(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
4側面板により筒形に組み立てられてその両端に形成される一方の開口を前記4側面板の一つに折れ線を介して連接される一方の蓋により開閉可能に閉鎖され、他方の開口は前記4側面板の一つに折れ線を介して連接される他方の蓋により封止される形式の包装用箱において、
前記一方の蓋を連接される一側面板に対向する他の側面板の前記一方の開口側の端部に、
中央に前記他方の開口側に向けて凸の円弧状の中央の切り込み部、前記中央の切り込み部に連続して両端に前記一方の開口側に向けて凸の円弧状の両端の切り込み部、及び前記両端の切り込み部を延長して前記他方の開口方向でかつ前記他の側面板の両側部に向けて斜めに延びる両端の切り込み延長部からなる差し込み片係止部と、
前記両端の切り込み部と前記両端の切り込み延長部との間から前記一方の開口側に略コ字形に又は略円弧状に切り抜かれて形成される開口部と、
を備え、
前記一方の蓋の先端に、
前記他の側面板の前記一方の開口側の端部に延び、先端に前記差し込み片係止部に係合可能な差し込み片を有するフラップと、
前記差し込み片の先端に切り取り線を介して連続し、前記他の側面板の前記差し込み片係止部の前記他方の開口側の縁部近傍で前記差し込み片係止部の両端に略隣接して接着される固定部と、
を備え、
前記一方の蓋の開封を、前記他の側面板を押すことで行い、
前記一方の蓋の再封を、前記フラップの先端の前記差し込み片を前記他の側面板の差し込み片係止部に差し込み係止することにより行い、
前記一方の蓋の開蓋を、前記他の側面板の両側の各側面板を押すことで行う、
ことを特徴とするワンプッシュ開封・開蓋機能付き包装用箱。
【背景技術】
【0002】
一般に、医療機関の薬局や調剤薬局では、医薬品が包装用箱内に収納された状態で調剤棚や保管棚に保管され、医薬品を取り出す際は、その都度、包装用箱を一方の手に取り、蓋の開封前の箱であれば、箱の蓋を他方の手で開封し蓋を開けて、また、蓋の開封後の箱であれば、箱の蓋を他方の手で開けて、箱の中の医薬品を(他方の手で)取り出していることから、医薬品の取り出しに手間がかかっている。
そこで、従来より、箱を簡単に開封することのできる包装用箱が特許文献1、2などにより提案されている。
【0003】
この文献1の包装用箱は、箱の胴部に全周に亘ってミシン目状の切込線が連続して刻設され、少なくとも一側板での切込線は迂回線状に形成されてこの迂回状の切込線で区画された部分に突片が設けられている。このようにして手指で突片を押し込むことで、手指の手掛かりとなる間隙を形成し、この間隙に手指を挿入して箱を引き上げることにより、突片の両端に連続する切込線の部分で箱の胴部を2分割するようにしている。これにより箱を容易に開封することができる。
【0004】
この文献2の包装用箱は、筒体に組み立てられた側面と、側面の1つに折罫線で区切られて設けられ筒体の上方の開口端部を閉鎖する外蓋片と、外蓋片が設けられた側面と平行に位置する側面に折罫線で区切られて設けられ外蓋片の裏面に重ねられる内蓋片とを備え、外蓋片の裏面には、この外蓋片を筒体の開口縁部に対して平行な状態で内蓋片に重ねると内蓋片に重なる位置に、係止突起が一体に設けられている。このようにして、外蓋片を内蓋片の外側に重ねて筒体の内側に押し込むと、係止突起が内蓋片の表面に当接し、さらに外蓋片を箱体の中に押し込むと、係止突起が内蓋片の端部を乗り越えるとともに、内蓋片が外蓋片に当たり、内蓋片の端部が外蓋片と係止突起の間に差し込まれて保持され、外蓋片と内蓋片が係合されるようになっている。これにより、簡単な操作で再封と開封を行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、医療機関の薬局や調剤薬局においては、医師から出された処方箋に従って誤りなく調剤が行われているが、他面で、患者の方々に医薬品を迅速に交付するために、医薬品の取り出しにさまざまな取り組みがなされている。例えば、右手に処方箋を持ちながら、左手で調剤棚や保管棚から医薬品の入った箱を取り、左手だけで箱の蓋を開けて、箱から薬の入ったPTPシートを取り出すようなことが実際に行われている。
しかしながら、既述のような従来の医薬品包装用の箱は、一般に、片手で開封したり開蓋したりできるような設計になっていないため、箱の取り扱いにかなり慣れた者でないと、箱を片手で開封したり開蓋したりすることはできない。
