特許第6975960号(P6975960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6975960スクアリリウム誘導体、及びそれを用いた有機薄膜太陽電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6975960
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】スクアリリウム誘導体、及びそれを用いた有機薄膜太陽電池
(51)【国際特許分類】
   C07D 495/22 20060101AFI20211118BHJP
   H01L 51/44 20060101ALI20211118BHJP
   H01L 51/46 20060101ALI20211118BHJP
   C09B 23/00 20060101ALN20211118BHJP
【FI】
   C07D495/22CSP
   H01L31/04 112A
   H01L31/04 154B
   !C09B23/00
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-146241(P2017-146241)
(22)【出願日】2017年7月28日
(65)【公開番号】特開2019-26581(P2019-26581A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年7月17日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度よりの、国立研究法人科学技術振興機構の研究成果展開事業 センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム COI拠点「フロンティア有機システムイノベーション拠点」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】304036754
【氏名又は名称】国立大学法人山形大学
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187506
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 優子
(72)【発明者】
【氏名】佐野 健志
(72)【発明者】
【氏名】ダオビン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】笹部 久宏
(72)【発明者】
【氏名】城戸 淳二
【審査官】 ▲高▼岡 裕美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−222665(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第105315298(CN,A)
【文献】 国際公開第2014/053206(WO,A1)
【文献】 Journal of Materials Chemistry A,2016年,4 (48),18931-18941
【文献】 ACS Applied Materials & Interfaces,2015年,7 (24),13675-13684
【文献】 RSC Advances,2014年,4 (81),42804-42807
【文献】 Journal of Materials Chemistry C,2013年,1 (40),6547-6552
【文献】 Journal of American Chemical Society,2016年,138 (45),15011-15018
【文献】 Advanced Materials,2016年,28 (45),10008-10015
【文献】 Advanced Functional Materials,2015年,25 (30),4889-4897
【文献】 ACS Energy Letters,2017年,2 (9),2021-2025
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記構造式で表されるスクアリリウム誘導体。
【化1】
または
【化2】
【請求項2】
請求項1に記載のスクアリリウム誘導体を用いた有機薄膜太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なπ共役拡張型スクアリリウム誘導体、及びそれを用いた有機薄膜太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機薄膜太陽電池は、軽量で自由に曲げられるという特徴をもち、製造コスト面でも有利であることから、シリコン系無機太陽電池に代わって、実用化・市場投入段階に入りつつある。有機薄膜太陽電池には蒸着型及び塗布型があるが、特に塗布型の有機薄膜太陽電池は、蒸着型の有機薄膜太陽電池に比べて製造コストが安く、大量生産に向いている。しかしながら、有機薄膜太陽電池は、その光電エネルギー変換効率が10%程度であり、シリコン系無機太陽電池と比較して、効率や信頼性の点で未だ改善の余地があることから、盛んに研究開発が行われている。
【0003】
