技術分野において公知の、上述したPMTダウンレギュレーション及び同種のもののための上記の方法と、全く同じである。
【0190】
他の例示的な実施形態では、PMT遺伝子ファミリー(例えば、PMT1、配列識別番号5)内の1つ又は複数の遺伝子は、エリート種であり、従来的なニコチンを含有した、黄色種タバコ品種に属する植物からノックアウトされる。生細胞のゲノム内の特定のDNA配列にタンパク質を標的化することについては、かなりの進歩があった。ジンクフィンガ、TALENS、及びCRISPR/CAS9タンパク質又はタンパク質/RNA複合体は、特定のDNA配列への結合を容易とするために、それらのアミノ酸配列又はRNA標的化配列の変更に関して実験的に適している。例えば、当該技術分野において公知なように、CRISPRs(clustered regularly interspaced short palindromic repeats)は、原核生物内に存在し、原始免疫システムとして機能し、(侵入ウイルスからの)外来DNAを切断する、塩基配列の短い反復を含むDNA座である。CRISPRsは、現在、シロイヌナズナ及びニコチアナなどのモデル植物系を含む多くの真核生物系で遺伝子編集ツールとして使用されている。Cas9ヌクレアーゼに対して対になると、CRISPRsは、部位特異的にゲノムDNAを切断することができ、これにより、遺伝子発現をノックアウトすることができる。ガイドRNAs(gRNA又はsgRNA)は、特定のゲノム配列に合わせて設計されているため、Cas9に対して遺伝子をノックアウトするように指示することができる。gRNAデザインを設計するための予測ソフトウェアが存在し、植物の場合、gRNAsは、典型的には、小麦U6プロモータ、イネU3プロモータ、トウモロコシU3プロモータ、あるいは、シロイヌナズナ又はイネU6プロモータなどの、U6プロモータ又はU3プロモータから発現される。植物における最近のレビューについては、Bortesi and Fischer,2015,Biotechnology Advances 33(10):41−52を参照されたい。これに関して、当該技術分野において公知なように、アグロバクテリウム形質転換ベクターは、レシピエント形質転換されたニコチアナ植物において、PMT遺伝子ファミリーメンバーであるPMT1、PMT2、PMT3、及びPMT4のいずれかをノックアウトするために特異的なgRNAsを有するように構築することができる。例えば、Nekrasov V,Staskawicz B,Weigel D,Jones JD,Kamoun S.Targeted mutagenesis in the model plant Nicotiana benthamiana using Cas9 RNA−guided endonuclease.Nat Biotechnol.2013 Aug;31(8):691−3を参照されたい。
【0191】
他の例示的な実施形態では、MPO並びに1つ又は複数のBBL遺伝子は、例えばCRISPR−cas9システムを使用して、エリート種で、黄色種の、バーレイ又はオリエンタルタバコ品種に属するタバコ系統からノックアウトされる。上述したCRISPR/CAS9システムをPMT遺伝子の発現抑制に使用するのと同様に、システムを、MPO並びに/若しくは1つ又は複数のBBL遺伝子を抑制するために使用することができる。すなわち、当該技術分野において公知なように、レシピエント形質転換されたニコチアナ植物において、再び植物U6又はU3プロモータを使用して、MPO並びに/若しくは1つ又は複数のBBL遺伝子をノックアウトするために特異的なgRNAsを有したアグロバクテリウム形質転換ベクターを、構築することができる。結果として得られる植物系統は、MPO並びに1つ又は複数のBBL遺伝子を減少させ、ニコチン及びアナタビンの標的バランスを含み、その後、アナタビンレベルが増強されていない超低ニコチン紙巻タバコに対する改良をなす、アナタビンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコのために利用される。例えば、約2mg/gのニコチンと約2mg/gのアナタビンとを含む植物系統は、喫煙者をタバコ加熱製品へと移行させるために使用されるあるいはタバコ製品を完全にやめさせるために使用される超低ニコチン紙巻タバコ内に含まれることができる。
【0192】
他の実施形態では、NBB1及びMPOは、低減されたニコチン及び増強させたアナタビンを有したタバコを製造するために、単一の植物系統において同時的に低減させることができる。好適なタバコ植物には、エリート、黄色、バーレイ、又はオリエンタルというタバコ品種が含まれ、これらの品種のそれぞれは、当該技術分野において公知の技術を使用して遺伝的に操作することができる。例えば、限定するものではないが、アグロバクテリウム形質転換ベクターは、単一の、レシピエント形質転換されたニコチアナ植物における任意のNBB1及びMPOをノックアウトするために特異的なgRNAsを有するように構築することができる。タバコ植物は、喫煙者をタバコ加熱製品へと移行させるために使用されるあるいはタバコ製品を完全にやめさせるために使用される超低ニコチン紙巻タバコなどのタバコ製品の製造における使用のために、ニコチンが低減しており(対照植物と比較して)かつアナタビンが増強されている(低ニコチン対照植物と比較して)ものが選択される。
【0193】
同様に、NBB1及びMPOは、独立した植物系統において別々に抑制することができ、その後、結果として得られる硬化タバコを、タバコ製品において使用するためにブレンドすることができる。例えば、ある植物系統では、アグロバクテリウム形質転換ベクターは、レシピエント形質転換されたニコチアナ植物におけるNBB1をノックアウトするために特異的なgRNAを有するように構築することができる。別の植物系統では、例えば、MPOをノックアウトするために特異的なgRNAを有したアグロバクテリウム形質転換ベクターを使用して、MPOを抑制することができる。抑制されたNBB1(対照植物と比較してニコチンが低減されていることによって特徴づけられる)を有した第1植物系統の選択、及び、抑制されたMPO(対照植物と比較してニコチンが低減し、さらに、アナタビンが増強されていることによって特徴づけられる)を有した第2植物系統の選択に続いて、各植物系統からの硬化タバコは、喫煙者をタバコ加熱製品へと移行させるために使用されるあるいはタバコ製品を完全にやめさせるために使用される超低ニコチン紙巻タバコなどのタバコ製品において使用するために一緒にブレンドすることができる。
