(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のゲル状洗浄剤の製造方法の好ましい実施の形態(以下、実施形態という)を以下に詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0017】
本発明の製造方法においては、洗浄剤組成物は、A群及び/又はB群より選ばれる1種又は2種以上を含有してもよい。
【0018】
(A群)のアニオン性界面活性剤は、(A−1)カルボン酸塩、(A−2)ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩(アルキル基の炭素数が12−22、飽和又は不飽和)又は(A−3)N−アシルアミノ酸のナトリウム塩、カリウム塩又はアミン塩である。
【0019】
(A−1)カルボン酸塩としては、次式で表されるものが好ましい。
【0021】
式中、Rは、炭素数12〜22の飽和又は不飽和アルキル基、Mは、Na、K又はアミン塩を示す。
【0022】
(A−1)カルボン酸塩に用いられる脂肪酸は、通常、洗浄料に配合され得るものであれば特に限定されず、アルキル基が炭素数8〜22の飽和、不飽和、直鎖又は分岐の脂肪酸や天然油脂である。アルキル基が炭素数8〜22の飽和、不飽和、直鎖又は分岐の脂肪酸は、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコ酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、ネオデカン酸をあげることができる。天然油脂は、例えば、ヤシ油、パーム油、パーム核油、綿実油、アプリコット核油、アボガド油、オリーブ油、グレープシードオイル、コーン油をあげることができる。
【0023】
また、カルボン酸塩の塩として用いられるアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機アルカリ、塩基性アミノ酸のLーアルギニン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリ、多価アルコールアミンのエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、アミノエチルプロパンジオール、アミノメチルプロパンジオール、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン等のアルキルアミンをあげることができる。低温安定性の観点から、水酸化カリウム、トリエタノールアミンが好ましく、水酸化カリウムがより好ましい。
【0024】
そして、これらのカルボン酸塩のうち、好ましい例として、カリ石鹸素地とも呼ばれる脂肪酸カリウム塩があげられる。脂肪酸カリウム塩は、天然油脂に水酸化カリウムを加えて加熱する炊き込み法により製造したものであり、主たる成分として、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム等を含有すると共に、かかる製法上必然的に由来する未反応の油脂、分解して生成されるグリセリン等を含む。
【0025】
(A−2)ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩(アルキル基の炭素数が12−22、飽和又は不飽和)としては、次式で表されるものが好ましい。
【0027】
式中、Rは、炭素数12〜22の飽和又は不飽和アルキル基、nは平均で1〜20、R
1は、炭素数1または2の飽和アルキル基、Mは、Na、K又はアミン塩を示す。
【0028】
(A−2)ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩はラウリルアルコールにエチレンオキサイドを4〜5モル付加重合させて、モノクロル酢酸を反応させたものが代表される。
【0029】