【0007】
本発明は、このような従来の問題を解決するもので、箱の取り扱いに慣れていなくても、箱の蓋を片手で簡単かつ迅速に開けることができ、医療従事者による箱の開封、開蓋などの作業効率を著しく高めることのできるワンプッシュ開封・開蓋機能付き包装用箱を提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のワンプッシュ開封・開蓋機能付き包装用箱は、
4側面板により筒形に組み立てられてその両端に形成される一方の開口を前記4側面板の一つに折れ線を介して連接される一方の蓋により開閉可能に閉鎖され、他方の開口は前記4側面板の一つに折れ線を介して連接される他方の蓋により封止される形式の包装用箱において、
前記一方の蓋を連接される一側面板に対向する他の側面板の前記一方の開口側の端部に、
中央に前記他方の開口側に向けて凸の円弧状の中央の切り込み部、前記中央の切り込み部に連続して両端に前記一方の開口側に向けて凸の円弧状の両端の切り込み部、及び前記両端の切り込み部を延長して前記他方の開口方向でかつ前記他の側面板の両側部に向けて斜めに延びる両端の切り込み延長部からなる差し込み片係止部と、
前記両端の切り込み部と前記両端の切り込み延長部との間から前記一方の開口側に略コ字形に又は略円弧状に切り抜かれて形成される開口部と、
を備え、
前記一方の蓋の先端に、
前記他の側面板の前記一方の開口側の端部に延び、先端に前記差し込み片係止部に係合可能な差し込み片を有するフラップと、
前記差し込み片の先端に切り取り線を介して連続し、前記他の側面板の前記差し込み片係止部の前記他方の開口側の縁部近傍で前記差し込み片係止部の両端に略隣接して接着される固定部と、
を備え、
前記一方の蓋の開封を、前記他の側面板を押すことで行い、
前記一方の蓋の再封を、前記フラップの先端の前記差し込み片を前記他の側面板の差し込み片係止部に差し込み係止することにより行い、
前記一方の蓋の開蓋を、前記他の側面板の両側の各側面板を押すことで行う、
ことを要旨とする。
この場合、
前記差し込み片は
前記フラップの先端に略円弧状に突出して形成されることが好ましい。
また、この場合、
前記他の側面板の
前記一方の開口側の端部で、
前記差し込み片係止部の中央に当該中央から
前記他方の開口側に向けて前記他の側面板の両側部と平行に罫線が付けられ、
前記開口部と前記一方の開口縁部との間の前記開口部の中央及び両側部に対応する位置に前記他の側面板の両側部と平行に罫線が付けられ、前記差し込み片先端の固定部の中央で前記差し込み片係止部中央の前記折れ線に重なる位置に前記他の側面板の両側部と平行に罫線が付けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のワンプッシュ開封・開蓋機能付き包装用箱によれば、上記のとおり、一方の蓋を連接される一側面板に対向する他の側面板の一方の開口側の端部に、差し込み片係止部と、開口部とを備え、一方の蓋の先端にフラップ、フラップの先端に差し込み片、差し込み片の先端に切り取り線を介して固定部をそれぞれ備え、一方の蓋の開封を、他の側面板を押すことで行い、一方の蓋の再封を、フラップ先端の差し込み片を他の側面板の差し込み片係止部に差し込み係止することにより行い、一方の蓋の開蓋を、他の側面板の両側の各側面板を押すことで行うようにしたので、箱の取り扱いに慣れていなくても、箱の蓋を片手で簡単かつ迅速に開けることができ、医療従事者による箱の開封、開蓋などの作業効率を著しく高めることができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1、
図2にワンプッシュ開封・開蓋機能付き包装用箱を示している。
図1はワンプッシュ開封・開蓋機能付き包装用箱の外部構成を示す斜視図であり、
図2はワンプッシュ開封・開蓋機能付き包装用箱の展開図である。
【0012】
図1、
図2に示すように、ワンプッシュ開封・開蓋機能付き包装用箱C(以下、包装用箱C又は箱Cという場合がある。)は、ボール紙、クラフト紙のような比較的厚さがあり直立性のある紙材により形成され、箱Cの正面、背面及び左右両側面をなす4側面板11−14と、箱Cの底面をなす底蓋15と、箱Cの天面をなす天蓋16とにより構成される。
