(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6975966
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】排泄物処理材
(51)【国際特許分類】
B65D 77/08 20060101AFI20211118BHJP
A01K 1/015 20060101ALI20211118BHJP
A47K 11/06 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
B65D77/08 A
A01K1/015 B
A47K11/06
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-200694(P2017-200694)
(22)【出願日】2017年10月17日
(65)【公開番号】特開2019-72217(P2019-72217A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2020年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【審査官】
佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−169242(JP,A)
【文献】
特開2017−070225(JP,A)
【文献】
特開2016−041038(JP,A)
【文献】
特開2017−029077(JP,A)
【文献】
特開2015−084727(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3171363(JP,U)
【文献】
特開平09−002528(JP,A)
【文献】
特開2005−130794(JP,A)
【文献】
特開2000−118539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/08
A47K 11/06
B65D 77/30
A01K 1/015
B65D 30/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄物を処理するための複数の粒状体と、
前記複数の粒状体が収容された包装袋と、を備え、
前記包装袋には、当該包装袋の内部を第1及び第2の空間に区画するとともに、前記各粒状体を通過させない穴を有する仕切部材が設けられており、
前記複数の粒状体は、前記第1及び第2の空間のうち前記第1の空間にのみ収容されており、
前記第1の空間に収容された前記粒状体の一部が剥離して粉塵となった場合に当該粉塵は、前記穴を通過して前記第2の空間に溜まるように構成されており、
前記包装袋には、当該包装袋を開封するための開封口が設けられており、
前記包装袋は、前記開封口から開封されることにより、前記第1及び第2の空間のうち前記第1の空間のみが開放されるように構成されていることを特徴とする排泄物処理材。
【請求項2】
請求項1に記載の排泄物処理材において、
前記第2の空間の容積は、前記第1の空間の容積よりも小さい排泄物処理材。
【請求項3】
請求項2に記載の排泄物処理材において、
前記第2の空間の容積は、前記第1の空間の容積の20%以下である排泄物処理材。
【請求項4】
請求項3に記載の排泄物処理材において、
前記第2の空間の容積は、前記第1の空間の容積の10%以下である排泄物処理材。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の排泄物処理材において、
前記仕切部材は、前記第1の空間と前記第2の空間との境界を構成する部分である本体部と、当該仕切部材を前記包装袋の内面に固定するための部分である固定部とを有する排泄物処理材。
【請求項6】
請求項5に記載の排泄物処理材において、
前記本体部は、平面状をしている排泄物処理材。
【請求項7】
請求項6に記載の排泄物処理材において、
前記本体部は、前記包装袋の上下方向に垂直な面内に広がっている排泄物処理材。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の排泄物処理材において、
前記仕切部材は、複数の前記穴を有しており、
前記複数の穴は、前記本体部の略全体にわたって点在している排泄物処理材。
【請求項9】
請求項5に記載の排泄物処理材において、
前記本体部は、底面及び側面を有する袋状をしている排泄物処理材。
【請求項10】
請求項9に記載の排泄物処理材において、
前記本体部の径は、当該本体部の口部から前記底面に向かうにつれて単調に小さくなる排泄物処理材。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の排泄物処理材において、
