(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6975973
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】盗難防止装置及びアタッチメント
(51)【国際特許分類】
G08B 13/02 20060101AFI20211118BHJP
【FI】
G08B13/02 Z
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-8001(P2018-8001)
(22)【出願日】2018年1月22日
(65)【公開番号】特開2019-128636(P2019-128636A)
(43)【公開日】2019年8月1日
【審査請求日】2020年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】598129934
【氏名又は名称】エム・ケー・パビック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田崎 卓哉
【審査官】
大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0169924(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0169440(US,A1)
【文献】
特表2016−511896(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0171621(US,A1)
【文献】
国際公開第2017/182786(WO,A1)
【文献】
中国実用新案第205158559(CN,U)
【文献】
特開2005−115576(JP,A)
【文献】
特開2008−293257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 13/00−25/00
E05B 1/00−85/00
G06K 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結束ベルトを第1方向と第2方向とに交差させて箱に巻くことによって前記箱の内部の商品の抜き取りを防止する盗難防止装置であって、
前記結束ベルトの交差位置に取り付けられるアタッチメントを備え、
前記アタッチメントは、防犯タグを収容する防犯タグ収容部を備え、
前記交差位置において、前記第1方向に延在する結束ベルトと前記第2方向に延在する結束ベルトとによって前記防犯タグが挟まれ、
前記交差位置における前記第1方向に延在する結束ベルト及び前記第2方向に延在する結束ベルトが伸張した状態では前記防犯タグが警報を発しない状態となり、
前記交差位置における前記第1方向に延在する結束ベルト又は前記第2方向に延在する結束ベルトのうち少なくとも一方がたるんだ状態では前記防犯タグが警報を発する状態となる
盗難防止装置。
【請求項2】
前記防犯タグは、前記防犯タグ収容部に支持される本体部と、前記本体部から突出する方向に付勢された検出スイッチとを備え、
前記アタッチメントには、前記検出スイッチを突出可能とする貫通孔を備え、
前記交差位置における前記第1方向に延在する結束ベルト及び前記第2方向に延在する結束ベルトが伸張した状態では前記検出スイッチが没入して前記防犯タグが警報を発しない状態となり、前記交差位置における前記第1方向に延在する結束ベルト又は前記第2方向に延在する結束ベルトがたるんだ状態では前記検出スイッチが突出して前記防犯タグが警報を発する状態となる
請求項1に記載の盗難防止装置。
【請求項3】
前記アタッチメントの前記第2方向の両端部には、前記第2方向に延在する結束ベルトを下方から支持する一対の第2方向支持部を備え、
前記一対の第2方向支持部は、前記防犯タグ収容部の下端より高い位置に位置する
請求項1又は2のいずれか1項に記載の盗難防止装置。
【請求項4】
前記アタッチメントには、前記第2方向に延在する結束ベルトを下方に付勢する付勢部材を備える
請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の盗難防止装置。
【請求項5】
前記アタッチメントは、前記第1方向に延在する結束ベルトを上方から覆うカバー部材を備え、前記第1方向に延在する結束ベルトの上面と前記カバー部材の下面との間には隙間が形成される
