特許第6975979号(P6975979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6975979流量調整弁およびこれを用いた流体制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6975979
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】流量調整弁およびこれを用いた流体制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20211118BHJP
【FI】
   F16K31/04 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-547711(P2018-547711)
(86)(22)【出願日】2017年10月25日
(86)【国際出願番号】JP2017038478
(87)【国際公開番号】WO2018079586
(87)【国際公開日】20180503
【審査請求日】2020年8月26日
(31)【優先権主張番号】特願2016-209557(P2016-209557)
(32)【優先日】2016年10月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】土肥 亮介
(72)【発明者】
【氏名】千葉 泰司
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一誠
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−197765(JP,A)
【文献】 特開2001−004062(JP,A)
【文献】 特開平11−111116(JP,A)
【文献】 特開2001−208230(JP,A)
【文献】 実開平02−078878(JP,U)
【文献】 特表2016−505777(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/100052(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/00−31/05
F16K 37/00
G05D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体通路が設けられたボディと、前記流体通路を開閉する弁体と、上昇または下降することにより前記弁体による前記流体通路の開度を調整する上下移動体と、前記上下移動体にねじ合わされる回転体と、前記回転体を回転させることによって前記上下移動体を上下移動させる回転装置とを備えている流量調整弁において、
前記回転装置は、前記回転体の一部に設けられた従動歯車と、前記従動歯車に噛み合わされた駆動歯車と、前記駆動歯車を回転させるモータとを備えており、
前記モータは、ステッピングサーボモータとされて、前記モータの回転軸に前記駆動歯車が固定されており、
前記駆動歯車および前記従動歯車は、いずれも上下にのびる軸線を有し、前記駆動歯車の上下寸法は、前記従動歯車の上下寸法よりも大きくなされており、これにより、前記従動歯車が上下に移動した場合でも、両者の噛み合いが外れないようになされていることを特徴とする流量調整弁。
【請求項2】
前記回転体は、下部におねじが形成された軸部と、前記軸部に被せられた内筒部と、前記内筒部の上部に被せられた外筒部とを備え、前記外筒部を回転させることで、前記内筒部および前記軸部も一体で回転するようになされており、
前記モータは、前記回転体に隣接するように配置され、前記モータの回転軸が上方に伸びて、その上端部に前記駆動歯車が固定されており、前記従動歯車は、前記外筒部の上端部に固定されている請求項1の流量調整弁。
【請求項3】
前記モータの横断面が一辺35mm以下の正方形状とされ、前記流量調整弁の横断面が長方形で、その短辺が36mm以下とされ、前記開度の0%から100%までの分解能が2000パルス以上とされている請求項1または2の流量調整弁。
【請求項4】
前記モータは、エンコーダの信号によるクローズドループによって位置を制御する位置制御、回転体の回転速度を制御する速度制御、トルク値が設定値以上になるまで連続定格トルク以下で前記回転体を開度0%方向に移動させる押し当て制御、およびトルクを制御するトルク制御の4つの機能を有しており、