前記本体部の口部は、前記包装袋の上下方向に垂直な面内に広がっている排泄物処理材。
【請求項12】
請求項9乃至11の何れか一項に記載の排泄物処理材において、
前記仕切部材は、複数の前記穴を有しており、
前記複数の穴は、前記底面及び前記側面の双方に設けられている排泄物処理材。
【請求項13】
請求項12に記載の排泄物処理材において、
前記複数の穴は、前記底面の略全体にわたって点在している排泄物処理材。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の排泄物処理材において、
前記複数の穴は、前記側面の略全体にわたって点在している排泄物処理材。
【請求項15】
請求項9乃至11の何れか一項に記載の排泄物処理材において、
前記仕切部材は、複数の前記穴を有しており、
前記複数の穴は、前記底面及び前記側面のうち前記底面にのみ設けられている排泄物処理材。
【請求項16】
請求項5乃至15の何れか一項に記載の排泄物処理材において、
前記固定部は、前記本体部の周囲から垂直に立設しており、前記包装袋の内面に接着されている排泄物処理材。
【請求項17】
請求項16に記載の排泄物処理材において、
前記固定部の全体が、前記包装袋の前記内面に接着されている排泄物処理材。
【請求項18】
請求項1乃至17の何れか一項に記載の排泄物処理材において、
前記包装袋は、当該包装袋の表面を構成する第1のシートと、当該包装袋の裏面を構成する第2のシートと、前記仕切部材を構成する第3のシートとを有する排泄物処理材。
【請求項19】
請求項1乃至18の何れか一項に記載の排泄物処理材において、
前記各粒状体は、粒状の芯部と、前記芯部を覆う被覆部とを有する排泄物処理材。
【請求項20】
請求項19に記載の排泄物処理材において、
前記芯部及び前記被覆部は、何れも有機物を主材料とする排泄物処理材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物処理材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排泄物処理材としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された排泄物処理材は、人又は動物の排泄物を吸収処理する複数の粒状体を備えている。これらの粒状体は、まとめて1つの包装袋に収容された状態で出荷される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−158253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように複数の粒状体が包装袋に収容されることは、排泄物処理材の運搬・保管等の便宜に資する。しかしながら、運搬等の最中に、粒状体どうしが擦れ合ったり、粒状体と包装袋とが擦れ合ったりすることにより、各粒状体の一部が剥離することがある。剥離した部分は、粉塵となって包装袋内に溜まる。そのため、開封後の包装袋から粒状体を取り出す際、当該粒状体と共に粉塵が包装袋の外に放出されてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、包装袋内に溜まった粉塵が当該包装袋の外に放出されにくい排泄物処理材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による排泄物処理材は、排泄物を処理するための複数の粒状体と、上記複数の粒状体が収容された包装袋と、を備え、上記包装袋には、当該包装袋の内部を第1及び第2の空間に区画するとともに、上記各粒状体を通過させない穴を有する仕切部材が設けられており、上記複数の粒状体は、上記第1及び第2の空間のうち上記第1の空間にのみ収容されていることを特徴とする。
【0007】
この排泄物処理材においては、各粒状体を通過させない穴を有する仕切部材によって、包装袋の内部が第1の空間と第2の空間とに区画されている。複数の粒状体は、第1及び第2の空間のうち第1の空間にのみ収容されている。このため、第1の空間に収容された粒状体の一部が剥離して粉塵となった場合であっても、当該粉塵を仕切部材の穴を通じて第2の空間に移動させることができる。このように粒状体が収容された空間(第1の空間)とは別の空間(第2の空間)に粉塵を溜めることにより、開封後の包装袋から粒状体を取り出す際、粉塵が包装袋の外に放出されにくくなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、包装袋内に溜まった粉塵が当該包装袋の外に放出されにくい排泄物処理材が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による排泄物処理材の第1実施形態を示す正面図である。