また、この包装用箱Cは、底蓋15、天蓋16がそれぞれ、4側面板11−14のうち相互に対向する2側面板14、12の各端縁部に折れ線L9,L11、L10,L12を介して連接される一対のフラップ153,154、163,164、及び2側面板14、12間の両方の側面板13、11の端縁部に折れ線L5、L7を介して連接される先端にフラップ152、162を有する蓋151、161を有し、箱Cの底面開口が底蓋15により封止され、天面開口が天蓋16により封止され、開封後、開閉可能に閉じられる。
このようにしてこの箱Cは4側面板11−14により筒形に組み立てられてその上下両端に形成される天面側の一方の開口を4側面板11−14の一つに折れ線L7を介して連接される一方の蓋161により、開閉可能に閉鎖され、底面側の他方の開口は4側面板11−14の一つに折れ線L5を介して連接される他方の蓋151により封止される形式になっている。
【0013】
この箱Cの場合、全体が、縦に長い直方体状に構成され、前後の側面板13、11、すなわち、正面板13、背面板11はそれぞれ、同じ大きさの縦長の長方形で、左右の側面板14、12はそれぞれ、正面板13、背面板11よりも幅が少し狭い同じ大きさの縦長の長方形になっている。なお、この場合、背面板11の左側面板14とは反対側の側縁部に接続片111が形成され、この接続片111が右側面板12の裏面で背面側縁部に糊を介して接続される。
【0014】
底蓋15は、4側面板11−14のうちの3側面板14、12、13の各端縁部、この場合、左右の各側面板14、12の下端縁部から折れ線L9、L11を介して連接される左右一対のフラップ153、154と、正面板13の下端縁部から折れ線L5を介して連接される蓋151とからなる。この場合、左右の一対のフラップ153、154はそれぞれ、箱Cの底面開口(底面開口の左右両端)を部分的に被覆可能に全体が略台形に形成される。蓋151は箱Cの天面開口の全部を被覆可能に全体が略矩形状に形成され、蓋151の先端にフラップ152が横長の略矩形状に左右両端を角丸にして形成される。このようにして箱Cの底面開口は各フラップ153、154、蓋151により順次閉じられ、蓋151先端のフラップ152が背面板11内面の底面側に糊付けされることにより封止される。
【0015】
天蓋16は、底蓋15と若干異なり、4側面板11−14のうちの3側面板14、12、11の各端縁部、この場合、左右各側面板14、12の上端縁部から折れ線L10、L12を介して連接される左右一対のフラップ163、164と、背面板11の上端縁部から折れ線L7を介して連接される蓋161及びこの蓋161の先端から突出されるフラップ162とからなる。この場合、左右一対のフラップ163、164はそれぞれ、箱Cの天面開口(天面開口の左右両端)を部分的に被覆可能に全体が略台形状に形成される。蓋161は箱Cの天面開口の全部を被覆可能に全体が略矩形状に形成され、フラップ162は底蓋15の蓋151のフラップ152とは若干異なる形状で、その先端に固定部18を併せて有している。この形状や固定部18については後述する。このようにして箱Cの天面開口は各フラップ163、164、蓋161により順次閉じられ、蓋161のフラップ162先端の固定部18が正面板13外面の天面側の端部に糊付けされることにより封止される。
【0016】
そして、
図2に示すように(また、必要に応じて
図7参照)、この包装用箱Cでは、特に、天面側の一方の蓋161を連接される一側面板11に対向する他の側面板13の一方の開口側の端部に、中央に他方の開口側に向けて凸の円弧状の中央の切り込み部131、中央の切り込み部131に連続して両端に一方の開口側に向けて凸の円弧状の両端の切り込み部132、及び両端の切り込み部132を延長して他方の開口方向でかつ他の側面板13の両側部に向けて斜めに延びる両端の切り込み延長部133からなる差し込み片係止部13Aと、両端の切り込み部132と両端の切り込み延長部133との間から一方の開口側に略コ字形に切り抜かれて形成される開口部13Bとを備える。
また、一方の蓋161の先端に、他の側面板13の一方の開口側の端部に延び、先端に差し込み片係止部13Aに係合可能な差し込み片17を有するフラップ162と、差し込み片17の先端にミシン目からなる切り取り線170を介して連続し、他の側面板13の差し込み片係止部13Aの他方の開口側の縁部近傍で差し込み片係止部13Aの両端に略隣接して接着される固定部18とを備える。
