(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6975977
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】プロペラ装置
(51)【国際特許分類】
B64C 11/34 20060101AFI20211118BHJP
【FI】
B64C11/34
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-212288(P2018-212288)
(22)【出願日】2018年11月12日
(65)【公開番号】特開2020-78975(P2020-78975A)
(43)【公開日】2020年5月28日
【審査請求日】2020年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】597139170
【氏名又は名称】学校法人静岡理工科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 孝志
【審査官】
諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第103661926(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第105539832(CN,A)
【文献】
中国実用新案第205044944(CN,U)
【文献】
中国特許出願公開第106043670(CN,A)
【文献】
特開2018−052227(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/185265(WO,A1)
【文献】
米国特許第09663236(US,B1)
【文献】
特開2017−185945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 11/06
B64C 11/32 −11/36
B64C 27/08
B64C 27/68
A63H 27/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源の出力軸と連結されて回転駆動可能な回転部材と、
前記回転部材に取り付けられた複数の羽根部材と、
前記羽根部材の長手方向に延びる軸を中心としてそれぞれ回転させることにより当該羽根部材のピッチを変更するピッチ変更手段と、
前記ピッチ変更手段を作動させて前記羽根部材のピッチを任意のタイミングで変更させる作動アクチュエータと、
前記作動アクチュエータの駆動によって変位して前記ピッチ変更手段を作動させる作動部材と、
を具備し、前記駆動源の駆動によって前記回転部材と共に前記羽根部材を回転して推力を得るとともに、前記作動アクチュエータの駆動力を前記作動部材を介して前記ピッチ変更手段に伝達させて前記羽根部材のピッチを変更し得るプロペラ装置であって、
前記回転部材は、内部に収容空間が形成されるとともに、当該収容空間に前記ピッチ変更手段が配設された構成を有し、前記ピッチ変更手段及び前記作動アクチュエータは、前記駆動源を挟んだ位置にそれぞれ配設されるとともに、前記作動部材は、前記駆動源を貫通して取り付けられたプッシュロッドから成り、且つ、前記ピッチ変更手段、駆動源及び作動アクチュエータが直線状に配置されたことを特徴とするプロペラ装置。
【請求項2】
前記駆動源の出力軸は、当該駆動源を貫通したパイプ状部材から成り、前記作動部材は、当該出力軸に挿通して配設されたことを特徴とする請求項1記載のプロペラ装置。
【請求項3】
前記作動アクチュエータ及び作動部材の間に介在し、前記作動部材の回転力が前記作動アクチュエータに伝達しない状態を維持しつつ前記作動アクチュエータの駆動力を前記作動部材に伝達して前記ピッチ変更手段を作動させ得る継ぎ手部材を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のプロペラ装置。
【請求項4】
前記継ぎ手部材に軸受を有することを特徴とする請求項3記載のプロペラ装置。
【請求項5】
前記駆動源は、モータから成るとともに、前記作動部材は、非磁性体材料から成ることを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載のプロペラ装置。
【請求項6】
前記ピッチ変更手段は、前記作動部材の変位に伴って移動する連動部材と、前記連動部材の移動を前記羽根部材の回転力に変換してピッチを変更させるカム部材とを有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1つに記載のプロペラ装置。
【請求項7】