(A−2)ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩の中でも、皮膚刺激性を抑制する点で、次式に示す、(A−2−1)ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩が好ましい。
【0031】
式中、Rは炭素数12〜22の飽和又は不飽和アルキル基、nは平均で1〜20、Mは、Na、K又はアミン塩を示す。
【0032】
また、(A−2)ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩の中でも、耐硬水性があり、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウムとの混合使用で好ましい洗浄性を発揮する点で、次式に示す、(A−2−2)ポリオキシエチレンアルキルエーテルプロピオン酸塩(アルキル基の炭素数が12−22、飽和又は不飽和)が好ましい。
【0034】
式中、Rは炭素数12〜22の飽和又は不飽和アルキル基、nは平均で1〜20、Mは、Na、K又はアミン塩を示す。
【0035】
(A−2−2)の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム(n=4、R=C
12、M=Na)である、ネオハイテノールECL−30S(第一工業製薬株式会社)、ビューライトLCA(三洋化成株式会社)、エナジコールEC−30(ライオン株式会社)があげられる。
【0036】
(A−3)N−アシルアミノ酸のナトリウム塩、カリウム塩又はアミン塩としては、次式で表されるものが好ましい。
【0038】
式中、Rは炭素数12〜22の飽和又は不飽和アルキル基、R
2は、−H、−CH
3、又は−CH
2CH
2COOM、Mは、Na、K又はアミン塩を示す。
【0039】
(A−3)N−アシルアミノ酸のナトリウム塩、カリウム塩又はアミン塩は、緩和な洗浄力を有するもので、肌に低刺激である点で好ましい。
【0040】
(B群)の両イオン性界面活性剤としては、次式で表される(B−1)〜(B−8)があげられる。
【0043】
式中、Rは炭素数12〜22の飽和又は不飽和アルキル基、Mは、Na、K又はアミン塩を示す。
【0046】
式中、Rは炭素数12〜22の飽和又は不飽和アルキル基、Mは、Na、K又はアミン塩を示す。
【0049】
式中、Rは炭素数12〜22の飽和又は不飽和アルキル基、Mは、Na、K又はアミン塩を示す。
【0052】
式中、Rは炭素数12〜22の飽和又は不飽和アルキル基、Mは、Na、K又はアミン塩を示す。
【0055】
式中、Rは炭素数12〜22の飽和又は不飽和アルキル基、Mは、Na、K又はアミン塩を示す。
【0058】
式中、Rは炭素数12〜22の飽和又は不飽和アルキル基、Mは、Na、K又はアミン塩を示す。
【0060】
式中、Rは炭素数12〜22の飽和又は不飽和アルキル基、Mは、Na、K又はアミン塩を示す。
【0063】
式中、Rは炭素数12〜22の飽和又は不飽和アルキル基、Mは、Na、K又はアミン塩を示す。
【0064】
ヒドロキシル基を有する両イオン性界面活性剤は、水溶性天然高分子との相互作用があり、ゲル化に大きく寄与する点から、ゲル状洗浄剤に含有するのが好ましい。また、肌への低刺激性、耐硬水性、起泡力が優れる点から、(B−6)に示すアルキルアミドプロピルベタインが好ましい。洗浄性及び起泡力が優れ、低い眼膜刺激性の点から、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインがより好ましい。
【0065】
ゲル化剤は、下記に示すC群より選ばれる1種又は2種以上を含有してもよい。
(C群)ゲル化剤
(C−1)植物又は海藻由来の水溶性高分子
キシログルカン、グアーガム、ローカストビーンガム、アガロース、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、グルコマンナン、ペクチン
(C−2)微生物発酵法により産生される水溶性高分子
キサンタンガム、ジュランガム、プルラン、カードラン、ヒアルロン酸ナトリウム
【0066】