【0194】
PMT、ODC、及び/又はMPOのうちの1つ又は複数がノックアウトされた、これらのアナタビンを増強させたタバコ植物系統(植物品種保護のために登録することができる)からの硬化タバコは、アナタビン補強された超低ニコチン紙巻タバコのフィラー内に直接的に利用することができる、あるいは、アナタビンを、これらのタイプのタバコから(例えば、超臨界CO2抽出プロセスによって)抽出することができ、そして、再構成タバコ内へと組み込むことができ、さらに、その再構成タバコを、アナタビンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコへと組み込むことができる。追加の例示的な実施形態は、超低ニコチンの目標レベルを達成するように並びに増強させたアナタビン及び/又は増強させたアナバシンの目標レベルを達成するように正確にブレンドされたフィラーを含む。ニコチン、アナタビン、及びアナバシンに関してそれぞれ1mg/g、2mg/g、及び1/mg/gという標的レベルを含む、アナタビンを増強させたかつアナバシンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコのフィラーは、手元にあるタバコのアルカロイド含有量に基づいて、再構成タバコのアルカロイド含有量を調整することによって、製造することができる。黄色種タバコが60%、バーレイタバコが20%、及び再構成タバコが20%、とされた紙巻タバコのフィラーに関しては、黄色種タバコ及びバーレイタバコのアルカロイド含有量に基づいて、再構成タバコのニコチン、アナタビン、及びアナバシンの含有量を調整する。0.4mg/gというニコチン含有量と、0.02mg/gというアナタビン含有量と、0.05mg/gというアナバシン含有量と、を有した黄色種タバコと、1.8mg/gというニコチン含有量と、5mg/gというアナタビン含有量と、0.10mg/gというアナバシン含有量と、を有したバーレイタバコと、を使用する場合には、再構成タバコは、2mg/gというニコチン含有量と、4.94mg/gというアナタビン含有量と、4.75mg/gというアナバシン含有量と、を有するものとして製造される。60%の黄色種タバコと、20%のバーレイタバコと、増分的に調整された20%の再構成タバコと、をブレンドすることにより、最終的なフィラーは、ニコチン、アナタビン、及びアナバシンに関して、それぞれ、1mg/g、2mg/g、及び1/mg/gという含有量を有し、正確にアルカロイドの目標を達成している。この例では、例示目的のために、フィラーにおけるケーシング及びトップフレーバーの重量は考慮されていないが、これは、これらの非タバコ成分の重量を補う量の分だけ、再構成タバコ内のニコチンレベル、アナタビンレベル、及びアナバシンレベルを増加させることによって、容易に調整される。
【0195】
手元のタバコ品種のアルカロイド含有量に基づいて、再構成タバコのニコチンレベル、アナタビンレベル、及びアナバシンレベルを、ブレンドして調整するこの方法を使用することにより、したがって、実質的に任意で所望のニコチンレベル、アナタビンレベル、及びアナバシンレベルを、紙巻タバコで達成することができる。紙巻タバコ内の、ニコチンレベル、アナタビンレベル、及びアナバシンレベルは、収穫されて手元にあるタバコの年ごとの変動につれて、もはや変動することはない。この方法によって正確にブレンドされたフィラーは、アナタビンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコ内へと、アナバシンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコ内へと、あるいは、アナタビンが増強されかつアナバシンを増強させた超低ニコチン紙巻タバコ内へと、組み込むことができ、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることを支援するためにあるいはタバコの使用を完全にやめることを支援するために、タバコ製品の移行キット内に含めることができる。これらのタイプの超低ニコチン紙巻タバコは、極めて低いアナタビンレベル及び極めて低いアナバシンレベルを有した典型的な超低ニコチン紙巻タバコと比較して、従来的な紙巻タバコの禁断症状及び渇望を、より効果的に低減させる。
【0196】
実施例5
カンナビノイドを含む又はTHC非含有大麻を含む超低ニコチン紙巻タバコ
本発明の他の例示的な実施形態は、喫煙者を電子タバコ又はタバコ加熱製品へと切り替えさせることを容易とするあるいはタバコ製品を完全にやめさせることを容易とする任意の方法に関して利用し得る超低ニコチン紙巻タバコのフィラー内に、超低THCのカンナビスサティバを含有させることである。超低THC大麻(以下において定義する)は、有意なレベルのΔ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)を含んでいない。カンナビスサティバ種は、マリファナとヘンプとの両方を含む。本明細書において使用した際には、「大麻」は、カンナビスインディカ及びカンナビスルデラリスを含み、これらは時にカンナビスサティバの別個の種とみなされるが、本明細書では、カンナビスサティバの種類とみなされ、別個の種とはみなされない。ヘンプは、遺伝的にサティバ系統よりも、インディカ系統のマリファナに類似している。カンナビノイドは、主に大麻植物の雌花(つぼみとして知られる)内に蓄積される100超の天然化学化合物のグループである。これらは、脳内の神経伝達物質の放出を変化させる細胞内のカンナビノイド受容体に対して作用する。THCは、大麻植物内に存在する数十種類のカンナビノイドのうちの1つである。超低THC大麻を含む超低ニコチン紙巻タバコには、有意な量のTHCは含まれていないが、不安及びうつ病の処置に効果が示すカンナビジオール(CBD)を含む他のカンナビノイドを含有している。喫煙者が従来的な紙巻タバコの喫煙をやめた時には、不安及びうつ病のレベルが通常は増大し、したがって、超低THC大麻を含む超低ニコチン紙巻タバコは、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えたることを支援する際にあるいはタバコの使用を完全にやめることを支援する際に、有益である。非THCカンナビノイドを含む超低ニコチン紙巻タバコからの煙は、カンナビノイドを含まない超低ニコチン紙巻タバコからの煙よりも、改良されている。本明細書による方法における移行期間中の時間ポイント0以降に、喫煙者が、超低ニコチン紙巻タバコを排他的に喫煙し得る期間が長いほど(従来的な紙巻タバコを一切喫煙しない間に)、電子タバコ又はタバコ加熱製品へと切り替える確率あるいはタバコを完全にやめる確率が高くなる。
