【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例により制限されるものではない。
【0043】
[実施例1]IDTT−SQ−C6
−CNの合成
【化9】
【0044】
<化合物2の合成>
化合物1(0.84g、4.61mmol)を酢酸50mLに溶解させた溶液に、窒素下で、NaBH
3CN(シアノ水素化ホウ素ナトリウム)(1.45g、23.1mmol)をすべて入れ、室温(r.t.)で24時間攪拌した。反応混合物をNaOHの4M冷水溶液中に注ぎ、pHを強塩基性に調整した後、ジクロロメタンで3回抽出した。有機層を飽和NaHCO
3水溶液と水で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥した。溶媒を減圧下に除去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=6/1)、黄色液体を得た(0.40g、47%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3,ppm) δ: 7.30 (s, 1H, ArH), 7.23 (d, 1H, J=8.4 Hz, ArH), 6.40 (d,1H, J=8.4 Hz, ArH), 4.48-4.25 (m, 1H, -NH-), 3.79-3.74 (m, 1H, -CH-),2.01-1.47 (m, 6H, -CH
2-)
MS:m/z [M+H]
+ 184.8.
【0045】
<化合物3の合成>
化合物2(0.40g、2.17mmol)、1−ブロモ−3,5−ジメトキシベンゼン(0.52g、2.39mmol)、NaOBu−t(ナトリウムtert−ブトキシド)(0.35g、3.58mmol)、Pd(OAc)
2(酢酸パラジウム(II)(16mg、3%)、及びP(t−Bu)
3HBF
4(トリ(tert−ブチル)ホスフィンテトラフルオロボレート)(42mg、6%)をトルエン60mLに溶解させ、窒素下で12時間加熱還流した。反応混合物を冷却し、不溶性物質を濾過により除去し、溶媒を減圧下に除去した後、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=8/1)、無色液体である化合物3を得た(0.48g、69%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6,ppm) δ: 7.48 (s, 1H, ArH), 7.42 (d, 1H, J=8.4 Hz, ArH), 6.90 (d,1H, J=8.4 Hz, ArH), 6.46 (d, 2H, J=2.0 Hz, ArH), 6.30 (t, 1H, J=2.0Hz, ArH), 5.00-4.96 (m, 1H, -NH-), 3.81-3.57 (m, 1H, -CH-), 3.75 (s, 6H,-OCH
3), 2.04-1.25 (m, 6H, -CH
2-)
MS:m/z [M+H]
+ 321.0
【0046】
<化合物4の合成>
化合物3(0.48g、1.50mmol)を無水DCM(ジクロロメタン)40mLに溶解させた溶液中に、BBr
3(1M DCM溶液で15mL;15mmol)を氷浴中で徐々に滴下し、室温で24時間攪拌した。その後、溶液を氷水200mL中に注ぎ、過剰のBBr
3を除去した。有機層を分離し、水層をジクロロメタンで3回抽出した。有機層を合わせて有機層を飽和NaHCO
3水溶液と水で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥した。溶媒を減圧下に除去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(展開溶媒:ジクロロメタン/メタノール=50/1)、淡黄色固体を得た(0.35g、80%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6,ppm) δ: 9.39 (s, 2H, -OH), 7.45 (s, 1H, ArH), 7.43 (d, 1H, J=8.4Hz, ArH), 6.83 (d, 1H, J=8.4 Hz, ArH), 6.18 (d, 2H, J=2.0 Hz, ArH), 5.99 (t, 1H, J=2.0 Hz,ArH), 4.85-4.81 (m, 1H, -NH-), 3.80 (t, 1H, J=8.4 Hz, -CH-),2.04-1.23 (m, 6H, -CH
2-)
MS:m/z [M+H]
+ 293.2.
【0047】
<化合物6の合成>
化合物5(1.73g、3.87mmol)及び6,6,12,12−テトラキス(4−ヘキシルフェニル)−S−インダセノジチエノ[3,2−b]チオフェン−ビス(トリメチルスタンナン)(2.00g、1.49mmol)をトルエン160mLに溶解させ、30分間、窒素により脱気した。ここにPd(PPh
3)
4(450mg)を窒素下に添加し、36時間加熱還流した。溶媒を除去した後、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(展開溶媒:ジクロロメタン/酢酸エチル=30/1)、橙色固体である化合物6を得た(0.77g、30%)。
1H NMR (400 MHz, THF-d8,ppm) δ: 7.65 (d, 4H, J=3.2 Hz, ArH), 7.59 (d, 2H, J=1.2Hz, ArH), 7.53 (dd, 2H, J=8.4, 2.0 Hz, ArH), 7.23 (d, 8H, J=8.4Hz, ArH), 7.10 (d, 8H, J=8.4 Hz, ArH), 7.01 (d, 2H, J=8.4 Hz,ArH), 5.44 (s, 2H, =CH-), 4.86 (q, 4H, J=7.2 Hz, -OCH
2-),3.90 (t, 4H, J=7.2 Hz, -NCH
2-), 2.57 (t, 8H, J=7.6 Hz,-CH
2-), 1.78-1.56 (m, 12H, -CH
2-), 1.65 (s, 12H, -CH
3),1.50 (t, 6H, J=7.2 Hz, -CH
3), 1.45-1.22 (m, 36H, -CH
2-),0.91-0.85 (m, 18H, -CH
3).