ゲル状洗浄剤は、肌への低刺激性の点から、1重量%水溶液換算で、pH8以上11以下とすることが好ましいため、ゲル化剤は、アルカリ耐性、耐塩性、耐熱性であることが好ましい。なかでも、タマリンド種子ガムからのキシログルカン、グアーガム、ガラギーナン、ローカストビーカムは耐塩性、耐熱性のあるガム類の水溶性高分子であり、植物由来もあって、環境保護の面からも好ましい。
【0067】
ゲル化剤の配合量は、ゲル状洗浄剤の全体重量当たり、0.1重量%以上10重量%以下が好ましく、より好ましくは、1重量%以上5重量%以下である。1重量%未満であるゲル状に固形化することが難しくなり、一方、10重量%を超えると、過度の固い固形化により、ゲル状洗浄剤の気泡性が損なわれ、使用時に容易に泡が立たず、洗浄力も発揮されない。
【0068】
ゲル化剤の1重量%水溶液は、5mPa・s以上9000mPa・s以下の粘度で用いるのが好ましく、より好ましくは1000mPa・s以上8000mPa・s以下、さらに好ましくは2000mPa・s以上6000mPa・s以下である。5mPa・s以上9000mPa・s以下を超えると、取り扱いが難しくなる。
【0069】
ゲル状洗浄剤は、泡立ち、泡質及び肌に対する保湿性を向上させ、水溶性高分子等のゲル化剤との相互作用により増粘性を示すことから、1価又は多価アルコールを1種又は2種以上を含有することが好ましい。
【0070】
1価又は多価アルコールの具体例としては、例えば、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールとの1価アルコール、イソペンチルジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1.2ヘキサンジオール、ペンチレングリコール、ポリエチレングリコール、(分子量400以上7000以下)、ポリプロピレングリコール(分子量400)、ジグリセリン、1.3ブチレングリコール、グリセリン、イノシトール等の多価アルコール、蔗糖、乳糖、キシリトール、マルチトール、マンニトール、マルトース、ソルビトール、フラクトース、グルコース、トレハロース、エリスリトール、ラフイノース、ラクチトール、スルトース、イソスルトース、水飴等の糖類又は糖アルコールをあげることができる。
【0071】
1価アルコール又は多価アルコールの配合量は、増粘性付与及び泡立ちの点から、ゲル状洗浄剤の全体重量当たり、2重量%以上50重量%以下が好ましく、より好ましくは、10重量%以上40重量%以下である。糖類又は糖アルコールの配合量は、ゲル状洗浄剤の全体重量当たり、0.5重量%以上50重量%以下が好ましく、より好ましくは、3重量%以上30重量%以下である。
【0072】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るゲル状洗浄剤の製造方法を実施するための工程を説明するフローチャートである。本発明の第1の実施形態は、ゲル化剤を水に70℃以上85℃以下で加熱溶解させてゲル化水溶液を得る工程(A)(ステップS1)、ゲル化水溶液に洗浄剤組成物を添加して分散させ、溶融物を得る工程(B)(ステップS2)、溶融物を撹拌しつつ成形用のゴム状容器に充填する工程(C)(ステップS3)、ゴム状容器に充填した溶融物を室温で冷却固化する工程(D)(ステップS4)、ゴム状容器を除去する工程(E)(ステップS5)を行うことにより実施される。
【0073】
ステップS1では、ゲル化剤を水に70℃以上85℃以下で加熱溶解させてゲル化水溶液を得る。ゲル化水溶液は、70℃以上85℃以下で所定の時間(例えば、15分以上3時間以下)加熱することでゲル化剤が膨潤し、水と混合・溶解を行うことにより得られる。
図5は、本発明の製造方法を実施するためのタンクの一例を示す模式断面図である。ゲル化剤及び水は、例えば、
図5に示す加熱器11を備えるタンク10内に仕込まれる。そして、タンク10の内部に備えられた撹拌翼等の撹拌手段12を作動させることで、タンク10内は撹拌され、ゲル化水溶液13は均一に混合される。加熱温度が70℃未満の場合には、ゲル化剤の溶解が不完全になるおそれがあり、一方、85℃を越える場合には、ゲル化剤が変性するおそれがある。