太陽光は、そのエネルギーの50%以上を、650nmより長波長の近赤外・赤外領域に持つ。そのため、光電変換効率の飛躍的な向上には、この波長領域を効率良く吸収し、電気エネルギーとして取り出すことが必須である。有機薄膜太陽電池素子はドナー材料とアクセプター材料を用いて作製される。一般にアクセプター材料で用いられているフラーレン誘導体は逆電子移動が遅く、対称性が高いという利点があるが、これらは近赤外領域付近に強い吸収を持たないため、有機薄膜太陽電池の高効率化には、長波長領域の吸収を持つドナー材料の開発が非常に重要となる。また、有機薄膜太陽電池の高効率化には、ドナー材料と、アクセプター材料とのエネルギー準位の関係が重要である。ドナー材料で太陽光を吸収して発生した励起子(エキシトン)からアクセプター材料に電荷移動させるには、一般にドナー材料の最低非占有分子軌道(lowest unoccupied molecular orbital:LUMO)準位がアクセプター材料のLUMO準位よりも0.3eV以上浅いことが好ましいとされている。塗布型有機薄膜太陽電池では、アクセプター材料として、通常溶解性が高い[6,6]−フェニルC71酪酸メチル(PC71BM)が使用される。PC71BMのLUMO準位は4.0eVであるから、ドナー材料には3.7eV程度のLUMO準位が求められる。
【0004】
塗布型有機薄膜太陽電池に使用されるドナー材料は、当然ながら、溶媒によく溶ける必要がある。ドナー材料は大きく分けて高分子型と低分子型の2つが知られている。高分子型材料は、そのエネルギー変換効率が12%程度まで向上しているが、高分子型材料は、精製が難しく、高純度化が困難で、製造ロット間の特性変化が大きく品質を保つことが難しい。一方、低分子型材料は、分子量分布を持たず、精製が容易で信頼性が高い、又は、製造ロット間の品質が変わらず、ロットによりエネルギー変換効率に影響を与えない等の特徴を持つ。しかしながら、低分子型材料は、現時点で移動度も10-5cm2/Vs程度と低く、エネルギー変換効率も、アクセプターにフラーレンを用いてようやく10%を上回る程度である。また、低分子型材料のうち、高効率を達成している材料は、一般に溶解性が低く、塗布型有機薄膜太陽電池を作製する際に、オルトジクロロベンゼン(ODCB)、クロロホルム等、ハロゲン系の溶媒を使用しなければならず、環境面で問題がある。そのため、塗布型有機薄膜太陽電池の高性能化と実用性向上には、近赤外光の吸収能と高い移動度を持ち、非ハロゲン系の溶媒等にも高い溶解性を示す新しい低分子材料の開発が求められている。
【0005】
スクアリリウム誘導体は、非ハロゲン系溶媒に対しても高い溶解性を示し、近赤外領域に強い吸収を持ち、かつ、逆電子移動が遅く、高い対称性を持つ構造であることから、ドナー材料として、すでに多数報告されている(非特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】G. Chen, H. Sasabe, et al., “J. Mater. Chem. C,” 2013, 1, 6547
【非特許文献2】H. Sasabe, et al., “RSC Advances” 2014, 4, 42804
【非特許文献3】D. Yang, H. Sasabe, et al., “J. Mater. Chem. A., 2016, 4. 18931
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スクアリリウム誘導体は、脱水縮合反応により高収率で比較的容易に合成できて環境に優しく、また、種々の置換基の導入も可能である。塗布成膜によるBHJ(bulk heterojunction)型の素子で、例えば、DIB−SQとPC71BMとを用いた混合BHJ素子(DIB−SQ/PC71BM(1:5(質量比))では、PCE(power conversion efficiency)=4.3%、SQ−RP/PC71BMではPCE=4.9%、D−BDT−SQではPCT=6.3%を達成している。ただし、これらの誘導体のエネルギー変換効率は、以前のものに比べれば向上しているものの、バンドギャップの関係で800nmを超える長波長域のフォトンを光電変換に利用できておらず、吸収波長域の拡大が必要である。また、これらのスクアリリウム誘導体を用いた有機薄膜太陽電池は、そのVOC(開放電圧)、JSC(短絡電流密度)の値が他の材料に比べて高いものの、FF(曲線因子)が低いという問題があった。
【化1】
【0008】
これらのスクアリリウム誘導体において、例えば、π共役系を拡張することで、可視〜近赤外領域の光を吸収できるようになると考えられる。また、π共役系を拡張することで、正孔移動度が向上すれば、自在に動き回るπ電子に由来する種々の光学的・電気化学的機能を向上できると考えられる。
【0009】
本発明では、高効率な素子を提供するために有用な新規スクアリリウム誘導体を提供すべく、スクアリリウム骨格に着目し、その末端置換基を改良して、エネルギー準位を変化させずに、薄膜状態での移動度を向上させ、さらにFF(曲線因子)を改善してエネルギー変換効率を向上させることを課題としている。また、得られたスクアリリウム誘導体を用いた有機薄膜太陽電池を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以下の事項からなる。
本発明のスクアリリウム誘導体は、下記一般式(1)で表される。
【化2】
【0011】
一般式(1)中、R1〜R6はそれぞれ独立に、脂肪族置換基又は芳香族置換基であり、R2とR3、及びR5とR6とはそれぞれ連結して環を形成してもよく、R7は水素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基又はニトロ基である。
前記一般式(1)で表されるスクアリリウム誘導体は、下記構造式で表されることが好ましい。
【0012】
【化3】
【化4】
本発明の有機薄膜太陽電池は、上記スクアリリウム誘導体を用いたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のスクアリリウム誘導体は、π共役を拡張させた構造を有するため、吸収波長域が拡大し、また、正孔移動度が向上する。具体的には、上記スクアリリウム誘導体は、固体薄膜における吸収波長を850nmの近赤外領域まで拡張するとともに、正孔輸送性を併せ持つ。そして、上記スクアリリウム誘導体を、有機薄膜太陽電池のドナー材料として、フラーレン誘導体であるPC71BMと組み合わせて、デバイス化すれば、変換効率7.05%を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、IDTT−SQ−C6を溶液又は薄膜にして測定したUV−vis−NIS吸収スペクトルを表す。