【0197】
THCの精神活性作用は、主に、身体全体に位置していて気分及び食欲などの様々な生理学的プロセスに関与するエンドカンナビノイドシステムの一部であるカンナビノイド受容体の活性化によって媒介される。マリファナの系統(THCのレベルが高い)であるか、あるいは、ヘンプの系統又は品種(ヘンプは、THCのためではなく種子及びバイオマス収量のために育てられているため、より低いTHCレベルしか含有していない)であるか、にかかわらず、大麻を利用することは、THCの精神活性作用が、喫煙者の肉体的制御性及び精神的制御性を低下させることとなるという点で、喫煙者の日常生活に支障をきたすため、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることを支援するためにあるいは喫煙者がタバコを完全にやめることを支援するために超低ニコチン紙巻タバコを使用することには、問題がある。例えば、電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることを試みている喫煙者は、職場での昼休みに、有意なレベルのTHCを含む超低ニコチン紙巻タバコを喫煙することができないため、陶酔状態になることがなく、したがって、職場に戻った時に正常に機能し得ない可能性があり、同僚にとって危険となる可能性がある。その上、従業員は、超低ニコチン紙巻タバコが、THCを含む大麻を含有している場合には、薬物検査に不合格となる可能性がある。したがって、他のカンナビノイドの利点を維持しつつTHCの著しい精神活性作用を防止する超低THC大麻(及び、従来的な大麻ではなく)を超低ニコチン紙巻タバコ内に含めることは、有用であり有利であるだけでなく、必要なことである。
【0198】
本明細書において使用した際には、「超低THC大麻」とは、(i)遺伝的に操作されているかどうかにかかわらず、約1.25mg/g以下の、Δ9−テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)及びΔ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)を合計で含む雌性大麻植物の花、(ii)約1.25mg/g以下の、Δ9−テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)及びΔ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)を合計で含む、雌性大麻植物の他の部分(花以外の部分)(例えば、葉)、並びに/若しくは、(iii)約1.25mg/g以下の、Δ9−テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)及びΔ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)を合計で含む、雄性大麻植物の全部分、を意味する。高速液体クロマトグラフィタンデム質量分析法(HPLC−MS/MS)を、THCA含有量及びTHC含有量を測定するために利用することができる。Aizpurua−Olaizola et al.2014,Anal Bioanal Chem(2014)406:7549−7560を参照されたい。上記のニコチン含有量の測定方法を、また、THCA含有量及びTHC含有量を測定する際にも、利用することができる。例えば、ガスクロマトグラフィと高速液体クロマトグラフィとの両方が、THCA含有量及びTHC含有量を測定するに際して、当該技術分野で日常的に使用されている。例えば、Mudge E.et al.2017,Analytical and Bioanalytical Chemistry,409(12) 3153−3163、及び、Patel et al.2017,J.Pharm Biomed Anal.Nov 30:146:15−23、を参照されたい。THCは、それ自体で明確な中毒作用を有することが知られている唯一の植物カンナビノイドである。THCVも、また、中毒作用を有し得るけれども、これは、大麻の系統及び品種において非常に少量でしか存在せず、低用量では中毒作用を有していないと考えられている。遺伝子操作によるカンナビノイド生合成経路における酵素の産生に関与する遺伝子の発現のダウンレギュレーションは、THC及びTHCVを減少させる。
【0199】
カンナビスサティバにおけるカンナビノイド生合成経路は理解されており、遺伝子操作は、THCを全く含有していないあるいはトレースレベルのTHCしか含有していない大麻植物を生産するための効率的な方法である。カンナビゲノール酸(CBGA)は、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール酸(CBDA)、及びカンナビクロメン酸(CBCA)、という3つの主要なカンナビノイド系統に関する前駆体である。使用前の植物材料の乾燥時及び硬化時に起こる並びに/若しくはカンナビノイド酸に対する熱の適用時(例えば、喫煙時)に起こる脱炭酸時には、CBGA(カンナビゲロール酸)、THCA(Δ9−テトラヒドロカンナビノール酸)、CBDA(カンナビジオール酸)、CBCA(カンナビクロメニン酸)、CBGVA(カンナビゲロバリン酸)、THCVA(テトラヒドロカンナビバリン酸)、CBDVA(カンナビジバリン酸)、及びCBCVA(カンナビクロメバリン酸)、という8つのカンナビノイド酸のそれぞれは、CBG(カンナビゲロール)、THC(Δ9−テトラヒドロカンナビノール)、CBD(カンナビジオール)、CBC(カンナビクロメン)、CBGV(カンナビゲリバリン)、THCV(テトラヒドロカンナビバリン)、CBDV(カンナビジバリン)、及びCBCV(カンナビクロメバリン)、という8つのカンナビノイド化合物へと変換されて、それらを生成する。