特許第6975955号(P6975955)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6975955
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】アキュムレータ及び流動物吐出システム
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20211118BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   B05C11/10
   B05C5/00 101
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-91406(P2017-91406)
(22)【出願日】2017年5月1日
(65)【公開番号】特開2018-30126(P2018-30126A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2019年11月28日
(31)【優先権主張番号】特願2016-160168(P2016-160168)
(32)【優先日】2016年8月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000239758
【氏名又は名称】兵神装備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】須原 伸久
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3161323(JP,U)
【文献】 特開平07−124504(JP,A)
【文献】 特開2013−226478(JP,A)
【文献】 特開昭63−050689(JP,A)
【文献】 特開2004−298862(JP,A)
【文献】 米国特許第04765366(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第102278330(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B05C5/00−21/00
B05D1/00− 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心方向に内容積を変更可能に構成された一時貯留空間を有するハウジングを備え、
前記ハウジングは、
前記軸心方向に互いに離れた位置に形成されて前記一時貯留空間に連通する供給口及び排出口と、
前記供給口に対向する位置から前記ハウジングの内面に沿って均等に延びる壁部に、前記壁部によって分岐された流動物をそれぞれ前記一時貯留空間側へと導く穴部を形成してなる仕切部材と、
内面と前記仕切部材の前記壁部の外面とで構成される複数の内部流路を含み、前記供給口を介して前記一時貯留空間に流動物を均等に供給する流路と、
前記軸心方向に往復移動可能に配置されるシリンダと、
前記シリンダの外周面と、前記仕切部材の前記壁部の内周面との間に、前記内部流路と前記一時貯留空間とを結ぶ環状空間と、
を有することを特徴とするアキュムレータ。
【請求項2】
前記流路は、前記複数の供給口にそれぞれ接続される複数の外部流路を備えることを特徴とする請求項1に記載のアキュムレータ。
【請求項3】
前記ハウジングは筒状で、前記ハウジングの一端側内面は他端側内面に向かって移動可能なシリンダの先端面で構成され、前記シリンダの先端面中央部に突出部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアキュムレータ。
【請求項4】
前記シリンダを前記一時貯留空間内へと突出させるように付勢する付勢手段を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアキュムレータ。
【請求項5】
前記シリンダを前記一時貯留空間内へと突出させるように、前記シリンダに対して流体圧を作用させる加圧手段を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアキュムレータ。
【請求項6】
前記シリンダを前記一時貯留空間内へと突出させる駆動手段を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアキュムレータ。
【請求項7】
ポンプと、
前記ポンプから供給される流動物を吐出するディスペンサと、
前記ディスペンサと前記ポンプとを結ぶ配管の途中に設けられる、請求項1から6のいずれか1項に記載のアキュムレータと、
を備えていることを特徴とする流動物吐出システム。
【請求項8】
ポンプと、
前記ポンプから供給される流動物を吐出する、請求項1から6のいずれか1項に記載のアキュムレータと、
を備えていることを特徴とする流動物吐出システム。
【請求項9】
ポンプと、
前記ポンプから流動物が供給される、請求項1から6のいずれか1項に記載のアキュムレータと、
