特許第6975949号(P6975949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6975949
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】ヘッド位置調整機構及びラインヘッド
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20211118BHJP
【FI】
   B41J2/01 307
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-2239(P2018-2239)
(22)【出願日】2018年1月10日
(65)【公開番号】特開2019-119182(P2019-119182A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2020年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000161057
【氏名又は名称】株式会社ミヤコシ
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(74)【代理人】
【識別番号】100211753
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 紳吾
(72)【発明者】
【氏名】井沢 秀男
(72)【発明者】
【氏名】大山 耕一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 歩
【審査官】 中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−039762(JP,A)
【文献】 特開2006−218700(JP,A)
【文献】 特開2011−073168(JP,A)
【文献】 特開2001−113679(JP,A)
【文献】 特開2007−098838(JP,A)
【文献】 特開2011−152708(JP,A)
【文献】 特開2011−240701(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0293612(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0037047(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のヘッド部を有するインクジェット記録装置のヘッド部の長手方向であるX軸方向の位置を調整するためのヘッド位置調整機構であって、
前記ヘッド部を支持固定するための上面視矩形状のヘッド固定部と、
該ヘッド固定部が取り付けられた直動機構と、
該直動機構が取り付けられたブラケットと、
を備え、
前記直動機構が、前記ヘッド固定部を前記ブラケットに対してX軸方向に案内するものであり、
前記直動機構が、スライドユニット部と、該スライドユニット部がスライド可能なトラックレール部とからなり、
前記ヘッド固定部に前記スライドユニット部が取り付けられ、
前記ブラケットに前記トラックレール部が取り付けられ、
前記ブラケットには、テーパー部を有するテーパーピンと、一方向に付勢するためのプランジャーとが対向するように取り付けられ、
前記ヘッド固定部のX軸方向の一方側の端部には前記テーパーピンのテーパー部が当接され、
前記ヘッド固定部のX軸方向の他方側の端部が前記プランジャーにより前記テーパーピン側に付勢され、
前記テーパーピンを上下移動させることにより、前記ヘッド固定部がX軸方向に直動し、該ヘッド固定部の位置が調整されるヘッド位置調整機構。
【請求項2】
前記ヘッド固定部のX軸方向の一方側の端部には連絡プレートが設けられており、
該連絡プレートに前記テーパーピンのテーパー部が当接されている請求項1記載のヘッド位置調整機構。
【請求項3】
前記テーパーピンが、前記ブラケットに螺合されている請求項1又は2に記載のヘッド位置調整機構。
【請求項4】
前記テーパーピンを回動させるための電動アクチュエーター又は電動モーターを更に備える請求項3記載のヘッド位置調整機構。
【請求項5】
前記ヘッド部には、X軸方向の一方側の端部に上面視V字状の切り欠きが設けられた第1フランジ部が設けられ、他方側の端部に上面視L字状の第2フランジ部が設けられ、
前記ヘッド固定部の両側には一対の位置決めピンが設けられ、
前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部を、対応する前記位置決めピンにそれぞれ当接させた状態で、ネジで固定することにより、前記ヘッド部が前記ヘッド固定部に支持固定される請求項1〜のいずれか1項に記載のヘッド位置調整機構。
【請求項6】
前記ヘッド部が、下面にノズルが形成されたライン型記録ヘッドである請求項1〜のいずれか1項に記載のヘッド位置調整機構。
【請求項7】
ヘッド部に請求項1〜のいずれか1項に記載のヘッド位置調整機構が取り付けられた第1ヘッド部と、
ヘッド部に前記ヘッド位置調整機構が取り付けられていない第2ヘッド部と、
前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部が取り付けられたブロックフレームと、
を備えるラインヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッド位置調整機構及びラインヘッドに関し、更に詳しくは、複数のヘッド部を有するインクジェット記録装置のヘッド部の位置を調整するためのヘッド位置調整機構及びラインヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッド部に形成された複数のノズルから、微滴化したインクを吐出させ、被記録媒体に記録する、いわゆるインクジェット記録装置が知られている。
インクジェット記録装置は、一般に、複数のヘッド部を搭載している。これにより、ヘッド部のノズル詰まりなどで特定の位置に印字不良が発生した場合、ヘッド部全体を交換することなく、不良ヘッド部のみを交換することができる。また、ヘッド部と被記録媒体が相対的に移動する方向に複数のヘッド部を搭載することで、記録速度を落とさずに主走査方向の解像度を増やしたり、主走査方向の解像度を維持しながら記録速度を向上させたりしている。
【0003】
ところで、インクジェット記録装置においては、上述したように、複数のヘッド部を用いるため、仮に、一つのヘッド部の位置がずれているだけでも記録不良が生じることになる。
図12に示すように、被記録媒体Xに対して互い違いに配置された5個のヘッド部H1〜H5で記録する場合、仮にヘッドH2の位置がヘッドH1側にずれていると、被記録媒体Xへの記録においては、付与されたインクのドットが重なり合って濃くなる部分Mと、印字されていないスジ状の白抜け部分Nとが発生することになる。
【0004】
これに対し、ヘッド部の位置を微調整するための機構が開発されている。