【
図2】
図1のII−II線に沿った端面を示す概略図である。
【
図3】
図1のIII−III線に沿った端面を示す概略図である。
【
図6】排泄物処理材1の効果を説明するための図である。
【
図7】本発明による排泄物処理材の第2実施形態を示す正面図である。
【
図8】
図7のVIII−VIII線に沿った端面を示す概略図である。
【
図9】
図7のIX−IX線に沿った端面を示す概略図である。
【
図11】排泄物処理材2の効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
【0011】
図1は、本発明による排泄物処理材の第1実施形態を示す正面図である。また、
図2及び
図3は、それぞれ
図1のII−II線及びIII−III線に沿った端面を示す概略図である。排泄物処理材1は、人又は動物の排泄物の処理に用いられる排泄物処理材であって、複数の粒状体10、及び包装袋20を備えている。
図1においては、見やすさのため、包装袋20を透明化してその内部を図示するとともに、後述する仕切部材30の一部の図示を省略している。
【0012】
図4は、粒状体10を示す模式図である。粒状体10は、排泄物を処理するための粒状体である。本実施形態において粒状体10は、排泄物を吸収することにより、当該排泄物を処理する。粒状体10の粒径は、例えば、5〜15mm程度である。各粒状体10は、芯部12及び被覆部14を有している。芯部12は、粒状に成形されている。かかる粒状の形状としては、例えば、球、円柱、楕円体が挙げられる。芯部12は、排泄物を吸水及び保水する機能を有する。芯部12は、有機物を主材料とすることが好ましい。ここで、芯部12の主材料とは、芯部12を構成する材料のうち、当該芯部12に占める重量割合が最大のものをいう。有機物としては、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類又はオカラを用いることができる。
【0013】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙の他にも、塩ビ壁紙分級物(塩ビ壁紙を分級することにより得られる紙)、フラッフパルプ、製紙スラッジ、パルプスラッジ等が挙げられる。プラスチック類としては、例えば、紙おむつ分級物(紙おむつを分級することにより得られるプラスチック)を用いてもよい。オカラは、乾燥オカラであることが好ましい。
【0014】
被覆部14は、芯部12を覆っている。被覆部14は、芯部12の表面の全体を覆っていてもよいし、芯部12の表面の一部のみを覆っていてもよい。この被覆部14は、使用時に排泄物を吸収した粒状体10どうしを接着させて固まりにする機能を有する。被覆部14は、接着性材料を含有している。かかる接着性材料としては、例えば、澱粉、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコール)、デキストリン、又は吸水性ポリマーを用いることができる。被覆部14も、有機物を主材料とすることが好ましい。
【0015】
粒状体10は、例えば次のようにして形成することができる。まず、芯部12を構成する材料(芯部材料)を粉砕機で所定の大きさに粉砕した後、所定の割合でミキサーに投入して混ぜ合わせる。そして、必要に応じて加水した後、芯部材料を造粒機によって押出造粒する。これにより、粒状に成形された複数の芯部12が得られる。次に、各芯部12を覆うように、被覆部14を形成する。具体的には、コーティング装置等を用いて、芯部12の表面に被覆部14を構成する粉体状の材料(被覆材料)を付着させることにより、被覆部14を形成する。被覆材料の付着は、例えば、散布又は噴霧により行うことができる。その後、このようにして得られた粒状体を、所定の寸法の篩目を有する篩にかけることにより、所定の規格を満たす粒状体のみを抽出する。そして、抽出された粒状体を乾燥機で乾燥させる。以上により、複数の粒状体10が形成される。
【0016】
図1〜
図3に戻って、複数の粒状体10は、包装袋20に収容されている。包装袋20には、仕切部材30が設けられている。仕切部材30は、包装袋20の内部を空間S1(第1の空間)及び空間S2(第2の空間)に区画している。空間S1は、包装袋20の一部(仕切部材30よりも上の部分)と仕切部材30とで囲まれた空間である。また、空間S2は、包装袋20の一部(仕切部材30よりも下の部分)と仕切部材30とで囲まれた空間である。複数の粒状体10は、空間S1及び空間S2のうち空間S1にのみ収容されている。すなわち、全ての粒状体10が空間S1に収容されている。空間S2には、粒状体10が1つも収容されていない。空間S2は、後述する粉塵が溜まる空間となる。