前記カム部材は、前記連動部材に形成されたカム溝に沿って変位可能なカムフォロアあるいは転動体から成ることを特徴とする請求項6記載のプロペラ装置。
【請求項8】
前記作動アクチュエータは、前記作動部材のスライド方向に駆動力を伝達可能なリニアアクチュエータから成ることを特徴とする請求項1〜7の何れか1つに記載のプロペラ装置。
【請求項9】
前記作動アクチュエータは、サーボモータから成り、当該サーボモータの駆動による回転力を前記作動部材のスライド方向に変換して伝達可能な変換手段を具備したことを特徴とする請求項1〜7の何れか1つに記載のプロペラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源の駆動によって回転部材と共に羽根部材を回転して推力を得るとともに、作動アクチュエータの駆動力を作動部材を介してピッチ変更手段に伝達させて羽根部材のピッチを変更し得るプロペラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無人航空機、ドローン、電動推進垂直離着陸機「eVTOL(イーブイトール)」、及び空飛ぶクルマ(Urban Air Mobility)などは、通常、モータ等の駆動源を駆動させることによって羽根部材を回転して推力を得るプロペラ装置を具備しており、垂直離着陸が可能である点や低速飛行が可能である点等の種々の利点を有している。近時においては、効率よく推力を得て後続距離を延長させ得るプロペラ装置や姿勢制御が可能なプロペラ装置が求められており、例えば特許文献1にて開示されているように、羽根部材の長手方向に延びる軸を中心としてそれぞれ回転させることにより当該羽根部材のピッチを変更するピッチ変更手段が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3050030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、羽根部材のピッチを変更するピッチ変更手段がプロペラ装置の外側に配設されているので、装置全体が大型化してし、装置の質量が増加してしまうとともに、ピッチ変更手段の全体又は一部が空気抵抗となって姿勢制御や巡航距離等の飛行状況に悪影響が及んでしまう虞があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、装置の小型軽量化を図ることができるとともに、ピッチ変更手段が空気抵抗になってしまうのを防止することができるプロペラ装置を提供することにある。また、本発明の装置により、機体の姿勢制御も可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、駆動源の出力軸と連結されて回転駆動可能な回転部材と、前記回転部材に取り付けられた複数の羽根部材と、前記羽根部材の長手方向に延びる軸を中心としてそれぞれ回転させることにより当該羽根部材のピッチを変更するピッチ変更手段と、前記ピッチ変更手段を作動させて前記羽根部材のピッチを任意のタイミングで変更させる作動アクチュエータと、前記作動アクチュエータの駆動によって変位して前記ピッチ変更手段を作動させる作動部材とを具備し、前記駆動源の駆動によって前記回転部材と共に前記羽根部材を回転して推力を得るとともに、前記作動アクチュエータの駆動力を前記作動部材を介して前記ピッチ変更手段に伝達させて前記羽根部材のピッチを変更し得るプロペラ装置であって、前記回転部材は、内部に収容空間が形成されるとともに、当該収容空間に前記ピッチ変更手段が配設され
た構成を有し、前記ピッチ変更手段及び前記作動アクチュエータは、前記駆動源を挟んだ位置にそれぞれ配設されるとともに、前記作動部材は、前記駆動源を貫通して取り付けられたプッシュロッドから成り、且つ、前記ピッチ変更手段、駆動源及び作動アクチュエータが直線状に配置されたことを特徴とする。
【0008】
請求項
2記載の発明は、請求項
1記載のプロペラ装置において、前記駆動源の出力軸は、当該駆動源を貫通したパイプ状部材から成り、前記作動部材は、当該出力軸に挿通して配設されたことを特徴とする。
【0009】
請求項
3記載の発明は、請求項
1又は請求項
2記載のプロペラ装置において、前記作動アクチュエータ及び作動部材の間に介在し、前記作動部材の回転力が前記作動アクチュエータに伝達しない状態を維持しつつ前記作動アクチュエータの駆動力を前記作動部材に伝達して前記ピッチ変更手段を作動させ得る継ぎ手部材を具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項
4記載の発明は、請求項
3に記載のプロペラ装置において、前記継ぎ手部材に軸受を有することを特徴とする。
【0011】
請求項
5記載の発明は、請求項1〜