【0074】
また、ゲル状洗浄剤に1価又は多価アルコールを含有させる場合、ステップS1において、1価又は多価アルコールを添加し、ゲル化剤及び水とともに70℃以上85℃以下で加熱溶解させてゲル化水溶液を得る。
【0075】
ステップS2では、ゲル化水溶液に洗浄剤組成物を添加して分散させ、溶融物を得る。洗浄剤組成物がゲル化水溶液に均一に分散されるよう、所定の時間(例えば、1時間以上2時間以下)加熱しながら行うことが好ましい。加熱温度は、ゲル化剤及び洗浄剤組成物の融点に応じて適宜設定することができる。一般的には、加熱温度は、最も融点の高い温度を有する原料の融点以上であることが好ましく、原料の溶解とゲル化剤の変性防止を両立させるために、65℃以上85℃以下が好ましい。
【0076】
洗浄剤組成物添加により発生する気泡の混入を防止し、ゲル状洗浄剤の透明性を向上させるため、真空装置を用いて溶融物を脱気することが好ましい。
図2は、本発明の第2の実施の形態に係るゲル状洗浄剤の製造方法を実施するための工程を説明するフローチャートであり、ゲル化水溶液に洗浄剤組成物を添加して分散させ、溶融物を得る工程(B)において、ゲル化水溶液に洗浄剤組成物を添加して分散させて脱気しつつ、溶融物を得る工程(G)(ステップS2−1)とする。
図6は、本発明の製造方法を実施するための真空装置の一例を示す模式断面図である。ステップS2−1では、ゲル化水溶液及び洗浄剤組成物を真空釜21に仕込み、真空装置20に備えられた撹拌翼等の真空装置の撹拌手段22及び加熱手段を備えるジャケット24を作動させることで、真空装置20内は加熱、撹拌され、真空ポンプ23を作動させることで、真空釜21内は、減圧又は真空状態となり、溶融物は、均一に混合されながら、気泡が除去される。真空釜21内の壁面の付着物や真空釜21下部の滞留物をなくすために、真空装置の撹拌手段22は、スクレーパー25を装備したアンカーミキサーが望ましい。真空装置の撹拌手段22は、高粘性の溶融物を混合するために、5m/sec以上25m/sec以下の周速度が得られるものが好ましい。また、気泡除去の効率性の点から、真空装置20内を15KPa(abs)以上75KPa(abs)以下の真空度とすることが好ましい。ゲル化水溶液に洗浄剤組成物を添加して分散させ、溶融物を得るための工程と脱気工程を真空装置20内で同時に行う場合、溶融物中の水分減少を防止するために、処理時間は、1時間以上1.5時間以下が好ましく、また、加熱する際は、段階的に行うことが好ましい。
【0077】
図3は、本発明の第3の実施の形態に係るゲル状洗浄剤の製造方法を実施するための工程を説明するフローチャートであり、ゲル化水溶液に洗浄剤組成物を添加して分散させ、溶融物を得る工程(B)において、ゲル化水溶液に脂肪酸カリウム塩を添加して分散させて脱気しつつ、調整物を得る工程(H)(ステップS2−2)と、調整物に脂肪酸カリウム塩以外の前記洗浄剤組成物を添加して分散させて脱気しつつ、溶融物を得る工程(I)(ステップS2−3)とする。脂肪酸カリウム塩をゲル状洗浄剤に含有する場合、気泡の除去が困難であることから、ゲル化水溶液から溶融物を得る際に、ステップS2−2とステップS2−3を行い、2回脱気することが好ましい。
【0078】
本発明のゲル状洗浄剤は、ゲル化剤及び洗浄剤組成物の他に、本発明の目的を損なわない範囲で他の成分、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン等)、粉体(顔料、色素、樹脂等)、香料、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶媒、パール化剤、中和剤、pH調整剤、酵素等の成分を適宜配合することができる。これらの成分は、各成分の分散性の観点から、ゲル化水溶液に洗浄剤組成物が十分に溶解した溶融物に配合することが好ましい。例えば、ゲル状洗浄剤に金箔を含有させる場合、アルコール溶媒に分散させた金箔を溶融物に添加し、混合して分散させる。