請求項1、2、3又は4のいずれか1項に記載の盗難防止装置。
【請求項6】
結束ベルトを第1方向と第2方向とに交差させて箱に巻くことによって前記箱の内部の商品の抜き取りを防止する盗難防止装置において、前記第1方向の結束ベルトと前記第2方向に結束ベルトとの交差位置に取り付けられるアタッチメントであって、
防犯タグを収容する防犯タグ収容部と、
前記防犯タグ収容部に形成された貫通孔と
を備え
前記防犯タグ収容部に収容された防犯タグの上方の第1方向の結束ベルトと、前記第2方向の結束ベルトとの間に前記防犯タグを位置させることを可能とする
アタッチメント。
【請求項7】
前記防犯タグが、前記防犯タグ収容部に支持される本体部と、前記本体部から突出する方向に付勢された検出スイッチとを備える場合は、
前記貫通孔は、前記検出スイッチを突出可能とする
請求項6に記載のアタッチメント。
【請求項8】
前記第2方向に延在する結束ベルトを下方から支持する一対の第2方向支持部を備え、
前記一対の第2方向支持部は、前記防犯タグ収容部の下端より高い位置に位置する
請求項6又は7のいずれか1項に記載のアタッチメント。
【請求項9】
前記第2方向に延在する結束ベルトを下方に付勢する付勢部材を備える
請求項6、7又は8のいずれか1項に記載のアタッチメント。
【請求項10】
前記第1方向に延在する結束ベルトを上方から覆うカバー部材を備え、前記第1方向に延在する結束ベルトの上面と前記カバー部材の下面との間には隙間が形成される
請求項6、7、8又は9のいずれか1項に記載のアタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱に収容された商品を箱の中から取り出して持ち去る盗難を防止する盗難防止装置及びその盗難防止装置に用いられるアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば家電製品等の箱に入った状態で陳列される商品については、箱を開けて中身の商品本体のみを持ち去る盗難が存在する。このような盗難を防止するための装置として、例えばスパイダーラップ、ホークグリップなどと称されるワイヤー型の盗難防止装置が使用されている(例えば、非特許文献1参照)。これらの装置は、商品パッケージをワイヤーで包み込むようにして取り付けて使用されるものであり、ワイヤーを切ったり専用の解除装置を用いずに取り外したりした場合に、装置が警報を鳴らすことにより、商品本体の箱からの抜き取りを防止している。また、箱ごと持ち去ろうとした場合は。店内のゲートからの電波を受けて装置が警報を鳴らすことにより、箱ごとの持ち去りも防いでいる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】(URL: http://www.oes.ne.jp/tag/data/spiderwrap.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようなワイヤー型の盗難防止装置は、取り付けに手間がかかる上に、専用の装置であるため、コストが嵩むという問題もある。
【0005】
本発明は、このような問題にかんがみなされたもので、簡便かつ経済的に箱の中身の抜き取る盗難を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、結束ベルトを第1方向と第2方向とに交差させて箱に巻くことによって前記箱の内部の商品の抜き取りを防止する盗難防止装置であって、前記結束ベルトの交差位置に取り付けられるアタッチメントを備え、前記アタッチメントは、防犯タグを収容する防犯タグ収容部を備え、前記交差位置において、前記第1方向に延在する結束ベルトと前記第2方向に延在する結束ベルトとによって前記防犯タグが挟まれ、前記交差位置における前記第1方向に延在する結束ベルト及び前記第2方向に延在する結束ベルトが伸張した状態では前記防犯タグが警報を発しない状態となり、前記交差位置における前記第1方向に延在する結束ベルト又は前記第2方向に延在する結束ベルトのうち少なくとも一方がたるんだ状態では前記防犯タグが警報を発する状態となるように構成される。
【0007】