例えば、キャリッジ上に固定されるインクジェットヘッドの位置調整を行うインクジェットヘッドの位置調整機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる位置調整機構においては、固定捩子を緩めることにより、インクジェットヘッド10をキャリッジの台座18の基準面上で、+X、−X、+Y、−Yの方向に移動させることが可能となっており、固定捩子を締めることにより、インクジェットヘッド10を押圧して固定することができるようになっている。
また、インクヘッドのノズル形成面における長手方向の一方に延在して形成される第1のガイド部と、インクヘッドのノズル形成面における長手方向の他方に延在して形成される第2のガイド部と、第1のガイド部に当接するように配設される当接部材と、回転するコマを有し、当該コマと前記第2のガイド部との摺動によって、当接部材を支点にインクヘッドを移動させるためのコマ移動部と、コマの回転によって回転する目盛り部と、を有するインクヘッド(ヘッド部)の位置調整機構が知られている(例えば、特許文献2参照)。また、液滴を吐出する複数のノズルが配列された複数のヘッドを、アレイベース部材に配列したヘッドユニットであって、ヘッドは第1プレート部材に保持され、第1プレート部材は第2プレート部材に保持され、第1プレート部材は、第2プレート部材に対して、ヘッドのノズル面に対して垂直方向で、かつ、ヘッドの特定のノズルの中心位置を通るZ軸を軸心として回転可能であり、第2プレート部材の長穴を介して、アレイベース部材のねじ穴にねじをねじ込み、該ねじを緩めることで、第2プレート部材をアレイベース部材に対してX軸方向に移動可能とするヘッドユニットが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−113679号公報
【特許文献2】特開2005−305920号公報
【特許文献3】特開2014−14972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1記載の位置調整機構においては、インクジェットヘッドを長手方向に移動可能としており、また、上記特許文献3記載のヘッドユニットにおいては、第2プレート部材を長手方向に移動可能としているが、いずれも、ネジを緩めて移動させるものであり、高精度で移動させるものとはいえない。また、適正な位置にこれらを移動させたとしても、ネジを締める際には、位置ずれが生じるという問題がある。
【0007】
上記特許文献2記載の位置調整機構においては、ヘッド部の位置調整を、ヘッド部を回動させることにより行っているため、ヘッド部の長手方向における位置調整は、精度が優れるとはいえない。また、一部のヘッド部を回動させると、当該ヘッド部が傾くことになるため、付与されるインクのドット間の距離が変わることになる。そうすると、他のヘッド部と長手方向の位置を合わせようとしても、インクのドット間の距離に差があるため、僅かにずれが生じることになる欠点がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ヘッド部の長手方向(X軸方向)における位置調整を高精度で且つ容易に行うことができるヘッド位置調整機構及びラインヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、ヘッド部をヘッド固定部で固定し、ヘッド固定部を案内するための直動機構を設け、更に、ヘッド固定部のX軸方向の一方側の端部にテーパーピンのテーパー部を当接させ、他方側の端部をプランジャーによりテーパーピン側に付勢させた構成とすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、(1)複数のヘッド部を有するインクジェット記録装置のヘッド部の長手方向であるX軸方向の位置を調整するためのヘッド位置調整機構であって、ヘッド部を支持固定するための上面視矩形状のヘッド固定部と、該ヘッド固定部が取り付けられた直動機構と、該直動機構が取り付けられたブラケットと、を備え、直動機構が、ヘッド固定部をブラケットに対してX軸方向に案内するものであり、直動機構が、スライドユニット部と、該スライドユニット部がスライド可能なトラックレール部とからなり、ヘッド固定部にスライドユニット部が取り付けられ、ブラケットにトラックレール部が取り付けられ、ブラケットには、テーパー部を有するテーパーピンと、一方向に付勢するためのプランジャーとが対向するように取り付けられ、ヘッド固定部のX軸方向の一方側の端部にはテーパーピンのテーパー部が当接され、ヘッド固定部のX軸方向の他方側の端部がプランジャーによりテーパーピン側に付勢され、テーパーピンを上下移動させることにより、ヘッド固定部がX軸方向に直動し、該ヘッド固定部の位置が調整されるヘッド位置調整機構に存する。
【0011】
本発明は、(2)ヘッド固定部のX軸方向の一方側の端部には連絡プレートが設けられており、該連絡プレートにテーパーピンのテーパー部が当接されている上記(1)記載のヘッド位置調整機構に存する。
【0012】
本発明は、(3)テーパーピンが、ブラケットに螺合されている上記(1)又は(2)に記載のヘッド位置調整機構に存する。
【0013】
本発明は、(4)テーパーピンを回動させるための電動アクチュエーター又は電動モーターを更に備える上記(3)記載のヘッド位置調整機構に存する。
【0015】
本発明は、()ヘッド部には、X軸方向の一方側の端部に上面視V字状の切り欠きが設けられた第1フランジ部が設けられ、他方側の端部に上面視L字状の第2フランジ部が設けられ、ヘッド固定部の両側には一対の位置決めピンが設けられ、第1フランジ部及び第2フランジ部を、対応する位置決めピンにそれぞれ当接させた状態で、ネジで固定することにより、ヘッド部がヘッド固定部に支持固定される上記(1)〜()のいずれか1つに記載のヘッド位置調整機構に存する。
【0016】
本発明は、()ヘッド部が、下面にノズルが形成されたライン型記録ヘッドである上記(1)〜()のいずれか1つに記載のヘッド位置調整機構に存する。
【0017】
本発明は、()ヘッド部に上記(1)〜()のいずれか1つに記載のヘッド位置調整機構が取り付けられた第1ヘッド部と、ヘッド部にヘッド位置調整機構が取り付けられていない第2ヘッド部と、第1ヘッド部及び第2ヘッド部が取り付けられたブロックフレームと、を備えるラインヘッドに存する。
【発明の効果】
【0018】
本発明のヘッド位置調整機構においては、ヘッド部が支持固定されたヘッド固定部が直動機構により、ブラケットに対して、X軸方向に案内されるようになっている。
これにより、ヘッド部の向きを、他のヘッド部の向きに対して傾かせることがないため、付与されるインクのドット間の距離は、ヘッド部全体的に一定が維持される。
【0019】
本発明のヘッド位置調整機構において、ヘッド固定部は、X軸方向の一方側の端部にテーパーピンのテーパー部が当接され、他方側の端部がプランジャーによりテーパーピン側に付勢されているので、テーパーピン及びプランジャーにより挟持された状態となっている。
そして、この状態から、テーパーピンを上下移動させることにより、ヘッド固定部とテーパー部との当接位置が、テーパー部の傾斜に基づいて、X軸方向にずれると共に、プランジャーの付勢により、ヘッド固定部がそのずれに追従する。これにより、ヘッド固定部が微移動されることになるので、X軸方向におけるヘッド部の位置調整を高精度で行うことが可能となる。
【0020】