4の何れか1つに記載のプロペラ装置において、前記駆動源は、モータから成るとともに、前記作動部材は、非磁性体材料から成ることを特徴とする。
【0012】
請求項
6記載の発明は、請求項1〜
5の何れか1つに記載のプロペラ装置において、前記ピッチ変更手段は、前記作動部材の変位に伴って移動する連動部材と、前記連動部材の移動を前記羽根部材の回転力に変換してピッチを変更させるカム部材とを有することを特徴とする。
【0013】
請求項
7記載の発明は、請求項
6に記載のプロペラ装置において、前記カム部材は、前記連動部材に形成されたカム溝に沿って変位可能なカムフォロアあるいは転動体から成ることを特徴とする。
【0014】
請求項
8記載の発明は、請求項1〜
7の何れか1つに記載のプロペラ装置において、前記作動アクチュエータは、前記作動部材のスライド方向に駆動力を伝達可能なリニアアクチュエータから成ることを特徴とする。
【0015】
請求項
9記載の発明は、請求項1〜
7の何れか1つに記載のプロペラ装置において、前記作動アクチュエータは、サーボモータから成り、当該サーボモータの駆動による回転力を前記作動部材のスライド方向に変換して伝達可能な変換手段を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、回転部材は、内部に収容空間が形成されるとともに、当該収容空間にピッチ変更手段が配設されたので、装置の小型軽量化を図ることができるとともに、ピッチ変更手段が空気抵抗になってしまうのを防止することができる。
【0017】
また、ピッチ変更手段及び作動アクチュエータは、駆動源を挟んだ位置にそれぞれ配設されるとともに、作動部材は、駆動源を貫通して取り付けられたプッシュロッドから成るので、プロペラ装置全体を直線状に配設させることができ、他の構成部品のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0018】
請求項
2の発明によれば、駆動源の出力軸は、当該駆動源を貫通したパイプ状部材から成り、作動部材は、当該出力軸に挿通して配設されたので、作動部材の変位を安定して行わせることができる。
【0019】
請求項
3の発明によれば、作動アクチュエータ及び作動部材の間に介在し、作動部材の回転力が作動アクチュエータに伝達しない状態を維持しつつ作動アクチュエータの駆動力を作動部材に伝達してピッチ変更手段を作動させ得る継ぎ手部材を具備したので、作動アクチュエータを固定させた状態でピッチ変更手段を安定して作動させることができる。また、ねじ等により回転を直動に変換する継手部材による構成とは異なり、ピッチ可変の際、機構全体にモーメント荷重が作用せず、直線的な作動が円滑かつ安定的に可能となる。
【0020】
請求項
4の発明によれば、継ぎ手部材の相対変位する箇所に軸受を具備したので、摩擦力を低減させることにより、円滑かつ安定な作動や伝達効率の向上を得ることができる。
【0021】
請求項
5の発明によれば、駆動源は、モータから成るとともに、作動部材は、非磁性体材料から成るので、モータを貫通して配設された作動部材がモータに対して磁気的影響を及ぼしてしまうのを防止することができる。
【0022】
請求項
6の発明によれば、ピッチ変更手段は、作動部材の変位に伴って移動する連動部材と、連動部材の移動を羽根部材の回転力に変換してピッチを変更させるカム部材とを有するので、ピッチ変更手段を確実且つ円滑に作動させて羽根部材のピッチを変更させることができる。
【0023】
請求項
7の発明によれば、カム部材は、連動部材に形成されたカム溝に沿って変位可能なカムフォロアや転動体から成るので、羽根部材のピッチの変更をより円滑且つ安定して行わせることができる。
【0024】
請求項
8の発明によれば、作動アクチュエータは、作動部材のスライド方向に駆動力を伝達可能なリニアアクチュエータから成るので、作動アクチュエータの駆動力を効率的に作動部材に伝達させることができる。
【0025】
請求項
9の発明によれば、作動アクチュエータは、サーボモータから成り、当該サーボモータの駆動による回転力を作動部材のスライド方向に変換して伝達可能な変換手段を具備したので、汎用的なサーボモータを用いて製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係るプロペラ装置の外観全体を示す斜視図
【
図6】同プロペラ装置のピッチ変更手段を側面方向から見た拡大断面図
【
図7】同プロペラ装置のピッチ変更手段を正面方向から見た拡大断面図
【
図8】同プロペラ装置の回転部材の内部構成を側面方向から見た拡大図
【
図9】同プロペラ装置の継ぎ手部材の内部構成を示す断面図
【