【0048】
<化合物7の合成>
化合物6(0.72g、0.41mmol)をアセトン50mLとTHF70mLの混合溶媒に溶解させ、30分間加熱還流した。化合物6を溶解させた後、6M HClアセトン溶液を12mL滴下し、2時間加熱還流した。その後、反応混合物中に脱イオン水300mLを滴下したところ、橙色の固体が析出した。この混合物を濾取し、脱イオン水で洗浄して化合物7を得た(0.65g、93%)。
1H NMR (400 MHz, THF-d8,ppm) δ: 7.65 (s, 4H, ArH), 7.58 (s, 2H, ArH), 7.52 (d, 2H, J=8.4Hz, ArH), 7.23 (d, 8H, J=8.4 Hz, ArH), 7.10 (d, 8H, J=8.4 Hz,ArH), 6.98 (d, 2H, J=8.4 Hz, ArH), 5.53 (s, 2H, =CH-), 3.88 (t, 4H, J=7.2Hz, -NCH
2-), 2.57 (t, 8H, J=7.6 Hz, -CH
2-),1.76-1.54 (m, 12H, -CH
2-), 1.66 (s, 12H, -CH
3), 1.44-1.21(m, 36H, -CH
2-), 0.91-0.85 (m, 18H, -CH
3).
【0049】
<IDTT−SQ−C6−CNの合成>
化合物4(0.15g、0.52mmol)及び化合物7(0.35g、0.21mmol)をトルエン30mLとn−ブタノール30mLの混合溶媒に溶解させ、窒素下で30分間脱気した後、140℃で48時間加熱した。冷却後、反応混合物中にメタノール400mLを滴下したところ、暗赤色の固体が析出した。この固体を濾取し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(展開溶媒:ジクロロメタン/酢酸エチル=50/1)。ジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:メタノール=7:1(体積比))で再結晶して暗赤色固体を得た(0.34g、72%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3,ppm) δ: 12.30 (s, 2H, -OH), 12.26 (s, 2H, -OH), 7.63 (dd, 2H, J=8.4,1.6 Hz, ArH), 7.61 (d, 2H, J=1.6 Hz, ArH), 7.57(s, 2H, ArH), 7.53 (s,2H, ArH), 7.43 (dd, 2H, J=8.8, 1.6 Hz, ArH), 7.35 (s, 2H, ArH), 7.29 (d,2H, J=8.8 Hz, ArH), 7.24 (d, 8H, J=8.4 Hz, ArH), 7.14 (d, 8H, J=8.4Hz, ArH), 7.15 (d, 2H, J=1.6 Hz, ArH), 6.31 (s, 4H, ArH), 6.01 (s, 2H,=CH-), 4.81-4.76 (m, 2H, -CH
2-), 4.15 (t, 4H, J=6.8 Hz, -NCH
2-),3.86 (t, 2H, J=8.0 Hz, -CH
2-), 2.59 (t, 8H, J=8.0 Hz,-CH
2-), 2.09-1.96 (m, 6H, -CH
2-), 1.89-1.56 (m, 27H, -CH
2-,-CH
3), 1.47-1.24 (m, 39H, -CH
2-), 0.92-0.85 (m, 18H, -CH
3);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3,ppm) δ: 174.5, 172.2, 169.4, 153.6, 150.4, 148.4, 146.4, 143.9, 143.8,143.6, 142.7, 142.0, 140.6, 140.0, 137.3, 136.0, 133.5, 133.4, 132.7, 128.6,128.2, 128.0, 125.8, 119.9, 119.7, 117.0, 111.9, 111.7, 105.5, 103.1, 98.4,89.1, 69.1, 62.9, 50.7, 44.9, 35.6, 34.3, 31.7, 31.3 (31.3), 29.2, 27.6, 26.6,26.5 (26.5), 24.3, 22.6, 22.4, 14.1, 13.9.