【0017】
仕切部材30は、本体部32及び固定部34からなる。本体部32は、空間S1と空間S2との境界を構成する部分である。本体部32は、平面状をしており、包装袋20の上下方向(
図1の上下方向に等しい。)に垂直な面内に広がっている。固定部34は、仕切部材30を包装袋20の内面に固定するための部分である。固定部34は、本体部32の周囲に環状に設けられている。固定部34は、本体部32の周囲から垂直に立設しており、包装袋20の内面に接着されている。詳細には、固定部34の全体が、包装袋20の内面に接着されている。
【0018】
仕切部材30は、包装袋20の下端寄りに設けられている。すなわち、仕切部材30から包装袋20の下端までの距離は、仕切部材30から包装袋20の上端までの距離よりも小さい。これにより、空間S2の容積は、空間S1の容積よりも小さくなっている。空間S2の容積は、空間S1の容積の20%以下であることが好ましく、空間S1の容積の10%以下であることがより好ましい。ここで、各空間S1,S2の容積は、空の状態(粒状体10が収容されていない状態)にある包装袋20の内部を空気で満たしたときの容積をいう。
【0019】
包装袋20は、シート部材42(第1のシート部材)、シート部材44(第2のシート部材)及びシート部材46(第3のシート部材)からなる。シート部材42は、包装袋20の表面を構成する。シート部材44は、包装袋20の裏面を構成する。各シート部材42,44は、1枚のシートからなる。シート部材42とシート部材44とは、それらの縁部において互いに貼り合わされている。また、シート部材46は、仕切部材30を構成する。シート部材46は、1枚のシートからなっていてもよいし、2枚以上のシートからなっていてもよい。各シート部材42,44,46の材料としては、例えば、ポリエチレン等のプラスチックを用いることができる。
【0020】
包装袋20には、包装袋20を開封するための開封口22が設けられている。開封口22は、包装袋20の端部(シート部材42の縁部とシート部材44の縁部とが貼り合わされた部分)に形成された切込みからなる。本実施形態において開封口22は、包装袋20の左右両側に設けられている。開封口22は、包装袋20の上端の近傍に位置する。包装袋20は、開封口22から開封されることにより、空間S1及び空間S2のうち空間S1のみが開放されるように構成されている。ここで、空間S1が開放されるとは、空間S1の全体が包装袋20の一部と仕切部材30とで囲まれた状態が解除されることをいう。空間S2についても同様である。
【0021】
図5は、仕切部材30を示す平面図である。仕切部材30は、穴33を有している。穴33は、各粒状体10を通過させない。一方、穴33は、粒状体10の一部が剥離して粉塵となった場合に当該粉塵を通過させる。穴33は、平面視で円形をしている。穴33の径は、例えば、1〜3mm程度である。仕切部材30は、複数の穴33を有している。複数の穴33は、仕切部材30の本体部32の略全体にわたって点在している。空間S1と空間S2とは、これらの穴33のみを通じて互いに連通している。
【0022】
排泄物処理材1の効果を説明する。排泄物処理材1においては、各粒状体10を通過させない穴33を有する仕切部材30によって、包装袋20の内部が空間S1と空間S2とに区画されている。複数の粒状体10は、空間S1及び空間S2のうち空間S1にのみ収容されている。このため、
図6に示すように、空間S1に収容された粒状体10の一部が剥離して粉塵90となった場合であっても、粉塵90の一部又は全部を仕切部材30の穴33を通じて空間S2に移動させることができる。例えば開封前に包装袋20の下端を下にして包装袋20を軽く振ることにより、粉塵90が空間S1から空間S2に移動するのを促進させてもよい。このように粒状体10が収容された空間S1とは別の空間S2に粉塵90を溜めることにより、開封後の包装袋20から粒状体10を取り出す際、粉塵90が包装袋20の外に放出されにくくなる。したがって、包装袋20内に溜まった粉塵90が包装袋20の外に放出されにくい排泄物処理材1が実現されている。
【0023】
空間S2の容積は、空間S1の容積よりも小さい。このように空間S1の容積を大きくとることは、多量の粒状体10を包装袋20に収容するのに有利である。かかる観点から、空間S2の容積は、空間S1の容積の20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。ただし、空間S2の容積が小さすぎると、粉塵90を溜めるスペースを充分に確保できなくなってしまう。かかる観点から、空間S2の容積は、空間S1の容積の3%以上であることが好ましい。
【0024】