開度0%位置の検知は、前記押し当て制御機能によって行われ、所定開度の設定は、前記位置制御機能および前記速度制御機能によって行われ、前記開度0%位置の検知時および前記所定開度の設定時には、前記トルク制御機能によってトルク異常が判定される請求項1から3までのいずれかに記載の流量調整弁。
【請求項5】
開度が所定の値に設定される流量調整弁をそれぞれ有する複数のラインを備えた流体制御装置であって、複数のラインの各流量調整弁が請求項1から4までのいずれかに記載の流量調整弁とされるとともに、前記各流量調整弁の前記モータの動作量が通信手段で接続された監視装置によって監視されていることを特徴とする流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流量調整弁およびこれを用いた流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体制御装置は半導体製造ラインにおいて必須のコンポーネントである。
【0003】
流体制御装置に使用される流量調整弁は、弁体による流路通路の開度を調整する上下移動体にねじ合わされた回転体を回転させて前記上下移動体を上昇または下降させることで弁体による流路通路の開度を調整する構造を有する。
【0004】
回転体の回転は、手動でハンドルを回すことで行う構造のもの(手動弁タイプ)と、電動で行う構造のもの(電動弁タイプ)がある。
【0005】
流体制御装置は半導体製造ライン当り多量に使用されている。しかも、製造ラインをコンパクトにするためや製造プロセス条件からの制約のために流体制御装置は余裕のない空間に設置される場合が少なくない。
【0006】
そのため、手動弁タイプでの流量調整は、例えば、流体制御装置の下方の奥まったところにある8ライン〜14ラインの流量調整弁に対して、作業者が手を伸ばして、必要なら鏡等で流量調整弁の目盛を見ながら、且つ、そのラインのマスフローメータの流量表示を見ながら、僅かな刻みの目盛で微妙にハンドルを手で動かして調整しなければならなかった。この作業を製造ラインに設置されている全ての流体制御装置に対して行う必要があり、手間暇がかかる煩雑な作業となっており小型であることを十分活かしきれていなかった。
【0007】
これに対して電動弁タイプ(例えば、特許文献1、2)での流量調整には、流量調整のために作業者が直接介在しないので、上記の様な手動弁タイプでの課題は存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−4062号公報
【特許文献2】特開平8−64490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
然しながら、特許文献1の場合は,ステッピングモーターを外付けにしているために、その分装置の容積が大きくなる課題があり、又、特許文献2の場合は、内蔵したラックピニオンを駆動して弁体の開閉度を制御しているために、ラックピニオンの容積に加えラックの上下動の容積を必要とするという課題があった。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、手動弁タイプの小型化を十分活かしながらもその課題を解決した電動弁タイプの流量調整弁を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明による流量調整弁は、流体通路が設けられたボディと、前記流体通路を開閉する弁体と、上昇または下降することにより前記弁体による前記流体通路の開度を調整する上下移動体と、前記上下移動体にねじ合わされる回転体と、前記回転体を回転させることによって前記上下移動体を上下移動させる回転装置とを備えている流量調整弁において、前記回転装置は、前記回転体の一部に設けられた従動歯車と、前記従動歯車に噛み合わされた駆動歯車と、前記駆動歯車を回転させるモータとを備えており、前記モータは、ステッピングサーボモータとされて、前記モータの回転軸に前記駆動歯車が固定されており、前記駆動歯車および前記従動歯車は、いずれも上下にのびる軸線を有し、前記駆動歯車の上下寸法は、前記従動歯車の上下寸法よりも大きくなされており、これにより、前記従動歯車が上下に移動した場合でも、両者の噛み合いが外れないようになされていることを特徴とするものである。
【0012】
上下移動体、回転体および回転装置によって、流体通路の開度を所定の位置に設定する開度設定手段が形成される。