図10】本発明の他の実施形態に係るプロペラ装置を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るプロペラ装置は、無人航空機やドローンなどに搭載されて推力を得るもので、
図1〜5に示すように、回転部材1と、羽根部材2と、ピッチ変更手段3と、作動アクチュエータとしてのリニアアクチュエータ4と、作動部材5と、継ぎ手部材6とを具備し、モータM(駆動源)の駆動によって回転部材1と共に羽根部材2を回転して推力を得るとともに、リニアアクチュエータ4の駆動力を作動部材5を介してピッチ変更手段3に伝達させて羽根部材2のピッチを変更し得るよう構成されている。
【0028】
駆動源としてのモータMは、無人航空機やドローンなどに搭載されたバッテリから電力が供給されて駆動するブラシレスモータ等から成り、駆動時に外部の筒状ロータが回転するアウタロータ型モータから成る。このモータMの出力軸Maは、モータMの駆動時に回転して羽根部材2を回転させるもので、本実施形態においては、モータM(駆動源)を貫通したパイプ状部材から成る。
【0029】
回転部材1は、モータM(駆動源)の出力軸Maと連結されて回転駆動可能なもので、ホルダ1aと、ケース1bとを有して構成されている。ホルダ1aは、出力軸Maと接続されてモータMの駆動力を受ける部材から成り、ボルト等によってケース1bと連結されている。かかるケース1bは、内部に収容空間を有したもので、モータMを駆動させると、軸L1を中心としてホルダ1aと共に回転し得るようになっている。
【0030】
羽根部材2は、回転部材1の側面に複数(本実施形態においては2枚)取り付けられたもので、モータMの駆動力にて軸L1を中心として回転部材1と共に回転することにより、モータM(駆動源)の回転力を推進力に変換可能な形状とされている。かかる羽根部材2の基端側は、
図5〜7に示すように、それぞれピンP1により連結部2aが連結されており、当該連結部2aがピッチ変更手段3と接続されている。
【0031】
ピッチ変更手段3は、羽根部材2の長手方向に延びる軸L2を中心としてそれぞれ回転させることにより当該羽根部材2のピッチを変更するためのもので、
図8に示すように、カム溝3aaが一対形成された連動部材3aと、カム部材としてのカムフォロア3bとを有して構成されている。かかるカム溝3aaは、カムフォロア3bを嵌入して組み付け可能とされており、連動部材3aが同図中左右方向に移動すると、カム溝3aaのカム作用によってカムフォロア3bが変位させるようになっている。
【0032】
また、カムフォロア3bは、一対のカム溝3aaにそれぞれ嵌入して組み付けられており、一方のカムフォロア3bが一方の羽根部材2の連結部2aに接続されるとともに、他方のカムフォロア3bが他方の羽根部材2の連結部2aに接続されている。そして、カムフォロア3bの羽根部材2に対する接続部は、羽根部材2の回転の中心軸である軸L2からオフセットした位置とされており、カムフォロア3bがカム溝3aa内で変位すると、羽根部材2が軸L2を中心として回転し、ピッチが変更されるようになっている。
【0033】
すなわち、カムフォロア3b(カム部材)は、カム溝3aa内に嵌入しつつ羽根部材2に偏心状態で接続されているので、作動部材5が同図中左右方向にスライド(変位)するのに伴って連動部材3aが同方向に移動(スライド)すると、カム溝3aa内で移動し、カム作用によって羽根部材2を軸L2を中心として回転させることができる。これにより、カムフォロア3bは、連動部材3aの移動を羽根部材2の回転力に変換してピッチを変更可能とされている。
【0034】
さらに、連結部2aとケース1bとの間には、
図5〜7に示すように、ベアリングB1が取り付けられており、羽根部材2のピッチ変更の際、ベアリングB1を介在させてケース1bに対して羽根部材2が回転し得るようになっている。なお、本実施形態に係るベアリングB1は、ボールベアリングとされているが、ニードルベアリング等、他のベアリングを配設するようにしてもよく、滑り軸受或いはブッシュ等を介在させるようにしてもよい。
【0035】
リニアアクチュエータ4(作動アクチュエータ)は、ピッチ変更手段3を作動させて羽根部材2のピッチを任意のタイミングで変更させるもので、作動部材5のスライド方向に駆動可能な作動軸4aを具備している。具体的には、作動軸4aは、
図9に示すように、継ぎ手部材6を介して作動部材5の端部と接続されており、作動部材5の軸の延長線上に沿って延設するよう配設されている。
【0036】
そして、リニアアクチュエータ4の駆動により作動軸4aが同図中左右方向に移動すると、駆動力が継ぎ手部材6を介して作動部材5に伝わり、当該作動軸5を図中左右方向に移動させ得るようになっている。なお、本実施形態においては、モータMから支持柱h1が突出形成されており、その支持柱h1の突端側にリニアアクチュエータ4を固定させるための支持台h2が形成されている。