図2図2は、IDTT−SQ−C6−CNを溶液又は薄膜にして測定したUV−vis−NIS吸収スペクトルを表す。
図3図3は、IDTT−SQ−C6−CN:PC71BM(1:5)型の有機薄膜太陽電池(OSC)素子のJ−V曲線(図3(a))及びEQE曲線(図3(b))を表す。
図4図4は、IDTT−SQ−C6−CN:PC71BM(1:7)型の有機薄膜太陽電池(OSC)素子のJ−V曲線(図4(a))及びEQE曲線(図4(b))を表す。
図5図5は本発明の有機薄膜太陽電池の素子構造を模式的に示した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について、詳細に説明する。
[スクアリリウム誘導体]
本発明のスクアリリウム誘導体は、下記一般式(1)で表される。
【化5】
【0016】
一般式(1)中、R1〜R6はそれぞれ独立に、脂肪族置換基又は芳香族置換基である。
脂肪族置換基は、芳香族置換基以外の基を広く含みうるが、具体的には、炭素原子数が1〜20の直鎖又は分岐状の脂肪族基を指す。また、本発明の効果を損なわない範囲内で、脂肪族置換基を構成する水素原子の一部が、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、リン原子若しくはケイ素原子又はこれらを含む置換基で置換されていてもよい。
【0017】
炭素原子数1〜20の脂肪族置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基、及びドデシル基等が挙げられる。これらのうち、メチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、およびエチルヘキシル基等がより好ましく、とりわけ、R2及びR3はメチル基、エチル基、及びブチル基等が好ましく、R4はヘキシル基、及びオクチル基等が好ましい。
2及びR3、又はR5及びR6はそれぞれ連結して環を形成してもよい。具体的には、R2及びR3、又はR5及びR6は、それぞれ、4員環、5員環又は6員環を形成してもよい。
【0018】
芳香族置換基は、単環のアリール基又はヘテロアリール基でもよいし、多環(縮合環)のアリール基又はヘテロアリール基でもよい。また、前記芳香族置換基における芳香環に結合する水素原子の一部が、例えば、メチル基、イソプロピル基、イソブチル基、及びヘキシル基等で置換されていてもよい。
上記芳香族置換基は、炭素原子数が6〜50の芳香族基であることが好ましい。
炭素原子数6〜50の芳香族置換基としては、例えば、フェニル基、ピリジル基、チオフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリフェニレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、アントラセニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、及びジベンゾフラニル基等が挙げられる。これらのうち、フェニル基、ピリジル基、チオフェニル基、ビフェニル基、ベンゾチオフェニル基、及びベンゾフラニル基等がより好ましく、とりわけ、R1は、フェニル基の4位の水素原子がヘキシル基で置換された、4−ヘキシルフェニル基が好ましい。
一般式(1)中、R7は水素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基又はニトロ基であり、水素原子又はシアノ基が好ましい。
【0019】
具体的には、上記一般式(1)で表される化合物は、以下の構造式で表される化合物IDTT−SQ−C6又はIDTT−SQ−C6−CNであることが好ましい。
【化6】
【0020】
上記一般式(1)で表されるスクアリリウム誘導体は、従来のスクアリリウム誘導体の末端の置換基の一方に、芳香族縮合環であるインダセノジチエノチオフェン(IDTT)の橋掛け構造を介して、スクアリリウム誘導体を付加した構造を有することにより、深いHOMO及び近赤外領域における広い吸収を持つことができ、また、長鎖分岐構造の脂肪族炭化水素基を有することにより、有機溶媒への溶解性が向上し、例えば、スクアリリウム誘導体の末端の置換基がいずれも芳香族基である場合や、末端置換基の一方が芳香族基であり、他方が直鎖状の脂肪族基である場合と比較して、近赤外領域におけるモル吸光係数と有機溶媒への溶解性が向上する。
【化7】
したがって、上記スクアリリウム誘導体は、PC71BM等のフラーレン又はその誘導体からなるアクセプター材料に対するドナー材料として好適に用いることができる。
【0021】
本発明のスクアリリウム誘導体は、例えば、以下に示す方法により製造することができる。IDTT−SQ−C6−CNの製造方法を一例に示す。
【0022】
【化8】
【0023】
2当量の化合物5及び6,6,12,12−テトラキス(4−ヘキシルフェニル)−S−インダセノジチエノ[3,2−b]チオフェン−ビス(トリメチルスタンナン)のトルエン溶液中にPd(PPh34を添加し、窒素下に加熱還流し、化合物6を得る。次いで、化合物6をアセトン及びTHFの混合溶媒に溶解させ、加熱還流した後、6M HClアセトン溶液を滴下し、さらに加熱還流した後、脱イオン水を滴下して、橙色の固体である化合物7を得る。化合物7及び別途合成した化合物4をトルエン及びn−ブタノールの混合溶媒中で加熱した後、冷却し、ここにメタノール400mLを滴下し、暗赤色の固体が析出する。この暗赤色固体を精製してIDTT−SQ−C6−CNを良好な収率で得る。