【0013】
ステッピングサーボモータは、エンコーダを搭載したステッピングモータで、コントローラから発信されるパルス信号に応じて、モータコイルに流す電流を切り替えることによって、一定角度ごとにモータの回転軸を回転させるとともに、エンコーダから現在位置・速度をフィードバックし、動作指令パルスとの誤差を修正しながらのクローズドループ制御を行うことができる。
【0014】
回転装置は、回転体の一部に設けられた従動歯車と、従動歯車に噛み合わされた駆動歯車と、駆動歯車を回転させるモータとを備えており、モータの回転軸に駆動歯車が固定されていることで、流量調整弁の全体寸法を小さくすることができ、さらに、モータがエンコーダを搭載したステッピングサーボモータとされていることで、モータ自体を小さくすることができる。これにより、モータを使用する流量調整弁の大きさを手動のものと同程度の大きさとできる。
【0015】
前記モータは、前記回転体に隣接するように配置され、前記モータの回転軸が上方に伸びて、その上端部に前記駆動歯車が固定されていることが好ましい。このようにすると、モータを使用する流量調整弁をよりコンパクトにすることができる。
【0016】
例えば、前記モータの横断面が一辺35mm以下の正方形状とされ、前記流量調整弁の横断面が長方形で、その短辺が36mm以下とされ、前記開度の0%から100%までの分解能が2000パルス以上とされていることが好ましい。
【0017】
このようにすると、寸法的にも、精度的にも、既存の手動の流量調整弁を置き換えるのに十分な流量調整弁とすることができる。
【0018】
前記モータは、エンコーダの信号によるクローズドループによって位置を制御する位置制御、回転体の回転速度を制御する速度制御、トルク値が設定値以上になるまで連続定格トルク以下で前記回転体を開度0%方向に移動させる押し当て制御およびトルクを制御するトルク制御の4つの機能を有しており、開度0%位置の検知は、前記押し当て制御機能によって行われ、所定開度の設定は、前記位置制御機能および前記速度制御機能によって行われ、前記開度0%位置の検知時および前記所定開度の設定時には、前記トルク制御機能によってトルク異常が判定されることが好ましい。
【0019】
速度制御機能によると、上下移動体の移動速度を手による操作速度と同程度に保持することができ、速度の安定性によって耐久性を確保することができる。また、トルク制御機能によると、流量調整弁が完全に故障して操作できなくなる前に、メンテナンスを行うことで、プロセス中に流量調整弁が破損することを防止することができ、プロセスに甚大な被害を与えることが防止される。こうして、手動のものを電動にすることで懸念される過負荷による流量調整弁の損傷を未然に防止することができる。
【0020】
この発明の流体制御装置は、開度が所定の値に設定される流量調整弁をそれぞれ有する複数のラインを備えた流体制御装置であって、複数のラインの各流量調整弁が前記いずれかの流量調整弁とされるとともに、前記各流量調整弁の前記モータの動作量が通信手段で接続された監視装置によって監視されていることを特徴とするものである。
【0021】
この発明の流体制御装置によると、従来、手動で開度が設定されていた流量調整弁をモータを使用して開度を設定できるとともに、監視装置によって全ての流量調整弁の開度を監視できるので、流体制御装置の流量制御機能を高めることができる。
【0022】
監視装置としては、パソコン、タブレット、スマートフォンなどが使用される。通信手段は、無線であってもよく、有線であってもよく、インターネットを使用してもよい。
【0023】
流量調整弁には、トルク(回転、電流)のほか、画像(動画)、温度および/または湿度、加速度(振動)、音などの信号を発信する測定機器が適宜追加され、監視装置から操作指示を出した後、実際に操作した通りに動作しているかを確認することができる。測定機器は、種々の測定機器のほか、MEMESセンサ、小型CCDカメラなどを用いることもできる。また、監視装置や測定装置内に制御機能を持たせることにより、目標とする流量への調整を、自動で行うようにしても良い。
【発明の効果】
【0024】
この発明の流量調整弁によると、流量調整弁の上下寸法を小さくすることができるとともに、モータ自体を小さくすることができるので、モータを使用する流量調整弁の大きさを手動のものと同程度の大きさとできる。したがって、従来、手動の流量調整弁を使用していて、流量調整弁用のスペースを広げることができない流体制御装置に対し、この流量調整弁を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、この発明による流量調整弁の1実施形態を示す縦断面図である。