大麻が硬化して水分が減少するにつれて、酸性形態のカンナビノイド化合物は、熟成して、ゆっくりと関連化合物へと(例えば、THCAからTHCへと)変換される。時間をかけて大麻を硬化させると、部分的な脱炭酸が起こるだけであり、このことが、大麻の花が一般に例えばTHCA及びTHCの両方(本明細書ではTHCA/THCとして表記される)で陽性となる理由である。大麻を喫煙するとあるいは気化させると、高温が存在することのために瞬時にカンナビノイドが脱炭酸されることとなり、吸入による吸収が即座に利用可能となる。
【0200】
超低THC大麻植物を生産するために遺伝子操作を利用することは、関心のある遺伝子産物(すなわち、標的遺伝子産物)の発現又は機能を減少又は増加させる核酸又は特異的突然変異を宿主生物内へと導入するための任意の方法を含む。例えば、植物は、対照植物と比較して標的遺伝子の発現が低下するように標的遺伝子の発現を抑制するポリヌクレオチド配列を使用して形質転換される場合には、遺伝的に操作される。カンナビノイド生合成経路に関与する任意の酵素又は酵素の組合せは、超低THC大麻植物の生産のためにTHCAを減少させるための標的とすることができる。例えば、アシル活性化酵素(配列識別番号13に記載のヌクレオチド配列、及び、配列識別番号14に記載のアミノ酸配列)、オリベトール合成酵素(配列識別番号15に記載のヌクレオチド配列、及び、配列識別番号16に記載のアミノ酸配列)、オリベトール酸シクラーゼ(配列識別番号17に記載のヌクレオチド配列、及び、配列識別番号18に記載のアミノ酸配列)、芳香族プレニル転移酵素(配列識別番号19に記載のヌクレオチド配列、及び、配列識別番号20に記載のアミノ酸配列)、カンナビゲロール酸合成酵素(CBGAS)、テトラヒドロカンナビノール酸合成酵素(THCAS)(配列識別番号21に記載のヌクレオチド配列、及び、配列識別番号22に記載のアミノ酸配列)、カンナビジオール酸合成酵素(CBDAS)(配列識別番号23に記載のヌクレオチド配列、及び、配列識別番号24に記載のアミノ酸配列)、カンナビクロメン酸合成酵素(CBCAS)(配列識別番号25に記載のヌクレオチド配列、及び、配列識別番号26に記載のアミノ酸配列)を、超低THC大麻のために利用することができる。対照植物と比較してTHCAが低減されていることによって特徴づけられた遺伝的に操作された植物を、本明細書では、THCAを低減させた大麻植物と称する。これらの植物は、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと切り替えることを支援するためにあるいはタバコを完全にやめることを支援するために、超低ニコチン紙巻タバコにおいて使用するための超低THC大麻の花を提供するために利用することができる。
【0201】
センス抑制、センス共抑制、アンチセンス抑制、RNAi抑制、二本鎖RNA(dsRNA)干渉、ヘアピンRNA干渉及びイントロン含有ヘアピンRNA干渉、リボザイム、アンプリコン媒介干渉、低分子干渉RNA、人工トランス作用性siRNA、人工又は合成microRNA、ノックアウトアプローチ、ランダム突然変異誘発アプローチ及び標的突然変異誘発アプローチ、を含む当該技術分野において公知の任意の適切な遺伝子操作的方法を、超低THC大麻植物の生産のために利用することができる。超低THC大麻植物を提供する非遺伝子組み換えアプローチは、超低ニコチン紙巻タバコにおいて使用するために好ましいものであって、ランダム突然変異誘発アプローチを利用すること、あるいは、例えば、転写活性化因子様エフェクタヌクレアーゼ(TALENs)、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガヌクレアーゼ、及びCRISPR−cas9システム、などの精密なゲノム工学技術を介すること、を含む。例えば、Gaj et al.2013,Trends in Biotechnology,31(7):397−405、及び、Bomgardner Melody M,2017 Chemical & Engineering News,Vol.95,Issue 24:30−34、を参照されたい。
【0202】
カンナビノイド生合成経路に関与する任意の酵素は、大麻植物のTHCを低減するための標的とすることができる。カンナビノイド生合成経路における1つ又は複数の酵素をコードする1つ又は複数の核酸には、ヘキサノイル−CoA合成酵素(米国特許第9,546,362号明細書を参照されたい)、アシル活性化酵素(配列識別番号14、Stout et al.2012,Plant J;71:353−65を参照されたい)、オリベトール合成酵素(配列識別番号16、Taura et al.2009,FEBS Lett;583:2061−6を参照されたい)、オリベトール酸シクラーゼ(配列識別番号18、Gagne et al.2012,P Natl Acad Sci USA;109:12811−6を参照されたい)、芳香族プレニル転移酵素(配列識別番号20、米国特許第8,884,100号明細書を参照されたい)、カンナビゲロール酸合成酵素(Fellermeier and Zenk 1998,FEBS Lett;427:283−5を参照されたい)、テトラヒドロカンナビノール酸合成酵素(配列識別番号22、Sirikantaramas et al.2004,J Biol Chem;279:39767−74を参照されたい)、カンナビジル酸合成酵素(配列識別番号24、Taura et al.2007,FEBS Lett;581:2929−34を参照されたい)、カンナビクロメン酸合成酵素(配列識別番号26、国際公開第2015/196275号パンフレットを参照されたい)、というカンナビノイド生合成酵素(ポリペプチド)が含まれる。ポリヌクレオチド及びそれらの配列、並びに、ポリペプチド及びそれらのアミノ酸配列を含む、上記の特許、特許出願、及び他の参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。Carvalho et al.2017.FEMS Yeast Research,Vol.17,No.4,1−12を参照されたい。