【0079】
ステップS3では、溶融物を撹拌しつつ成形用のゴム状容器に充填する。
図7Aは、本発明の溶融物を成形用のゴム状容器に充填する工程(C)を示す図であり、
図7Bは、充填工程(C)の拡大図である。
【0080】
充填装置40の回転テーブル1の外周部分には、切欠き部2が等ピッチで複数個設けられ、注入部3、取外し部4が設けられている。ゴム状容器41が装着された状態で、回転テーブル1は間欠的に回転を行う。注入部3の前にある切欠き部2において、ゴム状容器41を装着する。注入部3では、回転テーブル1が停止した段階で注入器3aが降下し、ゴム状容器41の上面に密着し、ゴム状容器41内に一定量の溶融物が充填される。さらに充填したままで注入器3aが上昇すると、ゴム状容器41から溶融物はあふれるため、回転テーブル1の外周部に装着されている結束装置3bによって、開口部41aが結束部材41cにより結束された後、注入器3aは上昇する。さらに内部に溶融物を充填されたゴム状容器41は回転し、取外し部4において、切欠き部2から取り外される。
【0081】
図7Bに示すように、ゴム状容器41は、溶融物を充填する開口部41aと、略球形状又は略楕円球形状に拡張する拡張部41bを有する。ゴム状容器41の素材は、例えば、天然ラテックスや合成ラテックス等、一般的に使用されるものであれば特に限定はない。ゴム状容器41の内側に着色や転写可能な模様を有することで、ゴム状洗浄剤の外側に着色又は模様を施すことができる。また、溶融物の充填量は特に限定はされないが、例えば、充填量を100gとすることで、ゴム状容器を直径5cmの略球形状に膨張する。
【0082】
図4は、本発明の第4の実施の形態に係るゲル状洗浄剤の製造方法を実施するための工程を説明するフローチャートである。(C)工程と(D)工程の間に、さらに、残余の前記溶融物をゴム状容器の開口部から吸引除去する工程(F)(ステップS3−2)を含むことが好ましい。ステップS3−2を実施する場合には、例えば、充填装置40の取外し部4には、ゴム状容器41からはみ出した残余の溶融物をゴム状容器の開口部41aから吸引除去する吸引装置4aを備えることが好ましい。吸引装置4aの吸引ポンプ4bが吸引ノズル4c内の気体を吸入することで、残余の溶融物を回収し、同時にその吸引圧で切欠き部2からゴム状容器41を取り外すことができる。
【0083】
図7Cは、本発明の製造方法を実施するための溶融物を成形用のゴム状容器に充填する充填装置の一例を示す断面図である。充填装置40は注入器3aを円筒カムにより昇降させる。注入器3aには、その中心部にプランジヤー5が摺動可能に装着され、注入器3aは注入器駆動カム7によって昇降し、プランジヤー5はプランジヤー駆動カム6によって昇降する。回転テーブル1が停止すれば注入器駆動カム7により注入器3aが降下して、回転テーブル1上面に接触し、その後、プランジヤー5がプランジヤー駆動カム6により押し下げられる。充填装置40の上部には充填装置のタンク8が装着され、充填すべき溶融物が満たされている。プランジヤー5が上昇した段階で、撹拌機能を持つ充填装置のタンク8からパイプ9を経由して溶融物が注入器3a内に流入し、プランジヤー5の降下によりゴム状容器41内に充填される。各カムを取着しているカム軸47は、モーター42によりチエーン43を介して駆動し、回転テーブル1は、モーター42からチエーン44、間欠駆動装置45及びチエーン46を介して回転する。
【0084】
充填性の点から、溶融物を60℃以上65℃以下に冷却することが好ましい。60℃未満では溶融物が固化しやすく、ゴム状容器41への充填性が悪くなり、一方、65℃を超えると溶融物の粘度が下がり、充填した際のゲル状洗浄剤の重量のばらつきを起こす恐れがある。また、溶融物を成形用のゴム状容器に充填する工程(C)は、秒速33g以上50g以下の充填速度で行うことが好ましい。秒速33g未満であると、溶融物が固化しやすく、一方、秒速50gを超えると、ゴム状容器41へ空気が混入する恐れがある。
【0085】
ステップS4では、ゴム状容器41に充填した溶融物を室温で冷却固化する。