ただし、上記一般式(1)で表されるスクアリリウム誘導体は、上記した方法に限られず、種々の公知の方法で製造することができる。
【0024】
[有機薄膜太陽電池]
本発明の有機薄膜太陽電池(以下「太陽電池」ともいう。)素子は、一対の電極(陽極2、陰極6)間に、ドナー及びアクセプターの界面構造を含む活性層が積層されたデバイス構造を有する。ドナー材料とアクセプター材料とが相互に入り組んだ界面において、電荷(電子、正孔)が生成される。典型的には、図5に示すように、基板1、陽極2、正孔輸送層3、活性層4、電子輸送層5及び陰極6が順次積層された素子構造を有する。
以下、図5を参照しながら、本発明の太陽電池素子の構成を説明する。
【0025】
<太陽電池素子の構成>
本発明の太陽電池素子の構成は、図5の例に限定されず、陽極2と陰極6との間に順次、1)陽極バッファ層(図示せず)/正孔輸送層3/活性層4、2)陽極バッファ層(図示せず)/活性層4/電子輸送層5、3)陽極バッファ層(図示せず)/正孔輸送層3/活性層4/電子輸送層5、4)陽極バッファ層(図示せず)/正孔輸送性化合物、活性化合物および電子輸送性化合物を含む層、5)陽極バッファ層(図示せず)/正孔輸送性化合物及び活性化合物を含む層、6)陽極バッファ層(図示せず)/活性化合物及び電子輸送性化合物を含む層、7)陽極バッファ層(図示せず)/正孔電子輸送性化合物および活性化合物を含む層、8)陽極バッファ層(図示せず)/活性層4/正孔ブロック層(図示せず)/電子輸送層5を設けた構成等が挙げられる。また、図5に示した活性層4は一層であるが、二層以上であってもよい。
【0026】
<陽極2>
前記陽極2には、−5〜80℃の温度範囲で、面抵抗が、通常1000Ω(オーム)以下、好ましくは100Ω以下の材料が用いられる。
太陽電池素子の陽極2側から光を取り込む場合(順構造素子)には、陽極2は可視光線に対して透明(380〜680nmの光に対する平均透過率が50%以上)であることが必要であるため、陽極2の材料には、酸化インジウム錫(ITO)及びインジウム−亜鉛酸化物(IZO)等が用いられる。これらのうち、入手容易性の観点から、ITOが好ましい。
【0027】
また、素子の陰極側から光を取り込む場合(逆構造素子)には、陽極2の光透過度は制限されないため、陽極2の材料には、ITO及びIZOの他に、ステンレスや、銅、銀、金、白金、タングステン、チタン、タンタル若しくはニオブの単体、又はこれらの合金が用いられる。
【0028】
陽極2の厚さは、順構造素子の場合には、高い光透過率を実現するために、通常2〜300nmであり、逆構造素子の場合には、通常2nm〜2mmである。
【0029】
<陽極バッファ層>
陽極バッファ層は、陽極2上に、陽極バッファ層用材料を塗布し、さらに加熱することによって形成される。
この塗布操作においては、スピンコート法、キャスト法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、及びインクジェットプリント法等の公知の塗布法を適用することができる。
【0030】
また、陽極バッファ層用材料には、活性層形成の際に陽極バッファ層が溶解するのを防ぐ観点から、通常は、有機溶剤に対する耐性の高い材料が用いられる。
陽極バッファ層の厚さは、バッファ層としての効果を充分に発揮させ、また、太陽電池素子の駆動電圧の上昇を防ぐ観点から、通常5〜50nm、好ましくは10〜30nmである。
【0031】
<正孔捕集層3、活性層4、電子捕集層5>
太陽電池素子における活性層は、正孔捕集層3、活性層4、及び電子捕集層5で構成される。
前記活性層4には、上記一般式(1)で表されるスクアリリウム誘導体が用いられる。前記スクアリリウム誘導体は、通常アクセプター材料を混合して用いられる。前記スクアリリウム誘導体をドナー材料とし、アクセプター材料とともに、活性層4を形成することにより、高効率の有機薄膜太陽電池を提供することができる。
前記アクセプター材料には、公知の材料が適宜選択して用いられるが、電子輸送性があり、HOMOのエネルギー準位が深い化合物が好ましく、具体的には、フラーレン(C60、C70等)又はその誘導体(PC71BM等)体が好適に用いられる。
【0032】
前記活性層4は、活性層のキャリア捕集を補う目的で、図1に示すように、正孔捕集層3と電子捕集層5との間に挿入してもよいし、活性層4中に、前記アクセプター材料とともに、正孔捕集性化合物や電子捕集性化合物を分散させて用いてもよい。
【0033】
正孔捕集性化合物としては、例えば、酸化モリブデン(VI)(MoO3)、酸化バナジウム(V25)、酸化タングステン(WO3)、及び酸化ルテニウム(RuO2)等の金属酸化物;ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニル(HATCN)、及び2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノ−キノジメタン(F4TCNQ)等の低分子材料;並びに該低分子材料に重合性官能基を導入して高分子化したもの等が挙げられる。
【0034】
電子捕集性化合物としては、例えば、BCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)等のフェナントロリン誘導体;B4PyMPM(ビス−3,6−(3,5−ジ−4−ピリジルフェニル)−2−メチルピリミジン)等のオリゴピリジン誘導体;[60]フラーレン、及び[70]フラーレン等のナノカーボン誘導体等の低分子材料;並びに該低分子材料に重合性官能基を導入して高分子化したもの等が挙げられる。
【0035】
<陰極6>