図2図2は、図1の平面図である。
図3図3は、この発明による流量調整弁における動作ステップを示すフローチャートである。
図4図4は、この発明による流量調整弁が適用された流体制御装置の1例を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
(1):流量調整弁
(2):ボディ
(2a):流体流入通路(流体通路)
(2b):流体流出通路(流体通路)
(4):ダイヤフラム(弁体)
(6):上下移動体
(11):モータ(回転装置)
(13):駆動歯車(回転装置)
(14):従動歯車(回転装置)
(15):回転体
(34):回転軸
(50):流体制御装置
(53):パソコン(監視装置)
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明において、上下・左右は、図1の上下・左右をいうものとする。また、図2の上下を前後というものとする。この、上下・左右・前後は、便宜的なもので、実際の使用に際しては、上下を逆にしたり、上下を水平方向に向けたりなど、適宜設定することができる。
【0028】
図1に示すように、流量調整弁(1)は、流体流入通路(2a)、流体流出通路(2b)および上方に向かって開口した凹所(2c)を有しているブロック状ボディ(2)と、ボディ(2)の凹所(2c)上部に下端部がねじ合わされて上方にのびる円筒状ボンネット(3)と、流体流入通路(2a)の出口周縁部に押圧または離間されて流体流入通路(2a)を開閉する金属製ダイヤフラム(弁体)(4)と、ダイヤフラム押さえ(5)を介してダイヤフラム(4)を流体流入通路(2a)の出口周縁部に押圧・離間させる上下移動体(6)と、開度調整手段(7)とを備えている。
【0029】
開度調整手段(7)は、上下移動体(6)を所定位置に位置させて、流体流入通路(2a)と流体流入通路(2a)との間の開度を調整するもので、モータ(11)と、底壁(12a)、左右側壁(12b)および頂壁(12c)からなり、モータ(11)を左半部に収納する角筒状のケーシング(12)と、歯車(13)(14)を介してモータ(11)によって回転させられる回転体(15)とを備えている。
【0030】
ボンネット(3)は、その下端部が袋ナット(21)によってボディ(2)に固定され、その中間部がナット(22)によってケーシング(12)の底壁(12a)の右半部に固定されている。ボンネット(3)の上端部には、おねじ部が設けられて、このおねじ部に、袋ナット(23)がねじ合わされている。
【0031】
ボンネット(3)の下端とボディ(2)との間に、ダイヤフラム(4)の周縁部を固定する押さえアダプター(24)が設けられている。押さえアダプター(24)とダイヤフラム押さえ(5)の上端部に設けられたフランジとの間に、ダイヤフラム押さえ(5)を上向きに付勢する圧縮コイルばね(25)が設けられている。
【0032】
回転体(15)は、下部におねじ(31a)が形成された軸部(31)と、軸部(31)に被せられた内筒部(32)と、内筒部(32)の上部に被せられた外筒部(33)とを備えている。
【0033】
軸部(31)は、その上端部が上方に突出するように、内筒部(32)に挿通されており、軸部(31)の上端部にねじ合わされたナット(26)が締め付けられることによって、軸部(31)と内筒部(32)とが結合されている。また、外筒部(33)と内筒部(32)とは、外筒部(33)に設けられた径方向に貫通するねじ孔に止めねじ(27)がねじ込まれることによって結合されている。こうして、外筒部(33)を回転させることで、内筒部(32)および軸部(31)も一体で回転するようになされている。
【0034】
外筒部(33)は、ケーシング(12)の頂壁(12c)の上面に固定された転がり軸受(28)によって回転可能にケーシング(12)に支持されている。外筒部(33)の上端部には、円柱状の突出部(33a)が設けられており、突出部(33a)に従動歯車(14)が止めねじ(29)によって固定されている。
【0035】