【0037】
作動部材5は、リニアアクチュエータ4(作動アクチュエータ)の駆動によって変位(スライド)してピッチ変更手段3を作動させる軸状部材から成るもので、本実施形態においては、パイプ状部材から成る出力軸Maに挿通して配設されたプッシュロッドから成る。具体的には、作動部材5の基端は、
図9に示すように、継ぎ手部材6に位置するとともに、他端は、
図8に示すように、ピッチ変更手段3の連動部材3aに接続されている。そして、リニアアクチュエータ4が駆動すると、その駆動力により作動部材5が軸方向にスライドして出力軸Ma内で摺動するとともに、連動部材3aを移動して羽根部材2のピッチを任意に変更し得るようになっている。
【0038】
また、本実施形態に係る作動部材5は、非磁性体材料から成り、出力軸Maに挿通されてモータMを貫通した状態で取り付けられた場合、モータMに対して磁気的な影響を及ぼさないようになっている。なお、作動部材5は、他の材料から成るものとし、その表面に非磁性体材料から成るカバーにて覆うもの、或いは、モータMの作動部材5を貫通させる部位に非磁性体材料から成るカバーで覆うもの等であってもよい。
【0039】
しかして、本実施形態においては、ピッチ変更手段3及びリニアアクチュエータ4(作動アクチュエータ)は、モータM(駆動源)を挟んだ位置にそれぞれ配設されるとともに、作動部材5がモータMを貫通して取り付けられている。これにより、モータMの前側にピッチ変更手段3が位置するとともに、後ろ側にリニアアクチュエータ4が位置し、ピッチ変更手段3、モータM及びリニアアクチュエータ4が直線状に配置するようになっている。
【0040】
継ぎ手部材6は、リニアアクチュエータ4(作動アクチュエータ)及び作動部材5の間に介在し、作動部材5の回転力がリニアアクチュエータ4に伝達しない状態を維持しつつリニアアクチュエータ4の駆動力を作動部材5に伝達してピッチ変更手段3を作動させ得るものである。本実施形態に係る継ぎ手部材6は、
図9に示すように、内部にリニアアクチュエータ4の作動軸4a及び作動部材5の基端側を挿通可能なハウジング6aと、ハウジング6内に配設されたベアリングB2とを有して構成されている。本実施例でベアリングB2は複数配置されているが、単数でもよい。ハウジング6aは、ピンP2によってリニアアクチュエータ4の作動軸4aと連結されており、リニアアクチュエータ4が駆動して作動軸4aが変位すると、同方向に移動するようになっている。
【0041】
ベアリングB2は、ハウジング6a内において作動部材5の基端側に取り付けられており、作動部材5の回転がハウジング6aに伝達されないよう機能するとともに、リニアアクチュエータ4の作動軸4aの変位と共に移動して、作動部材5を同方向に移動するよう構成されている。なお、本実施形態に係るベアリングB2は、ボールベアリングとされているが、ニードルベアリング等、他のベアリングを配設するようにしてもよく、或いはブッシュ等を介在させるようにしてもよい。
【0042】
ここで、本実施形態に係るプロペラ装置は、
図5〜8に示すように、回転部材1の内部に収容空間が形成されるとともに、当該収容空間にピッチ変更手段3が配設されている。すなわち、本実施形態においては、羽根部材2が取り付けられた回転部材1の内部にピッチ変更手段3を構成する連動部材3a及びカムフォロア3b(カム部材)を収容させており、回転部材1の外部のリニアアクチュエータ4にてピッチ変更手段3を任意に作動させるよう構成されているのである。
【0043】
本実施形態によれば、回転部材1の内部に収容空間が形成されるとともに、当該収容空間にピッチ変更手段3が配設されたので、装置の小型化を図ることができるとともに、ピッチ変更手段3が回転部材1で覆われるので、空気抵抗になってしまうのを防止することができる。また、本実施形態に係るピッチ変更手段3及びリニアアクチュエータ4は、モータM(駆動源)を挟んだ位置にそれぞれ配設されるとともに、作動部材5は、モータMを貫通して取り付けられたプッシュロッドから成るので、プロペラ装置全体を直線状に配設させることができ、他の構成部品のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0044】
さらに、本実施形態に係るモータM(駆動源)の出力軸Maは、当該モータM(駆動源)を貫通したパイプ状部材から成り、作動部材5は、当該出力軸Maに挿通して配設されたので、作動部材5の変位(軸方向のスライド)を安定して行わせることができる。またさらに、本実施形態に係る駆動源は、モータMから成るとともに、作動部材5は、非磁性体材料から成るので、モータMを貫通して配設された作動部材5がモータMに対して磁気的影響を及ぼしてしまうのを防止することができる。