本発明のヘッド位置調整機構においては、テーパーピンの上下方向の移動がヘッド固定部のX軸方向への移動に変換されるので、ヘッド部のX軸方向における位置調整を容易に行うことができる。
また、この場合、テーパーピンの上下方向の移動の度合いから、ヘッド固定部のX軸方向への移動の度合いを認識することができる。
【0021】
本発明のヘッド位置調整機構においては、ヘッド固定部のX軸方向の一方側の端部に連絡プレートを取り付け、該連絡プレートにテーパーピンのテーパー部を当接させるようにすることにより、テーパーピンを上下移動させると、連絡プレートとテーパー部との当接位置が、テーパー部の傾斜に基づいて、X軸方向にずれると共に、プランジャーの付勢により、連絡プレート及びヘッド固定部がそのずれに追従する。これにより、ヘッド固定部が微移動されることになるので、X軸方向におけるヘッド部の位置調整を高精度で行うことが可能となる。
【0022】
また、テーパーピンを上下移動させてテーパー部と連絡プレートとの当接位置をずらすため、連絡プレートが摩耗する場合があるところ、連絡プレートはヘッド固定部に取り付けられているため、連絡プレートのみを取り外して交換することができる。
ちなみに、ヘッド固定部を取り換える場合は、ヘッド位置調整機構全体を分解する必要があるため、作業が煩雑となる。
【0023】
本発明のヘッド位置調整機構においては、テーパーピンがブラケットに螺合されている場合、テーパーピンの回転移動がテーパーピンの上下方向の移動に変換され、更に、これがヘッド固定部のX軸方向への移動に変換されるので、ヘッド部のX軸方向における位置調整をより容易に行うことができる。
また、この場合、テーパーピンの回転の度合いから、テーパーピンの上下方向の移動の度合い及びヘッド固定部のX軸方向への移動の度合いを容易に認識することができる。
【0024】
このとき、ヘッド位置調整機構が、テーパーピンを回動させるための電動アクチュエーター又は電動モーターを更に備える場合、テーパーピンをより高精度に回転させることができ、且つ、テーパーピンの回転の度合いもより高精度に認識することができる。
【0025】
本発明のヘッド位置調整機構において、直動機構が、スライドユニット部と、該スライドユニット部がスライド可能なトラックレール部とからなる場合、ヘッド固定部にスライドユニット部を取り付け、ブラケットにトラックレール部を取り付けることにより、ヘッド固定部が移動する際の摩擦抵抗を極力小さくすることができる。その結果、ヘッド固定部をブラケットに対してスムーズに移動させることができる。
【0026】
本発明のヘッド位置調整機構において、ヘッド部には第1フランジ部及び第2フランジ部が設けられ、ヘッド固定部には一対の位置決めピンが設けられ、第1フランジ部及び第2フランジ部を、対応する位置決めピンにそれぞれ当接させた状態で、ネジで固定することにより、ヘッド部がヘッド固定部に対して位置決めされた状態で固定されることになる。
したがって、ヘッド部のヘッド固定部に対する位置決めを容易に行うことができ、且つ、ヘッド部をヘッド固定部と一体化させることができる。
【0027】
本発明のヘッド位置調整機構は、ヘッド部がライン型記録ヘッドである場合、ヘッド部が固定して用いられ、且つ、より高精度な位置調整を要するため、より好適に用いられる。
【0028】
本発明のラインヘッドは、第1ヘッド部がヘッド位置調整機構を有しているので、ヘッド位置調整機構を有さない第2ヘッド部に対する第1ヘッド部の長手方向(X軸方向)における位置調整を高精度で且つ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1の(a)は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構を示す上面図であり、(b)は、(a)のヘッド位置調整機構のD1矢視側面図である。
図2図2の(a)は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構に取り付けられるヘッド部を示す上面図であり、(b)は、(a)のヘッド部のD2矢視側面図である。
図3図3の(a)は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構に用いられるヘッド固定部を示す上面図であり、(b)は、(a)のヘッド固定部のD3矢視側面図であり、(c)は、(a)のヘッド固定部のD4矢視側面図である。
図4図4の(a)は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構に用いられるブラケットを示す上面図であり、(b)は、(a)のブラケットのD5矢視側面図であり、(c)は、(a)のブラケットをA−A線で切断した部分断面図である。
図5図5は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構に用いられるプランジャーを示す断面図である。
図6図6は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構に用いられるテーパーピンを示す正面図である。
図7図7の(a)は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構に用いられる直動機構を示す上面図であり、(b)は、(a)の直動機構のD6矢視側面図である。
図8図8は、図1の(b)のヘッド位置調整機構をB−B線で切断した部分断面図である。
図9図9は、図1の(a)のブラケットをA’−A’線で切断した断面図である。
図10(a)】図10(a)は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構が取り付けられる前のブロックフレームを示す上面図である。
図10(b)】図10(b)は、本実施形態に係るラインヘッドを示す上面図である。
図11図11の(a)は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構が取り付けられる前のブロックフレームの他の例を示す概略上面図であり、(b)は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構が取り付けられる前のブロックフレームの他の例を示す概略上面図であり、(c)は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構が取り付けられる前のブロックフレームの他の例を示す概略上面図であり、(d)は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構が取り付けられる前のブロックフレームの他の例を示す概略上面図である。
図12図12は、従来の記録不良を説明するための概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0031】
本発明に係るヘッド位置調整機構は、搬送される被記録媒体に対して、ヘッド部からインクを吐出させて記録する、いわゆるインクジェット記録装置に用いられる。
具体的には、インクジェット記録装置のヘッド部の長手方向の位置を調整するために用いられる。