前記アキュムレータの下流側に接続される開閉バルブと、
を備えていることを特徴とする流動物吐出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管に取り付けられて液を蓄積するアキュムレータ及び流動物吐出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
主に自動車業界では、シール材等の超高粘度液をディスペンサに供給するために高圧ポンプが使用されている。高圧ポンプの特性上、吐出させた超高粘度液に脈動が発生することは避けられない。そこで、ディスペンサの手前にアキュムレータを設け、このアキュムレータで、一旦、超高粘度液を貯留することにより、高圧で脈動のある流れを低圧で一定の流れに変換するようにしている。また、アキュムレータを設ける場合、ディスペンサを用いずに、高圧ポンプから供給された液体をアキュムレータから直接吐出させることもある。
【0003】
従来、アキュムレータとして、ケーシングの連通部に配管を接続し、ケーシング内にスプリングによって付勢されたピストンを配置するようにした構成のものが公知である(例えば、特許文献1参照)。この構成のアキュムレータでは、配管内の液圧が上昇すれば、スプリングの付勢力に抗してケーシング内に液を回収し、逆に配管内の液圧が低下すれば、スプリングの付勢力でピストンを移動させ、ケーシング内に収容した液を排出する。
【0004】
また他のアキュムレータとして、筒状のシリンダ本体に流入口と流出口を形成し、流入口からシリンダ本体内に流入した液をピストンによって押圧し、流出口から流出させる、いわゆる「先入れ先出し方式」のものが公知である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−249243号公報
【特許文献2】特開昭63−41688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前者のアキュムレータでは、ケーシング内に回収された液が、回収順ではなく回収逆順に排出される、いわゆる「先入れ後出し方式」となっている。このため、先に回収した液がケーシング内に長期に亘って滞留する恐れがあり、液の種類によっては種々の問題を発生させることがある。例えば、液が湿気硬化型接着剤であれば、ケーシング内で固化してスプリングの動作不良等を生じさせ、アキュムレータが使用不能となる恐れがある。また液が食品用途のものであれば、ケーシング内に長期間滞留すると、劣化や変質により衛生上の問題を発生させる恐れがある。
【0007】
また、後者のアキュムレータでは、流入口がシリンダ本体の外周壁上部に形成されている。この流入口から回収した液は、シリンダ本体の径方向よりも、シリンダ本体の軸方向、すなわち斜め前方の流出口へと流れやすい。このため、流入口の対向部分、すなわちシリンダ本体の下部側内周面近傍に液が滞留しやすい。このため、やはり前者のアキュムレータと同様な問題が発生する恐れがある。
【0008】
そこで、本発明は、回収した液(流動物)を滞留することなく、確実に先入れ先出し方式で排出することのできるアキュムレータ及び流動物吐出システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
軸心方向に内容積を変更可能に構成された一時貯留空間を有するハウジングを備え、
前記ハウジングは、
前記軸心方向に互いに離れた位置に形成されて前記一時貯留空間に連通する供給口及び排出口と、
前記供給口を介して前記一時貯留空間に流動物を均等に供給する流路と、
を有することを特徴とするアキュムレータを提供する。
【0010】
この構成により、供給口を介して流入する流動物は、流路によって均等に一時貯留空間へと供給される。このため、流動物が一時貯留空間の一部に滞留することがなくなる。また、一時貯留空間が軸心方向に内容積を変更可能に構成され、供給口及び排出口がこの軸心方向に離れて配置されているため、流動物は供給口から一時貯留空間内へと流入した順に、先入れ先出し方式で排出口から排出される。
【0011】
前記流路は、前記ハウジングに形成される複数の内部流路を備えるのが好ましい。
【0012】
この構成により、ハウジングからの突出部分を抑えてコンパクトなものとすることができる。
【0013】
前記ハウジングの内部に配置され、前記供給口に対向する位置から前記ハウジングの内面に沿って均等に延びる壁部に、前記壁部によって分岐された流動物をそれぞれ前記一時貯留空間側へと導く穴部を形成してなる仕切部材を備え、
前記内部流路は、前記ハウジングの内面と、前記仕切部材の前記壁部の外面とで構成されているのが好ましい。
【0014】
この構成により、ハウジング内に仕切部材を収容しただけの簡単な構成で内部流路を形成することができる。
【0015】
前記軸心方向に往復移動可能に配置されるシリンダを備え、