【0203】
大麻の系統及び品種にわたって、THCとCBDとの間には、通常、反比例の関係があり、すなわち、THCA/THC含有量が多いほど、CBDA/CBD含有量は少なく、CBDA/CBD含有量が多いほど、THCA/THC含有量は少なくなる。CBDA/CBDは、一般に、ヘンプの系統又は品種の中で最も豊富なカンナビノイドの組合せである。ほとんどのマリファナの系統に最も多く含まれるカンナビノイドの組合せは、THCA/THCであり、どちらかは、平均で、大麻の花のおよそ10重量%〜20重量%であることができる。THCAは、脱炭酸されていない大麻の花に関するより正確なラベルであるけれども、THCA又はTHCは、熱によって残りのTHCAがさらにTHCへと変換されることにより、花が何らかの方法で喫煙又は気化又は加熱される場合には、実質的に同じことを意味する。
【0204】
本明細書において大麻に関連して使用した際には、「ダウンレギュレーション」又は「抑制」は、同義であって、その由来のすべての子孫植物を含む大麻植物において、特定の遺伝子配列又はその変異体の発現が、あるいは、遺伝子配列の少なくとも15個のヌクレオチドフラグメントの発現が、同様の生育条件で生育した場合の対照植物と比較して、減少したことを意味し、ここで、対照植物は、大麻植物において低減させたTHCV/THCの変化を除いては、及び関連する付随的な効果を除いては、大麻植物と実質的に同一の遺伝的背景を共有している。
【0205】
本明細書において使用した際には、「再構成大麻シート」とは、再構成タバコシートと同じ態様で製造された大麻シートを意味し、予め細かく粉砕された大麻の花、葉、ダスト、茎、及び/又は副産物を、圧延又は鋳造し、その後、凝集剤又はバインダと混合したものであり、保湿剤、香料、防腐剤、並びに/若しくは、追加的なカンナビノイド又は追加的なテルペン、を含むことができる。再構成大麻シートは、タバコ部分を含む必要はなく(タバコ及びニコチンを含有していない)、再構成タバコのように容易に再構成シートとされる。再構成大麻シートの大麻部分は、約70%〜約90%の大麻とすることができ、残部は、凝集剤又はバインダ、保湿剤、香料、防腐剤、並びに/若しくは、追加的なカンナビノイド又は追加的なテルペン、とすることができる。製造後には、再構成大麻シートは、全葉タバコと同様の態様で切断され、「再構成大麻」は、紙巻タバコのフィラー内に含まれることができる。これに代えて、それ自体で市販することができる。
【0206】
本明細書において使用した際には、「再構成タバコ大麻シート」とは、再構成タバコシートと同様の態様で製造されたシートを意味し、タバコの、ダスト、茎、及び/又は副産物と、大麻の、花、葉、ダスト、茎、及び/又は副産物(両方とも、事前に細かく粉砕されている)と、を圧延又は鋳造し、凝集剤又はバインダと一緒に混合したものであり、保湿剤、香料、防腐剤、並びに/若しくは、追加的なカンナビノイド又は追加的なテルペン、を含むことができる。製造後には、再構成タバコ大麻シートは、全葉タバコと同様の態様で切断され、「再構成タバコ大麻」は、紙巻タバコのフィラー内に含まれることができる。これに代えて、それ自体で市販することができる。再構成タバコ大麻シートのタバコ大麻部分は、累積的に、約70%〜約90%のタバコ及び大麻とすることができ、残りの10%〜30%は、凝集剤又はバインダ、保湿剤、香料、防腐剤、並びに/若しくは、追加的なカンナビノイド又は追加的なテルペン、とすることができる。再構成タバコ大麻シートは、タバコ99%で大麻1%、また、大麻99%でタバコ1%、などの、タバコと大麻とに関する任意の比率を有することができる。
【0207】
超低ニコチン紙巻タバコは、標的化されたレベルのニコチンと、標的化されたレベルの超低THC大麻と、によって特別に設計することができる。例えば、超低ニコチン紙巻タバコ内のフィラーは、正確にブレンドすることができ、82%の低ニコチンタバコと、18%の超低THC大麻と、を含むことができる。超低ニコチン紙巻タバコの大麻部分は、フィラーに対して直接的に添加することができる、あるいは、再構成大麻シート又は再構成タバコ大麻シート内に含まれることができる。いずれかのタイプの再構成シート内に大麻を含むことは、低ニコチンタバコに対しての大麻の正確で所望の比率でもって、及び/又は、1つ又は複数のカンナビノイド(例えば、CBD)に対してのニコチンの正確で所望の比率でもって、紙巻タバコを正確にブレンドすることを容易とする。さらに、この方法は、また、大麻の花又は葉が、全体的であるか、カットされているか、又は粉砕されているかにかかわらず、自動化された紙巻タバコの圧延機(及び、紙巻タバコの充填)を、これらの機械の改造を必要とすることなく、効率的に通過するための形状及び形態を有していないため、持っていないので、紙巻タバコを製造するプロセスを改良する。再構成大麻シート又は再構成タバコ大麻シートは、超低THC大麻又は任意のタイプの大麻を含み得るものであって、大きなシート(紙と同様に)として作製され、その後、タバコのカットラグと全く同じ又は同様のサイズへと及び長尺形状へと切断することができ、この理由のために、現在では、自動紙巻タバコ圧延機によって容易に紙巻タバコ内に含まれている。
【0208】