【0017】
この場合、天蓋16の蓋161を連接される背面板11に対向する正面板13の天面側の一方の開口側の端部に、中央の切り込み部131が底面側の他方の開口側に向けて凸の長い円弧状に、両端の切り込み部132が中央の切り込み部131の両端に連続して天面側の一方の開口側に向けて凸の短い円弧状に、両端の切り込み延長部133が両端の切り込み部132の端部から延長して底面側の他方の開口方向でかつ正面板13の両側部に向けて斜めに短い直線状に、それぞれ切り込み形成されて、差し込み片係止部13Aが形成され、開口部13Bは、この差し込み係止部13Aの両端の切り込み部132と両端の切り込み延長部133との間から天面側の一方の開口側に略コ字形に切り抜かれて形成される。
また、この場合、正面板13の天面側の一方の開口側の端部で、差し込み片係止部13Aの中央にこの中央から底面側の他方の開口側に向けて(つまり、差し込み片係止部13Aの中央下部に)正面板13の両側部と平行に短い罫線(押罫による折り溝)K1が付けられ、開口部13Bと天面側の一方の開口の縁部との間の開口部13Bの中央及び両側部に対応する位置に(つまり、開口部13Bの上部の中央及び左右両側に)正面板13の両側部と平行に罫線K2が付けられる。
【0018】
この場合、天蓋16の蓋161の先端に、フラップ162が横長の略矩形状に形成されて正面板13の天面側の一方の開口側の端部に略開口部13Bまで延び、その先端に差し込み片17がフラップ162の両端から内方に斜めに延び、(差し込み片17の)先端が差し込み片係止部13Aに係合可能に略円弧状に形成される。固定部18は、差し込み片17の先端にミシン目からなる切り取り線170を介して連続し、正面板13の差し込み片係止部13Aの底面側の他方の開口側の縁部近傍で差し込み片係止部13Aの両端の切り込み延長部133の両端に略隣接して接着可能に横長の略矩形状に形成される。
また、この場合、差し込み片17先端の固定部18の幅方向中央で正面板13の差し込み片係止部13A中央の罫線K1に重なる位置に正面板13の両側部と平行に罫線K3が付けられる。
【0019】
なお、この箱Cは、
図2に示すように、全体が一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれて形成される一枚の紙基材Pからなる。
この紙基材Pは、展開した状態において、組み立て時に箱Cの背面板11をなす背面板部P11と、背面板部P11の左側部に折れ線L4を介して連続して設けられ、組み立て時に箱Cの右側面板12の裏面に固定される接続片部P111と、背面板部P11の右側部に折れ線L1を介して連続して設けられ、組み立て時に箱Cの左側面板14をなす左側面板部P14と、左側面板部P14の右側部に折れ線L2を介して連続して設けられ、組み立て時に箱Cの正面板13をなす正面板部P13と、正面板部P13の右側部に折れ線L3を介して連続して設けられ、組み立て時に箱Cの右側面板12をなす右側面板部P12と、正面板部P13の下側部に折れ線L5を介して連続して設けられ、組み立て時に底蓋15の蓋151をなす蓋部P151と、蓋部P151の下端(先端)に折れ線L6を介して連続して設けられ、組み立て時にフラップ152をなすフラップ部P152と、背面板部P11の上側部に折れ線L7を介して連続して設けられ、組み立て時に天蓋16の蓋161をなす蓋部P161と、蓋部P161の上端(先端)に折れ線L8を介して連続して設けられ、組み立て時にフラップ162をなす先端に差し込み片17を有するフラップ部P162と、フラップ部P162の差し込み片17の先端に切り取り線170を介して連続して設けられ、組み立て時に固定部18をなす固定部P18と、左側面板部P14の下側部に折れ線L9を介して連続して設けられ、組み立て時に底蓋15の左のフラップ153をなす左のフラップ部P153と、左側面板部P14の上側部に折れ線L10を介して連続して設けられ、組み立て時に天蓋16の左のフラップ163をなす左のフラップ部P163と、右側面板部P12の下側部に折れ線L11を介して連続して設けられ、組み立て時に底蓋15の右のフラップ154をなす右のフラップ部P154と、右側面板部P12の上側部に折れ線L12を介して連続して設けられ、組み立て時に天蓋16の右のフラップ164をなす右のフラップ部P164と、を備える。この紙基材Pの各部の大きさや形状、正面板部P13の差し込み片係止部13A及び開口部13Bの位置と形状、さらに、罫線K1、K2の付設、天面側の一方の蓋部P161の差し込み片17及び固定部18の位置と形状、さらに罫線K3の付設は既述のとおりである。