前記シリンダの外周面と、前記仕切部材の前記壁部の内周面との間に、前記内部流路と前記一時貯留空間とを結ぶ環状空間を形成されているのが好ましい。
【0016】
この構成により、内部流路から穴部を通過した流動物を、環状空間を通過することで、一時貯留空間へと均等に流入させることができる。
【0017】
前記ハウジングの内部に配置され、前記供給口に対向する位置から前記ハウジングの内面に沿って均等に延びる仕切壁を有する仕切部材と、
前記軸心方向に往復移動可能に配置されるシリンダと、
を備え、
前記内部流路は、前記ハウジングの内面と、前記仕切部材の仕切壁の外面とで構成され、
前記ハウジングの内面と、前記シリンダの外周面との間に、前記内部流路と前記一時貯留空間とを結ぶ拡張空間を形成されているのが好ましい。
【0018】
この構成により、内部流路を通過した流動物を、拡張空間へと流動させることで、さらに分散させた後、一時貯留空間へと流動させることができる。
【0019】
前記ハウジングは複数の前記供給口を備え、
前記流路は、前記複数の供給口にそれぞれ接続される複数の外部流路を備えるのが好ましい。
【0020】
この構成により、ハウジングの内部構成を簡略化することができる。
【0021】
前記ハウジングは筒状で、前記ハウジングの一端側内面は他端側内面に向かって移動可能なシリンダの先端面で構成され、前記シリンダの先端面中央部に突出部が形成されているのが好ましい。
【0022】
この構成により、すなわち突出部によって、一時貯留空間での流動物の流れをより一層滞留しにくくすることができる。
【0023】
前記軸心方向に往復移動可能に配置されるシリンダと、
前記シリンダを前記一時貯留空間内へと突出させるように付勢する付勢手段と、
を備えることができる。
【0024】
前記軸心方向に往復移動可能に配置されるシリンダと、
前記シリンダを前記一時貯留空間内へと突出させるように、前記シリンダに対して流体圧を作用させる加圧手段と、
を備えることができる。
【0025】
前記軸心方向に往復移動可能に配置されるシリンダと、
前記シリンダを前記一時貯留空間内へと突出させる駆動手段と、
を備えることができる。
【0026】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
ポンプと、
前記ポンプから供給される流動物を吐出するディスペンサと、
前記ディスペンサと前記ポンプとを結ぶ配管の途中に設けられる、前記いずれかの構成のアキュムレータと、
を備えていることを特徴とする流動物吐出システムを提供する。
【0027】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
ポンプと、
前記ポンプから供給される流動物を吐出する、前記いずれかの構成のアキュムレータと、
を備えていることを特徴とする流動物吐出システムを提供する。
【0028】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
ポンプと、
前記ポンプから流動物が供給される、前記いずれかの構成のアキュムレータと、
前記アキュムレータの下流側に接続される開閉バルブと、
を備えていることを特徴とする流動物吐出システムを提供する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ハウジングに軸心方向に互いに離れた供給口と排出口とを形成し、軸心方向にハウジングの一時貯留空間の内容積を変更可能としたので、流動物を供給口から一時貯留空間に供給した順で排出口から排出できる。また、流路を介して一時貯留空間へと流動物を均等に供給するようにしたので、一時貯留空間内で流動物が部分的に滞留することがなくなり、流動物の固化や劣化等の不具合の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態に係るアキュムレータの縦断面図である。
図2図1のA−A線断面図である。
図3図1の仕切部材の斜視図である。
図4】本発明のアキュムレータを適用した流動物吐出システムの一例を示す概略図である。
図5】他の実施形態に係るアキュムレータの縦断面図である。
図6図5のB−B線断面図である。
図7】他の実施形態に係るアキュムレータの横断面図である。
図8】他の実施形態に係る仕切部材の斜視図である。
図9】他の実施形態に係る仕切部材の斜視図である。
図10】本発明のアキュムレータを適用した他の実施形態に係る流動物吐出システムの一例を示す概略図である。
図11】他の実施形態に係るアキュムレータの縦断面図である。
図12】他の実施形態に係るアキュムレータの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。さらに、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは相違している。
【0032】
図1は、本実施形態に係るアキュムレータ1を示す。このアキュムレータ1は、ハウジング2内にシリンダ3及び仕切部材4を収容した構成である。
【0033】