包装袋20は、開封口22から開封されることにより、空間S1及び空間S2のうち空間S1のみが開放されるように構成されている。これにより、粉塵が閉じ込められた空間(空間S2)を開放することなく、包装袋20から粒状体10を取り出すことができる。
【0025】
仕切部材30は、本体部32と固定部34とを有している。このように本体部32に加えて固定部34を設けることにより、包装袋20の内面に対する仕切部材30の固定を容易に行うことができる。
【0026】
本体部32は、平面状をしており、包装袋20の上下方向に垂直な面内に広がっている。これにより、包装袋20の内部を上下に区画することができる。排泄物処理材の包装袋は、上端が開口するように開封される仕様のものが一般的である。それゆえ、包装袋20の内部を上下に区画して上側の空間を空間S1とすれば、上記仕様を変更することなく、空間S1のみを開放することが可能となる。
【0027】
固定部34は、本体部32の周囲から垂直に立設しており、包装袋20の内面に接着されている。このように固定部34を垂直に立設させることにより、固定部34の外面を包装袋20の内面に対向させることができる。このため、固定部34を包装袋20の内面に接着しやすくなる。
【0028】
固定部34の全体が、包装袋20の内面に接着されている。これにより、本体部32の周囲と包装袋20の内面との間に隙間が生じないようにすることができる。
【0029】
仕切部材30は、複数の穴33を有している。この場合、穴33が1つしか設けられていない場合に比して、粉塵が空間S1から空間S2に移動しやすくなる。
【0030】
複数の穴33は、本体部32の略全体にわたって点在している。かかる構成は、粉塵を空間S1から空間S2に移動しやすくするのに有利である。
【0031】
包装袋20は、シート部材42、シート部材44及びシート部材46を有している。このように複数のシート部材42,44,46によって包装袋20を構成することにより、仕切部材30が設けられた包装袋20を容易に形成することができる。
【0032】
各粒状体10は、芯部12及び被覆部14を有している。このように被覆部14が設けられた粒状体10においては、被覆部14が剥離することにより粉塵が発生しやすい。このため、粉塵が包装袋20の外に放出されにくい排泄物処理材1が特に有用となる。
【0033】
芯部12及び被覆部14が有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した粒状体10を得ることができる。このように粒状体10が焼却処分に適していれば、使用済みの粒状体10を可燃ゴミとして捨てることもできるため、ユーザにとっての利便性が向上する。
(第2実施形態)
【0034】
図7は、本発明による排泄物処理材の第2実施形態を示す正面図である。また、
図8及び
図9は、それぞれ
図7のVIII−VIII線及びIX−IX線に沿った端面を示す概略図である。排泄物処理材2は、人又は動物の排泄物の処理に用いられる排泄物処理材であって、複数の粒状体10、及び包装袋20を備えている。粒状体10の構成は、第1実施形態で説明したとおりである。
図7においては、見やすさのため、包装袋20を透明化してその内部を図示するとともに、後述する仕切部材50の一部の図示を省略している。
【0035】
包装袋20には、仕切部材50が設けられている。仕切部材50は、包装袋20の内部を空間S1及び空間S2に区画している。空間S1は、包装袋20の一部(仕切部材50よりも上の部分)と仕切部材50とで囲まれた空間である。また、空間S2は、包装袋20の一部(仕切部材50よりも下の部分)と仕切部材50とで囲まれた空間である。
【0036】
仕切部材50は、本体部52及び固定部54からなる。本体部52は、空間S1と空間S2との境界を構成する部分である。本体部52は、底面52a及び側面52bを有する袋状をしている。本体部52の口部は、包装袋20の上下方向に垂直な面内に広がっている。本体部52の径は、本体部52の口部から底面52aに向かうにつれて単調に小さくなっている。固定部54は、仕切部材50を包装袋20の内面に固定するための部分である。固定部54は、本体部52の周囲に環状に設けられている。固定部54は、本体部52の口部の周囲から垂直に立設しており、包装袋20の内面に接着されている。詳細には、固定部54の全体が、包装袋20の内面に接着されている。
【0037】
包装袋20の上下方向について、開封口22よりも本体部52の口部の方が、包装袋20の上端から遠い位置にある。すなわち、本体部52の口部から包装袋20の上端までの距離は、開封口22から包装袋20の上端までの距離よりも大きい。本実施形態においてシート部材46は、仕切部材50を構成する。
【0038】