なお、本明細書においては、ヘッド部が上面視で矩形状であり、そのヘッド部の長手方向をX軸方向とし、水平面において当該X軸方向に垂直な方向をY軸方向とし、これらに直交する上下方向をZ軸方向とする。
【0032】
図1の(a)は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構を示す上面図であり、(b)は、(a)のヘッド位置調整機構のD1矢視側面図である。
図1の(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係るヘッド位置調整機構100は、ヘッド部1を支持固定するためのヘッド固定部3と、該ヘッド固定部3が取り付けられた直動機構5と、該直動機構5が取り付けられたブラケット2とを備える。
上記ヘッド位置調整機構100によれば、ヘッド部1をX軸方向に直動させることにより、ヘッド部1のX軸方向における位置調整を高精度で且つ容易に行うことが可能となっている。
【0033】
図2の(a)は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構に取り付けられるヘッド部を示す上面図であり、(b)は、(a)のヘッド部のD2矢視側面図である。
図2の(a)及び(b)に示すように、ヘッド位置調整機構100に取り付けられるヘッド部1は、本体部10と、該本体部10の下面に取り付けられたノズルプレート15と、本体部10にインクを流入されるためのインク流入口11と、本体部10からインクを流出させるためのインク流出口12とを有する。
【0034】
ヘッド部1において、本体部10は上面視で矩形状の箱型であり、内部にインクを収容可能となっている。
そして、本体部10のX軸方向の両側に、インク流入口11及びインク流出口12が立設されている。すなわち、本体部10の一方側(図2の(b)の左側)にインク流入口11が設けられ、他方側(図2の(b)の右側)にインク流出口12が設けられている。
【0035】
ヘッド部1において、本体部10は、その内部がインク流入口11及びインク流出口12と連通しており、インク流入口11から流入されるインクが、本体部10の内部に貯留されるようになっている。
また、洗浄の際には、インク流入口11から流入される洗浄液が、本体部10内を介して、インク流出口12から流出されるようになっている。
【0036】
ノズルプレート15は、その下面に、複数のノズル(図示しない)が形成されている。
ヘッド部1においては、本体部10に収容されたインクが、当該ノズルにより微滴化され下方に吐出されるようになっている。すなわち、ヘッド部1は、固定された状態で、ヘッド部1の下を通過する被記録媒体に対してインクを付与する、いわゆるライン型記録ヘッドとなっている。
なお、ヘッド部1においては、本体部10の下面のノズルプレート15の周囲に支持台16が設けられており、この支持台16がヘッド固定部3に支持されることになる。
【0037】
ここで、ヘッド部1は、X軸方向の一方側(図2の(a)の左側)の端部に上面視V字状の切り欠きが設けられた第1フランジ部13が設けられており、他方側(図2の(a)の右側)の端部に上面視L字状の第2フランジ部14が設けられている。
そして、第1フランジ部13には第1ヘッド部穴13aが設けられており、第2フランジ部14には第2ヘッド部穴14aが設けられている。
【0038】
図3の(a)は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構に用いられるヘッド固定部を示す上面図であり、(b)は、(a)のヘッド固定部のD3矢視側面図であり、(c)は、(a)のヘッド固定部のD4矢視側面図である。
図3の(a)、(b)及び(c)に示すように、ヘッド固定部3全体は、上面視で矩形状であり、側面視でL字状となっている。
ヘッド固定部3は、平板状の支持板部3aと、支持板部3aの長辺に沿った一方側の縁部に立設された壁部(以下ヘッド固定部3の壁部を「第1壁部」という。)3cと、支持板部3aの中央に設けられた上面視矩形状の空隙部3bとからなる。
【0039】
ヘッド固定部3において、支持板部3aは、長辺に沿った第1壁部3cと反対側の縁部及び短辺に沿った一方側の縁部に上面視L字状の段部3a1が設けられている。また、支持板部3aは、短辺に沿った他方側の縁部に他方側に突出した段部3a2が設けられている。すなわち、支持板部3aにおいて、段部3a1及び段部3a2は、その内側よりも一段高くなっている。
支持板部3aのX軸方向の一方側の端部に設けられた段部3a1には、上述した第1フランジ部13に対応する位置決めピン33(以下「第1位置決めピン」という。)が立設され、支持板部3aのX軸方向の他方側の端部に設けられた段部3a2には、上述した第2フランジ部14に対応する位置決めピン34(以下「第2位置決めピン」という。)が立設されている。
また、第1位置決めピン33の空隙部3b側の支持板部3aには第1ヘッド固定部ネジ穴33aが設けられており、第2位置決めピン34の空隙部3b側の支持板部3aには第2ヘッド固定部ネジ穴34aが設けられている。
【0040】
ヘッド位置調整機構100においては、ヘッド部1の第1フランジ部13を、第1位置決めピン33に当接させることにより、ヘッド固定部3に対するヘッド部1のX軸方向の位置が決定され、ヘッド部1の第2フランジ部14を第2位置決めピン34に当接させることにより、ヘッド固定部3に対するヘッド部1のY軸方向の位置が決定されるようになっている(図1の(a)参照)。
そして、この状態で、第1ヘッド部穴13a及び第1ヘッド固定部ネジ穴33aをネジで固定し、第2ヘッド部穴14a及び第2ヘッド固定部ネジ穴34aをネジで固定することにより、ヘッド部1がヘッド固定部3に対して位置決めされた状態で固定され、ヘッド部1とヘッド固定部3とが一体化されることになる。
【0041】
このとき、ヘッド部1は、その支持台16の下面がヘッド固定部3の支持板部3aの上面に当接されることにより、ヘッド固定部3に位置決めされた状態で支持されることになる。
また、ヘッド部1のノズルプレート15は、ヘッド固定部3の空隙部3bに挿入され、下方に露出した状態となる。
したがって、ヘッド位置調整機構100において、ヘッド固定部3は、ヘッド部1のノズルからの下方へのインクの吐出を妨げないようにして、ヘッド部1を支持固定している。
【0042】
ヘッド固定部3においては、第1壁部3cの外側が、直動機構5に取り付けられる。なお、かかる直動機構5は、ヘッド固定部3をブラケット2に対してX軸方向に案内するためのものである。なお、直動機構5については、後述する。
第1壁部3cの外側には、直動機構5のスライドユニット部51に取り付けるための溝部31(以下ヘッド固定部3の溝部31を「第1溝部」という。)が左右の2箇所に設けられており、該第1溝部31にはスライドユニット部51に取り付けるための穴31aが設けられている。
ここで、第1溝部31の上側の面(以下「上部支持面31b」という。)は、支持板部3aの上面と平行となるようにスライドユニット部51を取り付けるための基準面となっている。
【0043】
ヘッド固定部3において、第1壁部3cのX軸方向の一方側(図3の(b)の左側)の端部の上側には、連絡プレート32が設けられている。