図8は、本発明の製造方法を実施するための成形用のゴム状容器41に充填した溶融物を冷却固化する装置の一例を示す概略図である。ゴム状容器41に充填した溶融物は、結束された開口部41aが下になるようにホルダー51に収納し、収納箱50にて室温で静置する。冷却固化する時間を1日以上2日以下程度とることで、ゴム状容器41に充填した溶融物は中心部分まで固化し、ゲル状洗浄物となる。
【0086】
ステップS5では、ゴム状容器を除去する。
図9は、本発明のゴム状容器を除去する工程(E)を示す図である。針等の尖端を有する器具61によってゴム状容器41を破裂させることで、ゴム状容器41を除去し、ゴム状容器41中のゲル状洗浄剤62を取り出す。ゴム状容器41は、ゲル状洗浄剤62の充填により略球形状又は略楕円球状に膨張されているため、小さな穴を発生させることにより、ゴム状容器41の表面に傷がつき、容易に破裂することとなる。
【0087】
ステップS5を製造工場にて行い、その後、取り出したゲル状洗浄剤62を容器に包装する工程を経て、市場に流通させる他に、ゴム状容器41にゲル状洗浄剤62を収容したまま流通させて、ユーザーが使用する直前にステップS5を行ってもよい。
【0088】
図7Bに示すように、ゴム状容器41は、開口部41aの反対側に突起部41dを有することが好ましい。ステップS5でゴム状容器41が破裂した際に、裂けたゴム膜が一気に縮もうとするため、ゲル状洗浄剤62の外形を破損させることがある。しかし、ゴム状容器41に突起部41dがあると、突起部41dがないものと比較してゴム膜が穏やかに縮むため、ゲル状洗浄剤62の外形を破損させることなく、ゴム状容器41を破裂させることができる。
【実施例】
【0089】
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。本明細書中、詳細な説明、実施例および特許請求の範囲に記載の百分率、比率、および部は、全て重量基準であり、そうでないと特記しない限り概略値である。なお、実施例1〜6は、
図1に示す製造工程のフローチャートにしたがって製造した。
【0090】
〔実施例−1〕
〈1〉精製水 67.9%
〈2〉グリセリン 10.0%
〈3〉ジプロピレングリコール 7.0%
〈4〉1,2ヘキサングリコール 2.5%
〈5〉キシログルカン(グリロイド6C、/DSP五協フード&ケミカル株式会社)0.8%
〈6〉キサンタンガム 0.2%
〈7〉ラウリン酸 5.9%
〈8〉ミリスチン酸 2.2%
〈9〉パルミチン酸 1.0%
〈10〉ステアリン酸 0.4%
〈11〉オレイン酸 0.6%
〈12〉苛性ソーダ 1.5%
合計 100.0%
製法
成分〈2〉、〈3〉混合物に、成分〈5〉、〈6〉を湿潤、分散させて、〈1〉に加え、85℃に加熱し、攪拌し、溶解した(ステップS1)。次に、成分〈7〉−〈12〉を混合、融解し、撹拌させ、均一なる溶融物を得た(ステップS2)。その後、溶融物を65℃〜80℃に保ちながら、撹拌しつつ成形用のゴム状容器に充填し(ステップS3)、室温に静置し(ステップS4)、爪楊枝でゴム状容器を除去して(ステップS5)、ゲル状洗浄剤を得た。
【0091】
〔実施例−2〕
〈1〉精製水 48.4%
〈2〉ソルビトール 10.0%
〈3〉プロパンジオール 10.0%
〈4〉1,2ヘキサングリコール 2.5%
〈5〉キシログルカン(グリロイド6C) 1.0%
〈6〉キサンタンガム 0.5%
〈7〉ラウリン酸 5.9%
〈8〉ミリスチン酸 2.2%
〈9〉パルミチン酸 1.0%
〈10〉ステアリン酸 0.3%
〈11〉オレイン酸 0.6%
〈12〉水酸化カリウム 2.60%
〈13〉ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン液(ソフタゾリンLSB//川研ファインケミカル株式会社) 15.0%
合計 100.0%
製法