モータ(11)は、エンコーダを搭載したステッピングサーボモータであり、断面が正方形の直方体状とされて、ケーシング(12)の頂壁(12c)の左部にボルト(30)によって吊り下げ状に取り付けられている。モータ(11)の回転軸(34)は、ケーシング(12)の頂壁(12c)から上方に突出させられており、この部分に駆動歯車(13)が止めねじ(35)によって固定されている。モータ(11)には、外部機器との接続を可能とする端子(11a)が設けられている。
【0036】
駆動歯車(13)および従動歯車(14)は、いずれも上下にのびる軸線を有し、左右に並んで配置されている。駆動歯車(13)の上下寸法は、従動歯車(14)の上下寸法よりも大きくなされており、これにより、従動歯車(14)が上下に移動した場合でも、両者の噛み合いが外れないようになされている。
【0037】
ケーシング(12)の開口部分には、コの字状のサイドカバー(40)が被せられて、小ねじ(41)によってケーシング(12)の右側壁(12b)に固定されている。また、ケーシング(12)の頂壁(12c)には、頂壁(12c)の上方にある歯車(13)(14)を覆うようにトップカバー(42)が被せられて、小ねじ(43)によってケーシング(12)の左側壁(12b)に固定されている。トップカバー(42)は、アクリル、PETなどで形成された透明な樹脂加工品とされて、外部から歯車(13)(14)の回転状態が観察できるようになされている。そして、歯車(13)(14)部分でトラブルが発生した際には、トップカバー(42)だけを取り外して、必要な処理を行うことができる。
【0038】
ボンネット(3)の上端部の袋ナット(23)の上方に若干の間隙をおいて位置するように、環状のストッパ(36)が設けられている。ストッパ(36)は、内筒部(32)の外周に上下移動可能に嵌め合わせられており、上下方向所定の位置に位置決めされて止めねじ(37)によって内筒部(32)に固定されている。ストッパ(36)は、回転体(15)が下降したときに袋ナット(23)の上面に当接するようになっており、これにより、流量調整弁(1)の全閉時からの回転体(15)の下降が規制されている。
【0039】
内筒部(32)の下部外周におねじ(32a)が形成されて、ボンネット(3)の上部内周に、内筒部(32)のおねじ(32a)に対応するめねじ(3a)が形成されており、ボンネット(3)と内筒部(32)とは、相対回転可能なようにねじ合わされている。
【0040】
上下移動体(6)は、有底円筒状とされて、その内周に、回転体(15)の軸部(31)のおねじ(31a)にねじ合わされているめねじ(6a)が形成されている。上下移動体(6)は、その上端部が内筒部(32)の下端部に挿入された状態で、軸部(31)のおねじ (31a)にねじ合わされている。
【0041】
回転体(15)の軸部(31)のおねじ(31a)および上下移動体(6)のめねじ(6a)(第1のねじ合わせ)は、ボンネット(3)のめねじ(3a)および内筒部(32)のおねじ (32a)(第2のねじ合わせ)のねじピッチよりも小さいねじピッチとされている。第1および第2のねじ合わせのねじの向きは、回転体(15)を回転して下降させたときに上下移動体(6)が下降するように設定されている。
【0042】
ダイヤフラム押さえ(5)は、ボンネット(3)の下端部に設けられた下向きに開口した凹所に上下移動可能に挿入されている。ダイヤフラム押さえ(5)は、上下移動体(6)が下降すると、これに押されて上下移動体(6)と一体で下降し、上下移動体(6)が上昇すると、圧縮コイルばね(25)の弾性力により、上下移動体(6)と一体で上昇する。
【0043】
上下移動体(6)の外周に、上下方向にのびる案内溝(38)が設けられて、ボンネット(3)に、案内溝(38)を径方向外方から臨むように、上下方向に直交する方向にのびる軸を有する案内ピン(39)が設けられている。案内ピン(39)の先端部を除いた外周には、おねじが設けられており、ボンネット(3)に設けられたねじ孔にねじ合わされることによって、案内ピン(39)がボンネット(3)に固定されている。案内ピン(39)の先端部は、案内溝(38)に嵌め入れられており、これにより、上下移動体(6)は、ボンネット(3)に対して回転不可能にかつ上下方向移動可能になされている。
【0044】