具体的には、第1壁部3cのX軸方向の一方側(図3の(b)の左側)の端部の上側に、傾斜した当接面32aを有する連絡プレート32が、当接面32aと反対側の面をヘッド固定部3に当接させた状態で、ネジにより取り付け固定されている。
連絡プレート32は、その当接面32aが後述するテーパーピン22のテーパー部22dに当接されることになる。なお、ヘッド位置調整機構100においては、後述するようにテーパーピン22のZ軸方向への移動に応じて、連絡プレート32がX軸方向に押されるが、連絡プレート32を当接面32aとは反対側の面をヘッド固定部3に当接させた状態でネジにより固定しているため、ヘッド固定部3に対して連絡プレート32のみがX軸方向に移動することを確実に防止できる。
【0044】
ここで、連絡プレート32の当接面32aは、テーパーピン22のテーパー部22dに対応するように下から上に向かってヘッド部1側に傾斜している。
このとき、当接面32aのZ軸方向に対する傾斜角度θ1は、テーパー部22dの傾斜角度θ2と略同じ角度であることが好ましい。すなわち、両者は線接触していることが好ましい。
【0045】
ヘッド位置調整機構100においては、ヘッド固定部3が連絡プレート32を介して、テーパーピン22に当接される。これにより、ヘッド固定部3自体が摩耗することを防止することができる。
また、連絡プレート32は、ネジを取り外すことにより、ヘッド固定部3から容易に取り外すことが可能となっている。また、取り付ける際は、当接面32aと反対側の面をヘッド固定部3に当接させた状態で、ネジで固定するだけでX軸方向の基準位置に容易に取り付けることが可能となっている。このため、連絡プレート32が摩耗した場合に簡単に取り換えることができる。なお、テーパー部22dの傾斜角度θ2に当接面32aのZ軸方向に対する傾斜角度θ1を合わせるため、テーパーピン22の交換に応じて連絡プレート32を交換することも可能である。
【0046】
図4の(a)は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構に用いられるブラケットを示す上面図であり、(b)は、(a)のブラケットのD5矢視側面図であり、(c)は、(a)のブラケットをA−A線で切断した部分断面図である。
図4の(a)及び(b)に示すように、ブラケット2は、X軸方向に延びる壁部2a(以下ブラケット2の壁部を「第2壁部」という。)と、第2壁部2aの一方側(図4の(a)の左側)の端部からY軸方向に延びる第1横壁部2bと、第2壁部2aの他方側(図4の(a)の右側)の端部からY軸方向に延びる第2横壁部2cとからなり、第1横壁部2bと第2横壁部2cとは向かい合っている。すなわち、ブラケット2は、上面視U字状となっている。
【0047】
ブラケット2は、ヘッド固定部3の周囲に沿うように配置される(図1の(a)参照)。
このとき、第2壁部2aには、後述するようにヘッド固定部3の第1壁部3cが直動機構5を介して連結される。
また、第1横壁部2b及び第2横壁部2cは、いずれも、ヘッド固定部3の支持板部3aとの間に、一定の隙間が設けられている。これにより、ヘッド固定部3のX軸方向の移動が阻害されない。
【0048】
ブラケット2において、第2壁部2aは、その内側に、直動機構5のトラックレール部52を取り付けるための溝部21(以下ブラケット2の溝部21を「第2溝部」という。)が上下の2箇所に設けられており、該第2溝部21にはトラックレール部52を取り付けるためのネジ穴21aが設けられている。なお、2箇所の第2溝部21は、共にX軸方向に延びており、且つ、互いに平行となっている。
ここで、第2溝部21の下側の面(以下「下部支持面21b」という。)は、支持板部3aの上面と平行となるようにトラックレール部52を取り付けるための基準面となっている。
【0049】
ブラケット2においては、第1横壁部2bの第2壁部2aとは反対側の端部に、第1ブラケット穴2b1が設けられており、第2横壁部2cの第2壁部2aとは反対側の端部に、第2ブラケット穴2c1が設けられている。
そして、第1ブラケット穴2b1及び第2ブラケット穴2c1と、後述するブロックフレーム4に設けられたブロックフレームネジ穴4bとをネジで固定することにより、ブラケット2がブロックフレーム4に対して位置決めされた状態で固定され、ブラケット2とブロックフレーム4とが一体化されることになる。
【0050】
ブラケット2において、第2壁部2aと第2横壁部2cとの角部には、プランジャー23が取り付けられている。
図5は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構に用いられるプランジャーを示す断面図である。
図5に示すように、プランジャー23は、有底円筒状の箱部23aと、該箱部23aに収容された付勢バネ部23bと、箱部23aの開口から少なくとも一部が露出するように保持されて該付勢バネ部23bの一端に設けられた玉部23cとからなる。なお、箱部23aの底には通気口23a1が設けられている。
かかるプランジャー23は、一方向に付勢する性能を有する。
【0051】
図4の(b)に戻り、プランジャー23は、その箱部23aがブラケット2に固定されており、玉部23cがヘッド固定部3に当接されている。
そして、付勢バネ部23bのバネ力により、玉部23cがヘッド固定部3を付勢している。
すなわち、ヘッド位置調整機構100においては、ブラケット2に取り付けられたプランジャー23は、ヘッド固定部3をX軸に沿って第1横壁部2b側に常時付勢した状態となっている(図1の(b)参照)。
【0052】
ブラケット2において、第2壁部2aと第1横壁部2bとの角部の上側には、連結部24が取り付けられている。
また、図4の(c)に示すように、連結部24には、貫通穴が設けられており、該貫通穴にテーパーピン22が挿入される。
ここで、連結部24は、貫通穴の内壁面に、螺合溝が形成された螺合部24aと、テーパーピン22を案内するための上案内部24b1及び下案内部24b2とを有する。上から上案内部24b1、螺合部24a、下案内部24b2の順で設けられている。
【0053】
図6は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構に用いられるテーパーピンを示す正面図である。
図6に示すように、テーパーピン22は、頭部22aと、該頭部22aから下方に延びる上支持部22b1と、該上支持部22b1に連続するネジ部22cと、該ネジ部22cに連続する下支持部22b2と、該下支持部22b2に連続する下端部に設けられたテーパー部22dとからなる。
また、テーパーピン22の上支持部22b1の周囲には、頭部22aと連結部24とに挟持された押圧バネ部22eが設けられている(図4の(c)参照)。
【0054】
テーパーピン22においては、ネジ部22cが連結部24の螺合部24aに回動自在に螺合され、上支持部22b1及び下支持部22b2が対応する連結部24の上案内部24b1及び下案内部24b2にそれぞれ支持され案内される。
そして、テーパーピン22は、その頭部22aを回動させることにより、Z軸方向に移動するようになっている。テーパーピン22の頭部22aには、テーパーピン22を回動するためのスリットや面取りが設けられている。
【0055】