再構成大麻は、フィラーの3つの別個の成分として、低ニコチン再構成タバコに対して、及び、低ニコチンカットラグタバコに対して、容易にブレンドされる。超低THCであるかどうかにかかわらず、再構成大麻(タバコ及びニコチンを含有していない)を別個に製造することは、同じ再構成シートへとタバコ部分と大麻部分とを混合することと比較して、明確な利点を有している。これらの利点は、シート内にタバコ部分がないことにより、再構成シートを、大麻の割合がはるかに高いものとし得ること、また、再構成大麻(超低THCであるかどうかにかかわらず)が絶対的にゼロニコチンを含むことにより、再構成大麻を、超低ニコチン紙巻タバコのニコチン含有量を希釈するために機能させ得ること、を含む。例えば、超低ニコチン紙巻タバコのためのフィラーのターゲットが、0.3mg/gというニコチンであり、0.4mg/gのニコチンタバコだけしか利用できない場合には、75%の低ニコチンカットラグタバコに対して、25%の割合でニコチン非含有の再構成大麻をブレンドすることにより、0.30mg/gというニコチン含有量を有したフィラーが得られることとなる。大麻が、栽培された最も古い植物の1つであり、何千年にもわたって人間によって消費されてきたことにより、周知の安全性プロフィールを有している。非THCカンナビノイドを含むという利点に加えて、超低THC大麻は、超低THC大麻がシートへと再構成されているかあるいは紙巻タバコのフィラー内において直接的に使用されているかにかかわらず、タバコとブレンドして喫煙するための理想的な非タバコ/非ニコチン植物である。
【0209】
大麻の花(つぼみ)が、雌大麻植物内のカンナビノイドの大部分を含んでいるが、大麻の葉及び/又は茎を、また、再構成大麻シート及び再構成タバコ大麻シートにおいて使用することもできる。葉は、葉緑素が充分に減少するまで、乾燥させることができる。植物材料は、まず、約100メッシュ〜約400メッシュの粉末コンシステンシーへと粉砕され、その後、その多くが当該技術分野において公知である再構成シートプロセスへと導入される。再構成大麻又は再構成タバコ大麻は、紙巻タバコのフィラーに組み込むことができ、再構成大麻又は再構成タバコ大麻のいずれかは、超低THC大麻とすることができ、また、高レベルのTHCを有した大麻とすることができる。従来的な紙巻タバコのフィラー又は超低ニコチン紙巻タバコのフィラーは、1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は、100%(パーセントは、重量比率とされている)、という、再構成大麻又は再構成タバコ大麻に関する例示的なパーセントを含めて、再構成大麻又は再構成タバコ大麻に関する任意の割合を含むことができる。
【0210】
他の例示的な実施形態では、再構成タバコ、再構成タバコ/大麻、又は再構成大麻内に、外来抽出カンナビノイド、すなわち、大麻植物の外部で生成されたカンナビノイド(例えば、CBD/CBDA)を、含むことができる。これは、任意の再構成シート内において、個々のカンナビノイドの正確なカンナビノイド含有量及びプロフィール(すなわち、2つの個々のカンナビノイドどうしの間の比率、又は、3つ以上の個々のカンナビノイドどうしの間の比率)を可能とすることができる。例えば、低ニコチン再構成タバコは、CBD/CBDA及びCBC/CBCAを含み得るとともに、10/1という(CBD/CBDA)/(CBC/CBCA)比率を有することができ、これらのカンナビノイドの供給源は、大麻から抽出されたもの、又は、合成されたもの、のいずれかとすることができる。例えば、米国特許第9,587,212号明細書を参照されたい。超低ニコチン紙巻タバコ、タバコスティック、再構成タバコ、及び電子タバコは、少なくとも、1.0mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、1.6mg、1.7mg、1.8mg、1.9mg、2.0mg、2.1mg、2.2mg、2.3mg、2.4mg、2.5mg、2.6mg、2.7mg、2.8mg、2.9mg、3.0mg、3.1mg、3.2mg、3.3mg、3.4mg、3.5mg、3.6mg、3.7mg、3.8mg、3.9mg、4.0mg、4.1mg、4.2mg、4.3mg、4.4mg、4.5mg、4.6mg、4.7mg、4.8mg、4.9mg、5.0mg、5.1mg、5.2mg、5.3mg、5.4mg、5.5mg、5.6mg、5.7mg、5.8mg、5.9mg、6.0mg、6.1mg、6.2mg、6.3mg、6.4mg、6.5mg、6.6mg、6.7mg、6.8mg、6.9mg、7.0mg、7.1mg、7.2mg、7.3mg、7.4mg、7.5mg、7.6mg、7.7mg、7.8mg、7.9mg、8.0mg、8.1mg、8.2mg、8.3mg、8.4mg、8.5mg、8.6mg、8.7mg、8.8mg、8.9mg、又は、9.0mg、のカンナビノイドを含むことができる。
【0211】
テトラヒドロカンナビノール酸合成酵素(THCAS)の発現をダウンレギュレートすることは、超低ニコチン紙巻タバコにおいて使用するための超低THC大麻を提供するために利用される。上述したようにCRISPR−cas9システムを使用して、THCASは、その雌花が多量のCBDAと低量のTHCAとを含むヘンプの品種(例えば、チェリーワイン)において抑制されている。THCASが遺伝的な操作によって抑制されていて、低減したTHCA/THC含有量を有した大麻植物は、喫煙者を従来的な紙巻タバコから移行させることを支援するために、超低ニコチン紙巻タバコにおいて、電子タバコにおいて、及びタバコ加熱製品において、使用することができる。Sirikantaramas et al.2004,J.Biol.Chem.279(38),39767−39774を参照されたい。遺伝子発現を抑制するための任意の公知のシステムを使用し得るけれども、当該技術分野における当業者は、遺伝子発現の抑制に関して本明細書において説明しているようなCRISPR/CAS9システムを使用することができる。アグロバクテリウム形質転換ベクターは、ヘンプの品種であるチェリーワインなどの、レシピエント形質転換されたヘンプ植物において、植物U6又はU3プロモータなどの適切な植物プロモータを使用して、THCASをノックアウトするために特異的なgRNAsを有するように構築することができる。
【0212】
育種方法又は遺伝子操作的方法にかかわらず、大麻植物又はその一部が提供され、ここで、大麻植物内のTHCA/THCレベルは、同様の成長条件で成長した場合の対照植物のTHCA/THCレベルと比較して、1%未満、2%未満、5%未満、8%未満、10%未満、12%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、40%未満、50%未満、60%未満、70%未満、又は、75%未満、にまで低減され、ここで、対照植物は、低減されたTHCA/THCの変化、及び、任意の関連する付随的な効果を除いて、大麻植物と実質的に同じ遺伝的背景を共有する。遺伝的に操作された植物は、本明細書では、THCA/THCを低減させた大麻植物と称される。