陰極材料としては、仕事関数が低く(4eV以下)、かつ、化学的に安定なものが使用される。具体的には、Al、MgAg、AlLi、又はAlCa等の合金の既知の陰極材料が挙げられる。これらの陰極材料の成膜方法としては、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、及びイオンプレーティング法等が用いられる。陰極6の厚さは、通常10nm〜1μmであり、好ましくは50〜500nmである。
【0036】
また、陰極6から活性層4への電子注入障壁を下げて電子の注入効率を上げる目的で、陰極6より仕事関数の低い金属層を、陰極バッファ層として、陰極6と該陰極6に隣接する層の間に挿入してもよい。このような目的に使用できる低仕事関数の金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属等が挙げられる。また、陰極6より仕事関数の低いものであれば、合金又は金属化合物も使用することができる。これらの陰極バッファ層の成膜方法としては、蒸着法やスパッタ法等を用いることができる。陰極バッファ層の厚さは、通常0.05〜50nmであり、好ましくは0.1〜20nmである。
【0037】
さらに、陰極バッファ層は、上記の低仕事関数の金属等と電子輸送性化合物との混合物として形成させることもできる。この場合の成膜方法としては共蒸着法を用いることができる。また、溶液による塗布成膜が可能な場合は、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、及び印刷法(インクジェットプリント法、ディスペンサー塗布法)等の成膜方法を用いることができる。この場合の陰極バッファ層の厚さは、通常は0.1〜100nmであり、好ましくは0.5〜50nmである。陰極6と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、或いは、金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
【0038】
<基板1>
前記素子を構成する基板1には、太陽電池素子に要求される機械的強度を満たす材料が用いられる。
順構造型の太陽電池素子には、可視光線に対して透明な基板が用いられ、例えば、ソーダガラス、及び無アルカリガラス等のガラス;アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、及びナイロン樹脂等の透明プラスチック;並びにシリコンからなる基板等が使用できる。
【0039】
逆構造型の太陽電池素子には、通常用いられるガラス基板やプラスチック基板に加えて、ステンレスや、銅、銀、金、白金、タングステン、チタン、タンタル若しくはニオブの単体又はこれらの合金からなる基板等が使用できる。
基板1の厚さは、要求される機械的強度にもよるが、通常0.1〜10mm、好ましくは0.25〜2mmである。
なお、各層の膜厚は、概ね5nm〜5μmの範囲内である。
【0040】
(太陽電池素子の形成方法)
上記の活性層は、例えば、蒸着法(抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法等)、スパッタリング法等のドライプロセス、又は塗布法(スピンコート法、キャスティング法、ダイコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等)等のウェットプロセスにより形成することができる。これらの方法のうち、スピンコート法、ダイコート法、及びスプレーコート法が好ましく用いられる。
【0041】
なお、太陽電池素子を長期間、安定的に用いるために、その周囲に保護層及び/又は保護カバーを装着することが好ましい。前記保護層には、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、及び金属ホウ化物等が用いられる。前記保護カバーには、ガラス板、表面に低透水化処理を施したプラスチック板、及び金属等が用いられ、該カバーを熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。さらに、前記空間に窒素やアルゴンのような不活性ガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、酸化バリウム等の乾燥剤を空間内に入れれば、製造工程で吸着した水分が太陽電池素子にタメージを与えるのを抑制できる。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例により制限されるものではない。
【0043】
[実施例1]IDTT−SQ−C6−CNの合成
【化9】
【0044】
<化合物2の合成>
化合物1(0.84g、4.61mmol)を酢酸50mLに溶解させた溶液に、窒素下で、NaBH3CN(シアノ水素化ホウ素ナトリウム)(1.45g、23.1mmol)をすべて入れ、室温(r.t.)で24時間攪拌した。反応混合物をNaOHの4M冷水溶液中に注ぎ、pHを強塩基性に調整した後、ジクロロメタンで3回抽出した。有機層を飽和NaHCO3水溶液と水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧下に除去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=6/1)、黄色液体を得た(0.40g、47%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3,ppm) δ: 7.30 (s, 1H, ArH), 7.23 (d, 1H, J=8.4 Hz, ArH), 6.40 (d,1H, J=8.4 Hz, ArH), 4.48-4.25 (m, 1H, -NH-), 3.79-3.74 (m, 1H, -CH-),2.01-1.47 (m, 6H, -CH2-)
MS:m/z [M+H]+ 184.8.