成分〈2〉−〈4〉混合物に、成分〈5〉、〈6〉を湿潤、分散させて、〈1〉に加え、85℃に加熱し、攪拌し、溶解した(ステップS1)。次に、成分〈7〉−〈12〉を混合、75−85℃に加熱し溶解後、成分〈13〉を加えて撹拌し、均一なる溶融物を得た(ステップS2)。その後、溶融物を75℃〜80℃に保ちながら、撹拌しつつ成形用のゴム状容器に充填し(ステップS3)、室温に静置し(ステップS4)、爪楊枝でゴム状容器を除去して(ステップS5)、ゲル状洗浄剤を得た。
【0092】
〔実施例−3〕
〈1〉精製水 48.0%
〈2〉ジプロピレングリコール 7.0%
〈3〉1,2ヘキサングリコール 2.5%
〈4〉キサンタンガム 0.5%
〈5〉カラギーナン 2.0%
〈6〉ヤシ油脂肪酸プロピルベタイン液(オバゾリンCAB30/東邦化学工業株式会社)40.0%
合計 100.0%
製法
成分〈2〉、〈3〉に成分〈4〉、〈5〉を湿潤、分散させて、〈1〉に加え、85℃に加熱し、攪拌し、溶解した(ステップS1)。次に、成分〈6〉を混合して撹拌し、均一なる溶融物を得た(ステップS2)。その後、溶融物を68℃〜80℃に保ちながら、撹拌しつつ成形用のゴム状容器に充填し(ステップS3)、室温に静置し(ステップS4)、爪楊枝でゴム状容器を除去して(ステップS5)、ゲル状洗浄剤を得た。
【0093】
〔実施例−4〕
〈1〉精製水 58.5%
〈2〉ジプロピレングリコール 7.0%
〈3〉1,2ヘキサングリコール 2.5%
〈4〉カラギーナン 2.0%
〈5〉ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム(ネオハイテノールECL−30S/第一工業製薬株式会社)30.0%
合計 100.0%
製法
成分〈2〉、〈3〉に成分〈4〉を湿潤、分散させて、〈1〉に加え、85℃に加熱し、攪拌し、溶解した(ステップS1)。次に、成分〈6〉を混合して85℃に加熱、撹拌し、均一なる溶融物を得た(ステップS2)。その後、溶融物を60℃〜75℃に保ちながら、撹拌しつつ成形用のゴム状容器に充填し(ステップS3)、室温に静置し(ステップS4)、爪楊枝でゴム状容器を除去して(ステップS5)、ゲル状洗浄剤を得た。
【0094】
〔実施例−5〕
〈1〉精製水 59.5%
〈2〉1,2ヘキサングリコール 2.5%
〈3〉キシログルカン(グリロイド6C) 0.7%
〈4〉キサタンガム 0.3%
〈5〉カリ石ケン素地(100%) 12.0%
〈6〉ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン液(ソフタゾリンLSB/川研ファインケミカル株式会社)15.0%
〈7〉グリセリン 10.0%
〈8〉クエン酸 適量
〈9〉クエン酸Na 適量
合計 100.0%
製法
成分〈2〉に成分〈3〉、〈4〉を湿潤、分散させて、〈1〉に加え、85℃に加熱し、攪拌し、溶解した(ステップS1)。次に、成分〈5〉、〈6〉を順次加え、65−85℃に加熱しながら、攪拌溶解した後、成分〈7〉−〈9〉を加え、pHを10.0に調整し、均一なる溶融物を得た(ステップS2)。その後、撹拌しつつ成形用のゴム状容器に充填し(ステップS3)、室温に静置し(ステップS4)、爪楊枝でゴム状容器を除去して(ステップS5)、ゲル状洗浄剤を得た。
【0095】
〔実施例−6〕
〈1〉精製水 36.5%
〈2〉ジプロピレングリコール 10.0%
〈3〉1,2ヘキサングリコール 2.5%
〈4〉キサンタンガム 0.5%
〈5〉ローカストビーンガム 0.5%
〈6〉ヤシ油脂肪酸プロピルベタイン液(オバゾリンCAB30/東邦化学工業株式会社)50.0%
合計 100.0%
製法
成分〈2〉、〈3〉に成分〈4〉、〈5〉を湿潤、分散させて、〈1〉に加え、85℃に加熱し、攪拌し、溶解した(ステップS1)。次に、成分〈6〉を混合して70℃〜85℃に加熱、撹拌し、均一なる溶融物を得た(ステップS2)。その後、撹拌しつつ成形用のゴム状容器に充填し(ステップS3)、室温に静置し(ステップS4)、爪楊枝でゴム状容器を除去して(ステップS5)、ゲル状洗浄剤を得た。
【0096】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。