前記防犯タグは、前記防犯タグ収容部に支持される本体部と、前記本体部から突出する方向に付勢された検出スイッチとを備え、前記アタッチメントには、前記検出スイッチを突出可能とする貫通孔を備え、前記交差位置における前記第1方向に延在する結束ベルト及び前記第2方向に延在する結束ベルトが伸張した状態では前記検出スイッチが没入して前記防犯タグが警報を発しない状態となり、前記交差位置における前記第1方向に延在する結束ベルト又は前記第2方向に延在する結束ベルトがたるんだ状態では前記検出スイッチが突出して前記防犯タグが警報を発する状態となることが好ましい。
前記アタッチメントの前記第2方向の両端部には、前記第2方向に延在する結束ベルトを下方から支持する一対の第2方向支持部を備え、前記一対の第2方向支持部は、前記防犯タグ収容部の下端より高い位置に位置することが好ましい。
前記アタッチメントには、前記第2方向に延在する結束ベルトを下方に付勢する付勢部材を備えることが好ましい。
前記アタッチメントは、前記第1方向に延在する結束ベルトを上方から覆うカバー部材を備え、前記第1方向に延在する結束ベルトの上面と前記カバー部材の下面との間には隙間が形成されることが好ましい。
【0008】
また、本発明は、結束ベルトを第1方向と第2方向とに交差させて箱に巻くことによって前記箱の内部の商品の抜き取りを防止する盗難防止装置において、前記第1方向の結束ベルトと前記第2方向に結束ベルトとの交差位置に取り付けられるアタッチメントであって、防犯タグを収容する防犯タグ収容部と、前記防犯タグ収容部に形成された貫通孔と
を備え前記防犯タグ収容部に収容された防犯タグの上方の第1方向の結束ベルトと、前記第2方向の結束ベルトとの間に前記防犯タグを位置させることを可能とするように構成される。
【0009】
前記防犯タグが、前記防犯タグ収容部に支持される本体部と、前記本体部から突出する方向に付勢された検出スイッチとを備える場合は、前記貫通孔は、前記検出スイッチを突出可能とすることが好ましい。
前記第2方向に延在する結束ベルトを下方から支持する一対の第2方向支持部を備え、前記一対の第2方向支持部は、前記防犯タグ収容部の下端より高い位置に位置することが好ましい。
前記第2方向に延在する結束ベルトを下方に付勢する付勢部材を備えることが好ましい。
前記第1方向に延在する結束ベルトを上方から覆うカバー部材を備え、前記第1方向に延在する結束ベルトの上面と前記カバー部材の下面との間には隙間が形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、第1方向と第2方向とに交差させて巻いた結束ベルトのいずれかが切断されたりたるんだりすると、防犯タグが警報を行うため、既存の結束ベルトを用いて盗難を防止することができ、コストを低減することができる。また、結束ベルトが交差する位置にアタッチメントを取り付け、アタッチメントの防犯タグ収容部に防犯タグを収容するだけで済むため、箱への取り付けも簡単である。
【0011】
防犯タグが、本体部から突出する方向に付勢された検出スイッチであると、第1方向に延在する結束ベルトが切断されたりたるんだりすると付勢力によって防犯タグ全体が浮き上がり、第2方向に延在する結束ベルトが切断されたりたるんだりすると付勢力によって検出スイッチが突出するため、確実に警報を行うことができる。
【0012】
第2方向支持部が防犯タグ収容部の下端と同じ高さにあると、第2方向に延在する結束ベルトがたるみにくいが、第2方向支持部が防犯タグ収容部の下端より高い位置に位置する構成とすることにより、第2方向の結束ベルトがたるみやすいため、少しのたるみでも確実に警報を行うことができる。
【0013】
第2方向に延在する結束ベルトを下方に付勢する付勢部材をアタッチメントに備えることにより、第2方向に延在する結束ベルトがたるむと付勢部材がさらに下方に押し出すため、確実に警報を行うことができる。
【0014】
アタッチメントに、第1方向に延在する結束ベルトを上方から覆うカバー部材を備え、第1方向に延在する結束ベルトの上面とカバー部材の下面との間に隙間が形成される構成とすることにより、アタッチメントの取り付けの際の第1方向に延在する結束ベルトの取り扱いが容易となるとともに、アタッチメントを取り外す際にも第1方向に延在する結束ベルトが散乱するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態の盗難防止装置の上面側を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態のアタッチメントの上面側を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態のアタッチメントの下面側を示す斜視図である。
