(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6975951
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】液体吐出機
(51)【国際特許分類】
B05C 21/00 20060101AFI20211118BHJP
B65D 23/00 20060101ALI20211118BHJP
B05B 15/625 20180101ALN20211118BHJP
A61L 2/18 20060101ALN20211118BHJP
【FI】
B05C21/00
B65D23/00 S
!B05B15/625
!A61L2/18
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-118118(P2020-118118)
(22)【出願日】2020年7月9日
【審査請求日】2020年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】520253133
【氏名又は名称】シンセイ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136560
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊晴
(72)【発明者】
【氏名】小谷 新一
【審査官】
高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2020/0100627(US,A1)
【文献】
特開平10−099739(JP,A)
【文献】
特開2011−110252(JP,A)
【文献】
特開2008−229296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L2/00−2/28;11/00−12/14
B05C7/00−21/00
B05B11/00−11/06;12/16−12/36;14/00−16/80
B65D23/00−25/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面円形のパイプ状部材の枠部材で形成される液体吐出機であって、
前記液体吐出機は、
断面円形のパイプ状部材で形成されたコ字状の底部と、底部の端部より連設状態で立設された、断面円形のパイプ状部材で形成された支柱と、
支柱に設置された、貯蔵された液体を吐出する、外付けのポンプ式容器をセットするコ字形の容器保持部と、
前記支柱の上部を収容する円筒状の筒状体と、
筒状体の上部内周に配設される軸部と、
軸部の上端に設置される回転用パイプと、
前記軸部と回転用パイプとからなる連結部と、
を備える枠部材と、
前記回転用パイプ内に回転自在に収容される基端部と、
手の甲で押圧することにより、基端部を中心に下方へ移動する押下部と、
基端部の両端に連設される天井部と、
天井部間に固定される天板と、
天井部と押下部を連接する鉛直部と、
前記基端部、押下部、天井部、天板、鉛直部を備え、前記押下部を手の甲で押圧することにより、前記天板でポンプ式容器の操作ヘッドを押し下げる操作部と、
を具備することを特徴とする液体吐出機。
【請求項2】
前記筒状体に、前記操作部の天板の高さを調節する高さ調節部を設置した請求項1記載の液体吐出機。
【請求項3】
前記操作部の押下部に、平板または棒状の補助部を設置した請求項1または2記載の液体吐出機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出機に関し、特に、電動源やセンサを必要とせず、容易に、かつワンタッチで液体を吐出することができる液体吐出機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インフルエンザや新型コロナウイルス等の対策のため、不特定多数の人が出入りする公共施設等の入口には、消毒液を収容したポンプ式容器が設置されている。一般に、前記ポンプ式容器を使用する場合、容器頭部に設置された操作ヘッドを押下し、容器内部の消毒液を手のひら上に吐出していた。しかしながら、上記のポンプ式容器では、荷物を手で持って使用する際、片手での操作は非常に不便であった。また、不特定多数の人が前記容器頭部を触るため、衛生的にも問題があった。
【0003】
それらの問題を解消するための装置として、センサの入力信号に基づいて、自動的に消毒液や洗浄液等が入った手動ポンプ付容器の手動ポンプの操作部を押下して、所定量の液体を容器の外部に吐出させる駆動機構を内蔵し、しかも市販の種々の形状の手動ポンプ付容器に着脱可能な自動液体吐出補助装置がある。かかる自動液体吐出補助装置としては、例えば、特許文献1に、人間の手等を検出する検出器と、該検出器からの信号に基づいて駆動源を駆動する制御部と、液体を収容した手動ポンプ付容器の手動ポンプの操作部に当接して該操作部を押下する押下部材を前記駆動源により作動させる押下機構とをその内部に有する手動ポンプ操作部押下機構部と、前記検出器、前記制御部および前記駆動源に電流を供給する電源部と、種々の形状の前記手動ポンプ付容器を着脱可能に保持する手動ポンプ付容器保持部とを有する自動液体吐出補助装置が、開示されている。
【0004】