このとき、テーパーピン22は、押圧バネ部22eにより上方に一定の力で押圧された状態となっている。これにより、ネジ部22cのバックラッシュを防止することができるので、テーパーピン22のZ軸方向の移動をより高精度で行うことができる。
また、押圧バネ部22eによるテーパーピン22の頭部22aの下面及び連結部24の上面への押圧力が、連結部24に対するテーパーピン22の回転防止力として作用する。
したがって、ヘッド位置調整機構100は、ヘッド部1の位置を固定する機能も備えている。
なお、ヘッド位置調整機構100においては、押圧バネ部22eを用いる代わりに、例えば、押しネジやプランジャーのような押圧部材を設けてもよい。
【0056】
ヘッド位置調整機構100においては、テーパーピン22がブラケット2の連結部24の螺合部24aに螺合されているので、テーパーピン22の回転移動がテーパーピン22のZ軸方向の移動に変換されることになる。
また、テーパーピン22のZ軸方向の移動量が、後述するように、ヘッド固定部3のX軸方向への移動量に変換されるので、ヘッド部1のX軸方向における位置調整を容易に行うことができる。
このとき、テーパーピン22のZ軸方向の移動量に対して、ヘッド固定部3のX軸方向への移動量を小さくすることにより、ヘッド部1のX軸方向における位置調整をより高精度で行うことができる。
【0057】
また、この場合、テーパーピン22の頭部22aの回転の度合いから、テーパーピン22のZ軸方向の移動の度合い及びヘッド固定部3のX軸方向への移動の度合いを容易に認識することができる。
すなわち、頭部22aの回転の度合いと、テーパーピン22のZ軸方向の移動の度合いと、ヘッド固定部3のX軸方向への移動の度合いとは比例関係となるため、例えば、頭部22aの1回転当たりのテーパーピン22のZ軸方向の移動の度合い又はヘッド固定部3のX軸方向への移動の度合いを予め算出することにより、頭部22aの回転の度合いを変化させても、テーパーピン22のZ軸方向の移動の度合い及びヘッド固定部3のX軸方向への移動の度合いを算出することができる。
【0058】
テーパーピン22のテーパー部22dは、上述したように、ヘッド固定部3に取り付けられた連絡プレート32の当接面32aに当接される。
ここで、テーパーピン22の長さ方向に対するテーパー部22dの傾斜角度θ2は、5°〜25°であることが好ましい。傾斜角度θ2が5°未満であると、傾斜角度θ2が上記範囲内にある場合と比較して、ヘッド部1の移動可能な距離が不十分となる恐れがあり、傾斜角度θ2が25°を超えると、傾斜角度θ2が上記範囲内にある場合と比較して、微移動による微調整が困難となる場合がある。
【0059】
図7の(a)は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構に用いられる直動機構5を示す上面図であり、(b)は、(a)の直動機構5のD6矢視側面図である。
図7の(a)及び(b)に示すように、直動機構5(リニアガイド)は、スライドユニット部51と、該スライドユニット部51がスライド可能なトラックレール部52とからなる。なお、ヘッド位置調整機構100においては、1本のトラックレール部52に対して、2個のスライドユニット部51が用いられる。
直動機構5は、スライドユニット部51に、ボール等の部材が内装されており、当該部材が、スライドユニット部51とトラックレール部52との間で転がって循環するようになっている。このため、直動機構5は、隙間が無い状態で使用しても、予圧を与えた状態で滑らかに動くことができる。
【0060】
ここで、ヘッド固定部3と、直動機構5と、ブラケット2との接続状態について説明する。
図8は、図1の(b)のヘッド位置調整機構をB−B線で切断した部分断面図である。
図8に示すように、ヘッド位置調整機構100において、ヘッド固定部3の第1壁部3c外側の第1溝部31には、上下の2箇所にスライドユニット部51がネジ31cにより取り付け固定されている。なお、ヘッド固定部3には、2箇所に第1溝部31が設けられているので、ヘッド固定部3には、4箇所にスライドユニット部51が設けられていることになる。
【0061】
更に詳しくは、各スライドユニット部51は、その上面51aが支持板部3aの上面と平行となっている。そして、少なくとも上側に位置する2箇所のスライドユニット部51は、その上面51aが第1溝部31の上部支持面31bに当接された状態で、ネジ31cでヘッド固定部3に固定されている。これにより、ヘッド固定部3は、下側から支持されるようにしてスライドユニット部51(直動機構5)に取り付けられることになる。
なお、上側に位置する2箇所のスライドユニット部51は、その上面51aが互いに同一平面となっており、下側に位置する2箇所のスライドユニット部51は、その上面51aが互いに同一平面となっている。
このように、ヘッド固定部3は、直動機構5のスライドユニット部51の上面51aに上方に支持された状態となっているため、ヘッド部1及びヘッド固定部3の重量や振動等により、上下にずれることが防止され、常に平行が保たれる。このことにより、ヘッド部1の平行は、常に保たれる。
【0062】
一方、ブラケット2の第2壁部2aの内側の第2溝部21には、それぞれ、トラックレール部52がネジ52bにより取り付け固定されている。
このとき、2箇所の第2溝部21は、共に、側面視でコの字状に切り欠かれた構造となっており、Z軸方向の幅がトラックレール部52のZ軸方向の幅より広くなっている。
【0063】
更に詳しくは、各トラックレール部52は、その下面52aが支持板部3aの上面と平行となっている。そして、トラックレール部52は、その下面52aを第2溝部21の下部支持面21bに当接させ、且つ、第2溝部21の奥側の面である取り付け固定面21cに当接させた状態で、ネジ52bでブラケット2に固定される。これにより、トラックレール部52(直動機構5)は、下側から支持されるようにしてブラケット2に取り付けられることになる。
なお、上下の2個のトラックレール部52は、互いに平行となっており、且つ、互いに長手方向がX軸方向となっている。
このように、直動機構5のトラックレール部52は、ブラケット2の下部支持面21bに上方に支持された状態となっているため、ヘッド部1、ヘッド固定部3及び直動機構5の重量や振動等により、上下にずれることが防止され、常に平行が保たれる。このことにより、ヘッド部1の平行は、常に保たれる。
【0064】
また、ヘッド位置調整機構100においては、トラックレール部52を上下に2個、互いに平行になるように配置することで、直動機構5に接続されるヘッド固定部3及びヘッド固定部3に接続されるヘッド部1の重量により直動機構5に生じる曲げモーメントに耐えうるような剛性を持たせることができる。
このことにより、ヘッド固定部3及びヘッド部1の重量によってトラックレール部52やスライドユニット部51が変形するのを防止できる。
【0065】
こうして、ヘッド位置調整機構100においては、ヘッド固定部3の第1壁部3cと、直動機構5と、ブラケット2の第2壁部2aとが接続される。
そして、ヘッド固定部3に設けられたスライドユニット部51がトラックレール部52によりX軸方向に案内されるようになっているため、ヘッド固定部3は、ブラケット2のトラックレール部52に案内されて、X軸方向に直動移動可能となる。
【0066】