ハウジング2は筒状で、第1ハウジング5と第2ハウジング6とで構成されている。第1ハウジング5には両端側に供給口7及び排出口8がそれぞれ形成され、それぞれ第1ハウジング5の内外を連通している。図1では、供給口7は、第1ハウジング5の一端側から上方に向かって突出する筒状部9によって構成されている。また、排出口8は、第1ハウジング5の他端側下面に開口している。第1ハウジング5の一端部は供給口7よりも先の部分が他の部分よりも外径寸法が若干小さく、そこには第2ハウジング6が接続されている。
【0034】
第1ハウジング5の内部は、一端側から第1領域10、第2領域11、第3領域12及び第4領域13となっている。第2領域11、第3領域12及び第4領域13で、流動物が流動する内部空間が構成されている。
【0035】
第1領域10は、第2領域11及び第3領域12よりも内径寸法が大きく、そこにはシールケース14に収容されたシール部材15が配置されている。シールケース14はハウジング2の軸心方向に並んで配置される第1シールケース14aと、第2シールケース14bとからなる。第1シールケース14aは第2シールケース14bよりも長い。第1シールケース14aの内周面には、第1シール部材15aとウェアリング16とが設けられている。第2シールケース14bの内周面には、第1シール部材15aと同様な構成を有する第2シール部材15bが設けられている。シール部材15は、シリンダ3の外周面に密着して第1ハウジング5と第2ハウジング6との間を封止する。ウェアリング16は、後述するシリンダ3を軸心方向に沿ってスライド可能に支持するスラスト軸受として機能する。
【0036】
第2領域11には供給口7が開口している。図1では、第2領域11の上方部分に供給口7が開口している(供給口7の開口位置についての制限は特にない。)。図2に示すように、開口部分から周方向の両側に向かって、内径寸法が大きい第1拡径部17が形成されている。第1拡径部17から下方側の部分には、第1拡径部17よりも内径寸法の小さい第2拡径部18が形成されている。第2領域11には後述する仕切部材4が配置される。
【0037】
図1に戻って、第3領域12は、後述する第4領域13と共に、第1ハウジング5に形成される内部空間内で一時貯留空間5aを構成する。第3領域12には、後述するシリンダ3の一部が突出可能となっている。シリンダ3は付勢手段の一例であるスプリング21によって押圧されており、第3領域12及び第4領域13に位置する流動物に対して常に一定の加圧力を作用させる。
【0038】
第4領域13は、第3領域12を排出口8へとつなげるための空間である。第4領域13は、第1ハウジング5の軸心方向に対し、図1中、下方側に延びている。また第4領域13が第3領域12につながる部分は流路断面積が狭くなっている。これにより、流動物に対してシリンダ3による加圧力を効果的に作用させることができる。
【0039】
第2ハウジング6は、一端側が外径方向に拡張されて前記第1ハウジング5の一端部(第1領域10に対応する部分の外周面)に接続される。第2ハウジング6の他端側は閉鎖され、その閉鎖壁19の内面にはスプリング21の一端部が圧接可能となっている。また閉鎖壁19の中央部にはエア抜き孔20が形成されている。エア抜き孔20は、シリンダ3が往復移動する際、内部の空気圧が増減することを防止し、発生する空気抵抗を緩和する。
【0040】
シリンダ3は、一端側が閉鎖し、他端側が開口した中空筒状で、内部空間には付勢手段としてのスプリング21が配置される。スプリング21の一端部は、シリンダ3の閉鎖壁3aの内面に当接し、他端部はシリンダ3の開口3bから突出して第2ハウジング6の閉鎖壁19の内面に当接している。これにより、シリンダ3は、図1中、左方向すなわち先端面側へと付勢され、第3領域12内に突出あるいは退避可能な状態となる。これにより、第1ハウジング5の一時貯留空間5aの内容積が変更可能となっている。シリンダ3の閉鎖壁3aの外面中央部には突出部22が形成されている。突出部22は、円柱部22aと、その先端側の円錐台部22bとで構成されている。突出部22は、第3領域12の中央部分に突出する。
【0041】
図3に示すように、仕切部材4は筒状の壁部23を備える。壁部23の一端側開口部には鍔部24が形成されている。壁部23には軸心を中心とする対称な位置2箇所に穴部25がそれぞれ形成されている。各穴部25は、平面視矩形状に形成されている。
【0042】
図1に示すように、仕切部材4は第1ハウジング5の第2領域11に装着される。装着状態では、図2に示すように、壁部23の穴部25よりも下方側の部分が第2領域11の下方側の第2拡径部18に接触する。そして、壁部23の内周面と第3領域12の内周面とが面一となる。壁部23の穴部25よりも上方側の部分が第2領域11の第1拡径部17の内面との間に隙間を形成する。このとき、各穴部25を水平方向(図1中、紙面と直交する方向)に位置させる。仕切部材4は第1ハウジング5に対してピン等によって回転方向に位置決めし、穴部25が必ずこの位置となるようにするのが好ましい。また、各穴部25の下縁部分は第1ハウジング5の第2領域11の第1拡径部17の終端位置に位置する。これにより、上方の供給口7から前記隙間を介して両側の穴部25に至る2つの内部流路26が形成される。さらに、仕切部材4の壁部23の内周面とシリンダ3の外周面との間には環状空間27が形成される。内部流路26及び環状空間27は共に内部空間の一部であり、後述するように、第1ハウジング5の一時貯留空間5aに流動物を均等に供給するための流路5bとして機能する。