また、不特定多数の人が消毒前の手で消毒液ボトルの操作ヘッドを押圧操作することになるため、操作ヘッドに触れるのを躊躇する人もあり、その対策として、足踏み式ペダルを踏み込み操作することによって、消毒液を噴射する足踏み式消毒液供給装置が開発されている。かかる足踏み式消毒液供給装置としては、例えば、特許文献2に、形態の異なる複数種類の消毒液ボトルを載置可能なトレイと、このトレイに載置された消毒液ボトルの操作ヘッドを押圧操作するための押圧体と、この押圧体よりも下方に配設された足踏みペダルと、この足踏みペダルに加えられる踏み込み動作を前記押圧体の前記操作ヘッドを押圧する動作に変換する動作変換機構とを具備してなるものであって、前記押圧体が、前記操作ヘッドの頂部を押圧する天壁と、前記操作ヘッドの前後左右のうち少なくとも三方への移動を規制する規制壁とを具備してなり、これら規制壁の少なくとも1つに前記操作ヘッドから延出するノズルを挿通させるための開口が設けられていることを特徴とする足踏み式消毒液供給装置が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−14129号公報
【特許文献2】特開2011−110252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された自動液体吐出補助装置は、容器内の液体を自動的に吐出することができるが、手を検出する検出器、動力源を駆動する制御部、また押下機構に電流を供給する電源部等の多くの機器や部材が必要となり、コストアップに繋がるという問題点があった。また、常に電源を必要とするためコンセントの近く等設置場所が限定されたり、電池等を使用した場合は電池交換業務が必要となり、余分な管理業務等が発生していた。
【0007】
また、特許文献2に記載された足踏み式消毒液供給装置は、装置自身の高さがあるため、入口の机や対面カウンターの上に気軽に設置することはできず、設置場所が限定されるという問題点があった。
【0008】
そこで本発明の目的は、上記課題を解消するために、電動源やセンサを必要とせず、さらに容器のヘッド部分に直接触れることがなく、容易に、かつワンタッチで液体を吐出することができる液体吐出機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、天板を備える操作部(押下部)を動かして液体を吐出することによって、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の液体吐出機は、
断面円形のパイプ状部材の枠部材で形成される液体吐出機であって、
前記液体吐出機は、
断面円形のパイプ状部材で形成されたコ字状の底部と、底部
の端部より連設状態で立設された、断面円形のパイプ状部材で形成された支柱と、
支柱に設置された、
貯蔵された液体を吐出する、外付けのポンプ式容器をセットするコ字形の容器保持部と、
前記支柱の上部
を収容する円筒状の筒状体と、
筒状体の上部内周に配設される軸部と、
軸部の上端に設置される回転用パイプと、
前記軸部と回転用パイプとからなる連結部と、
を備える枠部材と、
前記回転用パイプ内に回転自在に収容される基端部と、
手の甲で押圧することにより、基端部を中心に下方へ移動する押下部と、
基端部の両端に連設される天井部と、
天井部間に固定される天板と、
天井部と押下部を連接する鉛直部と、
前記基端部、押下部、天井部、天板、鉛直部を備え、前記押下部を手の甲で押圧することにより、前記天板でポンプ式容器の操作ヘッドを押し下げる操作部と、
を具備することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の液体吐出機は、前記筒状体に、
前記操作部の
天板の高さを調節する高さ調節部を設置したことが好ましく、前記
操作部の押下部に、
平板または棒状の補助部を設置したことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、電動源やセンサを必要とせず、少ない部材で製造することができ、容易に、かつワンタッチで液体を吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の液体(消毒液)吐出機の全体斜視図である。
【
図2】前記液体(消毒液)吐出機にポンプ式容器をセットした状態の側面図である。
【
図3】ポンプ式容器をセットした状態の正面図である。
【
図6】他の好適例、操作部の高さを調節する状態を示す。
【
図7】また他の好適例、押下部に平板を設置した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の液体吐出機について、消毒液吐出機を例に具体的に説明する。
本発明の液体(消毒液)吐出機は、電動源やセンサを必要とせず、少ない部材で製造することができ、容易に、かつワンタッチで液体(消毒液)を吐出することができることを特徴とするものである。
【0015】
図1乃至
図3に示す消毒液吐出機(液体吐出機)1は、家庭や公共施設、またオフィスや店舗等の入口に設置されるもので、消毒液を収容させたポンプ式容器2内の液体を、ワンタッチの操作で吐出できることを特徴とするものである。吐出される液体は、ポンプ式容器2に収納でき、ポンプ式容器2の操作ヘッド3を押すことで液体が吐出されるものであれば、限定されないが、中でも消毒液であることが好ましい。
【0016】
前記消毒液吐出機1は、底部10と、底部10に鉛直状に連設される支柱20と、支柱20に設置された容器保持部22と、前記支柱20の上部周囲に配設される筒状体30と、筒状体30の上部内周に配設される連結部40と、連結部40にて可動自在に連結される、天板53を備える操作部50と、で構成されている。
【0017】