開度調整手段(7)によると、回転体(15)の外筒部(33)を下降する方向へ回転させることにより、内筒部(32)および軸部(31)が外筒部(33)と一体で回転しながら下降する。軸部(31)にねじ合わされている上下移動体(6)は、案内ピン(39)が案内溝(38)に嵌め入れられていることによって回転が阻止された状態で下降する。この際、第1のねじ合わせ(回転体(15)の軸部(31)のおねじ(31a)と上下移動体(6)のめねじ(6a)とのねじ合わせ)が第2のねじ合わせ(ボンネット(3)のめねじ(3a)と内筒部(32)のおねじ(32a)とのねじ合わせ)のねじピッチよりも小さいねじピッチとされていることで、上下移動体(6)は、ねじピッチの差だけ下降することになる。したがって、精度のよい調整が可能となる。
【0045】
上記の流量調整弁(1)によると、モータ(11)の横断面形状は、1辺が25mmの正方形とされており、図2に示す平面の大きさ(カバー(40)(42)の横断面形状)に関して、その前後幅が36mm以下、すなわち、モータ(11)を追加して電動としたにもかかわらず、手動弁に対して前後幅の増加が抑えられている。また、流量調整弁(1)の上下高さについても、手動弁に操作用の空間を追加した高さに対して、その増加が抑えられている。したがって、手動の流量調整弁が使用されている既存の流体制御装置において、配置スペースを増加させることなく、手動のものを電動の流量調整弁(1)に置き換えることができる。なお、モータ(11)の横断面形状は、1辺が35mm以下の正方形としても、流量調整弁(1)の平面の大きさ(カバー(40)(42)の横断面形状)に関して、その前後幅を36mm以下とすることができる。
【0046】
モータ(11)に搭載されているエンコーダは、1回転で9600パルスを発信するようになっており、ギヤ比が2.2857で、モータ(11)は10回転するので、モータ(11)の分解能は、219,427パルスとなっている。分解能については、2000パルス以上であれば、必要な精度を得ることができる。
【0047】
図3に、モータ(11)の制御装置により行われる流量調整弁(1)の動作ステップを示す。
【0048】
まず、電源を投入(S1)の後、パソコン画面から原点復帰ボタンをONにする(S2)と、モータ(11)が駆動を開始する。この時点では、エンコーダからの信号とリンクできていないので、クローズドループの制御を行うことはできず、連続定格トルク以下でモータ(11)を閉方向に回転させる。これにより、上下移動体(6)は閉方向に移動する(S3)。この際の制御は、押し当て制御とされ(S4)、設定値のトルクに達するまで、上下移動体(6)は移動し続ける。この際、トルク値は常時監視されて異常かどうかが判定され(S5)、異常と判定された場合には、警報が出されて、モータ(11)の駆動が停止される。
【0049】
トルク異常と判定されずに、設定値のトルクに達し、このトルクが設定時間以上継続したときに、上下移動体(6)が閉止点に到達した(原点復帰)と判断する(S6)。例えば、連続定格トルクに対する所定の値(例えば95%)以上になって、かつ、設定時間(例えば2秒)以上の場合に原点復帰とされる。
【0050】
この後、モータ(11)を開方向に回転させ、これにより、上下移動体(6)は開方向に移動する(S7)。この際の制御は、位置制御とされ(S8)、エンコーダ信号に基づいたクローズドループの制御が行われる。この際には、速度制御(S9)も行われ、回転体(15)の操作時間が0.1秒〜120秒/回転の範囲内で適宜な値に設定され、これにより、上下移動体(6)の移動速度が手による操作速度と同程度に保持される。トルク値は常時監視されて異常かどうかが判定され(S10)、異常と判定された場合には、警報が出されて、モータ(11)の駆動が停止される。設定開度に位置決めしようとして、目標のエンコーダ位置を目指して動作する際、連続定格トルクの1.4倍の瞬時最大トルクを発生し、流量調整弁(1)に異常があって、定格の1.4倍のトルクでも動作しない場合、エンコーダの目標ポイントとの偏差が発生し、すぐにエラーと判断される。
【0051】
異常がない場合、設定開度に対応する回転量に達した時点でモータ(11)の回転が停止させられる(S11)。流量調整弁(1)の全閉〜全開までの分解能は、上述のように約20万パルス(2000パルス以上)となっており、開度設定の位置決めにおいて、非常にシビアな位置決めができる。この後、この開度に維持されるように、上下移動体(6)の位置が保持される(S12)。原点復帰後は、エンコーダ信号によるクローズドループの制御を行っているため、開度の位置決めが出来れば、外乱が無い限り、その開度を必要最小限のトルクで維持することが出来る。つまり、最小限の電流を流すため、モータ(11)自体の発熱がほぼ無いものとできる。パソコン画面には、現在の状況が継続してモニタリングされ(S13)、異常がなければ、1回分のプロセスが終了する(S14)。