【0043】
前記構成からなるアキュムレータ1は、以下に説明するような流動物吐出システムに採用することができる。
【0044】
例えば、図4に示すように、高圧ポンプ28とディスペンサ29とを結ぶ配管40の途中にアキュムレータ1を接続することができる。配管40には、アキュムレータ1の上流側に、高圧ポンプ28側から減圧弁30及び開閉弁31を接続する。開閉弁31はディスペンサ29での吐出状態に応じて開閉制御する。
【0045】
このように高圧ポンプ28からディスペンサ29に流動物を供給する場合、脈動等が発生する恐れがあるが、アキュムレータ1を採用することにより、そのような不具合の発生を防止できる。そして、アキュムレータ1では、図2に示すように、供給口7から内部(第2領域11)に流入した流動物が、仕切部材4の壁部23に衝突して分岐し、それぞれ内部流路26を流動して穴部25に至る。穴部25は、左右均等に形成されているため、流動物は環状空間27に同時に進入する。環状空間27に進入した流動物は、さらに周方向に2分割されて流動した後、環状空間27から第3領域12へと流動する。このように、流動物は、2分割されて流動し、さらに2分割されて環状空間27で広がった後、第3領域12へと流動する。したがって、第2領域11側から第3領域12側に向かって、ほぼリング状の一様な流れが生じる。また、シリンダ3の先端には突出部22が形成されているため、第3領域12の入口部分(第2領域11側)も環状となっている。このため、環状空間27からの流動物の流れが第3領域12の入口部分の形状に合致し、全体に亘って一様に流動しやすくなり、一部で滞留することがない。
【0046】
また、図10に示すように、ディスペンサ29を設けることなく、アキュムレータ1から直接流動物を吐出させるようにしてもよい。この場合、アキュムレータ1の排出口8に配管41を接続し、この配管41の途中に開閉バルブ42を設けるのが好ましい。これによれば、ハウジング2の一時貯留空間5a内に供給された流動物は、そこに突出したシリンダ3によって加圧力を受けて排出口8から流出する。開閉バルブ42を設ける場合には、適宜、この開閉バルブ42を開閉することにより、一時貯留空間5a内での流動物の圧力が常に設定範囲内となるように調整すればよい。これによれば、流動物の単位時間当たりの吐出量を安定させることが可能となる。
【0047】
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0048】
前記実施形態では、ハウジング2に装着する仕切部材4を筒状としたが、例えば、図5及び図6に示すように、前記仕切部材4の穴部25よりも上方側の部分のみからなる、断面円弧状の仕切壁32で構成することもできる。この場合、仕切壁32は、筒状部9の供給口が開口する内面のいずれかに固定すればよい。また第2領域11は、第2拡径部18を設けることなく、第1拡径部17の内径寸法と同一の内径寸法を有する内周面のみで構成されている。これにより、仕切壁32で分岐した流動物は、第2領域11の上半部、すなわち内部流路26を流動した後、第2領域11の下半部、すなわち拡張空間5cで分散しながら一時貯留空間5aの第3領域12へと流出することになる。
【0049】
前記実施形態では、ハウジング2内に仕切部材4を装着することにより、流路5bとして2つの内部流路26を備えた構成としたが、このような流路5bはハウジング2の外部に接続される外部流路33を備えた構成としてもよい。例えば、図7に示すように、ハウジング2に2箇所の供給口7を形成し、各供給口7に外部流路33(例えば、供給管)をそれぞれ接続するようにしてもよい。この外部流路33は、各供給口7に均等に流動物が供給されるように、分岐した各流路に於ける配管抵抗が均等になるように設計されている。これによれば、ハウジング2の内部構成を特に工夫することなく簡単に2つの流路(外部流路33)を形成することができる。ここでは、外部流路33は、1本の配管を途中で分岐させたものを使用している。
【0050】
また、流路5bを内部流路26と外部流路33の両方を備えた構成としてもよい。例えば、外部流路33により分岐させた流動物を、ハウジング2の内部に設けた内部流路26によりさらに分岐させるようにしてもよい。これにより、前記各実施形態に比べて第3領域12に流入させる流動物の流動形態をさらに均一なものとして、滞留の発生を防止することが可能となる。
【0051】