図9は、図1(a)のブラケットをA’−A’線で切断した断面図である。
図9に示すように、ヘッド位置調整機構100においては、ヘッド固定部3のX軸方向の一方側(図9の左側)の端部に、ブラケット2に取り付けられたテーパーピン22のテーパー部22dが連絡プレート32を介して当接され、他方側(図9の右側)の端部がブラケット2に取り付けられたプランジャー23によりテーパーピン22側に付勢されている。すなわち、テーパーピン22及びプランジャー23は、ヘッド固定部3を挟むように、対向してブラケット2に取り付けられている。
【0067】
この状態から、テーパーピン22の頭部22aを回動させることにより、テーパーピン22がZ軸方向に下降し、テーパー部22dが連絡プレート32を介してヘッド固定部3をX軸方向のブランジャー23側に押し出すと共に、連絡プレート32とテーパー部22dとの当接位置がブランジャー23側にずれることになる。
これにより、ヘッド固定部3がX軸方向に沿ってプランジャー23側に直動することになる。
このとき、ヘッド固定部3は、プランジャー23によりテーパーピン22側に付勢された状態となっているので、テーパー部22dの押し出しにより過移動することを防止することができる。
【0068】
一方で、テーパーピン22の頭部22aを反対方向に回動させることにより、テーパーピン22がZ軸方向に上昇し、テーパー部22dによる連絡プレート32への押し出しが解消されると共に、ヘッド固定部3がプランジャー23によりテーパーピン22側に付勢されているのでX軸方向に追従し、連絡プレート32とテーパー部22dとの当接位置がテーパーピン22側にずれることになる。
これにより、ヘッド固定部3がX軸方向に沿ってテーパーピン22側に直動することになる。
このとき、ヘッド固定部3とブラケット2はトラックレール部52とスライドユニット部51を介して接続されているため、ヘッド固定部3とブラケット2との間に生じる摩擦を極力少なくすることができ、円滑に移動させることができる。すなわち、上述したように、スライドユニット部51とトラックレール部52の間でボール等の部材が転がって循環するので、隙間が無い状態で使用しても予圧を与えた状態で滑らかに動くことができる。
【0069】
図10(a)は、本実施形態に係るヘッド位置調整機構が取り付けられる前のブロックフレームを示す上面図であり、図10(b)は、本実施形態に係るラインヘッドを示す上面図である。
図10(a)に示すように、ブロックフレーム4は、上面視矩形状のヘッド穴4aを複数有する。具体的には、2つのヘッド穴4aが並設された列と、3つのヘッド穴4aが並設された列とが交互に配列され、且つ、各ヘッド穴4aが互い違いになるように配置されている。
また、複数のヘッド穴4aのうち、3つのヘッド穴4aが並設された列における中央のヘッド穴を基準ヘッド穴4a1としている。
【0070】
図10(b)に示すように、本実施形態に係るラインヘッド6は、ヘッド部1にヘッド位置調整機構100が取り付けられた第1ヘッド部61と、ヘッド部1にヘッド位置調整機構100が取り付けられていない第2ヘッド部62と、第1ヘッド部及び第2ヘッド部が取り付けられたブロックフレーム4とを備える。なお、第2ヘッド部62は、ヘッド位置調整機構100が取り付けられていないため、実質的にヘッド部1と同じものである。
【0071】
ラインヘッド6においては、ブロックフレーム4の基準ヘッド穴4a1に、第2ヘッド部62が取り付けられる。なお、第2ヘッド部62は、第1ヘッド部61の位置の基準となるものであるため、これに対してヘッドの位置の微調整は行わない。
また、基準ヘッド穴4a1のX軸方向の両側には、一対の位置決めピン4cが立設され、一対の位置決めピン4cの内側にブロックフレームネジ穴4dが設けられている。したがって、第2ヘッド部62は、上述したヘッド固定部3にヘッド部1を取り付けることと同様にして、基準ヘッド穴4a1に取り付けられる。
【0072】
また、その他のヘッド穴4aには、第1ヘッド部61が取り付けられるようになっている。このため、これらのヘッド穴4aの両側には、上述したブラケット2の第1ブラケット穴2b1及び第2ブラケット穴2c1に対応するブロックフレームネジ穴4bがそれぞれ設けられている(図10(a)参照)。
そして、X軸方向においては第1横壁部2bの外側の面とこれに対応するブロックフレーム4の基準面を当接させ、Y軸方向においては第2壁部2aの外側の面とこれに対応するブロックフレーム4の基準面を当接させた状態で、第1ブラケット穴2b1及び第2ブラケット穴2c1と、ブロックフレーム4に設けられたブロックフレームネジ穴4bとをネジで固定することにより、ブラケット2がブロックフレーム4に対して位置決めされた状態で固定される。これにより、ブラケット2とブロックフレーム4とが一体化されることになる。
なお、ブロックフレーム4に取り付けられた各ヘッド部1のノズル面の位置は、ブロックフレーム4の下面の位置よりわずかに上方に位置している。これにより、ノズル面が被記録媒体に接触することを防止できる。
【0073】
ラインヘッド6においては、第1ヘッド部61が取り付けられたヘッド位置調整機構100は、治具(ピン)等でブラケット2に対するヘッド固定部3のX軸方向の位置を調整して、ヘッド部1のX軸方向の初期の位置出しを行った後、ブロックフレーム4に取り付けられる。
具体的には、ヘッド固定部3の第1壁部3cに設けられた一対の長孔P1(図3の(b)参照)と、ブラケット2の第2壁部2aに設けられた一対の丸孔P2(図4の(b)参照)とを重ね合わせて、そこに治具Qを通すことにより(図1の(b)参照)、初期の位置出しが行われる。
【0074】
そして、第1ヘッド部61のノズル位置を、そのヘッド位置調整機構100により、基準の第2ヘッド部62のノズル位置に対して適正な位置となるように調整する。
これにより、第2ヘッド部62に対する第1ヘッド部61の長手方向(X軸方向)における位置調整を高精度で且つ容易に行うことができる。
【0075】
ラインヘッド6は、この状態で、インクジェット記録装置の記録部(図示しない)に取り付けられる。このとき、ラインヘッド6は、その一方端に設けられた支点ピン穴41が、記録部に設けられた支点ピン(図示しない)に係合され、他方端に設けられたU字穴42が記録部に設けられた回動付与装置(図示しない)に当接されることにより、記録部に対して位置決めされる。
また、ラインヘッド6においては、回動付与装置により、ラインヘッド6の位置を調整することも可能となっている。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0077】
本実施形態に係るヘッド位置調整機構100においては、ライン型の記録ヘッドに対して用いているが、シリアル型の記録ヘッドに採用することも可能である。
【0078】
本実施形態に係るヘッド位置調整機構100においては、ヘッド部1の第1フランジ部13及び第2フランジ部14を、ヘッド固定部3の位置決めピン33,34に当接させることにより位置決めしているが、位置決めする方法はこれに限定されない。
【0079】
本実施形態に係るヘッド位置調整機構100においては、ヘッド固定部の第1壁部3cの外側の第1溝部31に4個のスライドユニット部51がネジにより取り付け固定されているが、第1溝部31を設けることは必ずしも必須ではなく、例えば、上部支持面31bの代わりにスライドユニット部51の上面51aに当接する位置決めピンを、ヘッド固定部の第1壁部3cに設けてもよい。