【0045】
<化合物3の合成>
化合物2(0.40g、2.17mmol)、1−ブロモ−3,5−ジメトキシベンゼン(0.52g、2.39mmol)、NaOBu−t(ナトリウムtert−ブトキシド)(0.35g、3.58mmol)、Pd(OAc)2(酢酸パラジウム(II)(16mg、3%)、及びP(t−Bu)3HBF4(トリ(tert−ブチル)ホスフィンテトラフルオロボレート)(42mg、6%)をトルエン60mLに溶解させ、窒素下で12時間加熱還流した。反応混合物を冷却し、不溶性物質を濾過により除去し、溶媒を減圧下に除去した後、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=8/1)、無色液体である化合物3を得た(0.48g、69%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6,ppm) δ: 7.48 (s, 1H, ArH), 7.42 (d, 1H, J=8.4 Hz, ArH), 6.90 (d,1H, J=8.4 Hz, ArH), 6.46 (d, 2H, J=2.0 Hz, ArH), 6.30 (t, 1H, J=2.0Hz, ArH), 5.00-4.96 (m, 1H, -NH-), 3.81-3.57 (m, 1H, -CH-), 3.75 (s, 6H,-OCH3), 2.04-1.25 (m, 6H, -CH2-)
MS:m/z [M+H]+ 321.0
【0046】
<化合物4の合成>
化合物3(0.48g、1.50mmol)を無水DCM(ジクロロメタン)40mLに溶解させた溶液中に、BBr3(1M DCM溶液で15mL;15mmol)を氷浴中で徐々に滴下し、室温で24時間攪拌した。その後、溶液を氷水200mL中に注ぎ、過剰のBBr3を除去した。有機層を分離し、水層をジクロロメタンで3回抽出した。有機層を合わせて有機層を飽和NaHCO3水溶液と水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を減圧下に除去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(展開溶媒:ジクロロメタン/メタノール=50/1)、淡黄色固体を得た(0.35g、80%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6,ppm) δ: 9.39 (s, 2H, -OH), 7.45 (s, 1H, ArH), 7.43 (d, 1H, J=8.4Hz, ArH), 6.83 (d, 1H, J=8.4 Hz, ArH), 6.18 (d, 2H, J=2.0 Hz, ArH), 5.99 (t, 1H, J=2.0 Hz,ArH), 4.85-4.81 (m, 1H, -NH-), 3.80 (t, 1H, J=8.4 Hz, -CH-),2.04-1.23 (m, 6H, -CH2-)
MS:m/z [M+H]+ 293.2.
【0047】
<化合物6の合成>
化合物5(1.73g、3.87mmol)及び6,6,12,12−テトラキス(4−ヘキシルフェニル)−S−インダセノジチエノ[3,2−b]チオフェン−ビス(トリメチルスタンナン)(2.00g、1.49mmol)をトルエン160mLに溶解させ、30分間、窒素により脱気した。ここにPd(PPh34(450mg)を窒素下に添加し、36時間加熱還流した。溶媒を除去した後、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(展開溶媒:ジクロロメタン/酢酸エチル=30/1)、橙色固体である化合物6を得た(0.77g、30%)。
1H NMR (400 MHz, THF-d8,ppm) δ: 7.65 (d, 4H, J=3.2 Hz, ArH), 7.59 (d, 2H, J=1.2Hz, ArH), 7.53 (dd, 2H, J=8.4, 2.0 Hz, ArH), 7.23 (d, 8H, J=8.4Hz, ArH), 7.10 (d, 8H, J=8.4 Hz, ArH), 7.01 (d, 2H, J=8.4 Hz,ArH), 5.44 (s, 2H, =CH-), 4.86 (q, 4H, J=7.2 Hz, -OCH2-),3.90 (t, 4H, J=7.2 Hz, -NCH2-), 2.57 (t, 8H, J=7.6 Hz,-CH2-), 1.78-1.56 (m, 12H, -CH2-), 1.65 (s, 12H, -CH3),1.50 (t, 6H, J=7.2 Hz, -CH3), 1.45-1.22 (m, 36H, -CH2-),0.91-0.85 (m, 18H, -CH3).