【0045】
また、本実施形態に係るピッチ変更手段3は、作動部材5の変位に伴って移動する連動部材3aと、連動部材3aの移動を羽根部材2の回転力に変換してピッチを変更させるカムフォロア3b(カム部材)とを有するので、ピッチ変更手段3を確実且つ円滑に作動させて羽根部材2のピッチを変更させることができる。特に、本実施形態に係るカム部材は、連動部材3aに形成されたカム溝3aaに沿って変位可能なカムフォロア3bから成るので、羽根部材2のピッチの変更をより円滑且つ安定して行わせることができる。
【0046】
さらに、本実施形態においては、リニアアクチュエータ4(作動アクチュエータ)及び作動部材5の間に介在し、作動部材5の回転力がリニアアクチュエータ4に伝達しない状態を維持しつつリニアアクチュエータ4の駆動力を作動部材5に伝達してピッチ変更手段3を作動させ得る継ぎ手部材6を具備したので、リニアアクチュエータ4を固定させた状態でピッチ変更手段3を安定して作動させることができる。継ぎ手部材6は、回転は吸収しつつ、前後方向の駆動をスムースかつ正確に伝達する機能を有する。ベアリングB2は単数でもよく、その構成は小型軽量化につなげることができる。
【0047】
またさらに、本実施形態に係る作動アクチュエータは、作動部材5のスライド方向に駆動力を伝達可能なリニアアクチュエータから成るので、作動アクチュエータの駆動力を効率的に作動部材5に伝達させることができる。なお、本実施形態に係る作動アクチュエータとしてのリニアアクチュエータ4は、支持台h2に固定されているので、モータMと一体的に扱うことができる。
【0048】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば
図10〜12に示すように、ピッチ変更手段3を作動させるための作動アクチュエータがサーボモータ7から成るものとされ、サーボモータ7の駆動による回転力を作動部材5のスライド方向に変換して伝達可能な変換手段を具備するプロペラ装置としてもよい。この場合、同図に示すように、作動部材5の基端側に2枚の板材a1、a2を固定させるとともに、モータM(駆動源)に支持台h3を取り付けて、当該支持台h3にサーボモータ7を固定させている。
【0049】
そして、サーボモータ7の出力軸にカムフォロア7bを有するアーム部材7aを取り付け、そのカムフォロア7bを板材a1、a2の間に嵌入して組み付けることにより、サーボモータ7の駆動による回転力を作動部材5のスライド方向に変換して伝達するようになっている。なお、アーム部材7a及びカムフォロア7bは、本発明の変換手段を構成している。
【0050】
このように、作動アクチュエータがサーボモータ7から成り、当該サーボモータ7の駆動による回転力を作動部材5のスライド方向に変換して伝達可能な変換手段(アーム部材7a及びカムフォロア7b)を具備することにより、汎用的なサーボモータ7を用いて製造コストを低減させることができる。なお、サーボモータ7の駆動による回転力を作動部材5のスライド方向に変換して伝達する変換手段は、他の形態の機構を採用してもよい。
【0051】
さらに、本実施形態においては、ピッチ変更手段3が連動部材3a及びカムフォロア3b(カム部材)を有して構成されているが、回転部材1の収容空間に収容されていれば足り、例えば他のリンク機構等に代えてもよい。また、本実施形態においては、無人航空機やドローンなどに適用されているが、内燃機関(エンジン)を駆動源とする航空機や船舶等のプロペラ装置に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
回転部材は、内部に収容空間が形成されるとともに、当該収容空間にピッチ変更手段が配設された
構成を有し、ピッチ変更手段及び作動アクチュエータは、駆動源を挟んだ位置にそれぞれ配設されるとともに、作動部材は、駆動源を貫通して取り付けられたプッシュロッドから成り、且つ、ピッチ変更手段、駆動源及び作動アクチュエータが直線状に配置されたプロペラ装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 回転部材
1a ホルダ
1b ケース
2 羽根部材
2a 連結部
3 ピッチ変更手段
3a 連動部材
3aa カム溝
3b カムフォロア(カム部材)
4 リニアアクチュエータ(作動アクチュエータ)
4a 作動軸
5 作動部材
6 継ぎ手部材
6a ハウジング
7 サーボモータ(作動アクチュエータ)
7a アーム部材(変換手段)
7b カムフォロア(変換手段)
M モータ(駆動源)
P1 連結ピン
P2 連結ピン
B1 ベアリング
B2 ベアリング
h1 支持柱
h2 支持台
h3 支持台