底部10は金属または樹脂等の素材で円筒形又は円柱形に形成されており、平面視においてコの字状を呈している。また底部10の基部12周辺には、ポンプ式容器2を支える底面板11が設置されている。さらに底部10の基部12には、鉛直方向に立設された一対の支柱20が連設されている。なお、本発明において、他の部材についても、金属または樹脂等の素材を用いることができる。
【0018】
支柱20は底部10と同様に、円筒形又は円柱形に形成されており、支柱20間には、補強部材21が、また支柱20間の上部にはコの字形の容器保持具22が設置されている。
【0019】
また、前記支柱20の上部には、支柱20の上部に配設される筒状体30が連結されている。筒状体30は中空状を呈しており、下部は一対の支柱30の上部周囲を保持するとともに、上部は後述詳細の連結部40の下部周囲を保持している。
【0020】
さらに、特に、前記筒状体30には、操作部50の高さを調節できる高さ調節部31が設置されている。この高さ調節部31は、ネジ部32と摘33とからなり、摘33を回動操作することで、
図6に示すように、操作部50の高さを自在に調節できる。そのことにより、様々なサイズのポンプ式容器2にも対応できる。
【0021】
連結部40は、操作部50を角度調節自在に連結するもので、操作部50の基端部51を回動自在に収容させる回転用パイプ41と、筒状体30の内部に収容される軸部42とで構成されている。
【0022】
操作部50は、連結部40の回転用パイプ41内に収容される基端部51と、基端部51の両端から水平方向に延出された一対の天井部52と、天井部52に設置された天板53と、前記天井部52の先端部分から鉛直方向下方に連設された一対の鉛直部54と、鉛直部54の下端から水平方向に屈曲されたコの字状の押下部55とで構成されている。
【0023】
また、前記コの字状の押下部55を構成する辺55aと辺55bの長さは、同一またはほぼ同一の長さで、押下部55が、一辺がない正方形の形状であることが好ましい。さらに、鉛直部が、一辺がない正方形の形状であることが好ましい。辺の長さを整えることにより、消毒液吐出機1のバランスがよくなり、消毒液吐出の際の消毒液吐出機1の転倒を防止できる。
【0024】
また、底部10の大きさは、押下部55の大きさと同等か、または少し大きいことが好ましい。具体的には、底部10の辺の長さ10bが、押下部55の辺55bと同じ長さか、または底部10の辺の長さ10bが、押下部55の辺55bの長さより長いことが好ましい。これにより、消毒液吐出機1のバランスがよくなり、消毒液吐出の際の消毒液吐出機1の転倒を防止できる。
【0025】
また、特に、
図7に示すように、押下部55に補助部(補助棒)56を設置してもよい。この補助部(補助棒)56を設置することで、手の小さい子供であっても、押下部55の押し下げ操作を容易に行うことができる。なお、補助部56は平板とすることもできるが、その場合消毒液が平板上に残ることもあるため、衛生面を考慮して補助部56は棒状であることが好ましい。
【0026】
次に、本発明の消毒液吐出機(液体吐出機)1の使用方法を
図4及び
図5に基づいて説明する。
先ず操作部50を引き上げ、消毒液吐出機1の容器保持部22内にポンプ式容器2を配置させる。その後、操作部50を基の状態に戻し、天板53がポンプ式容器2の操作ヘッド3に当接するよう、高さ調節部31にて高さを調節する。
【0027】
調節後、押下部55を手の甲で軽く押し下げる。すると、操作部50の
天板53でポンプ式容器2の操作ヘッド3が押し込まれ、吐出部4から消毒液等の液体5が手のひら上に吐出される。これにより、消毒液ポンプ容器2の操作ヘッド3に直接触らずに手のひらに消毒液を吐出でき、さらに、手の甲で押し下げて手のひらに消毒液が吐出されるため、吐出後に消毒液で手の甲を消毒でき、衛生的である。
【0028】
手のひら上に液体5が吐出された後、手を上部に持ち上げる。すると操作ヘッド3の戻り力により押下部55が元の水平状態に保持される。なお、押下部55は、操作部50の基端部51を支点として回動されるため、少ない力で容易に操作することができる。
【0029】
上述の如く、本発明の液体吐出機1によれば、電動源やセンサを必要とせず、少ない部材で製造することができ、容易に、かつワンタッチで液体(消毒液)を吐出することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 消毒液吐出機(液体吐出機)
2 ポンプ式容器
3 操作ヘッド
4 吐出部
5 液体
10 底部
10b 底部の辺
11 底面板
12 基部
20 支柱
21 補強材
22 容器保持部
30 筒状体
31 高さ調節部
32 ネジ部
33 摘
40 連結部
41 回転用パイプ
42 軸部
50 操作部
51 基端部
52 天井部
53 天板
54 鉛直部
55 押下部
55a 押下部の辺
55b 押下部の辺
56 補助部
【要約】
【課題】 電動源やセンサを必要とせず、さらに容器のヘッド部分に直接触れることがなく、容易に、かつワンタッチで液体を吐出することができる液体吐出機1を提供する。
【解決手段】 円筒形又は円柱形の枠部材で形成される液体吐出機1であって、液体吐出機1は、底部10と、底部10に鉛直状に連設される支柱20と、支柱20に設置された容器保持部22と、支柱20の上部周囲に配設される筒状体30と、筒状体30の上部内周に配設される連結部40と、連結部40にて可動自在に連結される、天板52を備える操作部50と、を具備する液体吐出機1である。
【選択図】
図1