【0052】
図4に、上記の流量調整弁(1)を備えた流体制御装置(50)の一例を示す。
【0053】
この流体制御装置(50)は、流量調整弁(1)およびこの上流側に設けられたマスフローメータ(51)を8ライン分備えており、流体制御装置(50)の下流側に配置されたエピタキシャル装置などの半導体製造装置に各流量調整弁(1)を介して所定の流量とされた流体を供給する。
【0054】
流体制御装置(50)は、さらに、流量調整弁(1)およびマスフローメータ(51)の8ライン分に接続されるコントロールボックス(52)と、パソコン(監視装置)(53)と、警報出力手段としてのパトライト(登録商標)(54)とを備えている。
【0055】
コントロールボックス(52)には、各流量調整弁(1)および各マスフローメータに接続されるPLC(Programmable Logic Controller)、電源、無線送受信器、モータ駆動基板などが搭載されている。
【0056】
パトライト(登録商標)(54)は、正常動作時に、緑ランプを点灯させ、各流量調整弁(1)に搭載されたモータ(11)のどれかが異常になったときには、緑と赤の両方を点灯させ、PLC故障および電源オフ時には、緑と赤の両方ともを消灯させる。
【0057】
コントロールボックス(52)と各流量調整弁(1)とは、計8本のバルブケーブル(55)によって接続され、コントロールボックス(52)と各マスフローメータ(51)とは、計8本のL型コネクタ(56a)付きMFMケーブル(56)によって接続され、コントロールボックス(52)とパソコン(53)とは、LANケーブル(57)で接続され、コントロールボックス(52)とパトライト(登録商標)(54)とは、警報用ケーブル(58)で接続される。各ケーブル(55)(56)(57)(58)の長さは、例えば5m程度とされる。
【0058】
パソコン(53)からは、全ての流量調整弁(1)について、開度の設定と流量のモニタリングとを行うことができる。
【0059】
この流体制御装置(50)によると、各流量調整弁(1)の開度を一括で管理することができる。また、トルクなどのデータをパソコン(53)に保存しておくことで、初期データと現在データとの比較が可能となり、流量調整弁(1)の劣化状態を評価することができる。また、保存した開度値などの再利用が可能となり、開度の設定が容易になる。
【0060】
上記において、パソコン(53)は、タブレットやスマートフォンなどの適宜な端末(監視装置)に置き換えることも可能であり、これらの監視装置は、流体制御装置(50)の設置場所から離れた遠隔からの操作が可能なものとすることもできる。
【0061】
各流量調整弁(1)には、トルクを測定する機能に加えて、種々のセンサを組み込んでもよい。例えば、MEMSマイクロフォンを組み込むことにより、流量調整弁(1)の駆動動作を遠隔で把握し、トルク信号とともに、流量調整弁(1)の駆動の異常を判断することができる。また、小型CCDを組み込むことにより、駆動時の歯車(13)(14)の動作が遠隔で見られるようにして、異常の有無を判断することができる。また、MEMS湿度センサを組み込むことにより、モータ(11)の周辺の湿度が正常かを判断することができる。また、MEMS温度センサを組み込むことにより、モータ(11)の周辺の温度が正常かを判断することができる。また、MEMS加速度センサを組み込むことにより、モータ(11)自体の振動が正常かを判断することができる。
【0062】
上記において、モータ(11)および歯車(13)(14)(すなわち回転装置)以外の構成は、図示したものに限定されず、種々の流量調整弁の構成に変更することができる。また、流体制御装置(50)についても、図示したものに限定されず、種々の流体制御装置に対して、上記のモータ(11)および歯車(13)(14)を備えた流量調整弁を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
この発明によると、手動弁タイプの小型化を十分活かしながらもその課題を解決した電動弁タイプの流量調整弁が得られるので、この流量調整弁を使用する流体制御装置およびこの流体制御装置を使用する半導体製造ラインの性能向上に寄与できる。
図1
図2
図3
図4