紙基材Pはかかる構成からなり、この紙基材Pから、背面板部P11の左側部に設けられた接続片部P111が右側面板部P12内面の背面側の縁部に糊を介して結合され、4側面板部P11−P14の底面開口が左右の各フラップ部P153、P154を介して蓋部P151により閉じられ、蓋部P151下端のフラップ部P152が背面板部P11内面の底面側の端部に糊付けされることで封止され、天面を開口された箱Cが組み立てられる。
そして、この箱Cは天面の開口より医薬品の収納後、天面の開口が天蓋16により封じられる。すなわち、箱Cの天面の開口が左右の各フラップ部P163、P164を介して蓋部P161により閉じられ、蓋161先端の固定部18が正面板13外面の天面側の端部、この場合、差し込み片係止部13Aの底面側の他方の開口側の縁部近傍で差し込み片係止部13Aの両端の切り込み延長部133の両端に略隣接する位置に糊付けされて封止される(
図1参照)。
【0020】
このようにして包装用箱Cは、底面開口が各フラップ153、154を介して蓋151により閉じられ、蓋151先端のフラップ152が背面板11内面の底面側の端部に糊付けされて封止され、そして、天面開口が各フラップ163、164を介して蓋161により閉じられ、蓋161先端の固定部18が正面板13外面の差し込み片係止部13Aの底面側の他方の開口側の縁部近傍(つまり、差し込み片係止部13Aの少し下)で差し込み片係止部13Aの両端の切り込み延長部133の両端に略隣接して糊付けされ封止される。
かくしてこの箱Cは、天面側の一方の蓋161の開封を、他の側面板13、この場合、正面板13を押すことで行い、天面側の一方の蓋161の再封を、フラップ162先端の差し込み片17を他の側面板13、この場合、正面板13の差し込み片係止部13Aに差し込み係止することにより行い、天面側の一方の蓋161の開蓋を、他の側面板13、この場合、正面板13の左右両側の各側面板14、12を押すことで行うようになっている。
【0021】
図3乃至
図7にこの箱Cの初期の開封方法、開封後の蓋161の閉め方(再封方法)、開け方(開蓋方法)を示している。
まず、医薬品を取り出すため、天蓋16を開封するときは、
図3(a)に示すように、箱Cを片手で持ち、正面板(他の側面板)13を親指で押すことで行う。この場合、正面板の特に固定部18を押すことが好ましい。この正面板13の固定部18を押すと、
図3(b)に示すように、正面板13が箱Cの内方(背面板11方向)に向けて略湾曲状に膨出変形する。特に、固定部18及び正面板13の天面側の一方の開口側の端部には、罫線K1、K2、K3が付けられていることにより、固定部18が箱Cの内方(背面板11方向)に向けて略湾曲状に膨出変形しやすくなっており効果的に膨出変形し、このときフラップ162の差し込み片17は正面板13の変形に影響されないことから、フラップ162の差し込み片17と固定部18との間にせん断力が作用して差し込み片17が固定部18から切り取り線170に沿って切り離され、箱Cが開封される。この開封と同時に、天面側の一方の蓋161は蓋161自体の復元作用により開方向に起立回動する。
図7に箱Cの開封後の状態を示す。これにより、箱Cの中から医薬品を取り出すことができる。
また、医薬品の取り出し後、天面側の一方の蓋161を閉めるときは、
図4(a)に示すように、この蓋161を天面の開口まで倒伏回動させて閉じ、このときに、
図4(b)に示すように、フラップ162先端の差し込み片17を正面板13の差し込み片係止部13Aに差し込み係止すればよい。
図5に示すように、この差し込み片17と差し込み片係止部13Aとの係合により、天面側の一方の蓋161は箱Cの天面開口上に保持される。この再封も片手でできる。
そして、再び、箱Cから医薬品を取り出すため、天面側の一方の蓋161を開けるときは、
図6(a)に示すように、箱Cを片手で持ち、正面板13の左右両側の各側面板14、12を親指と人差し指で同時に押すことで行う。この場合、左右の各側面板14、12の特に天面側の端部を押すことが好ましい。この左右の各側面板14、12の天面側の端部を同時に押すと、