【0048】
<化合物7の合成>
化合物6(0.72g、0.41mmol)をアセトン50mLとTHF70mLの混合溶媒に溶解させ、30分間加熱還流した。化合物6を溶解させた後、6M HClアセトン溶液を12mL滴下し、2時間加熱還流した。その後、反応混合物中に脱イオン水300mLを滴下したところ、橙色の固体が析出した。この混合物を濾取し、脱イオン水で洗浄して化合物7を得た(0.65g、93%)。
1H NMR (400 MHz, THF-d8,ppm) δ: 7.65 (s, 4H, ArH), 7.58 (s, 2H, ArH), 7.52 (d, 2H, J=8.4Hz, ArH), 7.23 (d, 8H, J=8.4 Hz, ArH), 7.10 (d, 8H, J=8.4 Hz,ArH), 6.98 (d, 2H, J=8.4 Hz, ArH), 5.53 (s, 2H, =CH-), 3.88 (t, 4H, J=7.2Hz, -NCH2-), 2.57 (t, 8H, J=7.6 Hz, -CH2-),1.76-1.54 (m, 12H, -CH2-), 1.66 (s, 12H, -CH3), 1.44-1.21(m, 36H, -CH2-), 0.91-0.85 (m, 18H, -CH3).
【0049】
<IDTT−SQ−C6−CNの合成>
化合物4(0.15g、0.52mmol)及び化合物7(0.35g、0.21mmol)をトルエン30mLとn−ブタノール30mLの混合溶媒に溶解させ、窒素下で30分間脱気した後、140℃で48時間加熱した。冷却後、反応混合物中にメタノール400mLを滴下したところ、暗赤色の固体が析出した。この固体を濾取し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(展開溶媒:ジクロロメタン/酢酸エチル=50/1)。ジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:メタノール=7:1(体積比))で再結晶して暗赤色固体を得た(0.34g、72%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3,ppm) δ: 12.30 (s, 2H, -OH), 12.26 (s, 2H, -OH), 7.63 (dd, 2H, J=8.4,1.6 Hz, ArH), 7.61 (d, 2H, J=1.6 Hz, ArH), 7.57(s, 2H, ArH), 7.53 (s,2H, ArH), 7.43 (dd, 2H, J=8.8, 1.6 Hz, ArH), 7.35 (s, 2H, ArH), 7.29 (d,2H, J=8.8 Hz, ArH), 7.24 (d, 8H, J=8.4 Hz, ArH), 7.14 (d, 8H, J=8.4Hz, ArH), 7.15 (d, 2H, J=1.6 Hz, ArH), 6.31 (s, 4H, ArH), 6.01 (s, 2H,=CH-), 4.81-4.76 (m, 2H, -CH2-), 4.15 (t, 4H, J=6.8 Hz, -NCH2-),3.86 (t, 2H, J=8.0 Hz, -CH2-), 2.59 (t, 8H, J=8.0 Hz,-CH2-), 2.09-1.96 (m, 6H, -CH2-), 1.89-1.56 (m, 27H, -CH2-,-CH3), 1.47-1.24 (m, 39H, -CH2-), 0.92-0.85 (m, 18H, -CH3);
13C NMR (100 MHz, CDCl3,ppm) δ: 174.5, 172.2, 169.4, 153.6, 150.4, 148.4, 146.4, 143.9, 143.8,143.6, 142.7, 142.0, 140.6, 140.0, 137.3, 136.0, 133.5, 133.4, 132.7, 128.6,128.2, 128.0, 125.8, 119.9, 119.7, 117.0, 111.9, 111.7, 105.5, 103.1, 98.4,89.1, 69.1, 62.9, 50.7, 44.9, 35.6, 34.3, 31.7, 31.3 (31.3), 29.2, 27.6, 26.6,26.5 (26.5), 24.3, 22.6, 22.4, 14.1, 13.9.