【
図5】第2方向の結束ベルトを通した状態の第1実施形態のアタッチメントの下面側を示す斜視図である。
【
図6】第2方向の結束ベルトがたるんだ第1実施形態のアタッチメントの下面側を示す斜視図である。
【
図7】(a)は、第1実施形態の盗難防止装置において第1方向及び第2方向の結束ベルトが伸張した状態を示す断面図であり、(b)は、第1実施形態の盗難防止装置において第1方向の結束ベルトがたるんだ状態を示す断面図である。
【
図8】(a)は、第1実施形態の盗難防止装置において第1方向及び第2方向の結束ベルトが伸張した状態を示す断面図であり、(b)は、第1実施形態の盗難防止装置において第2方向の結束ベルトがたるんだ状態を示す断面図である。
【
図9】第2実施形態の盗難防止装置の上面側を示す斜視図である。
【
図10】第2実施形態のアタッチメントの上面側を示す斜視図である。
【
図11】第2実施形態のアタッチメントの下面側を示す斜視図である。
【
図12】(a)は、第2実施形態の盗難防止装置において第1方向及び第2方向の結束ベルトが伸張した状態を示す断面図であり、(b)は、第2実施形態の盗難防止装置において第1方向の結束ベルトがたるんだ状態を示す断面図である。
【
図13】(a)は、第2実施形態の盗難防止装置において第1方向及び第2方向の結束ベルトが伸張した状態を示す断面図であり、(b)は、第2実施形態の盗難防止装置において第2方向の結束ベルトがたるんだ状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1 第1実施形態
図1に示す盗難防止装置1は、箱10の外側に、第1方向に延在する第1方向結束ベルト21及び第2方向に延在する第2方向結束ベルト22を少なくとも一箇所において交差するように巻き、その交差位置に防犯タグ31を収容したアタッチメント3を取り付けることによって、箱10の内部の商品の抜き取りを防止するものである。また、第1方向結束ベルト21、第2方向結束ベルト22のいずれかが切断されたり弛んだりすると、防犯タグ31が警報を鳴らすことにより、盗難を知らせることができる。ここで、第1方向結束ベルト21及び第2方向結束ベルト22は、平たい形状のものが好ましく、例えば商品の梱包時に使用されているPP(ポリプロピレン)ベルトと呼ばれるものを使用することができるが、これに限定されるものではない。PPベルトのような既存のものを使用すれば、新たなコストが生じるのを回避することができる。
【0017】
アタッチメント3の上面3a側には、防犯タグ31を収容する防犯タグ収容部32が形成されている。
図2に示すように、防犯タグ31は、防犯タグ収容部32に支持される本体部311と、本体部311から突出する方向に付勢された検出スイッチ312とを備えている。検出スイッチ312は、突出した状態では警報を鳴らす。本体部311は、下方にいくにつれて側面311aが広がる形状となっており、その側面311aが
図1に示した防犯タグ収容部32に対して遊嵌した状態で収容される。
【0018】
図3に示すように、アタッチメント3の上面3a側における第1方向の両端部には、第1方向結束ベルト21を支持する一対の第1方向支持部33が形成されている。第1方向支持部33は、上面33aから下方に陥没して形成されており、第1方向結束ベルト21の幅以上の幅を有している。第1方向支持部33は、第1方向結束ベルト21を巻く際のガイドとしての役割も有する。
【0019】
アタッチメント3の第2方向の両端部には、第2方向結束ベルト22を下方から支持する一対の第2方向支持部34が形成されている。第2方向支持部34は、上面3aから下方に陥没した位置に形成されており、第1方向支持部33よりも低い位置に形成されている。第2方向支持部34は、図示の例では平面状に形成されているが、この形状には限定されない。
【0020】
また、第2方向支持部34の第2方向斜め上方には、アタッチメント3の下面側に突出する押さえ部342を備えている。一方の第2方向支持部34と押さえ部342との間から他方の第2方向支持部34と押さえ部342との間までに第2方向結束ベルト22を通すことにより、第2方向結束ベルト22がアタッチメント3に取り付けられる。
【0021】
図3及び