図6(b)に示すように、正面板13が箱Cの外方(正面板13の前方)に向けて略湾曲状に膨出変形し、特に、固定部18及び正面板13の天面側の一方の開口側の端部には、罫線K1、K2、K3が付けられていることにより、差し込み片係止部13Aが箱Cの外方(正面板13の前方)に向けて略湾曲状に膨出変形しやすくなっており効果的に膨出変形し、このときフラップ162の差し込み片17は正面板13の変形に影響されないことから、差し込み片係止部13Aと天面側の一方の蓋161先端のフラップ162の差し込み片17との係合が解除される。この解除と同時に、天面側の一方の蓋161は蓋161自体の復元作用により開方向に起立回動する。
図7に箱Cの開蓋後の状態を示す。これにより、箱Cの中から医薬品を取り出すことができる。
【0022】
以上説明したように、このワンプッシュ開封・開蓋機能付き包装用箱Cによれば、天面側の一方の蓋161を連接される一側面板11(この場合、背面板11)に対向する他の側面板13(この場合、正面板13)の天面側の一方の開口側の端部に、差し込み片係止部13Aと、開口部13Bとを備え、天面側の一方の蓋161の先端にフラップ162、フラップ162の先端に差し込み片17、差し込み片17の先端に切り取り線170を介して固定部18をそれぞれ備え、天面側の一方の蓋161の開封を、他の側面板13(この場合、正面板13)を押すことで行い、天面側の一方の蓋161の再封を、フラップ162先端の差し込み片17を他の側面板13(この場合、正面板13)の差し込み片係止部13Aに差し込み係止することにより行い、天面側の一方の蓋161の開蓋を、他の側面板13(この場合、正面板13)の両側の各側面板14、12(この場合、左右の各側面板14、12)を押すことで行うようにしたので、箱Cの取り扱いに慣れていなくても、箱Cの蓋161を片手で簡単かつ迅速に開けることができる。したがって、医療従事者による箱Cの開封、開蓋などの作業効率を著しく高めることができる。
【0023】
また、この包装用箱Cでは、他の側面板13(この場合、正面板13)の天面側の一方の開口側の端部で、差し込み片係止部13Aの中央にこの中央から底面側の他方の開口側に向けて他の側面板13(この場合、正面板13)の両側部と平行に罫線(押罫による折り溝)K1が付けられ、開口部13Bと天面側の一方の開口の縁部との間の開口部13Bの中央及び左右両側部に対応する位置に他の側面板13(この場合、正面板13)の両側部と平行に罫線K2が付けられ、差し込み片17先端の固定部18の幅方向中央で差し込み片係止部13A中央の罫線K1に重なる位置に他の側面板13(この場合、正面板13)の両側部と平行に罫線K3が付けられているので、箱Cの開封の際に、箱Cの他の側面板(正面板)13を押したときに、特に天面側の一方の蓋161の固定部18が箱Cの内方(背面板11方向)に向けて略湾曲状に膨出変形しやすくなり、固定部18を効果的に変形させて、差し込み片17を固定部18から切り取り線170に沿って確実かつ容易に切り離すことができ、また、箱Cの開蓋の際に、箱Cの他の側面板(この場合、正面板13)の左右両側の各側面板14、12を同時に押したときに、特に他の側面板13の差し込み片係止部13Aが箱Cの外方(正面板13の前方)に向けて略湾曲状に膨出変形しやすくなり、差し込み片係止部13Aを効果的に変形させて、差し込み片係止部13Aと天面側の一方の蓋161先端のフラップ162の差し込み片17との係合を確実かつ容易に解除することができる。
【0024】
なお、上記実施の形態では、正面板13の開口部13Bが、差し込み片係止部13Aの両端の切り込み部132と両端の切り込み延長部133との間から天面側の一方の開口側に略コ字形に切り抜かれて形成されるものとしたが、この開口部13Bは略円弧状に切り抜かれて形成されてもよい。このようにしても、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、上記実施の形態では、ワンプッシュ開封・開蓋機能を縦に長い箱に適用した場合を例示したが、横に長い箱でも、両端の蓋をそれぞれ、天面側の蓋、底面側の蓋と見立てれば、ワンプッシュ開封・開蓋機能を横に長い箱にも同様に適用できることは勿論である。