【0050】
[実施例2]IDTT−SQ−C6の合成
【化10】
【0051】
化合物7(0.60g、0.35mmol)及び化合物8(0.25g、0.92 mmol)をトルエン70mLとn−ブタノール70mLの混合溶媒に溶解させ、窒素下で30分間脱気した後、140℃で48時間加熱した。冷却後、反応混合物中にメタノール500mLを滴下したところ、暗赤色の固体が析出した。この固体を濾取し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(展開溶媒:ジクロロメタン/ヘキサン=4/1)。ジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:メタノール=4:1(体積比))で再結晶して暗赤色固体を得た(0.60g、77%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3,ppm) δ: 12.38 (s, 4H, -OH), 7.57-7.53 (m, 8H, ArH), 7.39 (d, 2H, J=8.0Hz, ArH), 7.57(s, 2H, ArH), 7.25 (d, 8H, J=8..4 Hz, ArH), 7.17-7.14 (m, 4H,ArH), 7.14 (d, 8H, J=8.4 Hz, ArH), 7.07 (d, 2H, J=8.8 Hz, ArH), 6.96(t, 2H, J=7.6 Hz, ArH), 6.34 (s, 4H, ArH), 5.92 (s, 2H, =CH-), 4.69-4.64(m, 2H, -CH-), 4.08 (t, 4H, J=7.6 Hz, -NCH2-), 3.90 (t, 2H, J=8.0Hz, -CH-), 2.60 (t, 8H, J=7.6 Hz, -CH2-), 2.08-1.91 (m, 8H,-CH2-), 1.90-1.79 (m, 16H, -CH2-, -CH3), 1.66-1.57(m, 11H, -CH2-), 1.44-1.29 (m, 39H, -CH2-), 0.92-0.85 (m,18H, -CH3);
13C NMR (100 MHz, CDCl3,ppm) δ: 172.5, 170.5, 169.4, 153.5, 152.7, 146.3, 144.3, 143.9, 143.4,143.3, 142.6, 141.9 141.1, 140.1, 136.9, 136.0, 133.2, 132.4, 128.5, 128.0, 127.4,125.7, 124.9, 122.4, 119.6, 117.0, 116.7, 113.7, 111.0, 104.9, 96.7, 88.0, 68.6,62.9, 50.1, 45.5, 44.5, 35.6, 34.6, 33.8, 31.7, 31.4, 31.3, 29.2, 27.4, 26.8,26.7, 26.6, 24.3, 22.6, 22.5, 14.1, 14.0.
【0052】
[試験例1]光学特性
紫外可視近赤外(UV−Vis−NIR)分光光度計(島津製作所社製 UV−3150)を用いて、IDTT−SQ−C6及びIDTT−SQ−C6−CNを溶液又は薄膜にしたときの吸収スペクトルをそれぞれ測定した(図1及び2)。IDTT−SQ−C6及びIDTT−SQ−C6−CNとも、薄膜における吸収波長が850nmの近赤外領域まで拡張することがわかった。
結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
[試験例2]光起電力特性
(デバイスの作製)
電子アクセプターとなるPC71BM(ソーラマー・エナジー社製)を用い、低分子有機太陽電池をITO(酸化インジウムスズ)膜ガラス基板を用いて作製した。ITOのシート抵抗は10Ωsq-1であった。パターンのあるITO膜ガラス基板を洗剤、脱イオン水、アセトン、及びイソプロパノールをこの順に用いて、超音波浴によりそれぞれ30分間、洗浄した。洗浄後の基板は使用前に12時間オーブン中、65℃で乾燥させた。基板をUVオゾンで20分間洗浄し、直ちに高真空チャンバー内に入れ、圧力2×10-4Pa未満、速度0.20Ås-1で、厚さ8nmのMoO3を堆積させた。次いで、活性層(厚さ:80±5nm)を、窒素を充填したグローブボックス中、35℃で、SM及びPC71BMの混合物を溶解させた20mg/mLクロロホルム溶液を用いて形成した。基板を高真空チャンバーに戻し、BCP(4nm)及びAl(100nm)を上部電極として、それぞれ圧力6×10-5Pa未満、速度0.20Ås-1、及び、圧力2×10-4Pa、速度1.5〜5.0Ås-1で堆積させてITO/MoO3(8nm)/SM:PC71BM(80nm)/BCP(4nm)/Al(100nm)(かっこ内は厚みを表す。)の素子構造を有する有機太陽電池を作製した。前記有機太陽電池の活性化領域は9mm2である、
なお、前記SMはIDTT−SQ−C6−CN又はIDTT−SQ−C6を表す。
【0055】
【化11】
【0056】
(評価)
有機太陽電池をそのまま、又は90℃で10分間加熱した後、電流密度−電圧(J−V)及び外部量子効率(EQE)をCEP−2000分光感度測定装置(分光計器社製)を用いて測定した。AM1.5Gの太陽光スペクトルでのEQEの統合により、100mWcm-2sの擬似光照射(AM1.5G)でのJscに比べて、実験変動が5%未満のJsc値が得られた。
IDTT−SQ−C6−CN:PC71BM(1:5)型の有機太陽電池(OSC)の性能(J−V曲線(図3(a));EQE曲線(図3(b)))を評価した。デバイス特性結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
IDTT−SQ−C6:PC71BM(1:7)型の有機太陽電池(OSC)の性能(J−V曲線(図4(a));EQE曲線(図4(b)))を評価した。デバイス特性結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
IDTT−SQ−C6及びIDTT−SQ−C6−CNとも、正孔輸送性を有し、有機薄膜太陽電池のドナー材料として、アクセプター材料であるPC71BMと組み合わせて、デバイス化することで、最大で変換効率7.05%を実現することがわかった。
【符号の説明】
【0060】
1 基板
2 陰極
3 正孔捕集層
4 活性層
5 電子捕集層
6 陰極
図1
図2
図3
図4
図5