【0050】
[実施例2]IDTT−SQ−C6の合成
【化10】
【0051】
化合物7(0.60g、0.35mmol)及び化合物8(0.25g、0.92 mmol)をトルエン70mLとn−ブタノール70mLの混合溶媒に溶解させ、窒素下で30分間脱気した後、140℃で48時間加熱した。冷却後、反応混合物中にメタノール500mLを滴下したところ、暗赤色の固体が析出した。この固体を濾取し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(展開溶媒:ジクロロメタン/ヘキサン=4/1)。ジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:メタノール=4:1(体積比))で再結晶して暗赤色固体を得た(0.60g、77%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3,ppm) δ: 12.38 (s, 4H, -OH), 7.57-7.53 (m, 8H, ArH), 7.39 (d, 2H, J=8.0Hz, ArH), 7.57(s, 2H, ArH), 7.25 (d, 8H, J=8..4 Hz, ArH), 7.17-7.14 (m, 4H,ArH), 7.14 (d, 8H, J=8.4 Hz, ArH), 7.07 (d, 2H, J=8.8 Hz, ArH), 6.96(t, 2H, J=7.6 Hz, ArH), 6.34 (s, 4H, ArH), 5.92 (s, 2H, =CH-), 4.69-4.64(m, 2H, -CH-), 4.08 (t, 4H, J=7.6 Hz, -NCH
2-), 3.90 (t, 2H, J=8.0Hz, -CH-), 2.60 (t, 8H, J=7.6 Hz, -CH
2-), 2.08-1.91 (m, 8H,-CH
2-), 1.90-1.79 (m, 16H, -CH
2-, -CH
3), 1.66-1.57(m, 11H, -CH
2-), 1.44-1.29 (m, 39H, -CH
2-), 0.92-0.85 (m,18H, -CH
3);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3,ppm) δ: 172.5, 170.5, 169.4, 153.5, 152.7, 146.3, 144.3, 143.9, 143.4,143.3, 142.6, 141.9 141.1, 140.1, 136.9, 136.0, 133.2, 132.4, 128.5, 128.0, 127.4,125.7, 124.9, 122.4, 119.6, 117.0, 116.7, 113.7, 111.0, 104.9, 96.7, 88.0, 68.6,62.9, 50.1, 45.5, 44.5, 35.6, 34.6, 33.8, 31.7, 31.4, 31.3, 29.2, 27.4, 26.8,26.7, 26.6, 24.3, 22.6, 22.5, 14.1, 14.0.
【0052】
[試験例1]光学特性
紫外可視近赤外(UV−Vis−NIR)分光光度計(島津製作所社製 UV−3150)を用いて、IDTT−SQ−C6及びIDTT−SQ−C6−CNを溶液又は薄膜にしたときの吸収スペクトルをそれぞれ測定した(
図1及び2)。IDTT−SQ−C6及びIDTT−SQ−C6−CNとも、薄膜における吸収波長が850nmの近赤外領域まで拡張することがわかった。
結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
[試験例2]光起電力特性
(デバイスの作製)
電子アクセプターとなるPC
71BM(ソーラマー・エナジー社製)を用い、低分子有機太陽電池をITO(酸化インジウムスズ)膜ガラス基板を用いて作製した。ITOのシート抵抗は10Ωsq
-1であった。パターンのあるITO膜ガラス基板を洗剤、脱イオン水、アセトン、及びイソプロパノールをこの順に用いて、超音波浴によりそれぞれ30分間、洗浄した。洗浄後の基板は使用前に12時間オーブン中、65℃で乾燥させた。基板をUVオゾンで20分間洗浄し、直ちに高真空チャンバー内に入れ、圧力2×10
-4Pa未満、速度0.20Ås
-1で、厚さ8nmのMoO
3を堆積させた。次いで、活性層(厚さ:80±5nm)を、窒素を充填したグローブボックス中、35℃で、SM及びPC
71BMの混合物を溶解させた20mg/mLクロロホルム溶液を用いて形成した。基板を高真空チャンバーに戻し、BCP(4nm)及びAl(100nm)を上部電極として、それぞれ圧力6×10
-5Pa未満、速度0.20Ås
-1、及び、圧力2×10
-4Pa、速度1.5〜5.0Ås
-1で堆積させてITO/MoO
3(8nm)/SM:PC
71BM(80nm)/BCP(4nm)/Al(100nm)(かっこ内は厚みを表す。)の素子構造を有する有機太陽電池を作製した。前記有機太陽電池の活性化領域は9mm
2である、
なお、前記SMはIDTT−SQ−C6−CN又はIDTT−SQ−C6を表す。
【0055】
【化11】
【0056】
(評価)
有機太陽電池をそのまま、又は90℃で10分間加熱した後、電流密度−電圧(J−V)及び外部量子効率(EQE)をCEP−2000分光感度測定装置(分光計器社製)を用いて測定した。AM1.5Gの太陽光スペクトルでのEQEの統合により、100mWcm
-2sの擬似光照射(AM1.5G)でのJ
scに比べて、実験変動が5%未満のJ
sc値が得られた。
IDTT−SQ−C6−CN:PC
71BM(1:5)型の有機太陽電池(OSC)の性能(J−V曲線(
図3(a));EQE曲線(
図3(b)))を評価した。デバイス特性結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
IDTT−SQ−C6:PC
71BM(1:7)型の有機太陽電池(OSC)の性能(J−V曲線(
図4(a));EQE曲線(
図4(b)))を評価した。デバイス特性結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
IDTT−SQ−C6及びIDTT−SQ−C6−CNとも、正孔輸送性を有し、有機薄膜太陽電池のドナー材料として、アクセプター材料であるPC
71BMと組み合わせて、デバイス化することで、最大で変換効率7.05%を実現することがわかった。