図4に示すように、防犯タグ収容部32の下部には、上下方向に貫通する貫通孔321が形成されている。この貫通孔321には、
図2に示した防犯タグ31の検出スイッチ312を収容することができ、検出スイッチ312を下方に突出可能としている。また、
図4に示すように、防犯タグ収容部32の下部には、一対の板バネ35を備えている。この一対の板バネ35は、第2方向支持部34によって支持された第2方向結束ベルト22を下方に向けて付勢する付勢部材であり、
図5に示すように、第2方向結束ベルト22がピンと張って伸張した状態では、板バネ35が上方に押し付けられている。一方、第2方向結束ベルト22に弛みが生じると、
図6に示すように、板バネ35によって第2方向結束ベルト22がさらに下方に押される。なお、板バネ35は、1つのみを配設した構成としてもよい。
【0022】
図7(a)及び
図8(a)に示すように、第1方向結束ベルト21と第2方向結束ベルト22とは、上下方向に離れた状態で交差しており、第1方向結束ベルト21と第2方向結束ベルト22とによって防犯タグ31が挟まれた状態となっている。そして、第1方向結束ベルト21と第2方向結束ベルト22とがともにピンと張った状態になっていると、検出スイッチ312は本体部311側に没入して警報を発しない状態となっている。
図7(a)に示すように、第2方向結束ベルト22がピンと張った状態では、検出スイッチ312が下方に突出するのを第2方向結束ベルト22が阻止している。このとき、
図8(a)に示すように、第2方向支持部34が防犯タグ収容部32の下面である下端322よりも高い位置にあり、第2方向結束ベルト22のうち、アタッチメント3の内部に位置する部分は、アタッチメント3の外側に位置する部分よりも若干下がった状態となっている。
【0023】
図7(b)に示すように、第1方向結束ベルト21がたるむと、防犯タグ31が上方から押さえつけられた状態が解除されるため、検出スイッチ312の弾性によって防犯タグ31全体が浮き上がり、検出スイッチ312が突出して警報を発する状態となる。特に、本体部311が下方にいくにつれて側面311aが広がる形状となっているとともに、その側面311aが防犯タグ収容部32に対して遊嵌した状態で収容されているため、第1方向結束ベルト21によって防犯タグ31が上方から押さえつけられた状態が解除されたときに、防犯タグ31全体が浮き上がりやすく、確実に警報を行うことができる。
【0024】
また、
図8(b)に示すように、第2方向結束ベルト22がたるむと、検出スイッチ312が突出して警報を発する状態となる。第2方向支持部34は、防犯タグ収容部32の下端322よりも高い位置にあり、第2方向結束ベルト22は、
図8(a)に示したようにピンと張った状態においてもアタッチメント3の内部において若干下がった状態となっているため、たるみが生じやすい。また、板バネ35の作用によって第2方向結束ベルト22がさらに下方にたわむ。したがって、わずかなたるみが生じた場合でも確実に警報を発することができる。
【0025】
以上のように、盗難防止装置1では、第1方向結束ベルト21、第2方向結束ベルト22のいずれがたるんでも検出スイッチ312が突出して警報を発する状態となるため、箱10の中の商品の盗難を確実に防止することができる。
【0026】
2 第2実施形態
図9に示す盗難防止装置4は、アタッチメント5の上面5aに第1方向結束ベルト21を上方から覆うカバー部材51が形成されている点が、第1実施形態の盗難防止装置1とは異なっている。なお、第1実施形態の盗難防止装置1と同様に構成される部位については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0027】
図10に示すように、カバー部材51の第1方向の両端部には、第1方向結束ベルト21を通すための窓部52が形成されている。
【0028】
図11に示すように、カバー部材51の裏側には、
図2に示した防犯タグ31を収容する防犯タグ収容部53が形成されている。防犯タグ収容部53の下部には、貫通孔531を備えており、防犯タグ収容部53に対する防犯タグ31の収容は、貫通孔531を通して行う。防犯タグ収容部53の下端532は、第2方向支持部34よりも低い位置にある。
【0029】