また、スライドユニット部51の数はこれに限定されない。
また、第1壁部3cとスライドユニット部51とが一体に形成されていてもよい。
【0080】
同様に、ブラケット2の第2壁部2aの内側の第2溝部21に直線状に延びる一対のトラックレール部52がネジにより取り付け固定されているが、第2溝部21を設けることは必ずしも必須ではなく、例えば、下部支持面21bの代わりにトラックレール部52の下面52aに当接する位置決めピンを、ブラケット2の第2壁部2aに設けてもよい。
また、トラックレール部52の数もこれに限定されない。
また、第2壁部2aとトラックレール部52とが一体に形成されていてもよい。
【0081】
本実施形態に係るヘッド位置調整機構100においては、ヘッド固定部3の第1壁部3cの外側にスライドユニット部51が取り付けられ、ブラケット2の第2壁部2aの内側にトラックレール部52が取り付けられているが、逆であってもよい。すなわち、ヘッド固定部3の第1壁部3cの外側にトラックレール部52が取り付けられ、ブラケット2の第2壁部2aの内側にスライドユニット部51が取り付けられていてもよい。
【0082】
本実施形態に係るヘッド位置調整機構100においては、直動機構5(リニアガイド)として、スライドユニット部51と、該スライドユニット部51がスライド可能なトラックレール部52とからなるものを用いているが、これに限定されず、シャフトとリニアベアリングの組み合わせ、リニアスプラインシャフトとリニアベアリングの組み合せ等を採用することも可能である。
【0083】
本実施形態に係るヘッド位置調整機構100においては、第1壁部3cのX軸方向の一方側の端部の上側に、傾斜した当接面32aを有する連絡プレート32が取り付け固定されているが、連絡プレート32の固定位置は特に限定されない。
また、連絡プレート32と第1壁部3cとが一体に形成されていてもよい。
【0084】
本実施形態に係るヘッド位置調整機構100においては、ブラケット2の第2壁部2aと第1横壁部2bとの角部の上側に、テーパーピン22を取り付けるための連結部24が取り付けられているが、連結部24の取り付け位置は特に限定されない。
また、ブラケット2と連結部24とが一体に形成されていてもよい。
【0085】
本実施形態に係るヘッド位置調整機構100において、テーパーピン22は、頭部22aと、上支持部22b1と、ネジ部22cと、下支持部22b2と、テーパー部22dとからなっているが、テーパー部22dを有するものであれば、構造はこれに限定されない。
【0086】
本実施形態に係るヘッド位置調整機構100においては、テーパーピン22を回動させるための電動アクチュエーター(図示しない)又は電動モーター(図示しない)を更に備えていてもよい。
この場合、外部からの信号に応じて駆動し、テーパーピン22を指定した分だけより高精度に回転させることができる。
また、テーパーピン22の回転の度合いもより高精度に認識することができる。
【0087】
本実施形態に係るヘッド位置調整機構100において、プランジャー23は、箱部23aと、付勢バネ部23bと、玉部23cとからなっているが、一方向に付勢する性能を有するものであれば、構造はこれに限定されない。
【0088】
本実施形態に係るヘッド位置調整機構100が取り付けられる前のブロックフレーム4としては、図10(a)に示したものに限定されない。
図11の(a)、(b)、(c)及び(d)は、いずれも、本実施形態に係るヘッド位置調整機構が取り付けられる前のブロックフレームの他の例を示す概略上面図である。
図11の(a)に示すように、ブロックフレーム43は、3つのヘッド穴4aが並設された列と、2つのヘッド穴4aが並設された列とが配列されたものであってもよい。
また、図11の(b)に示すように、ブロックフレーム44は、3つのヘッド穴4aが並設された列と、2つのヘッド穴4aが並設された列とが2列ずつ配列されたものであってもよい。
また、図11の(c)に示すように、ブロックフレーム45は、6つのヘッド穴4aが斜めに配列されたものであってもよい。なお、この場合、搬送される被記録媒体の幅方向と、ヘッド部のX軸方向とは一致しないが、ヘッド部をX軸方向に移動させることにより、被記録媒体に付与されるインクのドット位置は被記録媒体の幅方向に調整される。
また、図11の(d)に示すように、ブロックフレーム46は、1つのヘッド穴4aが設けられたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明のヘッド位置調整機構は、複数のヘッド部を有するインクジェット記録装置のヘッド部の位置を調整するための機構として利用できる。
本発明のヘッド位置調整機構によれば、ヘッド部の長手方向(X軸方向)における位置調整を高精度で且つ容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0090】
1・・・ヘッド部
10・・・本体部
100・・・ヘッド位置調整機構
11・・・インク流入口
12・・・インク流出口
13・・・第1フランジ部
13a・・・第1ヘッド部穴
14・・・第2フランジ部
14a・・・第2ヘッド部穴
15・・・ノズルプレート
16・・・支持台
2・・・ブラケット
21・・・第2溝部(ブラケットの溝部)
21a・・・ネジ穴
21b・・・下部支持面
21c・・・取り付け固定面
22・・・テーパーピン
22a・・・頭部
22b1・・・上支持部
22b2・・・下支持部
22c・・・ネジ部
22d・・・テーパー部
22e・・・押圧バネ部
23・・・プランジャー
23a・・・箱部
23a1・・・通気口
23b・・・付勢バネ部
23c・・・玉部
24・・・連結部
24a・・・螺合部
24b1・・・上案内部
24b2・・・下案内部
2a・・・第2壁部(ブラケットの壁部)
2b・・・第1横壁部
2b1・・・第1ブラケット穴
2c・・・第2横壁部
2c1・・・第2ブラケット穴
3・・・ヘッド固定部
31・・・第1溝部(ヘッド固定部の溝部)
31a・・・穴
31b・・・上部支持面
31c,52b・・・ネジ
32・・・連絡プレート
32a・・・当接面
33・・・第1位置決めピン(位置決めピン)
33a・・・第1ヘッド固定部ネジ穴
34・・・第2位置決めピン(位置決めピン)
34a・・・第2ヘッド固定部ネジ穴
3a・・・支持板部
3a1,3a2・・・段部
3b・・・空隙部
3c・・・第1壁部(ヘッド固定部の壁部)
4,43,44,45,46・・・ブロックフレーム
41・・・支点ピン穴
42・・・U字穴
4a・・・ヘッド穴
4a1・・・基準ヘッド穴(ヘッド穴)
4b,4d・・・ブロックフレームネジ穴
4c・・・位置決めピン
5・・・直動機構
51・・・スライドユニット部
51a・・・上面
52・・・トラックレール部
52a・・・下面
6・・・ラインヘッド
61・・・第1ヘッド部
62・・・第2ヘッド部
P1・・・長孔
P2・・・丸孔
Q・・・治具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10(a)】
図10(b)】
図11
図12