【0213】
他の実施形態では、本開示は、大麻植物内のΔ9−テトラヒドロカンナビノール酸(THCA/THC)を低減するための、並びに、喫煙者が電子タバコ又はタバコ加熱製品へと切り替えることを支援するためにあるいはタバコの使用を完全にやめることを支援するために、超低ニコチン紙巻タバコ内においてそのような植物を利用するための、方法論を提供する。THCA/THCを低減させた大麻植物は、また、電子タバコ、従来的な紙巻タバコ、並びに、タバコスティック又はタバコ加熱ロッドなどの、あらゆるタイプのタバコや大麻組成物や製品において使用される。当該技術分野において公知なように、アンチセンス技術、RNA干渉(RNAi)、リボザイム、CRISPR技術、及びmicroRNAs(miRNAs)などの、遺伝子発現を低減させるための任意の方法論を使用し得るけれども、これらに限定されるものではない。
【0214】
任意の、超低ニコチン紙巻タバコ、従来的な紙巻タバコ、電子タバコ、タバコスティック、又はタバコ加熱ロッドは、それぞれ、少なくとも、2mg、3mg、5mg、10mg、20mg、40mg、60mg、80mg、100mg、120mg、140mg、160mg、180mg、200mg、220mg、240mg、260mg、280mg、300mg、320mg、340mg、360mg、380mg、400mg、420mg、440mg、460mg、480mg、500mg、520mg、540mg、560mg、580mg、600mg、620mg、640mg、660mg、680mg、700mg、720mg、740mg、760mg、780mg、800mg、820mg、840mg、860mg、880mg、900mg、920mg、940mg、960mg、980mg、1000mg、1.020g、1.040g、1.060g、1.080g、1.100g、1.120g、又は、1.140g、という量の超低THC大麻を含むことができる。2mg超のニコチン(例えば、3mgのニコチン)を含有した従来的な紙巻タバコを含むこれらのタバコ製品は、図2に示すものなどの典型的なニコチン含有量の従来的な紙巻タバコから喫煙者を移行させるために使用することができる。これらのタバコ製品には及び他のタバコ製品には、花又は葉などの任意の大麻植物部分を含むことができる。2mg〜1.140gという上記の大麻量は、また、再構成大麻(任意の再構成大麻プロセスの非大麻成分を含む)又は再構成タバコ大麻(任意の再構成タバコ大麻の非大麻成分かつ非タバコ成分を含む)の形態とすることができる。再構成タバコ、再構成大麻、又は再構成タバコ大麻は、抽出されたカンナビノイド、又は、大麻植物の外部で製造された合成カンナビノイド(例えば、CBD)を含むことができる。
【0215】
Δ9−テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)は、植物内においてテトラヒドロカンナビノール酸合成酵素(THCAS)の発現を抑制することによって、また、少なくとも1つの追加的なカンナビノイド生合成酵素を抑制することによって、大麻植物内で低減させることができる。配列識別番号21に記載したTHCAS、及び、1つ又は複数のカンナビノイド生合成遺伝子(配列識別番号13、15、17、19、21、23、25)は、THCA/THCを低減させた大麻を製造するために、単一の植物系統において同時的に抑制することができる。加えて、アシル活性化酵素、オリベトール合成酵素、オリベトール酸シクラーゼ、芳香族プレニル転移酵素、テトラヒドロカンナビノール酸合成酵素、カンナビジオール酸合成酵素(CBDAS)、及びカンナビクロメン酸合成酵素(CBCAS)、からなる群から選択される少なくとも1つの追加的なカンナビノイド生合成酵素の抑制と一緒に、大麻植物において、THCAS及びカンナビノール酸合成酵素(CBGAS)を、同時的に抑制することができる。植物遺伝子操作における任意の適切な方法を、当該技術分野において公知なように使用することができる。
【0216】
適切な大麻植物は、任意のエリートカンナビスサティバ系統又は品種とすることができ、これらのそれぞれは、当該技術分野において公知の技術を使用して遺伝的に操作することができる。例えば、限定するものではないが、アグロバクテリウム形質転換ベクターは、単一のレシピエント形質転換されたカンナビスサティバ植物において、THCAS及び他のカンナビノイド生合成遺伝子をノックアウトするために特異的なgRNAsを有するように構築することができる。大麻植物は、喫煙者のニコチン曝露を減少させるよう、喫煙者を電子タバコ又はタバコ加熱製品へと移行させるために使用されるあるいはタバコ製品を完全にやめるために使用される超低ニコチン紙巻タバコなどのタバコ製品又はニコチン製品を使用するために、(対照植物と比較して)THCA/THCを低減させたものが選択される。超低THCA/THC大麻植物部分(例えば、カンナビノイド)も、また、電子タバコの電子液体内へと、あるいは、タバコ加熱製品のタバコスティックのタバコ内へと、組み込むことができる。
【0217】
同様に、THCAS及び他のカンナビノイド生合成遺伝子の発現は、独立した植物系統において別々に抑制することができ、その後、結果として得られた大麻は、タバコ製品において使用するために一緒にブレンドすることができる。例えば、ある植物系統では、アグロバクテリウム形質転換ベクターは、レシピエント形質転換されたカンナビスサティバ植物において、THCASをノックアウトするために特異的なgRNAを有するように構築することができる。別の植物系統では、上記カンナビノイド生合成遺伝子のいずれかを含む別のカンナビノイド生合成遺伝子を抑制することができ、これは、例えば、この遺伝子をノックアウトするために特異的なgRNAを有したアグロバクテリウム形質転換ベクターを使用して行う。抑制されたTHCAS(対照植物と比較してTHCA/THCを低減させたことによって特徴づけられる)を有した第1植物系統の選択、及び、抑制された活性(対照植物と比較してTHCA/THCが低いことによって特徴づけられる)を有した第2植物系統の選択に続いて、各植物系統からの大麻のつぼみは、ニコチン曝露を低減させるよう、喫煙者をタバコ加熱製品へと移行させるために使用されるあるいはタバコ製品を完全にやめさせるために使用される超低ニコチン紙巻タバコなどのタバコ製品において使用するために一緒にブレンドすることができる。他の植物部分のこれらのつぼみは、再構成大麻内へと、又は、再構成タバコ大麻内へと、組み込むことができる。