図12(a)に示すように、一方の窓部52から第1方向結束ベルト21を挿入して他方の窓部52からその第1方向結束ベルト21を取り出しピンと張った状態に伸張させると、第1方向結束ベルト21は、防犯タグ31の本体部311の上面にならった状態となる。そして、第1方向結束ベルト21とカバー部材51の下面51aとの間には隙間511が形成される。また、第2方向結束ベルト22もピンと張った状態とすると、検出スイッチ312が本体部311側に没入して警報を発しない状態となる。
【0030】
この状態から、
図12(b)に示すように、第1方向結束ベルト21がたるむと、第1方向結束ベルト21が防犯タグ31を押さえつける力が解除されるため、検出スイッチ312の弾性によって防犯タグ31が浮き上がり、検出スイッチ312が突出して警報を発する。アタッチメント5にはカバー部材51が形成されているため、人力によって第1方向結束ベルト21を上から押さえつけることができない。したがって、第1方向結束ベルト21を押さえつけて切断するといった不正が不可能となり、確実に警報を鳴らすことができる。
【0031】
図13(a)に示すように、第1方向結束ベルト21が防犯タグ31の本体部311の上面にならった状態となり、かつ、第2方向結束ベルト22もピンと張った状態となり、検出スイッチ312が本体部311側に没入して警報を発しない状態では、第2方向支持部34が防犯タグ収容部53の下端532よりも高い位置にあるため、第2方向結束ベルト22のうち、アタッチメント5の内部に位置する部分は、アタッチメント5の外側に位置する部分よりも若干下がった状態となっている。
【0032】
この状態から、
図13(b)に示すように、第2方向結束ベルト22がたるむと、検出スイッチ312が突出し、防犯タグ31が警報を発する。第2方向支持部34は、防犯タグ収容部53の下端532よりも高い位置にあり、第2方向結束ベルト22は、ピンと張った状態においてもアタッチメント5の内部において若干下がった状態となっているため、たるみが生じやすい。したがって、わずかなたるみでも確実に警報を発することができる。
【0033】
以上のように、第2実施形態の盗難防止装置4においても、第1方向結束ベルト21、第2方向結束ベルト22のいずれがたるんでも検出スイッチ312が突出して警報を発するため、箱10の中の商品の盗難を確実に防止することができる。また、アタッチメント5にカバー部材51を備え、第1方向結束ベルト21の上面とカバー部材51の下面51aとの間には隙間511が形成されているため、アタッチメント5の取り付けの際に隙間511がガイドとなって第1方向結束ベルト21を一方の窓部52から他方の窓部52に通しやすいとともに、アタッチメント5を取り外す際にも隙間511がガイドとなって第1方向結束ベルト21が散乱するのを防ぐことができ、アタッチメント5の着脱が容易となる。
【0034】
なお、上記第1実施形態及び第2実施形態では、防犯タグ31の下面に出没式の検出スイッチ312を備えることとしたが、上面と下面の両方に検出スイッチ312を備える防犯タグを用いてもよい。
【0035】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態の防犯タグ31は、出没式の検出スイッチ312を備えることとしたが、検出スイッチに代えて、例えば光センサを用いてもよい。例えば、防犯タグの上面及び下面に光センサを備え、両光センサと第1方向結束ベルト又は第2方向結束ベルト22との距離が所定の距離を超えたときに警報状態とするように光センサを設定しておくことにより、第1方向結束ベルト又は第2方向結束ベルト22がたるんだり切断されたりしたときに、確実に警報を行うことができる。
【0036】
上記第1実施形態及び第2実施形態では、第1方向結束ベルト21と第2方向結束ベルト22とが別々のものとしたが、結束ベルトは、第1方向結束ベルトと第2方向結束ベルトとが1本の連続したものであってもよい。また、第1方向と第2方向とがなす角度は箱の形状等に応じて変化させることが可能であり、直交していなくてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1:盗難防止装置 10:箱
21:第1方向結束ベルト 22:第2方向結束ベルト
3:アタッチメント
31:防犯タグ 311:本体部 312:検出スイッチ
32:防犯タグ収容部 321:貫通孔 322:下端
33:第1方向支持部
34:第2方向支持部 342:押さえ部
35:板バネ
5:アタッチメント
51:カバー部材 511:隙間 52:窓部
53:防犯タグ収容部 531:貫通孔 532:下端