図10は、仕切部材50を示す平面図である。仕切部材50は、穴53を有している。穴53は、各粒状体10を通過させない。一方、穴53は、上述の粉塵を通過させる。穴53は、平面視で円形をしている。穴53の径は、例えば、1〜3mm程度である。仕切部材50は、複数の穴53を有している。複数の穴53は、底面52a及び側面52bの双方に設けられている。また、複数の穴53は、底面52aの略全体にわたって点在するとともに、側面52bの略全体にわたって点在している。空間S1と空間S2とは、これらの穴53のみを通じて互いに連通している。排泄物処理材2のその他の構成は、排泄物処理材1と同様である。
【0039】
排泄物処理材2の効果を説明する。排泄物処理材2においては、各粒状体10を通過させない穴53を有する仕切部材50によって、包装袋20の内部が空間S1と空間S2とに区画されている。複数の粒状体10は、空間S1及び空間S2のうち空間S1にのみ収容されている。このため、空間S1に収容された粒状体10の一部が剥離して粉塵となった場合であっても、当該粉塵の一部又は全部を仕切部材50の穴53を通じて空間S2に移動させることができる。このように粒状体10が収容された空間S1とは別の空間S2に粉塵を溜めることにより、開封後の包装袋20から粒状体10を取り出す際、粉塵が包装袋20の外に放出されにくくなる。したがって、包装袋20内に溜まった粉塵が包装袋20の外に放出されにくい排泄物処理材2が実現されている。
【0040】
本体部52は、底面52a及び側面52bを有する袋状をしている。このため、
図11に示すように、開封後の包装袋20の上端(開口部)が斜め下方を向くように包装袋20を傾けて粒状体10を取り出そうとした場合であっても、空間S2における側面52bと包装袋20の内面との間の領域に粉塵90を導くことができる。これにより、粉塵90が空間S2から空間S1に戻りにくくすることができる。
【0041】
本体部52の径は、本体部52の口部から底面52aに向かうにつれて単調に小さくなる。これにより、上述のように包装袋20を傾けて粒状体10を取り出そうとした場合に、上記領域に粉塵90が入り込みやすくなる。
【0042】
本体部52の口部は、包装袋20の上下方向に垂直な面内に広がっている。これにより、包装袋20の内部を上下に区画することができる。
【0043】
仕切部材50は、複数の穴53を有している。この場合、穴53が1つしか設けられていない場合に比して、粉塵が空間S1から空間S2に移動しやすくなる。
【0044】
複数の穴53は、底面52a及び側面52bの双方に設けられている。これにより、底面52aの穴53だけでなく側面52bの穴53を通じても、粉塵を空間S1から空間S2に移動させることができる。
【0045】
複数の穴53は、底面52aの略全体にわたって点在するとともに、側面52bの略全体にわたって点在している。かかる構成は、粉塵を空間S1から空間S2に移動しやすくするのに有利である。排泄物処理材2のその他の効果は、排泄物処理材1と同様である。
【0046】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、複数の穴53が底面52a及び側面52bの双方に設けられた場合を例示した。しかし、複数の穴53は、底面52a及び側面52bのうち底面52aにのみ設けられてもよい。その場合、側面52bには穴53が存在しないため、側面52bと包装袋20の内面との間の領域に導かれた粉塵90(
図11参照)が、空間S2から空間S1に戻る事態をより確実に防ぐことができる。
【0047】
上記実施形態においては、粒状体10が、芯部12及び被覆部14からなる複層構造を有する場合を例示した。しかし、被覆部14を設けることは必須でない。すなわち、粒状体10は、芯部12のみからなる単層構造を有していてもよい。その場合、芯部12に接着性材料が含有されることが好ましい。
【0048】
上記実施形態においては、排泄物を吸収することにより当該排泄物を処理する吸水型の粒状体10を例示した。しかし、粒状体10は、排泄物を透過させることにより当該排泄物を処理する透水型の粒状体であってもよい。ここで、透水型の粒状体には、当該粒状体の内部を排泄物が通過するようにしたものと、当該粒状体間の隙間を排泄物が通過するようにしたものとの2種類がある。後者の例としては、撥水性を有する粒状体が挙げられる。
【符号の説明】
【0049】
1 排泄物処理材
2 排泄物処理材
10 粒状体
12 芯部
14 被覆部
20 包装袋
22 開封口
30 仕切部材
32 本体部
33 穴
34 固定部
42 シート部材(第1のシート部材)
44 シート部材(第2のシート部材)
46 シート部材(第3のシート部材)
50 仕切部材
52 本体部
52a 底面
52b 側面
53 穴
54 固定部
90 粉塵
S1 空間(第1の空間)
S2 空間(第2の空間)