前記実施形態では、仕切部材4に形成する穴部25を2箇所とし、同一形状としたが、数や形状は相違させるようにしてもよい。例えば、図8に示すように、仕切部材4の壁部23の周方向に複数の穴部25を形成し、各穴部25の形状をある位置(ここでは中心位置)から両側に向かうに従って徐々に内径寸法が大きくなるように相違させてもよい。この場合、最も小径の穴部25を供給口7に対向させるように配置すればよい。つまり、流動物の供給位置から離れ、液圧が小さくなるに従って流動抵抗が小さくなる穴部25を配置すればよい。これによれば、供給口7から供給された流動物が環状空間27へと通過するのは、液圧が高い領域、すなわち供給口7に近い領域では、流動抵抗の大きな小径の穴部25であり、液圧が低くなるに従って両側の徐々に大径となって流動抵抗の小さくなった穴部25となる。これにより、供給口7から各穴部25に向かう複数の流路5bが形成され、これら流路5bによって流動物の流れが分岐される。さらに、流動物は、穴部25から環状空間27へと流入して方向変換されることにより、一時貯留空間5aに向かって均等な流れとなる。したがって、環状空間27では全体に一様な流動物の流れを得ることができ、第3領域12での流動物の滞留をより一層効果的に防止することが可能となる。
【0052】
前記実施形態では、仕切部材4に形成する穴部25を2箇所としたが、1箇所又は複数箇所とし、その形状が周方向に変化するように構成してもよい。例えば、図9に示すように、ある位置から両側に離れるに従って徐々に幅寸法が大きくなるような穴部25を形成するようにしてもよい。これによれば、前記図8に示すものと同様に、流動物が穴部25を通過する際に受ける流動抵抗は、液圧の低下に応じて、すなわち供給口7から離れるに従って小さくなり、環状空間27への流れを周方向に一様なものとすることができる。これにより、供給口7及び環状空間27を介して均一に流動体を供給する流路5bが形成される。したがって、環状空間27から第3領域12への流動物の流れを均一にして、この第3領域12での部分的な流動物の滞留を防止することが可能となる。
【0053】
前記実施形態では、シリンダ3を一時貯留空間5a内に突出させるのにスプリング21の付勢力を利用するようにしたが、他の方法によりシリンダ3を動作させるようにしてもよい。
【0054】
例えば、図11では、流体圧を利用してシリンダ3を動作させるようにしている。すなわち、シリンダ3は、先端側のみならず後端側も閉鎖されており、第2ハウジング6の他端面との間に閉鎖空間43を形成している。この閉鎖空間43には、第2ハウジングの他端面に形成した貫通孔44を介して外部から流体が供給及び排出される。使用する流体としては、空気等の気体や水等の液体が挙げられる。流体を供給及び排出するための加圧及び減圧手段としては、ポンプ45やソレノイド(図示せず)等を利用できる。そして、閉鎖空間43に流体を供給することにより、シリンダ3を一時貯留空間5a内へと突出させることができる。これにより、一時貯留空間5a内に貯留されている流動物が加圧され、排出口8から排出可能となる。なお、図11では、前記実施形態と同様な構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【0055】
また、図12では、モータ46、ソレノイド(図示せず)等の駆動手段を利用してシリンダ3を動作させるようにしている。駆動手段としてモータ46を利用する場合、シリンダ3の後端面から突出させたロッド47にラック48を形成し、このラック48にモータ46の回転軸に一体化したピニオン49をかみ合わせるようにすればよい。また、駆動手段としてソレノイドを利用する場合、前記ロッド47をソレノイドによって進退できるようにすればよい。なお、図12でも、前記実施形態と同様な構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【符号の説明】
【0056】
1…アキュムレータ
2…ハウジング
3…シリンダ
3a…閉鎖壁
3b…開口
4…仕切部材
5…第1ハウジング
5a…一時貯留空間
5b…流路
5c…拡張空間
6…第2ハウジング
7…供給口
8…排出口
9…筒状部
10…第1領域
11…第2領域
12…第3領域
13…第4領域
14…シールケース
14a…第1シールケース
14b…第2シールケース
15…シール部材
15a…第1シール部材
15b…第2シール部材
16…ウェアリング
17…第1拡径部
18…第2拡径部
19…閉鎖壁
20…エア抜き孔
21…スプリング
22…突出部
22a…円柱部
22b…円錐台部
23…壁部
24…鍔部
25…穴部
26…内部流路
27…環状空間
28…高圧ポンプ
29…ディスペンサ
30…減圧弁
31…開閉弁
32…仕切壁
33…外部流路(供給管)
40…配管
41…配管
42…開閉バルブ
43…閉鎖空間
44…貫通孔
45…ポンプ
46…モータ
47…ロッド
48…ラック
49…ピニオン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12