【0218】
実施例6
IQOS(登録商標)加熱システム又はJUUL(登録商標)電子タバコへの切替を容易とするために、超低THC大麻を使用する場合と使用しない場合とにおいて、超低ニコチン紙巻タバコを評価する方法A臨床試験プロトコル
図6は、方法Aに従って紙巻タバコ喫煙者を電子タバコ又はタバコ加熱デバイスへと移行させる臨床試験プロトコルを示す時系列図である。4群での研究に採用されるための基準には、タバコをやめることに興味がない喫煙者と、超低ニコチン紙巻タバコ、電子タバコ、又はタバコ加熱デバイスを、これまでまともに使用したことがない喫煙者と、が含まれる。普及している電子タバコとは異なり、現時点で全世界の喫煙者の約99.95%は、超低ニコチン紙巻タバコを喫煙したことがなく、現時点で全世界の喫煙者の約97%は、タバコ加熱デバイスを使用したことがない。
【0219】
この想定された試験では、6週間の移行期間(符号28)は、試験の4群内のすべての被験者に関して固定され、タバコスティックのニコチンレベルは、研究においてタバコスティックを使用するすべての被験者に関して同じであり、電子タバコのニコチンレベルは、研究において電子タバコを使用するすべての被験者に関して同じである。被験者の総数は、少なくとも1200人の喫煙者であると予想される。移行期間に至るまでの時間フレームは、4群内への被験者の募集、スクリーニング、及び無作為化(符号29)を含む。無作為化が終了した後に、被験者によってアプリがダウンロードされ(符号30)、情報、推奨、及び指示が、喫煙者のスマートフォンに対して送信され(符号31)、喫煙者に対して、移行キットが供給される(符号32)。400人の被験者が、研究の第1群となり、紙巻タバコ1本あたりに約0.67mgのニコチンを含有する超低ニコチン紙巻タバコを使用するとともに、これらの被験者の半分が、IQOS(登録商標)加熱システムを使用し、半分が、JUUL(登録商標)電子タバコを使用する。400人の被験者が、第2群となり、80パーセントの低ニコチンタバコ(第1群の紙巻タバコと同じフィラー)と、20パーセントの再構成大麻であって、75パーセントの超低THC大麻と25パーセントの再構成大麻プロセスの非大麻成分かつ非タバコ成分とからなる、20パーセントの再構成大麻と、を含有した超低ニコチン紙巻タバコを使用するとともに、これらの被験者の半分がIQOS(登録商標)加熱システムを使用し、半分が、JUUL(登録商標)電子タバコを使用する。第2群の超低ニコチン紙巻タバコは、したがって、紙巻タバコ1本あたりに約0.54mgというニコチンを含有している。第3群の200人の被験者と、第4群の200人の被験者とは、超低ニコチン紙巻タバコを一切使用しないため、配布される臨床試験資料には含まれていない。
【0220】
図6に示すように、6週間の処置期間(移行期間)(符号28)の後に、4週間の測定期間(符号33)及び1週間の追跡測定期間(符号34)を設けて、研究の4群にわたって紙巻タバコ及びタバコスティックの使用を決定する。1週間の追跡測定期間(符号34)は、時間ポイント0(符号35)から6ヶ月後に開始するものであって、この7日間の期間にわたってタバコ使用をさらに評価する。第1群及び第2群の被験者は、図1の方法Aにおける例示的な実施形態と同じ一般的な指示及び推奨に従う。被験者は、時間ポイント0(符号35)において、従来的な紙巻タバコの喫煙を停止するとともに、超低ニコチン紙巻タバコの喫煙を開始する。被験者は、時間ポイント1(符号36)(圧倒的な渇望を感じた時点)において、IQOS(登録商標)加熱システム又はJUUL(登録商標)電子タバコのいずれかの使用を開始し、時間ポイント2(符号37)において超低ニコチン紙巻タバコの喫煙を停止し、さらに、移行期間後には、IQOS(登録商標)又はJUUL(登録商標)の使用を継続する。
【0221】
第3群の被験者に対しては、時間ポイント0(符号35)(第1群及び第2群の被験者が従来的な紙巻タバコの喫煙を停止するとともに、超低ニコチン紙巻タバコの喫煙を開始するのと同じ時間ポイント)において、IQOS(登録商標)加熱システムの使用を開始ように、そして、いかなる種類の紙巻タバコも喫煙しないように、指示する。これらの被験者に対しては、また、6週間の移行期間を通して及び4週間の測定期間を通して、IQOS(登録商標)を使用し続けるようにも、指示する。第4群の被験者に対しては、時間ポイント0(符号35)において、JUUL(登録商標)電子タバコの使用を開始するように、そして、いかなる種類の紙巻タバコも喫煙しないように、指示する。これらの被験者に対しては、6週間の移行期間を通して及び4週間の測定期間を通して、JUUL(登録商標)を使用し続けるように、指示する。
【0222】
4群にわたってのこの方法A臨床試験の主要評価項目は、例えば、図6に示す4週間の測定期間及び1週間の測定期間において、タバコスティック又は電子タバコを排他的に又は圧倒的に使用すること(90%以上かつ100%以下のタバコスティック使用又は電子タバコ使用、及び、0%以上かつ10%以下の紙巻タバコ使用)である。タバコスティック及び紙巻タバコの使用率並びに電子タバコ及び紙巻タバコの使用率も含めた切替率は、移行期間中に及び測定期間中に評価され、研究の4群どうしの間で比較される。毎日の紙巻タバコの使用(存在する場合には、超低ニコチン紙巻タバコ及び従来的な紙巻タバコ)、毎日のタバコスティックの使用、及び毎日の電子タバコの使用は、移行期間中に、及び、4週間の測定期間中に、さらには、1週間の追跡測定期間中に、各被験者によって、カウントされ、追跡され、そして、アプリ内へと入力される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]